(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007044
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108182
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】西出 基
(72)【発明者】
【氏名】平田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】竹松 佑介
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB33
5F157AB48
5F157AB90
5F157AC41
5F157BB11
5F157CE82
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF90
5F157CF99
5F157DB51
(57)【要約】
【課題】処理液の循環再開時に基板に付着する異物が増加することを抑制できる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、処理液貯留部11と、流入配管13と、少なくとも1つの循環配管15、19と、ポンプ21と、フィルタ部27と、圧力調整弁55と、制御部111とを備える。流入配管13に、処理液貯留部11から処理液が流入する。少なくとも1つの循環配管15、19は、上流端が流入配管13に接続されるとともに、下流端が処理液貯留部11に接続されて、処理液を循環させる。ポンプ21及びフィルタ部27は、流入配管13に配置される。圧力調整弁55は、ポンプ21が処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力を調整する。制御部111は、ポンプ21の駆動開始時に圧力調整弁55を制御して昇圧処理を実行する。昇圧処理は、ポンプ21の吐出圧力を目標圧力まで徐々に増加させる処理を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を用いて基板を処理する基板処理装置であって、
前記処理液を貯留する処理液貯留部と、
前記処理液貯留部から前記処理液が流入する流入配管と、
上流端が前記流入配管に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液を循環させる少なくとも1つの循環配管と、
前記流入配管に配置され、気体の圧力により駆動して前記処理液を流通させるポンプと、
前記流入配管に配置され、前記処理液から異物を除去するフィルタ部と、
前記ポンプに供給する前記気体の圧力を調整して、前記ポンプが前記処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力を調整する圧力調整弁と、
前記ポンプの駆動開始時に前記圧力調整弁を制御して昇圧処理を実行する制御部と
を備え、
前記昇圧処理は、前記ポンプに供給する前記気体の圧力を徐々に増加させて、前記吐出圧力を目標圧力まで徐々に増加させる処理を含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記履歴情報に基づいて、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記履歴情報に基づいて、前記昇圧処理の開始時に前記ポンプに供給する前記気体の圧力を調整することにより、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの循環配管は、第1循環配管と、前記第1循環配管よりも短い第2循環配管とを含み、
前記基板処理装置は、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環と、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環とを制御する循環制御機構を更に備え、
前記制御部は、前記ポンプの駆動開始時に前記循環制御機構を制御して、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を開始させ、
前記制御部は、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させている途中で前記循環制御機構を制御して、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を停止させる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ポンプは、
前記気体が流入する第1気体室及び第2気体室と、
前記処理液が流入する第1液室及び第2液室と
を有し、
前記第1気体室及び前記第2気体室はそれぞれ容積が可変であり、
前記第1液室及び前記第2液室はそれぞれ容積が可変であり、
前記第1気体室に前記気体が流入することにより前記第1液室から前記流入配管に前記処理液が送出され、
前記第2気体室に前記気体が流入することにより前記第2液室から前記流入配管に前記処理液が送出される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
処理液を用いて基板を処理する基板処理装置であって、
前記処理液を貯留する処理液貯留部と、
前記処理液貯留部から前記処理液が流入する流入配管と、
上流端が前記流入配管に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液を循環させる少なくとも1つの循環配管と、
前記少なくとも1つの循環配管を介した前記処理液の循環を制御する循環制御機構と、
前記流入配管に配置されて、前記処理液を流通させるポンプと、
前記流入配管に配置されて、前記処理液から異物を除去するフィルタ部と、
前記処理液を排出する排液配管と、
前記排液配管に配置されて、前記排液配管における前記処理液の流通を制御する排液バルブと、
前記循環制御機構と、前記ポンプが前記処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力と、前記排液バルブとを制御して、排液処理、循環開始処理、及び昇圧処理を実行する制御部と
を備え、
前記フィルタ部は、前記処理液に含まれる前記異物を捕捉するフィルタ膜を有し、
前記排液配管は、前記フィルタ膜を通過した前記処理液を排出し、
前記排液処理は、前記ポンプの駆動開始時に、前記吐出圧力を第1圧力まで増加させるとともに、前記排液バルブを制御して、前記排液配管から前記処理液を排出させる処理を含み、
前記制御部は、前記排液配管から前記処理液を排出させたことに応じて、前記吐出圧力を前記第1圧力よりも低い第2圧力まで低下させ、
前記制御部は、前記吐出圧力を前記第1圧力から前記第2圧力まで低下させたことに応じて、前記循環開始処理及び前記昇圧処理を実行し、
前記循環開始処理は、前記循環制御機構及び前記排液バルブを制御して、前記排液配管からの前記処理液の排出を停止させるとともに、前記少なくとも1つの循環配管のうちの1つを介した前記処理液の循環を開始させる処理を含み、
前記昇圧処理は、前記吐出圧力を前記第2圧力よりも大きい第3圧力まで段階的に増加させるか、あるいは前記吐出圧力を前記第2圧力よりも大きい第3圧力まで徐々に増加させる処理を含む、基板処理装置。
【請求項7】
前記排液配管は、前記フィルタ部又は前記流入配管に接続する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記排液配管は、前記少なくとも1つの循環配管のそれぞれと前記流入配管との接続箇所よりも上流側において前記流入配管に接続する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記履歴情報に基づいて、前記昇圧処理により前記吐出圧力を段階的又は徐々に増加させる期間を調整する、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記履歴情報に基づいて、前記昇圧処理の開始時に前記ポンプに供給する気体の圧力を調整することにより、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの循環配管は、第1循環配管と、前記第1循環配管よりも短い第2循環配管とを含み、
前記循環制御機構は、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環と、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環とを制御し、
前記循環開始処理は、前記循環制御機構を制御して、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を開始させる処理を含み、
前記制御部は、前記昇圧処理により前記吐出圧力を段階的又は徐々に増加させている途中で前記循環制御機構を制御して、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を停止させる、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記ポンプは、気体の圧力により駆動する、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記ポンプは、
前記気体が流入する第1気体室及び第2気体室と、
前記処理液が流入する第1液室及び第2液室と
を有し、
前記第1気体室及び前記第2気体室はそれぞれ容積が可変であり、
前記第1液室及び前記第2液室はそれぞれ容積が可変であり、
前記第1気体室に前記気体が流入することにより前記第1液室から前記流入配管に前記処理液が送出され、
前記第2気体室に前記気体が流入することにより前記第2液室から前記流入配管に前記処理液が送出される、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第1圧力は、前記第3圧力よりも大きい、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第2圧力は、前記ポンプの駆動が停止している状態での圧力を含む、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板の処理に用いられる処理液を貯留する処理液貯留部と、
前記処理液貯留部から前記処理液が流入する流入配管と、
上流端が前記流入配管に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液を循環させる少なくとも1つの循環配管と、
前記流入配管に配置され、気体の圧力により駆動して前記処理液を流通させるポンプと、
前記流入配管に配置され、前記処理液から異物を除去するフィルタ部と
を備える基板処理装置により前記基板を処理する基板処理方法であって、
前記ポンプの駆動を開始させて、前記処理液の循環を開始させる循環開始工程を含み、
前記循環開始工程は、前記ポンプの駆動開始時に昇圧処理を実行する工程を含み、
前記昇圧処理は、前記ポンプに供給する前記気体の圧力を徐々に増加させて、前記ポンプが前記処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力を徐々に増加させる処理を含む、基板処理方法。
【請求項17】
前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報に基づいて、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する工程を更に含む、請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報に基づいて、前記昇圧処理の開始時に前記ポンプに供給する前記気体の圧力を調整することにより、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する工程を更に含む、請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの循環配管は、第1循環配管と、前記第1循環配管より短い第2循環配管とを含み、
前記循環開始工程は、
前記ポンプの駆動開始時に、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を開始させる工程と、
前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させている途中で、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を停止させる工程と
を含む、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項20】
基板の処理に用いられる処理液を貯留する処理液貯留部と、
前記処理液貯留部から前記処理液が流入する流入配管と、
上流端が前記流入配管に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液を循環させる少なくとも1つの循環配管と、
前記流入配管に配置されて、前記処理液を流通させるポンプと、
前記流入配管に配置されて、前記処理液から異物を除去するフィルタ部と、
前記処理液を排出する排液配管と
を備える基板処理装置により前記基板を処理する基板処理方法であって、
前記フィルタ部は、前記処理液に含まれる前記異物を捕捉するフィルタ膜を有し、
前記排液配管は、前記フィルタ膜を通過した前記処理液を排出し、
前記基板処理方法は、
前記ポンプの駆動開始時に、前記ポンプが前記処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力を第1圧力まで増加させるとともに、前記排液配管から前記処理液を排出させる工程と、
前記排液配管から前記処理液を排出させたことに応じて、前記吐出圧力を前記第1圧力よりも低い第2圧力まで低下させる工程と、
前記吐出圧力を前記第1圧力から前記第2圧力まで低下させたことに応じて、循環開始処理及び昇圧処理を実行する工程と
を含み、
前記循環開始処理は、前記少なくとも1つの循環配管のうちの1つを介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記排液配管からの前記処理液の排出を停止させる処理を含み、
前記昇圧処理は、前記吐出圧力を前記第2圧力よりも大きい第3圧力まで段階的に増加させるか、あるいは前記吐出圧力を前記第2圧力よりも大きい第3圧力まで徐々に増加させる処理を含む、基板処理方法。
【請求項21】
前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報に基づいて、前記昇圧処理により前記吐出圧力を段階的又は徐々に増加させる期間を調整する工程を更に含む、請求項20に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報に基づいて、前記昇圧処理の開始時に前記ポンプに供給する気体の圧力を調整することにより、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する工程を更に含む、請求項20に記載の基板処理方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの循環配管は、第1循環配管と、前記第1循環配管よりも短い第2循環配管とを含み、
前記循環開始処理は、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を開始させる処理を含み、
前記基板処理方法は、前記昇圧処理により前記吐出圧力を段階的又は徐々に増加させている途中で、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を停止させる工程を更に含む、請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項24】
前記第1圧力は、前記第3圧力よりも大きい、請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項25】
前記吐出圧力を前記第1圧力よりも低い前記第2圧力まで低下させる工程は、前記ポンプの駆動を停止させる工程を含む、請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
循環ラインを備える基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。循環ラインには、ポンプと、フィルタとが設けられる。ポンプは、処理液が循環ラインを循環するように処理液を送液する。フィルタは、循環ラインを循環する処理液から異物を除去する。
【0003】
基板処理装置は、処理液の交換作業やトラブルからの復帰作業等が行われる際に動作を停止することがある。基板処理装置の動作が停止すると、循環ラインにおける処理液の循環も停止する。処理液の交換作業やトラブルからの復帰作業等が終了した後、基板処理装置の動作が再開されると、循環ラインを介した処理液の循環も再開する。
【0004】
しかしながら、処理液の循環を再開させた際に、ポンプの吐出圧力に起因して、フィルタに捕捉されていた異物がフィルタから放出され、基板に付着する異物の数が増加することがある。この問題は、ポンプの吐出圧力に応じた大きな圧力がフィルタに一気に加わることに起因する。
【0005】
このような問題に対し、特許文献1には、処理液の循環再開時に、循環ラインに設けられた背圧弁及びポンプを制御して、フィルタから異物が放出されることを抑制する技術が記載されている。
【0006】
具体的には、まず、制御部により背圧弁が制御されて、背圧弁の弁開度が最大の弁開度で保持される。その後、制御部は、ポンプの吐出圧力が第1圧力となるようにレギュレータを調整して、ポンプを駆動させる。この結果、処理液の循環が再開される。その後、制御部により背圧弁が制御されて、フィルタの上流側における圧力が所定の一定値に制御される。制御部は、フィルタの上流側における圧力を所定の一定値に制御した後、背圧弁の弁開度が小さくなるように背圧弁を制御する。その後、制御部は、ポンプの駆動開始から所定時間が経過したことに応じて、ポンプの吐出圧力が第2圧力となるようにレギュレータを調整する。ここで、第2圧力はポンプの最大吐出圧力を示し、第1圧力は第2圧力(ポンプの最大吐出圧力)より低い圧力を示す。また、ポンプの駆動開始からの所定時間は、フィルタの上流側と下流側との間の差圧が安定するまでに要する時間に調整される。
【0007】
特許文献1に記載の技術によれば、処理液の循環再開時に、フィルタの上流側と下流側との間の差圧がフィルタの耐差圧より大きくなることが抑制される。この結果、異物がフィルタをすり抜けて循環ラインが汚染されることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願の発明者は、特許文献1に記載された技術と異なる手段によって、処理液の循環再開時に基板に付着する異物が増加することを抑制する技術について、鋭意研究を行った。
【0010】
本発明の目的は、処理液の循環再開時に基板に付着する異物が増加することを抑制できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、処理液を用いて基板を処理する装置である。当該基板処理装置は、処理液貯留部と、流入配管と、少なくとも1つの循環配管と、ポンプと、フィルタ部と、圧力調整弁と、制御部とを備える。前記処理液貯留部は、前記処理液を貯留する。前記流入配管には、前記処理液貯留部から前記処理液が流入する。前記少なくとも1つの循環配管は、上流端が前記流入配管に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液を循環させる。前記ポンプは、前記流入配管に配置される。前記ポンプは、気体の圧力により駆動して前記処理液を流通させる。前記フィルタ部は、前記流入配管に配置される。前記フィルタ部は、前記処理液から異物を除去する。前記圧力調整弁は、前記ポンプに供給する前記気体の圧力を調整して、前記ポンプが前記処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力を調整する。前記制御部は、前記ポンプの駆動開始時に前記圧力調整弁を制御して昇圧処理を実行する。前記昇圧処理は、前記ポンプに供給する前記気体の圧力を徐々に増加させて、前記吐出圧力を目標圧力まで徐々に増加させる処理を含む。
【0012】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、記憶部を更に備える。前記記憶部は、前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報を記憶する。前記制御部は、前記履歴情報に基づいて、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する。
【0013】
ある実施形態において、前記制御部は、前記履歴情報に基づいて、前記昇圧処理の開始時に前記ポンプに供給する前記気体の圧力を調整することにより、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する。
【0014】
ある実施形態において、前記少なくとも1つの循環配管は、第1循環配管と、前記第1循環配管よりも短い第2循環配管とを含む。上記の基板処理装置は、循環制御機構を更に備える。前記循環制御機構は、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環と、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環とを制御する。前記制御部は、前記ポンプの駆動開始時に前記循環制御機構を制御して、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を開始させる。前記制御部は、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させている途中で前記循環制御機構を制御して、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を停止させる。
【0015】
ある実施形態において、前記ポンプは、第1気体室と、第2気体室と、第1液室と、第2液室とを有する。前記第1気体室及び前記第2気体室には、前記気体が流入する。前記第1液室及び前記第2液室には、前記処理液が流入する。前記第1気体室及び前記第2気体室はそれぞれ容積が可変である。前記第1液室及び前記第2液室はそれぞれ容積が可変である。前記第1気体室に前記気体が流入することにより前記第1液室から前記流入配管に前記処理液が送出される。前記第2気体室に前記気体が流入することにより前記第2液室から前記流入配管に前記処理液が送出される。
【0016】
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、処理液を用いて基板を処理する装置である。当該基板処理装置は、処理液貯留部と、流入配管と、少なくとも1つの循環配管と、循環制御機構と、ポンプと、フィルタ部と、排液配管と、排液バルブと、制御部とを備える。前記処理液貯留部は、前記処理液を貯留する。前記流入配管には、前記処理液貯留部から前記処理液が流入する。前記少なくとも1つの循環配管は、上流端が前記流入配管に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液を循環させる。前記循環制御機構は、前記少なくとも1つの循環配管を介した前記処理液の循環を制御する。前記ポンプは、前記流入配管に配置される。前記ポンプは、前記処理液を流通させる。前記フィルタ部は、前記流入配管に配置される。前記フィルタ部は、前記処理液から異物を除去する。前記排液配管は、前記処理液を排出する。前記排液バルブは、前記排液配管に配置される。前記排液バルブは、前記排液配管における前記処理液の流通を制御する。前記制御部は、前記循環制御機構と、前記ポンプが前記処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力と、前記排液バルブとを制御して、排液処理、循環開始処理、及び昇圧処理を実行する。前記フィルタ部は、フィルタ膜を有する。前記フィルタ膜は、前記処理液に含まれる前記異物を捕捉する。前記排液配管は、前記フィルタ膜を通過した前記処理液を排出する。前記排液処理は、前記ポンプの駆動開始時に、前記吐出圧力を第1圧力まで増加させるとともに、前記排液バルブを制御して、前記排液配管から前記処理液を排出させる処理を含む。前記制御部は、前記排液配管から前記処理液を排出させたことに応じて、前記吐出圧力を前記第1圧力よりも低い第2圧力まで低下させる。前記制御部は、前記吐出圧力を前記第1圧力から前記第2圧力まで低下させたことに応じて、前記循環開始処理及び前記昇圧処理を実行する。前記循環開始処理は、前記循環制御機構及び前記排液バルブを制御して、前記排液配管からの前記処理液の排出を停止させるとともに、前記少なくとも1つの循環配管のうちの1つを介した前記処理液の循環を開始させる処理を含む。前記昇圧処理は、前記吐出圧力を前記第2圧力よりも大きい第3圧力まで段階的に増加させるか、あるいは前記吐出圧力を前記第2圧力よりも大きい第3圧力まで徐々に増加させる処理を含む。
【0017】
ある実施形態において、前記排液配管は、前記フィルタ部又は前記流入配管に接続する。
【0018】
ある実施形態において、前記排液配管は、前記少なくとも1つの循環配管のそれぞれと前記流入配管との接続箇所よりも上流側において前記流入配管に接続する。
【0019】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、記憶部を更に備える。前記記憶部は、前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報を記憶する。前記制御部は、前記履歴情報に基づいて、前記昇圧処理により前記吐出圧力を段階的又は徐々に増加させる期間を調整する。
【0020】
ある実施形態において、前記制御部は、前記履歴情報に基づいて、前記昇圧処理の開始時に前記ポンプに供給する気体の圧力を調整することにより、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する。
【0021】
ある実施形態において、前記少なくとも1つの循環配管は、第1循環配管と、前記第1循環配管よりも短い第2循環配管とを含む。前記循環制御機構は、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環と、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環とを制御する。前記循環開始処理は、前記循環制御機構を制御して、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を開始させる処理を含む。前記制御部は、前記昇圧処理により前記吐出圧力を段階的又は徐々に増加させている途中で前記循環制御機構を制御して、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を停止させる。
【0022】
ある実施形態において、前記ポンプは、気体の圧力により駆動する。
【0023】
ある実施形態において、前記ポンプは、第1気体室と、第2気体室と、第1液室と、第2液室とを有する。前記第1気体室及び前記第2気体室には、前記気体が流入する。前記第1液室及び前記第2液室には、前記処理液が流入する。前記第1気体室及び前記第2気体室はそれぞれ容積が可変である。前記第1液室及び前記第2液室はそれぞれ容積が可変である。前記第1気体室に前記気体が流入することにより前記第1液室から前記流入配管に前記処理液が送出される。前記第2気体室に前記気体が流入することにより前記第2液室から前記流入配管に前記処理液が送出される。
【0024】
ある実施形態において、前記第1圧力は、前記第3圧力よりも大きい。
【0025】
ある実施形態において、前記第2圧力は、前記ポンプの駆動が停止している状態での圧力を含む。
【0026】
本発明の更に他の局面によれば、基板処理方法は、基板処理装置により基板を処理する方法である。前記基板処理装置は、処理液貯留部と、流入配管と、少なくとも1つの循環配管と、ポンプと、フィルタ部とを備える。前記処理液貯留部は、前記基板の処理に用いられる処理液を貯留する。前記流入配管には、前記処理液貯留部から前記処理液が流入する。前記少なくとも1つの循環配管は、上流端が前記流入配管に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液を循環させる。前記ポンプは、前記流入配管に配置される。前記ポンプは、気体の圧力により駆動して前記処理液を流通させる。前記フィルタ部は、前記流入配管に配置される。前記フィルタ部は、前記処理液から異物を除去する。当該基板処理方法は、前記ポンプの駆動を開始させて、前記処理液の循環を開始させる循環開始工程を含む。前記循環開始工程は、前記ポンプの駆動開始時に昇圧処理を実行する工程を含む。前記昇圧処理は、前記ポンプに供給する前記気体の圧力を徐々に増加させて、前記ポンプが前記処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力を徐々に増加させる処理を含む。
【0027】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報に基づいて、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する工程を更に含む。
【0028】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報に基づいて、前記昇圧処理の開始時に前記ポンプに供給する前記気体の圧力を調整することにより、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する工程を更に含む。
【0029】
ある実施形態において、前記少なくとも1つの循環配管は、第1循環配管と、前記第1循環配管より短い第2循環配管とを含む。前記循環開始工程は、前記ポンプの駆動開始時に、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を開始させる工程と、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させている途中で、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を停止させる工程とを含む。
【0030】
本発明の更に他の局面によれば、基板処理方法は、基板処理装置により基板を処理する方法である。前記基板処理装置は、処理液貯留部と、流入配管と、少なくとも1つの循環配管と、ポンプと、フィルタ部と、排液配管とを備える。前記処理液貯留部は、前記基板の処理に用いられる処理液を貯留する。前記流入配管には、前記処理液貯留部から前記処理液が流入する。前記少なくとも1つの循環配管は、上流端が前記流入配管に接続されるとともに、下流端が前記処理液貯留部に接続されて、前記処理液を循環させる。前記ポンプは、前記流入配管に配置される。前記ポンプは、前記処理液を流通させる。前記フィルタ部は、前記流入配管に配置される。前記フィルタ部は、前記処理液から異物を除去する。前記排液配管は、前記処理液を排出する。前記フィルタ部は、フィルタ膜を有する。前記フィルタ膜は、前記処理液に含まれる前記異物を捕捉する。前記排液配管は、前記フィルタ膜を通過した前記処理液を排出する。当該基板処理方法は、前記ポンプの駆動開始時に、前記ポンプが前記処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力を第1圧力まで増加させるとともに、前記排液配管から前記処理液を排出させる工程と、前記排液配管から前記処理液を排出させたことに応じて、前記吐出圧力を前記第1圧力よりも低い第2圧力まで低下させる工程と、前記吐出圧力を前記第1圧力から前記第2圧力まで低下させたことに応じて、循環開始処理及び昇圧処理を実行する工程とを含む。前記循環開始処理は、前記少なくとも1つの循環配管のうちの1つを介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記排液配管からの前記処理液の排出を停止させる処理を含む。前記昇圧処理は、前記吐出圧力を前記第2圧力よりも大きい第3圧力まで段階的に増加させるか、あるいは前記吐出圧力を前記第2圧力よりも大きい第3圧力まで徐々に増加させる処理を含む。
【0031】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報に基づいて、前記昇圧処理により前記吐出圧力を段階的又は徐々に増加させる期間を調整する工程を更に含む。
【0032】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記フィルタ部の使用履歴に関する情報を示す履歴情報に基づいて、前記昇圧処理の開始時に前記ポンプに供給する気体の圧力を調整することにより、前記昇圧処理により前記吐出圧力を徐々に増加させる期間を調整する工程を更に含む。
【0033】
ある実施形態において、前記少なくとも1つの循環配管は、第1循環配管と、前記第1循環配管よりも短い第2循環配管とを含む。前記循環開始処理は、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を開始させる処理を含む。上記の基板処理方法は、前記昇圧処理により前記吐出圧力を段階的又は徐々に増加させている途中で、前記第1循環配管を介した前記処理液の循環を開始させるとともに、前記第2循環配管を介した前記処理液の循環を停止させる工程を更に含む。
【0034】
ある実施形態において、前記第1圧力は、前記第3圧力よりも大きい。
【0035】
ある実施形態において、前記吐出圧力を前記第1圧力よりも低い前記第2圧力まで低下させる工程は、前記ポンプの駆動を停止させる工程を含む。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法によれば、処理液の循環再開時に基板に付着する異物が増加することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の模式的な平面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る基板処理装置に含まれる基板処理部、流体ボックス及び流体キャビネットの構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る基板処理装置に含まれる流体キャビネットの構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る基板処理方法の流れを示す図である。
【
図6】(a)は、基板処理装置の動作の再開時における内循環バルブの動作を示すタイミングチャートである。(b)は、基板処理装置の動作の再開時における各外循環バルブの動作を示すタイミングチャートである。(c)は、基板処理装置の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力を示すタイミングチャートである。(d)は、基板処理装置の動作の再開時における気体供給圧力を示すタイミングチャートである。
【
図7】(a)は、基板処理装置の動作の再開時における各外循環バルブの動作の他例を示すタイミングチャートである。(b)は、基板処理装置の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力の他例を示すタイミングチャートである。(c)は、基板処理装置の動作の再開時における気体供給圧力の他例を示すタイミングチャートである。
【
図8】(a)は、基板処理装置の動作の再開時における内循環バルブの動作を示すタイミングチャートである。(b)は、基板処理装置の動作の再開時における各外循環バルブの動作を示すタイミングチャートである。(c)は、基板処理装置の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力を示すタイミングチャートである。(d)は、基板処理装置の動作の再開時における気体供給圧力を示すタイミングチャートである。
【
図9】本発明の実施形態3に係る基板処理方法の流れを示す図である。
【
図10】(a)は、基板処理装置の動作の再開時における内循環バルブの動作を示すタイミングチャートである。(b)は、基板処理装置の動作の再開時における各外循環バルブの動作を示すタイミングチャートである。(c)は、基板処理装置の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力を示すタイミングチャートである。(d)は、基板処理装置の動作の再開時における気体供給圧力を示すタイミングチャートである。
【
図11】本発明の実施形態4に係る基板処理装置に含まれる流体キャビネットの構成を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態4に係る基板処理方法の流れを示す図である。
【
図13】(a)は、基板処理装置の動作の再開時における排液バルブの動作を示すタイミングチャートである。(b)は、基板処理装置の動作の再開時における内循環バルブの動作を示すタイミングチャートである。(c)は、基板処理装置の動作の再開時における各外循環バルブの動作を示すタイミングチャートである。(d)は、基板処理装置の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力を示すタイミングチャートである。
【
図14】(a)は、基板処理装置の動作の再開時における排液バルブの動作の他例(他例1)を示すタイミングチャートである。(b)は、基板処理装置の動作の再開時における内循環バルブの動作の他例(他例1)を示すタイミングチャートである。(c)は、基板処理装置の動作の再開時における各外循環バルブの動作の他例(他例1)を示すタイミングチャートである。(d)は、基板処理装置の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力の他例(他例1)を示すタイミングチャートである。
【
図15】本発明の実施形態4に係る基板処理装置に含まれる流体キャビネットの構成の他例(他例2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面(
図1~
図15)を参照して本発明の基板処理装置及び基板処理方法に係る実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0039】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法において基板処理の対象となる「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種の基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを基板処理の対象とする場合を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、上記した半導体ウエハ以外の各種の基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、各種の形状の基板に対して適用可能である。
【0040】
[実施形態1]
まず、
図1~
図5、
図6(a)~
図6(d)及び
図7(a)~
図7(c)を参照して、本発明の実施形態1を説明する。
図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。基板処理装置100は、処理液を用いて基板Wを処理する。より具体的には、基板処理装置100は、枚葉式の装置であり、1枚ずつ基板Wを処理する。以下、処理液による基板Wの処理を「基板処理」と記載する場合がある。なお、基板処理装置100は、基板Wを処理する装置である限り、特に限定されない。例えば、基板処理装置100は、洗浄装置、エッチング装置、塗布装置、現像装置、又は成膜装置であってもよい。
【0041】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の基板処理部2と、流体キャビネット101と、複数の流体ボックス102と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置110とを備える。
【0042】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理部2との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
【0043】
複数の基板処理部2は、複数のタワーTW(
図1では4つのタワーTW)を形成している。複数のタワーTWは、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理部2(
図1では3つの基板処理部2)によって形成される。
【0044】
流体キャビネット101は、処理液を収容する。流体ボックス102はそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体キャビネット101内の処理液は、いずれかの流体ボックス102を介して、流体ボックス102に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理部2に供給される。基板処理部2の各々は、処理液を基板Wの上面に供給する。この結果、処理液により基板Wが処理される。
【0045】
処理液は、基板Wに接触する液体である限り、特に限定されない。処理液は、例えば、薬液を含む。薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、又は、腐食防止剤を含む。
【0046】
あるいは、薬液は、IPA等の有機溶剤であってもよい。具体的には、有機溶剤は、IPA等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類等を含有する。これらの有機溶剤は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0047】
制御装置110は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置110は、流体キャビネット101、流体ボックス102、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及び基板処理部2を制御する。制御装置110は、制御部111と、記憶部112とを含む。
【0048】
制御部111は、記憶部112に記憶されている各種情報に基づいて基板処理装置100の各部の動作を制御する。制御部111は、例えば、プロセッサを有する。制御部111は、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有してもよい。あるいは、制御部111は、汎用演算機又は専用演算器を有してもよい。
【0049】
記憶部112は、基板処理装置100の動作を制御するための各種情報を記憶する。例えば、記憶部112は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。コンピュータプログラムには、基板処理装置100の動作が停止した後に、基板処理装置100の動作を再開させる際の処理の手順を規定するコンピュータプログラムが含まれる。データには、種々のレシピデータが含まれる。レシピデータは、例えば、プロセスレシピを含む。プロセスレシピは、基板処理の手順を規定する。
【0050】
記憶部112は、主記憶装置を有する。記憶部112は、主記憶装置として、例えば、半導体メモリを有してもよい。記憶部112は、補助記憶装置を更に有してもよい。記憶部112は、補助記憶装置として、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を有してもよい。記憶部112はリムーバルブメディアを含んでもよい。
【0051】
続いて、
図1及び
図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図2は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2、流体キャビネット101及び流体ボックス102の構成を示す図である。
【0052】
図2に示すように、基板処理部2はそれぞれ、チャンバー4と、スピンチャック6と、吐出ノズル8とを有する。チャンバー4は、スピンチャック6及び吐出ノズル8を収容する。
【0053】
スピンチャック6は、基板Wを保持する。詳しくは、基板Wは、スピンチャック6によって水平な姿勢で保持される。また、スピンチャック6は、保持している基板Wを回転させる。詳しくは、スピンチャック6は、基板Wの中心を回転中心として基板Wを回転させる。
【0054】
吐出ノズル8は、基板Wに処理液を供給する。詳しくは、吐出ノズル8は、回転している基板Wに向けて処理液を吐出する。吐出ノズル8は、基板Wの中心に対向する位置から基板Wに向けて処理液を吐出してもよいし、基板Wの上方を移動しながら、基板Wに向けて処理液を吐出してもよい。
【0055】
図2に示すように、基板処理装置100は、基板処理部2ごとに、個別供給配管17と、個別バルブ31とを備える。個別バルブ31は、流体ボックス102に収容される。
【0056】
個別供給配管17のそれぞれの下流端は、対応する吐出ノズル8に接続する。個別供給配管17は、処理液が流通する管状の部材であり、対応する吐出ノズル8まで処理液を流通させる。個別バルブ31は、個別供給配管17に設けられて、吐出ノズル8に対する処理液の供給開始及び供給停止を制御する。詳しくは、個別バルブ31は開閉可能な開閉弁である。個別バルブ31が開くことにより、処理液の供給が開始される。個別バルブ31が閉じることにより、処理液の供給が停止する。個別バルブ31の開閉動作は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0057】
基板処理装置100は、処理液タンク11と、流入配管13と、複数の外循環配管15とを更に備える。処理液タンク11及び流入配管13は、流体キャビネット101に収容される。処理液タンク11は、処理液を貯留する。処理液タンク11は、「処理液貯留部」の一例である。
【0058】
外循環配管15はそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。換言すると、外循環配管15はそれぞれ、複数の流体ボックス102のうちの1つに対応している。
【0059】
流入配管13には、処理液タンク11から処理液が流入する。流入配管13は、処理液が流通する管状の部材である。詳しくは、流入配管13の上流端が処理液タンク11に接続しており、流入配管13の上流端から流入配管13に処理液が流入する。
【0060】
外循環配管15はそれぞれ、処理液が流通する管状の部材である。外循環配管15のそれぞれの上流端は、流入配管13に接続する。本実施形態では、外循環配管15のそれぞれの上流端が、流入配管13の下流端に接続する。外循環配管15のそれぞれの下流端は、処理液タンク11に接続する。外循環配管15はそれぞれ処理液を循環させる。詳しくは、外循環配管15のそれぞれの上流端に流入配管13から処理液が流入して、処理液が各外循環配管15を流通する。その結果、各外循環配管15の下流端から処理液が流出して、処理液が処理液タンク11に戻る。外循環配管15は、「循環配管」及び「第1循環配管」の一例である。
【0061】
各流体ボックス102内において、対応する複数の個別供給配管17の上流端が、対応する外循環配管15に接続する。個別バルブ31が開くと、外循環配管15を流通している処理液の一部が、対応する個別供給配管17に流入する。その結果、個別供給配管17から吐出ノズル8に処理液が供給されて、吐出ノズル8から基板Wに向けて処理液が吐出される。
【0062】
図2に示すように、基板処理装置100は、内循環配管19と、循環ポンプ21と、パルスダンパー23と、温調器25と、フィルタ部27と、循環制御機構28とを更に備える。
【0063】
内循環配管19の上流端は、流入配管13に接続する。より具体的には、内循環配管19の上流端は、流入配管13と各外循環配管15との接続箇所P1よりも上流側の位置で流入配管13に接続する。したがって、流入配管13と各外循環配管15との接続箇所P1は、流入配管13と内循環配管19との接続箇所P2よりも下流側に位置する。以下、流入配管13と各外循環配管15との接続箇所P1を、「第1接続箇所P1」と記載する場合がある。同様に、流入配管13と内循環配管19との接続箇所P2を、「第2接続箇所P2」と記載する場合がある。
【0064】
内循環配管19は、処理液が流通する管状の部材である。内循環配管19の下流端は、処理液タンク11に接続する。内循環配管19は処理液を循環させる。詳しくは、内循環配管19の上流端に流入配管13から処理液が流入して、処理液が内循環配管19を流通する。その結果、内循環配管19の下流端から処理液が流出して、処理液が処理液タンク11に戻る。内循環配管19は、「第2循環配管」の一例である。
【0065】
内循環配管19の配管長さは、各外循環配管15の配管長より短い。内循環配管19は、流体キャビネット101に収容される。内循環配管19は、流体キャビネット101内で処理液を循環させる。
【0066】
循環ポンプ21は、流入配管13に設けられる。循環ポンプ21は処理液を流通させる。具体的には、循環ポンプ21が駆動することにより、循環ポンプ21から処理液が送液される。この結果、処理液が流通する。本実施形態では、循環ポンプ21は気体の圧力により駆動する。循環ポンプ21は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0067】
パルスダンパー23は、流入配管13に設けられる。具体的には、パルスダンパー23は、循環ポンプ21の下流側に設けられる。パルスダンパー23は、循環ポンプ21から送り出される処理液の脈動を抑制する。
【0068】
温調器25は、流入配管13に設けられる。具体的には、温調器25は、循環ポンプ21の下流側に設けられる。本実施形態では、温調器25は、パルスダンパー23の下流側に設けられる。温調器25は、流入配管13を流通する処理液を加熱する。したがって、外循環配管15はそれぞれ、温調器25によって加熱された処理液を流通させる。同様に、内循環配管19は、温調器25によって加熱された処理液を流通させる。温調器25は、例えば、加熱ヒータを含む。
【0069】
フィルタ部27は、流入配管13に設けられて、流入配管13を流通する処理液から異物を除去する。具体的には、フィルタ部27は、循環ポンプ21の下流側に設けられて、循環ポンプ21から送り出された処理液から異物を除去する。本実施形態では、フィルタ部27は、温調器25と第1接続箇所P1との間に設けられる。詳しくは、フィルタ部27は、第2接続箇所P2よりも上流側に設けられる。この結果、異物が除去された清浄な処理液が、内循環配管19と、各外循環配管15とに流入する。
【0070】
循環制御機構28は、各外循環配管15を介した処理液の循環と、内循環配管19を介した処理液の循環とを制御する。具体的には、循環制御機構28は、各外循環配管15を介した処理液の循環の開始及び循環の停止を制御する。また、循環制御機構28は、内循環配管19を介した処理液の循環の開始及び循環の停止を制御する。循環制御機構28は、制御装置110(制御部111)によって制御される。本実施形態において、循環制御機構28は、複数の外循環バルブ29と、内循環バルブ33とを含む。
【0071】
外循環バルブ29はそれぞれ、複数の外循環配管15のうちの1つに対応している。外循環バルブ29はそれぞれ、対応する外循環配管15に設けられる。外循環バルブ29はそれぞれ、対応する外循環配管15における処理液の流通の開始及び停止を制御する。外循環バルブ29は、「循環バルブ」及び「第1循環バルブ」の一例である、詳しくは、外循環バルブ29は開閉可能な開閉弁である。外循環バルブ29が開くと、対応する外循環配管15を処理液が流通する。外循環バルブ29が閉じると、対応する外循環配管15における処理液の流通が停止する。外循環バルブ29の開閉動作は、制御装置110(制御部111)によって制御される。複数の外循環バルブ29は、流体キャビネット101に収容される。
【0072】
内循環バルブ33は、内循環配管19に設けられる。内循環バルブ33は、内循環配管19における処理液の流通の開始及び停止を制御する。内循環バルブ33は、「第2循環バルブ」の一例である、詳しくは、内循環バルブ33は開閉可能な開閉弁である。内循環バルブ33が開くと、内循環配管19を処理液が流通する。内循環バルブ33が閉じると、内循環配管19における処理液の流通が停止する。内循環バルブ33の開閉動作は、制御装置110(制御部111)によって制御される。内循環バルブ33は、流体キャビネット101に収容される。
【0073】
制御装置110(制御部111)は、複数の外循環配管15を介して処理液を循環させる際に、複数の外循環バルブ29を開状態にする。また、制御装置110(制御部111)は、内循環配管19を介して処理液を循環させる際に、内循環バルブ33を開状態にする。詳しくは、制御装置110(制御部111)は、複数の外循環配管15を介して処理液を循環させる際に、複数の外循環バルブ29を開状態にし、内循環バルブ33を閉状態にする。制御装置110(制御部111)は、内循環配管19を介して処理液を循環させる際に、複数の外循環バルブ29を閉状態にし、内循環バルブ33を開状態にする。
【0074】
続いて、
図1~
図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図3は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる流体キャビネット101の構成を示す図である。
図3に示すように、基板処理装置100は、ポンプ駆動機構5を更に備える。ポンプ駆動機構5は、流体キャビネット101に収容される。
【0075】
ポンプ駆動機構5は、循環ポンプ21に気体を供給して循環ポンプ21を駆動させる。ポンプ駆動機構5は、制御装置110(制御部111)によって制御される。具体的には、ポンプ駆動機構5は、第1配管51と、第2配管52と、第3配管53と、第4配管54と、圧力調整弁55と、切替弁56とを有する。第1配管51~第4配管54はそれぞれ、気体が流通する管状の部材である。気体は、第1配管51~第4配管54を介して循環ポンプ21に供給される。
【0076】
第1配管51は、圧力調整弁55まで気体を流通させる。換言すると、第1配管51は、圧力調整弁55に気体を供給する。気体の種類は、特に限定されない。気体は、例えば、空気、又は、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。
【0077】
圧力調整弁55は、循環ポンプ21に供給する気体の圧力を調整して、循環ポンプ21が処理液を吐出する圧力を示す吐出圧力を調整する。以下、循環ポンプ21に供給する気体の圧力を、「気体供給圧力」と記載する場合がある。また、吐出圧力を、「ポンプ吐出圧力」と記載する場合がある。ポンプ吐出圧力の大きさ(圧力値)は、気体供給圧力の大きさ(圧力値)に応じた大きさになる。したがって、気体供給圧力が変化するとポンプ吐出圧力も変化する。
【0078】
圧力調整弁55は、制御装置110(制御部111)によって制御される。圧力調整弁55は、例えば、比例制御弁を含む。この場合、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55に電流信号又は電圧信号を送信する。圧力調整弁55は、気体供給圧力を、電流信号の電流値又は電圧信号の電圧値に比例させて増減させる。この結果、ポンプ吐出圧力が、電流信号の電流値又は電圧信号の電圧値に比例して増減する。
【0079】
本実施形態では、圧力調整弁55は、比例制御弁と、圧力計と、制御回路とを含む。圧力計は、気体供給圧力を計測する。具体的には、圧力計は、圧力調整弁55から送出される気体の圧力を計測する。制御回路は、制御装置110(制御部111)から出力された電流信号又は電圧信号に基づいて比例制御弁を制御して、気体供給圧力を、電流信号の電流値又は電圧信号の電圧値に比例させて増減させる。
【0080】
更に、制御回路は、圧力計の計測結果に基づいて、比例制御弁をフィードバック制御する。具体的には、制御回路は、圧力計の計測結果が電流信号の電流値又は電圧信号の電圧値に追従するように比例制御弁を制御する。なお、圧力調整弁55の制御回路は、圧力計の計測結果を制御装置110(制御部111)へ送信してもよい。換言すると、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55から気体供給圧力を取得してもよい。
【0081】
第2配管52は、圧力調整弁55から送出された気体を切替弁56まで流通させる。換言すると、第2配管52は、切替弁56に気体を供給する。切替弁56は、制御装置110(制御部111)によって制御されて、気体の送出先を第3配管53と第4配管54との間で周期的に切り替える。切替弁56は、例えば、ソレノイドバルブを含んでもよい。
【0082】
第3配管53は、
図4を参照して後述する第1気体室68まで気体を流通させる。換言すると、第3配管53は、
図4を参照して後述する第1気体室68に気体を供給する。第4配管54は、
図4を参照して後述する第2気体室70まで気体を流通させる。換言すると、第4配管54は、
図4を参照して後述する第2気体室70に気体を供給する。
【0083】
続いて、
図3を参照して、フィルタ部27を説明する。
図3に示すように、フィルタ部27は、フィルタ膜27aを有する。フィルタ膜27aは、処理液に含まれる異物を捕捉する。換言すると、フィルタ膜27aは、処理液を濾過する。
【0084】
続いて、
図3を参照して、制御装置110を説明する。
図3に示すように、制御装置110は入力部113を更に含む。入力部113は、作業者が操作するユーザーインターフェース装置である。入力部113は、作業者の操作に応じた指示(制御信号)を制御部111に入力する。また、入力部113は、作業者の操作に応じたデータを制御部111に入力する。入力部113は、例えば、キーボード及びマウスを有してもよい。また、入力部113は、タッチセンサーを有してもよい。タッチセンサーは、作業者によるタッチ操作を示す信号を制御部111に入力する。タッチセンサーは、表示装置の表示面に重畳されてもよい。この場合、タッチセンサーと表示装置とによりグラフィカルユーザーインターフェースが構成されてもよい。
【0085】
本実施形態において、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動開始時に圧力調整弁55を制御して昇圧処理を実行する。ここで、昇圧処理は、循環ポンプ21に供給する気体の圧力(気体供給圧力)を徐々に増加させて、ポンプ吐出圧力を目標圧力TTPまで徐々に増加させる処理を含む。換言すると、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動開始時に圧力調整弁55を制御して、気体供給圧力を時間の経過に合わせて連続的に増加させる。この結果、ポンプ吐出圧力が時間の経過に合わせて連続的に増加する。
【0086】
例えば、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55に送信する電流信号の電流値又は電圧信号の電圧値を徐々に増加させる。すなわち、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55に送信する電流信号の電流値又は電圧信号の電圧値を時間の経過に合わせて連続的に増加させる。この結果、ポンプ吐出圧力が目標圧力TTPまで徐々に増加する。なお、目標圧力TTPは、基板Wを処理する際に循環ポンプ21が処理液を吐出する圧力を示す。以下、目標圧力TTPを、「目標吐出圧力TTP」と記載する場合がある。
【0087】
詳しくは、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の動作が再開される際に昇圧処理を実行する。昇圧処理が実行されることにより、内循環配管19を介した処理液の循環と、各外循環配管15を介した処理液の循環とが再開する。具体的には、制御装置110(制御部111)は、内循環配管19を介した処理液の循環を再開させた後に、各外循環配管15を介した処理液の循環を再開させる。
【0088】
例えば、基板処理装置100は、処理液の交換作業やトラブルからの復帰作業等が行われる際に動作を停止する。基板処理装置100の動作が停止すると、内循環配管19を介した処理液の循環と、各外循環配管15を介した処理液の循環とが停止する。基板処理装置100の動作は、処理液の交換作業やトラブルからの復帰作業等が終了した後に再開される。制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の動作再開時に昇圧処理を実行して、内循環配管19を介した処理液の循環と、各外循環配管15を介した処理液の循環とを再開させる。例えば、制御装置110(制御部111)は、処理液の交換作業やトラブルからの復帰作業等が終了したことを検知したことに応じて昇圧処理を実行してもよい。あるいは、制御装置110(制御部111)は、作業者が入力部113を操作して基板処理装置100の動作の再開を指示したことに応じて昇圧処理を実行してもよい。
【0089】
続いて、
図4を参照して、本実施形態の基板処理装置100に含まれる循環ポンプ21を説明する。循環ポンプ21は、例えば、ベローズポンプを含む。
図4は、循環ポンプ21の構成の一例を示す図である。詳しくは、
図4は、ベローズポンプの構成の一例を示す。
【0090】
図4に示すように、循環ポンプ21は、第1ポンプ室64と、第2ポンプ室65とを有する。第1ポンプ室64は、第1気体室68と、第1液室69とを有する。第2ポンプ室65は、第2気体室70と、第2液室71とを有する。第1気体室68及び第2気体室70には気体が流入する。詳しくは、第1気体室68には、
図3を参照して説明した第3配管53を介して気体が流入する。第2気体室70には、
図3を参照して説明した第4配管54を介して気体が流入する。
図3を参照して説明したように、切替弁56は、気体の送出先を第3配管53と第4配管54との間で周期的に切り替える。したがって、気体は、第1気体室68と第2気体室70とに交互に流入する。
【0091】
第1液室69及び第2液室71には、処理液が流入する。具体的には、第1気体室68及び第2気体室70はそれぞれ容積が可変である。また、第1液室69及び第2液室71はそれぞれ容積が可変である。第1気体室68に気体が流入することにより、第1液室69から流入配管13に処理液が送出されるともに、第2液室71に処理液が流入する。詳しくは、第1気体室68に気体が流入して第1気体室68の容積が拡大すると、第1液室69の容積が縮小して、第1液室69から流入配管13に処理液が送出される。また、第1気体室68の容積が拡大すると、第2液室71の容積が拡大して、第2液室71に処理液が吸い込まれる。同様に、第2気体室70に気体が流入すると、第2液室71から流入配管13に処理液が送出されるともに、第1液室69に処理液が流入する。
【0092】
詳しくは、
図4に示すように、循環ポンプ21は、第1ポンプ室64と、第2ポンプ室65とに加えて、第1シリンダヘッド61aと、第2シリンダヘッド61bと、ポンプヘッド62と、第1シリンダ63aと、第2シリンダ63bと、第1移動部材66aと、第2移動部材66bと、第1ベローズ67aと、第2ベローズ67bと、第1液導入ポート72と、第2液導入ポート73と、液導出ポート74とを更に有する。
【0093】
第1ポンプ室64は、第1シリンダヘッド61aと、ポンプヘッド62と、第1シリンダ63aとにより区画される。第1シリンダ63aは、第1シリンダヘッド61aとポンプヘッド62との間に配置される。同様に、第2ポンプ室65は、第2シリンダヘッド61bと、ポンプヘッド62と、第2シリンダ63bとにより区画される。第2シリンダ63bは、第2シリンダヘッド61bとポンプヘッド62との間に配置される。
【0094】
第1移動部材66a及び第1ベローズ67aは、第1ポンプ室64内に配置される。第2移動部材66b及び第2ベローズ67bは、第2ポンプ室65内に配置される。第1移動部材66a及び第2移動部材66bは、略円板状である。第1ベローズ67a及び第2ベローズ67bは、伸縮自在である。例えば、第1ベローズ67a及び第2ベローズ67bは樹脂製である。
【0095】
第1ベローズ67aの一端は、第1移動部材66aに接続されており、第1ベローズ67aの他端は、ポンプヘッド62に固定されている。同様に、第2ベローズ67bの一端は、第2移動部材66bに接続されており、第2ベローズ67bの他端は、ポンプヘッド62に固定されている。
【0096】
第1ベローズ67aは、第1ポンプ室64内において第1気体室68と第1液室69とを区画する。具体的には、第1ポンプ室64内において、第1ベローズ67aの外側の空間が第1気体室68となる。第1ポンプ室64内において、第1ベローズ67aの内側の空間が第1液室69となる。同様に、第2ベローズ67bは、第2ポンプ室65内において第2気体室70と第2液室71とを区画する。
【0097】
ポンプヘッド62は筐体であり、ポンプヘッド62内に、第1液導入ポート72、第2液導入ポート73、及び液導出ポート74が収容される。第1液導入ポート72は、第1液室69に処理液を導入する。第2液導入ポート73は、第2液室71に処理液を導入する。詳しくは、処理液タンク11から流入配管13に流入した処理液が、第1液導入ポート72及び第2液導入ポート73を介して第1液室69及び第2液室71に導入される。液導出ポート74は、第1液室69及び第2液室71から処理液を導出させる。第1液室69及び第2液室71から導出された処理液は、液導出ポート74を介して流入配管13に送出される。
【0098】
第2気体室70に気体が供給されて、第2気体室70内の圧力が高まると、その圧力により、第2ポンプ室65内の第2移動部材66bがポンプヘッド62側へ移動する。この結果、第2気体室70の容積が拡大する一方で、第2液室71の容積が縮小し、第2液室71内の処理液が液導出ポート74から送出される。これと連動して、第1ポンプ室64内の第1移動部材66aが第1シリンダヘッド61a側へ移動する。この結果、第1気体室68の容積が縮小する一方で、第1液室69の容積が拡大し、第1液導入ポート72から第1液室69に処理液が吸い込まれる。
【0099】
同様に、第1気体室68に気体が供給されて、第1気体室68内の圧力が高まると、その圧力により、第1ポンプ室64内の第1移動部材66aがポンプヘッド62側へ移動する。この結果、第1気体室68の容積が拡大する一方で、第1液室69の容積が縮小し、第1液室69内の処理液が液導出ポート74から送出される。これと連動して、第2ポンプ室65内の第2移動部材66bが第2シリンダヘッド61b側へ移動する。この結果、第2気体室70の容積が縮小する一方で、第2液室71の容積が拡大し、第2液導入ポート73から第2液室71に処理液が吸い込まれる。
【0100】
以上、
図4を参照して説明したように、第1移動部材66aは、第1気体室68に流入する気体により移動して、第1気体室68の容積及び第1液室69の容積を変化させる。同様に、第2移動部材66bは、第2気体室70に流入する気体により移動して、第2気体室70の容積及び第2液室71の容積を変化させる。詳しくは、第1気体室68及び第2気体室70に交互に気体が供給されることにより、第1移動部材66a及び第2移動部材66bが往復運動して、第1気体室68の容積及び第2気体室70の容積が交互に拡大及び縮小し、第1液室69の容積及び第2液室71の容積が交互に拡大及び縮小する。この結果、第1液室69及び第2液室71に交互に処理液が流入し、第1液室69及び第2液室71から交互に処理液が送出される。第1液室69及び第2液室71から送出された処理液は、液導出ポート74を介して流入配管13に送出される。
【0101】
なお、循環ポンプ21は、ベローズポンプに限定されない。循環ポンプ21は、気体が供給されることにより駆動するポンプであればよい。例えば、循環ポンプ21は、ダイヤフラムポンプであってもよい。
【0102】
続いて、
図1~
図5を参照して、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。本実施形態の基板処理方法は、
図1~
図4を参照して説明した基板処理装置100により実行される。
図5は、本実施形態の基板処理方法の流れを示す図である。詳しくは、
図5は、制御装置110(制御部111)が実行する処理の流れを示す。具体的には、
図5は、処理液の循環を再開させる処理(循環再開工程)を示す。
図5に示す処理(循環再開工程)は、基板処理装置100の動作が再開されることにより開始する。
【0103】
図5に示すように、基板処理装置100の動作が再開されると、制御装置110(制御部111)は、第1バルブ制御を実行する(ステップS1)。本実施形態において、第1バルブ制御は、循環制御機構28(内循環バルブ33及び複数の外循環バルブ29)を制御して、循環ポンプ21が駆動を開始した時に処理液を内循環配管19に流通させる処理を含む。具体的には、基板処理装置100の動作が再開される前は、内循環バルブ33及び複数の外循環バルブ29は閉状態であり、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の動作再開時に第1バルブ制御を実行して、内循環バルブ33を閉状態から開状態へ遷移させる。
【0104】
制御装置110(制御部111)は、第1バルブ制御の実行後、循環ポンプ21の駆動を開始させて、処理液の循環を再開させる(ステップS2)。この時、複数の外循環バルブ29は閉状態を維持し、内循環バルブ33は開状態となっている。したがって、循環ポンプ21の駆動開始時に、処理液は内循環配管19を流通する。また、制御装置110(制御部111)は、
図3を参照して説明した昇圧処理を実行して、循環ポンプ21の駆動を開始させる。具体的には、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55を制御して、循環ポンプ21に供給する気体の圧力(ポンプ供給圧力)を徐々に増加させて、ポンプ吐出圧力を目標吐出圧力TTPまで徐々に増加させる。
【0105】
制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を開始した後、処理液が流通(循環)する経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えるか否かを決定する(ステップS3)。以下、処理液が流通する経路を、「循環経路」と記載する場合がある。
【0106】
例えば、制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTP以上であるか否かに基づいて、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えるか否かを決定してもよい。詳しくは、制御装置110(制御部111)は、気体供給圧力が、目標吐出圧力TTPに対応する圧力TAP以上であるか否かに基づいて、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えるか否かを決定してもよい。以下、圧力TAPを、「目標供給圧力TAP」と記載する場合がある。
【0107】
気体供給圧力に基づいて循環経路を切り替えるか否かを決定する場合、制御装置110(制御部111)は、気体供給圧力が目標供給圧力TAP以上でないと判定した場合、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えないことを決定する(ステップS3のNo)。換言すると、制御装置110(制御部111)は、気体供給圧力が目標供給圧力TAP未満であると判定した場合、循環経路を切り替えないことを決定する。また、制御装置110(制御部111)は、気体供給圧力が目標供給圧力TAP以上であると判定した場合、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えることを決定する(ステップS3のYea)。
【0108】
制御装置110(制御部111)は、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えないことを決定した場合(ステップS3のNo)、ステップS3の処理を繰り返す。例えば、制御装置110(制御部111)は、気体供給圧力が目標供給圧力TAP以上になるまで、ステップS3の処理を繰り返す。
【0109】
制御装置110(制御部111)は、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えることを決定した場合(ステップS3のYes)、第2バルブ制御を実行する(ステップS4)。この結果、
図5に示す処理が終了する。ここで、第2バルブ制御は、循環制御機構28(内循環バルブ33及び複数の外循環バルブ29)を制御して、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替える処理を含む。具体的には、制御装置110(制御部111)は、内循環バルブ33を開状態から閉状態へ遷移させるとともに、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる。この結果、内循環配管19を介した処理液の循環が停止し、各外循環配管15を介した処理液の循環が開始する。
【0110】
続いて、
図1~
図5及び
図6(a)~
図6(d)を参照して、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。
図6(a)及び
図6(b)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時における内循環バルブ33及び各外循環バルブ29の動作を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図6(a)及び
図6(b)はそれぞれ、処理液の循環を再開する際の内循環バルブ33及び各外循環バルブ29の動作を示すタイミングチャートである。
図6(c)及び
図6(d)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力及び気体供給圧力を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図6(c)及び
図6(d)はそれぞれ、処理液の循環を再開する際のポンプ吐出圧力及び気体供給圧力を示すタイミングチャートである。なお、
図6(a)~
図6(d)において、横軸は時刻tを示す。また、
図6(c)において、縦軸はポンプ吐出圧力を示す。
図6(d)において、縦軸は気体供給圧力を示す。
【0111】
図6(a)~
図6(d)に示すように、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の動作の再開時に、内循環バルブ33を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t1)。その後、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動を開始させる(時刻t2)。
【0112】
具体的には、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55を制御して、循環ポンプ21への気体の供給を開始させる(時刻t2)。この結果、循環ポンプ21による処理液の送液が開始されて(時刻t2)、内循環配管19を介した処理液の循環が開始される。
【0113】
詳しくは、制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を開始して、気体供給圧力を徐々に増加させる(時刻t2~時刻t3)。その結果、ポンプ吐出圧力が徐々に増加する(時刻t2~時刻t3)。換言すると、昇圧処理により、気体供給圧力はスロープ状に増加する。その結果、ポンプ吐出圧力もスロープ状に増加する。
【0114】
なお、循環ポンプ21への気体の供給を開始する際の気体供給圧力(圧力SAP)は、予め定められている。換言すると、循環ポンプ21への気体の供給を開始する際の圧力調整弁55の開度は予め定められている。
【0115】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTPに到達すると(時刻t3)、昇圧処理を終了する。例えば、制御装置110(制御部111)は、気体供給圧力が目標供給圧力TAPに到達すると、昇圧処理を終了する。
【0116】
ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTPに到達した後、ポンプ吐出圧力は目標吐出圧力TTPで維持される(時刻t3以降)。制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を終了すると、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t3)。その後、制御装置110(制御部111)は、内循環バルブ33を開状態から閉状態へ遷移させる(時刻t4)。この結果、循環経路が、内循環配管19を経由する経路から各外循環配管15を経由する経路に切り替わる。
【0117】
続いて、
図7(a)~
図7(c)を参照して、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法の他例を説明する。
図1~
図5及び
図6(a)~
図6(d)を参照して説明した実施形態において、基板処理装置100は、内循環配管19及び内循環バルブ33を備えたが、内循環配管19及び内循環バルブ33は省略されてもよい。この場合、循環制御機構28は、複数の外循環バルブ29と、内循環バルブ33とのうち、複数の外循環バルブ29のみを含んでよい。
【0118】
図7(a)は、基板処理装置100の動作の再開時における各外循環バルブ29の動作の他例を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図7(a)は、処理液の循環を再開する際の各外循環バルブ29の動作の他例を示すタイミングチャートである。
図7(b)及び
図7(c)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力及び気体供給圧力の他例を示すタイミングチャートである。
図7(b)及び
図7(c)に示すポンプ吐出圧力及び気体供給圧力のタイミングチャートは、
図6(c)及び
図6(d)に示すタイミングチャートと略同様である。なお、
図7(a)~
図7(c)において、横軸は時刻tを示す。
【0119】
図7(a)~
図7(c)に示すように、内循環配管19及び内循環バルブ33が省略された構成では、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の動作の再開時に、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t1)。その後、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動を開始させる(時刻t2)。そして、制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTPに到達すると(時刻t3)、昇圧処理を終了する。
【0120】
以上、
図1~
図5、
図6(a)~
図6(d)、及び
図7(a)~
図7(c)を参照して、本発明の実施形態1を説明した。実施形態1によれば、処理液の循環を再開させる際にポンプ吐出圧力が徐々に増加する。よって、処理液の循環を再開させる際にフィルタ部27(フィルタ膜27a)に加わる圧力が徐々に増加する。したがって、処理液の循環を再開させる際にフィルタ部27(フィルタ膜27a)に大きな圧力が一気に加わることを回避できる。その結果、処理液の循環を再開させる際に、フィルタ部27(フィルタ膜27a)に捕捉されていた異物がフィルタ部27から放出され難くなる。よって、処理液の循環再開時に基板Wに付着する異物が増加することを抑制することができる。
【0121】
[実施形態2]
続いて
図3、
図5及び
図8(a)~
図8(d)を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、実施形態1と異なり、昇圧処理の実行中に循環経路が切り替わる。
【0122】
まず、
図3及び
図5を参照して、実施形態2の基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。実施形態2では、
図5に示すステップS3の処理が実施形態1と異なる。
【0123】
本実施形態では、制御装置110(制御部111)は、昇圧処理によりポンプ吐出圧力を徐々に増加させている途中で循環制御機構28を制御して、内循環配管19を介した処理液の循環を停止させるとともに、各外循環配管15を介した処理液の循環を開始させる。具体的には、制御装置110(制御部111)は、昇圧処理によりポンプ吐出圧力を徐々に増加させている途中で各外循環バルブ29及び内循環バルブ33を制御して、内循環配管19における処理液の流通を停止させるとともに、各外循環配管15における処理液の流通を開始させる。
【0124】
詳しくは、
図5に示すステップS3において、制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力を徐々に増加させている途中で、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えることを決定する(ステップS3のYes)。この結果、制御装置110(制御部111)は、昇圧処理の途中で、第2バルブ制御を実行する(ステップS4)。具体的には、制御装置110(制御部111)は、昇圧処理によりポンプ吐出圧力を徐々に増加させている途中で、内循環バルブ33を開状態から閉状態へ遷移させるとともに、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる。
【0125】
例えば、制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が、圧力MTP以上であるか否かに基づいて、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えるか否かを決定してもよい。ここで、圧力MTPは、目標吐出圧力TTPよりも低い圧力値を示す。以下、圧力MTPを、「中間吐出圧力MTP」と記載する場合がある。
【0126】
詳しくは、制御装置110(制御部111)は、気体供給圧力が、中間吐出圧力MTPに対応する圧力MAP以上であるか否かに基づいて、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えるか否かを決定してもよい。以下、圧力MAPを、「中間供給圧力MAP」と記載する場合がある。
【0127】
続いて、
図3、
図5、及び
図8(a)~
図8(d)を参照して、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。
図8(a)及び
図8(b)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時における内循環バルブ33及び各外循環バルブ29の動作を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図8(a)及び
図8(b)はそれぞれ、処理液の循環を再開する際の内循環バルブ33及び各外循環バルブ29の動作を示すタイミングチャートである。
図8(c)及び
図8(d)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力及び気体供給圧力を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図8(c)及び
図8(d)はそれぞれ、処理液の循環を再開する際のポンプ吐出圧力及び気体供給圧力を示すタイミングチャートである。なお、
図8(a)~
図8(d)において、横軸は時刻tを示す。また、
図8(c)において、縦軸はポンプ吐出圧力を示す。
図8(d)において、縦軸は気体供給圧力を示す。
【0128】
図8(a)~
図8(d)に示すように、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の動作の再開時に、内循環バルブ33を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t11)。その後、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動を開始させる(時刻t12)。
【0129】
具体的には、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55を制御して、循環ポンプ21への気体の供給を開始させる(時刻t12)。この結果、循環ポンプ21による処理液の送液が開始されて(時刻t12)、内循環配管19を介した処理液の循環が開始される。
【0130】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が中間吐出圧力MTPに到達すると(時刻t13)、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻1t3)。その後、制御装置110(制御部111)は、内循環バルブ33を開状態から閉状態へ遷移させる(時刻t14)。この結果、ポンプ吐出圧力が徐々に増加している途中(昇圧処理の途中)で、循環経路が、内循環配管19を経由する経路から各外循環配管15を経由する経路に切り替わる。例えば、制御装置110(制御部111)は、気体供給圧力が中間供給圧力MAPに到達すると、第2バルブ制御を実行して循環経路を切り替える。
【0131】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTPに到達すると(時刻t15)、昇圧処理を終了する。ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTPに到達した後、ポンプ吐出圧力は目標吐出圧力TTPで維持される(時刻t15以降)。
【0132】
以上、
図3、
図5及び
図8(a)~
図8(d)を参照して本発明の実施形態2を説明した。実施形態2によれば、実施形態1と同様に、処理液の循環再開時に基板Wに付着する異物が増加することを抑制することができる。更に、実施形態2によれば、昇圧処理の終了前に、温調器25により加熱された処理液が各外循環配管15を流通する。したがって、昇圧処理の終了後に処理液が各外循環配管15を流通する構成と比べて、各外循環配管15の温度をより早期に目標温度まで昇温することができる。また、昇圧処理の終了後に処理液が各外循環配管15を流通する構成と比べて、処理液による各外循環配管15の昇温をより早期に開始することができる。したがって、熱エネルギーの消費量を抑制することができる。ひいては、環境負荷を軽減することができる。
【0133】
[実施形態3]
続いて
図3、
図9及び
図10(a)~
図10(d)を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、実施形態1、2と異なり、昇圧処理を開始してから昇圧処理を終了するまでの期間が可変である。つまり、昇圧処理によりポンプ吐出圧力を徐々に増加させる期間が可変である。以下、昇圧処理を開始してから昇圧処理を終了するまでの期間を、「昇圧期間」と記載する場合がある。
【0134】
まず、
図3及び
図9を参照して、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。本実施形態において、記憶部112は、履歴情報を記憶する。履歴情報は、フィルタ部27の使用履歴に関する情報を示す。
【0135】
例えば、記憶部112は、フィルタ部27の使用履歴(履歴情報)として、フィルタ部27の使用開始から現在までの間に基板処理装置100が処理した基板Wの枚数を記憶してもよい。具体的には、制御部111が、ロードポートLPから基板処理装置100の内部に搬入された基板Wの枚数を計数して、その計数値(計数の結果)を記憶部112に記憶させてもよい。以下、フィルタ部27の使用開始から現在までの間に基板処理装置100が処理した基板Wの枚数を、「基板処理枚数」と記載する場合がある。
【0136】
あるいは、記憶部112は、フィルタ部27の使用履歴(履歴情報)として、フィルタ部27の使用開始から現在までの間にフィルタ部27を通過した処理液の流量を記憶してもよい。具体的には、基板処理装置100は、流入配管13に設けられた流量計を更に備えてもよい。例えば、流量計は積算流量を測定してもよい。制御部111は、流量計の計測結果(積算流量)を記憶部112に記憶させる。以下、フィルタ部27の使用開始から現在までの間にフィルタ部27を通過した処理液の流量を、「処理液の総流量」と記載する場合がある。
【0137】
制御部111は、記憶部112に記憶されている履歴情報に基づいて、昇圧期間を調整する。具体的には、制御部111は、基板処理装置100の動作の再開時(処理液の循環再開時)に、履歴情報に基づいて、昇圧期間を調整する。例えば、制御部111は、基板処理枚数が多いほど、昇圧期間をより長くする。あるいは、制御部111は、処理液の総流量が大きいほど、昇圧期間をより長くする。
【0138】
詳しくは、基板処理枚数が多いほど、フィルタ部27(フィルタ膜27a)に捕捉されている異物の数がより多くなる。同様に、処理液の総流量が大きいほど、フィルタ部27(フィルタ膜27a)に捕捉されている異物の数がより多くなる。一方、フィルタ部27(フィルタ膜27a)に一気に加わる圧力は、昇圧期間が短いほど、より大きくなる。したがって、フィルタ部27(フィルタ膜27a)に捕捉されている異物の数が多い状態の下で、昇圧期間を短くした場合、フィルタ部27(フィルタ膜27a)から放出される異物の数が増える可能性が高くなる。これに対し、フィルタ部27(フィルタ膜27a)に捕捉されている異物の数が多い状態であっても、昇圧期間をより長くすることで、フィルタ部27から異物が放出され難くなる。
【0139】
具体的には、制御部111は、履歴情報に基づいて、昇圧処理の開始時に循環ポンプ21に供給する気体の圧力(圧力SAP)を調整する。換言すると、制御部111は、循環ポンプ21への気体の供給を再開する際の気体供給圧力(圧力SAP)を調整する。以下、昇圧処理の開始時に循環ポンプ21に供給する気体の圧力(圧力SAP)を、「初動供給圧力SAP」と記載する場合がある。昇圧期間は、初動供給圧力SAPが小さいほど、より長くなる。
【0140】
図9は、本実施形態の基板処理方法の流れを示す図である。詳しくは、
図9は、制御装置110(制御部111)が実行する処理の流れを示す。具体的には、
図9は、処理液の循環を再開させる処理(循環再開工程)を示す。
図9に示す処理(循環再開工程)は、基板処理装置100の動作が再開されることによって開始する。
図9に示す処理は、ステップS11~ステップS16を含む。
【0141】
図9に示すように、基板処理装置100の動作が再開されると、制御部111は、記憶部112に記憶されている履歴情報を参照する(ステップS11)。そして、制御部111は、履歴情報に基づいて昇圧期間を調整する(ステップS12)。具体的には、制御部111は、履歴情報に基づいて初動供給圧力SAPを調整する。例えば、制御部111は、基板処理枚数が多いほど、初動供給圧力SAPの圧力値をより小さくする。同様に、制御部111は、処理液の総流量が大きいほど、初動供給圧力SAPの圧力値をより小さくする。
【0142】
制御部111により昇圧期間が調整された後、ステップS13~ステップS16の各処理が実行されて、
図9に示す処理が終了する。なお、ステップS13~ステップS16の各処理は、
図5を参照して説明したステップS1~ステップS4の各処理と略同様であるため、それらの説明は割愛する。
【0143】
続いて
図3、
図9及び
図10(a)~
図10(d)を参照して、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。
図10(a)及び
図10(b)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時における内循環バルブ33及び各外循環バルブ29の動作を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図10(a)及び
図10(b)はそれぞれ、処理液の循環を再開する際の内循環バルブ33及び各外循環バルブ29の動作を示すタイミングチャートである。
図10(c)及び
図10(d)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力及び気体供給圧力を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図10(c)及び
図10(d)はそれぞれ、処理液の循環を再開する際のポンプ吐出圧力及び気体供給圧力を示すタイミングチャートである。なお、
図10(a)~
図10(d)において、横軸は時刻tを示す。
図10(c)において、縦軸はポンプ吐出圧力を示す。
図10(d)において、縦軸は気体供給圧力を示す。
【0144】
図10(d)において、第1初動供給圧力SAP1は、基板処理装置100の1回目の動作再開時における初動供給圧力SAPを示す。第2初動供給圧力SAP2は、基板処理装置100の2回目の動作再開時における初動供給圧力SAPを示す。
【0145】
図10(a)~
図10(d)に示すように、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の動作の再開時に、内循環バルブ33を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t21)。その後、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動を開始させる(時刻t22)。この結果、循環ポンプ21による処理液の送液が開始されて(時刻t22)、内循環配管19を介した処理液の循環が開始される。
【0146】
具体的には、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の1回目の動作再開時に、履歴情報に基づいて、初動供給圧力SAPを第1初動供給圧力SAP1に調整して、循環ポンプ21への気体の供給を開始させる(時刻t22)。
【0147】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTPに到達すると(時刻t23)、昇圧処理を終了する。制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を終了すると、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t23)。その後、制御装置110(制御部111)は、内循環バルブ33を開状態から閉状態へ遷移させる(時刻t24)。この結果、循環経路が、内循環配管19を経由する経路から各外循環配管15を経由する経路に切り替わる。
【0148】
一方、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の2回目の動作再開時に、履歴情報に基づいて、初動供給圧力SAPを第2初動供給圧力SAP2に調整して、循環ポンプ21への気体の供給を開始させる(時刻t22)。第2初動供給圧力SAP2は、第1初動供給圧力SAP1よりも低い圧力値を示す。
【0149】
初動供給圧力SAPを第2初動供給圧力SAP2に調整した結果、ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTPに到達する時刻が、時刻t23から時刻t25に遅延する。したがって、基板処理装置100の2回目の動作再開時における昇圧期間(時刻t21~時刻t25)は、基板処理装置100の1回目の動作再開時における昇圧期間(時刻t21~時刻t23)よりも長くなる。
【0150】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が目標吐出圧力TTPに到達すると(時刻t25)、昇圧処理を終了する。制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を終了すると、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t25)。その後、制御装置110(制御部111)は、内循環バルブ33を開状態から閉状態へ遷移させる(時刻t26)。
【0151】
以上、
図3、
図9及び
図10(a)~
図10(d)を参照して本発明の実施形態3を説明した。実施形態3によれば、実施形態1、2と同様に、処理液の循環再開時に基板Wに付着する異物が増加することを抑制することができる。更に、実施形態3によれば、フィルタ部27(フィルタ膜27a)の使用履歴に応じて昇圧期間を調整することができる。したがって、処理液の循環再開時に基板Wに付着する異物が増加することをより抑制することができる。
【0152】
[実施形態4]
続いて
図11、
図12、
図13(a)~
図13(d)、
図14(a)~
図14(d)、及び
図15を参照して本発明の実施形態4について説明する。但し、実施形態1~3と異なる事項を説明し、実施形態1~3と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態4は、実施形態1~3と異なり、昇圧処理の実行前に排液処理が実行される。
【0153】
図11は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる流体キャビネット101の構成を示す図である。
図11に示すように、基板処理装置100は、排液機構9と、循環規制バルブ81とを更に備える。排液機構9は、流体キャビネット101に収容される。排液機構9は、流入配管13から処理液を排出させる。具体的には、排液機構9は、排液配管91と、排液タンク92と、排液バルブ93とを有する。
【0154】
排液配管91は、処理液が流通する管状の部材である。排液配管91は、処理液を排出する。本実施形態において、排液配管91は、流入配管13から処理液を排出する。具体的には、排液配管91は、流入配管13から排液タンク92まで処理液を流通させる。換言すると、排液配管91は、排液タンク92に処理液を排出する。
【0155】
より詳しくは、排液配管91は、フィルタ膜27aを通過した処理液を排出する。本実施形態では、排液配管91の上流端はフィルタ部27に接続し、排液配管91の下流端は排液タンク92に接続する。具体的には、排液配管91の上流端はフィルタ部27の二次側に接続する。ここで、フィルタ部27の二次側は、フィルタ膜27aよりも下流側の部分を示す。なお、フィルタ部27の一次側は、フィルタ膜27aよりも上流側の部分を示す。
【0156】
排液バルブ93は、排液配管91に配置されて、排液配管91における処理液の流通開始と流通停止とを制御する。詳しくは、排液バルブ93は開閉可能な開閉弁である。排液バルブ93が開くと、排液配管91を処理液が流通して、排液タンク92に処理液が排出される。排液バルブ93が閉じると、排液配管91における処理液の流通が停止する。その結果、流入配管13からの処理液の排出が停止する。排液バルブ93の開閉動作は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0157】
本実施形態において、循環制御機構28は、複数の外循環バルブ29と、内循環バルブ33とに加えて、循環規制バルブ81を更に含む。循環規制バルブ81は、流入配管13に設けられる。具体的には、循環規制バルブ81は、フィルタ部27と第2接続箇所P2との間に配置される。なお、本実施形態において、循環制御機構28は、複数の外循環バルブ29と、内循環バルブ33と、循環規制バルブ81とを含むが、循環制御機構28は、実施形態1~3と同様に、複数の外循環バルブ29と、内循環バルブ33と、循環規制バルブ81とのうち、複数の外循環バルブ29、及び内循環バルブ33のみを含んでもよい。
【0158】
循環規制バルブ81は、複数の外循環配管15への処理液の流入と、内循環配管19への処理液の流入とを規制する。詳しくは、循環規制バルブ81は開閉可能な開閉弁である。循環規制バルブ81が閉じることにより、複数の外循環配管15への処理液の流入と、内循環配管19への処理液の流入とが規制される。循環規制バルブ81が開くことにより、複数の外循環配管15及び内循環配管19への処理液の流入の規制が解除される。循環規制バルブ81の開閉動作は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0159】
制御装置110(制御部111)は、循環制御機構28(複数の外循環バルブ29、内循環バルブ33、及び循環規制バルブ81)と、ポンプ吐出圧力と、排液バルブ93とを制御して、排液処理と、循環開始処理と、昇圧処理とを実行する。本実施形態では、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55を制御して、ポンプ吐出圧力を制御する。
【0160】
詳しくは、排液処理は、循環ポンプ21の駆動開始時に、圧力調整弁55を制御してポンプ吐出圧力を第1目標吐出圧力TTP1(第1圧力)まで増加させるとともに、循環制御機構28(複数の外循環バルブ29、内循環バルブ33、及び循環規制バルブ81)と排液バルブ93とのうちの少なくとも排液バルブ93を制御して、排液配管91から処理液を排出させる処理を含む。例えば、循環ポンプ21の駆動開始時に循環規制バルブ81が開状態である場合、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動開始時に、循環規制バルブ81を開状態から閉状態へ遷移させるとともに、排液バルブ93を閉状態から開状態へ遷移させる。この結果、排液配管91を介して排液タンク92に処理液が排出される。なお、排液処理では、ポンプ吐出圧力は第1目標吐出圧力TTP1(第1圧力)まで一気に増加する。
【0161】
なお、第1目標吐出圧力TTP1は、基板Wを処理する際に循環ポンプ21が処理液を吐出する圧力より大きい圧力であってもよい。あるいは、第1目標吐出圧力TTP1は、基板Wを処理する際に循環ポンプ21が処理液を吐出する圧力と等しい圧力であってもよい。以下、基板Wを処理する際に循環ポンプ21が処理液を吐出する圧力を、「通常使用圧力」と記載する場合がある。
【0162】
制御装置110(制御部111)は、排液配管91から処理液を排出させたことに応じて、ポンプ吐出圧力を第1目標吐出圧力TTP1(第1圧力)よりも低い圧力STP(第2圧力)まで低下させる。換言すると、制御装置110(制御部111)は、排出処理の実行後、圧力調整弁55を制御してポンプ吐出圧力を圧力STP(第2圧力)まで低下させる。なお、圧力STP(第2圧力)は、処理液の循環再開時におけるポンプ吐出圧力を示す。以下、圧力STP(第2圧力)を、「循環開始圧力STP」と記載する場合がある。
【0163】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力を第1目標吐出圧力TTP1(第1圧力)から循環開始圧力STP(第2圧力)まで低下させたことに応じて、循環開始処理と昇圧処理とを実行する。本実施形態において、循環開始処理は、循環制御機構28(複数の外循環バルブ29、内循環バルブ33、及び循環規制バルブ81)と、排液バルブ93とを制御して、排液配管91からの処理液の排出を停止させるとともに、内循環配管19を介した処理液の循環を開始させる処理を含む。
【0164】
具体的には、制御装置110(制御部111)は、循環規制バルブ81を閉状態から開状態へ遷移させる。その後、制御装置110(制御部111)は、内循環バルブ33を閉状態から開状態へ遷移させる。この結果、排液配管91を介した処理液の排出が停止し、内循環配管19を介した処理液の循環が開始する。
【0165】
昇圧処理は、実施形態1~3と同様に、ポンプ吐出圧力を循環開始圧力STP(第2圧力)より大きい第2目標吐出圧力TTP2(第3圧力)まで徐々に増加させる処理を示す。ここで、第2目標吐出圧力TTP2は、基板Wを処理する際に循環ポンプ21が処理液を吐出する圧力(通常使用圧力)を示す。
【0166】
なお、第1目標吐出圧力TTP1が通常使用圧力よりも大きい圧力である場合、第1目標吐出圧力TTP1は、流入配管13、各外循環配管15、及び内循環配管19に設けられる部材又は機器のうち最も耐圧値が低い部材又は機器の耐圧値以下の圧力値を示す。例えば、最も耐圧値が低い部材又は機器が温調器25である場合、第1目標吐出圧力TTP1は、通常使用圧力よりも大きく、且つ温調器25の耐圧値以下の圧力値を示す。
【0167】
図12は、本実施形態の基板処理方法の流れを示す図である。詳しくは、
図12は、制御装置110(制御部111)が実行する処理の流れを示す。具体的には、
図12は、処理液の循環を再開させる処理(循環再開工程)を示す。
図12に示す処理(循環再開工程)は、基板処理装置100の動作が再開されることにより開始する。
【0168】
図12に示すように、基板処理装置100の動作が再開されると、制御装置110(制御部111)は、排液バルブ93を閉状態から開状態へ遷移させる(ステップS21)。その後、制御装置110(制御部111)は、循環制御機構28を制御して、複数の外循環配管15を介した処理液の循環と、内循環配管19を介した処理液の循環とを規制する。本実施形態では、制御装置110(制御部111)は、循環規制バルブ81を開状態から閉状態へ遷移させて、内循環配管19への処理液の流入と、各外循環配管15への処理液の流入とを規制する(ステップS22)。
【0169】
制御装置110(制御部111)は、循環規制バルブ81を開状態から閉状態へ遷移させた後、循環ポンプ21の駆動を開始させる(ステップS23)。具体的には、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55を制御して、循環ポンプ21への気体の供給を開始して、ポンプ吐出圧力を第1目標吐出圧力TTP1まで一気に増加させる。
【0170】
制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動を開始させた後、循環ポンプ21の駆動が開始してから所定時間(第1所定時間)が経過したか否かを判定する(ステップS24)。ここで、所定時間は、予め定められた一定の期間(時間)を示す。第1所定時間は、例えば、30秒又は60秒である。
【0171】
制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動が開始してから所定時間(第1所定時間)が経過していないと判定した場合(ステップS24のNo)、ステップS24の処理を繰り返す。換言すると、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動が開始してから所定時間(第1所定時間)が経過するまで、ポンプ吐出圧力を第1目標吐出圧力TTP1に保持させる。
【0172】
制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動が開始してから所定時間(第1所定時間)が経過したと判定した場合(ステップS24のYes)、圧力調整弁55を制御して、ポンプ吐出圧力を第1目標吐出圧力TTP1から循環開始圧力STPまで低下させる(ステップS25)。
【0173】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力を循環開始圧力STPまで低下させた後、第1バルブ制御を実行する(ステップS26)。本実施形態において、第1バルブ制御は、循環制御機構28(複数の外循環バルブ29、内循環バルブ33、及び循環規制バルブ81)と、排液バルブ93とを制御して、内循環配管19を介した処理液の循環を開始させる処理を含む。具体的には、制御装置110(制御部111)は、循環規制バルブ81及び内循環バルブ33を閉状態から開状態へ遷移させるとともに、排液バルブ93を開状態から閉状態へ遷移させる。
【0174】
制御装置110(制御部111)は、第1バルブ制御の実行後、昇圧処理を実行する。具体的には、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55を制御して、ポンプ吐出圧力を循環開始圧力STPから第2目標吐出圧力TTP2まで徐々に増加させる(ステップS27)。
【0175】
制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を開始した後、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えるか否かを決定する(ステップS28)。なお、ステップS28の処理は、
図5に示すステップS3の処理と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0176】
制御装置110(制御部111)は、循環経路を内循環配管19から外循環配管15へ切り替えることを決定した場合(ステップS28のYes)、第2バルブ制御を実行する(ステップS29)。この結果、
図12に示す処理が終了する。なお、ステップS29の処理は、
図5に示すステップS4の処理と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0177】
図13(a)~
図13(c)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時における排液バルブ93、内循環バルブ33、及び各外循環バルブ29の動作を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図13(a)~
図13(c)はそれぞれ、処理液の循環を再開する際の排液バルブ93、内循環バルブ33、及び各外循環バルブ29の動作を示すタイミングチャートである。
図13(d)は、基板処理装置100の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図13(d)は、処理液の循環を再開する際のポンプ吐出圧力を示すタイミングチャートである。なお、
図13(a)~
図13(d)において、横軸は時刻tを示す。また、
図13(d)において、縦軸はポンプ吐出圧力を示す。
【0178】
図13(a)~
図13(d)に示すように、制御装置110(制御部111)は、基板処理装置100の動作の再開時に、排液処理を実行する。具体的には、制御装置110(制御部111)は、循環規制バルブ81を開状態から閉状態へ遷移させるとともに、排液バルブ93を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t31)。その後、制御装置110(制御部111)は、循環ポンプ21の駆動を開始させる(時刻t32)。この結果、流入配管13から排液配管91を介して排液タンク92に処理液が排出される。なお、排液処理の実行時に、制御装置110(制御部111)は、圧力調整弁55を制御して、ポンプ吐出圧力を第1目標吐出圧力TTP1まで一気に増加させる。
【0179】
制御装置110(制御部111)は、排液処理を開始してから所定時間(第1所定時間)が経過すると、圧力調整弁55を制御して、ポンプ吐出圧力を第1目標吐出圧力TTP1から循環開始圧力STPまで低下させる(時刻t33)。
【0180】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力を循環開始圧力STPまで低下させた後、循環規制バルブ81を閉状態から開状態へ遷移させるとともに、内循環バルブ33を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t34)。その後、制御装置110(制御部111)は、排液バルブ93を開状態から閉状態へ遷移させる(時刻t35)。この結果、排液配管91を介した処理液の排出が停止し、内循環配管19を介した処理液の循環が開始する。
【0181】
制御装置110(制御部111)は、排液バルブ93を開状態から閉状態へ遷移させた後、昇圧処理を開始する(時刻t36)。その結果、ポンプ吐出圧力が徐々に増加する(時刻t36~時刻t37)。換言すると、昇圧処理により、ポンプ吐出圧力がスロープ状に増加する。
【0182】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力が第2目標吐出圧力TTP2に到達すると(時刻t37)、昇圧処理を終了する。ポンプ吐出圧力が第2目標吐出圧力TTP2に到達した後、ポンプ吐出圧は第2目標吐出圧力TTP2で維持される(時刻t37以降)。制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を終了すると、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t37)。その後、制御装置110(制御部111)は、内循環バルブ33を開状態から閉状態へ遷移させる(時刻t38)。この結果、循環経路が、内循環配管19を経由する経路から各外循環配管15を経由する経路に切り替わる。
【0183】
なお、循環開始圧力STPは、循環ポンプ21の駆動が停止している状態での圧力を含む。つまり、制御装置110(制御部111)は、排出処理の実行後、圧力調整弁55を制御して、循環ポンプ21への気体の供給を停止させてもよい。この場合、循環開始圧力STPの値は「0」であってもよい。
【0184】
図11、
図12及び
図13(a)~
図13(d)を参照して説明した実施形態によれば、循環ポンプ21の駆動開始時に、通常使用圧力(基板Wを処理する際に循環ポンプ21が処理液を吐出する圧力)以上の圧力(第1目標吐出圧力TTP1)をフィルタ膜27aに加えつつ、フィルタ膜27aを通過した処理液を排液配管91から排出することができる。よって、処理液の循環を再開する前にフィルタ膜27aから異物を放出させつつ、その放出された異物を処理液と共に排出することができる。したがって、処理液の循環を再開する前に、フィルタ膜27aに捕捉されている異物の数を減少させることができる。したがって、処理液の循環再開時に基板Wに付着する異物が増加することを抑制することができる。更に、
図11、
図12及び
図13(a)~
図13(d)を参照して説明した実施形態によれば、排液処理の実行後、実施形態1~3と同様に、ポンプ吐出圧力を第2目標吐出圧力TTP2まで徐々に増加させることができる。したがって、処理液の循環再開時に基板Wに付着する異物が増加することを更に抑制することができる。
【0185】
また、
図11、
図12及び
図13(a)~
図13(d)を参照して説明した実施形態によれば、第1目標吐出圧力TTP1を通常使用圧力よりも大きい圧力にすることができる。したがって、フィルタ膜27aから、より多くの異物を放出させることができる。
【0186】
なお、
図11、
図12、及び
図13(a)~
図13(d)を参照して説明したように、処理液の循環を再開する前に、フィルタ膜27aに捕捉されている異物の数を減少させた場合、昇圧処理においてポンプ吐出圧力を第2目標吐出圧力TTP2まで段階的に増加させても、処理液の循環再開時に基板Wに付着する異物が増加することを抑制することができる。
【0187】
続いて、
図14(a)~
図14(d)を参照して本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法の他例(他例1)を説明する。
図11、
図12及び
図13(a)~
図13(d)を参照して説明した実施形態において、昇圧処理は、ポンプ吐出圧力を第2目標吐出圧力TTP2まで徐々に(スロープ状に)増加させる処理であったが、昇圧処理は、ポンプ吐出圧力を第2目標吐出圧力TTP2まで段階的に増加させる処理であってもよい。
【0188】
図14(a)~
図14(c)はそれぞれ、基板処理装置100の動作の再開時における排液バルブ93、内循環バルブ33、及び各外循環バルブ29の動作の他例(他例1)を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図14(a)~
図14(c)はそれぞれ、処理液の循環を再開する際の排液バルブ93、内循環バルブ33、及び各外循環バルブ29の動作の他例(他例1)を示すタイミングチャートである。
図14(d)は、基板処理装置100の動作の再開時におけるポンプ吐出圧力の他例(他例1)を示すタイミングチャートである。詳しくは、
図14(d)は、処理液の循環を再開する際のポンプ吐出圧力の他例(他例1)を示すタイミングチャートである。なお、
図14(a)~
図14(d)において、横軸は時刻tを示す。また、
図14(d)において、縦軸はポンプ吐出圧力を示す。
【0189】
図14(a)~
図14(d)において、時刻t41~時刻t45の各時刻における排液バルブ93、内循環バルブ33、及び各外循環バルブ29の動作、ならびに循環ポンプ21の動作(ポンプ吐出圧力)は、
図13(a)~
図13(d)に示す時刻t31~時刻t35の各時刻における排液バルブ93、内循環バルブ33、及び各外循環バルブ29の動作、ならびに循環ポンプ21の動作(ポンプ吐出圧力)と略同様であるため、それらの説明は割愛する。
【0190】
図14(a)~
図14(d)に示す他例1において、制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を開始すると(時刻t46)、ポンプ吐出圧を段階的に増加させる(時刻t46~時刻t48)。
【0191】
具体的には、制御装置110(制御部111)は、昇圧処理を開始すると、圧力調整弁55を制御して、ポンプ吐出圧力を循環開始圧力STPから圧力XTPまで一気に増加させる(時刻t46)。ここで、圧力XTPは、循環開始圧力STPよりも大きく、且つ第2目標吐出圧力TTP2よりも小さい圧力値を示す。
【0192】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力を圧力XTPまで増加させてから所定時間(第2所定時間)が経過すると、圧力調整弁55を制御して、ポンプ吐出圧力を圧力XTPから第2目標吐出圧力TTP2まで一気に増加させる(時刻t47)。
【0193】
制御装置110(制御部111)は、ポンプ吐出圧力を第2目標吐出圧力TTP2まで増加させてから所定時間(第3所定時間)が経過すると、各外循環バルブ29を閉状態から開状態へ遷移させる(時刻t48)。その後、制御装置110(制御部111)は、内循環バルブ33を開状態から閉状態へ遷移させる(時刻t49)。この結果、循環経路が、内循環配管19を経由する経路から各外循環配管15を経由する経路に切り替わる。
【0194】
なお、
図14(a)~
図14(d)を参照して説明した実施形態では、昇圧処理時にポンプ吐出圧力が2段階で第2目標吐出圧力TTP2まで昇圧されたが、ポンプ吐出圧力は、昇圧処理時に3段階以上で第2目標吐出圧力TTP2まで昇圧されてもよい。
【0195】
図14(a)~
図14(d)を参照して説明した実施形態によれば、
図11、
図12及び
図13(a)~
図13(d)を参照して説明した実施形態と同様に、処理液の循環を再開する前にフィルタ膜27aから異物を放出させつつ、その放出された異物を処理液と共に排出することができる。よって、処理液の循環を再開する前に、フィルタ膜27aに捕捉されている異物の数を減少させることができる。したがって、処理液の循環再開時に基板Wに付着する異物が増加することを抑制することができる。
【0196】
続いて、
図15を参照して、本実施形態の基板処理装置100の他例2を説明する。
図15は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる流体キャビネット101の構成の他例(他例2)を示す図である。
図11を参照して説明した構成では、排液配管91の上流端はフィルタ部27に接続されたが、排液配管91の上流端は、フィルタ膜27aを通過した処理液を排出でき位置であれば、流入配管13に接続されてもよい。つまり、排液配管91の上流端は、フィルタ部27よりも下流側において流入配管13に接続されてもよい。
【0197】
例えば、排液配管91は、第1接続箇所P1よりも上流側において流入配管13に接続されてもよいし、第2接続箇所P2よりも上流側において流入配管13に接続されてもよい。あるいは、
図15に示すように、排液配管91は、循環規制バルブ81よりも上流側において流入配管13に接続されてもよい。具体的には、排液配管91は、フィルタ部27と循環規制バルブ81との間において流入配管13に接続されてもよい。
【0198】
なお、
図11~
図15を参照して説明した実施形態では、昇圧処理の終了後に循環経路が内循環配管19を経由する経路から各外循環配管15を経由する経路に切り替わったが、
図8(a)~
図8(d)を参照して説明したように、昇圧処理の途中で循環経路を切り替えてもよい。
【0199】
また、
図11~
図15を参照して説明した実施形態では、昇圧期間が一定であったが、
図9及び
図10(a)~
図10(d)を参照して説明したように、昇圧期間は可変であってもよい。
【0200】
また、
図11~
図15を参照して説明した実施形態では、循環ポンプ21は、気体の圧力により駆動するポンプであったが、循環ポンプ21は、気体の圧力により駆動するポンプに限定されない。例えば、循環ポンプ21は、電流により駆動するポンプであってもよい。あるいは、循環ポンプ21は、回転体を含むポンプであってもよい。具体的には、循環ポンプ21は、レビトロポンプであってもよい。
【0201】
また、
図11~
図15を参照して説明した実施形態において、基板処理装置100は、内循環配管19及び内循環バルブ33を備えたが、内循環配管19及び内循環バルブ33は省略されてもよい。内循環配管19及び内循環バルブ33が省略される場合、循環開始処理により外循環配管15を介した処理液の循環が開始する。
【0202】
以上、図面(
図1~
図15)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0203】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0204】
例えば、
図1~
図15を参照して説明した実施形態において、基板処理装置100はパルスダンパー23を備えたが、循環ポンプ21として処理液に脈動を発生させないポンプが使用される場合、パルスダンパー23は省略されてもよい。
【0205】
また、
図1~
図15を参照して説明した実施形態において、基板処理装置100は温調器25を備えたが、基板処理が、加熱した処理液を使用しない基板処理である場合、温調器25は省略されてもよい。
【0206】
また、
図1~
図15を参照して説明した実施形態において、基板処理装置100は枚葉式の装置であったが、基板処理装置100はバッチ式の装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明は、基板を処理する装置、及び基板を処理する方法に有用である。
【符号の説明】
【0208】
11 :処理液タンク(処理液貯留部)
13 :流入配管
15 :外循環配管
19 :内循環配管
21 :循環ポンプ
27 :フィルタ部
27a :フィルタ膜
28 :循環制御機構
55 :圧力調整弁
91 :排液配管
93 :排液バルブ
100 :基板処理装置
110 :制御装置
111 :制御部
112 :記憶部
P1 :第1接続箇所
P2 :第2接続箇所
SAP :初動供給圧力
SAP1 :第1初動供給圧力
SAP2 :第2初動供給圧力
STP :循環開始圧力
TAP :目標供給圧力
TTP :目標吐出圧力
TTP1 :第1目標吐出圧力
TTP2 :第2目標吐出圧力
W :基板