(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007113
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】スロットル装置およびそれを備えた鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
F02D 9/00 20060101AFI20250109BHJP
F02D 9/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F02D9/00 A
F02D9/02 351A
F02D9/02 351P
F02D9/02 351C
F02D9/02 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108303
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】太田 悠貴
【テーマコード(参考)】
3G065
【Fターム(参考)】
3G065BA01
3G065CA00
3G065DA05
3G065DA15
3G065GA46
3G065HA03
3G065KA05
(57)【要約】
【課題】小さなスロットル装置、およびそれを備えた鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】本発明のスロットル装置10は、スロットル軸21と、スロットル軸21と平行な駆動軸22を有する駆動モータ41と、駆動軸22と一体に回転する回転部材24と、回転部材24の回転力をスロットル軸21に伝達する第1伝達部材と、スロットル軸21と平行なセンサ軸23と、センサ軸23の回転角度を検出するスロットルポジションセンサ42と、回転部材24の回転力をセンサ軸23に伝達する第2伝達部材と、を備えている。この構成によれば、スロットル軸21,駆動軸22,センサ軸23が互いに平行な位置に配置されている。従って、スロットル軸21の延長上にスロットルポジションセンサ42を配置する必要がなく、スロットル装置10をスロットル軸21の延伸方向について小さくすることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路を有するスロットルボディと、
前記スロットルボディに支持されるスロットル軸と、
前記吸気通路に設けられ、前記スロットル軸に連結される第1スロットルバルブと、
前記スロットル軸と平行な駆動軸を有する駆動モータと、
前記駆動軸に連結され、前記駆動軸と一体に回転する回転部材と、
前記回転部材の回転力を前記スロットル軸に伝達する第1伝達部材と、
前記スロットル軸と平行なセンサ軸と、
前記センサ軸の回転角度を検出するスロットルポジションセンサと、
前記回転部材の回転力を前記センサ軸に伝達する第2伝達部材と、を備える
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
請求項1のスロットル装置において、
前記回転部材の回転力は、前記第1伝達部材を介さずに、前記センサ軸に伝達される
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項3】
請求項1に記載のスロットル装置において、
前記第1伝達部材は、
前記回転部材に回転可能に連結される第1レバーと、
前記第1レバーに回転可能に連結される第1アームと、を備え、
前記第1アームは、前記スロットル軸に連結される
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスロットル装置において、
前記第2伝達部材は、
前記回転部材に回転可能に連結される第2レバーと、
前記第2レバーに回転可能に連結される第2アームと、を備え、
前記第2アームは、前記センサ軸に連結される
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項5】
請求項1に記載のスロットル装置において、
前記センサ軸と前記スロットル軸の間の距離は、前記駆動軸と前記スロットル軸の間の距離以上であり、
前記センサ軸と前記スロットル軸の間の距離は、前記駆動軸と前記センサ軸の間の距離以上である
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項6】
請求項1に記載のスロットル装置において、
前記スロットルポジションセンサの少なくとも一部は、前記駆動軸の延伸方向について前記駆動軸と同一位置にある
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項7】
請求項1に記載のスロットル装置において、
前記駆動軸の少なくとも一部は、前記駆動軸の延伸方向について、前記第1スロットルバルブと同一位置にあり、
前記スロットルポジションセンサの少なくとも一部は、前記駆動軸の延伸方向について前記第1スロットルバルブと同一位置にある
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項8】
請求項1に記載のスロットル装置において、
前記スロットル装置は、
前記吸気通路に設けられ、前記スロットル軸に連結される第2スロットルバルブを備え、
前記第1スロットルバルブは、前記スロットル軸に沿って、前記第1伝達部材と前記第2スロットルバルブの間に配置され、
前記駆動軸は、前記スロットル軸の前記延伸方向において、前記第1伝達部材と前記第2スロットルバルブの間に配置され、
前記スロットルポジションセンサは、前記スロットル軸の前記延伸方向において、前記第1伝達部材と前記第2スロットルバルブの間に配置される
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項9】
請求項1に記載のスロットル装置において、
前記第2伝達部材は、前記駆動軸の延伸方向において、前記第1伝達部材と前記駆動モータの間に設けられる
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項10】
請求項1に記載のスロットル装置において、
第1スロットルバルブが閉方向に回転するとき、前記センサ軸は第1方向に回転し、
前記スロットル装置は、
前記第1スロットルバルブが全閉位置にあるときに前記第1スロットルバルブがさらに前記閉方向に回転することを禁止する第1ストッパ機構と、
前記第1スロットルバルブが前記全閉位置にあるときに前記センサ軸がさらに前記第1方向に回転することを禁止する第2ストッパ機構と、を備える
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項11】
請求項10に記載のスロットル装置において、
第1スロットルバルブが開方向に回転するとき、前記センサ軸は第2方向に回転し、
前記第1スロットルバルブが前記全閉位置から前記開方向に移動するとき、前記センサ軸の前記第2方向の回転が始まるタイミングは、前記第1スロットルバルブの前記開方向の回転が始まるタイミングと同時である
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項12】
請求項10に記載のスロットル装置において、
前記第2ストッパ機構が前記センサ軸の前記第1方向の回転を止めるタイミングは、前記第1ストッパ機構が前記第1スロットルバルブの閉方向の回転を止めるタイミングと同時である
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項13】
請求項10に記載のスロットル装置において、
第1ストッパ機構は、
前記スロットルボディに連結された第1規制部と、
前記スロットル軸に連結された第1回転接触部と、を備え、
前記第1スロットルバルブが前記全閉位置にあるとき、前記第1回転接触部は前記第1規制部に接触し、前記第1規制部は前記第1スロットルバルブがさらに前記閉方向に回転することを禁止し、
第2ストッパ機構は、
前記スロットルボディに連結された第2規制部と、
前記センサ軸に連結された第2回転接触部と、を備え、
前記第1スロットルバルブが前記全閉位置にあるとき、前記第2回転接触部は前記第2規制部と接触し、前記第2規制部は前記センサ軸がさらに前記第1方向に回転することを禁止する
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項14】
請求項13に記載のスロットル装置において、
前記第2規制部は、前記スロットルボディに支持されるアジャストスクリューである
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項15】
請求項1に係る前記スロットル装置を備えた鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットル装置に関する。また、本発明は、スロットル装置を備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のスロットル装置は、スロットルボディとスロットル軸とスロットルバルブと駆動モータとスロットルポジションセンサを備える。スロットルボディは吸気通路を有する。スロットル軸はスロットルボディに支持される。スロットルバルブは吸気通路に設けられる。スロットルバルブはスロットル軸に連結される。駆動モータは、スロットル軸を連結される。駆動モータは、スロットル軸を回転させる。スロットルポジションセンサは、スロットル軸の端部に設置される。スロットルポジションセンサは、スロットル軸の延長上に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスロットル装置は、比較的に大きい。具体的には、スロットル装置は、スロットル軸の延伸方向において長い。このため、スロットル装置を鞍乗型車両に搭載しづらい。
【0005】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、小さなスロットル装置、およびそれを備えた鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために次の様な構成をとる。
すなわち、本発明は、スロットル装置であって、吸気通路を有するスロットルボディと、前記スロットルボディに支持されるスロットル軸と、前記吸気通路に設けられ、前記スロットル軸に連結される第1スロットルバルブと、前記スロットル軸と平行な駆動軸を有する駆動モータと、前記駆動軸に連結され、前記駆動軸と一体に回転する回転部材と、前記回転部材の回転力を前記スロットル軸に伝達する第1伝達部材と、前記スロットル軸と平行なセンサ軸と、前記センサ軸の回転角度を検出するスロットルポジションセンサと、前記回転部材の回転力を前記センサ軸に伝達する第2伝達部材と、を備えることを特徴とするスロットル装置である。
【0007】
[作用・効果]スロットル装置は、スロットルボディとスロットル軸と第1スロットルバルブを備える。スロットルボディは吸気通路を有する。スロットル軸はスロットルボディに支持される。第1スロットルバルブは、吸気通路に設けられる。第1スロットルバルブは、スロットル軸に連結される。このため、第1スロットルバルブは、スロットル軸と一体に回転する。スロットル軸が回転するとき、第1スロットルバルブは吸気通路を開閉する。スロットル軸の回転角度は、第1スロットルバルブの位置に相当する。
【0008】
スロットル装置は、駆動モータと回転部材と第1伝達部材とセンサ軸と第2伝達部材とスロットルポジションセンサを備える。駆動モータは、駆動軸を有する。回転部材は、駆動軸に連結される。回転部材は、駆動軸と一体に回転する。第1伝達部材は、回転部材の回転力をスロットル軸に伝達する。第2伝達部材は、回転部材の回転力をセンサ軸に伝達する。スロットルポジションセンサは、センサ軸の回転角度を検出する。このため、駆動軸が回転するとき、スロットル軸とセンサ軸は回転する。よって、スロットルポジションセンサは、第1スロットルバルブの位置を適切に検出する。
【0009】
センサ軸は、スロットル軸と平行である。このため、センサ軸は、スロットル軸の延長上に配置されない。従って、スロットル軸の延長上にスロットルポジションセンサは配置されない。このため、スロットル装置は小さい。例えば、スロットル装置はスロットル軸の延伸方向において短い。
【0010】
上述の通り、駆動モータは、第1伝達部材を介してスロットル軸を回転させ、かつ、第2伝達部材を介してセンサ軸を回転させる。すなわち、スロットル軸とセンサ軸は駆動モータに並列的に連結される。このため、センサ軸の配置の自由度は高い。
【0011】
上述したスロットル装置において、前記回転部材の回転力は、前記第1伝達部材を介さずに、前記センサ軸に伝達されれば好ましい。
【0012】
このような構成によれば、センサ軸の配置の自由度は高い。
【0013】
上述したスロットル装置において、前記第1伝達部材は、前記回転部材に回転可能に連結される第1レバーと、前記第1レバーに回転可能に連結される第1アームと、を備え、前記第1アームは、前記スロットル軸に連結されれば好ましい。
【0014】
[作用・効果]このような構成によれば、第1伝達部材が回転部材の回転力をスロットル軸に伝達することは、容易である。
【0015】
上述したスロットル装置において、前記第2伝達部材は、前記回転部材に回転可能に連結される第2レバーと、前記第2レバーに回転可能に連結される第2アームと、を備え、前記第2アームは、前記センサ軸に連結されれば好ましい。
【0016】
[作用・効果]このような構成によれば、第1伝達部材が回転部材の回転力をセンサ軸に伝達することは、容易である。
【0017】
上述したスロットル装置において、前記センサ軸と前記スロットル軸の間の距離は、前記駆動軸と前記スロットル軸の間の距離以上であり、前記センサ軸と前記スロットル軸の間の距離は、前記駆動軸と前記センサ軸の間の距離以上であれば好ましい。
【0018】
[作用・効果]センサ軸とスロットル軸の間の距離は、駆動軸とスロットル軸の間の距離以上である。このため、駆動軸とスロットル軸の間の距離は比較的に短い。よって、第1伝達部材を小さくすることは、容易である。センサ軸とスロットル軸の間の距離は、駆動軸とセンサ軸の間の距離以上である。このため、駆動軸とセンサ軸の間の距離は比較的に短い。よって、第2伝達部材を小さくすることは、容易である。さらに、センサ軸とスロットル軸の間の距離は比較的に長い。このため、第1伝達部材と第2伝達部材の間の干渉を防止することは、容易である。
【0019】
上述したスロットル装置において、前記スロットルポジションセンサの少なくとも一部は、前記駆動軸の延伸方向について前記駆動軸と同一位置にあれば好ましい。
【0020】
[作用・効果]このような構成によれば、駆動軸の延伸方向についてスロットルポジションセンサと駆動軸とをオーバーラップさせることができる。よって、スロットル装置は一層小さい。例えば、スロットル装置はスロットル軸の延伸方向において一層短い。
【0021】
上述したスロットル装置において、前記駆動軸の少なくとも一部は、前記駆動軸の延伸方向について、前記第1スロットルバルブと同一位置にあり、前記スロットルポジションセンサの少なくとも一部は、前記駆動軸の延伸方向について前記第1スロットルバルブと同一位置にあれば好ましい。
【0022】
[作用・効果]上述の構成によれば、駆動軸の延伸方向について第1スロットルバルブと駆動軸とをオーバーラップさせることができる。駆動軸の延伸方向について第1スロットルバルブとスロットルポジションセンサとをオーバーラップさせることができる。よって、スロットル軸の延伸方向におけるスロットル装置の大きさは更に小さなものとなる。さらに、駆動軸とスロットルポジションセンサは、第1スロットルバルブの近くに配置される。すなわち、駆動軸とスロットルポジションセンサは、互いに近い。したがって、第2伝達部材を小さくすることは、容易である。
【0023】
上述したスロットル装置において、前記スロットル装置は、前記吸気通路に設けられ、前記スロットル軸に連結される第2スロットルバルブと、を備え、前記第1スロットルバルブは、前記スロットル軸に沿って、前記第1伝達部材と前記第2スロットルバルブの間に配置され、前記駆動軸は、前記スロットル軸の前記延伸方向において、前記第1伝達部材と前記第2スロットルバルブの間に配置され、前記スロットルポジションセンサは、前記スロットル軸の前記延伸方向において、前記第1伝達部材と前記第2スロットルバルブの間に配置されれば好ましい。
【0024】
[作用・効果]このような構成によれば、駆動軸とスロットルポジションセンサは、第1スロットルバルブの近くに配置されている。よって、駆動軸とスロットルポジションセンサは、互いに近い。したがって、よって、第2伝達部材を小さくすることは、容易である。また、このような構成によれば、スロットル装置は2つのスロットルバルブを備え、駆動軸、スロットルポジションセンサは、第1スロットルバルブに偏って配置されている。この様に構成することで、駆動軸とスロットルポジションセンサとを機械的に接続させる機構の大きさを小さくすることができる。
【0025】
上述したスロットル装置において、前記第2伝達部材は、前記駆動軸の延伸方向において、前記第1伝達部材と前記駆動モータの間に設けられれば好ましい。
【0026】
[作用・効果]このような構成によれば、スロットル装置をスロットル軸の延伸方向において短くすることは、容易である。
【0027】
上述したスロットル装置において、第1スロットルバルブが閉方向に回転するとき、前記センサ軸は第1方向に回転し、前記スロットル装置は、前記第1スロットルバルブが全閉位置にあるときに前記第1スロットルバルブがさらに前記閉方向に回転することを禁止する第1ストッパ機構と、前記第1スロットルバルブが前記全閉位置にあるときに前記センサ軸がさらに前記第1方向に回転することを禁止する第2ストッパ機構と、を備えれば好ましい。
【0028】
[作用・効果]スロットル装置は、第1ストッパ機構と第2ストッパ機構を備える。第1スロットルバルブが全閉位置にあるとき、第1ストッパ機構は、第1スロットルバルブがさらに閉方向に回転することを禁止する。第1スロットルバルブが全閉位置にあるとき、第2ストッパ機構は、センサ軸がさらに第1方向に回転することを禁止する。このため、第1スロットルバルブが全閉位置に静止している状態では、センサ軸も静止している。第1スロットルバルブが全閉位置に静止している状態では、センサ軸の回転角度は変化しない。よって、第1スロットルバルブの位置は、センサ軸の回転角度に正確に反映される。したがって、スロットルポジションセンサは、第1スロットルバルブの位置を精度良く検出する。
【0029】
上述したスロットル装置において、第1スロットルバルブが開方向に回転するとき、前記センサ軸は第2方向に回転し、前記第1スロットルバルブが前記全閉位置から前記開方向に移動するとき、前記センサ軸の前記第2方向の回転が始まるタイミングは、前記第1スロットルバルブの前記開方向の回転が始まるタイミングと同時であれば好ましい。
【0030】
[作用・効果]このような構成によれば、全閉状態となっている第1スロットルバルブが開き始めるタイミングと、センサ軸が回転し始めるタイミングとが一致している。よって、第1スロットルバルブが全閉位置から開方向に移動するときであっても、第1スロットルバルブの位置は、センサ軸の回転角度に正確に反映される。したがって、第1スロットルバルブが全閉位置から開方向に移動するときであっても、スロットルポジションセンサは、第1スロットルバルブの位置を精度良く検出する。
【0031】
上述したスロットル装置において、前記第2ストッパ機構が前記センサ軸の前記第1方向の回転を止めるタイミングは、前記第1ストッパ機構が前記第1スロットルバルブの閉方向の回転を止めるタイミングと同時であれば好ましい。
【0032】
[作用・効果]このような構成によれば、第1スロットルバルブが全閉状態となるタイミングと、センサ軸が回転を停止するタイミングとが一致している。よって、第1スロットルバルブが全閉位置から開方向に移動するとき、センサ軸の第2方向の回転が始まるタイミングを、第1スロットルバルブの開方向の回転が始まるタイミングと同時にすることは、容易である。
【0033】
上述したスロットル装置において、前記第1ストッパ機構は、前記スロットルボディに連結された第1規制部と、前記スロットル軸に連結された第1回転接触部と、を備え、前記第1スロットルバルブが前記全閉位置にあるとき、前記第1回転接触部は前記第1規制部に接触し、前記第1規制部は前記第1スロットルバルブがさらに前記閉方向に回転することを禁止し、第2ストッパ機構は、前記スロットルボディに連結された第2規制部と、前記センサ軸に連結された第2回転接触部と、を備え、前記第2スロットルバルブが前記全閉位置にあるとき、前記第2回転接触部は前記第2規制部と接触し、前記第2規制部は前記センサ軸がさらに前記第1方向に回転することを禁止すれば好ましい。
【0034】
[作用・効果]第1ストッパ機構は、第1規制部と第1回転接触部を備える。このため、第1スロットルバルブが全閉位置にあるときに第1スロットルバルブがさらに閉方向に回転することを第1ストッパ機構が禁止することは、容易である。第2ストッパ機構は、第2規制部と第2回転接触部を備える。このため、第1スロットルバルブが全閉位置にあるときにセンサ軸がさらに第1方向に回転することを第2ストッパ機構が禁止することは、容易である。
【0035】
上述のスロットル装置において、前記第2規制部は、前記スロットルボディに支持されるアジャストスクリューを含めば好ましい。
【0036】
[作用・効果]第2規制部はアジャストスクリューを含む。このため、第2回転接触部が第2規制部と接触するタイミングを、アジャストスクリューは微調整する。センサ軸がさらに第1方向に回転することを第2規制部が禁止するタイミングを、アジャストスクリューは微調整する。
【0037】
また、本発明は、上述のスロットル装置を備えた鞍乗型車両である。スロットル装置は小さい。このため、スロットル装置を鞍乗型車両に搭載することは、容易である。
【発明の効果】
【0038】
本発明のスロットル装置は、小型なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】実施例に係る自動二輪車の全体構成を説明する平面図である。
【
図2】実施例に係るスロットル装置を説明する斜視図である。
【
図3】実施例に係るスロットルボディを説明する平面図である。
【
図4】実施例に係る各軸の位置関係を説明する平面図である。
【
図5】実施例に係るリターンスプリングを説明する斜視図である。
【
図6】実施例に係るスロットル装置の動作を説明する右側面図である。
【
図7】実施例に係るスロットル装置の動作を説明する右側面図である。
【
図8】実施例に係るスロットル装置の動作を説明する右側面図である。
【
図9】実施例に係るスロットル装置の動作を説明する右側面図である。
【
図10】実施例に係るスロットル装置の動作を説明する右側面図である。
【
図11】実施例に係るスロットル装置の動作を説明する右側面図である。
【
図12】本発明の1つの変形例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。実施例の車両は、内燃機関を備えた鞍乗型車両である。実施例の車両は、スロットル装置を備えている。スロットル装置は、内燃機関に供給される吸気の量を調整する。スロットル装置は、バタフライ型のスロットルバルブ、スロットルバルブを回動させる機構、およびスロットルバルブの開度を検出する機構を備える。
【実施例0041】
1.全体構成
図1は、本発明に係る自動二輪車1の全体構成を示している。自動二輪車1は、鞍乗型車両の一例である。実施例に係る自動二輪車1は、
図1に示すように、車体フレーム51と、前輪3と後輪4と、2気筒構成の内燃機関(エンジン)5と、外装カバーと、シート53を備えている。また、実施例に係る自動二輪車1は、前輪3を支持するフロントフォーク6と、フロントフォーク6を回動させるためのハンドルバー54を備えている。運転者が自動二輪車1に搭乗するには、ハンドルバー54を握った状態でシート53に座り、自動二輪車1に跨がる。この状態で運転者がアクセルを操作すれば、それに伴いスロットル装置が作動して、内燃機関5に供給される吸気の量が調整される。
【0042】
なお、
図1における符号Fは、車両の前方を示し、Reは、車両の後方を示す。また、
図1における符号Uは上方向を示し、符号Dは下方向を示す。幅方向Yは、前後方向および上下方向と直交する方向である。前後方向、上下方向および幅方向Yは、自動二輪車1に乗車した運転者を基準として定義される。以降の図においても、自動二輪車1に設置される各部材の方向を明らかにするために、適宜にこれら符号を付す。
【0043】
2.スロットル装置
図2は、実施例に係るスロットル装置10の構成を示す斜視図である。スロットル装置10は、内燃機関5に直接または間接的に接続される。
図2に示すように、本例のスロットル装置10は、吸気通路Vを有するスロットルボディ11を備えている。吸気通路Vは、内燃機関5に空気を送り込む構成であり、スロットルボディ11に2つ設けられている。スロットル装置10は、スロットルボディ11に可動性の部材や、センサ、アジャストスクリューなどの位置決めに関する部材が装着されて構成される。スロットルボディ11は、後述のスロットル軸21を支持する構成である。
【0044】
図3を参照する。第1スロットルバルブ12aは、吸気通路Vに設けられ、スロットル軸21に連結される。同様に、第2スロットルバルブ12bは、吸気通路Vに設けられ、スロットル軸21に連結される。すなわち、
図3に示すように吸気通路Vの各々に、バタフライ型のスロットルバルブが設けられている。第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは、幅方向Yに並ぶ。2つのスロットルバルブ12a、12bは、幅方向Yに伸びるスロットル軸21に固定されており、スロットル軸21の回転に伴って傾斜する構成となっている。第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bは、スロットル軸21と一体に回転し、傾斜することで吸気通路Vを通過する空気の量を調節できるようになっている。
【0045】
スロットル軸21が初期角度にあるとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは全閉位置にある。第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置であるとき、吸気通路Vは、最も空気を通過させにくい状態となる。スロットル軸21を初期角度から回転させていくとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは開方向に回転する。第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは開方向に回転するとき、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bの傾斜角度が90°に近づく。やがて、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは全開位置に到達する。第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全開位置にあるとき、吸気通路Vは、最も空気を通過させやすい状態となる。
【0046】
駆動モータ41は、
図4に示すようにスロットル軸21と平行な駆動軸22を有している。駆動軸22は、モータ軸とも呼ばれる。駆動モータ41は、スロットル軸21を回転する構成である。駆動軸22は、駆動モータ41が回転力を出力する軸である。
【0047】
駆動モータ41は、
図4に示すように、駆動軸22を回転させる本体部41bを有している。本体部41bは、幅方向Yに延びる円筒形状を有する。駆動軸22は、本体部41bから幅方向Yに突出する。例えば、駆動軸22は、本体部41bから右方に延びる。本体部41bの内部において、電磁石コイルや永久磁石が同心円状に配置されている。駆動モータ41の回転力は、第1伝達部材13によりスロットル軸21に伝達される。第1伝達部材13の詳細は後述する。
【0048】
センサ軸23は、スロットル軸21,駆動軸22に平行となっている。本実施例の駆動軸22が回転を開始すると、スロットル軸21は、第1伝達部材13に基づいて回転を開始し、センサ軸23は、第2伝達部材14に基づいて回転を開始する。
【0049】
スロットルポジションセンサ42は、センサ軸23の回転角度を検出する構成である。
図4に示すように、スロットルポジションセンサ42は、駆動モータ41の一端に近い位置に設けられている。スロットルポジションセンサ42は、駆動軸22に近い位置に設けられる。例えば、スロットルポジションセンサ42は、駆動モータ41よりも右方に設けられている。より詳しくは、スロットルポジションセンサ42の左端は、駆動モータにおける本体部41bの右端よりも左方にある。スロットルポジションセンサ42の右端は、駆動モータにおける本体部41bの右端よりも右方にある。この構成は、軸方向Yにおけるスロットル装置10の長さを短くする。例えば、この構成は、駆動モータ41とスロットルポジションセンサ42を幅方向Yに一列に並べた構成よりもスロットル装置10の寸法を幅方向Yについて小さい。よって、スロットル装置10を自動二輪車1に搭載することは、容易である。
【0050】
駆動モータ41は、スロットルボディ11の右端部に備えられている。スロットルポジションセンサ42も、スロットルボディ11の右端部に備えられている。
【0051】
図4を参照すれば分かるように、スロットルポジションセンサ42の少なくとも一部は、駆動軸22の延伸方向(幅方向Y)について駆動軸22と同一位置にある。具体的には、スロットルポジションセンサ42は、駆動軸22の右端よりも左方に位置する左端と、駆動軸22の左端よりも右方に位置する右端を有する。
【0052】
スロットルポジションセンサ42の少なくとも一部は、駆動モータ41と同一位置にある。具体的には、スロットルポジションセンサ42の左端は駆動モータ41の右端よりも左方に位置し、かつ、スロットルポジションセンサ42の右端は駆動モータ41の左端よりも右方にある。
【0053】
スロットルポジションセンサ42は、スロットル装置10に取り付けられるセンサであり、これで軸の回転を検出する機能が備わっている。すなわち、スロットルポジションセンサ42の筐体には、主軸を通す貫通孔が空けられており、主軸は、スロットルポジションセンサ42の内部から貫通孔を通過して右方向(幅方向Y)に伸びる。主軸はスロットルポジションセンサ42が有する部品であり、スロットル装置10に取り付ける際には、主軸の延長線上に伸びるセンサ軸23に結合される。
【0054】
主軸とセンサ軸23とは、バネを介して堅固に一体化される。主軸とセンサ軸23との間には、スロットルポジションセンサ42をスロットルボディ11に組み付ける際に必要なクリアランスが存在する。このクリアランスは、バネの付勢力により無効化されるので、センサ軸23が主軸に対してがたつくことがない。駆動モータ41の回転力は、第2伝達部材14によりセンサ軸23に伝達される。第2伝達部材14の詳細は後述する。
【0055】
以上のように、本例のスロットル装置10のセンサ軸23は、スロットル軸21の延長上に設けられておらず、スロットル軸21と同軸でもない。センサ軸23は、スロットル軸21とは異なる位置に配置されており、具体的には、センサ軸23は、スロットル軸21と平行となる位置に配置される。同様に、本例のスロットル装置10のセンサ軸23は、駆動軸22の延長上に設けられておらず、駆動軸22と同軸でもない。センサ軸23は、駆動軸22とは異なる位置に配置されており、具体的には、センサ軸23は、駆動軸22と平行となる位置に配置される。
【0056】
また、
図4を参照すれば分かるように、駆動軸22の少なくとも一部は、スロットル軸21の延伸方向(幅方向Y)についてスロットル軸21と同一の位置にある。例えば、駆動軸22の全部は、スロットル軸21の右端よりも左方、かつ、スロットル軸21の左端よりも右方にある。つまり、駆動軸22は、スロットル軸21の両端の位置で定まる軸方向Yに伸びる区間に収まる構成である。駆動軸22の長さは、スロットル軸21よりも短い。このため、コンパクトなスロットル装置10を提供できる。
【0057】
センサ軸23の少なくとも一部は、駆動軸22の延伸方向(幅方向Y)についてスロットル軸21と同一の位置にある。例えば、センサ軸23の全部は、スロットル軸21の右端よりも左方、かつ、スロットル軸21の左端よりも右方にある。
【0058】
駆動軸22は、センサ軸23の延伸方向(幅方向Y)ついてセンサ軸23よりも左方に配置される。但し、これに限られない。駆動軸22の少なくとも一部は、センサ軸23の延伸方向(幅方向Y)ついてセンサ軸23と同一の位置に配置されてもよい。例えば、駆動軸22の左端はセンサ軸23の右端よりも左方にあり、かつ、駆動軸22の右端はセンサ軸23の左端よりも右方にあってもよい。
【0059】
そして、
図4を参照すれば分かるように、駆動軸22の少なくとも一部は、駆動軸22の延伸方向(幅方向Y)について第1スロットルバルブ12aと同一位置にある。具体的には、駆動軸22の少なくとも一部は、第1スロットルバルブ12aの右端よりも左方、かつ、第1スロットルバルブ12aの左端よりも右方にある。
【0060】
スロットルポジションセンサ42の少なくとも一部は、駆動軸22の延伸方向(幅方向Y)について第1スロットルバルブ12aと同一位置にある。具体的には、スロットルポジションセンサ42の少なくとも一部は、第1スロットルバルブ12aの右端よりも左方、かつ、第1スロットルバルブ12aの左端よりも右方にある。
【0061】
図6は、スロットル装置10の右側面図である。
図6を参照して、各軸の離間距離について説明する。当該図を参照すれば分かるように、センサ軸23とスロットル軸21の間の距離は、駆動軸22とスロットル軸21の間の距離以上である。また、センサ軸23とスロットル軸21の間の距離は、駆動軸22とセンサ軸23の間の距離以上である。つまり、スロットル軸21とセンサ軸23の間の距離は、他の距離、すなわち、スロットル軸21と駆動軸22の間の距離、およびセンサ軸23と駆動軸22の間の距離以上である。例えば、スロットル軸21とセンサ軸23とを結ぶ方向について、スロットル軸21とセンサ軸23の中間の位置に駆動軸22を配置してもよい。これにより、スロットル装置10の構成がコンパクトとなる。例えば、第1伝達部材13はコンパクトになる。例えば、第2伝達部材14はコンパクトになる。
【0062】
3.伝達部材
以降、駆動モータ41の回転力を伝達する伝達部材について説明する。本例のスロットル装置10は、
図2に示すように、円形の回転部材24を有している。回転部材24は、駆動軸22に連結され、駆動軸22と一体に回転する。スロットル装置10は、第1伝達部材13と第2伝達部材14を備える。第1伝達部材13,第2伝達部材14は、回転部材24に接続されている。
【0063】
第1伝達部材13は、回転部材24の回転力をスロットル軸21に伝達する。第1伝達部材13は、具体的に第1レバー25と、第1アーム20と、を備えている。第1レバー25は、回転部材24に回転可能に連結される。一方、第1アーム20は、スロットル軸21と直交する方向に伸びた部材であって、第1レバー25に回転可能に連結される。第1アーム20はスロットル軸21に連結される。従って、第1レバー25は、回転部材24の回転力を第1アーム20に伝達する部材である。第1レバー25は、駆動軸22と直交する方向に伸びる。第1レバー25の一端は回転部材24に配され、第1レバー25の他端は第1アーム20に配される。回転部材24,第1レバー25,第1アーム20は、これらでリンク機構を構成する。第1レバー25は、回転部材24の回転力を受けて第1アーム20を回転させる構成である。
【0064】
第1レバー25は、ジョイント32を介して回転部材24に連結される。ジョイント32は、第1レバー25と回転部材24とを連結する。具体的には、回転部材24には、駆動軸22から離れる方向に延出した第1突出部を有する。第1レバー25の一端は、ジョイント32を介して回転部材24の第1突出部に組み付けられている。第1レバー25の一端は第1突出部に対して回転自在である。第1レバー25は回転部材24に対してジョイント32回りに回転自在である。ジョイント32の回転軸は、駆動軸22に平行である。ジョイント32は、駆動軸22の回転中心から離れた位置に設けられている。
【0065】
ジョイント32は、凹凸結合である。回転部材24は、回転部材24の第1突出部に設けられた第1凸部を有する。第1レバー25は、第1レバー25の一端に設けられた第1貫通孔を有する。回転部材24の第1凸部は第1レバー25の第1貫通孔に嵌合される。第1凸部は、駆動軸22の伸びる方向(幅方向Y)に突出し、第1貫通孔は、第1レバー25を駆動軸22の伸びる方向(幅方向Y)に貫通している。ジョイント32にはベアリングが備えられている。ベアリングは、回転部材24の第1凸部と第1レバー25の第1貫通孔の間に設けられる。
【0066】
ジョイント32は、ガタまたは遊びを有する。ジョイント32は、部品間においてある程度のクリアランスを有する。例えば、ジョイント32は、回転部材24の第1凸部と第1レバー25の第1貫通孔の間においてある程度のクリアランスを有する。ジョイント32が滑らかに作動するには、部品間においてある程度のクリアランスを許容する必要があるからである。
【0067】
第1レバー25は、ジョイント31を介して第1アーム20に連結される。ジョイント31は、第1レバー25と第1アーム20とを連結する。具体的には、第1レバー25の他端は、ジョイント31を介して第1アーム20の一端に組み付けられている。第1レバー25の他端は第1アーム20の一端に対して回転自在である。第1レバー25は第1アーム20に対してジョイント31回りに回転自在である。ジョイント31の回転軸は、駆動軸22に平行である。ジョイント31は、スロットル軸21の回転中心から離れた位置に設けられている。
【0068】
ジョイント31は、凹凸結合である。第1アーム20は、第1アーム20の一端に設けられた凸部を有する。第1レバー25は、第1レバー25の他端に設けられた第2貫通孔を有する。第1アーム20の凸部は、第1レバー25の第2貫通孔に嵌合される。第1アーム20の凸部は、スロットル軸21の伸びる方向(幅方向Y)に突出し、第2貫通孔は、第1レバー25を駆動軸22の伸びる方向(幅方向Y)に貫通している。本実施例は、ジョイント31にはベアリングが備えられている。ベアリングは、第1アーム20の凸部と第1レバー25の第2貫通孔の間に設けられる。
【0069】
ジョイント31は、ガタまたは遊びを有する。ジョイント31は、部品間においてある程度のクリアランスを有する。例えば、ジョイント31は、第1アーム20の凸部と第1レバー25の第2貫通孔の間においてある程度のクリアランスを有する。ジョイント31が滑らかに作動するには、部品間においてある程度のクリアランスを許容する必要があるからである。
【0070】
第2伝達部材14は、回転部材24の回転力をセンサ軸23に伝達する。回転部材24の回転力は、第1伝達部材13を介さずに、センサ軸23に伝達される。すなわち、第1伝達部材13と第2伝達部材14とは、回転部材24から回転力を得て動作するものの、互いに別系統の機構となっている。第2伝達部材14は、第1伝達部材13とは異なる構成であり、回転部材24の回転力をセンサ軸23に伝達する。
【0071】
第2伝達部材14は、具体的に第2レバー26と、第2アーム27と、を備えている。第2レバー26は、回転部材24に回転可能に連結される。一方、第2アーム27は、センサ軸23と直交する方向に伸びた部材であって、第2レバー26に回転可能に連結される。第2アーム27はセンサ軸23に連結される。従って、第2レバー26は、回転部材24の回転力を第2アーム27に伝達する部材である。第2レバー26は、センサ軸23と直交する方向に伸びる。第2レバー26の一端は回転部材24に配され、第2レバー26の他端は第2アーム27に配される。回転部材24,第2レバー26,第2アーム27は、これらでリンク機構を構成する。第2レバー26は、回転部材24の回転力を受けて第2アーム27を回転させる構成である。
【0072】
第2レバー26は、ジョイント33を介して回転部材24に連結される。ジョイント33は、第2レバー26と回転部材24を連結する。具体的には、回転部材24には、駆動軸22から離れる方向に延出した第2突出部を有する。第2レバー26の一端は、ジョイント33を介して回転部材24の第2突出部に組み付けられている。第2レバー26の一端は第2突出部に対して回転自在である。第2レバー26は回転部材24に対してジョイント33回りに回転自在である。ジョイント33の回転軸は、駆動軸22に平行である。
【0073】
第2レバー26は、ジョイント34を介して第2アーム27に連結される。ジョイント34は、第2レバー26と第2アーム27を連結する。具体的には、第2レバー26の他端は、ジョイント34を介して第2アーム27の一端に組み付けられている。第2レバー26の他端は第2アーム27の一端に対して回転自在である。第2レバー26は第2アーム27に対してジョイント34回りに回転自在である。ジョイント34の回転軸は、駆動軸22に平行である。
【0074】
図2を参照する。第1伝達部材13はスロットルボディ11の右端部に設けられる。第2伝達部材14はスロットルボディ11の右端部に設けられる。
【0075】
図4を参照する。第1伝達部材13は、スロットル軸21の一端に連結される。例えば、第1伝達部材13はスロットル軸21の右端に連結される。
【0076】
第1スロットルバルブ12aは、スロットル軸21に沿って第1伝達部材13と第2スロットルバルブ12bとの間に位置している。例えば、第1スロットルバルブ12aは、第1伝達部材13の左方、かつ、第2スロットルバルブ12bの右方に配置される。
【0077】
駆動軸22は、スロットル軸21の延伸方向(幅方向Y)において、第1伝達部材13と第2スロットルバルブ12bとの間に位置している。例えば、駆動軸22は、第1伝達部材13よりも左方に、かつ、第2スロットルバルブ12bよりも右方に位置する。
【0078】
スロットルポジションセンサ42は、スロットル軸21の延伸方向(幅方向Y)において、第1伝達部材13と第2スロットルバルブ12bとの間に位置している。例えば、スロットルポジションセンサ42は、第1伝達部材13よりも左方に、かつ、第2スロットルバルブ12bよりも右方に位置する。
【0079】
第2伝達部材14の全部は、スロットル軸21の右端よりも左方に配置される。第2伝達部材14の全部は、スロットル軸21の左端よりも右方に配置される。
【0080】
第2伝達部材14は、駆動軸22の延伸方向(幅方向Y)において、第1伝達部材13と駆動モータ41の間に設けられる。例えば、第2伝達部材14は、第1伝達部材13よりも左方、かつ、駆動モータ41よりも右方に配置される。このため、第1レバー25と第2レバー26は互いに干渉しないように、幅方向Yについて異なる位置にある(
図2,
図4参照)。例えば、第1レバー25は、第2レバー26よりも右方に位置している。言い換えれば、スロットル装置10の右端部においては、第2レバー26は、第1レバー25の奥側に位置していることになる。
【0081】
上述の通り、第2伝達部材14は、駆動軸22の延伸方向(幅方向Y)において、第1伝達部材13と駆動モータ41の間に設けられる。このため、第1レバー25に連動するスロットル軸21の右端を可能な限りスロットル装置10の右端部に配置することができる。さらに、第2伝達部材14をスロットルボディ11の右端よりも左方、かつ、スロットルボディ11の左端よりも右方に配置することは、容易である。例えば、第2伝達部材14がスロットルボディ11から右方に突出することを抑制することは、容易である。このため、スロットル装置10の幅方向Yの寸法を小さくすることは、容易である。例えば、第2レバー26が第1レバー25よりも右方に位置する構成と比べて、スロットル装置10の幅方向Yの寸法を小さくすることができる。
【0082】
以上のように、第1レバー25,第2レバー26は、それぞれ回転部材24に支持される。つまり、第1レバー25で構成されるリンク機構と第2レバー26で構成されるリンク機構は互いに独立しており、第2レバー26のリンク機構が機能しなくても、第1レバー25のリンク機構はその影響を受けず機能し、第1レバー25のリンク機構が機能しなくても、第2レバー26のリンク機構はその影響を受けず機能する。その意味で、第1レバー25,第2レバー26は、回転部材24に対し並列的に設けられていると言える。第1レバー25のリンク機構と第2レバーのリンク機構との間には、上流・下流の概念がないからである。むしろ、回転部材24は、駆動モータ41の回転力を2つのリンク機構に分配する機能を有している。回転部材24の回転力は、第1レバー25を介さずセンサ軸23に伝達され、同様に、回転部材24の回転力は、第2レバー26を介さずにセンサ軸23に伝達される。このように、第1レバー25,第2レバー26は互いに係合していない。
【0083】
リターンスプリング35は、
図4に示すように回転部材24の周囲に設けられ、駆動軸22に巻き回されるコイル状のバネである。リターンスプリング35の軸方向はスロットル装置10の幅方向Yに一致する。そして、リターンスプリング35は、回転部材24と駆動モータ41の本体部41bとに挟まれる位置に配される。リターンスプリング35は、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bを閉方向に付勢する。駆動モータ41が回転力を出力しないとき、リターンスプリング35は、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bを全閉位置に位置させる。駆動モータ41が回転力を出力するとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは、リターンスプリング35の付勢力に抗って、開方向に回転する。
【0084】
図5は、本例のリターンスプリング35の構成を説明している。回転部材24は、係止部24aを備える。係止部24aは、駆動軸22から離れる方向に伸びた突出部を駆動モータ41側に屈曲させて構成される。リターンスプリング35の第1端は、係止部24aによって回転部材24に固定されている。リターンスプリング35の第2端は、固定ネジ36によってスロットルボディ11に固定されている。一方、
図5に示される矢印は、リターンスプリングの付勢方向を示している。
【0085】
スロットル軸21と駆動軸22の動作を例示する。
図6では、スロットル軸21は初期角度にある。上述の通り、スロットル軸が初期角度にあるとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは全閉位置にある。第1アーム20の一端部は、駆動軸22に近い位置にある。第1アーム20の他端部は、駆動軸22から離れた位置にある。
【0086】
図6は、スロットル軸21回りの回転方向E1、E2を示す。
図6は、駆動軸22回りの回転方向F1、F2を示す。例えば、回転方向E1は、自動二輪車1の右側面視において、反時計回りである。例えば、回転方向E2は、自動二輪車1の右側面視において、時計回りである。
【0087】
駆動軸22が回転方向F2に回転するとき、回転部材24は駆動軸22と一体に回転方向F2に回転する。回転部材24が回転方向F2に回転するとき、第1レバー25は第1アーム20の一端を押し上げる。このため、回転部材24が回転方向F2に回転するとき、第1アーム20は回転方向E2に回転する。第1アーム20が回転方向E2に回転するとき、スロットル軸21は第1アーム20と一体に回転方向E2に回転する。スロットル軸21が回転方向E2に回転するとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは開方向に回転する。
【0088】
図7は、スロットル装置10の右側面図である。第1アーム20が回転方向E2に回転するとき、第1アーム20の一端は、最終的には、
図7の破線で示す位置まで押し上げられる。
【0089】
第1アーム20が
図7の破線で示す位置にあるとき、スロットル軸21は最大角度にある。スロットル軸21が最大角度にあるとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは全開位置にある。例えば、駆動軸22が回転方向F2に回転するとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは、全閉位置から全開位置に遷移する。
【0090】
図6を参照する。駆動軸22が回転方向F1に回転するとき、回転部材24は駆動軸22と一体に回転方向F1に回転する。回転部材24が回転方向F1に回転するとき、第1アーム20は回転方向E1に回転する。第1アーム20が回転方向E1に回転するとき、スロットル軸21は第1アーム20と一体に回転方向E1に回転する。スロットル軸21が回転方向E1に回転するとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは閉方向に回転する。例えば、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは、全開位置から全閉位置に遷移する。
【0091】
以上の通り、駆動軸22が回転方向F2に移動するとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは開方向に回転する。駆動軸22が回転方向F1に移動するとき、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは閉方向に回転する。
【0092】
駆動軸22とセンサ軸23の動作を例示する。
図6では、センサ軸23が初期角度にある。
【0093】
図6は、センサ軸23回りの第1方向G1および第2方向G2を示す。
【0094】
駆動軸22が回転方向F2に回転するとき、回転部材24は駆動軸22と一体に回転方向F2に回転する。回転部材24が回転方向F2に回転するとき、第2レバー26は起立姿勢の第2アーム27を平伏させる。このため、回転部材24が回転方向F2に回転するとき、第2アーム27は第2方向G2に回転する。第2アーム27が第2方向G2に回転するとき、センサ軸23は第2アーム27と一体に第2方向G2に回転する。
【0095】
駆動軸22が回転方向F1に回転するとき、回転部材24は駆動軸22と一体に回転方向F1に回転する。回転部材24が回転方向F1に回転するとき、第2アーム27は第1方向G1に回転する。第2アーム27が第1方向G1に回転するとき、センサ軸23は第2アーム27と一体に第1方向G1に回転する。
【0096】
したがって、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが開方向に回転するとき、センサ軸23は第2方向G2に回転する。第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが閉方向に回転するとき、センサ軸23は第1方向G1に回転する。
【0097】
センサ軸23の回転角度は、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置に対応する。このため、スロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置を検出する。
【0098】
リターンスプリング35は、回転部材24を回転方向F1に付勢する。駆動モータ41が機能しないときは、回転部材24は回転方向F1に回転する。このため、駆動モータ41が回転力を出力しないとき、スロットル軸21は初期角度にあり、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは全閉位置にある。駆動モータ41が回転力を出力しないとき、センサ軸23は初期角度にある。
【0099】
駆動モータ41により回転部材24を回転方向F2に回転させるときは、駆動モータ41は、リターンスプリング35の付勢力に抗うだけの回転力を回転部材24に付与する必要がある。
【0100】
4.ストッパ機構
本例のスロットル装置10には、スロットル軸21の回転動作を規制する2つのストッパ機構が設けられ、センサ軸23の回転動作を規制する1つのストッパ機構が設けられている。これらストッパ機構の構成ついて説明する。
【0101】
図6を参照する。第1ストッパ機構S1は、第1スロットルバルブ12aが全閉位置にあるときに第1スロットルバルブ12aがさらに閉方向に回転することを禁止する機構である。第1ストッパ機構S1について具体的に説明する。第1ストッパ機構S1は、スロットルボディ11に連結された全閉位置規制部15と、スロットル軸21に連結された第1突出部20aと、を備えている。
図2に示すように、スロットル軸21に装着される第1アーム20は、スロットル軸21から第1レバー25に向けて伸びる一端部と、スロットル軸21を起点に第1レバー25から離れる方向に伸びる他端部とを有している。第1アーム20の他端部は、T形状となっている。第1突出部20aは、第1アーム20の他端部に配置される。第1突出部20aは、回転方向E1に突出する。スロットルボディ11には、第1突出部20aと当接する全閉位置規制部15が設けられている。全閉位置規制部15は、本発明の第1規制部に相当する。第1突出部20aは、本発明の第1回転接触部に相当する。第1突出部20aと全閉位置規制部15により本発明の第1ストッパ機構S1が構成される。第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bが全閉位置にあるときに、第1突出部20aは、全閉位置規制部15に接触する。第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bが全閉位置にあるときに、全閉位置規制部15は、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bがさらに閉方向に回転することを禁止する。
【0102】
第2ストッパ機構S2は、第1スロットルバルブ12aが全閉位置にあるときにセンサ軸23がさらに第1方向G1に回転することを禁止する機構である。第2ストッパ機構S2について具体的に説明する。第2ストッパ機構S2は、スロットルボディ11に連結されたセンサ軸規制部17と、センサ軸23に連結された突出部27aと、を備えている。センサ軸23に装着される第2アーム27は、センサ軸23から第2レバー26に向けて伸びる一端部と、センサ軸23を起点に第2レバー26から離れる方向に伸びる他端部とを有している。突出部27aは、第2アーム27の他端部に設けられる。突出部27aは、第1方向G1に突出する。スロットルボディ11には、突出部27aと当接するセンサ軸規制部17が設けられている。センサ軸規制部17は、本発明の第2規制部に相当する。突出部27aは、本発明の第2回転接触部に相当する。突出部27aとセンサ軸規制部17により本発明の第2ストッパ機構S2が構成される。第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bが全閉位置にあるとき、突出部27aは、センサ軸規制部17に接触する。第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bが全閉位置にあるとき、センサ軸規制部17はセンサ軸23がさらに第1方向G1に回転することを禁止する機構である。
【0103】
第2ストッパ機構S2の具体的構成について説明する。センサ軸規制部17は、スロットルボディ11に支持されるアジャストスクリュー17bを含む。突出部27aは、アジャストスクリュー17bと接触する。スロットルボディ11に対するアジャストスクリュー17bの位置は、容易に調整される。
【0104】
具体的には、センサ軸規制部17は、
図2に示すように、スロットルボディ11に設けられた支持部にアジャストスクリュー17bを介してロックナット17aが取り付けられて構成される。支持部は、アジャストスクリュー17bと螺合するネジ孔を有している。アジャストスクリュー17bを正方向に回転させると、アジャストスクリュー17bの先端は、ネジ孔の開口から出現し、アジャストスクリュー17bを逆方向に回転させると、アジャストスクリュー17bの先端は、支持部におけるネジ孔の開口から退く。このように、アジャストスクリュー17bは、スロットルボディ11に対し進退移動が可能である。なお、ロックナット17aは、アジャストスクリュー17bと螺合するナットであり、スロットルボディ11に対してアジャストスクリュー17bを固定する構成である。
【0105】
図6を参照する。駆動モータ41が回転力を出力しないとき、リターンスプリング35の付勢力によって、回転部材24は回転方向F1に回転し、センサ軸23は第1方向G1に回転する。センサ軸23の第1方向G1の回転は、第2アーム27の突出部27aがセンサ軸規制部17のアジャストスクリュー17bに当接して停止するまで継続する。
【0106】
スロットルボディ11に対するアジャストスクリュー17bの位置を調整することにより、突出部27aとアジャストスクリュー17bの間の接触位置は調整される。突出部27aとアジャストスクリュー17bの間の接触位置が調整されるとき、センサ軸23の初期角度が調節される。より詳しくは、突出部27aとアジャストスクリュー17bの間の接触位置が調整されるとき、第2ストッパ機構S2がセンサ軸23の第1方向G1の回転を止めるタイミングは調整される。この様に突出部27a,センサ軸規制部17で構成される第2ストッパ機構S2は、センサ軸23がこれ以上第1方向G1に回転しないように規制する。第2ストッパ機構S2は、センサ軸23の初期角度を設定する。アジャストスクリュー17bは、センサ軸23の初期角度を調整する。
【0107】
アジャストスクリュー17bの調整を行えば、例えば、全閉状態の第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bに対応するセンサ軸23の角度を調整することができる。例えば、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの全閉位置に基づいてセンサ軸23の初期角度を調整することは、容易である。例えば、スロットル軸21の初期角度に基づいてセンサ軸23の初期角度を調整することは、容易である。例えば、第2ストッパ機構S2がセンサ軸23の第1方向G1の回転を止めるタイミングを、第1ストッパ機構S1が第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの閉方向の回転を止めるタイミングと一致させることは、容易である。
【0108】
第1ストッパ機構S1に係る全閉位置規制部15は、センサ軸規制部17と同様な構成となっている。全閉位置規制部15はアジャストスクリュー15bを含む。アジャストスクリュー15bは、アジャストスクリュー17bと類似の構造を有する。全閉位置規制部15はロックナット15aを含む。ロックナット15aは、アジャストスクリュー15bをスロットルボディ11に固定する為の構成である。
【0109】
駆動モータ41を停止させると、リターンスプリング35の付勢力によって、回転部材24は回転方向F1に回転し、スロットル軸21は回転方向E1に回転する。この回転は、第1アーム20の第1突出部20aが全閉位置規制部15のアジャストスクリュー15bに当接して停止するまで継続する。
【0110】
スロットルボディ11に対するアジャストスクリュー15bの位置を調整することにより、第1突出部20aとアジャストスクリュー15bの接触位置は調整される。第1突出部20aとアジャストスクリュー15bの接触位置が調整されるとき、スロットル軸21の初期角度は調節される。この様に第1突出部20a,全閉位置規制部15で構成される第1ストッパ機構S1は、スロットル軸21がこれ以上回転方向E1に回転しないように規制する。第1ストッパ機構S1は、スロットル軸21の初期角度を設定する。アジャストスクリュー15bは、スロットル軸21の初期角度を調整する。
【0111】
アジャストスクリュー15bによってスロットル軸21の初期角度が変化したとき、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bの全閉位置は変化する。従って、全閉位置規制部15は、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bの全閉位置を微調節することができる構成である。
【0112】
第3ストッパ機構S3は、第1スロットルバルブ12aが全開位置にあるときに第1スロットルバルブ12aがさらに開方向に回転することを禁止する機構である。第3ストッパ機構S3について具体的に説明する。第3ストッパ機構S3は、スロットルボディ11に連結された全開位置規制部16と、スロットル軸21に連結された第2突出部20bと、を備えている。第2突出部20bは、第1アーム20の他端部に設けられる。第2突出部20bは、回転方向E2に突出する。
【0113】
全開位置規制部16は、センサ軸規制部17と同様な構成となっている。全開位置規制部16は、アジャストスクリュー16bとロックナット16aを含む。アジャストスクリュー16bは、アジャストスクリュー17bと類似の構造を有する。ロックナット16aは、アジャストスクリュー16bをスロットルボディ11に固定する為の構成である。
【0114】
駆動モータ41が最大の回転力を出力すると、駆動モータ41の回転力は、リターンスプリング35による付勢力に打ち勝って、スロットル軸21を回転方向E2に回転させる。スロットル軸21の回転方向E2の回転は、第1アーム20の第2突出部20bが全開位置規制部16のアジャストスクリュー16bに当接して停止するまで継続する。
【0115】
スロットルボディ11に対するアジャストスクリュー16bの位置を調整することにより、第2突出部20bとアジャストスクリュー16bの接触位置は調整される。第2突出部20bとアジャストスクリュー16bの接触位置が調整されるとき、スロットル軸21の回転における最大値(最大角度)は調節される。この様に第2突出部20b,全開位置規制部16から構成される第3ストッパ機構S3は、スロットル軸21がこれ以上回転方向E2に回転しないように規制する。第3ストッパ機構S3は、スロットル軸21の最大角度を設定する。アジャストスクリュー16bは、スロットル軸21の最大角度を調整する。
【0116】
図6では、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bは全閉位置にある。
図6では、全閉位置規制部15,全開位置規制部16,センサ軸規制部17はそれぞれ適切に調整されている。すなわち、
図6では、第1アーム20の第1突出部20aが全閉位置規制部15に当接し、第2アーム27の突出部27aがセンサ軸規制部17に当接している。その結果、スロットル軸21は回転方向E1に回転しない。第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bは閉方向に回転しない。第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bは全閉位置で静止する。センサ軸23は第1方向G1に回転しない。
【0117】
上述の通り、第1伝達部材13と回転部材24との可動部は遊びを有する。この遊びは、スロットル軸21が静止した状態において、駆動軸22が回転することをわずかながら許容する。このため、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置で静止している状態で、駆動軸22は回転方向F1に僅かに回転するかもしれない。このことは、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置で静止している状態で、駆動軸22はこの遊びの分だけ、回転する可能性を意味する。
【0118】
仮にスロットル装置10が第2ストッパ機構S2を備えていない場合、センサ軸23は、駆動軸22が上述の遊びが許容するわずかな回転にしたがって、わずかに回転するかもしれない。このことは、仮にスロットル装置10が第2ストッパ機構S2を備えていない場合、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置で静止している状態で、センサ軸23は第1方向G1に回転する可能性を意味する。
【0119】
仮に、
図6の状態においてセンサ軸規制部17であるアジャストスクリュー17bをわずかに後方Reに移動させた場合、突出部27aは後方Reに移動してセンサ軸規制部17に当接し続けるかもしれない。このことは、アジャストスクリュー17bがわずかに後方Reに移動したとき、センサ軸23は僅かに第1方向G1に回転する可能性を意味する。
【0120】
例えば、センサ軸規制部17が適切に調整されていない場合、第1ストッパ機構S1がスロットル軸21の回転を禁止した後に、センサ軸23が回転するかもしれない。従って、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置で静止している状態で、センサ軸23が第1方向G1または第2方向G2に回転するかもしれない。このことは、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置で静止している状態で、センサ軸23の回転角度は変化する可能性を意味する。
【0121】
アジャストスクリュー17bがわずかに後方Reに移動したとき、センサ軸23は僅かに第1方向G1に回転する事象をセンサ軸23の過回転とよぶ。センサ軸23の過回転は、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bにおける開度の検出精度に悪影響を及ぼす。第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置に静止している状態でセンサ軸23の回転角度が変化した場合、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置は、センサ軸23の回転角度に正確に反映されない。第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置がセンサ軸23の回転角度に正確に反映されないとき、スロットルポジションセンサ42が第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置を精度良く検出することは、難しい。
【0122】
上述の通り、
図6では、全閉位置規制部15とセンサ軸規制部17はそれぞれ適切に調整されている。このため、第1アーム20が回転を始めるのに合わせて第2アーム27が回転を開始する。つまり、
図6においてはセンサ軸23の過回転は、現実に発生しない。
【0123】
図7を参照する。
図7は、
図6と同様、全閉位置規制部15とセンサ軸規制部17が適切に調整されている場合である。
図7を参照すれば分かるように、スロットル軸21が初期角度から回転方向E2に回転をすれば、隙間D1が全閉位置規制部15と第1突出部20aとの間に生じる。センサ軸23が初期角度から第2方向G2に回転するとき、隙間D2がセンサ軸規制部17と突出部27aとの間で生じる。
【0124】
スロットル軸21が回転するのと同時にセンサ軸23は回転する。スロットル軸21が初期角度から回転方向E2に回転し始めるタイミングは、センサ軸23が初期角度から第2方向G2に回転し始めるタイミングと一致する。このため、隙間D1と隙間D2は同時に発生する。よって、スロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置を正確に検出できる。
【0125】
例えば、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置から開方向に回転するときであっても、センサ軸23の第2方向G2への回転が始まるタイミングは、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの開方向への回転が始まるタイミングと同時である。このため、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが全閉位置から開方向に回転するときであっても、スロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置を正確に検出できる。
【0126】
また、第2ストッパ機構S2がセンサ軸23の第1方向G1の回転を止めるタイミングは、第1ストッパ機構S1が第1スロットルバルブ12aの閉方向の回転を止めるタイミングと同時となる。このため、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bが閉方向に全閉位置まで回転するときであっても、スロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置を正確に検出できる。
【0127】
図8は、
図6の状態から説明のため敢えてセンサ軸規制部17の調整をずらしたときのスロットル装置10を示す。アジャストスクリュー17bを後方Reに移動させると、アジャストスクリュー17bに突出部27aが追従する。すなわち、第2アーム27およびセンサ軸23がわずかながら第1方向G1に回転し、駆動軸22はわずかに回転方向F1に回転する。センサ軸23の第1方向G1への回転は、リターンスプリング35の付勢力に由来する。駆動軸22の回転方向F1への回転も、リターンスプリング35の付勢力に由来する。
【0128】
このセンサ軸23の回転に関わらず、スロットル軸21は回転しない。スロットル軸21の回転方向E1の回転は、第1アーム20における第1突出部20aが全閉位置規制部15に当接することにより、禁止されているからである。スロットル軸21が停止しているにも関わらずセンサ軸23が第1方向G1に回転してしまうのは、各リンク機構にクリアランスが存在するからである。このクリアランスは、スロットル軸21の回転とセンサ軸23の回転との同期性を損なう。
【0129】
すなわち、センサ軸規制部17が適切に調節されていないと、センサ軸23とスロットル軸21が同時に回転を開始しないという現象が起こりえる。第2ストッパ機構S2がセンサ軸23の回転を適切なタイミングで止めなければ、スロットル軸21が回転していない状態でセンサ軸23の回転角度が変化するおそれがある。
【0130】
スロットルポジションセンサ42は、センサ軸23の回転を検出することによって、第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置を推定する。このため、スロットル軸21の回転とセンサ軸23の回転とが同期しなければ、スロットルポジションセンサ42の検出精度は低下する。例えば、スロットル軸21は実際には回転していないのにスロットル軸21が回転しているものとスロットルポジションセンサ42が誤った検出をしてしまう。例えば、第1スロットルバルブ12aが実際に回転していないとき、スロットルポジションセンサ42は第1スロットルバルブ12aが回転していることを示す誤った検出結果を取得してしまう。
【0131】
図9~
図11は、センサ軸規制部17の調節方法を示している。
図9は、
図8の状態からセンサ軸規制部17であるアジャストスクリュー17bをわずかに前方Fに移動させたときの様子を示している。アジャストスクリュー17bの移動に伴い、第2アーム27とセンサ軸23は第2方向G2に回転する。しかし、スロットル軸21は、停止したままである。センサ軸23が第2方向G2に回転したにも関わらずスロットル軸21が停止したままなのは、各リンク機構にクリアランスが存在するからである。
【0132】
図10は、
図9の状態からセンサ軸規制部17であるアジャストスクリュー17bを更に前方Fに移動させたときの様子を示している。アジャストスクリュー17bの移動に伴い、センサ軸23は更に第2方向G2に回転する。センサ軸23が所定の角度まで回転されると、各リンク機構が有しているクリアランスで吸収できる角度をセンサ軸23の回転角度が超える。その後、第1アーム20,スロットル軸21は回転方向E2に回転し始める。
【0133】
図11は、
図10の状態からセンサ軸規制部17であるアジャストスクリュー17bを後方Reに移動させたときの様子を示している。アジャストスクリュー17bが後方Reに移動するとき、突出部27aは、アジャストスクリュー17bに追従し、アジャストスクリュー17bと当接し続ける。センサ軸23は第1方向G1に回転する。駆動軸22は回転方向F1に回転する。スロットル軸21は回転方向E1に回転する。
【0134】
図11は、第1アーム20の第1突出部20aが全閉位置規制部15に当接した瞬間を表している。第1突出部20aが全閉位置規制部15に当接した瞬間におけるアジャストスクリュー17bの位置は、最適である。このため、第1突出部20aが全閉位置規制部15に当接した瞬間におけるアジャストスクリュー17bの位置に、アジャストスクリュー17bは固定される。すなわち、センサ軸規制部17は適切に調節される。これにより、第2ストッパ機構S2はセンサ軸23の初期角度を適切に調整する。スロットル軸21が回転を開始するのと同時にセンサ軸23が回転を始めるようにセンサ軸23の回転角度が調整されている。
【0135】
図11におけるアジャストスクリュー17bの位置は、
図6におけるアジャストスクリュー17bの位置と実質的に同じである。
【0136】
スロットル軸21が初期角度にある場合に、センサ軸23の角度は、ある範囲(-θから+θまで)をとりうるが、
図11におけるセンサ軸23の角度は、とりうる範囲のうちの第2方向G2の端(+θ)に定められている。その角度+θとは、スロットル軸21の回転に対して、リンク機構が有するクリアランスが作用する余地がない角度である。従って、
図11のようにセンサ軸規制部17を調整すれば、あたかもクリアランスが無いかのように各リンク機構が動作する。その結果、センサ軸23の回転角度は、スロットル軸21の回転角度に比例する。スロットルポジションセンサ42はスロットル軸21の回転を正確に検出する。スロットルポジションセンサ42は第1スロットルバルブ12aと第2スロットルバルブ12bの位置を正確に検出する。
【0137】
図8~
図11で説明した操作を行えば、センサ軸規制部17の調節を適切に行うことができる。つまり、
図8~
図11で説明した操作は、センサ軸規制部17を調整する手順の一例である。センサ軸規制部17を調整する手順を以下にまとめる。第1に、第1突出部20aが全閉位置規制部15に接触した状態で、アジャストスクリュー17bを前方Fに移動させる。これにより、センサ軸23を第2方向G2に回転させ、駆動軸22を回転方向F2に回転させ、スロットル軸21を回転方向E2に回転させ、第1突出部20aを全閉位置規制部15から離す。第2に、アジャストスクリュー17bを後方Reに移動させる。これにより、センサ軸23を第1方向G1に回転させ、駆動軸22を回転方向F1に回転させ、スロットル軸21を回転方向E1に回転させる。そして、第1突出部20aが全閉位置規制部15に当接した時点でアジャストスクリュー17bの移動を停止させる。そして、アジャストスクリュー17bを、その位置に固定する。
【0138】
実施例の構成においてセンサ軸規制部17の調節を適切に行えば、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bが全閉位置から開方向に移動するとき、センサ軸23の第2方向G2の回転が始まるタイミングは、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bの開方向の回転が始まるタイミングと同時となる。
【0139】
また、実施例の構成においてセンサ軸規制部17の調節を適切に行えば、第2ストッパ機構S2がセンサ軸23の第1方向G1の回転を停止させるタイミングは、第1ストッパ機構S1が第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bの閉方向の回転を停止させるタイミングと同時となる。この様なタイミングの調整は、
図8~
図11で説明したアジャストスクリュー17bの調整により容易に実現することができる。
【0140】
5.その他の構成
図4を参照する。自動二輪車1は、モータ制御部61を備える。モータ制御部61は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)で構成される。なお、モータ制御部61は、必ずしもECUにより実現される必要はなく、ECUに制御されるスロットル装置用の制御デバイスにより構成されてもよい。モータ制御部61は、
図4に示す配線を通じて駆動モータ41に接続されており、モータ制御部61は、駆動モータ41に出力される制御信号のパルス幅を変調することで駆動モータ41の回転力を制御する。駆動モータ41に回転力を発生させないときは、モータ制御部61は、制御に関するパルス信号を駆動モータ41に出力しない。駆動モータ41が回転力を発生しないとき、第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bは、全閉状態となり、第1伝達部材13,第2伝達部材14は、
図6,
図11の示す状態となる。
【0141】
運転者がアクセルを操作するとき、モータ制御部61は、デューティ比を示す制御信号を駆動モータ41に送信する。駆動モータ41は制御信号に従って回転力を発生する。ここで、デューティ比が所定値よりも低いとき、駆動モータ41の回転力は、リターンスプリング35の付勢力に抗えない。結局、スロットル軸21は、初期角度から変化しない。デューティ比が所定値以上であるとき、駆動モータ41は、リターンスプリング35の付勢力に抗って、スロットル軸21を回転方向E2に回転させる。そして、駆動モータ41の回転力と、リターンスプリング35の回転力が釣り合った時点でスロットル軸21の回転は停止する(
図7参照)。
【0142】
スロットル軸21が回転方向E2に回転すればそれだけリターンスプリング35は強い付勢をする。制御信号のデューティ比を上げていくと、スロットル軸21は、その度に回転方向F2に回転する。そして、リターンスプリング35の付勢力と駆動モータ41の回転力が釣り合ったときにスロットル軸21は停止する。そして、デューティ比が1に近づくと、第1アーム20の第2突出部20bが全開位置規制部16に当接し、スロットル軸21は、これ以上回転方向E2に回転しなくなる。このように、モータ制御部61は、制御信号のデューティ比を制御することで第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bの開度を変更させる構成となっている。
【0143】
なお、本例においては、運転者によるアクセル操作時点と第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bの回転開始時点とをより一致させることもできる。そのようにするには、アクセル操作前においてスロットル軸21が回転しない程度に低いデューティ比の制御信号を駆動モータ41に供給し続ければよい。すると、運転者によりアクセル操作がなされてデューティ比が高まったのに合わせて第1スロットルバルブ12a,第2スロットルバルブ12bが開状態となる。
【0144】
なお、スロットルポジションセンサ42の出力は、モータ制御部61に入力され、モータ制御部61のフィードバック制御に用いられる。
【0145】
6.実施形態の効果
スロットル装置10は、スロットルボディ11とスロットル軸21と第1スロットルバルブ12aを備える。スロットルボディ11は吸気通路Vを有する。スロットル軸21はスロットルボディ11に支持される。第1スロットルバルブ12aは、吸気通路Vに設けられる。第1スロットルバルブ12aは、スロットル軸21に連結される。このため、第1スロットルバルブ12aは、スロットル軸21と一体に回転する。スロットル軸21が回転するとき、第1スロットルバルブ12aは吸気通路Vを開閉する。スロットル軸21の回転角度は、第1スロットルバルブ12aの位置に相当する。
【0146】
スロットル装置10は、駆動モータ41と回転部材24と第1伝達部材13とセンサ軸23と第2伝達部材14とスロットルポジションセンサ42を備える。駆動モータ41は、駆動軸22を有する。回転部材24は、駆動軸22に連結される。回転部材24は、駆動軸22と一体に回転する。第1伝達部材13は、回転部材24の回転力をスロットル軸21に伝達する。第2伝達部材14は、回転部材24の回転力をセンサ軸23に伝達する。スロットルポジションセンサ42は、センサ軸23の回転角度を検出する。このため、駆動軸22が回転するとき、スロットル軸21とセンサ軸23は回転する。よって、スロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aの位置を適切に検出する。
【0147】
センサ軸23は、スロットル軸21と平行である。このため、センサ軸23は、スロットル軸21の延長上に配置されない。従って、スロットル軸21の延長上にスロットルポジションセンサ42は配置されない。このため、スロットル装置10は小さい。例えば、スロットル装置10はスロットル軸21の延伸方向において短い。
【0148】
上述の通り、駆動モータ41は、第1伝達部材13を介してスロットル軸21を回転させ、かつ、第2伝達部材14を介してセンサ軸23を回転させる。すなわち、スロットル軸21とセンサ軸23は駆動モータ41に並列的に連結される。このため、センサ軸23の配置の自由度は高い。例えば、センサ軸23の位置は、スロットル軸21によって制約されない。よって、スロットル軸21と平行にセンサ軸23を配置することも、容易である。
【0149】
回転部材24の回転力は、第1伝達部材13を介さずに、センサ軸23に伝達される。このため、センサ軸23の配置の自由度は高い。例えば、センサ軸23の位置は、第1伝達部材13によって制約されない。
【0150】
実施例におけるセンサ軸23の回転力は、駆動軸22から伝達されたものであり、スロットル軸21の回転に関する第1伝達部材13ではなくセンサ軸23に設けられた第2伝達部材14によったものである。このため、センサ軸23の配置の自由度は高い。
【0151】
第1伝達部材13は、第1レバー25と第1アーム20を備える。このため、第1伝達部材13が回転部材24の回転力をスロットル軸21に伝達することは、容易である。
【0152】
第2伝達部材14は、第2レバー25と第2アーム27を備える。このため、第2伝達部材14が回転部材24の回転力をセンサ軸23に伝達することは、容易である。
【0153】
センサ軸23とスロットル軸21の間の距離は、駆動軸22とスロットル軸21の間の距離以上である。このため、駆動軸22とスロットル軸21の間の距離は比較的に短い。よって、第1伝達部材13を小さくすることは、容易である。したがって、第1伝達部材13は、回転部材24の回転力をスロットル軸21に効率良く伝達する。
【0154】
センサ軸23とスロットル軸21の間の距離は、駆動軸22とセンサ軸23の間の距離以上である。このため、駆動軸22とセンサ軸23の間の距離は比較的に短い。よって、第2伝達部材14を小さくすることは、容易である。したがって、第2伝達部材14は、回転部材24の回転力をセンサ軸23に効率良く伝達する。
【0155】
さらに、センサ軸23とスロットル軸21の間の距離は比較的に長い。このため、第1伝達部材13と第2伝達部材14の間の干渉を防止することは、容易である。
【0156】
スロットルポジションセンサ42の少なくとも一部は、駆動軸22の延伸方向について駆動軸22と同一位置にある。このため、駆動軸22の延伸方向についてスロットルポジションセンサ42と駆動軸22とをオーバーラップさせることができる。よって、スロットル装置10は一層小さい。例えば、スロットル装置10はスロットル軸21の延伸方向において一層短い。
【0157】
駆動軸22の少なくとも一部は、駆動軸22の延伸方向について、第1スロットルバルブ12aと同一位置にある。スロットルポジションセンサ42の少なくとも一部は、駆動軸22の延伸方向について第1スロットルバルブ12aと同一位置にある。このため、駆動軸22の延伸方向について第1スロットルバルブ12aと駆動軸22とをオーバーラップさせることができる。駆動軸22の延伸方向について第1スロットルバルブ12aとスロットルポジションセンサ42とをオーバーラップさせることができる。よって、スロットル軸21の延伸方向におけるスロットル装置10の大きさは更に小さなものとなる。さらに、駆動軸22とスロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aの近くに配置される。すなわち、駆動軸22とスロットルポジションセンサ42は、互いに近い。したがって、第2伝達部材14を小さくすることは、容易である。
【0158】
スロットル装置10は、第2スロットルバルブ12bを備える。第1スロットルバルブ12aは、スロットル軸21に沿って、第1伝達部材13と第2スロットルバルブ12bの間に配置される。駆動軸22は、スロットル軸21の延伸方向において、第1伝達部材13と第2スロットルバルブ12bの間に配置される。スロットルポジションセンサ42の少なくとも一部は、スロットル軸21の延伸方向において、第1伝達部材13と第2スロットルバルブ12bの間に配置される。このため、駆動軸22とスロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aの近くに配置されている。すなわち、駆動軸22とスロットルポジションセンサ42は、互いに近い。よって、第2伝達部材14を小さくすることは、容易である。また、スロットル装置10は2つのスロットルバルブを備え、駆動軸22,スロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aに偏って配置されている。この様に構成することで、駆動軸22とスロットルポジションセンサ42とを機械的に接続させる機構の大きさを小さくすることができる。
【0159】
第2伝達部材14は、駆動軸22の延伸方向において、第1伝達部材13と駆動モータ41の間に設けられる。このため、例えば、第2伝達部材14の全部は、スロットル軸21の右端よりも左方、かつ、スロットル軸21の左端よりも右方に配置される。よって、スロットル装置10をスロットル軸21の延伸方向において短くすることは、容易である。
【0160】
スロットル装置10は、第1ストッパ機構S1と第2ストッパ機構S2を備える。第1スロットルバルブ12aが全閉位置にあるとき、第1ストッパ機構S1は、第1スロットルバルブ12aがさらに閉方向に回転することを禁止する。第1スロットルバルブ12aが全閉位置にあるとき、第2ストッパ機構S2は、センサ軸23がさらに第1方向G1に回転することを禁止する。このため、第1スロットルバルブ12aが全閉位置に静止している状態では、センサ軸23も静止している。言い換えれば、第1スロットルバルブ12aが全閉位置に静止している状態では、センサ軸23は回転しない。第1スロットルバルブ12aが全閉位置に静止している状態では、センサ軸23の回転角度は変化しない。よって、第1スロットルバルブ12aの位置は、センサ軸23の回転角度に正確に反映される。したがって、スロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aの位置を精度良く検出する。
【0161】
第1スロットルバルブ12aが全閉位置から開方向に移動するとき、センサ軸23の第2方向G2の回転が始まるタイミングは、第1スロットルバルブ12aの開方向の回転が始まるタイミングと同時である。全閉状態となっている第1スロットルバルブ12aが開き始めるタイミングと、センサ軸23が回転し始めるタイミングとが一致している。よって、第1スロットルバルブ12aが全閉位置から開方向に移動するときであっても、第1スロットルバルブ12aの位置は、センサ軸23の回転角度に正確に反映される。したがって、第1スロットルバルブ12aが全閉位置から開方向に移動するときであっても、スロットルポジションセンサ42は、第1スロットルバルブ12aの位置を精度良く検出する。
【0162】
第2ストッパ機構S2がセンサ軸23の第1方向G1の回転を止めるタイミングは、第1ストッパ機構S1が第1スロットルバルブ12aの閉方向の回転を止めるタイミングと同時である。第1スロットルバルブ12aが全閉状態となるタイミングと、センサ軸23が回転を停止するタイミングとが一致している。よって、第1スロットルバルブ12aが全閉位置から開方向に移動するとき、センサ軸23の第2方向G2の回転が始まるタイミングを、第1スロットルバルブ12aの開方向の回転が始まるタイミングと同時にすることは、容易である。
【0163】
第1ストッパ機構S1は、全閉位置規制部15と第1突出部20aを備える。このため、第1スロットルバルブ12aが全閉位置にあるときに第1スロットルバルブ12aがさらに閉方向に回転することを第1ストッパ機構S1が禁止することは、容易である。第2ストッパ機構S2は、センサ軸規制部17と突出部27aを備える。このため、第1スロットルバルブ12aが全閉位置にあるときにセンサ軸23がさらに第1方向G1に回転することを第2ストッパ機構S2が禁止することは、容易である。
【0164】
センサ軸規制部17はアジャストスクリュー17bを含む。このため、突出部27aがセンサ軸規制部17と接触するタイミングを、アジャストスクリュー17bは微調整する。センサ軸23がさらに第1方向に回転することをセンサ軸規制部17が禁止するタイミングを、アジャストスクリュー17bは微調整する。よって、例えば、第1スロットルバルブ12aが全閉位置から開方向に移動するとき、センサ軸23の第2方向G2の回転が始まるタイミングを、第1スロットルバルブ12aの開方向の回転が始まるタイミングと同時にすることは、容易である。例えば、第2ストッパ機構S2がセンサ軸23の第1方向G1の回転を止めるタイミングを、第1ストッパ機構S1が第1スロットルバルブ12aの閉方向の回転を止めるタイミングと同時にすることは、容易である。
【0165】
実施例の鞍乗型車両は、スロットル装置10を備える。スロットル装置10は小さい。このため、スロットル装置10を鞍乗型車両に搭載することは、容易である。
【0166】
7.変形実施形態
本発明は、上述の構成に限られず下記の様に変形実施をすることができる。
【0167】
<変形例1>
上述の実施例に係る自動二輪車1は、2気筒式の内燃機関5を有していたが、本発明はこの構成に限られない。例えば4気筒式の内燃機関を有する自動二輪車について本発明を実施することもできる。本変形例の自動二輪車は、
図12に示すような4つの吸気通路Vが直列に配列されたスロットル装置70を有する。
図12を参照すれば分かるように、本変形例のスロットル装置70は、実施例に係るスロットル装置10で構成される第1ユニット10aと、実施例に係るスロットル装置10の鏡像対称となっている第2ユニット10bから構成される。第1ユニット10aと第2ユニット10bは、幅方向Yに並ぶ。例えば、第1ユニット10aと第2ユニット10bは、各全閉位置規制部15が互いに向き合う方向に配列される。本変形例の構成は、スロットル装置70の幅が上述の実施例よりも広いので、本発明を適用したときの効果は大きくなる。
【0168】
<変形例2>
上述の変形例1では、互いに鏡像対称の第1ユニット10a,第2ユニット10bによりスロットル装置10が構成されていたが、この構成に限られない。例えば、スロットル装置70は、2つの第1ユニット10aを備えてもよい。あるいは、スロットル装置70は2つの第2ユニット10bを備えてもよい。2つの第1ユニット10aまたは2つの第2ユニット10bは、幅方向Yに配列される。この様な構成であれば、駆動モータ41が幅方向Yについて露出した構成となるので、スロットル装置10を小型にできる本発明の効果は大きなものとなる。
【0169】
<変形例3>
上述の実施例に係る回転部材24と第1伝達部材13はリンク機構を構成したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、回転部材24と第1伝達部材13はギア機構を構成してもよい。具体的には、回転部材24は第1ギアである。第1ギアは駆動軸22に連結される。第1伝達部材13は第2ギアである。第2ギアはスロットル軸21に連結される。第1ギアと第2ギアは係合する。例えば、第1ギアと第2ギアは直接にかみ合うようにしてもよい。あるいは、第1ギアと第2ギアは、中間のギアを介して間接的に係合してもよい。
【0170】
<変形例4>
上述の実施例に係る回転部材24と第2伝達部材14はリンク機構を構成したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、回転部材24と第2伝達部材14はギア機構を構成してもよい。具体的には、回転部材24は第1ギアである。第1ギアは駆動軸22に連結される。第2伝達部材14は第3ギアである。第3ギアはセンサ軸23に連結される。第1ギアと第3ギアは係合する。例えば、第1ギアと第3ギアは直接にかみ合うようにしてもよい。あるいは、第1ギアと第3ギアは、中間のギアを介して間接的に係合してもよい。
【0171】
<変形例5>
上述の実施例に係るスロットル装置10は、自動二輪車1に搭載されていたが、本発明はこの構成に限られない。本発明は、その他の鞍乗型車両にも適用できる。例えば、実施例では、前輪3の数は1つであった。前輪3の数は、これに限られない。例えば、前輪3の数は2つであってもよい。例えば、実施例では、後輪4の数は1つであった。後輪4の数もこれに限られない。後輪4の数は2つであってもよい。