(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025070980
(43)【公開日】2025-05-02
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250424BHJP
H01C 7/18 20060101ALI20250424BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01C7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024160403
(22)【出願日】2024-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2023-0140707
(32)【優先日】2023-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ゲオン ヨン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC40
5E082EE04
5E082EE16
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品の構造による等価直列インダクタンス(ESL)を最小化する。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、上記本体の上記第1方向に垂直な第2方向に向かい合う面上に配置される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び第2内部電極が上記第1方向に交互に配置されるメイン部、上記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部及び上記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部を含み、上記第1カバー部及び上記第2カバー部のうち一つは、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の平均大きさが大きいカバー電極を含み、上記カバー電極は上記本体の上記第1方向に向かい合う面よりも上記メイン部の第1方向の一面または他面に隣接して配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、
前記本体の前記第1方向に垂直な第2方向に向かい合う面上に配置される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が前記第1方向に交互に配置されるメイン部、前記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部、及び前記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部を含み、
前記第1カバー部及び前記第2カバー部のうち一つは、前記第1内部電極及び前記第2内部電極よりも前記第2方向の平均大きさが大きいカバー電極を含み、
前記カバー電極は、前記本体の前記第1方向に向かい合う面よりも前記メイン部の第1方向の一面または他面に隣接して配置される、積層型電子部品。
【請求項2】
前記カバー電極が含まれた前記第1カバー部及び前記第2カバー部のうち一つは、前記カバー電極よりも前記第1方向に外側に配置される一つ以上の追加カバー電極をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記カバー電極は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれか一つにのみ連結され、
前記追加カバー電極は、前記カバー電極が連結された外部電極と同じ外部電極にのみ連結される、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1内部電極及び前記第2内部電極は、それぞれ複数個であり、互いに前記第2方向の大きさの偏差が10%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記カバー電極と前記外部電極が離隔した前記第2方向の大きさをD、前記誘電体層の平均厚さをtdとするとき、
td≦D<2×tdを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記カバー電極の平均厚さは、前記内部電極の平均厚さ以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1方向及び前記第2方向に垂直な方向を第3方向とするとき、
前記積層型電子部品の前記第3方向の最大大きさが前記積層型電子部品の前記第2方向の最大大きさよりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記積層型電子部品は、1005サイズ以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、
前記本体の前記第1方向に垂直な第2方向に向かい合う一面上に配置されて、前記第1内部電極と連結される第1外部電極と、
前記本体の前記第2方向に向かい合う他面上に配置されて、前記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が前記第1方向に交互に配置されるメイン部、前記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部、及び前記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部を含み、
前記第1カバー部は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極よりも前記第2方向の平均大きさが大きい第1カバー電極を含み、前記第2カバー部は前記第1内部電極及び前記第2内部電極よりも前記第2方向の平均大きさが大きい第2カバー電極を含む、積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1カバー部は、前記第1カバー電極よりも前記第1方向に外側に配置される一つ以上の第1追加カバー電極をさらに含み、前記第2カバー部は前記第2カバー電極よりも前記第1方向に外側に配置される一つ以上の第2追加カバー電極をさらに含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第1カバー電極及び前記第1追加カバー電極は、前記第1外部電極に連結され、前記第2外部電極とは離隔するように配置され、前記第2カバー電極及び前記第2追加カバー電極は、前記第2外部電極に連結され、前記第1外部電極とは離隔するように配置される、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1内部電極及び前記第2内部電極のそれぞれは複数個であり、複数の前記第1内部電極及び複数の前記第2内部電極の前記第2方向の大きさの偏差が10%以下である、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記第2カバー電極と前記第1外部電極が離隔した前記第2方向の大きさをD、前記誘電体層の平均厚さをtdとするとき、
td≦D<2×tdを満たす、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記第1カバー電極または前記第2カバー電極の平均厚さは、前記内部電極の平均厚さ以上である、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記第1方向及び前記第2方向に垂直な方向を第3方向とするとき、
前記積層型電子部品の前記第3方向の最大大きさが前記積層型電子部品の前記第2方向の最大大きさよりも大きい、請求項9から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記積層型電子部品は1005サイズ以下である、請求項9から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話、電気自動車のオンボードチャージャ(OBC;On Board Charger)、DC-DC converterなどの回路、インフォテインメントシステムなどの様々な電子製品または自動車製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタが共振周波数以上の高周波領域で円滑に作動するためには、低い等価直列インダクタンス(ESL、Equivalent series inductance)を有することが重要である。積層セラミックキャパシタの等価直列インダクタンスを減少させるために積層セラミックキャパシタを並列に連結する試みが行われているが、実装面積が大きくなり生産時間が増加するという欠点がある。
【0004】
したがって、積層セラミックキャパシタなどの積層型電子部品の等価直列インダクタンスを減少させることができる構造的改善が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の様々な目的のうち一つは、積層型電子部品の構造による等価直列インダクタンス(ESL)を最小化することである。
【0006】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、上記本体の上記第1方向に垂直な第2方向に向かい合う面上に配置される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び第2内部電極が上記第1方向に交互に配置されるメイン部、上記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部及び上記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部を含み、上記第1カバー部及び上記第2カバー部のうち一つは、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の平均大きさが大きいカバー電極を含み、上記カバー電極は上記本体の上記第1方向に向かい合う面よりも上記メイン部の第1方向の一面または他面に隣接して配置される。
【0008】
本発明のさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、上記本体の上記第1方向に垂直な第2方向に向かい合う一面上に配置されて、上記第1内部電極と連結される第1外部電極と、上記本体の上記第2方向に向かい合う他面上に配置されて、上記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び第2内部電極が上記第1方向に交互に配置されるメイン部、上記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部及び上記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部を含み、上記第1カバー部は、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の平均大きさが大きい第1カバー電極を含み、上記第2カバー部は上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の平均大きさが大きい第2カバー電極を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な効果のうち一つは、実装面に隣接する内部電極の長さを他の内部電極の長さよりも長く延長して通電経路を短縮することにより、積層型電子部品のESL及びインピーダンスを低減することである。
【0010】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態及びさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品を大略的に示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を
図1のI-I'線に沿って切断した断面図である。
【
図3】本発明のさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品を
図1のI-I'線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図6】一実施形態に係る本体の構造を示した分解斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態及びさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品を基板に実装した形態を示した斜視図である。
【
図8a】基板に実装された本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を
図7のIII-III'線に沿って切断した断面図である。
【
図8b】基板に実装された本発明のさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品を
図7のIII-III'線に沿って切断した断面図である。
【
図9a】比較例に係る積層型電子部品の通電経路を示した模式図である。
【
図9b】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の通電経路を示した模式図である。
【
図10】一実施形態に係る積層型電子部品を大略的に示した斜視図である。
【
図11】一実施形態に係る積層型電子部品の第1方向及び第2方向の断面図である。
【
図12】一実施形態に係る積層型電子部品の第1方向及び第2方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0013】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0014】
図面において、第1方向は誘電体層を挟んで内部電極121、122が交互に配置される方向又は厚さT方向、上記第1方向と垂直な方向である第2方向及び第3方向のうち、上記第2方向は長さL方向、上記第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態及びさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品を大略的に示した斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を
図1のI-I'線に沿って切断した断面図であり、
図3は、本発明のさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品を
図1のI-I'線に沿って切断した断面図であり、
図4は、
図3のP領域拡大図であり、
図5は、
図1のII-II'線に沿った断面図であり、
図6は、一実施形態に係る本体の構造を示した分解斜視図であり、
図7は、本発明の一実施形態及びさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品を基板に実装した形態を示した斜視図であり、
図8aは、基板に実装された本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を
図7のIII-III'線に沿って切断した断面図であり、
図8bは、基板に実装された本発明のさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品を
図7のIII-III'線に沿って切断した断面図であり、
図9aは、比較例に係る積層型電子部品の通電経路を示した模式図であり、
図9bは、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の通電経路を示した模式図であり、
図10は、一実施形態に係る積層型電子部品を大略的に示した斜視図であり、
図11は、一実施形態に係る積層型電子部品の第1方向及び第2方向の断面図であり、
図12は、一実施形態に係る積層型電子部品の第1方向及び第2方向の断面図である。
【0016】
以下では、
図1~
図12を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100、さらに他の一実施形態に係る積層型電子部品100'、及びこれらの様々な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、上記本体の上記第1方向に垂直な第2方向に向かい合う面上に配置される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び第2内部電極が上記第1方向に交互に配置されるメイン部、上記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部及び上記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部を含み、上記第1カバー部及び上記第2カバー部のうち一つは、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の平均大きさが大きいカバー電極を含み、上記カバー電極は、上記本体の上記第1方向に向かい合う面よりも上記メイン部の第1方向の一面または他面に隣接して配置される。
【0018】
本発明のさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品100'は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む本体と、上記本体の上記第1方向に垂直な第2方向に向かい合う一面上に配置されて、上記第1内部電極と連結される第1外部電極と、上記本体の上記第2方向に向かい合う他面上に配置されて、上記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記第1内部電極及び第2内部電極が上記第1方向に交互に配置されるメイン部、上記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部及び上記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部を含み、上記第1カバー部は、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の平均大きさが大きい第1カバー電極を含み、上記第2カバー部は上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の平均大きさが大きい第2カバー電極を含む。
【0019】
以下では、
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100及びさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品100'に共通的に適用される実施形態について詳細に説明する。
【0020】
本体110は、誘電体層111、及び誘電体層111と第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含む。本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0021】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面1及び第2面2、上記第1方向と垂直な第2方向に向かい合う第3面3及び第4面4、上記第1方向及び上記第2方向と垂直な第3方向に向かい合う第5面5及び第6面6を含むことができる。
【0022】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。誘電体層の積層数は特に制限する必要はなく、セラミック電子部品のサイズを考慮して決定することができる。例えば、誘電体層を300層以上積層して本体を形成することができる。
【0023】
誘電体層111を形成する原料は、その目的に応じて多様であることができる。具体的には、高い単位体積当たりの静電容量の達成を主目的として強誘電性BaTiO3を材料とすることができ、高温環境での信頼性向上を主目的として常誘電性CaZrO3を材料として用いることができる。BaTiO3基盤の材料の例示としては、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられ、CaZrO3基盤の材料の例示としては(Ca1-xSrx)(Zr1-yTiy)O3(0<x<1、0<y<1)が挙げられる。
【0024】
誘電体層111の平均厚さtdは特に制限されない。
【0025】
積層型電子部品100の小型化及び高容量化を目的とする場合、誘電体層111の平均厚さtdは0.35μm以下であることができ、積層型電子部品100の高温高圧下での信頼性を向上させるために誘電体層111の平均厚さtdは2μm以上であることができる。但し、本発明において好ましい誘電体層111の平均厚さtdについては後述する。
【0026】
誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0027】
誘電体層111の平均厚さtdは、本体110の第3方向及び第1方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0028】
例えば、誘電体層111の平均厚さtdは、上記本体110の幅方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された誘電体層のうち、本体の長さ方向の中央線と厚さ方向の中央線が接する地点の誘電体層の1層を基準に上部に2層と下部に2層の合計5層の誘電体層について、上記本体の長さ方向の中央線と厚さ方向の中央線が接する地点を基準として、上記基準点1つを中心に左側に2つ及び右側に2つの5つの地点を等間隔に定めた後、各地点の厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0029】
図2に示されたように、内部電極121、122は、誘電体層111と第1方向に交互に配置される。
【0030】
内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122に区分されることができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ接して後述する外部電極131、132と連結されることができる。
【0031】
図2を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。
【0032】
このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0033】
図5を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0034】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。
【0035】
上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0036】
内部電極121、122の平均厚さteは特に制限されず、目的に応じて異なることができる。積層型電子部品100の小型化のために、内部電極121、122の平均厚さteは0.35μm以下であることができ、積層型電子部品100の高温高圧下での信頼性を向上させるために内部電極121、122の平均厚さteは3μm以上であり得る。
【0037】
内部電極121、122の平均厚さteは、上記本体110の幅方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された内部電極層のうち、本体の長さ方向の中央線と厚さ方向の中央線が接する地点の内部電極の1層を基準に上部に2層と下部に2層の合計5層の内部電極について、上記本体の長さ方向の中央線と厚さ方向の中央線が接する地点を基準として、上記基準点1つを中心に左側に2つ及び右側に2つの5つの地点を等間隔に定めた後、各地点の厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0038】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が第1方向に交互に配置される領域であるメイン部Mを含むことができる。また、上記メイン部Mは、誘電体層111を挟んで複数の第1内部電極121及び第2内部電極122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0039】
一方、メイン部Mは、第1内部電極121と第2内部電極122が第1方向に重なる領域である容量形成部及び第1内部電極121が第2内部電極122と第1方向に重ならない領域である長さ方向のマージン部に区分することができる。
【0040】
図5を参照すると、メイン部Mの第1方向の一面及び他面には、カバー部C1、C2が配置されることができる。カバー部は、メイン部Mの第1方向の一面に配置される第1カバー部C1及びメイン部Mの第1方向の他面に配置される第2カバー部C1を含むことができる。
【0041】
カバー部C1、C2は、物理的・化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができ、積層型電子部品100の強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0042】
カバー部C1、C2は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができ、単一誘電体層又は2つ以上の誘電体層をメイン部Mの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができる。但し、カバー部の成分は、メイン部Mの誘電体層111と同じ成分に制限されるものではなく、メイン部Mの誘電体層111と異なる成分を含むことができる。
【0043】
カバー部C1、C2は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含まないが、第1内部電極及び第2内部電極よりも第2方向の平均大きさが大きいカバー電極121'、122'を含むことができる。上記カバー電極121'、122'の詳細については後述する。
【0044】
カバー部C1、C2の平均厚さtcは特に制限されない。積層型電子部品の小型化及び高容量化を達成するために、カバー部C1、C2の平均厚さは15μm以下の値を有することができる。
【0045】
カバー部C1、C2の平均厚さは第1方向の大きさを意味することができ、メイン部Mの上部または下部で等間隔の5つの地点で測定したカバー部C1、C2の第1方向の大きさを平均した値であり得る。
【0046】
図5を参照すると、メイン部Mの第3方向の一面及び他面には、マージン部114、115が配置されることができる。
【0047】
マージン部114、115は、メイン部Mの第3方向の一面に配置されたマージン部114と、他面に配置されたマージン部115を含む。すなわち、マージン部114、115は、上記メイン部の幅方向の両面に配置されることができる。
【0048】
マージン部114、115は、
図3に示されたように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面で内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0049】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することで形成されたものであることができる。
【0051】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一誘電体層又は2つ以上の誘電体層をメイン部Mの両側面に幅方向に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0052】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は15μm以下であることができる。
【0053】
マージン部114、115の平均幅は、マージン部114、115の第3方向の平均大きさを意味することができ、メイン部Mの側面で等間隔の5つの地点で測定したマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0054】
図1~
図3を参照すると、本体110上には外部電極130、140が配置される。
【0055】
具体的には、第1方向に垂直な方向を第2方向とするとき、外部電極130、140は、本体110の第2方向に向かい合う一面及び他面3、4上に配置されることができる。
【0056】
このとき、外部電極130は、本体110の第2方向に向かい合う一面3上に配置されて、第1内部電極121と連結される第1外部電極130及び本体110の第2方向に向かい合う他面3上に配置されて、第2内部電極121と連結される第2外部電極140を含むことができる。
【0057】
図1~
図3に示された形態のように、外部電極130、140は、本体110の第2方向に向かい合う一面及び他面である第3面3及び第4面4にそれぞれ配置されて、第1内部電極121と連結された第1外部電極130及び第2内部電極122と連結された第2外部電極140を含むことができる。
【0058】
本実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極130、140を有する構造を説明しているが、外部電極の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0059】
一方、外部電極130、140は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して、具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0060】
例えば、外部電極130、140は、本体110に配置される電極層及び電極層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0061】
電極層に対するより具体的な例を挙げると、電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であるが、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0062】
また、電極層は、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、電極層は、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0063】
電極層に含まれる導電性金属としては、電気導電性に優れた材料を用いることができ、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であり得る。
【0064】
めっき層は、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層から形成されることができる。
【0065】
めっき層に対するより具体的な例を挙げると、めっき層は、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0066】
積層型電子部品100、100'のサイズは特に限定する必要はない。
【0067】
積層型電子部品100、100'は、小型化及び高容量化を同時に達成するため、0201(長さ×幅=0.2mm×0.1mm)以下のサイズを有することができ、高温高圧環境での信頼性が重要な製品の場合、3225(長さ×幅=3.2mm×2.5mm)以上のサイズを有することができるが、これに制限されるものではない。
【0068】
ここで、積層型電子部品100の長さは、積層型電子部品100の第2方向の最大大きさを意味し、積層型電子部品100の幅は、積層型電子部品の第3方向の最大大きさを意味することができる。
【0069】
積層型電子部品100、100'が実装された実装基板1100を示した
図7及び
図7のIII-III'線に沿った断面を実施形態によって示した
図8a及び
図8bを参照すると、積層型電子部品100、100'は、基板180上に配置された電極パッド181、182とソルダー191、192によって接合されることができる。
【0070】
図8aを参照すると、電極層122'は基板180に最も隣接して配置されることができ、
図8bを参照すると、第2電極層122'は基板180に最も隣接して配置されることができる。
図8bに示されたさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品100'の場合、実装方向に関係なく、後述する本発明の効果を達成することができる。
【0071】
以下では、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100と、さらに他の一実施形態に係る積層型電子部品100'を分けて詳細に説明する。
【0072】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の本体110は、第1内部電極121及び第2内部電極122が第1方向に交互に配置されるメイン部M、上記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部C1及び上記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部C2を含み、上記第1カバー部及び上記第2カバー部のうち一つは、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも第2方向の平均大きさが大きいカバー電極122'を含むことができる。
【0073】
このとき、上記カバー電極は、本体の第1方向に向かい合う面である第3面3または第4面4よりも上記メイン部の第1方向の一面または他面に隣接して配置されることができる。
【0074】
図2のP領域を拡大した
図4を参照すると、カバー電極122'は、内部電極121、122の端部を連結した直線から一定距離Sだけ延びた形態を有することができる。
【0075】
長さl(mm)、幅w(mm)、厚さt(mm)の直方体形状を有する導体のインダクタンスLは、次の式のように記述することができる。
【数1】
【0076】
すなわち、直方体形状を有する導体のインダクタンスLは、幅や厚さの変化よりも長さの変化による変化がより急激であることが確認できる。
【0077】
したがって、積層型電子部品に共振周波数以上の高周波数を有する電圧が印加される場合、通電経路の長さが最も短い積層方向の最下層に沿って電流が流れ、該当経路上のインダクタンスが積層型電子部品のインピーダンスとして作用することができる。
【0078】
そこで、本発明の一実施形態では、本体110は、上記第1カバー部及び上記第2カバー部のうち一つは、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも第2方向の平均大きさが大きいカバー電極122'を含むようにし、上記カバー電極は本体の第1方向に向かい合う面よりも上記メイン部の第1方向の一面または他面に隣接して配置されるようにすることで短縮された通電経路を形成することによって、積層型電子部品の等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0079】
具体的には、カバー電極122'の第2方向の大きさが内部電極121、122の第2方向の平均大きさよりも大きくない比較例の場合、
図9aに示された通電経路C'に沿って電流が流れるのに対し、カバー電極122'の第2方向の大きさを内部電極121、122の第2方向の平均大きさよりも大きく調節した実施形態の場合、
図9bに示された通電経路Cに沿って電流が流れることができる。
【0080】
比較例に係る積層型電子部品に共振周波数以上の高周波数の電圧が印加される場合、通電経路C'は内部電極の最下層を含むが、最下層の全体を通過する形態ではなく、一部の区間は内部電極の最下層を通過し、一部の区間は、隣接する上層の内部電極を通過する経路を形成するようになる。
【0081】
一方、実施形態に係る積層型電子部品に共振周波数以上の高周波数の電圧が印加される場合、通電経路C'はカバー電極の全体を通過する経路に該当するようになる。したがって、実施形態に係る積層型電子部品の場合、比較例に係る積層型電子部品の場合よりも通電経路を短縮させることで、積層型電子部品の等価直列インダクタンスを減少させることができる。
【0082】
一方、カバー電極122'を形成する材料は特に制限されず、内部電極121、122と同じ導電性金属を含むことができ、内部電極121、122を形成する方法と同じ方法で形成されることができる。
【0083】
一方、一実施形態において、カバー電極122'は、第1外部電極130及び第2外部電極140のいずれか一つにのみ連結されることができる。これにより、効果的に積層型電子部品100の通電経路を減少させることができる。
【0084】
一方、内部電極121、122は複数個であることができ、内部電極121、122同士の第2方向の大きさは実質的に同一であることが好ましい。具体的には、複数の内部電極121、122同士の第2方向の大きさの偏差は10%以下であることができ、複数の内部電極121、122同士の第2方向の大きさの偏差は5%以下であることがさらに好ましい。
【0085】
一方、上述した短縮された通電経路を効果的に形成するために、カバー電極122'の第2方向の大きさは適宜調節されることができる。
図4を参照すると、カバー電極122'と外部電極130が離隔した上記第2方向の大きさをD、上記誘電体層の平均厚さをtdとすることができる。D<tdを満たす場合、内部電極121、122間の誘電体層111の耐電圧よりも低い電圧で誘電破壊が発生する可能性がある。D≧2×tdを満たす場合、比較例に係る積層型電子部品に対する通電経路を短縮させる効果が僅かであることがある。したがって、一実施形態では、td≦D<2×tdを満たすように調節することで、積層型電子部品100の等価直列インダクタンス(ESL)を減少させるとともに、耐電圧の低下を防止することができる。
【0086】
一方、カバー電極122'の平均厚さが内部電極の平均厚さteよりも小さい場合、等価直列インダクタンス(ESL)を減少させる効果が不足する可能性がある。したがって、一実施形態では、カバー電極122'の平均厚さが内部電極121、122の平均厚さ以上であり得る。一方、カバー電極122'の平均厚さの上限値は特に制限されず、積層型電子部品100の要求特性に応じて変わることができる。
【0087】
一方、本発明の一実施形態のようなカバー電極122'を本体110に含ませることで得られる等価直列インダクタンス(ESL)の減少効果は、誘電体層111が厚いほど向上することができる。具体的には、誘電体層111の平均厚さtdは2μm以上であることができ、これにより本発明の等価直列インダクタンス(ESL)の減少効果はさらに向上することができる。誘電体層111の平均厚さtdの上限値は、特に制限されず、積層型電子部品100のサイズによって変わることができる。
【0088】
一方、本発明の一実施形態のようなカバー電極122'を本体に含ませることで得られる等価直列インダクタンス(ESL)の減少効果は、積層型電子部品100がRGC(Reverse Geometry Capacitor)構造を有する場合にさらに顕著になることができる。具体的には、
図10のように、積層型電子部品100''の第3方向の最大大きさWが第2方向の最大大きさLよりも大きい場合、通電経路を顕著に減少させることができる。
【0089】
一方、本発明の一実施形態のようなカバー電極122'を本体に含ませることで得られる等価直列インダクタンス(ESL)の減少効果は、積層型電子部品100のサイズが小さい場合にさらに顕著になることができる。具体的には、積層型電子部品100が1005サイズ以下である場合、通電経路の短縮効果をさらに向上させることができる。ここで、1005サイズは長さ×幅=1.0mm×0.5mmの場合を意味することができ、第2方向の最大大きさL×第3方向の最大大きさW=1.0mm×0.5mmの場合を意味することができる。
【0090】
図3を参照すると、本発明のさらに他の一実施形態に係る積層型電子部品100'の本体110は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、上記本体上に配置される外部電極130、140は、第1内部電極121と連結される第1外部電極130及び第2内部電極122と連結される第2外部電極を含むことができる。
【0091】
このとき、本体110は、上記第1内部電極及び第2内部電極が上記第1方向に交互に配置されるメイン部M、上記メイン部の第1方向の一面に配置される第1カバー部C1、及び上記メイン部の第1方向の他面に配置される第2カバー部C2を含み、上記第1カバー部は、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の平均大きさが大きい第1カバー電極121'を含み、上記第2カバー部は、上記第1内部電極及び第2内部電極よりも上記第2方向の大きさが大きい第2カバー電極122'を含む。これにより、短縮された通電経路を形成することにより、積層型電子部品の等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができるだけでなく、実装方向に関係なく等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0092】
一方、一実施形態において、第1カバー電極121'は第1外部電極130に連結され、第2外部電極140とは離隔するように配置され、第2カバー電極122'は第2外部電極140に連結され、第1外部電極130とは離隔するように配置されることができる。これにより、積層型電子部品100'の通電経路を効果的に短縮させることができる。
【0093】
図3のP領域を拡大した
図4を参照すると、第2カバー電極122'は、第2内部電極122'の端部を連結した直線から一定距離Sだけ延びた形態を有することができる。
図3では、第2カバー電極122'の形態を表現しているが、第1カバー電極121'も第1内部電極121の端部を連結した直線から一定距離だけ延びた形態を有することができる。
【0094】
一方、第1内部電極121及び第2内部電極122のそれぞれは、複数個であることができ、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122同士の第2方向の大きさは、実質的に同じであることが好ましい。具体的には、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122同士の第2方向の大きさの偏差は10%以下であることができ、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122同士の第2方向の大きさの偏差は5%以下であることがさらに好ましい。
【0095】
一方、上述した短縮された通電経路を効果的に形成するために、第2カバー電極122'の第2方向の大きさは適宜調節されることができる。
図4を参照すると、第2カバー電極122'と第1外部電極130が離隔した上記第2方向の大きさをD、上記誘電体層の平均厚さをtdとすることができる。D<tdを満たす場合、内部電極121、122間の誘電体層111の耐電圧よりも低い電圧で誘電破壊が発生する可能性がある。D≧2×tdを満たす場合、比較例に係る積層型電子部品に対する通電経路を短縮させる効果が僅かであることがある。したがって、一実施形態では、td≦D<2×tdを満たすように調節することで積層型電子部品100'の等価直列インダクタンス(ESL)を減少させるとともに、耐電圧の低下を防止することができる。
【0096】
一方、第1カバー電極121'または第2カバー電極122'の平均厚さが内部電極の平均厚さteよりも小さい場合、等価直列インダクタンス(ESL)を減少させる効果が不足することがある。したがって、一実施形態では、第1カバー電極121'または第2カバー電極122'の平均厚さは、第1内部電極121及び第2内部電極121、122の平均厚さ以上であることができる。一方、第1カバー電極121'及び第2カバー電極122'の平均厚さの上限値は特に制限されず、積層型電子部品100'の要求特性に応じて変わることができる。
【0097】
一方、本発明のさらに他の一実施形態のような第1カバー電極121'及び第2カバー電極122'を本体110に含ませることで得られる等価直列インダクタンス(ESL)の減少効果は、誘電体層111が厚いほど向上することができる。具体的には、誘電体層111の平均厚さtdは2μm以上であることができ、これにより本発明の等価直列インダクタンス(ESL)の減少はさらに向上することができる。誘電体層111の平均厚さtdの上限値は特に制限されず、積層型電子部品100'のサイズによって変わることができる。
【0098】
一方、本発明の一実施形態のような第1カバー電極121'及び第2カバー電極122'を本体に含ませることで得られる等価直列インダクタンス(ESL)の減少効果は、積層型電子部品100'がRGC(Reverse Geometry Capacitor)構造を有する場合、より顕著になることができる。具体的には、
図10のように、積層型電子部品100''の第3方向の最大大きさWが第2方向の最大大きさLよりも大きい場合、通電経路を顕著に減少させることができる。
【0099】
一方、本発明の一実施形態のような第1カバー電極121'及び第2カバー電極122'を本体110に含ませることで得られる等価直列インダクタンス(ESL)の減少効果は積層型電子部品100'のサイズが小さい場合、さらに顕著になることができる。具体的には、積層型電子部品100'が1005サイズ以下である場合、通電経路の短縮効果をさらに向上させることができる。ここで、1005サイズは長さ×幅=1.0mm×0.5mmの場合を意味することができ、第2方向の最大大きさL×第3方向の最大大きさW=1.0mm×0.5mmの場合を意味することができる。
【0100】
一方、第1カバー電極121'及び第2カバー電極122'の第2方向の大きさ、内部電極121、122の第2方向の平均大きさを測定する方法の例示として、本体110の幅方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージで測定する方法が挙げられる。
【0101】
具体的には、第1カバー電極121'及び第2カバー電極122'の場合、上記断面においてカバー電極121'、122'が形成された領域の第2方向の大きさを測定することができ、内部電極121、122の場合、上記本体の長さ方向の中央線と厚さ方向の中央線が接する地点を基準として、上記基準点1個を中心に上側に2つ、及び下側に2つの5つの地点を等間隔で定めた後、各地点での第2方向の大きさを測定して平均値を測定することができる。
【0102】
一方、第1カバー電極121'及び第2カバー電極122'の平均厚さは、内部電極121、122の平均厚さを求める方法と同じ方法で測定することができる。
【0103】
図11は、一実施形態に係る積層型電子部品100-1の第1方向及び第2方向の断面図である。
【0104】
図11を参照すると、一実施形態に係る積層型電子部品100-1のカバー電極122'が含まれた上記第1カバー部C1及び上記第2カバー部C2のうち一つは、上記カバー電極122'よりも上記第1方向に外側に配置される一つ以上の追加カバー電極122''をさらに含むことができる。追加カバー電極122''は、カバー電極122'が含まれたカバー部C2に上記カバー電極よりも第1方向に外側に配置されて、積層型電子部品100-1の強度を向上させて耐湿信頼性を向上させる役割を果たすことができる。
【0105】
このとき、一実施形態において、上記カバー電極は上記第1外部電極及び上記第2外部電極のいずれか一つにのみ連結され、上記追加カバー電極は、上記カバー電極が連結された外部電極と同じ外部電極にのみ連結されることができる。
【0106】
図11では、第2カバー部C2に第2カバー電極122'が含まれる場合、第2カバー電極122'よりも第1方向に外側に配置される第2追加カバー電極122''を示したが、第1カバー部C1に第1カバー電極121'が含まれる場合、第1カバー部C1は第1カバー電極121'よりも第1方向に外側に配置される第1追加カバー電極121''をさらに含むことができる。
【0107】
追加カバー電極122''の個数は、一つ以上であり得る。追加カバー電極122''の個数が増加するほど、積層型電子部品100-1の強度及び耐湿信頼性を向上させる効果はさらに向上することができる。
【0108】
追加カバー電極122''の個数の上限値を特に制限する必要はなく、カバー部C2の厚さまたは設計仕様によって追加カバー電極122''の個数の上限値が決定されることができる。
【0109】
図12は、一実施形態に係る積層型電子部品100'-1の第1方向及び第2方向の断面図である。
【0110】
図12を参照すると、一実施形態に係る積層型電子部品100'-1の第1カバー部C1は、第1カバー電極121'よりも上記第1方向に外側に配置される第1追加カバー電極121''をさらに含み、第2カバー部C2は、上記第2カバー電極122'よりも上記第1方向に外側に配置される第2追加カバー電極122'をさらに含むことができる。第1追加カバー電極121''及び第2追加カバー電極122''は、第1カバー電極121'及び第2カバー電極122'よりも第1方向に外側に配置されて、積層型電子部品100'-1の強度を向上させ、耐湿信頼性を向上させる役割を果たすことができる。
【0111】
このとき、一実施形態において、上記カバー電極は上記第1外部電極及び上記第2外部電極のいずれか一つにのみ連結され、上記追加カバー電極は上記カバー電極が連結された外部電極と同じ外部電極にのみ連結されることができる。
【0112】
第1追加カバー電極121''及び第2追加カバー電極122''の個数は一つ以上であり得る。第1追加カバー電極121''及び第2追加カバー電極122''の個数が増加するほど、積層型電子部品100'-1の強度及び耐湿信頼性を向上させる効果はさらに向上することができる。
【0113】
第1追加カバー電極121''及び第2追加カバー電極122''の個数の上限値を特に制限する必要はなく、第1カバー部C1及び第2カバー部C2の厚さ又は設計仕様に応じて第1追加カバー電極121''及び第2追加カバー電極122''の個数の上限値が決定されることができる。
【0114】
(実験例)
表1は、誘電体層の平均厚さを5μm仮定したとき、積層型電子部品100のサイズによる通電経路の短縮効果を計算した結果を示したものである。
【0115】
通電経路の短縮有無は、
図9aのような比較例の経路を経る場合と
図9bのような経路を経る場合を比較してその割合を計算した。
【0116】
【0117】
表1を参照すると、積層型電子部品のサイズが小さいほど、第2方向の最大大きさLが小さいほど経路短縮効率が増加することが確認できる。
【0118】
これにより、積層型電子部品100、100'の第3方向の最大大きさWが第2方向の最大大きさLよりも大きくなるように調節する場合、カバー電極121'、122'を導入することで得られる通電経路の短縮効果はさらに向上することができる。
【0119】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0120】
また、本開示において用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0121】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0122】
100、100'、100'' 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
M メイン部
C1、C2 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
121'、122' カバー電極
130、140 外部電極
1100 実装基板