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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025070541
(43)【公開日】2025-05-02
(54)【発明の名称】鞍乗型車両及びタンクユニット
(51)【国際特許分類】
   B62J 35/00 20060101AFI20250424BHJP
   B62J 37/00 20060101ALI20250424BHJP
【FI】
B62J35/00 B
B62J35/00 C
B62J37/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180944
(22)【出願日】2023-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】和泉 恭平
(72)【発明者】
【氏名】松田 義基
(72)【発明者】
【氏名】宇積 陽一
(57)【要約】
【課題】車両側面に強い衝撃が加わった場合でも燃料タンクが破損しにくい構成の鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両1は、車体フレーム2aと、シート14と、燃料タンク7と、エンジン8と、タンクフレーム30と、を備える。シート14には、運転者が着座する。燃料タンク7には、大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される。エンジン8は、燃料タンク7に貯蔵された燃料を用いて駆動力を発生させる。タンクフレーム30は、燃料タンク7を支持するとともに車体フレーム2aに接続される。シート14の後端部よりも後方に、燃料タンク7の後端部が位置している。タンクフレーム30は、燃料タンク7の車幅方向外側の面を覆う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
運転者が着座するシートと、
大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される燃料タンクと、
前記燃料タンクに貯蔵された燃料を用いて駆動力を発生させる動力源と、
前記燃料タンクを支持するとともに前記車体フレームに接続されるタンクフレームと、
を備え、
前記シートの後端部よりも後方に、前記燃料タンクの後端部が位置しており、
前記タンクフレームは、前記燃料タンクの車幅方向外側の面を覆う、鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両であって、
前記燃料タンクは、長手方向が前後方向に沿うように配置され、
前記タンクフレームは、前記燃料タンクの車幅方向外側の領域において、当該燃料タンクの長手方向に沿うように配置される、鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
前記タンクフレームは、更に、前記燃料タンクの後面を覆う、鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
燃料補給時において、燃料補給ノズルが取り付けられるノズル取付部を備え、
前記ノズル取付部は、車両後部に設けられる、鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
前記燃料タンクから前記動力源に向けて供給される燃料の出口である接続部が、前記燃料タンクの後部に設けられる、鞍乗型車両。
【請求項6】
請求項4に記載の鞍乗型車両であって、
前記ノズル取付部は、前記燃料タンクの上端よりも下方に配置される、鞍乗型車両。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
車両平面視において、前記タンクフレームは、前記燃料タンクを鉛直軸周りに一周して当該燃料タンクの全体を覆うようにループ状に配置される、鞍乗型車両。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
前記燃料タンクは、前記車体フレームに対して防振支持されており、
前記燃料タンクから前記動力源に燃料を供給する燃料管の少なくとも一部がフレキシブルホースである、鞍乗型車両。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
前記燃料タンクが前記タンクフレームに取り付けられて支持されており、
前記車体フレームに、前記タンクフレームが連結されている、鞍乗型車両。
【請求項10】
車体フレームと、
前記車体フレームよりも車幅方向外側に突出しており、大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される燃料タンクと、
前記燃料タンクに貯蔵された燃料を用いて駆動力を発生させる動力源と、
前記燃料タンクを支持するとともに前記車体フレームに接続されるタンクフレームと、
を備え、
前記燃料タンクは、少なくとも一部が前記車体フレームよりも車幅方向外側に突出しており、
前記タンクフレームは、前記燃料タンクの車幅方向外側の面を覆う、鞍乗型車両。
【請求項11】
大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される燃料タンクと、
燃料タンクに接続されて、燃料タンクから動力源に向けて供給される燃料を制御する制御器と、
前記制御器と、燃料タンクとを支持するとともに、車体に連結される連結部を備えて、前記燃料タンクの外側の面を覆う、タンクフレームとを有する、タンクユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、主として、燃料タンクを備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の二輪車は、車体フレームと、燃料タンクと、を備える。車体フレームは、車両後部に上下に並べて配置された後方上部フレーム及び後方下部フレームを含む。後方上部フレームと後方下部フレームの間には燃料タンクが配置されており、燃料タンクはバンドを用いて後方上部フレーム及び後方下部フレームに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-149606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、燃料タンクの車幅方向外側の面はバンドやフェアリングで覆われているだけであり、十分に保護されていない。そのため、転倒等が発生して車両側面に強い衝撃が加わった場合に燃料タンクが破損し易い。
【0005】
本出願は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、車両側面に強い衝撃が加わった場合でも燃料タンクが破損しにくい構成の鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本出願の第1の観点によれば、以下の構成の鞍乗型車両が提供される。即ち、鞍乗型車両は、車体フレームと、シートと、燃料タンクと、動力源と、タンクフレームと、を備える。前記シートには、運転者が着座する。前記燃料タンクには、大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される。前記動力源は、前記燃料タンクに貯蔵された燃料を用いて駆動力を発生させる。前記タンクフレームは、前記燃料タンクを支持するとともに前記車体フレームに接続される。前記シートの後端部よりも後方に、前記燃料タンクの後端部が位置している。前記タンクフレームは、前記燃料タンクの車幅方向外側の面を覆う。
【0008】
本出願の第2の観点によれば、以下の構成の鞍乗型車両が提供される。即ち、鞍乗型車両は、車体フレームと、燃料タンクと、動力源と、タンクフレームと、を備える。前記燃料タンクは、前記車体フレームよりも車幅方向外側に突出しており、大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される。前記動力源は、前記燃料タンクに貯蔵された燃料を用いて駆動力を発生させる。前記タンクフレームは、前記燃料タンクを支持するとともに前記車体フレームに接続される。前記燃料タンクは、少なくとも一部が前記車体フレームよりも車幅方向外側に突出している。前記タンクフレームは、前記燃料タンクの車幅方向外側の面を覆う。
【0009】
本出願の第3の観点によれば、以下の構成のタンクユニットが提供される。即ち、タンクユニットは、燃料タンクと、制御器と、タンクフレームと、を備える。燃料タンクには、大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される。前記制御器は、燃料タンクに接続されて、燃料タンクから燃料供給減に向けて供給される燃料を制御する。前記タンクフレームは、前記制御器と、燃料タンクとを支持するとともに、車体に連結される連結部を備えて、前記燃料タンクの外側の面を覆う。
【発明の効果】
【0010】
本出願によれば、車両側面に強い衝撃が加わった場合でも燃料タンクが破損しにくい構成の鞍乗型車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の鞍乗型車両の側面図。
図2】第1実施形態の鞍乗型車両の平面図。
図3】第1実施形態の鞍乗型車両の背面図。
図4】第1実施形態のフレーム構成及び燃料タンクの斜視図。
図5】第1実施形態のフレーム構成及び燃料タンクの側面図。
図6】第2実施形態の鞍乗型車両の側面図。
図7】第2実施形態の鞍乗型車両の背面図。
図8】第2実施形態のフレーム構成及び燃料タンクの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本出願の実施形態を説明する。初めに、図1から図3を参照して、第1実施形態の鞍乗型車両1について説明する。図1から図3は、それぞれ、第1実施形態の鞍乗型車両1の側面図、平面図、及び背面図である。また、図2及び図3では、燃料タンク7等を見易くするためにタンクカバー18を外した状態の鞍乗型車両1が図示されている。
【0013】
以下の説明では、鞍乗型車両1に乗車した運転者から見た方向で、鞍乗型車両1の左右方向を定義する。従って、前後方向は車長方向に一致し、左右方向は車幅方向に一致する。また、鉛直方向及び上下方向は高さ方向に一致する。図1に示すように、鞍乗型車両1は、車体2と、前輪3と、後輪4と、を備える。前輪3と後輪4は車長方向に間隔を空けて配置されている。
【0014】
鞍乗型車両1は、乗用型の車両である。特に、鞍乗型車両1は、運転者が跨って乗車するタイプの車両である。鞍乗型車両1は、移動目的の車両であってもよいし、レジャー目的のレジャービークルであってもよい。
【0015】
車体2は、車体フレーム2a及びカウル2bを含む。車体フレーム2aは、パイプ状又は中実状の細長い部材で構成されており、鞍乗型車両1の骨格となる部材である。カウル2bは、鞍乗型車両1の正面部及び側部を覆う樹脂製の部材である。カウル2bは、走行風の整流、外観の向上、又は、装置の保護等を目的として設けられる。なお、カウル2bは省略可能である。
【0016】
車体フレーム2aには、フロントフォーク5を介して、前輪3が取り付けられている。フロントフォーク5は、正面視で前輪3を挟むように左右一対で配置される。フロントフォーク5はテレスコピック式のフロントサスペンションである。なお、フロントフォーク5に代えて、他の方式により前輪3が車体2に取り付けられていてもよい。
【0017】
更に、車体フレーム2aには、スイングアーム6を介して、後輪4が取り付けられている。スイングアーム6は、後輪4を揺動可能に支持する。スイングアーム6に代えて、他の方式により後輪4が車体2に取り付けられていてもよい。
【0018】
鞍乗型車両1は、1つの前輪3と、1つの後輪4と、を備える自動二輪車である。ただし、鞍乗型車両1は、2つの前輪3と、1つの後輪4と、を備える自動三輪車であってもよいし、1つの前輪3と、2つの後輪4と、を備える自動三輪車であってもよい。また、鞍乗型車両1は、2以上の前輪3と、2以上の後輪4と、を備える車両であってもよい。
【0019】
燃料タンク7は、気体燃料としての水素を蓄える容器である。ただし、気体燃料は水素に限られず、例えば天然ガスであってもよい。気体燃料は、大気圧よりも高い圧力になるように圧縮されて燃料タンク7に充填される。燃料タンク7の内部の圧力は、例えば10MPa以上、より具体的には30MPa以上である。そのため、燃料タンク7は、高圧環境に耐えられる構造、具体的には材料及び厚みを有する。
【0020】
また、燃料タンク7は、圧力が及ぼす影響を分散させるために円筒形状である。ただし、燃料タンク7の形状は一例であり、直方体又は球形等の他の形状であってもよい。燃料タンク7に蓄えられた気体燃料は、後述の燃料管を介して、駆動源であるエンジン8に供給される。燃料タンク7のレイアウトについては後述する。
【0021】
エンジン8の近傍には吸気構造11が設けられている。吸気構造11は、エンジン8に空気を供給するための構造である。具体的には、吸気構造11は、エアクリーナボックスと吸気管とを備える。エアクリーナボックスは吸気に含まれる塵等を除去する。エアクリーナボックスによって浄化された空気は、吸気管を通って、エンジン8へ向けて流れる。なお、エンジン8が多気筒の場合は、吸気構造11には、更に吸気マニホールドが設けられる。エンジン8は、車長方向において、前輪3と後輪4の間にある配置されている。また、エンジン8は、シート14の下方に配置される。詳細には、シート14はエンジン8よりも低い位置に配置され、かつ、平面視でエンジン8とシート14が重なる。
【0022】
エンジン8は、車体フレーム2aに取り付けられている。エンジン8は、気体燃料を用いて動力を発生させる。詳細には、エンジン8は、シリンダケースと、クランクケースと、を備える。シリンダケースに設けられたシリンダには、気体燃料と空気の混合気が供給される。シリンダ内の混合気が圧縮された状態で、混合気が点火されることにより、ピストンが直線運動する。ピストンの直線運動は、コンロッドにより回転運動に変換されてクランクシャフトに伝達される。
【0023】
クランクケースには、クランクシャフト及び変速ギアが収容される。本実施形態では変速ギアはエンジン8の一部として設けられる。これに代えて、エンジン8とは別体として、変速装置が設けられてもよい。以上のようにして発生した動力は、ドライブチェーン10を介して、駆動輪である後輪4に伝達される。エンジン8から後輪4への駆動伝達は、ドライブチェーン10に限られず、ベルト又はシャフトを用いてもよい。また、駆動輪は後輪4だけであってもよいし、前輪3と後輪4の両方が駆動輪であってもよい。
【0024】
また、燃料タンク7は、液化水素やLPG等の液体燃料を蓄える容器であってもよい。この場合、液体燃料は気化された状態で空気と混合されて混合気となり、この混合気が点火される。また、点火方法としては、点火プラグを用いる方法に限られず、シリンダ内を高圧とすることにより自然着火させる方法を用いてもよい。
【0025】
エンジン8が備える噴射装置は、シリンダ内を圧縮する圧縮過程においてシリンダ内に燃料を噴射する。また、噴射装置は、シリンダの内圧に抗して燃料噴射するために高圧状態の燃料を噴射する。このために燃料タンク7に貯留される燃料は、大気圧よりも十分高い高圧状態に維持される。燃料タンク7から供給される燃料は、噴射に適した圧力に調圧されて、噴射装置から噴射される。
【0026】
排気構造12は、エンジン8での燃焼により発生した排気を排出するための構造である。排気構造12は、排気管と触媒部とを備える。エンジン8で発生した排気は、排気管を通って触媒部へ流れる。触媒部は、空気の燃焼により発生した窒素酸化物の濃度を低減する触媒が配置された領域である。排気が触媒部を通過することにより窒素酸化物の濃度が低減する。触媒部を通過した排気は、外部に排出される。なお、エンジン8が多気筒の場合は、排気構造12には、更に排気マニホールドが設けられる。
【0027】
動力源はエンジン8に限られない。動力源は、燃料を用いて駆動力を発生させる様々な装置又は装置の組合せを含む。鞍乗型車両1が燃料電池車である場合、動力源は、燃料電池とモータの組合せである。即ち、燃料電池は、水素等の燃料と酸素を用いて電力を発生させる。モータは、燃料電池が発生させた電力を用いて駆動力を発生させて、後輪4を駆動する。鞍乗型車両1がハイブリッド車である場合、動力源は、エンジンと発電機とモータの組合せである。鞍乗型車両1がハイブリッド車である場合、シリーズタイプとパラレルタイプの何れであってもよい。シリーズタイプとは、エンジンの動力を発電機の発電のみに用い、発電機が発生させた電力でモータを駆動させて車両を走行させるタイプである。パラレルタイプとは、エンジンが発生させた駆動力と、モータが発生させた駆動力と、の両方を用いて車両を走行させるタイプである。
【0028】
車体2の前部には、ステアリングハンドル13が設けられている。ステアリングハンドル13は、フロントフォーク5の上端に接続されている。運転者がステアリングハンドル13を回動させる操舵操作を行うことで、フロントフォーク5が回動する。これにより、鞍乗型車両1を旋回させることができる。鞍乗型車両1は、旋回時に路面に対して旋回中心側に車体2を傾斜させるリーン型車両である。
【0029】
鞍乗型車両1は、更に、シート14と、ステップ15と、を備える。運転者は、シート14に着座して、車体2の側面に配置された棒状のステップ15に足を載せる。このように、運転者がシート14に跨って乗車するため、鞍乗型車両1は鞍乗型である。
【0030】
シート14の前方には、トップカバー17が設けられている。トップカバー17は、上方に突出する形状であり、内部に空間が形成されている。トップカバー17の内部の空間には、制御装置等の電子部品、工具等、ヘルメット等を収納可能である。トップカバー17は必須の構成要素ではなく省略可能である。
【0031】
また、燃料タンク7は、タンクカバー18により覆われている。これにより、太陽光が燃料タンク7に直接照射することを抑制できる。タンクカバー18は、燃料タンク7の全体を覆ってもよいし、上面だけを覆ってもよい。
【0032】
次に、図1から図5を参照して、燃料タンク7の構造、レイアウト、及びタンク関連部品について説明する。以下の説明において、2つの方向が一致するとは、2つの方向が厳密に一致する構成だけでなく、2つの方向が略一致する構成を含む。
【0033】
初めに、燃料タンク7の構造について説明する。鞍乗型車両1は2つの燃料タンク7を備える。それぞれの燃料タンク7は、タンク本体51と、接続部52と、を備える。なお、鞍乗型車両1が備える燃料タンク7の数は、2つに限られず、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0034】
タンク本体51は、燃料が蓄えられる容器状の部分である。上述したように、タンク本体51は両端が塞がれた円筒形状である。本実施形態では、車体2に搭載された状態において、燃料タンク7は、長手方向(即ち軸方向)と前後方向が一致するように配置されている。本実施形態では、タンク本体51の端面は、径方向内側に進むにつれて軸線方向外側に膨らむ形状に形成される。以下、燃料タンク7の軸線を「タンク軸線」と称する。
【0035】
接続部52は、燃料管41が接続される部分である。接続部52は、タンク本体51のうちタンク軸線方向の端部に設けられている。本実施形態では、接続部52は、タンク本体51の後端部に設けられている。接続部52は、タンク軸線上に配置される。接続部52は、タンク軸線に垂直な断面形状として、タンク本体51よりも小さく形成される。接続部52には、燃料の出入口とバルブを含む。そのため、燃料補給時に補給された燃料は、燃料管41を介して接続部52に流れ、接続部52のバルブ及び出入口を介して、タンク本体51に供給される。
【0036】
また、燃料使用時において、タンク本体51に蓄えられた燃料は、接続部52の出入口及びバルブを介して吐出され、燃料管41を介してエンジン8に供給される。また、燃料管41は、異常発生時に燃料を放出する安全弁が接続されてもよい。ただし、接続部52から安全弁を省略可能である。接続部52は、タンク本体51の後端部に限られず、例えばタンク本体51の前端部に設けられてもよい。燃料管41には、各種の関連部品が接続されてもよい。たとえば、圧力状態を検出するための圧力センサ、配管経路を切り替えるための開閉弁、燃料噴射に適した圧力に減圧する減圧弁などが介在される。関連部品は、配管経路を選択するための弁が設けられてもよい。たとえば燃料タンク7への燃料補給時には、後述するノズル取付部42から燃料タンク7までの通路を開き、他の通路を閉じるように制御されてもよい。またたとえばエンジン8への燃料供給時には、燃料タンク7からエンジン8までの通路を開き、他の通路を閉じるように制御されてもよい。
【0037】
図2及び図3には、燃料タンク7の車幅方向のレイアウトが示されている。図2に示すように、燃料タンク7は、車幅方向中央に対して左側と右側にそれぞれ1つずつ配置されている。また、2つの燃料タンク7は、車幅方向において間隔を空けて配置されている。言い換えれば、車幅方向中央には2つの燃料タンク7は位置しておらず、車幅方向中央よりも外側に2つの燃料タンク7が位置している。特に第1実施形態では、図3に示すように、車幅方向において後輪4と燃料タンク7の位置が重ならない。言い換えると、燃料タンク7の内側面は、後輪4の車幅方向外側面よりも、車幅方向外側に配置される。また、後輪4よりも車幅方向外側にタンク軸線が位置する。
【0038】
なお、これらのレイアウトは一例であり、車幅方向中央で上下に重なるように燃料タンク7が配置されてもよい。2つの燃料タンク7の間には、後述するように燃料タンク7の関連部品が配置される。また、燃料タンク7は、車体フレーム2a(又はシート14)よりも車幅方向の外側に位置する部分を含む。そのため、転倒時に燃料タンク7が路面と衝突する可能性があるため、後述するタンクフレーム30が設けられている。
【0039】
図1及び図2を参照して、燃料タンク7の車長方向のレイアウトを説明する。燃料タンク7は、比較的後方に位置している。詳細には、以下のとおりである。本レイアウトでは、燃料タンク7の後端部は、シート14の後端部よりも後方に位置している。そのため、燃料タンク7の前端部がシート14の後端部よりも前方に位置していても、本レイアウトの範疇である。ここで、シート14は運転者が着座するシートであり、同乗者が着座するタンデムシートは含まれない。また、燃料タンク7の前端部は、ステップ15の後端部よりも後方に位置している。また、燃料タンク7の前端部は、動力源であるエンジン8の後端部よりも後方に位置している。また、燃料タンク7は、車長方向において後輪4と重なるように位置している。詳細には、燃料タンク7の後端部は、後輪4の後端部よりも後方に位置している。
【0040】
本実施形態では、タンク本体51の前後方向中央位置が、シート14の後端よりも後方に位置する。より具体的には、車体側面視において、タンク本体51の前後方向中央位置が、後輪4の車軸位置付近に位置する。タンク本体51の後端面は、後輪4の後端に位置する。タンク本体51の前端部は、シート前端位置近くに位置する。
【0041】
図1及び図3を参照して、燃料タンク7の高さ方向のレイアウトを説明する。燃料タンク7は、比較的高い箇所に位置している。詳細には、以下のとおりである。燃料タンク7の上端部は、シート14の上端部よりも高い箇所に位置している。燃料タンク7の軸位置は、シート14の上端部よりも低い箇所に位置している。燃料タンク7の下端部は、シート14の下端部よりも低い箇所に位置している。また、燃料タンク7の下端部は、エンジン8の上端部よりも低い箇所に位置している。
【0042】
より具体的には、本実施形態では、車体側面視において、タンク軸位置が、シート上端よりも下方で、後輪上端よりも上方に位置する。またタンク軸位置は、ハンドル位置よりも下方に配置され、シリンダ上端よりも下方に位置する。タンク軸位置は、ハンドルを回転可能に支持するフレーム部分であるヘッドパイプよりも下方に位置する。またタンク本体51の下端が後輪上端よりも下方に位置し、エンジン上端よりも下方に位置する。
【0043】
また、車体平面視において、タンク本体51の車幅方向外側面が、シート14の車幅方向外側端よりも車幅方向外側に位置する。またタンク本体51の車幅方向内側面が、シート14の車幅方向外側面よりも車幅方向内側に位置する。本実施形態では、タンク軸位置が、シート14の車幅方向外側端よりも車幅方向外側に位置する。またタンク本体51の車幅方向外側端は、車体フレーム2aまたはカウル2bのうち車両側面に配置されるサイドカウルよりも車幅方向外側に位置する。またタンク本体51の車幅方向外側面は、直進状態におけるステアリングハンドル13の車幅方向外側端よりも車幅方向外側に位置する。
【0044】
上述した、燃料タンク7の車幅方向、車長方向、高さ方向のレイアウトは一例であり、上述した位置関係が成立しなくてもよい。例えば、燃料タンク7の前端部は、シート14の後端部よりも前方に位置していてもよい。あるいは、燃料タンク7の後端部がシート14の前端部よりも前方に位置していてもよい。上述した他の条件においても、反対のレイアウトが成立してもよい。
【0045】
次に、燃料タンク7の関連部品について説明する。図4に示すように、燃料タンク7の周囲には、燃料タンク7の関連部品として、ノズル取付部42と、マニホールド43と、減圧弁44と、タンクフレーム30と、バンド45と、が配置されている。
【0046】
ノズル取付部42は、燃料補給時に燃料補給ノズル100が接続される部分である。ノズル取付部に燃料補給ノズル100が接続されると、燃料補給ノズル100を介して、燃料源からの高圧の気体燃料の燃料管41への補給が可能となる。燃料補給ノズル100から補給された燃料は、燃料管41及び接続部52を介してタンク本体51に蓄えられる。ノズル取付部42は、車幅方向において2つの燃料タンク7の間に位置している。また、ノズル取付部42は、車長方向において、燃料タンク7の前端部から後端部までの間に位置している。具体的には、ノズル取付部42は、タンク本体51の後端よりも後方に位置し、タンク本体51の後端に設けられる接続部52よりも前方に位置する。そのため、ノズル取付部42を燃料タンク7で保護しつつ、2つの燃料タンク7の間の空間を活用してノズル取付部42を配置できる。また、ノズル取付部42は、高さ方向において、燃料タンク7の上端部と下端部との間にある。本実施形態では、ノズル取付部42は、タンク軸線と同じ高さに位置する。言い換えると、ノズル取付部42は、上下方向に関して燃料タンク7の上下方向内側に退避した位置に配置される。これにより、ノズル取付部42が燃料タンク7と比較して低い位置に配置されるため、燃料補給時に燃料補給ノズル100を高く持ち上げる必要がなく、燃料の補給作業を行いやすい。
【0047】
また、ノズル取付部42は、燃料補給ノズル100と接続する面が鉛直方向に垂直な方向、詳細には後方を向くように配置される。これにより、燃料補給時に燃料補給ノズル100を水平向きに取り付けることができるので、上方から下方に移動させてノズルをノズル取付部42に取り付ける場合に比べて、作業が容易になり易い。このように、上述したノズル取付部42の位置及び向きは、それぞれ独立した特徴であり、独立した効果を有する。また、ノズル取付部42の位置又は向きは一例であり、変更可能である。本実施例では、水平向きとは、水平面に対してプラスマイナス30度傾斜する範囲を含む。
【0048】
また挿入方向が左右方向に配置される場合に比べて、燃料補給ノズル100の着脱の際に、車体2に前後軸周りの力が与えられにくく、サイドスタンドによる車体傾斜状態による自立状態を維持しやすい。またノズル取付部42が、後輪4よりも上方に配置されることで、ノズルをノズル取付部42に接続する際に、ノズルが後輪4および後輪4付近に設けられる保安部品に接触することを防ぎやすい。保安部品として、ナンバープレート、プレートライト、ブレーキランプ、ターンシグナル、反射板などが想定される。
【0049】
マニホールド43は、複数の燃料管41をまとめる機能を有する。減圧弁44は、燃料の圧力を減圧する減圧弁である。マニホールド43及び減圧弁44は、車幅方向において2つの燃料タンク7の間に位置している。また、マニホールド43及び減圧弁44は、車長方向において、燃料タンク7の前端部から後端部までの間に位置している。これにより、2つの燃料タンク7の間の空間を活用して、燃料タンク7に関する部品を配置できる。また、2つの燃料タンク7の間の空間には、更に、燃料管41、燃料管41内の圧力を測定するセンサ、圧力を調整するレギュレータ、燃料の遮断と開放を切替可能である開閉弁、異常時に燃料を燃料管41外に放出するリリーフ弁が配置されてもよい。このうち、レギュレータ、開閉弁、及びリリーフ弁は燃料タンク7からエンジン8に向けて供給される燃料を制御する制御器に相当する。燃料タンク7及び燃料タンク7に関する関連部品は、後述するタンクフレーム30に支持される。関連部品や燃料管41の一部がタンク本体51の上端よりも上方に位置する場合であってもよい。タンクフレーム30には、減圧弁よりも下流側の燃料管41であって、後述するフレキシブルホース41aが接続される接続部分が設けられる。フレキシブルホース41aは、減圧弁よりも下流側に設けられることで、要求される耐圧性を抑えることができる。
【0050】
燃料使用時において、燃料タンク7に蓄えられた燃料は、燃料タンク7の後端部の接続部52から吐出されて、2つの燃料タンク7の間に配置された燃料管41及びマニホールド43を通り、減圧弁44を経由したうえで図1に示すフレキシブルホース41aを介してエンジン8に供給される。フレキシブルホース41aは、たとえば非金属材料によって実現されて、可撓性を有する。フレキシブルホース41aを用いることにより、振動等に伴って燃料タンク7とエンジン8の位置関係が変化しても、フレキシブルホース41aの変形(撓み)により、振動を吸収して供給経路を介して、燃料管41、センサ、レギュレータ、開閉弁、リリーフ弁などの関連部品に振動が伝わることを防ぐことができる。
【0051】
図4に示すように、タンクフレーム30は、燃料タンク7の周囲を覆うフレームである。
タンクフレーム30はフレームであるため、強度部材であり、かつ、細長状の部材である。タンクフレーム30の断面は、例えば中空又は中実の円筒であるか、中空又は中実の矩形である。タンクフレーム30は、アルミ合金や鉄鋼などの金属材料によって実現されてもよい。タンクフレーム30は、燃料タンク7を保護するとともに、燃料タンク7の取付先としても機能する。また、タンクフレーム30は、車体フレーム2aに接続されている。これにより、燃料タンク7は、タンクフレーム30を介して、車体フレーム2aに取り付けられることとなる。すなわち、タンクフレーム30は、燃料タンク7を車体フレーム2aに支持させるための支持構造として機能する。
【0052】
図4に示すように、タンクフレーム30は、フロントタンクフレーム31と、リアタンクフレーム32と、サイドタンクフレーム33と、ロアタンクフレーム34と、インナ―フレーム35と、を備える。
【0053】
フロントタンクフレーム31は、燃料タンク7の前面を覆う。なお、前面を覆うとは、前面の全体を覆う構成に限られず、前面の一部を覆う構成も含まれる。言い換えれば、前方から見たときにフロントタンクフレーム31が燃料タンク7の少なくとも一部と重なることである。更に説明すると、フロントタンクフレーム31の全体が燃料タンク7の前面を覆っている必要はなく、フロントタンクフレーム31の一部が燃料タンク7の前面を覆っていてもよい。前面以外を覆う場合、及び、フロントタンクフレーム31以外のフレームを用いて覆う場合についても同様に解釈する。なお、フロントタンクフレーム31は省略可能である。
【0054】
具体的には、フロントタンクフレーム31は、燃料タンク7の前面に対して、前方に間隔をあけて配置される。車体前面視において、フロントタンクフレーム31は、燃料タンク7の前面の少なくとも一部に重なる領域が形成される。また、フロントタンクフレーム31は、上下に間隔を空けて配置される2つの第1フレーム部分を含む。2つの第1フレーム部分の上下方向の間の高さに、タンク軸位置が位置する。言い換えれば、上下方向において、タンク軸位置を挟むように2つの第1フレーム部分が設けられる。2つの第1フレーム部分は、上下に延びる第2フレーム部分で連結されてもよい。フロントタンクフレーム31は、車体フレーム2aに着脱可能に接続される接続部分31aを有する。なお、フロントタンクフレーム31と車体フレーム2aが溶接等により分離不能に接続されてもよい。
【0055】
リアタンクフレーム32は、燃料タンク7の後面を覆う。リアタンクフレーム32は、特に、燃料タンク7の接続部52又はその周囲を覆う部分を含む。また、リアタンクフレーム32が接続部52を覆うとは、リアタンクフレーム32の少なくとも一部が接続部52を覆っていればよいものとする。図4に示すように、リアタンクフレーム32は、U字状フレームを含む。U字状フレームは、燃料タンク7のうち接続部52又はその周囲を覆う。
【0056】
具体的には、リアタンクフレーム32は、燃料タンク7の後面に対して、後方に間隔をあけて配置される。リアタンクフレーム32は、接続部52およびタンク本体の後面を保護できればよく、接続部52から上下方向又は左右方向にずれて配置されてもよい。即ち、接続部52は、接続部52又は接続部52の周囲を覆っていればよい。本実施形態のリアタンクフレーム32は、車体背面視において、接続部52の外縁部分を覆う枠状に形成される部分を有する。また車体背面視において、リアタンクフレーム32には、燃料タンク7の後面の少なくとも一部に重なる領域が含まれる。リアタンクフレーム32は、フロントタンクフレーム31に比べて、燃料タンク7に重なる領域が多く形成される。言い換えると、リアタンクフレーム32は、フロントタンクフレーム31よりも燃料タンク7に対する保護領域が大きくなる構造である。
【0057】
リアタンクフレーム32は、燃料タンク7の車幅方向両端を結ぶ方向に延びる部分と、燃料タンク7の上下方向両端を結ぶ方向に延びる部分とを有する。またリアタンクフレーム32は、サイドタンクフレーム33に接続されるとともに、リアタンクフレーム32にそれぞれ接続される。これによって燃料タンク7の接続部52を保護するとともに、タンク本体51の車幅方向両端部及び上下方向両端部分を保護することができる。
【0058】
また、図3に示すように、リアタンクフレーム32は上下に間隔を空けて並べて配置された2つの第1フレーム部分と、上下方向に延びる1つの第2フレーム部分とを含む。第2フレーム部分は、2つの第1フレーム部分同士を連結する。更に、第2フレーム部分は、下方に配置される第1フレーム部分と、ロアタンクフレーム34と、を接続する。また、背面視において、リアタンクフレーム32の2つの第1フレーム部分の間にノズル取付部42の中心、すなわちタンク軸線が位置している。これにより、ノズル取付部42を適切に保護できる。なお、リアタンクフレーム32は省略可能である。
【0059】
車幅方向の一側に配置される燃料タンク7の後面を保護するリアタンクフレーム32と、車幅方向の他側に配置される燃料タンク7の後面を保護するリアタンクフレーム32と、が連結される。言い換えれば、左右に配置されるリアタンクフレーム32の第1フレーム部分同士が接続される。以下では、左右のリアタンクフレーム32を連結する部分を連結部分32aと称する。連結部分32aは、リアタンクフレーム32の第1フレーム部分と同様、上下に間隔を空けて2つ並べて配置されている。少なくとも一方の連結部分32a、本実施形態では上側の連結部分32aは、ノズル取付部42よりも後方に位置する。これにより、上方からノズルをノズル取付部42に近づけた際に、連結部分32aとノズルが干渉しにくい。また、少なくとも一方の連結部分32a、本実施形態では上側の連結部分32aは、前方に向かうように屈曲する部分を含む。この屈曲する部分を有することにより、連結部分32aが接続部52に隣接する部分を有するため、接続部52の保護効果を高めることができる。
【0060】
サイドタンクフレーム33は、タンク軸線に平行な方向に沿って延びる。本明細書において「平行」とは、2つの方向が完全に平行である場合だけでなく、略平行(例えば角度の差異が10度以内)である場合も含む用語である。サイドタンクフレーム33は、燃料タンク7の車幅方向の外側の面を覆う。サイドタンクフレーム33の全ての部分が、燃料タンク7の車幅方向の外側の面を覆う必要はなく、サイドタンクフレーム33の少なくとも一部が燃料タンク7の車幅方向の外側の面を覆っていればよい。また、車幅方向の外側の面とは、例えば、側面視で視認できる面である。また、サイドタンクフレーム33は、燃料タンク7に対して、車幅方向の間隔を空けて、かつ、車幅方向の外側に並べて配置される。上述したように、燃料タンク7は、車幅方向において、車体フレーム2a又はシート14よりも外側に位置する部分を含む。従って、サイドタンクフレーム33も同様に、車体フレーム2a又はシート14よりも外側に位置し、更に燃料タンク7よりも外側に位置する部分を含む。そのため、転倒時において地面との衝突に伴う衝撃をサイドタンクフレーム33が受けるため、燃料タンク7等を保護できる。
【0061】
サイドタンクフレーム33は、上下に間隔を空けて配置される2つの第1フレーム部分を含む。上側の第1フレーム部分は、タンク軸線よりも高い位置に配置される。下側の第1フレーム部分は、タンク軸線よりも低い位置に配置される。サイドタンクフレーム33は、更に、2つの第1フレーム部分を連結する第2フレーム部分を含む。第2フレーム部分は、前後方向に間隔を空けて複数配置される。本実施形態では、第2フレーム部分は、タンク本体51の前端近傍と、タンク本体51の後端近傍と、にそれぞれ配置される。また、前後方向において、サイドタンクフレーム33の第2フレーム部分は、後述するバンド45とは異なる位置に配置される。
【0062】
上述したように、フロントタンクフレーム31、リアタンクフレーム32、及びサイドタンクフレーム33は、それぞれ上下に間隔を空けて配置される第1フレーム部分を含む。そして、サイドタンクフレーム33の上側の第1フレーム部分は、フロントタンクフレーム31の上側の第1フレーム部分に連結されるとともに、リアタンクフレーム32の上側の第1フレーム部分に連結される。同様に、サイドタンクフレーム33の下側の第1フレーム部分は、フロントタンクフレーム31の下側の第1フレーム部分に連結されるとともに、リアタンクフレーム32の下側の第1フレーム部分に連結される。
【0063】
2つの第1フレーム部分のうち、上方に配置される第1フレーム部分の上下方向の間の高さに、タンク軸位置が位置する。言い換えれば、上下方向において、タンク軸位置を挟むように2つの第1フレーム部分が設けられる。2つの第1フレーム部分は、上下に延びる第2フレーム部分で連結されてもよい。
【0064】
インナ―フレーム35は、燃料タンク7の車幅方向の内側の面を覆う。インナ―フレーム35は、左右の燃料タンク7の間に配置される。インナ―フレーム35は、燃料管41、減圧弁44、マニホールド43等の燃料タンク7の関連部品を支持する。燃料タンク7の外周面にはバンド45が巻き付けられており、バンド45はインナ―フレーム35に固定されている。また、左右に配置されるインナ―フレーム35は、連結部材によって連結される。連結部材は前後方向に複数配置されている。連結部材の前後方向の位置はバンド45の位置に隣接している。
【0065】
タンクフレーム30は、フロントタンクフレーム31と、リアタンクフレーム32と、サイドタンクフレーム33を備える。本実施形態では、タンクフレーム30、フロントタンクフレーム31、リアタンクフレーム32が互いに接続されることで、タンクフレーム30はループ状の部分を含む。これにより、タンクフレーム30の鉛直軸回りの周囲がタンクフレーム30で保護されることとなる。具体的には、図2の平面図において、燃料タンク7の周囲の全体がタンクフレーム30で覆われる。
【0066】
ロアタンクフレーム34は、燃料タンク7の下面を覆う。ロアタンクフレーム34は、サイドタンクフレーム33に連結されている。ロアタンクフレーム34には、燃料タンク7を下方から受ける受け部を有する。受け部は前後方向に離れて複数配置されている。また、受け部のうち燃料タンク7に対向する部分には、防振部材が設けられてもよい。以上により、燃料タンク7をロアタンクフレーム34に防振支持させることができる。
【0067】
また、ロアタンクフレーム34は、サイドタンクフレーム33よりも下方に配置されており、タンクフレーム30が車体から取り外された場合に、タンクフレーム30を支える接地部分として構成される枠状部分を備える。また、ロアタンクフレーム34は、燃料タンク7に対して、下方に離れて配置される。ロアタンクフレーム34は、リアタンクフレーム32に対して下方から連結される。また、車幅方向に並べて配置されるロアタンクフレーム34同士は連結される。このとき、後輪4を配置するスペースを確保するために、ロアタンクフレーム34から上方向に延びる部分を含む部材を用いて、左右のロアタンクフレーム34を連結する。
【0068】
なお、燃料タンク7は、ロアタンクフレーム34、インナ―フレーム35に限られず、例えばサイドタンクフレーム33に取り付けられてサイドタンクフレーム33に支持されてもよい。言い換えれば、燃料タンク7は、タンクフレーム30に直接又は間接的に取り付けられてタンクフレーム30に直接又は間接的に支持されていればよい。また、バンド45にはダンパ46が取り付けられており、ダンパ46による防振効果も発揮できる。燃料タンク7をロアタンクフレーム34以外のフレームを用いて支持するのであれば、ロアタンクフレーム34を省略可能である。
【0069】
また、図5に示すように、タンクフレーム30は、車体フレーム2aに溶接または締結部材を介してり接続される。これにより、タンクフレーム30と車体フレーム2aは一体化している。具体的には、タンクフレーム30のうちフロントタンクフレーム31の長手方向の端部が、車体フレーム2aの長手方向の端部に接続される。なお、締結部材で連結されることによって、タンクフレーム30とともに燃料タンク7を車体フレーム2aから取り外し可能に構成されてもよい。
【0070】
以上により、タンクフレーム30は、燃料タンク7を支持しつつ、燃料タンク7を強固に保護することができる。
【0071】
次に、図6から図8を参照して、第2実施形態の鞍乗型車両1について説明する。図6及び図7は、それぞれ、第2実施形態の鞍乗型車両1の側面図及び背面図である。図8は、第2実施形態のフレーム構成及び燃料タンク7の斜視図である。図6から図8は、燃料管41、マニホールド43、減圧弁44を省略した状態の構成を示している。
【0072】
図6に示すように、第2実施形態の燃料タンク7及びタンクフレーム30のレイアウトは、第1実施形態と略同じである。第1実施形態と第2実施形態では、車体フレーム2aとタンクフレーム30の連結構造及び防振方法が異なる。
【0073】
具体的には、図8に示すように、第2実施形態では、車体フレーム2aが第1連結部2cを有し、タンクフレーム30が第2連結部36を有する。第1連結部2c及び第2連結部36は、それぞれ、複数本のフレーム又は板状のフレームを含む部分である。図7に示すように、車体フレーム2aと第2連結部36は対向するように位置しており、間に防振板37が配置されている。防振板37は、弾性体で構成された板状の部材、又は、バネ又はゴム等の防振具が取り付けられた板状の部材である。第1連結部2cと第2連結部36は、防振板37を介して連結される。
【0074】
これにより、タンクフレーム30及びそれに取り付けられる燃料タンク7をまとめて防振できる。また、第2連結部36が連結可能なサイズの車体フレーム2aであれば、既存の鞍乗型車両1のフレーム構造を殆ど変える必要がない。従って、既存の鞍乗型車両1に燃料タンク7を適用する際の設計変更の作業量を低減できる。
【0075】
第2実施形態の燃料タンク7は、車体フレーム2aの後部分であるリアフレームよりも下方に配置可能である。詳細には、タンク軸線がリアフレームの上面よりも下方に配置できる。そのための構成として、リアフレームに連結される第2連結部36よりも、燃料タンク7を支持するタンク支持部分が下方に配置される。また、燃料タンク7の上下方向中央部に対して前後方向に間隔をあけた複数箇所でにおいて、第1連結部2cと第2連結部36が連結されることで、燃料タンク7の中心に近い位置で燃料タンク7を支持することができ、安定した保持を実現しやすい。
【0076】
第2実施形態のサイドタンクフレーム33は、1本のメインフレーム部分と、メインフレーム部分に連結されるU字状のサブフレーム部分と、を有する。このような単純構造であっても、燃料タンク7の車幅方外側部分を保護しやすい。
【0077】
次に、上述した第1実施形態及び第2実施形態で開示される特有の構成について説明する。
【0078】
上記実施形態の鞍乗型車両1では、後輪4の後端よりも後方にノズル取付部42が位置する。更に、後輪4の後端よりも後方に接続部52(燃料出口)が配置される。言い換えると、後輪4の後端よりも後方に燃料タンク7が位置する。また、鞍乗型車両1では、タンクフレーム30は、ノズル取付部42、燃料タンク7の後端、接続部52(燃料出口)をそれぞれ保護する後端保護部分を有する。これによって、鞍乗型車両1に対して、他車両や障害物が後方から接近した場合でも、燃料タンク7やノズル取付部42よりも先に、タンクフレーム30に接触することとなり、燃料タンク7やノズル取付部42を保護することができる。
【0079】
上記実施形態の鞍乗型車両1では、タンクフレーム30は、燃料タンク7の下方に配置される下端保護部分を含む。タンクフレーム30の下端保護部分は、タンク軸線に沿って長手方向に延びる。これにより、タンクフレーム30とともに車体2から燃料タンク7を取外した場合も、燃料タンク7をタンクフレーム30で支えることができる。これによって燃料タンク7の損傷を防ぐことができる。
【0080】
以上に本出願の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0081】
<車両>
鞍乗型車両1は、本実施形態のようにシート14に対して左右方向両側にそれぞれ足置きとしてのステップ15が配置されるスポーツタイプの構造であってもよい。あるいは、鞍乗型車両は、シートに対して前方かつ下方に足置き領域としてのフロアが配置されるスクータタイプの構造でもよい。燃料タンク7以外の構造については、既存の鞍乗型車両を適用することができる。たとえば、カウルの有無や車体フレーム構造については、既存の鞍乗型車両を適用することができる。
【0082】
<タンクフレーム>
タンクフレーム30は、燃料タンク7を車体2に支持する支持部分と、燃料タンク7の車幅方向外側の面を覆うカバー部分とが、別々に構成されていてもよい。たとえば支持部分と、カバー部分とが着脱可能に設けられていてもよいし、異なる材質に形成されていてもよい。タンクフレーム30のうちで、燃料タンク7の車幅方向外側の面を覆うカバー部分は、燃料タンク7の車幅方向外側の面の一部を部分的に覆う構造であってもよい。たとえばカバー部分は、枠状や突起状のように、前後方向に離間した複数の部分を有して、燃料タンク7を保護してもよい。このようにタンクフレーム30は、燃料タンク7の車幅方向外側の面であって、かつ、長手方向に延びる領域のうちの一部のみを覆う構成でもよい。
【0083】
また本実施形態では、燃料タンク7のうちで、車幅方向最外部に対向する位置にカバー部分が配置されている。カバー部分はこれに限らず、上下に並んで前後方向に延びるように形成されていてもよい。このように上下に複数のカバー部分が設けられることで、さらにカバー部分による燃料タンク7の保護性能を高めることができる。
【0084】
本実施形態では、複数のフレーム部分が接続されて枠状に形成されたが、これに限らず、籠状、格子状またはトラス構造に形成されてもよいこと。
【0085】
<タンク>
燃料タンク7の後端部がシート14の後端部よりも後方であればよく、燃料タンク7の前端部が、シート14の前端部よりも前方に位置するレイアウトに本技術を適用してもよい。本実施形態では、燃料タンク7は、左右方向に二本並んで配置されているが、これに限らず、左右方向に3本以上配置されてもよい。また燃料タンク7が上下方向に並んで配置されてもよい。たとえば左右に並ぶ2本の燃料タンク7の上方に1本の燃料タンクが配置されてもよい。上方に並ぶ燃料タンク7は、その軸線が左右に並ぶ燃料タンク7の左右方向中心、言い換えれば2つの燃料タンク7の間に沿うように配置されてもよい。
【0086】
本実施形態では、燃料タンク7の軸線は、前後方向に平行に延びるとしたが、これに限らない。すなわち燃料タンク7の軸線が、前後方向に延びる成分を有していれば、燃料タンク7が前後方向に沿うものとして定義される。すなわち車体2に対して、燃料タンク7の軸線が、後方に進むにつれて左右方向および上下方向の少なくとも一方に進むように傾斜する場合も含まれ得る。また燃料タンク7のサイズが小さい場合には、燃料タンク7の軸線が上下方向に延びたり、左右方向に延びたりしてもよい。また燃料タンク7の形状についても限定されず、軸線方向に延びる形状のほか、球形などのその他の形状に形成されてもよい。
【0087】
接続部52が、燃料タンク7の前端部に設けられてもよい。接続部52が燃料タンク7の前端部に設けられる場合は、接続部52が燃料タンク7の後端部に設けられる場合に比べて、タンク本体51で接続部52を保護することができ、障害物などが接続部52に接触することを防ぎやすい。
【0088】
同様にノズル取付部42についても、燃料タンク7の前端部に配置されてもよい。また、ノズル取付部42は、燃料タンク7の前後方向中間に配置されてもよい。ノズル取付部42が燃料タンク7の前端部や前後方向中間に設けられる場合は、ノズル取付部42が燃料タンク7の後端部に設けられる場合に比べて、タンク本体51で接続部52を保護することができ、障害物などがノズル取付部42に接触することを防ぎやすい。
【0089】
燃料管41、減圧弁44、マニホールド43などの燃料タンク7の関連部品の少なくとも1つは、インナ―フレーム35の上方に配置されてもよいが、並べて配置されるインナ―フレーム35の間に配置されてもよい。
【0090】
(特徴1)本実施形態の鞍乗型車両1は、車体フレーム2aと、シート14と、エンジン8と、タンクフレーム30と、を備える。シート14には、運転者が着座する。燃料タンク7には、大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される。エンジン8は、燃料タンク7に貯蔵された燃料を用いて駆動力を発生させる。タンクフレーム30は、燃料タンク7を支持するとともに車体フレーム2aに接続される。シート14の後端部よりも後方に、燃料タンク7の後端部が位置している。タンクフレーム30は、燃料タンク7の車幅方向外側の面を覆う。
【0091】
これにより、タンクフレーム30によって燃料タンク7が支持されるとともに車幅方向外側の面が保護される。そのため、転倒等が発生して車両側面に強い衝撃が加わった場合でも、燃料タンク7が破損しにくい。
【0092】
(特徴2)本実施形態の鞍乗型車両1において、燃料タンク7は、長手方向が前後方向に沿うように配置される。タンクフレーム30は、燃料タンク7の車幅方向外側の領域において、燃料タンク7の長手方向に沿うように配置される。
【0093】
タンクフレーム30が燃料タンク7に沿って前後方向に延びるため、燃料タンク7が保護される領域が広くなる。その結果、燃料タンク7が一層破損しにくい。
【0094】
(特徴3)本実施形態の鞍乗型車両1において、タンクフレーム30は、更に、燃料タンク7の後面を覆う。
【0095】
これにより、燃料タンク7の後面を更に保護できる。
【0096】
(特徴4)本実施形態の鞍乗型車両1は、燃料補給時において、燃料補給ノズル100が取り付けられるノズル取付部42を備える。ノズル取付部42は、車両後部に設けられる。
【0097】
ノズル取付部42が車両後部に設けられることで、シート14に乗車する運転者からノズル取付部42を遠ざけることができ、運転者とノズル取付部42との干渉を防ぐことができる。
【0098】
(特徴5)本実施形態の鞍乗型車両1において、燃料タンク7からエンジン8に向けて供給される燃料の出口である接続部52が、燃料タンク7の後部に設けられる。
【0099】
接続部52が車両の後部に設けられることで、シートに乗車する運転者から接続部52を遠ざけることができ、運転者と接続部52との干渉を防ぐことができる。
【0100】
ノズル取付部42が車両後部に設けられ、接続部52が燃料タンク7の後部に設けられる。言い換えると、タンク中心に対して、ノズル取付部42と接続部52とが隣接して配置される。このため、ノズル取付部42と接続部52が近くなるので、燃料管41の長さを短くすることができる。また、接続部52を保護できる。
【0101】
(特徴6)本実施形態の鞍乗型車両1において、ノズル取付部42は、燃料タンク7の上端よりも下方に配置される。
【0102】
ノズル取付部42が高くなり過ぎない位置に配置されるため、燃料を補給する作業が容易となり易い。
【0103】
(特徴7)本実施形態の鞍乗型車両1において、車両平面視において、タンクフレーム30は、燃料タンク7を鉛直軸周りに一周して燃料タンク7の全体を覆うようにループ状に配置される。
【0104】
これにより、燃料タンク7の周囲を的確に保護できる。
【0105】
(特徴8)本実施形態の鞍乗型車両1において、燃料タンク7は、車体フレーム2aに対して防振支持されている。燃料タンク7からエンジン8に燃料を供給する燃料管41の少なくとも一部がフレキシブルホース41aである。
【0106】
これにより、エンジン振動や路面からの衝撃が車体を介して燃料タンク7に伝わることを防ぐことができ、燃料タンク7が受ける振動を吸収できる。また燃料タンク7とエンジン8とを連結する燃料管の一部にフレキシブルホース41aを用いることで、エンジン8と燃料タンク7との相対変位を許容できる。これによって振動吸収に起因して生じる、燃料タンク7とエンジン8との相対変位に起因して燃料管41に生じる負荷を抑えることができる。
【0107】
(特徴9)本実施形態の鞍乗型車両1において、燃料タンク7がタンクフレーム30に取り付けられて支持されている。車体フレーム2aに、タンクフレーム30が連結されている。
【0108】
燃料タンク7と燃料管41がタンクフレーム30に取り付けられて1つのまとまりを構成する。そのため、燃料タンク7と燃料管41とをタンクフレーム30に組付けたサブユニット化を図ることができる。これによって燃料配管系の動作チェックを車体2に取り付ける前に実施しやすく、作業性を高めることができる。また例えば、この種のタンクフレーム30を既存の鞍乗型車両1に適用する場合は、車体フレーム2aの大幅な設計変更が不要になり易い。
【0109】
(特徴10)本実施形態の鞍乗型車両1は、車体フレーム2aと、燃料タンク7と、エンジン8と、タンクフレーム30と、を備える。燃料タンク7は、車体フレーム2aよりも車幅方向外側に突出しており、大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される。エンジン8は、燃料タンク7に貯蔵された燃料を用いて駆動力を発生させる。タンクフレーム30は、燃料タンク7を支持するとともに車体フレーム2aに接続される。燃料タンク7は、少なくとも一部が車体フレーム2aよりも車幅方向外側に突出している。タンクフレーム30は、燃料タンク7の車幅方向外側の面を覆う。
【0110】
これにより、タンクフレーム30によって燃料タンク7が支持されるとともに車幅方向外側の面が保護される。そのため、転倒等が発生して車両側面に強い衝撃が加わった場合でも、燃料タンク7が破損しにくい。また、燃料タンク7が車体フレーム2aよりも車幅方向外側に突出することにより、燃料タンク7の容量が大きくなり易い。
【0111】
(特徴11)本実施形態のタンクユニットは、燃料タンク7と、制御器と、タンクフレーム30と、を備える。燃料タンク7には、大気圧よりも高い圧力状態で燃料が貯蔵される。制御器は、燃料タンク7に(例えば燃料管41を介して)接続されており、燃料タンク7からエンジン8に向けて供給される燃料を制御する。制御器は、上述したように、例えば、レギュレータ、開閉弁、又はリリーフ弁である。タンクフレーム30は、制御器と、燃料タンク7と、を支持するとともに、車体2に連結される第2連結部36を備えて、燃料タンク7の外側の面を覆う。
【0112】
これにより、燃料タンク7と制御器とをタンクフレーム30に組付けてユニットできる。その結果、燃料タンク7と制御器をタンクフレーム30に組付けた後に、車体2にまとめて取り付けることができる。そのため、燃料タンク7と制御器をタンクフレーム30に組付ける作業の作業性が高く、タンクフレーム30の車体2への取付けの作業性も高い。
【0113】
上述した特徴1から特徴11は矛盾が生じない限り、適宜組み合わせることができる。例えば、特徴N(N=1,2,・・・,11)には、特徴1から特徴N-1までの少なくとも1つを適宜組み合わせることができる。
【0114】
<その他の特徴>
上記実施形態の鞍乗型車両1(例えば特徴1の鞍乗型車両1)は、以下に示す複数の特徴を有する。
【0115】
鞍乗型車両1では、2つの燃料タンク7が車幅方向に並べて配置されている。後輪4よりも車幅方向の外側に、2つの燃料タンク7のタンク軸線が位置する。また、高さ方向において、後輪4とタンクフレーム30の一部が重なる。
これにより、後輪4の直上に1つの燃料タンク7を配置する場合と比較して燃料タンク7を下げて配置できる。
【0116】
鞍乗型車両1では、2つの燃料タンク7が車幅方向に並べて配置されている。タンクフレーム30は、第1の燃料タンク7の車幅方向外側の面、前面、及び後面を覆う第1部分と、第2の燃料タンク7の車幅方向外側の面、前面、及び後面を覆う第2部分と、を含む。タンクフレーム30の第1部分と第2部分とが連結される。
これにより、剛性を高めたり、タンクフレーム30の取扱い性を高くしたりすることができる。
【0117】
鞍乗型車両1では、タンクフレーム30は、間隔を空けて平行に配置された複数の第1フレーム部分を含む。
これにより、線ではなく面で燃料タンク7を保護することができるため、保護性能を高めることができる。
【0118】
鞍乗型車両1では、タンクフレーム30が、フロントタンクフレーム31、リアタンクフレーム32、及びサイドタンクフレーム33を備える。フロントタンクフレーム31、リアタンクフレーム32、及びサイドタンクフレーム33は、それぞれ、間隔を空けて平行に配置された複数の第1フレーム部分を含む。サイドタンクフレーム33の複数の第1フレーム部分が、フロントタンクフレーム31及びリアタンクフレーム32の複数の第1フレームとそれぞれ接続される。
これにより、燃料タンク7の周囲を線ではなく面で保護できるため、保護性能を高めることができる。
【0119】
鞍乗型車両1では、燃料タンク7の燃料をエンジン8に向けて供給する接続部52(燃料出口)が燃料タンク7に設けられている。タンクフレーム30は、接続部52又は接続部52の周囲を覆う部分を有する。
これにより、タンクフレーム30を用いて接続部52を保護できる。
【0120】
鞍乗型車両1は、燃料補給時において、燃料補給ノズルが取り付けられるノズル取付部42を備える。タンクフレーム30は、ノズル取付部42又はノズル取付部42の周囲を覆う部分を有する。
これにより、タンクフレーム30を用いてノズル取付部42を保護できる。
【0121】
鞍乗型車両1では、2つの燃料タンク7が車幅方向に並べて配置されている。2つのサイドタンクフレーム33が車幅方向に並べて配置されている。燃料タンク7の燃料をエンジン8に向けて供給する接続部52(燃料出口)が燃料タンク7の後部に設けられている。燃料タンク7の燃料は、2つの燃料タンク7の間のスペースを前方に向けて通り抜けてエンジン8に供給される。
これにより、2つの燃料タンク7のスペースを有効活用できる。
【0122】
鞍乗型車両1では、車体フレーム2aの後端部にタンクフレーム30の前端部が接続されていることで、車体フレーム2aとタンクフレーム30とが一体化されている。
これにより、車体フレーム2aとタンクフレーム30が前後方向で重複しにくくなるので、フレーム構成がシンプルになる。
【0123】
鞍乗型車両1では、燃料タンク7がタンクフレーム30に取り付けられて支持されている。車体フレーム2aに、タンクフレーム30が連結されている。車体フレーム2aとタンクフレーム30が単一の防振部材(防振板37)を介して連結されている。
これにより、タンクフレーム30及び燃料タンク7をまとめて防振できる。
【符号の説明】
【0124】
1 鞍乗型車両
2 車体
2a 車体フレーム
7 燃料タンク
8 エンジン(動力源)
14 シート
30 タンクフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8