(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025070052
(43)【公開日】2025-05-02
(54)【発明の名称】流水殺菌装置および流水殺菌方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20230101AFI20250424BHJP
【FI】
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180091
(22)【出願日】2023-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】河崎 涼太
(72)【発明者】
【氏名】糀屋 睦
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
(57)【要約】
【課題】流水殺菌装置の非稼働時における被処理水の凍結を防止する。
【解決手段】流水殺菌装置10は、流入口22および流出口24を備え、流入口22から流出口24に向けて流れる被処理水を収容する筐体12と、被処理水に面する窓部材32と、窓部材32越しに被処理水に向けて紫外光20を照射する発光素子26と、発光素子26の温度を検出する温度センサ28と、発光素子26の点灯時に生じる熱を被処理水に伝える伝熱部材34と、被処理水の流れがある稼働状態において、温度センサ28の検出結果が第1温度以下である場合に発光素子26を点灯させ、被処理水の流れがない非稼働状態において、温度センサ28の検出結果が第1温度よりも低い第2温度以下である場合に発光素子26を点灯させる制御装置16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口および流出口を備え、前記流入口から前記流出口に向けて流れる被処理水を収容する筐体と、
前記被処理水に面する窓部材と、
前記窓部材越しに前記被処理水に向けて紫外光を照射する発光素子と、
前記発光素子の温度を検出する温度センサと、
前記発光素子の点灯時に生じる熱を前記被処理水に伝える伝熱部材と、
前記被処理水の流れがある稼働状態において、前記温度センサの検出結果が第1温度以下である場合に前記発光素子を点灯させ、前記被処理水の流れがない非稼働状態において、前記温度センサの検出結果が前記第1温度よりも低い第2温度以下である場合に前記発光素子を点灯させる制御装置と、
を備える流水殺菌装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記非稼働状態において、前記温度センサの検出結果が前記第2温度よりも低い第3温度以下となることを契機に前記発光素子の点灯を開始させ、前記温度センサの検出結果が前記第2温度を超えることを契機に前記発光素子を消灯させる、
請求項1に記載の流水殺菌装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記非稼働状態において前記温度センサの検出結果が前記第2温度以下である場合に前記発光素子を間欠的に点灯させる、
請求項1に記載の流水殺菌装置。
【請求項4】
前記被処理水の流れを検出するフローセンサをさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の流水殺菌装置。
【請求項5】
前記窓部材は、前記伝熱部材によって支持される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の流水殺菌装置。
【請求項6】
前記伝熱部材は、前記発光素子および前記温度センサを収容する光源室を画定し、前記筐体の内部に配置される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の流水殺菌装置。
【請求項7】
前記筐体の内部に配置され、前記窓部材と対向する開口端を有し、前記開口端から前記流出口に向かう処理流路を画定する仕切部材をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の流水殺菌装置。
【請求項8】
流入口から流出口に向かう被処理水の流れがあるか否かを示す流れ信号を取得するステップと、
前記被処理水に向けて窓部材越しに紫外光を照射する発光素子の温度を検出するステップと、
前記被処理水の流れがある稼働状態において、前記温度の検出結果が第1温度以下である場合に前記発光素子を点灯させ、前記被処理水の流れがない非稼働状態において、前記温度の検出結果が前記第1温度よりも低い第2温度以下である場合に前記発光素子を点灯させるステップと、
を備える流水殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被処理水に紫外光を照射して殺菌処理をする流水殺菌装置が知られている。例えば、ヒートポンプを用いる給湯装置から出力される温水に紫外光を照射して殺菌する構成が知られている。温度検出部が検出した外気温に応じて、ヒートポンプに凍結防止運転がなされる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の先行技術では、凍結防止のために被処理水を加熱または循環させる必要がある。流水殺菌装置の設置箇所によっては、流水殺菌装置の非稼働時に被処理水を加熱または循環させることが難しい場合がある。
【0004】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、流水殺菌装置の非稼働時における被処理水の凍結を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様の流水殺菌装置は、流入口および流出口を備え、流入口から流出口に向けて流れる被処理水を収容する筐体と、被処理水に面する窓部材と、窓部材越しに被処理水に向けて紫外光を照射する発光素子と、発光素子の温度を検出する温度センサと、発光素子の点灯時に生じる熱を被処理水に伝える伝熱部材と、被処理水の流れがある稼働状態において、温度センサの検出結果が第1温度以下である場合に発光素子を点灯させ、被処理水の流れがない非稼働状態において、温度センサの検出結果が第1温度よりも低い第2温度以下である場合に発光素子を点灯させる制御装置と、を備える。
【0006】
本発明の別の態様は、流水殺菌方法である。この方法は、流入口から流出口に向かう被処理水の流れがあるか否かを示す信号を取得するステップと、被処理水に向けて窓部材越しに紫外光を照射する発光素子の温度を検出するステップと、被処理水の流れがある稼働状態において、温度の検出結果が第1温度以下である場合に発光素子を点灯させ、被処理水の流れがない非稼働状態において、温度の検出結果が第1温度よりも低い第2温度以下である場合に発光素子を点灯させるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、流水殺菌装置の非稼働時における被処理水の凍結を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態に係る流水殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】実施の形態に係る流水殺菌方法を示すフローチャートである。
【
図3】第2の実施の形態に係る流水殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の寸法比と一致しない。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る流水殺菌装置10の構成を概略的に示す図である。流水殺菌装置10は、筐体12と、光源ユニット14と、制御装置16とを備える。流水殺菌装置10は、筐体12の内部の処理流路18を流れる被処理水に紫外光20を照射して殺菌処理を施す。
【0011】
筐体12は、被処理水が流れる処理流路18を画定する。筐体12は、流入口22および流出口24を備える。処理流路18は、流入口22と流出口24の間に位置する。筐体12は、樹脂材料または金属材料で構成される。筐体12は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂材料で構成される。
【0012】
光源ユニット14は、筐体12の内部に配置される。光源ユニット14は、例えば、処理流路18に配置され、流出口24よりも流入口22の近くに配置される。光源ユニット14は、例えば、流出口24に向けて紫外光20を照射する向きとなるように配置される。
【0013】
光源ユニット14は、発光素子26と、温度センサ28と、基板30と、窓部材32と、伝熱部材34とを備える。
【0014】
発光素子26は、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いる半導体発光素子であり、例えば紫外光20を出力するLED(Light Emitting Diode)である。紫外光20の波長は、例えば、200nm以上320nm以下であり、例えば240nm以上280nm以下である。発光素子26は、基板30に実装される。光源ユニット14は、例えば、基板30に実装される複数の発光素子26を備えることができる。
【0015】
温度センサ28は、基板30に実装されて温度を検出する。温度センサ28は、基板30の温度を検出することにより、発光素子26の温度を検出する。温度センサ28の検出結果は、制御装置16に送信される。
【0016】
基板30は、発光素子26および温度センサ28を支持する。基板30は、伝熱部材34に取り付けられており、発光素子26の点灯時に生じる熱を伝熱部材34に伝える。基板30は、例えば高熱伝導性であることが好ましく、例えばアルミニウムや銅などの金属材料をベースとした基板材料から構成される。基板30と伝熱部材34の間には、放熱グリス等の高熱伝導材料(不図示)が配置されてもよい。
【0017】
窓部材32は、処理流路18を流れる被処理水に面するように配置される。窓部材32は、紫外光20を透過する材料から構成され、例えば石英(SiO2)、サファイア(Al2O3)、または非晶性フッ素樹脂から構成される。窓部材32は、例えば、伝熱部材34に設けられる開口36を塞ぐように設けられ、伝熱部材34によって支持される。窓部材32は、伝熱部材34とともに光源室38を水密に画定する。窓部材32と伝熱部材34の間には、シールリングなどの封止部材(不図示)を設けることができる。
【0018】
伝熱部材34は、窓部材32とともに光源室38を画定する。伝熱部材34は、発光素子26からの紫外光20を通過させる開口36を有する。発光素子26、温度センサ28および基板30は、光源室38に配置される。伝熱部材34は、発光素子26の点灯時に生じる熱を筐体12の内部の被処理水に伝える。伝熱部材34は、例えば、ステンレス鋼、銅、またはアルミニウムなどの金属材料から構成される。
【0019】
流水殺菌装置10は、フローセンサ40をさらに備えることができる。フローセンサ40は、流入口22から流出口24に向かう被処理水の流れの有無を検出し、流れがあるか否かを示す流れ信号を出力する。フローセンサ40は、例えば、流出口24に設けることができる。フローセンサ40の設置箇所は特に問わず、流入口22に設けてもよいし、処理流路18に設けてもよい。
【0020】
制御装置16は、発光素子26の点灯を制御する。制御装置16は、温度センサ28の検出結果を取得する。制御装置16は、流入口22から流出口24に向かう被処理水の流れがあるか否かを示す流れ信号を取得する。制御装置16は、例えば、筐体12の内部に設けられるフローセンサ40から流れ信号を取得する。制御装置16は、流水殺菌装置10の上流側または下流側に設けられる装置(不図示)から流れ信号を取得してもよい。
【0021】
制御装置16は、筐体12の外側に配置され、ケーブル42を介して基板30と接続される。制御装置16は、筐体12の内部に配置されてもよく、例えば、光源室38に配置されてもよい。
【0022】
制御装置16は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)などの集積回路を含む。制御装置16は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現できる。制御装置16は、ハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0023】
制御装置16は、被処理水の流れがある稼働状態である場合、発光素子26を所定の駆動電流で点灯させ、処理流路18を流れる被処理水を紫外光20で殺菌する。制御装置16は、稼働状態において温度センサ28の検出結果が第1温度以下である場合、発光素子26を点灯させる。制御装置16は、稼働状態において温度センサ28の検出結果が第1温度を超える場合、発光素子26を消灯させる。第1温度は、発光素子26が動作可能な許容上限温度に相当し、例えば50℃以上100℃以下である。制御装置16は、第1温度を超える場合に発光素子26を消灯させることにより、発光素子26の過度な温度上昇を防止する。
【0024】
制御装置16は、被処理水の流れがない非稼働状態である場合、被処理水の凍結防止を目的として発光素子26を点灯させる。制御装置16は、非稼働状態において温度センサ28の検出結果が第1温度よりも低い第2温度以下である場合、発光素子26を点灯させる。制御装置16は、非稼働状態において温度センサ28の検出結果が第2温度を超える場合、発光素子26を消灯させる。第2温度は、被処理水の凍結予防が必要と考えられる第1基準温度に相当し、例えば5℃以上10℃以下である。
【0025】
制御装置16は、非稼働状態である場合、温度センサ28の検出結果が第2温度よりも低い第3温度以下となることを契機に発光素子26の点灯を開始させてもよい。第3温度は、被処理水の凍結可能性が高い第2基準温度に相当し、例えば1℃以上5℃以下である。制御装置16は、非稼働状態である場合、第2温度から第3温度に向けて温度が下がる過程において発光素子26を点灯させず、第3温度から第2温度に向けて温度が上がる過程において発光素子26を点灯させてもよい。制御装置16は、例えば温度センサ28の検出結果が第3温度以上第2温度以下に維持されるように、発光素子26を間欠的に点灯させてもよい。
【0026】
つづいて、流水殺菌装置10の動作について説明する。殺菌処理の対象となる被処理水は、流入口22から筐体12の内部に流入し、処理流路18を通って流出口24から流出する。光源ユニット14は、処理流路18を流れる被処理水に紫外光20を照射する。発光素子26の点灯時に生じる熱は、基板30および伝熱部材34を介して被処理水に伝わる。被処理水の流れがある稼働状態では、発光素子26は、被処理水の流れによって第1温度以下に冷却される。
【0027】
被処理水の流れがない非稼働状態では、発光素子26は原則的には消灯となる。非稼働状態において被処理水の凍結予防が必要な場合、発光素子26を点灯させ、発光素子26の点灯時の熱を利用して被処理水を加熱する。被処理水の凍結のおそれがない程度に被処理水が加熱された場合、発光素子26を消灯させる。具体的には、非稼働状態において第2温度以下または第3温度以下である場合に発光素子26を点灯させ、非稼働状態において第2温度を超えるときに発光素子26を消灯させる。これにより、非稼働状態における被処理水を第3温度以上第2温度以下に加熱し、被処理水の凍結を防止できる。被処理水の凍結を防止することにより、凍結による被処理水の膨張に起因する窓部材32などの損傷を防止できる。
【0028】
図2は、実施の形態に係る流水殺菌方法を示すフローチャートである。制御装置16は、被処理水の流れがあるか否かを示す流れ信号をフローセンサ40から取得し(S10)、温度センサ28から温度の検出結果を取得する(S12)。制御装置16は、流れがある稼働状態であり(S14のY)、温度の検出結果が第1温度以下である場合(S16のY)、発光素子26を点灯させ(S18)、被処理水を紫外光20で殺菌する。制御装置16は、流れがある稼働状態であり(S14のY)、検出結果が第1温度を超える場合(S16のN)、発光素子26を消灯させ(S20)、発光素子26を熱から保護する。
【0029】
制御装置16は、流れがない非稼働状態であり(S14のN)、温度の検出結果が第2温度以下である場合(S22のY)、発光素子26が点灯中であれば(S24のY)、発光素子26の点灯を継続させ(S18)、発光素子26の点灯時に生じる熱を用いて被処理水を加熱する。制御装置16は、発光素子26が非点灯であり(S24のN)、温度の検出結果が第3温度以下であれば(S26のY)、発光素子26を点灯させ(S18)、発光素子26の点灯時に生じる熱を用いて被処理水を加熱する。制御装置16は、温度の検出結果が第2温度を超える場合(S22のN)または温度の検出結果が第3温度を超える場合(S26のN)、発光素子26を消灯させる(S28)。
【0030】
本実施の形態によれば、流水殺菌装置10の非稼働状態において発光素子26を点灯させることにより、発光素子26の点灯時に生じる熱を利用して筐体12の内部の被処理水を加熱することができ、被処理水の凍結を防止できる。筐体12の内部に配置される光源ユニット14を発熱源として利用することにより、追加のヒータなどを用いることなく、筐体12の内部の被処理水を効果的に加熱できる。
【0031】
本実施の形態によれば、発光素子26の点灯時に生じる熱を伝える伝熱部材34を設けることにより、稼働状態における発光素子26を被処理水の流れで冷却するとともに、非稼働状態における被処理水を発光素子26の駆動熱で加熱することができる。これにより、稼働状態における発光素子26の温度上昇を効果的に抑制しつつ、非稼働状態における被処理水の凍結を効果的に抑制できる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る流水殺菌装置10Aの構成を概略的に示す図である。流水殺菌装置10Aは、筐体12の内部に配置される仕切部材50をさらに備える点で、上述の第1の実施の形態と相違する。以下、第2の実施の形態について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜説明を省略する。
【0033】
流水殺菌装置10Aは、筐体12と、光源ユニット14と、制御装置16と、仕切部材50とを備える。流水殺菌装置10Aは、フローセンサ40をさらに備えることができる。筐体12、光源ユニット14、制御装置16およびフローセンサ40は、第1の実施の形態と同様に構成されることができる。
【0034】
仕切部材50は、光源ユニット14と流出口24の間に配置される。仕切部材50は、光源ユニット14または窓部材32と対向する開口端52を有する。仕切部材50は、開口端52から流出口24に向けて延在して処理流路18Aを画定する。光源ユニット14または窓部材32と開口端52との間には、被処理水が通過する隙間54が形成される。流入口22から流入する被処理水は、隙間54を通過して処理流路18Aに流入し、流出口24に向かう。
【0035】
仕切部材50は、紫外光20の反射率が高い材料から構成され、例えばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂から構成される。仕切部材50を設けることにより、処理流路18Aの内部で紫外光20を反射させ、被処理水に対する紫外光20の作用量を向上できる。仕切部材50を設けることにより、紫外光20の照射量が相対的に大きい処理流路18Aの中央部に被処理水を誘導させることができる。これにより、流水殺菌装置10の殺菌性能を向上できる。
【0036】
本実施の形態では、筐体12の内部に仕切部材50が設けられる二重構造となっているため、仕切部材50の内部に位置する被処理水を筐体12の外部から加熱することが難しい。本実施の形態によれば、仕切部材50の内部の被処理水を光源ユニット14を用いて加熱できるため、処理流路18Aにおける被処理水の凍結を効果的に防止できる。
【0037】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0038】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0039】
本発明の第1の態様は、流入口および流出口を備え、前記流入口から前記流出口に向けて流れる被処理水を収容する筐体と、前記被処理水に面する窓部材と、前記窓部材越しに前記被処理水に向けて紫外光を照射する発光素子と、前記発光素子の温度を検出する温度センサと、前記発光素子の点灯時に生じる熱を前記被処理水に伝える伝熱部材と、前記被処理水の流れがある稼働状態において、前記温度センサの検出結果が第1温度以下である場合に前記発光素子を点灯させ、前記被処理水の流れがない非稼働状態において、前記温度センサの検出結果が前記第1温度よりも低い第2温度以下である場合に前記発光素子を点灯させる制御装置と、を備える流水殺菌装置である。第1の態様によれば、非稼働状態において第2温度以下である場合に発光素子を点灯させることにより、発光素子の点灯時に生じる熱を用いて被処理水を加熱し、被処理水の凍結を防止できる。
【0040】
本発明の第2の態様は、前記制御装置は、前記非稼働状態において、前記温度センサの検出結果が前記第2温度よりも低い第3温度以下となることを契機に前記発光素子の点灯を開始させ、前記温度センサの検出結果が前記第2温度を超えることを契機に前記発光素子を消灯させる、第1の態様に記載の流水殺菌装置である。第2の態様によれば、非稼働状態において第3温度以下である場合に発光素子の点灯を開始させることにより、被処理水の凍結可能性が高い低温時に限定して発光素子を点灯させることができる。これにより、消費電力量を低減するとともに、発光素子の寿命を長くできる。また、第3温度から第2温度に向けて温度が上昇する過程にわたって発光素子を点灯させることにより、被処理水の凍結可能性が高い状況において被処理水を効率的に加熱できる。
【0041】
本発明の第3の態様は、前記制御装置は、前記非稼働状態において前記温度センサの検出結果が前記第2温度以下である場合に前記発光素子を間欠的に点灯させる、第1または第2の態様に記載の流水殺菌装置である。第3の態様によれば、非稼働状態において第2温度以下である場合に発光素子を間欠点灯させることにより、消費電力量を低減するとともに、発光素子の寿命を長くできる。
【0042】
本発明の第4の態様は、前記被処理水の流れを検出するフローセンサをさらに備える、第1から第3のいずれか一つの態様に記載の流水殺菌装置である。第4の態様によれば、フローセンサを用いることにより、稼働状態または非稼働状態のいずれであるかを適切に検出でき、非稼働状態における被処理水の凍結を適切に防止できる。
【0043】
本発明の第5の態様は、前記窓部材は、前記伝熱部材によって支持される、第1から第4のいずれか一つの態様に記載の流水殺菌装置である。第5の態様によれば、発光素子の点灯時に生じる熱を窓部材にも伝えることができるため、窓部材を介して発光素子を冷却するとともに、窓部材を介して被処理水を加熱できる。これにより、発光素子の冷却効率を向上させるとともに、被処理水の凍結をより効果的に防止できる。特に、窓部材の近傍の被処理水を加熱できるため、被処理水の凍結による窓部材の損傷を効果的に防止できる。
【0044】
本発明の第6の態様は、前記伝熱部材は、前記発光素子および前記温度センサを収容する光源室を画定し、前記筐体の内部に配置される、第1から第5のいずれか一つの態様に記載の流水殺菌装置である。第6の態様によれば、伝熱部材が筐体の内部に配置されるため、発光素子の冷却効率を向上させるとともに、被処理水の凍結をより効果的に防止できる。
【0045】
本発明の第7の態様は、前記筐体の内部に配置され、前記窓部材と対向する開口端を有し、前記開口端から前記流出口に向かう処理流路を画定する仕切部材をさらに備える、第1から第6のいずれか一つの態様に記載の流水殺菌装置である。第7の態様によれば、筐体の内部に仕切部材を設けることにより、窓部材越しに紫外光が照射される領域に被処理水を誘導することができ、被処理水に対する紫外光の作用量を向上させることができる。
【0046】
本発明の第8の態様は、流入口から流出口に向かう被処理水の流れがあるか否かを示す流れ信号を取得するステップと、前記被処理水に向けて窓部材越しに紫外光を照射する発光素子の温度を検出するステップと、前記被処理水の流れがある稼働状態において、前記温度の検出結果が第1温度以下である場合に前記発光素子を点灯させ、前記被処理水の流れがない非稼働状態において、前記温度の検出結果が前記第1温度よりも低い第2温度以下である場合に前記発光素子を点灯させるステップと、を備える流水殺菌方法である。第8の態様によれば、非稼働状態において第2温度以下である場合に発光素子を点灯させることにより、発光素子の点灯時に生じる熱を用いて被処理水を加熱し、被処理水の凍結を防止できる。
【符号の説明】
【0047】
10,10A…流水殺菌装置、12…筐体、14…光源ユニット、16…制御装置、18,18A…処理流路、20…紫外光、22…流入口、24…流出口、26…発光素子、28…温度センサ、32…窓部材、34…伝熱部材、36…開口、38…光源室、40…フローセンサ、50…仕切部材、52…開口端。