(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007023
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】加熱調理器具
(51)【国際特許分類】
F24C 3/02 20210101AFI20250109BHJP
F24C 3/08 20060101ALI20250109BHJP
F23D 14/02 20060101ALI20250109BHJP
F23D 14/84 20060101ALI20250109BHJP
A47J 27/00 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
F24C3/02 H
F24C3/08 Q
F23D14/02 E
F23D14/84 Z
A47J27/00 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108150
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】林 周作
(72)【発明者】
【氏名】高橋 建次
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋行
【テーマコード(参考)】
3K017
4B055
【Fターム(参考)】
3K017AA01
3K017AB05
3K017AB08
3K017AD01
3K017AE03
4B055AA04
4B055BA63
4B055CA71
4B055CA90
4B055DB08
4B055EA05
4B055EA07
(57)【要約】
【課題】上方に開口部11を有し、調理容器Ktが開口部を通して収納可能な上収納室12と、上収納室に連通すると共にバーナBnが配置される下収納室13とを有する器具本体1を備える加熱調理器具HCを、バーナの燃焼板3から噴出する水素ガスを拡散燃焼させる際に、燃焼板3の各部から噴出する水素ガス量が均一でない状態でも、燃焼板からの水素火炎の高さを均等にして調理容器をムラなく加熱できるように構成する。
【解決手段】下収納室を囲う器具本体の外壁部分の外面に開口する吸気口41と外壁部分の内面に開口する吐気口42とを有して二次空気を導入する導入通路4を設ける。導入通路が、平面視で周方向の間隔を存して複数設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口部を有し、調理容器が前記開口部を通して収納可能な上収納室と、前記上収納室に連通すると共にバーナが配置される下収納室とを有する器具本体を備える加熱調理器具であって、
前記バーナは、内部に水素ガスが供給されるバーナボディと、前記バーナボディの上面開口部を覆う燃焼板とを備え、前記燃焼板から噴出する前記水素ガスを拡散燃焼させるものにおいて、
前記下収納室を囲う前記器具本体の外壁部分の外面に開口する吸気口と前記外壁部分の内面に開口する吐気口とを有して、前記燃焼板から噴出する前記水素ガスに向けて二次空気を導入する導入通路と、前記上収納室を囲う前記器具本体の周壁部分に開設されて水素ガスの燃焼で生ずる水素燃焼ガスを排気する排気口とを更に備え、
前記導入通路が、平面視で周方向の間隔を存して複数設けられることを特徴とする加熱調理器具。
【請求項2】
前記燃焼板が周方向で複数の燃焼領域に区画され、
これら区画された前記燃焼領域の外周縁部の周方向両端を結ぶ線を前記バーナの径方向に投影したときに前記線を内包する前記外壁部分の内面領域を吐気口形成領域として、前記吐気口形成領域に少なくとも1個の前記吐気口が存することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器具。
【請求項3】
前記器具本体の底面に、下方に突出する脚部が設けられ、
前記吸気口が開口する前記外壁部分の外面を前記器具本体の底面としたことを特徴とする請求項2記載の加熱調理器具。
【請求項4】
前記導入通路を介して導入される二次空気量を調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器具に関し、より詳しくは、上方に開口部を有し、調理容器が前記開口部を通して収納可能な上収納室と、前記上収納室に連通すると共にバーナが配置される下収納室とを有する器具本体を備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器具として例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このものでは、下収納室を囲う器具本体の周壁部分に、ガスバーナの挿入を可能とする単一の挿入孔が形成されている。ガスバーナは、混合管部を介して内部に混合気(燃料ガスと一次空気との混合ガス)が供給されるバーナボディと、バーナボディの上面開口部を覆う円盤状の燃焼板とを備え、燃焼板には多数の炎孔が形成されている。そして、器具本体の上収納室に開口部を通して調理器具としての鍋(釜)を収納した後、バーナボディに混合気を供給し、炎孔を通して燃焼板から噴出する混合気を燃焼させることで鍋を加熱している。
【0003】
ところで、近年では、地球温暖化防止のため、炭化水素ガスの代替燃料として二酸化炭素を排出しない水素が注目されている。そこで、上記従来例のような加熱調理器具において、バーナを燃焼板から噴出する水素ガスを拡散燃焼させるもので構成することが考えられる。然し、バーナボディ内に周方向1箇所から水素ガスを供給すると、水素ガスの供給箇所に近い燃焼板の部分から噴出する水素ガス量に比べて、水素ガスの供給箇所から離れた燃焼板の部分から噴出する水素ガス量が減少する。しかも、バーナボディへの水素ガスの供給方向と同方位に位置する単一の挿入孔から二次空気が供給されることになるので、水素ガスの供給箇所から離れた燃焼板の部分への二次空気量も低下する。そのため、水素ガスの供給箇所から離れたところに生成される水素火炎は、その大きさが比較的小さくなるだけでなく、二次空気を求めて挿入孔の方位に向けて傾く。その結果として、燃焼板の各部における水素火炎の燃焼板からの高さが不均等になって、調理容器を加熱したときに加熱ムラが生じるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、燃焼板の各部から噴出する水素ガス量が均一でない状態でも、燃焼板からの水素火炎の高さを均等にして調理容器をムラなく加熱できるようにした加熱調理器具を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、上方に開口部を有し、調理容器が前記開口部を通して収納可能な上収納室と、上収納室に連通すると共にバーナが配置される下収納室とを有する器具本体を備える加熱調理器具であって、バーナは、内部に水素ガスが供給されるバーナボディと、バーナボディの上面開口部を覆う燃焼板とを備え、燃焼板から噴出する前記水素ガスを拡散燃焼させるものにおいて、下収納室を囲う器具本体の外壁部分の外面に開口する吸気口と外壁部分の内面に開口する吐気口とを有して、燃焼板から噴出する水素ガスに向けて二次空気を導入する導入通路と、上収納室を囲う器具本体の周壁部分に開設されて水素ガスの燃焼で生ずる水素燃焼ガスを排気する排気口とを更に備え、導入通路が、平面視で周方向の間隔を存して複数設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、周方向複数箇所から二次空気が導入される。そして、噴出する水素ガス量が比較的少ない燃焼板の部分では、吐気口を通して導入される二次空気量を比較的多くすることで、二次空気を求めてその上方に立つように水素火炎を伸ばすことができる。一方、噴出する水素ガス量が比較的多い燃焼板の部分では、吐気口を通して導入される二次空気量を比較的少なくすることで、吐気口側に向けて水素火炎を傾けることができる。これにより、燃焼板の各部における当該燃焼板からの水素火炎の高さを均等にできる。このように本発明では、周方向複数箇所から二次空気が導入される構成を採用して、周方向の各箇所から導入される二次空気量を適宜設定することで、燃焼板の各部から噴出する水素ガス量が均一でない状態でも、燃焼板からの水素火炎の高さを均等にして調理容器をムラなく加熱することができる。
【0008】
また、本発明においては、燃焼板が周方向で複数の燃焼領域に区画され、これら区画された燃焼領域の外周縁部の周方向両端を結ぶ線をバーナの径方向に投影したときに当該線を内包する外壁部分の内面領域を吐気口形成領域として、吐気口形成領域に少なくとも1個の前記吐気口が存することが好ましい。これによれば、複数に区画された燃焼領域毎に二次空気量を調整することで、調理器具に対する加熱ムラを一層抑制することができ、有利である。
【0009】
更に、本発明においては、器具本体の底面に、下方に突出する脚部が設けられ、吸気口が開口する外壁部分の外面を器具本体の底面としてもよい。これによれば、加熱調理器具の設置状態では、導入通路の吸気口が直接視認できずに目立たなくできるため、デザイン性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明においては、導入通路を介して導入される二次空気量を調整する調整手段を備えることが好ましい。これによれば、加熱調理器具を製造するときのバラツキや加熱調理器具を設置して使用するときの状況に応じて、燃焼板から噴出する水素ガスに対して供給する二次空気量を調整することができ、有利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の加熱調理器具をその調理器具を取り外した状態で示す斜視図。
【
図5】(a)及び(b)は、器具本体の外壁部分における吐気口形成領域を説明する図。
【
図7】変形例に係る加熱調理器具の底面側から視た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、調理器具を米と水が収納される炊飯釜Ktとした炊飯器を例に加熱調理器具HCの実施形態を説明する。なお、本発明にいう「水素」は、純水素に限定されるものではなく、例えば、臭い付けのための付臭剤を少量で添加するような場合も含む。
【0013】
図1及び
図2を参照して、本実施形態の加熱調理器具HCは直方体状の器具本体1を備える。器具本体1は、上方に開口部11を有し、炊飯釜Ktが開口部11を通して収納が可能な上収納室12と、上収納室12に連通すると共に炊飯釜Ktを加熱する後述のバーナBnが配置される下収納室13とを有する。下収納室13を囲う器具本体1の外壁部分の一つである底壁部分13aは、下収納室13を囲う器具本体1の外壁部分の他の一つである周壁部分13bが底壁部分13aよりも下方にのびることで、器具本体1の設置床面から浮くようにしている。そして、底壁部分13aより下方に位置する周壁部分13bには、空気取入口14aが形成され、底壁部分13aにも空気取入口14bが形成されている。なお、底壁部分13aより下方に位置する周壁部分13bで、器具本体1の底面に設けられる、下方に突出する脚部Lpが構成される。
【0014】
器具本体1の上面には、上収納室12を囲う器具本体1の周壁部分の一部となって開口部11を画成する環状の突出壁部15を有する。そして、炊飯釜Ktをその上方から器具本体1の開口部11を通して挿入すると、炊飯釜Ktの外周面から径方向に張り出すフランジ部Kfが突出壁部15の上面に着座し、フランジ部Kfより下方に位置する炊飯釜Ktの部分が上収納室12内に収納された状態で炊飯釜Ktが支持される。突出壁部15には、周方向の間隔を存して排気口16が複数形成され、水素ガスの燃焼で生ずる水素燃焼ガスが排気される。また、加熱調理時、炊飯釜Ktの上面開口部には蓋kdが載置される。
【0015】
図3~
図6も参照して、下収納室13に配置されるバーナBnは、内部に水素ガスが供給されるバーナボディ2と、バーナボディ2の上面開口部を覆う燃焼板3とを備える。バーナボディ2は、中央部に開口21aを有する環状のベース板部21と、ベース板部21の内周縁部から上方に起立する内筒部22と、ベース板部21の外周縁部から上方に起立する外筒部23とを有する。そして、ベース板部21の下面に設けられる支持脚24,24を介して底壁部分13aの内面(上面)に設置される。また、外筒部23の周方向1箇所には、径方向外方に膨出させた膨出部分23aが設けられ、膨出部分23aには、その径方向から接続管25が接続されている。接続管25には、先端部にガスノズル26を有するガス管27が接続されている。ガス管27には、特に図示して説明しないが、電磁開閉弁やガスコック等の弁が介設され、内筒部22と外筒部23との間に画成されるバーナボディ2内の空間2aに弁を介して水素ガスが供給される。なお、バーナBnの燃焼に必要なこれらの部品としては公知のものが利用できるため、これ以上の説明は省略する。
【0016】
燃焼板3は、炎孔31aが多数形成され、空間2aの上方を塞ぐ環状の本体部31と、本体部31の上面に設置されて燃焼板3を周方向で複数の燃焼領域32に区画する区画板部33とを有する。区画板部33は、内筒部22の上面に載置される環状の内側パッキン34aとの間で本体部31の内周縁を挟持した状態で内筒部22の上面にビス止めされる内円環板部分33aと、外筒部23の上面に載置される環状の外側パッキン34bとの間で本体部31の外周縁を挟持した状態で外筒部23の上面にビス止めされる外円環板部分33bと、内円環板部分33aと外円環板部分33bとを径方向で橋渡す梁板部分33cとを有する。本実施形態では、梁板部分33cが周方向に90度間隔で設けられ、内円環板部分33a、外円環板部分33b及び梁板部分33cで区画される4個の開口が燃焼板3の燃焼領域32を夫々構成する。
【0017】
ところで、水素ガスの燃焼で生ずる水素火炎は、可視光領域の化学発光を伴う活性種が存在しないため、殆ど視認することができない。そこで、燃焼板3の本体部31の上表面や区画板部33の上表面に炎色反応剤を塗布することができる。このような場合には、例えば、耐熱性を有する公知の塗料を準備し、この塗料に所定の重量割合で例えば顆粒状の炎色反応剤を添加し、炎色反応剤が添加された塗料を表面に塗布すればよい。炎色反応剤としては、衛生上の問題がなく、また、可視光領域の化学発光を発現するものであれば、特に制限はなく、例えば、塩化ナトリウム(黄色)、炭酸ナトリウム(黄色)や塩化カリウム(赤紫色)といった化合物を用いることができる。これにより、水素火炎が炎色反応剤と反応して炎色反応が起こることで、水素火炎の確認が可能になる。
【0018】
器具本体1の下収納室13を囲う周壁部分13bには、炎孔31aを介して燃焼板3から噴出する水素ガスに向けて二次空気を導入する導入通路4が平面視で周方向の間隔を存して複数設けられている。本実施形態では、各燃焼領域32に夫々対応させて、径方向にのびる4本の導入通路4が設けられている。導入通路4は、周壁部分13bの外面131に開口する吸気口41と、周壁部分13bの内面132に開口する吐気口42とを有する。吐気口42は、
図5(a)に示すように、燃焼領域32の外周縁部の周方向両端を結ぶ線VlをバーナBnの径方向に投影したときに線Vlを内包する周壁部分13bの内面領域を吐気口形成領域42aとして、吐気口形成領域42aに少なくとも1個の吐気口42が存するように形成される。
【0019】
吐気口形成領域42aの輪郭は、各燃焼領域32に夫々生成される水素火炎のバーナBn下方への潜り込みを可及的に抑制しながら、各燃焼領域32から噴出する水素ガスに万遍なく二次空気が供給できるものであれば、特に制限されるものではない。本実施形態では、
図5(b)に示すように、吐気口形成領域42aを側面視で矩形の輪郭とし、その上辺が、線Vlと同等以上の長さを有すると共に燃焼板3より上方に位置し、両側辺が、梁板部分33cからのびる延長線上に夫々位置すると共にその下端が底壁部分13aまで達して底壁部分13aの内面が下辺をなすように設定されている。吐気口形成領域42aに単一の吐気口42を形成している。また、吸気口41は、吐気口42と同等の開口面積に設定されている。なお、吐気口形成領域42aに単一の吐気口42を形成するものを例に説明するが、例えば、吐気口形成領域42aに、開口面積が同等の複数の吐気口42が例えば上下左右方向に並ぶように形成することができ、このとき、導入通路4も複数に分けることもできる。他方で、吐気口形成領域42aに対応する燃焼領域32において、導入される二次空気量が多くなる部分と少なくなる部分とに分かれるように、開口面積が異なる複数の吐気口42を形成するようにしてもよい。
【0020】
器具本体1の外面には、吸気口41の両側に位置させて上下方向にのびる一対の案内レール5,5が設けられている(
図1参照)。両案内レール5,5には、吸気口41の開口面積を増減する板状の開閉扉6が上下方向に摺動自在に係合し、係止具7によって開閉扉6を位置決め保持することができる。本実施形態では、開閉扉6が、吸気口41の開口面積を増減させて下収納室13に導入される二次空気量を調整する調整手段を構成する。開閉扉6は、バーナBnが存する下収納室13内部を視認できるようにガラスなどの耐熱性及び光透過性を有する部材で構成され、その上縁部には把手部61が設けられている。係止具7は、支柱部71と支柱部71から直交方向に突設した2本の係止ピン72とで構成される。開閉扉6の両側にはまた、上下方向に等間隔で板厚方向に貫通する複数の透孔62が夫々開設され、器具本体1の外面には、透孔62に対応させて係止ピン72が嵌合する嵌合凹部63が上下方向に透孔62と同一の間隔で複数形成されている。そして、調整しようとする二次空気量に応じて、把手部61を介して開閉扉6を上動または下動し、各係止ピン72を、透孔62を通して嵌合凹部63に嵌合することで、開閉扉6が係止される。
【0021】
器具本体1の外面には、例えば電池からの電力を受けてバーナBnの作動を制御する図示省略の制御基板を内蔵する制御箱Cbが設けられている。外筒部23の膨出部分23aには取付板28が設けられ、取付板28には、一対の棒状電極8a,8bが取り付けられる。そして、ガス管27に介設された弁が開弁されると、バーナボディ2内の空間2aに水素ガスが供給され、炎孔31aを通して燃焼板3から水素ガスが噴出すると共に、燃焼領域32に夫々対応する各導入通路4から二次空気が導入される。更に、空気取入口14a,14bから内筒部22の内方空間を通って二次空気が導入される。そして、制御基板で制御される図示省略のイグナイタから一対の棒状電極8a,8b間に高電圧が印加され、そのときに生ずる花火放電で点火されて水素ガスが拡散燃焼する。これにより、炊飯釜Ktは、その底面が各燃焼領域32に夫々生成される水素火炎で加熱されると共に、水素ガスの燃焼で生ずる水素燃焼ガスが炊飯釜Ktの外周壁を伝って排気口16へと排気される間に水素燃焼ガスで炊飯釜Ktが加熱される。本実施形態では、
図6に示すように、水素燃焼ガスが炊飯釜Ktの周囲を均等に流れるように、排気口16は、平面視で互いに隣接する燃焼領域32の間に跨るように形成している。
【0022】
ここで、バーナボディ2内の空間2aに周方向1箇所の接続管25から水素ガスを供給すると、接続管25の接続箇所に近い燃焼領域32(以下、これを「燃焼領域32a」とする)から噴出する水素ガス量に比べて、接続管25から離れた燃焼板3の燃焼領域32(以下、これを「燃焼領域32b」とする)から噴出する水素ガス量が減少する。そこで、燃焼領域32bに対応する導入通路4では、吸気口41に対する開閉扉6の位置を適宜調整して吸気口41の開口面積を大きくする。これにより、燃焼領域32bから噴出する水素ガスに向けて導入される二次空気量が多くなることで、二次空気を求めてその上方に立つように水素火炎を伸ばすことができる。一方、燃焼領域32aに対応する導入通路4では、吸気口41に対する開閉扉6の位置を適宜調整して吸気口41の開口面積を小さくする。これにより、水素ガスに向けて導入される二次空気量が少なくなることで、吐気口42側に向けて水素火炎を傾かせることができる。その結果、各燃焼領域32にて燃焼板3からの水素火炎の高さを均等にできる。
【0023】
以上の実施形態によれば、燃焼領域32毎に二次空気量を調整して各燃焼領域32における水素火炎の高さを均等にできるため、炊飯釜Ktの底部をバーナBnによりムラなく加熱することができる。しかも、吸気口41に対する開閉扉6の位置が適宜調整できるため、加熱調理器具HCを製造するときのバラツキや加熱調理器具HCを設置して使用するときの状況に応じて、燃焼板3の各燃焼領域32から噴出する水素ガス量が変化しても、この変化に合わせて二次空気量を更に調整することができ、有利である。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、周方向で4分割された各燃焼領域32に対応させて、4本の導入通路4を設けているが、燃焼領域32の分割する数や導入通路4の数は任意に設定することができる。一方、接続管25からバーナボディ2内の空間2aに水素ガスを供給したときの各燃焼領域32から噴出する水素ガス量を予め算出し、この算出した水素ガス量に応じて、導入すべき二次空気量を予め実験的に求め、加熱調理器具HCの設計段階で導入通路4の通路面積を、実験的に設けた二次空気量に応じて予め設定し、水素火炎の高さを均等にすることも可能である。
【0025】
また、上記実施形態では、吸気口41を周壁部分13bに設けたものを例に説明したが、これに限定されるものではない。
図7及び
図8を参照して、変形例に係るものでは、器具本体1の底壁部分13aの底面、即ち、器具本体1の底面には、その四隅に位置させて下方に突出する脚部Lpが設けられている。そして、器具本体1の底面に導入通路4の吸気口41を複数設けている。これにより、加熱調理器具HCの設置状態では、導入通路4の吸気口41が直接視認できずに目立たなくできるため、デザイン性を向上させることができる。
【0026】
更に、上記実施形態では、調理容器としての炊飯釜Ktをそのフランジ部Kfを突出壁部15の上面に着座させて支持するものを例に説明したが、開口部11を通して上収納室12に収納される調理容器を支持できるものであれば、その形態は問わない。例えば、特に図示して説明しないが、上収納室12内に、網目状の載置台や五徳を設置して調理器具を支持するようにしてもよい。また、上記実施形態では、バーナBnの燃焼板3として、炎孔31aが多数形成され環状の本体部31を備えるものを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、燃焼板3を金属繊維や金属ビーズを積層した積層体を焼結してなる焼結体シートで構成することもできる。更に、上記実施形態では、器具本体1として直方体状のものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、器具本体1を円柱状としてもよい。その際、開閉扉6は、器具本体1の外面に沿う形状とすればよい。
【符号の説明】
【0027】
HC…加熱調理器具、Kt…釜(調理容器)、1…器具本体、11…開口部、12…上収納室、13…下収納室、13a…底壁部分(下収納室を囲う器具本体の外壁部分)、13b…周壁部分(下収納室を囲う器具本体の外壁部分)、16…排気口、Bn…バーナ、2…バーナボディ、3…燃焼板、32…燃焼領域、4…導入通路、Lp…脚部、41…吸気口、42…吐気口、42a…吐気口形成領域、6…開閉扉(調整手段)。