(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025070137
(43)【公開日】2025-05-02
(54)【発明の名称】電動二輪車
(51)【国際特許分類】
B62J 43/28 20200101AFI20250424BHJP
B62M 6/40 20100101ALI20250424BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20250424BHJP
B62M 7/00 20100101ALI20250424BHJP
【FI】
B62J43/28
B62M6/40
B62M6/90
B62M7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180232
(22)【出願日】2023-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】川上 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小切間 仁人
(57)【要約】
【課題】シートフレームの曲げ剛性の向上が可能な電動二輪車の提供を目的とする。
【解決手段】電動二輪車は、車体フレームを備える。車体フレームは、ハンドルを支持するためのハンドル支持部分と、前記ハンドル支持部分の後方に配置され、シートを支持するためのシート支持部分と、前記ハンドル支持部分から前記シート支持部分まで下方に傾斜しつつ後方に延びるとともにバッテリーを収容可能な空間部とを有する中空のメインフレームと、上下方向に延びて、上部においてシートを支持し、下部において前記メインフレームの前記シート支持部分に接続されている、シートフレームと、前後方向に延びて、後部が前記シートフレームに接続され、前部が前記メインフレームのうちで前記ハンドル支持部分よりも後方の部分に接続されている、ブリッジフレームとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前輪および後輪と、
前輪の上方に配置されるハンドルと、
乗員が座るシートと、
バッテリーと、
前記バッテリーと電気的に接続され、前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも1つを回転駆動するモータと
を備え、
前記車体フレームは、
ハンドルを支持するためのハンドル支持部分と、前記ハンドル支持部分の後方に配置され、シートを支持するためのシート支持部分と、前記ハンドル支持部分から前記シート支持部分まで下方に傾斜しつつ後方に延びるとともに前記バッテリーを収容可能な空間部とを有する中空のメインフレームと、
上下方向に延びて、上部において前記シートを支持し、下部において前記メインフレームの前記シート支持部分に接続されている、シートフレームと、
前後方向に延びて、後部が前記シートフレームに接続され、前部が前記メインフレームのうちで前記ハンドル支持部分よりも後方の部分に接続されている、ブリッジフレームと
を備える、電動二輪車。
【請求項2】
請求項1記載の電動二輪車において、
前記シートは、上下方向に延びるシートポストと、当該シートポストの上端部に固定され、乗員の臀部を支持するサドルとを備え、
前記シートポストは、少なくとも下端部が前記シートフレームに挿入されることにより、前記シートポストと前記シートフレームとの重なり部分を形成し、
前記ブリッジフレームは、前記シートフレームにおける前記重なり部分の範囲に接続されている、電動二輪車。
【請求項3】
請求項2記載の電動二輪車において、
前記車体フレームは、
前記後輪を回転可能に支持する後輪支持部と、
前後方向に延びて、後部が前記後輪支持部に接続されて、前部が前記シートフレームに接続されるシートステーと
をさらに備え、
前記シートステーは、前記シートフレームにおける前記重なり部分の範囲に接続されている、電動二輪車。
【請求項4】
請求項3記載の電動二輪車において、
前記ブリッジフレームと前記シートフレームとの接続位置は、前記シートステーと前記シートフレームとの接続位置よりも上方に配置されている、電動二輪車。
【請求項5】
請求項2記載の電動二輪車において、
前記シートフレームは、前記メインフレームの上面に形成された開口を通して前記空間部に連通している、電動二輪車。
【請求項6】
請求項1または2に記載の電動二輪車において、
前記バッテリーの重心位置は、前記メインフレームのうちで、ブリッジフレームとの接続部分よりも下方に位置している、電動二輪車。
【請求項7】
請求項1または2に記載の電動二輪車において、
前記メインフレームに固定されて左右方向に延び、乗員の足を載置することが可能な載置面をそれぞれ有する一対のステップをさらに備える、電動二輪車。
【請求項8】
請求項1または2に記載の電動二輪車において、
前記ブリッジフレームの前端部は、当該メインフレームの上面に接続され、
前記メインフレームの前記空間部は、ブリッジフレームとの接続部分に対して上下方向にわたって形成されている、電動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動二輪車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの駆動力で走行する電動二輪車が種々提案されている。
【0003】
特許文献1に記載されている電動二輪車は、車体フレームと、車体に回転自在に支持された前輪および後輪と、ハンドルと、乗員が座るシートと、車体フレームに収容されたバッテリーと、バッテリーと電気的に接続されて後輪を回転駆動するモータとを備える。
【0004】
車体フレームは、車体フレームの本体部分である中空のメインフレームと、シートを支持するシートフレームとを備える。
【0005】
中空のメインフレームは、車両後方へ向かうにしたがって下降する方向に延びる中空の筒状体である。メインフレームは、その前部においてハンドルを支持するハンドル支持部分を有し、後部において、シートを支持するシート支持部分を有する。さらに、メインフレームは、ハンドル支持部分からシート支持部分まで下方に傾斜しつつ後方に延びるとともにバッテリーを収容可能な空間部を有する。
【0006】
シートフレームは、上下方向に延びて、上部においてシートを支持し、下部においてメインフレームの後部のシート支持部分に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2023/0062620号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の構造では、シートフレームは、メインフレームの後部のシート支持部分のみに接続された状態で、直立またはそれに近い状態で単独で立設されている。そのため、電動二輪者の走行時にはシートフレームの上部から乗員の体重が下方に作用している状態で、主に前後方向にシートフレームに曲げ荷重が作用する。そのため、シートフレームは走行時に作用する曲げ荷重により変形や劣化のおそれが懸念され、シートフレームの曲げ剛性の向上が課題になっている。
【0009】
本開示は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、シートフレームの曲げ剛性の向上が可能な電動二輪車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一局面に係る電動二輪車は、車体フレームと、前輪および後輪と、前輪の上方に配置されるハンドルと、乗員が座るシートと、バッテリーと、前記バッテリーと電気的に接続され、前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも1つを回転駆動するモータと
を備え、前記車体フレームは、ハンドルを支持するためのハンドル支持部分と、前記ハンドル支持部分の後方に配置され、シートを支持するためのシート支持部分と、前記ハンドル支持部分から前記シート支持部分まで下方に傾斜しつつ後方に延びるとともに前記バッテリーを収容可能な空間部とを有する中空のメインフレームと、上下方向に延びて、上部において前記シートを支持し、下部において前記メインフレームの前記シート支持部分に接続されている、シートフレームと、前後方向に延びて、後部が前記シートフレームに接続され、前部が前記メインフレームのうちで前記ハンドル支持部分よりも後方の部分に接続されている、ブリッジフレームとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の電動二輪車によれば、シートフレームの曲げ剛性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態に係る電動二輪車の全体構成を示す右側面図である。
【
図3】
図1のメインフレームおよびシートフレームを上下方向に切断した一部切欠き断面図である。
【
図4】
図3のメインフレームの内部および周辺部を示す拡大断面図である。
【
図5】
図1のブリッジフレームの前部がメインフレームの上面に接合されている部分を示す拡大斜視図である。
【
図6】
図1のメインフレーム、シートフレーム、およびブリッジフレームによって構成されたトラス構造、およびメインフレームの内部および周辺部を示す斜視説明図である。
【
図7】
図3のメインフレームおよびその周辺部をカバーを取り外した状態で右下方から見た拡大斜視図である。
【
図8】
図7のコントローラがメインフレームの下面側にコントローラブラケットを介して保持された構造を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態に係る電動二輪車について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
なお、
図1~10では、電動二輪車100の前後方向を矢印X(前方X1、後方X2)、左右方向を矢印Y(右方向Y1、左方向Y2)、上下方向を矢印Z(上方Z1、下方Z2)で表す。
【0015】
図1~6に示されるように、本実施形態の電動二輪車100、いわゆる電動バイクは、車体フレーム1と、前輪2および後輪3と、ハンドル5と、乗員が座るシート6と、一対のステップ4と、バッテリー74と、モータ72と、コントローラ76とを備える。前輪2および後輪3は、車体フレーム1に回転自在に支持されている。ハンドル5は、前輪2の上方Z1に配置される。一対のステップ4は、乗員の足を乗せる部分である。モータ72は、バッテリー74と電気的に接続され、後輪3を回転駆動する。コントローラ76は、モータ72を制御する。
【0016】
車体フレーム1は、本体部分である中空のメインフレーム11と、シート6を支持するシートチューブ14(シートフレーム)と、ブリッジチューブ13(ブリッジフレーム)と、後輪3を支持するリアチューブ12と、ヘッドチューブ15と、フロントフォーク16とを有する。ブリッジチューブ13は、前後方向Xに延び、シートチューブ14とメインフレーム11とを橋渡しする。
【0017】
車体フレーム1は、ほぼ全体がアルミニウムまたはアルミ合金などの軽量かつ乗員の体重を支えるのに十分な剛性を有する金属材料や樹脂材料で構成されている。
【0018】
中空のメインフレーム11は、車両後方X2へ向かうにしたがって下降する方向に延びる中空の部材である。メインフレーム11は、その前部においてハンドル5を支持するためのハンドル支持部分11aを有し、その後部において、シート6を支持するためのシート支持部分11bを有する。さらに、メインフレーム11は、ハンドル支持部分11aからシート支持部分11bまで下方Z2に傾斜しつつ後方X2に延びる空間部11cを有する。空間部11cは、
図1~2の中心軸C1に沿って延びており、長尺の直方体のバッテリー74を収容可能である。また、メインフレーム11は、平坦な上面11dを有している。上面11dのうちメインフレーム11の後部を構成するシート支持部分11bの範囲には、シートチューブ14が貫通する開口11eが形成されている。
【0019】
メインフレーム11は、具体的には、
図7~9に示される下面に開口11fが形成された略断面U字状の長尺の中空体である。メインフレーム11は、
図9に示されるように、
天板111と、左右一対の側壁112、113と、左右一対の下側フランジ114、115とを有する。天板111は、上記の平坦な上面11dを有する平板状の部分である。
左右一対の側壁112、113は、天板111の左右両側(左右方向Yの両側)の縁から下方Z2に延びる。左右一対の下側フランジ114、115は、一対の側壁112、113の下端部のそれぞれからメインフレーム11の左右方向Yの中央側に折り曲げられている。上記の天板111、一対の側壁112、113、および一対の下側フランジ114、115によって、メインフレーム11の中心軸C1(
図1~2参照)に沿って延びる長尺の略直方体形状の空間部11cが形成されている。なお、メインフレーム11の後端部は、
図4、
図6、および
図9に示されるように、後壁116で閉じられている。メインフレーム11の前端部は、前壁およびヘッドライトなどが配置される。
【0020】
一対の下側フランジ114、115の間には、上記の空間部11cと連通する開口11fが形成されている。バッテリー74は、この開口11fを通してメインフレーム11の空間部11cの内部に収容することが可能である。
【0021】
電動二輪車100の通常の状態では、
図1、
図3、および
図6に示されるように、開口11fは、カバー77で閉じられている。カバー77は、コントローラ76を覆った状態で、一対の下側フランジ114、115(
図8~9参照)にねじなどによって着脱自在に固定されている。
【0022】
メインフレーム11は、上記のように、上面11dが平面となる断面U字状に形成されているので、直方体状のバッテリー74を収容しやすい。また、メインフレーム11は、車体フレーム1を構成する他のフレーム(シートチューブ14、シートステー121等)に比べて大きい断面形状を有するU字状断面の部材であるので、他のフレームよりも大型でかつ剛性が高い。このため、メインフレーム11に連結されたブリッジチューブ13およびシートチューブ14の変形を抑えることが可能である。
【0023】
シートチューブ14は、
図1~4および
図6に示されるように、上下方向Zに延びる筒状体である。シートチューブ14は、上部においてシート6(具体的には後述のシートポスト61)を支持し、下端部14a(下部)においてメインフレーム11のシート支持部分11bに接続されている。
【0024】
シートチューブ14は、メインフレーム11の上面11dに形成された開口11eを通して空間部11cに連通している。具体的には、シートチューブ14の下端部14aは、
図3~4および
図6に示されるように、メインフレーム11の開口11eを通して上面11dを貫通してメインフレーム11の空間部11cの内部に突出している。メインフレーム11の開口11eの周縁部は、全周にわたって、シートチューブ14の下端部14aの外周面に溶接されている。
【0025】
シートチューブ14は、メインフレーム11の上面11dに形成された開口11eを通して空間部11cに連通している。そのため、シートポスト61は、その下端部61aがメインフレーム11の空間部11cに挿入される位置まで、シートチューブを貫通して下降することが可能であるので、シートポスト61の上下移動量を大きく確保できる。
【0026】
シートチューブ14の上端14bは、後輪3の上端よりも下方Z2に位置している。
【0027】
ブリッジチューブ13(ブリッジフレーム)は、
図1~6に示されるように、前後方向Xに延びる筒状体である。ブリッジチューブ13の後端部13b(後部)は、シートチューブ14に接続されている。後端部13bは、シートチューブ14の外周側の前面に突き合わされた状態で当該後端部13bの全周にわたって溶接される。
【0028】
ブリッジチューブ13の前端部13a(前部)は、メインフレーム11のうちでハンドル支持部分11aよりも後方X2の部分に接続されている。また、ブリッジチューブ13とメインフレーム11との接続位置は、後輪3の上端よりも上方Z1に位置している。 ブリッジチューブ13の前端部13aは、メインフレーム11に接続されている。前端部13aは、当該メインフレーム11の平坦な上面11dに突き合わされた状態で全周にわたって溶接される。
【0029】
上記の構成では、車体フレーム1が上記のブリッジチューブ13を備えることにより、シートチューブ14の曲げ剛性の向上を可能にする。具体的には、シート6を支持するシートチューブ14は、その下部がメインフレーム11の後部にあるハンドル支持部分11aに接続されて上下方向Zに延びるとともに、前後方向Xに延びるブリッジチューブ13を介してメインフレーム11に接続されている。この構造では、メインフレーム11、シートチューブ14、およびブリッジチューブ13は、互いに接続されることにより、電動二輪車100の左右方向Yから視て三角形を形成し、いわゆるトラス構造を構成する。この構造では、シートチューブ14は、トップフレームによって補強され、とくに電動二輪車100の前後方向Xにおける曲げ剛性を向上することができる。
【0030】
また上記の構成では、ブリッジチューブ13は、メインフレーム11におけるハンドル支持部分11aよりも後方X2の部分に接続されることで、当該ブリッジチューブ13の長尺化を防いで軽量化を図りやすい。またブリッジチューブ13は、バッテリー74を収容するメインフレーム11に接続されることで、メインフレーム11を補強することができる。これによって、電動二輪車100の転倒や衝突などが発生したとしてもバッテリー74が収容される空間の変形を抑えることができる。その結果、バッテリー74の損傷やバッテリー74着脱作業性の低下を防ぐことができる。
【0031】
上記のようにブリッジチューブ13の前端部13aは、メインフレーム11の上面11dには突き合わされているが、メインフレーム11の空間部11cには挿入されていない。そのため、メインフレーム11の空間部11cは、ブリッジチューブ13の前端部13aとの接続部分に対して上下方向Zにわたって形成されている。この構成では、ブリッジチューブ13の前端部13aは、当該メインフレーム11の上面11dに接続されているので、メインフレーム11の空間部11cにまで入り込まない。そのため、メインフレーム11の空間部11cとブリッジチューブ13との干渉を防いで、空間部11cの大型化を図ることができる。その結果、大型のバッテリー74を使用することが可能になる。
【0032】
上記のように、ブリッジチューブ13の前端部13aとメインフレーム11の上面11dとの接合面は、メインフレーム11の平坦な上面11dによって平面に形成されている。そのため、ブリッジチューブ13の前端の溶接時にブリッジチューブ13をメインフレーム11に突き合わせた状態で、ブリッジチューブ13がメインフレーム11から落下することを防ぐことができるので、接続作業を行いやすい。すなわち溶接しやすい。
【0033】
また、ブリッジチューブ13とメインフレーム11との接合面が平面によって形成されているので、接合面が曲面によって形成された場合に比べて、ブリッジチューブ13とメインフレーム11との突合せ状態での隙間が生じにくい。
【0034】
リアチューブ12は、
図1および
図4に示されるように、車体フレーム1のうち後輪3を回転自在に支持する構成を有している。具体的には、リアチューブ12は、左右一対の後輪支持部123と、左右一対のシートステー121と、左右一対のロアステー122とを有する。左右一対の後輪支持部123は、後輪3を回転可能に支持する。左右一対のシートステー121は、一対の後輪支持部123とシートチューブ14との間で前後方向Xに延びる。左右一対のロアステー122は、
図4および
図6に示されるように、一対のシートステー121の下方において一対の後輪支持部123とメインフレーム11の後壁116との間で前後方向Xに延びる。
【0035】
また、
図6~7に示されるように、左右一対のシートステー121の前端部121aは、シートチューブ14の外周面に溶接などによって接続される。上下一対のブラケット124は、一対のシートステー121の前端部121aを挟んだ状態で、一対のシートステー121およびシートチューブ14に溶接などによって接続されている。上下一対のブラケット124により、シートチューブ14の変形だけでなく一対のシートステー121の変形も抑制することが可能である。
【0036】
シート6は、
図1~4および
図6~7に示されるように、上下方向Zに延びるシートポスト61と、当該シートポスト61の上端部に固定され、乗員の臀部を支持するサドル62と、クランプ63とを備える。
【0037】
図4に示されるように、シートポスト61は、少なくとも下端部61aがシートチューブ14の上部に挿入されている。シートポスト61は、サドル62が乗員にとって着座しやすい高さ位置で、クランプ63がシートチューブ14の上部を外部から締め付けることによって固定される。シートチューブ14の上部には、スリットが形成されているが望ましい。前記スリットの存在により、クランプ63によってシートチューブ14の外方から締め付けられた時に、シートチューブ14の開口径を減少しやすくなる。
【0038】
上記のようにシートポスト61がシートチューブ14に挿入されることにより、シートポスト61とシートチューブ14との重なり部分S(
図3~4、
図7参照)を形成する。ブリッジチューブ13の後端部13bは、シートチューブ14の外周面のシートチューブ14における重なり部分Sの範囲に接続されている。また、シートステー121は、その前端において、シートチューブ14における重なり部分Sの範囲に接続されている。上記の構成では、ブリッジチューブ13がシートチューブ14における重なり部分Sの範囲に接続されていることにより、シートポスト61からの荷重をブリッジチューブ13に伝達しやすく、シートチューブ14の変形を防ぐことができる。
【0039】
シートチューブ14の後方側では、シートステー121は、シートチューブ14における重なり部分Sの範囲に接続されている。これにより、シートポスト61からの荷重をブリッジチューブ13とシートチューブ14との両方に伝達しやすく、シートチューブ14の変形をさらに防ぐことができる。
【0040】
ブリッジチューブ13とシートチューブ14との接続位置(すなわち、ブリッジチューブ13の後端の位置)は、シートステー121とシートチューブ14との接続位置(すなわち、シートステー121の前端の位置)よりも上方Z1に配置されている。この構成では、シートチューブ14は、その上端部に近い部分でブリッジチューブ13と接続されている。したがってブリッジチューブ13がシートチューブ14の上端部から離れた部分で接続される場合に比べて、シートチューブ14の上端部が前方に向かう変形を防ぎやすくすることができる。
【0041】
ブリッジチューブ13は、前方X1に進むにつれて上方Z1に向かうように傾斜している。ブリッジチューブ13は、シートステー121とほぼ平行に延びている。しかも、ブリッジチューブ13は、メインフレーム11の長手方向(中心軸C1に沿った方向)の略中間位置に接続されている。
【0042】
図1および
図3に示されるように、ヘッドチューブ15は、メインフレーム11の前部のハンドル支持部分11aにおいて上下方向に延びる略円筒状のパイプ材である。ヘッドチューブ15の上下方向Zの中間部分は、メインフレーム11の内側に挿入されている。ヘッドチューブ15の中間部分は、メインフレーム11のハンドル支持部分11aに溶接等により接合されている。
【0043】
図1~2に示されるように、フロントフォーク16は、ステアリングコラム161と、左右一対のレッグ部162とを備える。ステアリングコラム161は、上下方向Zに延びる略円筒状のパイプ材である。ステアリングコラム161の中間部は、ヘッドチューブ15の内側に挿入された状態で、当該ヘッドチューブ15に固定されている。また、ステアリングコラム161は、ヘッドチューブ15の内側に当該ヘッドチューブ15と同軸に挿入されている。ステアリングコラム161は、ヘッドチューブ15の中心軸回りに回転可能である。一対のレッグ部162は、ステアリングコラム161の下端部から左右に分岐しつつ下方に延びるパイプ材である。前輪2は、その車軸21の両端部がレッグ部162の下端部に締結されることにより、フロントフォーク16に固定されている。
【0044】
バッテリー74は、略直方体形状を有し、メインフレーム11の空間部11cに収容される。バッテリー74は、
図7~9に示されるメインフレーム11の下側の開口11fから空間部11cに挿入される。バッテリー74は、
図6~10に示されるように、当該空間部11cの内周面に4つのブラケット81~84を介してねじ止めなどによって固定されている。
【0045】
4つのブラケット81~84は、バッテリー74の前端部の上下2か所および後端部の上下2か所を固定する。具体的には、4つのブラケット81~84は、それぞれ、バッテリー前上ブラケット81、バッテリー前下ブラケット82およびバッテリー後上ブラケット83、バッテリー後下ブラケット84と呼ばれる。
【0046】
バッテリー前上ブラケット81およびバッテリー後上ブラケット83は、それぞれ下方に延びる一対の腕部を有する逆U字状の部材である。バッテリー前上ブラケット81およびバッテリー後上ブラケット83は、メインフレーム11の空間部11cの内周面にねじ止めなどによって固定されるとともに、バッテリー74の前方上端部および後方上端部を挟持した状態で固定している。
【0047】
バッテリー前下ブラケット82は、バッテリー74の前側下部を支持するためにバッテリー74の前面下部、左右両側の側面下部、および下面前部に当接する部分を有する。バッテリー前下ブラケット82は、バッテリー74の前側下部を支持した状態でメインフレーム11の左右両側の側壁112、113および左右両側の下側フランジ114、115にねじ止めなどによって固定されている。
【0048】
バッテリー後下ブラケット84は、バッテリー74の後側下部を支持するためにバッテリー74の後面下部、左右両側の側面下部、および下面後部に当接する部分を有する。バッテリー後下ブラケット84は、バッテリー74の後側下部を支持した状態でメインフレーム11の左右両側の側壁112、113および左右両側の下側フランジ114、115にねじ止めなどによって固定されている。
【0049】
バッテリー74の重心位置G(
図4参照)は、メインフレーム11のうちで、ブリッジチューブ13の前端部13aとの接続部分よりも下方Z2に位置している。そのため、電動二輪車100を構成する部品のうち重量物であるバッテリー74がメインフレーム11内の低い位置に配置されるので、電動二輪車100の走行安定性が向上する。
【0050】
バッテリー74をメインフレーム11内に挿入するための開口11f(
図7~9参照)は、メインフレーム11とブリッジチューブ13との接続位置である上面11dを除く面として、メインフレーム11の下面側に形成されている。これにより、メインフレーム11の下面側の開口11fを通してバッテリー74をメインフレーム11に着脱する作業の時には、バッテリー74がブリッジチューブ13に接触しない。その結果、バッテリー74の着脱作業が容易である。
【0051】
なお、バッテリー74をメインフレーム11内に挿入するための開口は、メインフレーム11の上面11d以外の面であれば上記の効果を奏することが可能であるので、メインフレーム11の左右両側の側面に形成されていてもよい。
【0052】
空間部11cにおけるバッテリー74の固定位置は、シートチューブ14の下端部14aよりも前方X1に設定される。これにより、シート6を下降させて、シートポスト61下端がメインフレーム11の空間部11c内に突出した位置になっても、バッテリー74とシートポスト61の下端との干渉を防ぐことができる。
【0053】
コントローラ76は、
図1、
図3~4、
図6~9に示されるように、コントローラブラケット85を介して、メインフレーム11の一対の下側フランジ114、115取り付けられている。これにより、コントローラ76は、メインフレーム11の下側にぶら下がった状態で配置される。また、コントローラ76は、カバー77で覆われているので、カバー77の外部の異物から保護されている。
【0054】
コントローラブラケット85は、
図8~9に示されるように、コントローラ保持部85aと、バッテリー保持部85bと、左右一対の連結部85cとを有する。コントローラ保持部85aは、コントローラ76を保持する。バッテリー保持部85bは、空間部11内部に延びてバッテリー74を保持する。左右一対の連結部85cは、メインフレーム11の一対の下側フランジ114、115にねじSWなどによって着脱自在に固定されている。コントローラブラケット85は、金属や樹脂材料により一体成形されている。
【0055】
上記のコントローラブラケット85では、一対の連結部85cがメインフレーム11の下側の開口11fの左右両側の一対の下側フランジ114、115に固定されている。これにより、コントローラブラケット85は、開口11fを横断して一対の下側フランジ114、115を連結するので、下側に開口11fを有する略U字状断面のメインフレーム11の補強に寄与する。とくに、メインフレーム11の開口11fの周辺部の補強に寄与する。
【0056】
コントローラ76は、ブリッジチューブ13の前端部13aとメインフレーム11との接続位置よりも下方Z2に配置されている。しかも、コントローラ76は、シートチューブ14の下端部14aとメインフレーム11との接続位置(すなわちメインフレーム11のシート支持部分11b)よりも上方Z1に配置されている。
【0057】
一対のステップ4は、
図1~2、
図6~7に示されるように、乗員の足を載置することが可能な載置面41aをそれぞれ有する。一対のステップ4は、メインフレーム11の後部(シートチューブ14が接続されたシート支持部分11b付近)に固定されて左右方向Yに延びる。走行時に乗員の足をステップ4の載置面41aに置くことにより、楽な運転姿勢を維持することが可能である。
【0058】
一対のステップ4は、それぞれ、ステップ本体部41と、支持軸42と、側部ブラケット43と、旋回軸44とを有する。ステップ本体部41は、載置面41aを有する平板状の部分である。支持軸42は、中心軸C2(
図2参照)が左右方向Yに延びてステップ本体部41を前後方向Xに旋回自在に支持する。側部ブラケット43は、メインフレーム11の側壁に固定されている。旋回軸44の両端部は、側部ブラケット43に回転可能に支持されている。旋回軸44は、支持軸42を左右方向Yに延びた通常位置とメインフレーム11の上面11d側に折り畳んだ収納位置との間で旋回自在に支持する。
【0059】
電動二輪車100のモータ72の駆動による走行時では、支持軸42を左右方向Yに延びた通常位置にする。これにより、乗員は、ステップ本体部41の載置面41aに足を載置することが可能になり、楽な乗車姿勢を取ることが可能になる。また、支持軸42をメインフレーム11の上面11d側に折り畳んだ収納位置にすることにより、モータ72を停止した電動二輪車100を乗員が地面を足で蹴りながら走行させることも可能である。
【0060】
図3~4および
図10に示されるように、メインフレーム11の後部における一対のステップ4のそれぞれの側部ブラケット43が取り付けられた位置では、メインフレーム11を補強するための内部ブラケット45および下部ブラケット46が固定されている。内部ブラケット45は、メインフレーム11の空間部11cの内周面に当接するように配置されている。下部ブラケット46は、メインフレーム11の外周側下面に当接するように配置されている。これら内部ブラケット45および下部ブラケット46は、メインフレーム11にねじ止めなどによって固定されている。
【0061】
電動二輪車100のその他の構成は以下のとおりである。
【0062】
図1~3に示されるように、前輪2は、車軸21と、ホイール本体22と、タイヤ23とを備える。ホイール本体22は、ベアリングを介して車軸21に取り付けられている。タイヤ23は、ゴム製部品であり、ホイール本体22の外周部に取り付けられている。同様に、後輪3は、車軸31と、ホイール本体32と、タイヤ33とを備える。ホイール本体32は、ベアリングを介して車軸31に取り付けられている。タイヤ33は、ゴム製部品であり、ホイール本体32の外周部に取り付けられている。
【0063】
モータ72は、後輪3に連結されている。モータ72は、上記のようにバッテリー74からの電力の供給を受けて回転する電動モータである。本実施形態の電動二輪車100に搭載されているモータ72は、いわゆるインホイールモータであり、後輪3を直接回転させ得るように後輪3のホイール本体32の中心部であるハブに同軸に取り付けられている。モータ72は、車軸31に対し回転不能なステータと、通電されることでステータに対して回転するロータとを内蔵している。ロータの回転は、ホイール本体32と同軸の出力軸を介してホイール本体32に伝達され、これによって後輪3が回転駆動される。本実施形態の電動二輪車100では、上記のようにモータ72としてインホイールモータが用いられることにより、駆動系の簡素化及び軽量化が図られている。
【0064】
なお、モータ72は、前輪2および後輪3のうちの少なくとも1つ回転駆動すればよい。
図1のモータ72は、後輪3を回転駆動するが、前輪2を回転駆動してもよい。モータは、前輪2および後輪3の両方を回転駆動してもよい。
【0065】
ハンドル5は、ハンドルバー51と、アクセルグリップ52と、ブレーキ側グリップ53と、ブレーキレバー54と、その他の運転モード切替スイッチ等とを備える。ハンドルバー51は、左右方向に延びる棒材であり、フロントフォーク16のステアリングコラム161の上端部にステム部55を介して固定されている。ハンドルバー51が前後方向に転舵されると、フロントフォーク16が軸回りに回転して前輪2の向きが変更され、電動二輪車100の進行方向が変更される。アクセルグリップ52は、電動二輪車100を電動走行させる際に乗員が捻り操作するグリップであり、ハンドルバー51の右側部分を覆うように取り付けられている。アクセルグリップ52は、左右方向に延びる軸回りに回転可能な状態でハンドルバー51に取り付けられている。ブレーキ側グリップ53は、乗員が左手で握るグリップであり、ハンドルバー51の左側部分を覆うように取り付けられている。ブレーキレバー54は、電動二輪車100を減速させる際に乗員が握り操作するレバーである。ブレーキレバー54は、ブレーキ側グリップ53の前方において左右方向に延びる状態でハンドルバー51に取り付けられている。
【0066】
アクセルグリップ52は、ケーブルCB1(
図1、
図3~4、
図7~9参照)を介してコントローラ76に電気的に接続されている。ケーブルCB1は、ハンドル5からケーブルカバーCVを通ってカバー77内部に導かれる。コントローラ76は、ケーブルCB2を介してモータ72と電気的に接続されている。乗員がアクセルグリップ52を捻る操作を行うと、当該捻り操作の操作量等を示す信号がコントローラ76に入力される。コントローラ76は、入力された操作信号に基づく所望の回転数でモータ72が回転駆動されるように、ケーブルCB3を通したバッテリー74からモータ72への給電を制御する。ブレーキレバー54は、リアチューブ12に取り付けられたブレーキとケーブルCB4を介して機械的に接続されている。乗員がブレーキレバー54を握る操作を行うと、当該ブレーキレバー54への操作力がケーブルCB4を介してブレーキに伝達される。これにより、後輪3の回転を規制する制動力がブレーキから後輪3のホイール本体32に付与される。なお、上記の各ケーブルCB3、CB4は、
図6、
図9~10に示されるように、メインフレーム11の内側の空間部11cにおいてバッテリー74の左右両側を通るように配索されている。また、ブレーキおよびモータ72に向かって延びるケーブルCB3、CB4は、メインフレーム11の後壁116に形成された貫通孔を通じてメインフレーム11から後方に延びている。
【0067】
(変形例)
上記の説明では、本発明のシートフレームの一例としてシートチューブ14を挙げて説明しているが、シートフレームは上下方向に延びてシートを支持することが可能な構成であればよく、チューブ状の他に中実の柱状体であってもよい。
【0068】
上記の説明では、本発明のブリッジフレームの一例としてブリッジチューブ13を挙げて説明しているが、ブリッジフレームは前後方向に延びてシートチューブ14(シートフレーム)とメインフレーム11とを連結することが可能な構成であればよく、チューブ状の他に中実の柱状体であってもよい。
【0069】
[本開示のまとめ]
以上説明した具体的実施形態には、以下の構成を有する開示が含まれている。
【0070】
本開示の第1の態様に係る電動二輪車は、車体フレームと、前輪および後輪と、前輪の上方に配置されるハンドルと、乗員が座るシートと、バッテリーと、前記バッテリーと電気的に接続され、前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも1つを回転駆動するモータとを備える。前記車体フレームは、ハンドルを支持するためのハンドル支持部分と、前記ハンドル支持部分の後方に配置され、シートを支持するためのシート支持部分と、前記ハンドル支持部分から前記シート支持部分まで下方に傾斜しつつ後方に延びるとともに前記バッテリーを収容可能な空間部とを有する中空のメインフレームと、上下方向に延びて、上部において前記シートを支持し、下部において前記メインフレームの前記シート支持部分に接続されている、シートフレームと、前後方向に延びて、後部が前記シートフレームに接続され、前部が前記メインフレームのうちで前記ハンドル支持部分よりも後方の部分に接続されている、ブリッジフレームとを備える。
【0071】
第1の態様によれば、車体フレームが上記のブリッジフレームを備えることにより、シートフレームの曲げ剛性の向上を可能にする。具体的には、シートを支持するシートフレームは、その下部がメインフレームの後部にあるハンドル支持部分に接続されて上下方向に延びるとともに、前後方向に延びるブリッジフレームを介してメインフレームに接続されている。この構造では、メインフレーム、シートフレーム、およびブリッジフレームは、互いに接続されることにより、電動二輪車の左右方向から視て三角形を形成し、いわゆるトラス構造を構成する。この構造では、シートフレームは、トップフレームによって補強され、とくに電動二輪車の前後方向における曲げ剛性を向上することができる。
【0072】
また、この構成では、ブリッジフレームは、メインフレームにおけるハンドル支持部分よりも後方の部分に接続されることで、当該ブリッジフレームの長尺化を防いで軽量化を図りやすい。またブリッジフレームは、バッテリーを収容するメインフレームに接続されることで、メインフレームを補強することができる。これによって、電動二輪車の転倒や衝突などが発生したとしてもバッテリーが収容される空間の変形を抑えることができる。その結果、バッテリーの損傷やバッテリー着脱作業性の低下を防ぐことができる。
【0073】
本開示の第2の態様に係る電動二輪車は、第1の態様に係る電動二輪車において、前記シートは、上下方向に延びるシートポストと、当該シートポストの上端部に固定され、乗員の臀部を支持するサドルとを備える。前記シートポストは、少なくとも下端部が前記シートフレームに挿入されることにより、前記シートポストと前記シートフレームとの重なり部分を形成する。前記ブリッジフレームは、前記シートフレームにおける前記重なり部分の範囲に接続されている。
【0074】
第2の態様によれば、ブリッジフレームがシートフレームにおける前記重なり部分の範囲に接続されていることにより、シートポストからの荷重をブリッジフレームに伝達しやすく、シートフレームの変形を防ぐことができる。
【0075】
本開示の第3の態様に係る電動二輪車は、第1~第2の態様に係る電動二輪車において、前記車体フレームは、前記後輪を回転可能に支持する後輪支持部と、前後方向に延びて、後部が前記後輪支持部に接続されて、前部が前記シートフレームに接続されるシートステーとをさらに備える。前記シートステーは、前記シートフレームにおける前記重なり部分の範囲に接続されている。
【0076】
第3の態様によれば、シートステーがシートフレームにおける前記重なり部分の範囲に接続されていることにより、シートポストからの荷重をブリッジフレームとシートフレームとの両方に伝達しやすく、シートフレームの変形をさらに防ぐことができる。
【0077】
本開示の第4の態様に係る電動二輪車は、第1~第3の態様に係る電動二輪車において、前記ブリッジフレームと前記シートフレームとの接続位置は、前記シートステーと前記シートフレームとの接続位置よりも上方に配置されている。
【0078】
第4の態様によれば、シートフレームは、その上端部に近い部分でブリッジフレームと接続されている。したがってブリッジフレームがシートフレームの上端部から離れた部分で接続される場合に比べて、シートフレームの上端部が前方に向かう変形を防ぎやすくすることができる。
【0079】
本開示の第5の態様に係る電動二輪車は、第1~第4の態様に係る電動二輪車において、前記シートフレームは、前記メインフレームの上面に形成された開口を通して前記空間部に連通している。
【0080】
第5の態様によれば、シートポストは、その下端部がメインフレームの前記空間部に挿入される位置まで、シートチューブを貫通して下降することが可能であるので、シートポストの上下移動量を大きく確保できる。
【0081】
本開示の第6の態様に係る電動二輪車は、第1~第5の態様に係る電動二輪車において、前記バッテリーの重心位置は、前記メインフレームのうちで、ブリッジフレームとの接続部分よりも下方に位置している。
【0082】
第6の態様によれば、電動二輪車を構成する部品のうち重量物であるバッテリーがメインフレーム内の低い位置に配置されるので、電動二輪車の走行安定性が向上する。
【0083】
本開示の第7の態様に係る電動二輪車は、第1~第6の態様に係る電動二輪車において、前記メインフレームに固定されて左右方向に延び、乗員の足を載置することが可能な載置面をそれぞれ有する一対のステップをさらに備える。
【0084】
第7の態様によれば、走行時に乗員の足をステップの載置面に置くことにより、楽な運転姿勢を維持することが可能である。
【0085】
本開示の第8の態様に係る電動二輪車は、第1~第7の態様に係る電動二輪車において、前記ブリッジフレームの前端部は、当該メインフレームの上面に接続されている。前記メインフレームの前記空間部は、ブリッジフレームとの接続部分に対して上下方向にわたって形成されている。
【0086】
第8の態様によれば、ブリッジフレームの前端部は、当該メインフレームの上面に接続されているので、メインフレームの空間部にまで入り込まない。そのため、メインフレームの空間部とブリッジフレームとの干渉を防いで、空間部の大型化を図ることができる。その結果、大型のバッテリーを使用することが可能になる。
【符号の説明】
【0087】
1 車体フレーム
2 前輪
3 後輪
4 ステップ
5 ハンドル
6 シート
11 メインフレーム
13 トップチューブ(ブリッジフレーム)
14 シートチューブ(シートフレーム)
72 モータ
74 バッテリー
100 電動二輪車