(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025070186
(43)【公開日】2025-05-02
(54)【発明の名称】乗物及びバッテリ
(51)【国際特許分類】
B62J 43/23 20200101AFI20250424BHJP
B62J 43/13 20200101ALI20250424BHJP
B62J 43/16 20200101ALI20250424BHJP
B62K 19/30 20060101ALI20250424BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20250424BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20250424BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20250424BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20250424BHJP
【FI】
B62J43/23
B62J43/13
B62J43/16
B62K19/30
H01M50/249
H01M50/298
H01M50/296
H01M50/244 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180322
(22)【出願日】2023-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】中島 健志
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏志
(72)【発明者】
【氏名】陳尾 健一
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 将
(72)【発明者】
【氏名】長尾 幸紀
【テーマコード(参考)】
3D212
5H040
【Fターム(参考)】
3D212BH06
3D212BH08
5H040AA12
5H040AS05
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC59
5H040DD07
5H040DD22
5H040DD28
(57)【要約】
【課題】バッテリの着脱の作業性を向上することが可能な乗物及びバッテリを提供する。
【解決手段】乗物は、バッテリ6と、バッテリ6を着脱可能に支持する車体フレーム11と、電動モータ5と、バッテリ6外に配索されて電動モータ5と電気的に接続される車体側電力線711と、バッテリ6外に配索されて車体フレーム11に設定される接地部位110と電気的に接続される車体側アース線721と、車体側コネクタ7と、を備える。バッテリ6は、バッテリセル611Aと、バッテリケース63と、バッテリケース63内に配索されてバッテリセル611Aと電気的に接続されるバッテリ側電力線641と、バッテリケース63の導電性部位633Aと電気的に接続されるバッテリ側アース線642と、バッテリケース63外に配置されるバッテリ側コネクタ65と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリを着脱可能に支持する車体フレームと、
前記バッテリから与えられる電力で駆動される電装部品と、
前記バッテリ外に配索されて、前記電装部品と電気的に接続される車体側電力線と、
前記バッテリ外に配索されて、予め設定される接地部位と電気的に接続される車体側アース線と、
前記車体側電力線及び前記車体側アース線の各端子部分が集合した車体側コネクタと、を備え、
前記バッテリは、
バッテリセルと、
前記バッテリセルを覆って、前記車体フレームに支持されるバッテリケースと、
前記バッテリケース内に配索されて、前記バッテリセルと電気的に接続されるバッテリ側電力線と、
前記バッテリケースの導電性部位と電気的に接続されるバッテリ側アース線と、
前記バッテリ側電力線及び前記バッテリ側アース線の各端子部分が集合し、前記バッテリケース外に配置されるバッテリ側コネクタと、を含む、乗物。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物において、
前記バッテリ側アース線は、前記バッテリケースの導電性部位に対して前記バッテリケースの内側から接続されて、前記バッテリケース内に配索されている、乗物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乗物において、
前記バッテリケースは、前記車体フレームに対する前記バッテリの着脱方向の一端に位置する端壁を含み、
前記端壁は、前記バッテリ側電力線が前記バッテリ側コネクタに向けて貫通する貫通孔を有している、乗物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の乗物において、
前記車体側コネクタ及び前記バッテリ側コネクタの少なくともいずれか一方は、コネクタと反対側の基端部に対して、可撓性を有するハーネスを介して接続される、乗物。
【請求項5】
請求項1または2に記載の乗物において、
前記車体フレームは、前記バッテリを着脱するためのバッテリ挿入開口が形成され、
前記バッテリ側コネクタは、前記バッテリが前記車体フレームに支持された状態で、前記バッテリ挿入開口に近接した位置に配置される、乗物。
【請求項6】
請求項1または2に記載の乗物において、
前記バッテリ側コネクタは、前記バッテリケースの外面に直接設けられたダイレクトコネクタである、乗物。
【請求項7】
請求項1または2に記載の乗物において、
前記バッテリケースは、
前記車体フレームに対する前記バッテリの着脱方向の一端に位置する端壁を含み、
前記着脱方向に見て、前記バッテリ側コネクタが前記端壁の範囲内に収まるように位置決めされる位置決め部分を有する、乗物。
【請求項8】
バッテリを着脱可能に支持する車体フレームと、
バッテリ外に配索されて、バッテリ外に設けられるケース外電装部品と電気的に接続される車体側電気線と、
バッテリ外に配索されて、予め設定される接地部位と電気的に接続される車体側アース線と、
前記車体側電気線及び前記車体側アース線の各端子部分が集合した車体側コネクタと、を備える、乗物。
【請求項9】
バッテリセルと、
前記バッテリセルを覆って、乗物の車体フレームに支持されるバッテリケースと、
前記バッテリケース内に配索されて、前記バッテリケース内のケース内電装部品と電気的に接続されるバッテリ側電気線と、
前記バッテリケースの導電性部位と電気的に接続されるバッテリ側アース線と、
前記バッテリ側電気線及び前記バッテリ側アース線の各端子部分が集合し、前記バッテリケース外に配置されるバッテリ側コネクタと、を備える、バッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物及びバッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動二輪車が開示されている。この電動二輪車は、車体から着脱可能なバッテリと、バッテリから与えられる電力で駆動される電装部品である電動モータと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高電圧のバッテリを用いる場合、バッテリのケースの導電性部位を接地するためのアース接続を行う場合がある。この場合、バッテリの着脱に応じて、アース接続作業と接続解除作業とを行うことになる。そこで、バッテリの着脱に関する作業性の向上が求められる。
【0005】
本開示の目的は、バッテリの着脱の作業性を向上することが可能な乗物及びバッテリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に係る乗物は、バッテリと、前記バッテリを着脱可能に支持する車体フレームと、前記バッテリから与えられる電力で駆動される電装部品と、前記バッテリ外に配索されて、前記電装部品と電気的に接続される車体側電力線と、前記バッテリ外に配索されて、予め設定される接地部位と電気的に接続される車体側アース線と、前記車体側電力線及び前記車体側アース線の各端子部分が集合した車体側コネクタと、を備える。前記バッテリは、バッテリセルと、前記バッテリセルを覆って、前記車体フレームに支持されるバッテリケースと、前記バッテリケース内に配索されて、前記バッテリセルと電気的に接続されるバッテリ側電力線と、前記バッテリケースの導電性部位と電気的に接続されるバッテリ側アース線と、前記バッテリ側電力線及び前記バッテリ側アース線の各端子部分が集合し、前記バッテリケース外に配置されるバッテリ側コネクタと、を含む。
【0007】
本開示の他局面に係る乗物は、バッテリを着脱可能に支持する車体フレームと、バッテリ外に配索されて、バッテリ外に設けられるケース外電装部品と電気的に接続される車体側電気線と、バッテリ外に配索されて、予め設定される接地部位と電気的に接続される車体側アース線と、前記車体側電気線及び前記車体側アース線の各端子部分が集合した車体側コネクタと、を備える。
【0008】
本開示の他局面に係るバッテリは、バッテリセルと、前記バッテリセルを覆って、乗物の車体フレームに支持されるバッテリケースと、前記バッテリケース内に配索されて、前記バッテリケース内のケース内電装部品と電気的に接続されるバッテリ側電気線と、前記バッテリケースの導電性部位と電気的に接続されるバッテリ側アース線と、前記バッテリ側電気線及び前記バッテリ側アース線の各端子部分が集合し、前記バッテリケース外に配置されるバッテリ側コネクタと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バッテリの着脱の作業性を向上することが可能な乗物及びバッテリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る乗物の一種である電動二輪車の側面図である。
【
図2】電動二輪車の中央下部を拡大して示す側面断面図である。
【
図3】電動二輪車におけるバッテリと電動モータとの電気的な接続構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[電動二輪車の車体構造]
以下、本開示に係る乗物及びバッテリの実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、乗物の一種である電動二輪車を左側から見た側面図である。
図2は、電動二輪車の中央下部を拡大して示す側面断面図である。本図に示すように、電動二輪車は、車体1と、前輪2及び後輪3と、電動モータ5と、バッテリ6と、シート8と、ハンドル9とを備える。電動二輪車は、電動モータ5の駆動力により走行する二輪の自動車であって、鞍乗型乗物の一種である。
【0012】
車体1は、電動二輪車の本体部分を構成する。車体1は、電動二輪車の前進及び後退の方向を示す前後方向に延びるとともに、電動二輪車を運転する運転者から見た左右の方向に所定の車幅を有する。すなわち、車体1の車幅方向は、左右方向に一致する。前輪2及び後輪3は、車体1を移動可能に支持する前後一対の車輪である。電動モータ5は、後輪3を回転させる駆動力、換言すれば電動二輪車を走行させる駆動力を発生する駆動源である。電動モータ5は、例えば三相交流同期型の電動モータにより構成された電装部品である。バッテリ6は、電動モータ5に供給される電力を貯える蓄電器である。シート8は、電動二輪車を運転する運転者が着座するシートである。ハンドル9は、運転者が前輪2を操舵する際に把持する操舵ハンドルである。
【0013】
車体1は、車体フレーム11とピボットシャフト13とを含む。車体フレーム11は、車体1の骨格を形成するフレーム構造体であり、前輪2及び後輪3、電動モータ5、バッテリ6、シート8、及びハンドル9を支持する。ピボットシャフト13は、車体フレーム11の後部に取り付けられた車幅方向に延びるシャフトである。
【0014】
車体フレーム11は、その前端部にヘッドパイプ12を有する。ヘッドパイプ12は、上下方向に延びるステアリングシャフトをその軸心回りに回転可能に保持する筒状部材である。ステアリングシャフトの上端部にはハンドル9が取り付けられており、ステアリングシャフトの下端部にはフロントフォーク15が接続されている。すなわち、ヘッドパイプ12は、ハンドル9とフロントフォーク15とを連結するステアリングシャフトを回転可能に保持している。フロントフォーク15の下端部には前輪2が軸支されている。
【0015】
ピボットシャフト13は、スイングアーム14の揺動支点として機能する。ピボットシャフト13は、前輪2及び後輪3の間でかつシート8の下方において、車体フレーム11に支持されている。
【0016】
スイングアーム14は、後輪3を回転可能に支持するアームであり、ピボットシャフト13と後輪3の車軸16とを連結するように前後方向に延びている。すなわち、ピボットシャフト13にスイングアーム14の前端部が軸支されるとともに、スイングアーム14の後端部に後輪3が軸支されている。スイングアーム14は、
図1に示す車体1の左側だけでなく、車体1の右側にも設けられる。すなわち、電動二輪車は、ピボットシャフト13の左右両端部と後輪3の車軸の左右両端部とをそれぞれ連結する一対のスイングアーム14を備える。一対のスイングアーム14は、車幅方向に延びるクロスメンバ17を介して互いに連結されている。
【0017】
車体フレーム11は、電動モータ5を支持している。また、車体フレーム11は、電動モータ5の上方の位置でバッテリ6を支持している。電動モータ5及びバッテリ6は、前輪2及び後輪3の間でかつシート8の下方に配置されている。
【0018】
電動モータ5は、バッテリ6から与えられる電力で駆動される電装部品であり、バッテリ6外に設けられるケース外電装部品の一種である。ケース外電装部品は、電動モータ5の駆動回路を構成するインバータを含む。また、ケース外電装部品は、バッテリ6内の電装部品であるケース内電装部品と情報や指令のやり取りを行うために電気的に接続される車体制御装置が含まれてもよい。電動モータ5は、左右一対の支持プレート30を介して車体フレーム11に取り付けられている。一対の支持プレート30は、車幅方向に所定の厚みを有する板状の部材であり、電動モータ5の左右両側部にそれぞれ結合される。また、電動モータ5に結合された各支持プレート30は、電動モータ5の周囲にある車体フレーム11の各所に結合される。すなわち、電動モータ5は、一対の支持プレート30の間に支持されるとともに、当該各支持プレート30を介して車体フレーム11に取り付けられる。
【0019】
バッテリ6は、車体フレーム11に着脱可能に支持されている。具体的には、
図2に示すように、バッテリ6は、車体フレーム11に取り付けられたバッテリトレー40に着脱可能に支持される。バッテリトレー40は、上面が開放された箱型の容器体である。バッテリ6は、その下端部がバッテリトレー40の内部に収納された状態で当該バッテリトレー40に支持される。バッテリトレー40は、電動モータ5の上方に配置されるように車体フレーム11に取り付けられる。具体的には、バッテリトレー40は、その上面にバッテリ6が乗載されて、バッテリ6を下方から支える。
【0020】
図2に示すように、車体フレーム11は、バッテリ6が着脱するためのバッテリ挿入開口20が形成されている。バッテリ挿入開口20は、車体フレーム11によって囲まれて、バッテリトレー40の上方に位置する開口である。バッテリ6は、シート8が上方に開放された状態で、バッテリ挿入開口20を通じて、バッテリトレー40に対して着脱可能である。
【0021】
[バッテリと電動モータとの電気的な接続構造]
図2に加えて
図3を参照しながら、電動二輪車におけるバッテリ6と電動モータ5との電気的な接続構造について説明する。
【0022】
車体1は、電動モータ5とバッテリ6との間を電気的に導通させるための車体側電力線711を有する。また、車体1は、車体フレーム11の接地部位110とバッテリ6との間を電気的に導通させるための車体側アース線721を有する。本実施形態では、車体側電力線711と車体側アース線721との少なくとも一部が束ねられて車体側ハーネス7Hを構成する。車体側ハーネス7Hは、長手方向の中間部分で着脱可能なコネクタ部分が設けられる。車体側ハーネス7Hは、バッテリ6外に配索される車体側電気線のうち車体側電力線711以外の電気線と部分的に束ねられてメインハーネスの一部として構成されてもよい。車体側電力線711以外の車体側電気線は、電動モータ5以外のケース外電装部品と電気的に接続される電気線であり、電気信号を伝送する信号線を含む。電動モータ5以外のケース外電装部品としては、例えば、車体制御装置、変圧器、DCDCコンバータ、発電機、充電器などが挙げられる。
【0023】
本実施形態では、車体側ハーネス7Hは、可撓性を有する。車体側電力線711は、バッテリ6外に配索され、電動モータ5に接続されて、バッテリ電力を電動モータ5に与える電力線である。車体側アース線721は、バッテリ6外に配索され、車体フレーム11に設定される接地部位110に接続されて、バッテリ6の帯電電流を接地部位110に流すアース線である。この場合、車体側電力線711の先端部は、電動モータ5に接続される。また、車体側アース線721の先端部は、車体フレーム11の接地部位110に接続される。
【0024】
車体側ハーネス7Hの長手方向中間部位には、中継コネクタ70が介在されている。このような中継コネクタ70を用いることにより、車体側ハーネス7Hの車体1への取り回し作業を行いやすくすることができる。
【0025】
車体側ハーネス7Hのうちバッテリ6側となる基端部には、車体側コネクタ7が接続される。車体側コネクタ7は、車体側電力線711が接続される車体側電力端子71と、車体側アース線721が接続される車体側アース端子72とを集約的に備える1つのコネクタである。言い換えると、車体側コネクタ7は、車体側電力線711及び車体側アース線721の各端子部分となる車体側電力端子71と車体側アース端子72とが集合したコネクタである。車体側電力端子71と車体側アース端子72とは、ソケット73により覆われている。
【0026】
車体側コネクタ7は、後述するバッテリ側コネクタ65に対して、着脱可能に構成される。車体側コネクタ7がバッテリ側コネクタ65に装着されることで、バッテリ6側と車体1側とで電気的に接続される。このようにして各コネクタ7,65を接続するだけで、車体側電力線711を介したバッテリ6から電動モータ5への電力供給のための電力接続を行うと同時に、車体側アース線721を介した車体フレーム11の接地部位110とバッテリ6とのアース接続を行うことができる。また逆に、各コネクタ7,65の接続を解除するだけで、電力供給のための電力接続の解除を行うと同時に、アース接続の解除を行うことができる。
【0027】
また、
図2に示すように、車体フレーム11におけるバッテリ挿入開口20の周辺には、車体側コネクタ7を着脱可能に保持可能なコネクタ保持部201が設けられている。コネクタ保持部201は、バッテリ挿入開口20を通じた車体1に対するバッテリ6の着脱の際にバッテリ6が移動するバッテリ移動領域BAよりも外に配置される。言い換えると、コネクタ保持部201は、バッテリ挿入開口20よりも径方向外側に配置される。
図2の仮想線(二点鎖線)で示すように、車体側コネクタ7をコネクタ保持部201に保持させることで、車体側コネクタ7および車体側ハーネス7Hをバッテリ移動領域BA外に位置決めできる。車体側コネクタ7をバッテリ移動領域BA外に位置決めすることで、バッテリ6を車体1に対して着脱する際に、車体側コネクタ7がバッテリ6の着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【0028】
バッテリ6は、バッテリ電圧が所定値以上の高電圧のバッテリである。バッテリ6のバッテリ電圧は、例えば15ボルト以上、より具体的には25ボルト以上である。バッテリ6は、バッテリ電圧が48ボルト以上のバッテリであってもよい。
図3に示すように、バッテリ6は、バッテリパック61と、管理ユニット62と、バッテリケース63とを含む。
【0029】
例えば、バッテリパック61は、セルホルダー611Bに保持されたバッテリセル611を少なくとも1つ含む。バッテリセル611は、電動モータ5に供給される電力を貯える蓄電部分であり、バッテリケース63内に設けられるケース内電装部品の一種である。バッテリセル611以外のケース内電装部品としては、例えば、温度センサ、電流センサ及び電圧センサなどのセンサや、管理ユニット62などが挙げられる。バッテリセル611は、管理ユニット62と電気的に接続されている。
【0030】
管理ユニット62は、BMS(Battery Management System)の機能を実現するユニットである。管理ユニット62は、バッテリパック61の情報を取得する。バッテリパック61の情報は、バッテリセル611の電圧、電流などの情報を含む。管理ユニット62は、取得したバッテリパック61の情報に基づいて、バッテリパック61の状態を決定する。バッテリパック61の状態は、バッテリセル611の充電状態(SOC;state of charge)などを含む。本実施形態では、管理ユニット62は、決定したバッテリパック61の状態に基づいて、バッテリパック61におけるバッテリセル611の出力電力を制御する。
【0031】
バッテリケース63は、バッテリパック61及び管理ユニット62を覆う筐体である。バッテリケース63は、その内側に、バッテリパック61及び管理ユニット62を収容する。バッテリケース63は、上壁631と、上壁631の下方に位置する下壁632と、上壁631及び下壁632の端縁同士を接続する側壁633と、を有する箱形に形成される。
【0032】
バッテリケース63は、車体フレーム11に取り付けられたバッテリトレー40に着脱可能に支持される。バッテリ6が車体フレーム11に支持された状態では、バッテリケース63の下壁632がバッテリトレー40に当接する。バッテリトレー40に対するバッテリ6の着脱方向Dは、上下方向に沿った方向である。バッテリ6をバッテリトレー40に取り付ける場合、下壁632がバッテリトレー40に当接するまでバッテリ6を下方向に移動させる。一方、バッテリ6をバッテリトレー40から取り外す場合、バッテリ6を上方向に移動させる。
【0033】
バッテリケース63の少なくとも一部は、導電材料からなる導電性部位633Aを有する。例えば、バッテリケース63は、アルミニウム合金などの金属材料によって実現される。バッテリケース63の一部に金属材料が用いられることによって、バッテリケース63の剛性を高めることができる。例えば、バッテリケース63のうちで外方に露出する露出面の一部が導電材料によって実現される。
【0034】
図3に示す例では、バッテリケース63の上部及び下部の各々が導電性を有しない非導電性部位であり、上下の非導電性部位の上下方向中間部が導電性部位633Aである。具体的には、バッテリケース63では、上壁631と側壁633の上側部分とを含む領域と、下壁632と側壁633の下側部分とを含む領域との各々が、非導電性部位であり、上下の非導電性部位に挟まれた側壁633の部分が、導電性部位633Aである。側壁633のうちの導電性部位633Aの内面には、内側に突出した導電性突片634が設けられている。
【0035】
バッテリケース63における導電性部位633Aの形成状態は、上記の例に限られない。例えば、バッテリケース63では、複数の導電性部位633Aが互いに離れて形成されていてもよい。この場合、複数の導電性部位633A同士を電気的に接続する接続体が設けられる。当該接続体または導電性部位633Aに導電性突片634が設けられる。
【0036】
バッテリ6は、バッテリ側電力線641と、バッテリ側アース線642と、バッテリ側コネクタ65とを含む。
【0037】
バッテリ側電力線641は、バッテリケース63内に配索されるバッテリ側電気線の一種であり、バッテリセル611と電気的に接続される電力線である。本実施形態では、バッテリ側電力線641は、管理ユニット62を介してバッテリセル611に間接的に接続される。バッテリ側電力線641以外のバッテリ側電気線は、バッテリセル611以外のケース内電装部品である管理ユニット62やセンサなどと電気的に接続される電気線であり、ケース外電装部品の一種である車体制御装置との間で電気信号を伝送する信号線を含む。
【0038】
バッテリ側アース線642は、バッテリケース63の導電性部位633Aと電気的に接続されるアース線である。バッテリ側アース線642は、バッテリケース63の導電性部位633Aに直接的または間接的に接続される。バッテリ側アース線642は、バッテリケース63外に配索されていてもよいし、バッテリケース63内に配索されていてもよい。バッテリ側アース線642は、バッテリケース63外に配索される場合、バッテリケース63の導電性部位633Aに対して、バッテリケース63の外側から接続される。一方、バッテリケース63内に配索される場合、バッテリ側アース線642は、バッテリケース63の導電性部位633Aに対して、バッテリケース63の内側から導電性突片634に接続される。
【0039】
本実施形態では、バッテリ側アース線642は、バッテリケース63の内側において導電性突片634に接続されて、バッテリケース63内に配索される。この場合、バッテリ側アース線642は、バッテリケース63の内側において、バッテリケース63内に収容されたバッテリパック61及び管理ユニット62と干渉しないように配索される。バッテリ側アース線642がバッテリケース63内に配索されることにより、車体フレーム11に取り付けられたバッテリトレー40に対するバッテリ6の着脱の際に、バッテリ側アース線642が着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【0040】
バッテリ側コネクタ65は、バッテリケース63外に配置されて、車体側コネクタ7に接続可能なコネクタである。バッテリ側コネクタ65と車体側コネクタ7とは、一方のコネクタが雄型コネクタであり、他方のコネクタが雌型コネクタである。車体側コネクタ7が雄型コネクタであり、バッテリ側コネクタ65が雌型コネクタである場合、車体側コネクタ7がバッテリ側コネクタ65に挿入されることにより、バッテリ側コネクタ65と車体側コネクタ7とが接続される。一方、バッテリ側コネクタ65が雄型コネクタであり、車体側コネクタ7が雌型コネクタである場合、バッテリ側コネクタ65が車体側コネクタ7に挿入されることにより、バッテリ側コネクタ65と車体側コネクタ7とが接続される。
【0041】
バッテリ側コネクタ65は、バッテリ側電力線641が接続されるバッテリ側電力端子651と、バッテリ側アース線642が接続されるバッテリ側アース端子652とを集約的に備える1つのコネクタである。言い換えると、バッテリ側コネクタ65は、バッテリ側電力線641及びバッテリ側アース線642の各端子部分となるバッテリ側電力端子651とバッテリ側アース端子652とが集合したコネクタである。バッテリ側電力端子651には、バッテリ側電力線641におけるバッテリセル611に接続される端部とは反対側の端部が接続される。バッテリ側アース端子652には、バッテリ側アース線642におけるバッテリケース63の導電性部位633Aに接続される端部とは反対側の端部が接続される。なお、バッテリ側アース線642において、バッテリケース63の導電性部位633Aとバッテリ側アース端子652とにそれぞれ接続される長手方向の各端部以外は、絶縁性の被覆体で覆われていることが好ましい。バッテリ側コネクタ65では、バッテリ側電力端子651とバッテリ側アース端子652とは、ソケット653により覆われている。
【0042】
バッテリ側コネクタ65と車体側コネクタ7とが接続されることで、電力供給のための電力接続を行うと同時に、アース接続を行うことができる。また、バッテリ側コネクタ65と車体側コネクタ7との接続が解除されることで、電力接続の解除を行うと同時に、アース接続の解除を行うことができる。
【0043】
詳細には、車体フレーム11にバッテリ6が支持された状態で、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65とが接続されることにより、車体側電力端子71とバッテリ側電力端子651とが電気的に接続されるとともに、車体側アース端子72とバッテリ側アース端子652とが電気的に接続される。これにより、車体側電力線711とバッテリ側電力線641とが電気的に導通すると同時に、車体側アース線721とバッテリ側アース線642とが電気的に導通する。
【0044】
比較例として、電力接続とアース接続とのコネクタが別体に設けられる場合には、バッテリ6を車体1に搭載した際には、コネクタの接続作業を複数回行う必要があり、作業性が悪い。これに対して、本実施形態では、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65との1回の接続作業によって、電力接続とアース接続とを実現することができ、作業性を向上することができる。
【0045】
また、比較例として、電力接続とアース接続とのコネクタが別体に設けられる場合には、バッテリ6を車体1から取り外す前に、コネクタの接続解除作業を複数回行う必要があり、作業性が悪い。これに対して、本実施形態では、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65との1回の接続解除作業によって、電力接続の解除とアース接続の解除とを実現することができる。
【0046】
バッテリ6は、残量が少なくなった場合には、車体1外に配置される充電器によって充電される。このため、バッテリ6は、車体フレーム11に対して着脱可能になっている。バッテリ6は、充電のたびに車体フレーム11に対して着脱作業が行われる。バッテリ6の着脱作業において、電力接続及びアース接続の作業性を向上させるとともに、電力接続の解除及びアース接続の解除の作業性を向上させることで、バッテリ6の着脱作業の作業性を向上させることができる。上述したように、バッテリ6の着脱が頻繁に行われる乗物に対して、本開示を効果的に適用することができる。
【0047】
図3に示すように、バッテリケース63では、車体フレーム11に取り付けられたバッテリトレー40に対するバッテリ6の着脱方向Dの一端に位置する端壁である上壁631は、当該上壁631を上下方向に貫通する一対の貫通孔630を有している。各貫通孔630は、バッテリケース63内に配索されるバッテリ側電力線641及びバッテリ側アース線642の各々が、バッテリケース63外に配置されるバッテリ側コネクタ65に向けて貫通する貫通孔である。バッテリ側電力線641は、バッテリケース63内のバッテリセル611に接続される管理ユニット62からバッテリケース63外のバッテリ側コネクタ65のバッテリ側電力端子651まで、貫通孔630を通過して延びている。バッテリ側アース線642は、バッテリケース63内の導電性突片634からバッテリケース63外のバッテリ側コネクタ65のバッテリ側アース端子652まで、貫通孔630を通過して延びている。
【0048】
バッテリ側コネクタ65は、バッテリケース63に対し、貫通孔630が形成された上壁631の外側に配置される。この場合、バッテリケース63においてバッテリ側コネクタ65が配置される上壁631は、バッテリ6の着脱方向Dの一端、言い換えるとバッテリ6を挿入した場合に露出する端壁であるので、車体フレーム11に対するバッテリ6の着脱の際に、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65との接続及び接続解除の作業を容易に行うことができる。
【0049】
また、
図2に示すように、バッテリ側コネクタ65は、バッテリ6が車体フレーム11に支持された状態で、車体フレーム11のバッテリ挿入開口20に近接した位置に配置される。この場合、バッテリ挿入開口20を通じたバッテリ6の着脱の際に、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65との接続及び接続解除の作業をバッテリ挿入開口20付近で行うことができる。
【0050】
本実施形態では、バッテリ側コネクタ65は、バッテリケース63の外面に直接設けられたダイレクトコネクタである。具体的には、バッテリ側コネクタ65は、バッテリケース63の上壁631の外面に直接固定されるコネクタである。この場合、バッテリ側コネクタ65では、ソケット653は、上壁631に形成された貫通孔630を上方から覆うように、上壁631の外面に接合される。そして、ソケット653の内側に位置するバッテリ側電力端子651及びバッテリ側アース端子652の各々に、バッテリケース63の内側から貫通孔630を貫通して延びるバッテリ側電力線641及びバッテリ側アース線642がそれぞれ接続される。
【0051】
バッテリ側コネクタ65がバッテリケース63の上壁631の外面に直接設けられることにより、車体フレーム11に対するバッテリ6の着脱の際に、バッテリ側電力線641及びバッテリ側アース線642が着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【0052】
バッテリ側コネクタ65は、バッテリ6の着脱方向Dに見て、上壁631の範囲内に収まるように、上壁631の外面に配置されることが好ましい。これにより、バッテリ側コネクタ65が車体フレーム11に対するバッテリ6の着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【0053】
車体側コネクタ7は、既述のとおり、車体側電力線711及び車体側アース線721を束ねた可撓性を有する車体側ハーネス7Hに接続される。これにより、バッテリ側コネクタ65に対する車体側コネクタ7の相対位置を、車体側ハーネス7Hの変形によって移動させやすくなる。このため、車体フレーム11に対するバッテリ6の着脱の際に、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65との接続及び接続解除の作業を容易に行うことができる。
【0054】
[変形例]
上記の実施形態では、バッテリ側コネクタ65が、バッテリケース63に対し、バッテリ6の着脱方向Dの一端に位置する端壁である上壁631の外側に配置される態様について説明したが、このような態様に限られない。
図4に示す第1変形例に係るバッテリ6のように、バッテリ側コネクタ65は、バッテリケース63に対し、バッテリ6の着脱方向Dにおいて上壁631と対向する下壁632の外側に配置されてもよい。
図4に示す例では、バッテリ側コネクタ65は、バッテリケース63の下壁632の外面に直接設けられたダイレクトコネクタである。この場合、バッテリケース63では、下壁632が一対の貫通孔630を有している。そして、バッテリ側コネクタ65では、バッテリ側電力端子651とバッテリ側アース端子652とは、各貫通孔630を下方から覆うように下壁632の外面に接合される。下壁632の外面に接合されたバッテリ側電力端子651及びバッテリ側アース端子652の各々に、バッテリケース63の内側から貫通孔630を貫通して延びるバッテリ側電力線641及びバッテリ側アース線642がそれぞれ接続される。
【0055】
バッテリ側コネクタ65がバッテリケース63の下壁632の外側に配置される場合、車体側コネクタ7は、バッテリ6を着脱可能に支持するバッテリトレー40に取り付けられる。この場合、バッテリ6がバッテリトレー40に支持された状態で、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65とが接続されて、車体側電力端子71とバッテリ側電力端子651とが電気的に接続されるとともに、車体側アース端子72とバッテリ側アース端子652とが電気的に接続される。これにより、バッテリ6がバッテリトレー40に支持されることに応じて、電力供給のための電力接続を行うと同時に、アース接続を行うことができる。
【0056】
また、バッテリ6がバッテリトレー40から取り外されると、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65との接続が解除されて、車体側電力端子71とバッテリ側電力端子651との接続が解除されるとともに、車体側アース端子72とバッテリ側アース端子652との接続が解除される。これにより、バッテリ6がバッテリトレー40から取り外されることに応じて、電力接続の解除を行うと同時に、アース接続の解除を行うことができる。
【0057】
上記の実施形態では、バッテリ側コネクタ65が、バッテリケース63の上壁631の外面に直接設けられたダイレクトコネクタである態様について説明したが、このような態様に限られない。
図5に示す第2変形例に係るバッテリ6のように、バッテリ側コネクタ65は、可撓性を有するバッテリ側ハーネス64Hに接続されたコネクタであってもよい。バッテリ側ハーネス64Hは、バッテリケース63の内側から、上壁631に形成された貫通孔630を貫通して外側にまで延びる、バッテリ側電力線641及びバッテリ側アース線642の各露出部分を束ねたハーネスである。バッテリ側電力線641のバッテリケース63外に露出する露出部分の端部は、バッテリ側コネクタ65のバッテリ側電力端子651に接続される。バッテリ側アース線642のバッテリケース63外に露出する露出部分の端部は、バッテリ側コネクタ65のバッテリ側アース端子652に接続される。バッテリ側ハーネス64Hは、バッテリ側コネクタ65のソケット653により覆われていてもよい。
【0058】
図5に示す例では、車体側コネクタ7が可撓性を有する車体側ハーネス7Hに接続され、バッテリ側コネクタ65が可撓性を有するバッテリ側ハーネス64Hに接続される。すなわち、車体側コネクタ7及びバッテリ側コネクタ65の両方のコネクタが、可撓性を有するハーネスに接続されている。これにより、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65との相対位置を、車体側ハーネス7H及びバッテリ側ハーネス64Hの各々の変形によって移動させやすくなる。このため、車体フレーム11に対するバッテリ6の着脱の際に、車体側コネクタ7とバッテリ側コネクタ65との接続及び接続解除の作業を容易に行うことができる。
【0059】
また、バッテリ側コネクタ65が可撓性を有するバッテリ側ハーネス64Hに接続される場合においては、バッテリケース63は、貫通孔630が形成された上壁631に、位置決め部分63Aを有してもよい。位置決め部分63Aは、バッテリケース63の上壁631において、車体側コネクタ7との接続が解除されたバッテリ側コネクタ65を固定または位置決めするための部分である。位置決め部分63Aは、バッテリ6の着脱方向Dに見て、バッテリ側コネクタ65が上壁631の範囲内に収まるように、当該バッテリ側コネクタ65を固定または位置決めすることが可能である。車体フレーム11に対するバッテリ6の着脱の際には、位置決め部分63Aによって、上壁631の範囲内に収まる位置にバッテリ側コネクタ65を位置決めすることができる。これにより、バッテリ側コネクタ65がバッテリ6の着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【0060】
上記の実施形態では、バッテリ側アース線642がバッテリケース63内に配索される態様について説明したが、このような態様に限られない。
図6に示す第3変形例に係るバッテリ6のように、バッテリ側アース線642は、その一部がバッテリケース63外に配索され、残りの部分がバッテリケース63内に配索されてもよい。この場合、バッテリ側アース線642が接続される導電性突片634は、バッテリケース63における導電性部位633Aの外側に露出してもよい。
【0061】
また、
図7に示す第4変形例に係るバッテリ6のように、バッテリ側アース線642は、その全体がバッテリケース63外に配索されてもよい。この場合、バッテリ側アース線642は、バッテリ側コネクタ65のソケット653に形成される挿入孔6531を介してソケット653内に挿入されて、バッテリ側アース端子652に接続される。また、バッテリ側アース線642は、複数設けられてもよい。この場合、複数のバッテリ側アース線642は、一本に合流されて、バッテリ側アース端子652に接続されてもよい。
【0062】
上記の実施形態では、バッテリ側コネクタ65がバッテリケース63の上壁631の範囲内に収まるように配置される態様について説明したが、このような態様に限られない。
図8に示す第5変形例に係るバッテリ6のように、バッテリ側コネクタ65は、バッテリケース63から離れて設けられてもよい。バッテリ側コネクタ65とバッテリケース63とは、可撓性を有するバッテリ側ハーネス64Hで接続される。
図8に示す例では、バッテリ側ハーネス64Hは、バッテリケース63の内側から、上壁631に形成された貫通孔630を貫通して外側にまで延びる、バッテリ側電力線641及びバッテリ側アース線642の各露出部分を束ねたハーネスである。この場合、車体側コネクタ7に接続される車体側ハーネス7Hは、可撓性を有しないように構成されていてもよい。例えば、車体側ハーネス7Hは、車体フレーム11に固定されていてもよい。バッテリケース63の上壁631に位置決め部分63Aが設けられることが好ましい。位置決め部分63Aは、バッテリケース63の上壁631において、車体側コネクタ7との接続が解除されたバッテリ側コネクタ65を固定または位置決めするための部分である。これにより、可撓性を有するバッテリ側ハーネス64Hやバッテリ側コネクタ65がバッテリ6の着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【0063】
上記の実施形態では、バッテリ側電力線641とバッテリ側アース線642とが1つのバッテリ側コネクタ65に集約された構造のバッテリ6について説明したが、このような構造に限られない。
図9に示す第6変形例に係るバッテリ6のように、バッテリ6は、互いに別個独立の第1バッテリ側コネクタ65Aと第2バッテリ側コネクタ65Bとを備えてもよい。例えば、第1バッテリ側コネクタ65Aは、バッテリ側電力線641が接続されるバッテリ側電力端子651を有するコネクタである。一方、第2バッテリ側コネクタ65Bは、バッテリ側電力線641以外のバッテリ側電気線であるバッテリ側信号線641Bが接続されるバッテリ側信号端子651Bと、バッテリ側アース線642が接続されるバッテリ側アース端子652とが集合したコネクタである。バッテリ側信号線641Bは、バッテリセル611以外のケース内電装部品である管理ユニット62やセンサ621などに接続されて、ケース外電装部品の一種である車体制御装置に電気信号を伝送するためのバッテリ側電気線である。
【0064】
上記のように、バッテリ側電力線641が接続される第1バッテリ側コネクタ65Aとは別の第2バッテリ側コネクタ65Bに、バッテリ側信号線641Bとバッテリ側アース線642とを集約させてもよい。もちろん、バッテリ側電力線641とバッテリ側信号線641Bとバッテリ側アース線642とを、1つのバッテリ側コネクタに集約させてもよい。バッテリ側電気線が複数存在する場合、全てのバッテリ側電気線とバッテリ側アース線642とを1つのバッテリ側コネクタに集約させてもよいし、複数のバッテリ側電気線のうちの少なくとも1つの電気線とバッテリ側アース線642とを1つのバッテリ側コネクタに集約させてもよい。
【0065】
上記の実施形態では、バッテリ側電力線641及びバッテリ側アース線642の各々が貫通する一対の貫通孔630がバッテリケース63に形成される態様について説明したが、このような態様に限られない。バッテリケース63に1つの貫通孔630が形成されて、当該1つの貫通孔630に複数の電気線やアース線が貫通するように構成されてもよい。
【0066】
上記の実施形態では、車体フレーム11に対するバッテリ6の着脱方向Dが上下方向に沿った方向である態様について説明したが、このような態様に限られない。車体フレーム11に対するバッテリ6の着脱方向Dは、上下方向に沿った方向であること以外に、左右方向や前後方向に沿った方向であってもよい。
【0067】
上記の実施形態では、ケース外電装部品が電動モータ5及び車体制御装置である態様について説明したが、このような態様に限られない。ケース外電装部品は、電動モータ5及び車体制御装置以外に、例えば、変圧器、DCDCコンバータ、発電機、充電器などであってもよい。
【0068】
上記の実施形態では、乗物の一種である電動二輪車に本開示を適用した例について説明したが、これに限られない。例えば、運転者が跨って運転操作する鞍乗型乗物に本開示を適用してもよい。鞍乗型乗物としては、電動二輪車以外に、例えば、三輪車、四輪バギー、水上バイク等が挙げられる。鞍乗型乗物の場合、運転者が脚で車体を挟むことで、乗物を傾斜させて走行させることがあり、乗物と運転者の接触領域が増えやすい。上述した本開示の構造を採用することで、バッテリ6の帯電部位から運転者に伝わる電流を抑えることができる。鞍乗型乗物は、足置きがシート8の左右方向側面に配置されてもよいし、スクータのように足置きがシート8の前方に配置されてもよい。また、本開示は、陸上を移動する乗物に限らず、水上や空中を移動する乗物にも適用することができる。
【0069】
上記の実施形態では、駆動源として電動モータ5を備える例について説明したが、駆動源は、エンジンであってもよい。また、エンジンと電動モータとの組み合わせのように、2種類以上の異なる駆動源を組み合わせたハイブリッド構造であってもよい。
【0070】
上記の実施形態では、電動モータ5の上方にバッテリ6が配置される態様について説明したが、このような態様に限られない。例えば、電動モータ5は、インホイールモータであってもよいし、バッテリ6と前後方向に並んで配置されてもよい。また、バッテリ6は、シート8の下方に配置されることに限られない。バッテリ6は、車体フレーム11に対して着脱可能に構成されていればよい。例えば、バッテリ6は、シート8に対して、前方や後方に配置されてもよい。
【0071】
上記の実施形態では、車体フレーム11に接地部位110が設定される態様について説明したが、このような態様に限られない。車体フレーム11に電気的に接続される導電性部位に接地部位110が設定されてもよい。例えば、車体フレーム11に接続される金属製のモータケースの一部位が、接地部位110として設定されてもよい。また、車体フレーム11に接続されて、車体構成部品を支持するための金属製のブラケットが、接地部位110として設定されてもよい。
【0072】
上記の実施形態では、車体フレーム11に取り付けられたバッテリトレー40にバッテリ6が支持される態様について説明したが、このような態様に限られない。例えば、バッテリ6は、車体フレーム11に対して、締結部材を介して締結固定されてもよい。また、車体フレーム11に設けられるガイドに沿ってバッテリ6を案内する構造でもよい。
【0073】
上記の実施形態では、乗物がバッテリ6を構成要素として含む態様について説明したが、このような態様に限られない。乗物は、バッテリ6を除いた状態で、バッテリ6を着脱可能に支持する車体フレーム11と、車体側電力線711を含む車体側電気線と、車体側アース線721と、車体側コネクタ7とを備えていればよい。バッテリ6を除いた状態の乗物であっても、車体フレーム11に対してバッテリ6が着脱されることで、上記の実施形態に係る乗物と同様の効果を得ることができる。
【0074】
[まとめ]
以上説明した実施形態及びその変形例をまとめると以下のとおりである。
【0075】
本開示の一局面に係る乗物は、バッテリと、前記バッテリを着脱可能に支持する車体フレームと、前記バッテリから与えられる電力で駆動される電装部品と、前記バッテリ外に配索されて、前記電装部品と電気的に接続される車体側電力線と、前記バッテリ外に配索されて、予め設定される接地部位と電気的に接続される車体側アース線と、前記車体側電力線及び前記車体側アース線の各端子部分が集合した車体側コネクタと、を備える。前記バッテリは、バッテリセルと、前記バッテリセルを覆って、前記車体フレームに支持されるバッテリケースと、前記バッテリケース内に配索されて、前記バッテリセルと電気的に接続されるバッテリ側電力線と、前記バッテリケースの導電性部位と電気的に接続されるバッテリ側アース線と、前記バッテリ側電力線及び前記バッテリ側アース線の各端子部分が集合し、前記バッテリケース外に配置されるバッテリ側コネクタと、を含む。
【0076】
この態様では、バッテリが車体フレームに支持された状態で、車体側コネクタとバッテリ側コネクタとが接続されることにより、車体側電力線とバッテリ側電力線とが電気的に導通すると同時に、車体側アース線とバッテリ側アース線とが電気的に導通する。すなわち、電力接続を行うと同時に、アース接続を行うことができる。このため、車体フレームに対するバッテリの着脱の作業性を向上させることができる。
【0077】
上記の乗物において、前記バッテリ側アース線は、前記バッテリケースの導電性部位に対して前記バッテリケースの内側から接続されて、前記バッテリケース内に配索されていてもよい。この態様では、バッテリ側アース線が着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【0078】
上記の乗物において、前記バッテリケースは、前記車体フレームに対する前記バッテリの着脱方向の一端に位置する端壁を含み、前記端壁は、前記バッテリ側電力線が前記バッテリ側コネクタに向けて貫通する貫通孔を有していてもよい。
【0079】
この態様では、バッテリ側コネクタは、バッテリケースに対し、バッテリ側電力線及びバッテリ側アース線が貫通する貫通孔が形成された端壁の外側に配置されることになる。この場合、バッテリケースの端壁は、車体フレームに対するバッテリの着脱方向の一端に位置しているので、車体フレームに対するバッテリの着脱の際に、車体側コネクタとバッテリ側コネクタとの接続及び接続解除を容易に行うことができる。
【0080】
上記の乗物において、前記車体側コネクタ及び前記バッテリ側コネクタの少なくともいずれか一方は、コネクタと反対側の基端部に対して、可撓性を有するハーネスを介して接続されていてもよい。この態様では、コネクタ同士の相対位置を移動させやすくなる。このため、車体フレームに対するバッテリの着脱の際に、車体側コネクタとバッテリ側コネクタとの接続及び接続解除を容易に行うことができる。
【0081】
上記の乗物において、前記車体フレームは、前記バッテリを着脱するためのバッテリ挿入開口が形成され、前記バッテリ側コネクタは、前記バッテリが前記車体フレームに支持された状態で、前記バッテリ挿入開口に近接した位置に配置されてもよい。この態様では、バッテリ挿入開口を通じた車体フレームに対するバッテリの着脱の際に、車体側コネクタとバッテリ側コネクタとの接続及び接続解除をバッテリ挿入開口付近で行うことができる。
【0082】
上記の乗物において、前記バッテリ側コネクタは、前記バッテリケースの外面に直接設けられたダイレクトコネクタであってもよい。この態様では、車体フレームに対するバッテリの着脱の際に、バッテリ側電力線及びバッテリ側アース線が着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【0083】
上記の乗物において、前記バッテリケースは、前記車体フレームに対する前記バッテリの着脱方向の一端に位置する端壁を含み、前記着脱方向に見て、前記バッテリ側コネクタが前記端壁の範囲内に収まるように位置決めされる位置決め部分を有してもよい。
【0084】
この態様では、車体フレームに対するバッテリの着脱の際には、バッテリケースの位置決め部分によって、端壁の範囲内に収まる位置にバッテリ側コネクタを位置決めすることができる。これにより、バッテリ側コネクタが車体フレームに対するバッテリの着脱作業の邪魔になることを防ぎやすい。
【符号の説明】
【0085】
1 車体
11 車体フレーム
110 接地部位
5 電動モータ(電装部品)
6 バッテリ
611 バッテリセル
63 バッテリケース
630 貫通孔
633A 導電性部位
641 バッテリ側電力線
642 バッテリ側アース線
65 バッテリ側コネクタ
7 車体側コネクタ
711 車体側電力線
721 車体側アース線