(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006989
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】乗物用天井内装材
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B60R13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108083
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦野 佳亮
(72)【発明者】
【氏名】宇田津 巌
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB03
3D023BC01
3D023BD01
3D023BE03
3D023BE35
(57)【要約】
【課題】ボード部材にシワが生じる事態を抑制することが可能な乗物用天井内装材を提供する。
【解決手段】車室の天井を構成する板状のボード部材30と、ボード部材30の車室外側の面30Aに配され、ボード部材30を構成する材質よりも線膨張係数が大きい材質で構成される長手状の補強部材40と、を備え、補強部材40は、車室外側の面30Aに接着され、補強部材40の長手方向に沿って並ぶ一対の接着部41,42と、一対の接着部41,42同士を連結する連結部51と、を備え、連結部51は、車室外側の面30Aに接着されておらず、補強部材40の長手方向における連結部51の中間部51Aが両端部51B,51Bに対して車室外側の面30Aから遠ざかるように屈曲する形状をなしている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用パネルを乗物室内側から覆うと共に乗物室の天井を構成する板状のボード部材と、
前記ボード部材の乗物室外側の面に配され、前記ボード部材を構成する材質よりも線膨張係数が大きい材質で構成される長手状の補強部材と、を備え、
前記補強部材は、
前記ボード部材の乗物室外側の面に接着され、前記補強部材の長手方向に沿って並ぶ一対の接着部と、
前記一対の接着部同士を連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、前記ボード部材の乗物室外側の面に接着されておらず、前記補強部材の長手方向における前記連結部の中間部が両端部に対して前記ボード部材の乗物室外側の面から遠ざかるように屈曲する形状をなす、乗物用天井内装材。
【請求項2】
前記ボード部材の乗物室外側の面には、前記ボード部材の乗物室外側の面において前記補強部材と隣接する形で配されたエアバッグに沿って延びる溝部が形成され、
前記溝部の一部は、前記連結部と重なる形で配され、
前記連結部において前記溝部と重なる箇所には切欠部が形成されている、請求項1に記載の乗物用天井内装材。
【請求項3】
前記連結部は、前記補強部材の長手方向に沿って並ぶ形で複数個配されている、請求項1又は請求項2に記載の乗物用天井内装材。
【請求項4】
前記一対の接着部のうち、一方の接着部における乗物室外側の面には、前記乗物用パネルに向かって突出する突出部が設けられ、
前記連結部は、前記突出部を挟む形で一対設けられている、請求項3に記載の乗物用天井内装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、乗物用天井内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用天井内装材として、下記特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載された乗物用天井内装材は、板状をなすボード部材と、ボード部材の上面に接着された補強部材(樹脂発泡体)と、を備える。補強部材を備えることでボード部材の剛性を高くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のように、ボード部材に補強部材を接着する構成においては、ボード部材の材質と補強部材の材質が異なる場合がある。ボード部材に対して補強部材の線膨張係数が大きいと、寒冷地等で乗物を使用して、ボード部材及び補強部材の温度が低下した際に、補強部材がボード部材よりも大きく収縮する結果、ボード部材に応力が作用してしまい、ボード部材にシワが生じる事態が懸念される。このような事態を抑制するために、ボード部材の材質を線膨張係数の大きいものに変更することや、目付を大きくして剛性を高くすることが考えられる。しかしながら、このような構成では、ボード部材の材質を選定する際に制約が生じたり、ボード部材の重量が増加したりするといった問題が生じる。
【0005】
本明細書で開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ボード部材にシワが生じる事態を抑制することが可能な乗物用天井内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される乗物用天井内装材は、乗物用パネルを乗物室内側から覆うと共に乗物室の天井を構成する板状のボード部材と、 前記ボード部材の乗物室外側の面に配され、前記ボード部材を構成する材質よりも線膨張係数が大きい材質で構成される長手状の補強部材と、を備え、前記補強部材は、前記ボード部材の乗物室外側の面に接着され、前記補強部材の長手方向に沿って並ぶ一対の接着部と、前記一対の接着部同士を連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前記ボード部材の乗物室外側の面に接着されておらず、前記補強部材の長手方向における前記連結部の中間部が両端部に対して前記ボード部材の乗物室外側の面から遠ざかるように屈曲する形状をなすことを特徴とする。
【0007】
上記構成では、補強部材においてボード部材に接着される部分が一対の接着部とされ、一対の接着部を連結する連結部については、ボード部材の乗物室外側の面に接着されておらず、補強部材の長手方向における連結部の中間部が両端部に対して乗物室外側の面から遠ざかるように屈曲する形状をなしている。このようにすれば、補強部材の温度が低下して補強部材が収縮する際には、補強部材の長手方向において連結部が伸縮することで熱収縮が吸収される結果、一対の接着部をそれぞれ収縮させることができる。補強部材において収縮する箇所を2箇所に分散させることで、補強部材の収縮に伴ってボード部材に局所的に大きい応力が作用する事態を抑制することができ、ボード部材にシワが生じる事態を抑制できる。また、一対の接着部は、連結部によって連結されているため、一対の接着部が分離している構成と比べて、取り扱いが容易であり、補強部材の剛性をより高くすることができる。
【0008】
また、前記ボード部材の乗物室外側の面には、前記ボード部材の乗物室外側の面において前記補強部材と隣接する形で配されたエアバッグに沿って延びる溝部が形成され、前記溝部の一部は、前記連結部と重なる形で配され、前記連結部において前記溝部と重なる箇所には切欠部が形成されているものとすることができる。
【0009】
エアバッグが動作した場合には、エアバッグに押圧されたボード部材が溝部を起点として折れ曲がることで、エアバッグをより速やかに乗物室内に展開させることができる。そして、連結部において溝部と重なる箇所には切欠部が形成されているため、ボード部材を折り曲げる際に連結部が妨げになる事態を抑制できる。
【0010】
また、前記連結部は、前記補強部材の長手方向に沿って並ぶ形で複数個配されているものとすることができる。複数の連結部の配置を設定することで、隣り合う連結部間に配された接着部の収縮の大きさを設定することができる。
【0011】
また、前記一対の接着部のうち、一方の接着部における乗物室外側の面には、前記乗物用パネルに向かって突出する突出部が設けられ、前記連結部は、前記突出部を挟む形で一対設けられているものとすることができる。ボード部材が乗物用パネル側に変位した場合には、突出部の突出端が乗物用パネルに当接することで、それ以降のボード部材の変位を規制することができる。これにより、ボード部材の剛性をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ボード部材にシワが生じる事態を抑制することが可能な乗物用天井内装材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る天井内装材が設けられた車室内を示す図
【
図2】天井内装材を車室外側から視た斜視図(補強部材を側方から視た図)
【
図3】天井内装材を車室外側から視た斜視図(補強部材を
図2とは反対側の側方から視た図)
【
図5】天井内装材を車室外側から視た図(補強部材を平面視で示す図)
【
図6】補強部材の一部を切断して視た断面図(
図5のVI-VI線で切断した図に対応)
【
図7】補強部材の一部を切断して視た断面図(
図5のVII-VII線で切断した図に対応)
【
図8】補強部材及びルーフパネルを車室内側から視た斜視図
【
図9】補強部材の一部を切断して視た断面図(
図5のIX-IX線で切断した図に対応)
【
図10】補強部材の一部を切断して視た断面図(
図5のX-X線で切断した図に対応)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を
図1から
図10によって説明する。本実施形態では、乗物用天井内装材として、車両用の天井内装材20を例示する。天井内装材20は、
図1に示すように、板状のボード部材30(内装材本体)と、ボード部材30の車室外側(乗物室外側)の面に配される補強部材40(
図1の破線)と、を備える。
【0015】
ボード部材30は、
図9に示すように、ルーフパネル10(乗物用パネル)を車室内側から覆うと共に乗物室の天井を構成するものとされる。ボード部材30の材質は例えば、ウレタンフォーム等の合成樹脂材料とされるが、これに限定されない。
【0016】
補強部材40は、
図2に示すように、車両の前後方向に沿って延びる長手状をなしており、ボード部材30の車両後端部のうち側端部に対応する箇所に配されている。補強部材40の材質は、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂材料とされ、ボード部材30を構成する材質よりも線膨張係数が大きい材質で構成されている。補強部材40は、接着剤31(例えばホットメルト等)によってボード部材30における車室外側の面30Aに接着される3つの接着部41,42,43と、隣り合う接着部41,42,43同士を連結する2つの連結部51,52と、を備える。
【0017】
接着部41,42(一対の接着部)は、補強部材40の長手方向に沿って並んでおり、接着部41,42同士は、連結部51によって連結されている。接着部42,43(一対の接着部)は、補強部材40の長手方向に沿って並んでおり、接着部42,43同士は、連結部52によって連結されている。連結部51,52は、
図6及び
図7に示すように、車室外側の面30Aに接着されていない。
【0018】
連結部51は、
図6に示すように、補強部材40の長手方向(
図6の左右方向)における中間部51Aが両端部51B,51Bに対して車室外側の面30Aから遠ざかるように屈曲するU字状をなしている。連結部52は、
図7に示すように、補強部材40の長手方向(
図7の左右方向)における中間部52Aが両端部52B,52Bに対して車室外側の面30Aから遠ざかるように屈曲するU字状をなしている。
【0019】
図2に示すように、ボード部材30の車室外側には、補強部材40と隣接する形でエアバッグ11(カーテンシールドエアバッグ)が配されている。エアバッグ11は、
図1の破線で示すように、車両前後方向に延び、補強部材40の車両前方(
図1の左側)に配されている。なお、車室においてエアバッグ11に対応する空間は、乗員室とされ、車室において補強部材40に対応する空間は荷室とされる。ボード部材30において乗員室に対応する箇所は、エアバッグ11の構成部品が設けられているため、剛性が確保されている。これに対して、ボード部材30において荷室に対応する箇所は、エアバッグ11が設けられていないため、補強部材40を設けて剛性を確保することとしている。
【0020】
図2及び
図3に示すように、ボード部材30の車室外側の面30Aには、エアバッグ11に沿って延びる溝部32,33が形成されている。
図5に示すように、溝部32の一端部(一部)は、連結部51と重なる形で配され、連結部51において溝部32と重なる箇所には切欠部51Dが形成されている。また、接着部41の車室外側の面において、溝部32と重なる箇所には、溝部41Aが形成されている。
【0021】
溝部33は、補強部材40付近において二手に分かれるように延びており、溝部33における一方の端部33Aは、接着部41と重なる形で配され、他方の端部33Bは、接着部42と重なる形で配されている。そして、接着部41の車室外側の面において、溝部33の端部33Aと重なる箇所には、溝部41Bが形成されている。また、接着部42の車室外側の面において、溝部33の端部33Bと重なる箇所には、溝部42Aが形成されている。
【0022】
図3に示すように、2つの連結部51,52は、補強部材40の長手方向に沿って並ぶ形で配されており、接着部42(一対の接着部のうち一方の接着部)における車室外側の面には、ルーフパネル10(乗物用パネル)に向かって突出する突出部62が設けられている。一対の連結部51,52は、突出部62を挟む形で設けられている。突出部62は、
図4に示すように車室内側及び下方に開口された略箱状をなしている。
図8に示すように突出部62の突出端面は、緩衝材72を介してルーフパネル10と対向配置されている。また、接着部41における車室外側の面には、ルーフパネル10に向かって突出する突出部61が設けられている。突出部61は、車室内側に開口された略箱状をなしており、突出部61の突出端面は、緩衝材71を介してルーフパネル10と対向配置されている。
【0023】
また、
図2に示すように、接着部42における車室外側の面のうち、連結部52に隣接する箇所には、ルーフパネル10に向かって突出する突出部63が設けられている。
図9に示すように、突出部63は、車室内側(
図9の下方)に開口された略箱状をなしており、突出部63の突出端面は、緩衝材73を介してルーフパネル10と対向配置されている。
【0024】
また、
図2に示すように、接着部43における車室外側の面には、ルーフパネル10に向かって突出する突出部64が設けられている。
図10に示すように、突出部64は、車室内側(
図10の下方)に開口された略箱状をなしており、突出部64の突出端面は、緩衝材74を介してルーフパネル10と対向配置されている。突出部61,62,63,64を備えることで、ボード部材30が車室外側(ルーフパネル10側)に押圧された際には、突出部61,62,63,64の各突出端面が緩衝材71,72,73,74を介してルーフパネル10にそれぞれ当接することで、ボード部材30が車室外側に変位することを規制可能な構成となっている。なお、緩衝材71,72,73,74は、ルーフパネル10に対してわずかに隙間を空けて対向配置されているが、ルーフパネル10に当接していてもよい。また、緩衝材71,72,73,74を備えておらず、突出部61,62,63,64の突出端面がルーフパネル10に直接当接する構成であってもよい。
【0025】
図3に示すように、接着部42における車室外側の面には、ルーフパネル10に向かって突出する突出部45が突出部61と連結する形で設けられている。車室内側に開口する箱状をなす突出部45の突出端面には、貫通孔45Aが形成されている。また、接着部42における車室外側の面には、ルーフパネル10に向かって突出する突出部46が突出部64と連結する形で設けられている。車室内側に開口する箱状をなす突出部46の突出端面には、貫通孔46Aが形成されている。
【0026】
ボード部材30に対して補強部材40を接着する際には、貫通孔45A,46Aに位置決めピン95(
図10の一点鎖線参照)の先端をボード部材30と反対側からそれぞれ挿通することで、ボード部材30に対して補強部材40を正確に位置決めし、その後、位置決めピン95をボード部材30側に変位させることで、補強部材40をボード部材30における正確な位置に接着することができる。なお、貫通孔45A,46Aは、突出部45,46の突出端面に形成されているため、接着剤31と距離を空けて配されている。このため、貫通孔45A,46Aに位置決めピン95を挿通した際に、位置決めピン95の先端に接着剤31が付着する事態を抑制することができる。
【0027】
図9に示すように各接着部41,42,43(
図9では接着部42を図示)の車室外側の面における外周端部には、車室外側に向かって突出するリブ81,82が形成されている。また、
図4に示すように接着部42の車室内側の面には、格子状をなすリブ83,84が形成されている。また、
図3に示すように接着部41の車室外側の面には、車室外側に向かって突出する格子状のリブ85が突出部45,61の双方に接続される形で形成されている。また、
図4に示すように、突出部61,62,63,64の内部には、リブ86,87,88,89がそれぞれ形成されている。
【0028】
また、
図2に示すように、接着部42の車室外側の面には、突出部63及び連結部52を繋ぐリブ90が形成されており、接着部43の車室外側の面には、突出部64及び連結部52を繋ぐリブ91、突出部46及び連結部52を繋ぐリブ92が形成されている。そして、接着部42の車室外側の面において、突出部62と隣接する箇所には、リブ93が突出部62と接続する形で形成されている。リブ81~93を備えることで、補強部材40の剛性をより高くすることができる。
【0029】
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、補強部材40においてボード部材30に接着される部分が一対の接着部41,42とされ、一対の接着部41,42を連結する連結部51については、ボード部材30の車室外側の面30Aに接着されておらず、補強部材40の長手方向における連結部51の中間部51Aが両端部51B,51Bに対して車室外側の面30Aから遠ざかるように屈曲する形状をなしている。
【0030】
このようにすれば、補強部材40の温度が低下して補強部材40が収縮する際には、補強部材40の長手方向において連結部51が伸縮することで熱収縮が吸収される結果、一対の接着部41,42をそれぞれ収縮させることができる。補強部材40において収縮する箇所を2箇所に分散させることで、補強部材40の収縮に伴ってボード部材30に局所的に大きい応力が作用する事態を抑制することができ、ボード部材30にシワが生じる事態を抑制できる。また、一対の接着部41,42は、連結部51によって連結されているため、一対の接着部41,42が分離している構成と比べて、取り扱いが容易であり、補強部材40の剛性をより高くすることができる。なお、一対の接着部42,43及び連結部52についても同様の効果を奏する。
【0031】
また、ボード部材30の車室外側の面30Aには、車室外側の面30Aにおいて補強部材40と隣接する形で配されたエアバッグ11に沿って延びる溝部32が形成され、溝部32の一部は、連結部51と重なる形で配され、連結部51において溝部32と重なる箇所には切欠部51Dが形成されている。
【0032】
エアバッグ11が動作した場合には、エアバッグ11に押圧されたボード部材30が溝部32を起点として折れ曲がることで、エアバッグ11をより速やかに車室内に展開させることができる。そして、連結部51において溝部32と重なる箇所には切欠部51Dが形成されているため、ボード部材30を折り曲げる際に連結部51が妨げになる事態を抑制できる。
【0033】
また、連結部51,52は、補強部材40の長手方向に沿って並ぶ形で配されている。各連結部51,52の配置を設定することで、隣り合う連結部51,52間に配された接着部42の収縮の大きさを設定することができる。
【0034】
また、一対の接着部41,42のうち、一方の接着部42における車室外側の面には、ルーフパネル10に向かって突出する突出部62が設けられ、連結部51,52は、突出部62を挟む形で設けられている。ボード部材30がルーフパネル10側に変位した場合には、突出部62の突出端がルーフパネル10に当接することで、それ以降のボード部材30の変位を規制することができる。これにより、ボード部材30の剛性をより高くすることができる。
【0035】
また、接着部41の車室外側の面において、溝部32と重なる箇所には、溝部41Aが形成されており、接着部41の車室外側の面において、溝部33の端部33Aと重なる箇所には、溝部41Bが形成されている。また、接着部42の車室外側の面において、溝部33の端部33Bと重なる箇所には、溝部42Aが形成されている。このような溝部41A,41B,42Aを備えることで、エアバッグ11展開時にボード部材30を折り曲げる際に補強部材40が妨げになる事態を抑制できる。
【0036】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態で例示した天井内装材は、車両用に限定されない。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記天井内装材を適用することができる。
(2)上記実施形態では、連結部51,52がU字状をなしているものを例示したが、連結部の形状は、これに限定されない。例えば、連結部は、V字状をなしていてもよい。
(3)上記実施形態では、補強部材40がエアバッグ11と隣接して配されており、エアバッグ11の展開を容易に行うために、連結部51に切欠部51Dを形成する構成を例示したが、エアバッグ11が配されていない構成において切欠部51Dを有していてもよい。エアバッグ11が配されていない場合であっても、連結部51の切欠部51Dの大きさを適宜設定することで、補強部材40の剛性を設定することが可能である。
(4)上記実施形態では、乗物用パネルとしてルーフパネルを例示したが、これに限定されず、ルーフパネル以外の乗物用パネルについても適用可能である。
(5)上記実施形態では、連結部が補強部材の長手方向に沿って2つ並ぶ形で配される構成を例示したが、3つ以上の連結部が、補強部材の長手方向に沿って並ぶ形で配されていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…ルーフパネル(乗物用パネル)、11…エアバッグ、30…ボード部材、30A…ボード部材の車室外側の面(乗物室外側の面)、32…溝部、40…補強部材、41,43…接着部、42…接着部(一対の接着部のうち一方の接着部)、51,52…連結部、51A,52A…補強部材の長手方向における中間部、51B,52B…補強部材の長手方向における端部、51D…切欠部、62…突出部