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特開2025-7014端子ユニット、基板モジュール、及び基板モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007014
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】端子ユニット、基板モジュール、及び基板モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/04 20060101AFI20250109BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20250109BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01L23/04 E
H01L23/48 G
H01L21/60 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108137
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390025243
【氏名又は名称】ポップリベット・ファスナー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】松野 浩人
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044AA01
5F044GG04
5F044GG10
(57)【要約】
【課題】超音波を利用したワイヤボンディングによるボンディング作業を行っても歩留まりを向上させることのできる端子ユニット、基板モジュール、及び基板モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】端子ユニット10は、ワイヤボンディング面111aを有するワイヤボンディング部111を備えた端子11と、ワイヤボンディング面111aの少なくとも一部を露出させた状態で端子11を被覆して固定する樹脂ケース12と、を備えた端子ユニット10であって、端子ユニット10は、端子と樹脂ケース12の一体成形品であり、樹脂ケース12は、その底部122のワイヤボンディング面111aの裏面(すなわち、裏面111b)を被覆する裏面被覆部123に、ワイヤボンディング面111aの裏面を露出させる開口123aが設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤボンディング面を有するワイヤボンディング部を備えた端子と、
前記ワイヤボンディング面の少なくとも一部を露出させた状態で前記端子を被覆して固定する樹脂ケースと、
を備えた端子ユニットであって、
前記端子ユニットは、前記端子と前記樹脂ケースの一体成形品であり、
前記樹脂ケースは、その底部の前記ワイヤボンディング面の裏面を被覆する裏面被覆部に、前記ワイヤボンディング面の裏面を露出させる開口が設けられている、
端子ユニット。
【請求項2】
前記ワイヤボンディング部の側面であって、前記樹脂ケースにより被覆される前記側面には、突起が設けられている、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項3】
前記ワイヤボンディング面の裏面は、粗面化されている、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項4】
前記ワイヤボンディング面の裏面は、粗化めっき加工又はローレット加工が施されている、
請求項3に記載の端子ユニット。
【請求項5】
前記樹脂ケースには、前記ワイヤボンディング面の端部を覆うボンディング面端部被覆部が設けられ、前記ワイヤボンディング部が、前記ボンディング面端部被覆部と前記裏面被覆部との間で挟まれる、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項6】
次の構成[2]~[5]の少なくとも1以上を有する、
請求項1に記載の端子ユニット。
[2] 前記ワイヤボンディング部の側面であって、前記樹脂ケースにより被覆される前記側面には、突起が設けられている。
[3] 前記ワイヤボンディング面の裏面は、粗面化されている。
[4] 前記構成[3]において、
前記ワイヤボンディング面の裏面は、粗化めっき加工又はローレット加工が施されている。
[5] 前記樹脂ケースには、前記ワイヤボンディング面の端部を覆うボンディング面端部被覆部が設けられ、前記ワイヤボンディング部が、前記ボンディング面端部被覆部と前記裏面被覆部との間で挟まれる。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の端子ユニットと、
前記端子ユニットが取り付けられる金属ベース板と、
前記金属ベース板に搭載された基板と、
を備え、
前記樹脂ケースは、前記底部が接着剤を介して前記金属ベース板に固定されるとともに、前記端子は、前記開口内の前記接着剤を介して前記ワイヤボンディング面の裏面が前記金属ベース板に対して固定されている、
基板モジュール。
【請求項8】
前記基板には、パワー半導体装置が搭載されている、
請求項7に記載の基板モジュール。
【請求項9】
金型内で端子のワイヤボンディング面及びその裏面を少なくとも固定した状態で前記金型内に樹脂を流し込み、前記樹脂を固化させて請求項1~6の何れかの端子ユニットを製造する端子ユニット製造工程と、
前記端子ユニットを金属ベース板に接着剤を介して固定する固定工程と、
超音波振動を利用したワイヤボンディングにより、前記金属ベース板上の基板と前記ワイヤボンディング面とを電気的に接続するボンディング工程と、
を備え、
前記端子ユニット製造工程では、前記樹脂ケースの底部であって前記ワイヤボンディング面の裏面を被覆する裏面被覆部に、前記ワイヤボンディング面の裏面を露出させる開口を設け、
前記固定工程では、前記接着剤を前記開口に流入させて前記端子を前記金属ベース板に固定する、
基板モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、端子ユニット、基板モジュール、及び基板モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パワー半導体を含む半導体装置などの電子部品を搭載可能な基板モジュールが知られている。基板モジュールは、電子部品を搭載可能な基板と、基板上の配線パターンと電気的に接続可能な端子ユニットとを備える。端子ユニットは、樹脂ケースと、当該樹脂ケースに収容された複数の端子とから構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4242401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような端子を樹脂ケースに圧入する従来技術では、超音波を利用したワイヤボンディングにより端子にワイヤを電気的に接続する作業時に、端子の振動により電気的接続ができずに歩留まりが低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、超音波を利用したワイヤボンディングによるボンディング作業を行っても歩留まりを向上させることのできる端子ユニット、基板モジュール、及び基板モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る端子ユニットは、
ワイヤボンディング面を有するワイヤボンディング部を備えた端子と、
前記ワイヤボンディング面の少なくとも一部を露出させた状態で前記端子を被覆して固定する樹脂ケースと、
を備えた端子ユニットであって、
前記端子ユニットは、前記端子と前記樹脂ケースの一体成形品であり、
前記樹脂ケースは、その底部の前記ワイヤボンディング面の裏面を被覆する裏面被覆部に、前記ワイヤボンディング面の裏面を露出させる開口が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態の端子ユニットは、次の構成[2]~[5]の少なくとも1以上を有していても良い。
【0008】
[2] 前記ワイヤボンディング部の側面であって、前記樹脂ケースにより被覆される前記側面には、突起が設けられている。
【0009】
[3] 前記ワイヤボンディング面の裏面は、粗面化されている。
【0010】
[4] 前記構成[3]において、
前記ワイヤボンディング面の裏面は、粗化めっき加工又はローレット加工が施されている。
【0011】
[5] 前記樹脂ケースには、前記ワイヤボンディング面の端部を覆うボンディング面端部被覆部が設けられ、前記ワイヤボンディング部が、前記ボンディング面端部被覆部と前記裏面被覆部との間で挟まれる。
【0012】
本発明の一実施形態の基板モジュールは、
上記の何れかの端子ユニットと、
前記端子ユニットが取り付けられる金属ベース板と、
前記金属ベース板に搭載された基板と、
を備え、
前記樹脂ケースは、前記底部が接着剤を介して前記金属ベース板に固定されるとともに、前記端子は、前記開口内の前記接着剤を介して前記ワイヤボンディング面の裏面が前記金属ベース板に対して固定されていること、を特徴とする。
【0013】
本発明の一実施形態の基板モジュールの製造方法は、
金型内で端子のワイヤボンディング面及びその裏面を少なくとも固定した状態で前記金型内に樹脂を流し込み、前記樹脂を固化させて請求項1~7の何れかの端子ユニットを製造する端子ユニット製造工程と、
前記端子ユニットを金属ベース板に接着剤を介して固定する固定工程と、
超音波振動を利用したワイヤボンディングにより、前記金属ベース板上の基板と前記ワイヤボンディング面とを電気的に接続するボンディング工程と、
を備え、
前記端子ユニット製造工程では、前記樹脂ケースの底部であって前記ワイヤボンディング面の裏面を被覆する裏面被覆部に、前記ワイヤボンディング面の裏面を露出させる開口を設け、
前記固定工程では、前記接着剤を前記開口に流入させて前記端子を前記金属ベース板に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、超音波を利用したワイヤボンディングによるボンディング作業を行っても歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る基板モジュールの上面側斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る基板モジュールの上面図である。
図3】本発明の実施形態に係る端子ユニットの上面側斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る端子ユニットの底面側斜視図である。
図5】端子の上面側斜視図である。
図6】端子の底面側斜視図である。
図7図3の領域Bにおける端子ユニットの部分拡大斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る基板モジュール(基板を含む)の模式的な部分断面図であり、図2のA-A部分断面の模式図である。
図9】本発明の実施形態に係る基板モジュールの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る端子ユニット、基板モジュール、及び基板モジュールの製造方法について説明する。
【0017】
[1.実施形態]
[1-1.構成]
図1は、本発明の実施形態に係る基板モジュールの上面側斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る基板モジュールの上面図である。図3は、本発明の実施形態に係る端子ユニットの上面側斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係る端子ユニットの底面側斜視図である。
【0018】
本明細書において、説明の便宜上、図面に示すZ軸方向を「上」側、その逆方向を「下」側とする。各部材の構成を説明するのに、「下」は「底」とも称する。「上」や「下」とは、基板モジュール、端子ユニットの各構成の位置関係をいうものであり、基板モジュール、端子ユニットが設置対象の実機に搭載された際の位置関係や方向を指すものではない。Z軸方向を高さ方向と称する場合もある。
【0019】
基板モジュール1は、一又は複数の電子部品を搭載可能なモジュールである。電子部品としては、パワー半導体などの半導体装置、トランジスタ、コンデンサ等を挙げることができる。
【0020】
図1に示すように、基板モジュール1は、端子ユニット10、金属ベース板20、基板30(後述の図8参照)、及び、接着剤40(後述の図8参照)を備える。基板モジュール1は、基板30を搭載した金属ベース板20上に、端子ユニット10が接着剤40を介して固定されて構成される。図1では、基板30、接着剤40は不図示である。
【0021】
図3及び図4に示すように、端子ユニット10は、一又は複数の端子11、樹脂ケース12を含むユニットである。端子ユニット10は、端子11と樹脂ケース12の一体成形品であり、ここでは、複数の端子11が樹脂ケース12により、各々の位置で保持又は固定される。本実施形態では、図1図4に示すように、複数の端子11は、2つの端子11を一組として、複数の組が、X軸方向及びY軸方向に配列されている。
【0022】
図5は、端子の上面側斜視図であり、図6は、端子の底面側斜視図である。端子11は、導電性の部材であり、例えば、基板30上の配線パターンと電気的に接続される電極である。端子11は、ここでは概略L字状である。図5及び図6に示すように、端子11は、ワイヤボンディング部111、延出部112、接続部113を有する。
【0023】
ワイヤボンディング部111は、基板30上の配線パターンとワイヤにより電気的に接続される部位である。具体的には、ワイヤボンディング部111は、概略矩形状の板状体であり、ここでは、XY平面と平行に配置されている。ワイヤボンディング部111は、ワイヤボンディング面111a、裏面111b、突起111cを有する。
【0024】
ワイヤボンディング面111aは、基板30と超音波振動を利用したワイヤボンディングにより電気的に接続される面である。ワイヤボンディング面111aは、樹脂ケース12から露出している。裏面111bは、ワイヤボンディング部111のワイヤボンディング面111aとは反対側の面であり、ワイヤボンディング部111の底面ということもできる。この裏面111bは、粗面化されていていても良い。裏面111bの粗面化は、例えば、粗化めっき加工又はローレット加工を施すことにより実現することができる。1つの例では、裏面111bは、粗化めっき加工により、めっき層が設けられていても良い。めっき層は、例えば、ニッケルめっきにより構成することができる。別の例では、裏面111bは、ローレット加工により粗面化されていても良い。ローレット加工による模様は、裏面111bに複数の凹部が設けられていれば、鹿の子目、綾目、平目など任意の模様とすることができる。
【0025】
突起111cは、端子11のうちの樹脂ケース12により被覆される部位に設けられる。ここでは、突起111cは、ワイヤボンディング部111の側面であって、樹脂ケース12により被覆される側面に設けられ、ワイヤボンディング部111の対向する側面にそれぞれ1つずつ設けられている。突起111cの数は、任意であり、1つでも3つでも4つでもよい。また、突起111cは、端子11のうちの樹脂ケース12により被覆される部位に設けられていればよく、例えば、裏面111bに設けられていても良い。本実施形態の一対の突起111cは、Z軸方向に延び、一方がX軸正方向に、他方が負方向に突出している。突起111cの形状は、ワイヤボンディング部111の側面又は裏面111bから突出していれば良く、X字形状など任意の形状とすることができる。
【0026】
延出部112は、ワイヤボンディング部111と交差するようにZ軸方向に延びた板状体であり、上部側の幅(すなわち、X軸方向の長さ)が下部側よりも狭くなっている。延出部112は、幅広の下部で樹脂ケース12に被覆され、幅が狭い上部で樹脂ケース12から露出している。延出部112のこの上部は、図示しない機器、電気回路、及び/又は電源と電気的に接続することができる。
【0027】
接続部113は、ワイヤボンディング部111と延出部112とを繋ぐ部位であり、接続部113により端子11が屈曲しており、端子11全体が概略L字状を成している。
【0028】
樹脂ケース12は、絶縁性を有する樹脂部材であり、図3に示すように、ワイヤボンディング面111aの少なくとも一部を露出させた状態で端子11を被覆して固定する。樹脂ケース12は、端子11をインサート品として金型(不図示)内で固定した状態で、当該金型内に樹脂を注入し、固化させるインサート成形により構成することができる。樹脂ケース12を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、PPS(Polyphenylene Sulfide)等を用いることができる。また、当該樹脂に例えば、エラストマー、無機フィラー、ガラス繊維などを含有することで、樹脂ケース12と接着剤40との接着性を向上させることができ、インサート成形後の冷熱サイクルによっても端子11との線膨張係数の差を少なくし、樹脂ケース12を割れにくくすることもできる。
【0029】
図1及び図3に示すように、樹脂ケース12は、概略矩形状であり、開口120を有する。樹脂ケース12(端子ユニット10)を金属ベース板20に固定することで、当該開口120内の領域から金属ベース板20を臨むことができる。
【0030】
図3に示すように、樹脂ケース12は、4つの壁部121(121a~121d)と、底部122とを備える。壁部121a、121bは、矩形の一対の平行な長辺を成し、X軸方向に延びるとともに、Z軸方向に高さを有する。壁部121c、121dは、矩形の一対の平行な短辺を成し、Y軸方向に延びるとともに、Z軸方向に高さを有する。底部122は、壁部121の下部から内側にせり出し、その境界により開口120を形成する。底部122は、ワイヤボンディング部111の少なくともワイヤボンディング面111aを除いた周囲を覆う。ここでは、図1図4に示すように、各壁部121及び底部122に複数の端子11の一部が埋設されるように複数の端子11が配列されて各端子11が樹脂ケース12に固定されている。
【0031】
底部122は、裏面被覆部123を有する。裏面被覆部123は、ワイヤボンディング面111aとは反対側の面である裏面111bを被覆する。裏面被覆部123には、裏面111bを露出させる開口123aが設けられている。この開口123aは貫通孔である。開口123aの形状は、本実施形態では、図4に示すように丸形状であるが、矩形状、多角形状など任意の形状とすることができる。また、開口123aの数は、ここでは、裏面111bに対して1つであるが、2以上の任意の数とすることができる。開口123aが設けられる箇所は、裏面111bを覆う箇所であることが好ましい。
【0032】
底部122には、図4に示すように、溝122aが設けられている。溝122aは、樹脂ケース12の形状に倣って概略矩形状であり、端子11の配列よりも外側に設けられている。
【0033】
図7は、図3の領域Bのおける端子ユニット10の部分拡大斜視図である。樹脂ケース12には、図3及び図7に示すように、ワイヤボンディング面111aの端部111dを覆うボンディング面端部被覆部124が設けられている。ボンディング面端部被覆部124は、裏面被覆部123との間でワイヤボンディング部111を挟むことができる。すなわち、裏面被覆部123とボンディング面端部被覆部124との間の距離は、ワイヤボンディング部111の厚み(Z軸方向の長さ)とすることができる。ボンディング面端部被覆部124は、板形状であり、壁部121の内面から突出するように例えばXY平面と平行に延びている。ボンディング面端部被覆部124は、1つのワイヤボンディング面111aに対し、一対設けることができる。端子11間でボンディング面端部被覆部124を共用しても良い。図7に示す例では、2個一組の端子11に対し、3つのボンディング面端部被覆部124が設けられている。
【0034】
なお、樹脂ケース12は、四隅にねじ穴を設けて、ねじ締結等により設置対象に固定可能にしても良い。
【0035】
図8は、基板モジュール1(基板30を含む)の模式的な部分断面図であり、図2のA-A部分断面の模式図である。図1及び図8に示すように、金属ベース板20は、端子ユニット10が取り付けられる部材であり、銅、銅合金などの放熱性を有する導電材料から成る。金属ベース板20は、概略矩形の板状体である。
【0036】
図8に示すように、基板30は、金属ベース板20に取り付けられる。例えば、基板30は、接着剤を介して金属ベース板20に固定される。基板30は、配線パターンを有する絶縁基板である。基板30上には、半導体装置などの電子部品を搭載することができる。ここでは、基板30上には、パワー半導体装置が搭載されており、当該パワー半導体装置が基板30上の配線パターンと電気的に接続される。基板30は、超音波振動を利用したワイヤボンディングにより、ワイヤ50でワイヤボンディング面111aと電気的に接続することができる。
【0037】
接着剤40は、図8に示すように、端子ユニット10と金属ベース板20との間に介在し、端子ユニット10を金属ベース板20に固定する。具体的には、接着剤40は、樹脂ケース12の底部122と金属ベース板20間に介在して樹脂ケース12を金属ベース板20に固定するとともに、開口123aを介して端子11を金属ベース板20に固定する。接着剤40は、開口123a内の空間に充填することができる。
【0038】
接着剤40は、接着性及び絶縁性を有する。そのため、端子11が金属ベース板20に固定されるとともに、端子11と金属ベース板20とは絶縁されている。接着剤40としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を用いることができる。接着剤40は、基板30を金属ベース板20に固定するために用いる接着剤と同じ種類のものを使用しても良い。すなわち、基板30は接着剤40を介して金属ベース板20に固定される。
【0039】
[1-2.製造工程]
図9は、本発明の実施形態に係る基板モジュールの製造工程の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、基板モジュール1の製造工程は、端子ユニット製造工程S10、固定工程S20、ボンディング工程S30を備える。
【0040】
端子ユニット製造工程S10は、金型を用いた一体成形である。すなわち、金型内で端子11のワイヤボンディング面111a及びその裏面111bを少なくとも固定した状態で当該金型内に樹脂を流し込み、当該樹脂を固化させて樹脂ケース12を形成することにより端子ユニット10を構成する。端子ユニット製造工程S10では、樹脂ケース12の底部122であってワイヤボンディング面111aの反対側の面である裏面111bを被覆する裏面被覆部123に、裏面111bを露出させる開口123aを設ける。端子ユニット製造工程S10では、例えば、ワイヤボンディング面111a及びその裏面111bを一対の固定具により挟み込んで端子11を金型内で固定するため、金型内に樹脂を流し込んでもワイヤボンディング面111a及び裏面111bの固定具で押さえられた部分には当該樹脂が付着しない。そのため、ワイヤボンディング面111aが露出するとともに、開口123aが形成されて開口123aから裏面111bの一部が露出する。ここでは、裏面111b側の固定具が丸棒状であるため、開口123aが丸形状となっている。なお、一対の固定具は、金型内の一部であっても良いし、金型とは別体であっても良い。
【0041】
固定工程S20は、端子ユニット10を金属ベース板20に接着剤40を介して固定する。具体的には、端子ユニット10の底部(樹脂ケース12の底部122)又は金属ベース板20に接着剤を塗布し、接着剤を介在させた状態で金属ベース板20に対して端子ユニット10を押し付けて圧力をかける。これにより、接着剤が樹脂ケース12の底部122と金属ベース板20との間に介在するとともに、当該接着剤の一部が開口123aに流入し、裏面111bに到達する。このとき、接着剤は、開口123aを形成する底部122(裏面被覆部123)の内壁に付着しても良いし、さらには開口123a内部が接着剤で満たされていても良い。その後、接着剤を固化させることで、接着剤40を形成し、端子ユニット10が金属ベース板20に固定される。このように、固定工程S20では、接着剤を開口123aに流入させて端子11を金属ベース板20に固定する。なお、基板30は、固定工程S20の前に予め金属ベース板20に搭載されていても良いし、固定工程S20後かつボンディング工程S30前に搭載されていても良い。
【0042】
ボンディング工程S30は、超音波振動を利用したワイヤボンディングにより、金属ベース板20上の基板30とワイヤボンディング面111aとを電気的に接続する。超音波振動を利用したワイヤボンディングは、例えば、ウェッジボンディングである。端子11自体、より具体的にはワイヤボンディング部111が、接着剤40により金属ベース板20に固定されているので、超音波振動によってもワイヤボンディング面111aの振動を抑制することができる。このワイヤボンディングにより、図8に示すように、ワイヤ50によって、ワイヤボンディング面111aと基板30上の配線パターンとを電気的に接続することができる。そのため、基板30上の電子部品は、基板30の配線パターン、ワイヤ50を介して端子11と電気的に接続される。
【0043】
[1-3.作用・効果]
(1)本実施形態の端子ユニット10は、ワイヤボンディング面111aを有するワイヤボンディング部111を備えた端子11と、ワイヤボンディング面111aの少なくとも一部を露出させた状態で端子11を被覆して固定する樹脂ケース12と、を備えた端子ユニット10であって、端子ユニット10は、端子と樹脂ケース12の一体成形品であり、樹脂ケース12は、その底部122のワイヤボンディング面111aの裏面(すなわち、裏面111b)を被覆する裏面被覆部123に、ワイヤボンディング面111aの裏面を露出させる開口123aが設けられているようにした。
【0044】
これにより、ワイヤボンディング面111aの裏面を露出させる開口123aから接着剤を流入させて、当該接着剤を介して端子11自体を他の部材(例えば、金属ベース板)に固定することができるので、当該端子11のワイヤボンディング面111aに超音波を利用したワイヤボンディングによるボンディング作業を行っても端子11にワイヤ50を電気的に接続することができ、歩留まりを向上させることができる。
【0045】
(2)ワイヤボンディング部111の側面であって、樹脂ケース12により被覆される側面には、突起111cを設けるようにした。これにより、ワイヤボンディング部111の振動を抑制することができるので、歩留まりを向上させることができる。
【0046】
(3)ワイヤボンディング面111aの裏面(すなわち、裏面111b)を、粗面化するようにした。これにより、粗面化されてへこみの部分に、樹脂ケース12の樹脂、開口123a内部の接着剤が食い込むように密着させることができるので、ワイヤボンディング部111の振動を抑制することができ、歩留まりを向上させることができる。具体的には、ワイヤボンディング面111aの裏面は、粗化めっき加工又はローレット加工を施すことができる。
【0047】
(4)樹脂ケース12には、ワイヤボンディング面111aの端部111dを覆うボンディング面端部被覆部124が設けられ、ワイヤボンディング部111が、ボンディング面端部被覆部124と裏面被覆部123との間で挟まれるようにした。
【0048】
これにより、ワイヤボンディング部111の振動を抑制することができ、歩留まりを向上させることができる。
【0049】
(5)本実施形態の基板モジュール1は、端子11及び樹脂ケース12を有する端子ユニット10と、端子ユニット10が取り付けられる金属ベース板20と、金属ベース板20に搭載された基板30と、を備え、樹脂ケース12は、底部122が接着剤40を介して金属ベース板20に固定されるとともに、端子11は、開口123a内の接着剤40を介してワイヤボンディング面111aの裏面(すなわち、裏面111b)が金属ベース板20に対して固定されているようにした。
【0050】
これにより、ワイヤボンディング面111aの裏面を露出させる開口123aから接着剤を流入させて、当該接着剤40を介して端子11自体を金属ベース板20に固定することができるので、当該端子11のワイヤボンディング面111aに超音波を利用したワイヤボンディングによるボンディング作業を行っても端子11にワイヤ50を電気的に接続することができ、歩留まりを向上させることができる。
【0051】
(6)本実施形態の基板モジュールの製造方法は、金型内で端子のワイヤボンディング面111a及びその裏面を少なくとも固定した状態で金型内に樹脂を流し込み、樹脂を固化させて端子ユニット10を製造する端子ユニット製造工程S10と、端子ユニット10を金属ベース板20に接着剤40を介して固定する固定工程S20と、超音波振動を利用したワイヤボンディングにより、金属ベース板20上の基板30とワイヤボンディング面111aとを電気的に接続するボンディング工程S30と、を備え、端子ユニット製造工程S10では、樹脂ケース12の底部122であってワイヤボンディング面111aの裏面を被覆する裏面被覆部123に、ワイヤボンディング面111aの裏面を露出させる開口123aを設け、固定工程S20では、接着剤を開口123aに流入させて端子11を金属ベース板20に固定するようにした。
【0052】
これにより、端子11のワイヤボンディング面111aに超音波を利用したワイヤボンディングによるボンディング作業を行っても端子11にワイヤ50を電気的に接続することができ、歩留まりを向上させることができる。
【0053】
[2.他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態の何れかの構成を組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 基板モジュール
10 端子ユニット
11 端子
111 ワイヤボンディング部
111a ワイヤボンディング面
111b 裏面
111c 突起
111d 端部
112 延出部
113 接続部
12 樹脂ケース
120 開口
121 壁部
122 底部
123 裏面被覆部
123a 開口
124 ボンディング面端部被覆部
20 金属ベース板
30 基板
40 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9