(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007013
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20250109BHJP
H01M 50/529 20210101ALI20250109BHJP
H01M 50/112 20210101ALI20250109BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/529
H01M50/112
H01M50/536
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108135
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】トヨタバッテリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】落合 勇太
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA04
5H011AA09
5H043AA03
5H043AA19
5H043BA16
5H043CA04
5H043EA35
5H043EA36
5H043EA39
5H043EA60
5H043FA12
5H043FA22
5H043FA40
5H043HA16E
5H043HA16F
5H043HA17E
5H043HA17F
5H043JA03E
5H043JA03F
5H043LA02E
(57)【要約】
【課題】電池ケースの内面側の溶着強度が高く、高い耐圧強度を有する電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池ケースと単電池と中間接続部材50とを備えた電池モジュールであって、単電池は、正極板と負極板とセパレータと正極側リード部と負極側リード部とを有する電極群と、正極側リード部及び負極側リード部に溶接接合される集電板37と、を備え、集電板37は、幅方向に沿って延び、正極側リード部及び負極側リード部が溶接される複数の溶接溝部39,40を有しており、複数の溶接溝部39,40のうち、中間接続部材50の接続箇所に対応する部分に形成された溶接溝部39は、他の溶接溝部40よりも幅方向における長さが短く、幅方向における両端が閉塞した短尺溶接溝部39であり、中間接続部材50は、集電板37における短尺溶接溝部39が形成された箇所に対応する部分の幅方向における一方の側の側面37bに溶接されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間が隔壁により離隔されて形成された複数の電槽を有する電池ケースと、
前記電槽に収容された単電池と、
隣接する前記単電池を電気的に接続する中間接続部材と、を備えた電池モジュールであって、
前記単電池は、
正極板と負極板とセパレータとが積層されてなり、当該積層方向と直交する特定方向における前記正極板の一方端部に正極側リード部を有し、前記特定方向における前記負極板の他方端部に負極側リード部を有する電極群と、
前記正極側リード部及び前記負極側リード部にそれぞれ溶接接合され、幅方向が前記積層方向と平行な集電板と、を備え、
前記中間接続部材は、前記隔壁に形成された貫通孔を介して、隣接する前記単電池の前記集電板同士を電気的に接続し、
前記集電板は、
前記幅方向に沿って延び、前記正極側リード部及び前記負極側リード部が溶接される複数の溶接溝部を有しており、
前記複数の溶接溝部のうち、前記中間接続部材の接続箇所に対応する部分に形成された前記溶接溝部は、他の前記溶接溝部よりも前記幅方向における長さが短く、前記幅方向における両端が閉塞した短尺溶接溝部であり、
前記中間接続部材は、前記集電板における前記短尺溶接溝部が形成された箇所に対応する部分の前記幅方向における一方の側の側面に溶接されている電池モジュール。
【請求項2】
前記集電板における前記短尺溶接溝部が形成された箇所よりも前記幅方向の外側に対応する部分は、前記短尺溶接溝部が形成された箇所に対応する部分よりも電極群に向けて突出した厚板部となっている請求項1に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両の電源として用いられる二次電池は、これらが複数電気的に接続され、充放電容量及び出力電力が高められた電池モジュールの形態で用いられる。一般的に、この種の二次電池は、電池要素が収容される電池ケースを備えている。例えば、特許文献1には、樹脂製の電池ケースが一体電槽を構成し、この一体電槽が隔壁に仕切られた複数の電槽内に電池要素(電極群、集電板、電解液)が収容されてなる単電池を有した電池モジュールが開示されている。
【0003】
特許文献1記載の電池モジュールにおいて、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された電極群は、正極板及び負極板が互いに反対側の側部に突出された正極板及び負極板のリード部を有している。また、集電板は、幅方向が電極群の積層方向と平行な長尺板状の部材であり、その一方側の面に、当該一方側の面の全幅に亘って延びる複数の溶接溝部が長手方向に間隔を空けて形成されている。そして、当該電池モジュールでは、溶接溝部が形成された部位において、集電板の全幅に亘って各リードの側縁部が他方側の面に溶接され、各リード部と集電板とが電気的に接続されている。
【0004】
また、この電池モジュールでは、隔壁に形成された貫通孔を介して、各単電池の集電板が上端側で電気的に接続される。また、この電池モジュールでは、単電池の集電板間の通電経路を増やして内部抵抗の低減を図るべく、集電板の上下方向(長手方向)における中央近傍において、同じく隔壁に形成された貫通孔を介して隣接する集電板が導電性を有する中間接続部材(導電性接続部材)によって電気的に接続されており、中間接続部材は各集電板の幅方向における側面に溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1記載の電池モジュールにおける集電板には、中間接続部材によって隣接する集電板と接続される箇所(接続箇所)に対応する部分には溶接溝部が形成されておらず、当該部分において、各リード部と集電板とは溶接されておらず、単に接触した状態となっている。
【0007】
ここで、各リード部と集電板との溶接個所を増やすことにより、電池抵抗の低減が図れる。そのため、上記接続箇所に対応する部分に溶接溝部を形成し、当該部分においても各リード部と集電板とを溶接接合することが好ましいが、この場合、集電板と中間接続部材との溶接不良が発生する虞がある。
【0008】
すなわち、集電板の一方側の面における上記接続箇所に対応する部分に、全幅に亘って延びる溶接溝部を形成すると、集電板の側面に溶接溝部の開口が形成されることになる。また、溶接溝部に沿って集電板の他方側の面の全幅に亘って各リードの側縁部を溶接すると、集電板の側面にバリが発生する。
【0009】
つまり、上記接続箇所に対応する部分に他の部分に形成される溶接溝部と同形状の溶接溝部を形成すると、集電板と中間接続部材との溶接箇所である集電板の側面に、溶接溝部の開口や集電板と各リード部との溶接時に発生したバリが存在した状態となる。そのため、集電板と中間接続部材との溶接時に溶接溝部の開口やバリが干渉して、溶接箇所に強度低下や穴あきなどの溶接不良が発生し、電池モジュールの性能が低下する虞がある。
【0010】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、集電板と中間接続部材との接続箇所において電極群のリード部と集電板とが溶接されて両者の導通が確保されつつ、集電板と中間接続部材との溶接箇所での溶接不良の発生が抑えられた電池モジュールの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る電池モジュールの特徴構成は、
収容空間が隔壁により離隔されて形成された複数の電槽を有する電池ケースと、
前記電槽に収容された単電池と、
隣接する前記単電池を電気的に接続する中間接続部材と、を備えた電池モジュールであって、
前記単電池は、
正極板と負極板とセパレータとが積層されてなり、当該積層方向と直交する特定方向における前記正極板の一方端部に正極側リード部を有し、前記特定方向における前記負極板の他方端部に負極側リード部を有する電極群と、
前記正極側リード部及び前記負極側リード部にそれぞれ溶接接合され、幅方向が前記積層方向と平行な集電板と、を備え、
前記中間接続部材は、前記隔壁に形成された貫通孔を介して、隣接する前記単電池の前記集電板同士を電気的に接続し、
前記集電板は、
前記幅方向に沿って延び、前記正極側リード部及び前記負極側リード部が溶接される複数の溶接溝部を有しており、
前記複数の溶接溝部のうち、前記中間接続部材の接続箇所に対応する部分に形成された前記溶接溝部は、他の前記溶接溝部よりも前記幅方向における長さが短く、前記幅方向における両端が閉塞した短尺溶接溝部であり、
前記中間接続部材は、前記集電板における前記短尺溶接溝部が形成された箇所に対応する部分の前記幅方向における一方の側の側面に溶接されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、中間接続部材の接続箇所に対応する部分に形成された短尺溶接溝部に正極側リード部及び負極側リード部が溶接されている。更に、集電板と中間接続部材との溶接箇所に溶接溝部の開口が存在しない状態となり、且つ、集電板と中間接続部材との溶接箇所におけるバリの発生が抑制される。したがって、上記特徴構成を備えた電池モジュールによれば、集電板と中間接続部材との接続箇所において電極群のリード部と集電板とが溶接されて両者の導通が確保されつつ、集電板と中間接続部材との溶接箇所における溶接不良の発生が抑えられる。
【0013】
本発明に係る電池モジュールの更なる特徴構成は、
前記集電板における前記短尺溶接溝部が形成された箇所よりも前記幅方向の外側に対応する部分は、前記短尺溶接溝部が形成された箇所に対応する部分よりも電極群に向けて突出した厚板部となっている点にある。
【0014】
短尺溶接溝部に正極側リード部や負極側リード部を溶接した際に、正極側リード部及び負極側リード部のうち、短尺溶接溝部が形成された箇所よりも幅方向の外側に位置する部分は、集電板に溶接されていない状態になる。そのため、外乱等によってリード部の一部と集電板とが非接触の状態となって導通箇所が減少し、電気抵抗が大きくなる場合がある。しかしながら、上記特徴構成によれば、正極側リード部及び負極側リード部のうち短尺溶接溝部が形成された箇所よりも幅方向の外側に位置する部分が集電板の厚板部に接触しやすくなるため、電気抵抗の増大が抑えられる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る電池モジュールによれば、集電板と中間接続部材との接続箇所において電極群のリード部と集電板とが溶接されて両者の導通が確保されつつ、集電板と中間接続部材との溶接箇所における溶接不良の発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る電池モジュールを示す分解斜視図である。
【
図2】
図1のII-II部分の断面を示す図である。
【
図3】
図1のIII-III部分の断面を示す図である。
【
図4】
図3のIV-IV部分の断面を示す図である。
【
図6】
図4のVI-VI部分の断面を示す図である。
【
図7】集電板と中間接続部材との溶接態様を示す図であり、(a)は中間接続部材の接続箇所に対応する部分に形成された溶接溝部が長尺溶接溝部である場合、(b)は中間接続部材の接続箇所に対応する部分に形成された溶接溝部が短尺溶接溝部である場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本実施形態に係る電池モジュール及び当該電池モジュールの製造方法について説明する。なお、以下においては、電池モジュールが単電池としてニッケル水素二次電池を備える態様を例にとって説明する。また、以下では、説明を明確にするために、各記載や各図面を適宜簡略化している。
【0018】
〔電池モジュール1の構成〕
図1は、本実施形態に係る電池モジュール1を示す分解斜視図である。なお、以下の説明において、電池モジュール1の高さ方向と平行な方向をZ軸方向とし、電池モジュール1の長手方向と平行な方向をX軸方向、電池モジュール1の厚さ方向と平行な方向をY軸方向とする。Z軸方向は、上下方向と平行な方向であり、X軸方向とY軸方向とは互いに直交し、水平方向と平行な方向である。
【0019】
図1に示すように、電池モジュール1は、電池要素31が収容される収容空間11を有した樹脂製の電池ケース10や、収容空間11に収容された電池要素31からなる単電池30などを備えている。
【0020】
〔電池ケース10の構成〕
図1に示すように、電池ケース10は、収容空間11と外部とを連通するように形成された開口18を上部に有する直方体形状の一体電槽12と、一体電槽12の開口18を塞ぐ蓋体2とから構成されている。本実施形態において、一体電槽12及び蓋体2は、ポリプロピレンなどの溶着可能な熱可塑性樹脂で構成されている。
【0021】
一体電槽12は、長手方向(X軸方向)に沿って対向して設けられ、面積の最も広い外壁面を有する一対の側壁13と、この側壁13の長手方向(X軸方向)における端部を連結する一対の端側壁14と、底を塞ぐ底部15とから構成され、これらが一体に樹脂成形される。本実施形態において、収容空間11は、蓋体2、側壁13、端側壁14及び底部15によって囲われて形成された空間であり、収容空間11が5枚の隔壁16により等分に隔離され、X軸方向に沿って6個の電槽17、すなわち、複数の電槽17が形成されている。
【0022】
各側壁13の外壁面には、隣接する電池モジュール1との位置合わせに用いられる複数の位置調整部19と、側壁13の厚さ方向(Y軸方向)に突出するように形成され、隣接する電池モジュール1との間で冷却通路を形成する通路形成用突起20とが設けられている。なお、本実施形態では、2個一組の位置調整部19が3組設けられている。
【0023】
各側壁13には、側蓋22によって封止された開口窓21が隔壁16を跨ぐように形成されている。本実施形態において、開口窓21は、一対の側壁13の一方に3つ、他方に2つ形成されている。つまり、本実施形態においては、電池ケース10全体として5つの開口窓21が形成されている。
【0024】
各端側壁14の上端側には、厚さ方向(X軸方向)に貫通した端子取付部(図示せず)が形成されており、当該端子取付部には、単電池30の出力を外部に取り出すための接続端子23が取り付けられている。
【0025】
蓋体2は、長手方向(X軸方向)の長さが一体電槽12の側壁13の長辺と略同じ長さに形成され、短手方向(Y軸方向)の長さが一体電槽12の端側壁14の短辺と略同じ長さに形成されている。蓋体2は、下面周縁部が一体電槽12の開口18の縁部に溶着されることで、一体電槽12の開口18を気密状に塞いでいる。
【0026】
また、本実施形態において、蓋体2は、厚さ方向に貫通した孔として形成され、熱電対などの温度センサが挿入される測定部6と、電池ケース10の内圧が閾値以上になった際に開弁して内圧を開放するための排出弁7とを備えている。
【0027】
〔単電池30の構成〕
次に、単電池30の構成について、
図2~
図6を参照して説明する。
図2は、
図1のII-II部分を示す断面図である。
図3は、
図1のIII-III部分を示す断面図であるが、電池要素31の詳細な構成については図示を省略した。
図4は、
図3のIV-IV部分を示す断面図である。
図5は、
図4のV-V部分を示す断面図である。
図6は、
図4のVI-VI部分の断面図である。
【0028】
図2に示すように、本実施形態において、単電池30は、各電槽17に収容された電池要素31で構成されるニッケル水素二次電池である。電池要素31とは、電極群32、集電板37,45、導電板46、電解液(図示せず)などである。電極群32は、複数の正極板33と負極板34とセパレータ35とが積層されて構成されている。具体的には、
図5及び
図6に示すように、電極群32は、Y軸方向に沿って正極板33と負極板34とがセパレータ35を介して積層されて構成されている。複数の正極板33は、積層方向と直交するX軸方向における一方側の端部(一方端部)に正極側リード部33aを有している。また、複数の負極板34は、X軸方向における他方側の端部(他方端部)に負極側リード部34aを有している。詳細については後述するが、正極側リード部33a及び負極側リード部34aには集電板37,45が溶接接合される。なお、本実施形態において、X軸方向が「特定方向」に相当する。
【0029】
本実施形態において、集電板37,45には、形状の異なる2種類の集電板(第1集電板37及び第2集電板45)が用いられている。第1集電板37は、単電池30の間においてリード部33a,34aに接続され、第2集電板45は、X軸方向における両端の電槽17に収容された電池要素31からなる単電池30のリード部33a,34aと後述する導電板46とに接続される。なお、本実施形態において、第1集電板37が「集電板」に相当する。
【0030】
第1集電板37は、帯状で長尺の折板である。本実施形態において、第1集電板37は、幅方向端部がリード部33a,34aと対向する側に向けて折り曲げれて形成された収容凹部38を有しており、当該収容凹部38内にリード部33a,34aの側縁部が収容される。また、第1集電板37は、リード部33a,34aと対向する側とは反対側の第1面37aに開口し、幅方向(Y軸方向)に沿って延びる複数の溶接溝部39,40を有している。
【0031】
図4に示すように、本実施形態の第1集電板37には、1つの短尺溶接溝部39及び4つの長尺溶接溝部40が第1集電板37の長手方向(Z軸方向)において間隔を空けて形成されている。短尺溶接溝部39は、後述する中間接続部材50が接続される箇所に対応する部分(
図4におけるA部)に形成されており、長尺溶接溝部40は、短尺溶接溝部39よりも上側に3つ、下側に1つ形成されている。
【0032】
長尺溶接溝部40は、第1集電板37の全幅に亘って形成された溝であり、第1集電板37の側面37b,37cには、長尺溶接溝部40の開口が形成されている。
【0033】
一方、短尺溶接溝部39は、長尺溶接溝部40よりも幅方向における長さが短い溝であり、第1集電板37の側面37b,37cには、短尺溶接溝部39の開口が形成されていない。つまり、短尺溶接溝部39は、幅方向における両端が閉塞した溝である。具体的に、本実施形態の短尺溶接溝部39は、その長さが収容凹部38のY軸方向における幅より短くなっている。
【0034】
また、第1集電板37は、上端側にリード部33a,34aとは反対側に向けて突出した接続部42を有している。接続部42の周囲には、リード部33a,34aの側に向けて突出した環状のリング収容部43が形成されており、リング収容部43におけるリード部33a,34aと反対側には、Oリング44が収容される環状空間が形成されている。
【0035】
本実施形態では、各第1集電板37の環状空間に収容されたOリング44が隔壁16の貫通孔16aの周囲に押し付けられることで、その押圧力によって各電槽17と貫通孔16aとが気密状に遮断された状態となる。そして、この状態で第1集電板37同士が隔壁16に設けられた貫通孔16aを介してスポット溶接により接合される。また、詳細については後述するが、本実施形態では、隔壁16の貫通孔16bに配置された中間接続部材50を介して、隣接する第1集電板37同士が電気的に接続される。したがって、本実施形態においては、隣接する単電池30が電気的に直列に接続されている。
【0036】
第2集電板45は、帯状で長尺の折板である。本実施形態において、第2集電板45は、第1集電板37と同様に、幅方向端部がリード部33a,34aと対向する側に向けて折り曲げられて形成された凹部(図示せず)を有しており、当該凹部内にリード部33a,34aの側縁部が収容される。また、詳細な説明については省略するが、第2集電板45にもリード部33a,34aと対向する側とは反対側の面の開口した複数の溶接溝部が形成されている。
【0037】
導電板46は、一体電槽12の端側壁14と対向する位置に配置され、接続端子23に電気的に接続される。詳細な説明については省略するが、本実施形態の導電板46は、一体電槽12の各端側壁14と、各端側壁14と対向する位置に配置される第2集電板45との間に配置され、接続端子23及び第2集電板45に電気的に接続されている。
【0038】
〔第1集電板37と各リード部33a,34aとの溶接態様〕
次に、第1集電板37と各リード部33a,34aとの溶接態様について説明する。第1集電板37と各リード部33a,34aとは、第1集電板37の長尺溶接溝部40及び短尺溶接溝部39において溶接されている。なお、以下においては、第1集電板37と正極側リード部33aとの溶接態様について、
図4~
図6を参照して説明し、第1集電板37と負極側リード部34aとの溶接態様については溶接される対象となるリード部が負極側リード部34aである点を除き同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0039】
図4及び
図5に示すように、本実施形態の長尺溶接溝部40においては、第1集電板37の収容凹部38内に収容された正極側リード部33aの側縁部が第1集電板37の収容凹部38の底面38aに接触した状態で、長尺溶接溝部40の底部が溶融され、正極側リード部33aが収容凹部38の全幅に亘って溶接される(
図5中の符号M1は第1集電板37と正極側リード部33aとの溶接部である)。そのため、長尺溶接溝部40が形成された箇所に対応する第1集電板37の両側面37b,37cには、溶接に伴うバリが発生している。
【0040】
一方、短尺溶接溝部39においても、
図4及び
図6に示すように、第1集電板37の収容凹部38内に収容された正極側リード部33aの側縁部が、第1集電板37の収容凹部38の底面38aに接触した状態で、短尺溶接溝部39の底部が溶融され、正極側リード部33aが収容凹部38に溶接される(
図6中の符号M2は第1集電板37と正極側リード部33aとの溶接部である)。
【0041】
ここで、短尺溶接溝部39はその長さが収容凹部38のY軸方向における幅より短くなっている。そのため、短尺溶接溝部39が形成された箇所に対応する第1集電板37の両側面37b,37cには、溶接に伴うバリが発生しない。
【0042】
一方で、
図6に示すように、第1集電板37における収容凹部38の底面38aのうち、第1面37aに短尺溶接溝部39が形成されていない箇所に対応する面には、正極側リード部33aの側縁部が溶接されない。そのため、外乱等によって正極側リード部33aの一部と第1集電板37とが非接触の状態となって導通箇所が減少し、電気抵抗が増加する場合がある。
【0043】
そこで、本実施形態において、第1集電板37のうち、短尺溶接溝部39が形成されていない箇所に対応する部分が他の部分よりも板厚が厚い厚板部41となっており、第1集電板37における収容凹部38の底面38aのうち、当該厚板部41に対応する部分は、短尺溶接溝部39の長手方向(Y軸方向)における中央側に向けて傾斜した傾斜面41aとなっている。より具体的に、本実施形態においては、短尺溶接溝部39の長手方向(Y軸方向)における中央側に向けて徐々に面間距離が短くなるテーパ状の傾斜面41aとなっている。つまり、電池モジュール1は、第1集電板37における短尺溶接溝部39が形成された箇所よりも幅方向(Y軸方向)の外側に対応する部分が、短尺溶接溝部39が形成された箇所に対応する部分よりも電極群32に向けて突出した厚板部41となっている。
【0044】
したがって、本実施形態では、収容凹部38の傾斜面41aに、溶接接合されていない正極側リード部33aの側縁部が接触しやすくなるため、正極側リード部33aと第1集電板37との導通箇所が確保されやすくなり、電気抵抗の増大を抑えられる。
【0045】
〔中間接続部材50を用いた隣接する第1集電板37同士の接続態様〕
次に、隣接する第1集電板37を中間接続部材50によって接続する態様について説明する。
【0046】
図2及び
図3に示すように、中間接続部材50は、電池ケース10の隔壁16を挟んで隣接する第1集電板37のそれぞれに電気的に接続された導電性を有する部材である。つまり、隣接する第1集電板37は、2つの中間接続部材50によって電気的に接続されている。本実施形態において、中間接続部材50は、Z軸方向視略L字状の部材であり、Y軸方向における中間位置に隣接する中間接続部材50と接続される接続部51aを有した基部51と、当該基部51のY軸方向における端部からX軸方向に延設されたフランジ部52とを有している。
【0047】
本実施形態において、中間接続部材50は、基部51が隔壁16と第1集電板37との間に位置し、隔壁16の貫通孔16b内に接続部51aが位置するように配置される。隣接する中間接続部材50は、貫通孔16b内において接続部51aが電気的に接続される。また、各中間接続部材50は、フランジ部52が各第1集電板37における電池ケース10の開口窓21に面する側の側面37bに溶接される。つまり、中間接続部材50は、第1集電板37における短尺溶接溝部39が形成された箇所に対応する部分(
図4のA部)の幅方向(Y軸方向)における一方の側の側面37bに溶接されている。なお、各電槽17は、隔壁16と中間接続部材50との間に設けられたOリング55によって水密に電解液が隔離される。
【0048】
図7は、第1集電板37と中間接続部材50との溶接態様を説明するための図であり、第1集電板37と中間接続部材50の接続箇所(
図2におけるB部)を示す図である。なお、
図7(a)は中間接続部材50の接続箇所に対応する部分に形成された溶接溝部が長尺溶接溝部である場合、
図7(b)は中間接続部材50の接続箇所に対応する部分に形成された溶接溝部が短尺溶接溝部39である場合を示す図である。
【0049】
ここで、仮に第1集電板37における中間接続部材50が接続される箇所に対応する第1面37aに長尺溶接溝部40が形成されている場合、
図7(a)に示すように、中間接続部材50のフランジ部52と第1集電板37の側面37bとの溶接部M3に長尺溶接溝部40の開口が存在し、また、上述したように、側面37bに溶接時に生じたバリが存在することになる。この場合、長尺溶接溝部40の開口やバリが干渉して、溶接部M3に強度低下や穴あきなどの溶接不良が発生する可能性がある。
【0050】
本実施形態においては、
図7(b)に示すように、第1集電板37における中間接続部材50が接続される箇所に対応する第1面37aに短尺溶接溝部39が形成されている。このため、中間接続部材50のフランジ部52と第1集電板37の側面37bには、短尺溶接溝部39の開口が存在せず、且つ、溶接に伴うバリの発生もない。したがって、溶接部M3に溶接不良の発生が抑えられる。
【0051】
以上のように、本実施形態に係る電池モジュール1においては、第1集電板37と中間接続部材50との接続箇所において、電極群32のリード部33a,34aと第1集電板37とが溶接されて両者の導通が確保されつつ、第1集電板37と中間接続部材50との溶接箇所での溶接不良の発生が抑えられる。
【0052】
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態では、第1集電板37に1つの短尺溶接溝部39及び4つの長尺溶接溝部40が形成された態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。中間接続部材50が接続される箇所に対応する部分に形成された溶接溝部が短尺溶接溝部であれば、溶接溝部の数や内訳は特に限定されるものではなく、短尺溶接溝部及び長尺溶接溝部が計6つ以上形成された態様であってもよいし、全ての溶接溝部が短尺溶接溝部である態様であってもよい。
【0053】
〔2〕上記実施形態では、第1集電板37に厚板部41を形成する態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。リード部33a,34aと第1集電板37との導通箇所を確保するという観点からすれば、厚板部41を形成することが好ましいが、厚板部41を形成していない態様であってもよい。
【0054】
〔3〕上記実施形態では、第1集電板37における収容凹部38の底面38aのうち、当該厚板部41に対応する部分は、短尺溶接溝部39の長手方向(Y軸方向)における中央側に向けて徐々に面間距離が短くなるテーパ状の傾斜面41aとなっている態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。例えば、第1集電板37における収容凹部38の底面38aのうち、当該厚板部41に対応する部分は、短尺溶接溝部39の長手方向(Y軸方向)における中央側に向けて段階的に電極群32に向けた突出量が小さくなるような面であってもよく、正極側リード部33aが第1集電板37に接触しやすくなるような形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0055】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 :電池モジュール
10 :電池ケース
11 :収容空間
12 :一体電槽(ケース本体)
16 :隔壁
16b :貫通孔
17 :電槽
30 :単電池
32 :電極群
33 :正極板
33a :正極側リード部
34 :負極板
34a :負極側リード部
35 :セパレータ
37 :第1集電板(集電板)
37b :側面
39 :短尺溶接溝部(溶接溝部)
40 :長尺溶接溝部(溶接溝部)
41 :厚板部