(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007123
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】換気装置、開口部装置、換気レジスター、換気システム及び換気システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/013 20060101AFI20250109BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20250109BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20250109BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20250109BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20250109BHJP
F24F 13/04 20060101ALI20250109BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20250109BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20250109BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F24F7/013 101C
F24F7/08 Z
F24F7/10 Z
F24F7/013 101A
F24F7/007 B
F24F11/56
F24F13/04
F24F11/46
F24F11/77
E04B1/70 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108314
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 慎吾
【テーマコード(参考)】
2E001
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001FA04
2E001ND11
3L056BA03
3L056BE01
3L260BA09
3L260BA42
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA17
3L260CA32
3L260EA08
3L260FA02
3L260FA15
3L260FC01
3L260JA18
(57)【要約】
【課題】空調装置と好適に併用することが可能な換気装置を提供する。
【解決手段】屋外から屋内へ空気を流通させる流路を構成する第一流通部20と、屋内から屋外へ空気を流通させる流路を構成する第二流通部30と、第一流通部20における屋外から屋内への空気に屋内からの空気を混合させる流路を構成する混合流通部60と、第一流通部20と第二流通部30の少なくとも一方と混合流通部60のそれぞれの流路の空気を流通させる送風機11,12と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外から屋内へ空気を流通させる流路を構成する第一流通部と、
屋内から屋外へ空気を流通させる流路を構成する第二流通部と、
前記第一流通部における屋外から屋内への空気に屋内からの空気を混合させる流路を構成する混合流通部と、
前記第一流通部と前記第二流通部の少なくとも一方と前記混合流通部のそれぞれの流路の空気を流通させる送風機と、
を備えることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
前記第一流通部と前記第二流通部のそれぞれに前記送風機を設けたことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記混合流通部の流路は、前記第一流通部又は前記第二流通部に設けられた前記送風機により空気の流通が行われることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
前記混合流通部の流路の空気の流通を止める内気混合停止機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項5】
無線通信装置と、
前記無線通信装置が受信した外部からの指令に基づいて前記送風機の動作制御を行う換気制御装置とを備え、
外部と通信可能であることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項6】
無線通信装置と、
前記無線通信装置が受信した外部からの指令に基づいて前記送風機と前記内気混合停止機構の動作制御を行う換気制御装置とを備え、
外部と通信可能であることを特徴とする請求項4に記載の換気装置。
【請求項7】
建造物の躯体の開口部に設ける開口部装置であって、
前記開口部に取り付けられる枠体の内側に設けられた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の換気装置を備える開口部装置。
【請求項8】
建造物の躯体の貫通孔の内部に、前記第一流通部の流路及び前記第二流通部の流路の少なくとも一部が配置された請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の換気装置を備える換気レジスター。
【請求項9】
請求項6に記載の換気装置と、
建造物の室内の温度を調節する空調装置と、
建造物の室外の温度を検出する外部温度検出装置と、
建造物の室内の温度を検出する内部温度検出装置と、
前記換気装置、前記空調装置、前記外部温度検出装置及び前記内部温度検出装置と通信可能な制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記外部温度検出装置と前記内部温度検出装置により室外と室内の温度差を求め、当該温度差に応じて、前記空調装置を停止状態とし、前記混合流通部の流路の空気の流通を止めた状態で前記換気装置を作動させることを特徴とする換気システム。
【請求項10】
人が指令を入力する指令入力装置を備え、
前記制御装置は、前記温度差と前記指令入力装置から実行の指令とに応じて、前記空調装置を停止状態とし、前記混合流通部の流路の空気の流通を止めた状態で前記換気装置を作動させることを特徴とする請求項9に記載の換気システム。
【請求項11】
前記建造物の室内の人間を検出する人感検出装置を備え、
前記制御装置は、前記温度差と前記人感検出装置による室内の人間の存在の有無とに応じて、前記空調装置を停止状態とし、前記混合流通部の流路の空気の流通を止めた状態で前記換気装置を作動させることを特徴とする請求項9に記載の換気システム。
【請求項12】
請求項5又は請求項6に記載の換気装置と、
室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出装置と、
前記換気装置及び前記二酸化炭素濃度検出装置と通信可能な制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記二酸化炭素濃度検出装置により検出された二酸化炭素濃度に応じて前記換気装置を作動させることを特徴とする換気システム。
【請求項13】
人が指令を入力する指令入力装置を備え、
前記制御装置は、前記二酸化炭素濃度検出装置により検出された二酸化炭素濃度と前記指令入力装置から実行の指令とに応じて、前記換気装置を作動させることを特徴とする請求項12に記載の換気システム。
【請求項14】
室内の人間を検出する人感検出装置を備え、
前記制御装置は、前記二酸化炭素濃度検出装置により検出された二酸化炭素濃度と前記人感検出装置による室内の人間の存在の有無とに応じて、前記換気装置を作動させることを特徴とする請求項12に記載の換気システム。
【請求項15】
請求項6に記載の換気装置と、
建造物の室内の温度を調節する空調装置と、
建造物の室外の温度を検出する外部温度検出装置と、
建造物の室内の温度を検出する内部温度検出装置と、
を備える換気システムの制御方法であって、
前記外部温度検出装置と前記内部温度検出装置により室外と室内の温度差を求め、当該温度差に応じて、前記空調装置を停止状態とし、前記混合流通部の流路の空気の流通を止めた状態で前記換気装置を作動させる制御を行うことを特徴とする換気システムの制御方法。
【請求項16】
前記換気システムは、人が指令を入力する指令入力装置を備え、
前記温度差と前記指令入力装置から実行の指令とに応じて、前記空調装置を停止状態とし、前記混合流通部の流路の空気の流通を止めた状態で前記換気装置を作動させる制御を行うことを特徴とする請求項15に記載の換気システムの制御方法。
【請求項17】
前記換気システムは、室内の人間を検出する人感検出装置を備え、
前記温度差と前記人感検出装置による室内の人間の存在の有無とに応じて、前記空調装置を停止状態とし、前記混合流通部の流路の空気の流通を止めた状態で前記換気装置を作動させる制御を行うことを特徴とする請求項15に記載の換気システムの制御方法。
【請求項18】
請求項5又は請求項6に記載の換気装置と、
室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出装置と、
を備える換気システムの制御方法であって、
前記二酸化炭素濃度検出装置により検出された二酸化炭素濃度に応じて前記換気装置を作動させる制御を行うことを特徴とする換気システムの制御方法。
【請求項19】
前記換気システムは、人が指令を入力する指令入力装置を備え、
前記二酸化炭素濃度検出装置により検出された二酸化炭素濃度と前記指令入力装置から実行の指令とに応じて、前記換気装置を作動させる制御を行うことを特徴とする請求項18に記載の換気システムの制御方法。
【請求項20】
前記換気システムは、室内の人間を検出する人感検出装置を備え、
前記二酸化炭素濃度検出装置により検出された二酸化炭素濃度と前記人感検出装置による室内の人間の存在の有無とに応じて、前記換気装置を作動させる制御を行うことを特徴とする請求項18に記載の換気システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置、開口部装置、換気レジスター、換気システム及び換気システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内の冷却、空気の入れ替え、湿度の調節等を目的とする窓開け換気を行って室内環境の改善が図られていた。
例えば、特許文献1に示す換気用窓は、下框側が外側に回動して開放される障子を備え、無風状態で開度が最大となり、室内側に風を受けると開度が低減する構造を有する。このように、風量に応じて室内に取り込まれる空気量を調節して、好適な窓開け換気を行う換気用窓が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、空調装置の普及により室内温度が快適に維持されることが一般化している。これに対して、窓開け換気は、室内の空気の清浄化、二酸化炭素濃度の低減等の効果が得られることから、空調装置がある環境下でも、依然として必要性が高い。
しかしながら、上記従来の換気用窓は、空調装置の空調効率の低減を招き、省エネルギーの観点から空調装置と好適に併用することが困難であった。
【0005】
本発明は、空調装置と好適に併用することが可能な換気装置、開口部装置、換気レジスター、換気システム及び換気システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、換気装置において、
屋外から屋内へ空気を流通させる流路を構成する第一流通部と、
屋内から屋外へ空気を流通させる流路を構成する第二流通部と、
前記第一流通部における屋外から屋内への空気に屋内からの空気を混合させる流路を構成する混合流通部と、
前記第一流通部と前記第二流通部の少なくとも一方と前記混合流通部のそれぞれの流路の空気を流通させる送風機と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、開口部装置において、
建造物の躯体の開口部に設けられる開口部装置であって、
前記開口部に取り付けられる枠体の内側に設けられた上記換気装置を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、換気レジスターにおいて、
建造物の躯体の貫通孔の内部に、前記第一流通部の流路及び前記第二流通部の流路の少なくとも一部が配置された上記換気装置を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、換気システムにおいて、
無線通信装置と、無線通信装置が受信した外部からの指令に基づいて前記熱交換回避機構及び前記送風機の動作制御を行う換気制御装置とを備える上記換気装置と、
建造物の室内の温度を調節する空調装置と、
前記建造物の室外の温度を検出する外部温度検出装置と、
前記建造物の室内の温度を検出する内部温度検出装置と、
前記換気装置、前記空調装置、前記外部温度検出装置及び前記内部温度検出装置と通信可能な制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記外部温度検出装置と前記内部温度検出装置により室外と室内の温度差を求め、当該温度差に応じて、前記空調装置を停止状態とし、前記混合流通部の流路の空気の流通を止めた状態で前記換気装置を作動させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、換気システムにおいて、
上記換気装置と、
室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出装置と、
前記換気装置及び前記二酸化炭素濃度検出装置と通信可能な制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記二酸化炭素濃度検出装置により検出された二酸化炭素濃度に応じて前記換気装置を作動させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、
無線通信装置と、無線通信装置が受信した外部からの指令に基づいて前記熱交換回避機構及び前記送風機の動作制御を行う換気制御装置とを備える上記換気装置と、
建造物の室内の温度を調節する空調装置と、
前記建造物の室外の温度を検出する外部温度検出装置と、
前記建造物の室内の温度を検出する内部温度検出装置と、
を備える換気システムの制御方法であって、
前記外部温度検出装置と前記内部温度検出装置により室外と室内の温度差を求め、当該温度差に応じて、前記空調装置を停止状態とし、前記混合流通部の流路の空気の流通を止めた状態で前記換気装置を作動させる制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、
上記換気装置と、
室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出装置と、
を備える換気システムの制御方法であって、
前記二酸化炭素濃度検出装置により検出された二酸化炭素濃度に応じて前記換気装置を作動させる制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は、省エネルギーの観点により、空調装置と好適に併用することが可能な換気装置、開口部装置、換気レジスター、換気システム及び換気システムの制御方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の換気レジスターにおける、前後方向と鉛直上下方向に沿った面に沿った断面図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿った換気レジスターの断面図である。
【
図3】第一流通部に送風機を設けた換気レジスターにおける、内外方向と鉛直上下方向に沿った面に沿った断面図である。
【
図4】
図3のB-B線に沿った換気レジスターの断面図である。
【
図5】第二流通部に送風機を設けた換気レジスターにおける、前後方向と鉛直上下方向に沿った面に沿った断面図である。
【
図6】
図5のC-C線に沿った換気レジスターの断面図である。
【
図9】
図8のD-D線に沿った換気装置の断面図である。
【
図10】換気システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図11】内気混合停止機構を搭載した換気レジスターの前後方向及び上下方向に沿った面の断面図を示している。
【
図12】内気混合停止機構を搭載し、第一流通部に送風機を設けた換気レジスターの前後方向及び上下方向に沿った面の断面図を示している。
【
図13】内気混合停止機構を搭載し、第二流通部に送風機を設けた換気レジスターの前後方向及び上下方向に沿った面の断面図を示している。
【
図14】内気混合停止機構を搭載した
図7の換気装置における
図8のD-D線に沿った面の断面図を示している。
【
図15】換気システムの換気装置又は換気レジスターの概略構成を示すブロック図である。
【
図16】換気システムにおける外気冷房制御の概念図である。
【
図17】換気システムにおける外気冷房制御のフローチャートである。
【
図18】換気システムにおけるCO
2濃度調整制御の概念図である。
【
図19】換気システムにおけるCO
2濃度調整制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
本発明に係る換気装置の第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明するそれぞれの実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明が下記に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0016】
以下に述べる換気装置は、建物の躯体の壁Wを室内側から室外側まで貫通した換気用の貫通孔Bを利用して設置した換気レジスターからなる。
また、以下の実施形態では、戸建て又は集合住宅からなる住居を構成する建物に適用する場合を例示する。但し、本実施形態は、住居に限定されず、オフィス、商業施設、病院、公共施設等、人間が一日の内の一部の時間しか滞在しない建物にも適用可能である。
【0017】
図1は換気レジスター100における、壁Wに垂直であって鉛直上下方向に沿った面に沿った断面図、
図2は
図1のA-A線に沿った断面図である。
躯体の壁Wは、鉛直上下方向に沿っており、貫通孔Bは、壁Wに対して垂直に貫通形成されている。
【0018】
以下の説明では、鉛直上下方向の上側を「上」とし、下側を「下」とする。また、壁Wに垂直な方向であって建物の内側となる方向を「後」、建物の外側となる方向を「前」とする。さらに、前側を向いた状態で左手側を「左」、右手側を「右」とする。
【0019】
換気レジスター100は、屋外から屋内へ空気を流通させる流路を構成する第一流通部20と、屋内から屋外へ空気を流通させる流路を構成する第二流通部30と、第一流通部20における屋外から屋内への空気に屋内からの空気を混合させる流路を構成する混合流通部60と、第一流通部20と混合流通部60のそれぞれの流路の空気を両方とも流通させる送風機11と、第二流通部30の流路の空気を流通させる送風機12とを備えている。
【0020】
[第一流通部]
前述した貫通孔Bは、前後方向に沿って内径が一様である断面円形の貫通孔である。
第一流通部20は、貫通孔Bを前後方向に沿って上下に二分した領域の上半分を通る断面半円状の管状体からなる主管路21を有する。
主管路21の室内側の端部は、室内管路22と連結され、主管路21の室外側の端部は、室外管路23と連結されている。
【0021】
室内管路22は、下端部が主管路21に連結されている。室内管路22は、上下方向に沿って一様に矩形となる断面矩形の管状体である。室内管路22の内側の流路は、主管路21の内側の流路と連通している。
室内管路22は、壁Wの屋内面に平行且つ接しており、屋内面に沿って扁平である。室内管路22の内部は上端部近傍で後述する混合流通部60の内部と合流し、室内管路22及び混合流通部60の上端部に、これらが共用する室外の空気の排出口221が形成されている。
【0022】
室外管路23は、上端部が上方に向かって開放され、下端部が主管路21に連結されている。室外管路23は、上下方向に沿って一様に矩形となる断面矩形の管状体である。室外管路23の内側の流路は、主管路21の内側の流路と連通している。
室外管路23は、壁Wの屋外面に平行且つ接しており、屋外面に沿って扁平である。室外管路23の上端部は、室外の空気の取込口231となっている。
なお、取込口231の周囲には、雨水の進入を防ぐためのカバー等を設けることが好ましい。
【0023】
第一流通部20は、上記の構成により、室外管路23内の流路と主管路21内の流路と室内管路22内の流路とが一体的に連通し、屋外から屋内へ空気を流通させる流路を構成する。
【0024】
[第二流通部]
第二流通部30は、貫通孔Bを前後方向に沿って上下に二分した領域の下半分を通る断面半円状の管状体からなる主管路31を有する。
主管路31の室内側の端部は、室内管路32と連結され、主管路31の室外側の端部は、室外管路33と連結されている。
【0025】
室内管路32は、上端部が主管路31に連結されている。室内管路32は、上下方向に沿って一様に矩形となる断面矩形の管状体である。室内管路32の内側の流路は、主管路31の内側の流路と連通している。
室内管路32は、壁Wの屋内面に平行且つ接しており、屋内面に沿って扁平である。室内管路32の内部は、下端部近傍で後述する混合流通部60の内部と合流し、室内管路32及び混合流通部60の下端部には、これらが共用する室内の空気の取込口321が形成されている。
【0026】
室外管路33は、下端部が下方に向かって開放され、上端部が主管路31に連結されている。室外管路33は、上下方向に沿って一様に矩形となる断面矩形の管状体である。室外管路33の内側の流路は、主管路31の内側の流路と連通している。
室外管路33は、壁Wの屋外面に平行且つ接しており、屋外面に沿って扁平である。室外管路33の下端部は、室内の空気の排出口331となっている。
【0027】
第二流通部30は、上記の構成により、室内管路32内の流路と主管路31内の流路と室外管路33内の流路とが一体的に連通し、屋内から屋外へ空気を流通させる流路を構成する。
【0028】
[混合流通部]
上記第一流通部20の室内管路22と第二流通部30の室内管路32は、左右方向の幅と前後方向の厚さが等しい。そして、室内管路22の下端部と室内管路32の下端部とが突き合わされた状態で、上下方向から見て重合した状態で一体化されている。
混合流通部60は、上記のように上下方向に並んで一体化された室内管路22及び室内管路32の上下方向の全長に渡って、これらの後面側に設けられた管路からなる。
そして、混合流通部60は、室内管路22及び室内管路32と、左右方向の幅と前後方向の厚さが等しく、全長に渡って断面形状および寸法が一定の扁平な管路を構成している。
【0029】
前述したように、混合流通部60の上端部近傍の内部は、室内管路22の上端部近傍の内部と合流し、排出口221を共用する。
また、前述したように、混合流通部60の下端部近傍の内部は、室内管路32の下端部近傍の内部と合流し、取込口321を共用する。
混合流通部60は、後述する送風機11によって、下端部の取込口321から室内の空気を取り込み、取り込んだ室内の空気を、上端部において、第一流通部20内を流通する室外の空気に混合させることができる。
【0030】
第一流通部20、第二流通部30及び混合流通部60は、必要強度を有し、耐候性を有する材料、例えば、樹脂や金属等によって形成されている。
なお、第一流通部20の主管路21、室内管路22及び室外管路23は、全てを別部材から構成し、各々を接合、接着、ネジ止め等の手法によって一体的に連結してもよい。同様に、第二流通部30の主管路31、室内管路32及び室外管路33は、全てを別部材から構成し、各々を接合、接着、ネジ止め等の手法によって一体的に連結してもよい。
【0031】
第一流通部20の主管路21と第二流通部30の主管路31とは、一本の円管から形成し、内部を上下に二分する隔壁を有する構成としてもよい。
第一流通部20の室内管路22と第二流通部30の室内管路32とは、互いの対向端部を突き合せた状態で一体的に形成してもよい。この場合、互いの対向端部を突き合せて一体化した室内管路22及び室内管路32の後面側に、さらに、混合流通部60を一体的に形成してもよい。
同様に、第一流通部20の室外管路23と第二流通部30の室外管路33とは、互いの対向端部を連結して一体的に形成し、内部に隔壁を有する構成としてもよい。
さらに、一体化された主管路21,31と一体化された室内管路22,32(さらには、混合流通部60)と一体化された室外管路23,33とは、各々を接合、接着、ネジ止め等の手法によって一体的に連結してもよい。
【0032】
また、室内管路22,32と室外管路23,33と混合流通部60の断面形状について、いずれも前後方向よりも左右方向に幅の広い矩形を例示したが、これに限定されない。但し、断面形状が他の形状である場合でも、前後方向よりも左右方向に幅の広い形状とすることが好ましい。これにより、室内管路22,32及び混合流通部60と室外管路23,33とをそれぞれ、壁Wの屋内面と屋外面とに沿わせて配置することができ、壁Wの屋内面又は屋外面からの突出量を低減することができるからである。
また、室内管路22,32と混合流通部60とは、前後に並ぶ配置としているが、左右に並ぶ配置としてもよい。その場合には、室内管路22,32及び混合流通部60の前後厚さをより薄くすることが可能となる。
【0033】
[送風機]
第一流通部20と第二流通部30とには、それぞれ送風機11,12が設けられている。
送風機11,12は、いずれも同型の送風機であり、ケーシングと羽根とモータとを有する。
送風機11,12は、例えば、ブロアファンからなり、ケーシングの下端部から空気の吸引を行い、上端部から空気の噴出を行う。なお、設置スペースが確保可能である場合や、ケーシングの構造によって設置可能であれば、他の形式のファン(軸流ファン、遠心ファン等)を使用してもよい。
【0034】
送風機11は、空気の吸引口が、第一流通部20の室内管路22の上端部の内側と混合流通部60の上端部の内側において、第一流通部20の室内管路22と混合流通部60とに跨るように取り付けられている。
従って、送風機11単独で、第一流通部20と混合流通部60の両方に空気を流通させることができる。
送風機11は、室内管路22の管壁と混合流通部60の管壁とに対して、隙間が生じないように、シール材を介挿することが好ましい。
なお、送風機11は、混合流通部60の流通を行う他の送風機が存在する場合には、室外管路23側のみに接続して配置してもよい。また、送風機11は、室内管路22や室外管路23の外側近傍に配置してもよい。
【0035】
送風機12は、第二流通部30の室内管路32における取込口321より内側において、室内管路32側のみに室内の空気を引き込むように配置されている。従って、この送風機12は、混合流通部60に対する空気の流通には寄与しない。
送風機12は、第二流通部30を通じて室内側から室外側へ空気を流通させる。送風機12は、室内管路32の管壁に対して、隙間が生じないように、シール材を介挿することが好ましい。
なお、送風機12は、室外管路33側に配置してもよいし、室内管路32や室外管路33の外側近傍に配置してもよい。
【0036】
[換気レジスターの動作]
建物の室内に空調装置が設置されており、空調装置の冷房機能により室内の空気が室外の空気よりも低温である状態で、換気レジスター100による換気を行う場合について説明する。
【0037】
第一流通部20の送風機11と第二流通部30の送風機12とを駆動させる。
送風機12により、第二流通部30の室内管路32の取込口321から室内の空気が取り込まれる。室内の空気は、主管路31から室外管路33を通って排出口331から室外に排出される。
【0038】
一方、送風機11により、第一流通部20の室外管路23の取込口231から室外の空気が取り込まれると同時に混合流通部60から室内の空気も取り込まれる。室外の空気は、主管路21から室内管路22を通って排出口221の送風機11に吸い込まれる。また、室内の空気は、混合流通部60の下端部から上端部に向かい、送風機11に吸い込まれる。
これにより、室外の空気と室内の空気とが混合されて、排出口221から室内に排出される。
この際、室外の空気が室内よりも高温である場合でも、低温の室内の空気と混合されるので、室外の空気の温度を下げた状態で取り込むことができる。
【0039】
換気レジスター100は、空調装置の冷房使用中でも、室外の空気の温度を低下させて換気を行うので、室内の温度上昇を抑えながら換気を行うことができる。
なお、空調装置の暖房機能により室内の空気が室外の空気よりも温暖である状態で、換気レジスター100による換気を行う場合も同様である。即ち、空調装置の暖房使用中でも、混合流通部60によって室外の空気の温度を高めて換気を行うので、室内の温度低下を抑えながら換気を行うことができる。
【0040】
なお、第一流通部20における室外の空気に対する室内の空気の混合比率は、混合流通部60の断面積、取込口321における混合流通部60側の割り当て開口面積、送風機11の空気の吸引口の混合流通部60側の割り当て開口面積等の設計値によって調整することができる。
また、混合流通部60の流路の全長におけるいずれかの位置に、開度を調節可能な絞り装置を設け、これによって室外の空気に対する室内の空気の混合比率を調節してもよい。
【0041】
[換気レジスターの技術的効果]
このように、換気レジスター100は、第一流通部20における屋外から屋内への空気に屋内からの空気を混合させる流路を構成する混合流通部60を備えている。
従って、換気レジスター100は、室内の空気と室外の空気の温度差の影響を抑制して室内と室外の換気を行うことが可能であり、空調装置の冷房や暖房の効率低下を抑制しつつ換気を行うことが可能である。
【0042】
また、換気レジスター100は、第一流通部20と第二流通部30のそれぞれに送風機11,12を設けているので、換気の対象となる部屋の気密度が低い場合であっても、良好な換気を行うことが可能となる。
また、混合流通部60の流路は、第一流通部20に設けられた送風機11により空気の流通が行われるので、送風機の必要個体数を低減することができ、装置の部品点数低減、製造コストの低減、装置の小型化及び軽量化、騒音の低減、使用電力の低減を図ることが可能となる。
【0043】
また、換気レジスター100は、レジスターの形態をとっているので、建物の躯体の壁Wを貫通した換気用の貫通孔Bを利用して設置することが可能である。
また、換気レジスター100は、第一及び第二流通部20,30の主管路21,31が、貫通孔B内を二分するように配置されているので、一つの貫通孔B内を室内側の流路と室外側の流路とに分けて利用することができる。
また、レジスターとして壁Wに開けられた既存の貫通孔Bを利用して設置することにより、簡便に設置工事することが可能となる。
【0044】
さらに、第一流通部20の室内管路22と第二流通部30の室内管路32と混合流通部60とは、外部から見て一体化された形態であって、室内管路22,32が壁Wに接すると共に全体的に前後方向に扁平な形状となっている。
同様に、第一流通部20の室外管路23と第二流通部30の室外管路33とは、外部から見て一体化された形態であって、壁Wに接すると共に前後方向に扁平な形状となっている。
従って、換気レジスター100を躯体の壁Wに設置した場合に、壁Wの内面及び外面から突出せず、周囲の邪魔にならないようにすることができる。
【0045】
[換気レジスターの他の形態]
建物の室内が一定の密閉性を有する場合には、換気レジスター100は、送風機11と送風機12のいずれか一方のみを有する構成としてもよい。
図3は送風機11のみを有する換気レジスター100における、壁Wに垂直であって鉛直上下方向に沿った面に沿った断面図、
図4は
図3のB-B線に沿った断面図である。
図5は送風機12のみを有する換気レジスター100における、壁Wに垂直であって鉛直上下方向に沿った面に沿った断面図、
図6は
図5のC-C線に沿った断面図である。
【0046】
送風機11のみを有する換気レジスター100の場合、送風機11の駆動によって、第一流通部20を通じて室外の空気が室内に送られる。室内は、密閉性によって気圧が上がり、第二流通部30を通じて室内の空気を室外に送り出すことができる。また、送風機11によって、混合流通部60から室内の空気が取り込まれて、第一流通部20から取り込まれた室外の空気と混合されて室内に排出される。
これによって、
図1及び
図2に示す換気レジスター100と同様に、空調装置の冷房や暖房の効率低下を抑制しつつ好適に換気を行うことが可能である。
【0047】
送風機12のみを有する換気レジスター100の場合、
図5に示すように、送風機12は、空気の吸引口が室内の空気の取込口321の全体から空気を取り込むように設置する。送風機12の噴出口が、第二流通部30の室内管路32と混合流通部60とに跨るように取り付けられる。
これにより、送風機12単独で、第二流通部30と混合流通部60の両方に空気を流通させることができる。
この場合、送風機12は、室内管路32の管壁と混合流通部60の管壁とに対して、隙間が生じないように、シール材を介挿することが好ましい。
上記構成において、送風機12の駆動によって、第二流通部30を通じて室内の空気を室外に送り出す。室内は、密閉性によって気圧が下がり、第一流通部20を通じて室外の空気を室内に取り込むことができる。また、送風機12によって、混合流通部60から室内の空気が取り込まれて、第一流通部20から取り込まれた室外の空気と混合されて室内に排出される。
これによって、
図1及び
図2に示す換気レジスター100と同様に、空調装置の冷房や暖房の効率低下を抑制しつつ好適に換気を行うことが可能である。
【0048】
[第2実施形態]
本発明に係る換気装置の第2実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、建物の躯体の開口部に設けられた開口部装置1000Bに組み込まれた換気装置100Bを例示する。
また、以下の実施形態も、戸建て又は集合住宅からなる住居を構成する建物に適用する場合を例示する。但し、本実施形態は、住居に限定されないことは第1実施形態と同様である。
【0049】
図7は開口部装置1000Bを前方(建物の外側)から見た正面図である。
本実施形態の場合、鉛直上下方向をそれぞれ「上」と「下」とし、建物の内側となる方向を「後」、建物の外側となる方向を「前」とし、前側を向いた状態で左手側を「左」、右手側を「右」とする。
【0050】
本実施形態の開口部装置1000Bは、矩形の枠体1100Bと、枠体1100Bの内側上部に設けられた横枠としての無目1001Bと、枠体1100Bの内側であって無目1001Bの下側に固定的に保持されたガラスパネル1002Bと、換気装置100Bとを有する。
この開口部装置1000Bは、ガラスパネル1002Bが固定状態で嵌め込められた、いわゆるフィックス窓である場合を例示する。但し、開口部装置1000Bは、枠体1100Bを框体とする開閉可能な障子であってもよい。このとき、無目1001Bは中桟として機能する。
【0051】
開口部装置1000Bの枠体1100Bの内側であって無目1001Bの上側且つ右側には、換気装置100Bが配置されている。
図8は換気装置100Bの背面図、
図9は
図8のD-D線に沿った断面図である。
【0052】
換気装置100Bは、枠体1100Bの内側であって無目1001Bの上側の右側領域内の上段に、屋外から屋内へ空気を流通させる流路を構成する第一流通部20Bが配置され、同領域内の下段に、屋内から屋外へ空気を流通させる流路を構成する第二流通部30Bが配置されている。また、上記第一流通部20と第二流通部30の間には、混合流通部60Bが設けられている。
さらに、第一流通部20B内には送風機11Bが設けられ、第二流通部30B内には送風機12Bが設けられている。
【0053】
[第一流通部]
上述した無目1001Bは、
図9に示すように、略矩形の閉断面形状の型材からなる。無目1001Bの前側であって幾分上側には、前側カバー1003Bが設けられている。さらに、無目1001Bの後側であって幾分上側には、後側カバー1004Bが設けられている。
これら、枠体1100B、無目1001B、前側カバー1003B及び後側カバー1004Bは、金属材料、例えば、アルミニウム合金の押し出し成型材によって構成されている。
【0054】
枠体1100Bは、正面視長方形状の枠であって、左右方向に沿った上側フレーム及び下側フレームと、上下方向に沿った左側フレーム及び右側フレームを有する。
一方、前側カバー1003Bの後面には、当該後面から後方に延出された板状の仕切り部1003Baが設けられている。
枠体1100Bの上側フレーム1100Baと前側カバー1003Bの仕切り部1003Baの間となる領域が、第一流通部20Bとなっている。
【0055】
前側カバー1003Bの上端部には、前方に向かって開放された開口からなる室外の空気の取込口231Bが形成されている。この取込口231Bの外側には、雨水の進入を防ぐためのカバー等を設けることが好ましい。
また、後側カバー1004Bの上端部には、後方に向かって開放された開口からなる室外の空気の排出口221B形成されている。
【0056】
送風機11Bは、第一流通部20B内において、噴出口111Bが排出口221Bから第一流通部20B内の空気を室内側に噴出するように配置されている。送風機11Bの噴出口111Bと排出口221Bとの間には、隙間が生じないように、シール材を介挿することが好ましい。送風機11Bは、ブロアファンからなるが、他の形式のファン(軸流ファン、遠心ファン等)を使用してもよい。
【0057】
送風機11Bは、枠体1100Bの上側フレーム1100Baと前側カバー1003Bの仕切り部1003Baの間の領域内の空気を吸引し、排出口221Bから室内に排出する。従って、送風機11Bの作動によって、取込口231Bからは室外の空気が取り込まれ、第一流通部20B内を流通して排出口221Bから室内に排出される。
【0058】
[第二流通部]
第二流通部30は、無目1001Bの後側の流路と上側の流路と前側の流路とを有し、これらが連なって、室内の空気の取込口321Bから排出口331Bに至るまでの流路を構成している。
即ち、無目1001Bの後面と後側カバー1004Bの前面との間には、無目1001Bの後側の流路が形成されている。後側カバー1004Bの下端部と無目1001Bの後面との間には、室内の空気の取込口321Bが形成されている。
無目1001Bの上面と前側カバー1003Bの仕切り部1003Baの下面との間には、無目1001Bの上側の流路が形成されている。
無目1001Bの前面と前側カバー1003Bの後面との間には、無目1001Bの前側の流路が形成されている。前側カバー1003Bの下端部と無目1001Bの前面との間には、室内の空気の排出口331Bが形成されている。
【0059】
送風機12Bは、第二流通部30Bの無目1001Bの後側の流路内に配置されている。送風機12Bは、ブロアファンからなるが、他の形式のファン(軸流ファン、遠心ファン等)を使用してもよい。送風機11B,12Bへの給電方式は、特定の給電方式に限定されるものではない、直接配線による給電、ワイヤレス給電、マグネット接続による給電など、適宜用いられてよい。ワイヤレス給電、マグネット接続による給電は、特に、枠体1100Bを框体とする開閉可能な障子を利用する場合に好適である。
送風機12Bの噴出口121Bは、第二流通部30Bの無目1001Bの後側の流路から無目1001Bの上側の流路側に送るように配置されている。送風機12Bの噴出口121Bと第二流通部30Bの内壁との間には、隙間が生じないように、シール材を介挿することが好ましい。
【0060】
送風機12Bは、無目1001Bの後側の流路内の空気を吸引し、無目1001Bの上側の流路内に排出する。従って、送風機12Bの作動によって、取込口321Bからは室内の空気が取り込まれ、第二流通部30B内を流通して排出口331Bから室外に排出される。
【0061】
[混合流通部]
前側カバー1003Bの仕切り部1003Baの後端部と後側カバー1004Bの前面との間には、開口が形成されている。この開口を含む領域は、無目1001Bの周囲に形成された第二流通部30Bの流路と、枠体1100Bの上側フレーム1100Baと前側カバー1003Bの仕切り部1003Baの間に形成された第一流通部20Bとを連通する混合流通部60Bを構成している。
この混合流通部60Bは、その配置により、第一流通部20Bを流通する室外の空気に、第二流通部30Bが取り込んだ室内の空気の一部を混合させることができる。
【0062】
[換気装置の動作]
建物の室内に空調装置が設置されており、空調装置の冷房機能により室内の空気が室外の空気よりも低温である状態で、換気装置100Bによる換気を行う場合について説明する。
【0063】
第一流通部20Bの送風機11Bと第二流通部30Bの送風機12Bとを駆動させる。
図9に示すように、送風機11Bにより、第一流通部20Bの取込口231Bから室外の空気が取り込まれ、第一流通部20Bの流路を通って排出口221Bから室内に排出される。
一方、送風機12Bにより、第二流通部30Bの取込口321Bから室内の空気が取り込まれ、第二流通部30Bの流路を通って排出口331Bから室外に排出される。
この際、取込口321Bから取り込まれた室内の空気の一部は、混合流通部60Bを通じて第一流通部20B内の流路に流れ込み、送風機11Bにより、第一流通部20Bの取込口231Bから取り込まれた室外の空気と混合されて排出口221Bから室内に排出される。
【0064】
このように、換気装置100Bは、空調装置の冷房使用中でも、室外の空気を室内の空気と混合して取り込むので、室内の温度上昇を抑えながら換気を行うことができる。
なお、換気装置100Bの場合にも、空調装置の暖房中に換気を行う場合に、室内の温度低下を抑えながら換気を行うことができる。
【0065】
なお、第一流通部20Bにおける室外の空気に対する室内の空気の混合比率は、開口からなる混合流通部60Bの開口幅の設計値によって調整することができる。
また、混合流通部60Bの開口に、開度を調節可能な絞り装置を設け、これによって室外の空気に対する室内の空気の混合比率を調節してもよい。
【0066】
[換気装置の技術的効果]
このように、換気装置100Bは、第一流通部20Bにおける屋外から屋内への空気に屋内からの空気を混合させる流路を構成する混合流通部60Bを備えているので、室外の空気に室内の空気を混合させて取り込みながら換気を行うことができる。
従って、換気装置100Bは、室内の空気と室外の空気の温度差の影響を抑制して室内と室外の換気を行うことが可能であり、空調装置の冷房や暖房の効率低下を抑制しつつ換気を行うことが可能である。
【0067】
また、換気装置100Bの場合も、第一流通部20Bと第二流通部30Bのそれぞれに送風機11B,12Bを設けているので、換気の対象となる部屋の気密度が低い場合であっても、良好な換気を行うことが可能となる。
また、混合流通部60Bの流路は、第二流通部30Bに設けられた送風機12Bにより空気の流通が行われるので、送風機の必要個体数を低減することができ、装置の部品点数低減、製造コストの低減、装置の小型化及び軽量化、騒音の低減、使用電力の低減を図ることが可能となる。
【0068】
また、換気装置100Bは、開口部装置1000Bの枠体1100Bの内側に配置されるので、換気装置100Bの設置スペースの確保が容易となる。また、開口部装置1000Bの枠体1100Bの内側に配置することで、換気装置100Bは、室内と室外のアクセスが容易となるため、設置工事の作業負担を極めて低減することが可能となる。
また、気装置100Bは、開口部装置1000Bの枠体1100Bの内側に配置されるので、屋外と屋内の境界に位置し、屋外と屋内の空気の取込、排出を極めて容易に行うことが可能である。
【0069】
なお、換気装置100Bの場合も、換気レジスター100の場合と同様にして、第一流通部20B又は第二流通部30Bのみに送風機11B又は12Bを設置する構成としてもよい。なお、この場合、開口からなる混合流通部60Bの開口幅が広くなり過ぎないように、適宜調整することが好ましい。
【0070】
[換気システム]
上述の換気レジスター100又は換気装置100Bを利用した換気システム2000Cについて図面に基づいて説明する。
図10は換気システム2000Cの概略構成を示すブロック図である。換気システム2000Cは、換気レジスター100と換気装置100Bのいずれを含む構成としてもよい。
以下に述べる換気システム2000Cは、戸建て又は集合住宅からなる住居を構成する建物の一室に適用する場合を例示する。但し、換気システム2000Cは、住居に限定されず、オフィス、商業施設、病院、公共施設等、人間が一日の内の一部の時間しか滞在しない建物にも適用可能である。
【0071】
換気システム2000Cは、換気レジスター100又は換気装置100Bと、室外の温度を検出する外部温度検出装置としての室外温度センサ2002Cと、室内の温度を検出する内部温度検出装置しての室内温度センサ2003Cと、室内の人間を検出する人感検出装置としての人感センサ2004Cと、室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出装置としてのCO2濃度センサ2005Cと、室内の温度を調節する空調装置2006Cと、上記各構成と無線通信可能な通信装置2001Cと、所定の通信ネットワークNを通じて通信装置2001Cと通信が可能な外部のサーバ2200Cとを有する構成である。
また、換気システム2000Cは、通信ネットワークNを通じて通信可能な携行端末2300Cを備えている。
【0072】
室外温度センサ2002Cは、建物の室外であって換気レジスター100又は換気装置100Bの近傍に設置される。室外温度センサ2002Cは、室外に設置されるので、耐水性、耐候性を有するものが好ましい。
室外温度センサ2002Cは、気温を検出可能な温度検出素子と、通信装置2001Cと無線による通信が可能な通信機器と、温度検出素子の検出出力をデジタルデータ化して通信機器を通じて通信装置2001Cに送信する処理を行う制御回路とを有する。
温度検出素子は、熱電対、サーミスタ、白金測温抵抗体等である。
通信機器は、制御回路が外部と無線通信を行うためのものである。通信機器は、例えば、WiFiやブルートゥース(登録商標)等のプロトコルに準拠する電波による近距離通信網を利用するものや赤外線を利用するものである。なお、室外温度センサ2002Cは、室外に設置されるので、通信機器は、電波を利用するものが好ましい。
制御回路は、例えば、マイクロプロセッサで構成される。
また、室外温度センサ2002Cは、電源であるバッテリーが搭載される。バッテリーは充電可能な二次電池であってもよい。また、室外のコンセントに接続して交流電源を利用可能な構成としてもよい。
【0073】
室内温度センサ2003Cは、建物の室内に設置される。室内温度センサ2003Cは、換気レジスター100又は換気装置100Bの近傍に設置してもよい。
室内温度センサ2003Cの構成は、概ね、室外温度センサ2002Cと等しいが、通信機器は、赤外線を利用するものであってもよい。また、室内温度センサ2003Cは、耐水性、耐候性は低くともよい。
室内温度センサ2003Cもバッテリーが搭載されが、室内のコンセントに接続して交流電源を利用可能な構成としてもよい。
【0074】
人感センサ2004Cは、室内であって広範囲を検出可能とする位置に設置することが好ましい。
人感センサ2004Cは、人間の存在を検出可能な検出素子と、通信装置2001Cと無線による通信が可能な通信機器と、検出素子の検出出力をデジタルデータ化して通信機器を通じて通信装置2001Cに送信する処理を行う制御回路とを有する。
検出素子は、超音波検出型、赤外線検出型等、室内の人間の存在の有無を検出可能なものであればよい。
通信機器は、室内温度センサ2003Cと同様の構成である。
制御回路は、例えば、マイクロプロセッサで構成される。
人感センサ2004Cの電源は、室内温度センサ2003Cと同様の構成である。
【0075】
CO2濃度センサ2005Cは、室内であって人間の背丈よりも低位置に設置することが好ましい。
CO2濃度センサ2005Cは、室内の二酸化酸素の濃度を検出可能な検出素子と、通信装置2001Cと無線による通信が可能な通信機器と、検出素子の検出出力をデジタルデータ化して通信機器を通じて通信装置2001Cに送信する処理を行う制御回路とを有する。
検出素子は、例えば、NDIR(Non Dispersive InfraRed:非分散型赤外線吸収法)方式の二酸化炭素濃度センサである。
通信機器は、室内温度センサ2003Cと同様の構成である。
制御回路は、例えば、マイクロプロセッサで構成される。
CO2濃度センサ2005Cの電源は、室内温度センサ2003Cと同様の構成である。
【0076】
空調装置2006Cは、例えば、周知のエアーコンディショナーである。空調装置2006Cは、少なくとも冷房機能を備えるものであって、無線によって、電源の入力と切断の切り替えが可能なもの、より好ましくは、設定温度が調節可能なものである。空調装置2006Cは、暖房機能を備え、無線によって、冷房と暖房の切り替えが可能であれば、なおよい。
無線の通信機器は、室内温度センサ2003Cと同様であればよい。また、通信機器は、空調装置2006Cのリモートコントローラーに利用される赤外線通信装置を利用してもよい。
【0077】
通信装置2001Cは、換気レジスター100又は換気装置100B、室外温度センサ2002C、室内温度センサ2003C、人感センサ2004C、CO2濃度センサ2005C、空調装置2006C及びサーバ2200Cと通信を行う機能を有する。
通信装置2001Cは、複数の無線通信規格に基づく通信が可能なものであってもよい。通信装置2001Cは、例えば、WiFiやブルートゥース(登録商標)等のプロトコルに準拠する近距離通信網を利用して、或いは、赤外線通信を利用して、各種のセンサ2002C~2005C、換気レジスター100又は換気装置100B又は空調装置2006Cとの無線通信を可能となる。
さらに、通信装置2001Cは、通信ネットワークNとして、例えば、基地局を末端とする移動体通信網、上空の通信衛星を利用する衛星通信網、インターネット通信網等を利用して、サーバ2200Cとの通信を可能とする。
【0078】
通信装置2001Cは、上記構成により、各種のセンサ2002C~2005Cからの検出結果を受信すると共にサーバ2200Cに送信する。
また、通信装置2001Cは、サーバ2200Cから受信した動作指令を換気レジスター100又は換気装置100Bと空調装置2006Cに送信する。
【0079】
携行端末2300Cは、サーバ2200Cと通信可能な情報処理端末であり、可搬性を有することが好ましい。例えば、スマートフォン、タブレット、携行型のPC(パーソナルコンピュータ)等である。この携行端末2300Cは、当該携行端末2300Cを携行している人が換気システム2000Cに指令を入力する指令入力装置として機能する。
【0080】
サーバ2200Cは、一又は複数のサーバコンピュータ等を中心に構成されるサーバ装置である。サーバ装置は、個人が占有するサーバであってもよいし、レンタルサーバであってもよい。また、サーバ2200Cは、いわゆるクラウドサーバであってもよい。また、サーバ2200Cは、定置型或いは携帯型の汎用のコンピュータ端末であってもよい。
サーバ2200Cは、通信装置2001Cを通じて、換気システム2000C全体の動作制御を行う。動作制御の詳細な内容については後述する。
【0081】
[換気システムに好適な換気レジスターの構成]
ここで、換気レジスター100又は換気装置100Bについて、換気システム2000Cに組み込むための好適な構成について説明する。
換気システム2000Cは、その制御の性質上、換気レジスター100又は換気装置100Bにおいて、混合流通部60又は60Bにより、室外の空気に室内の空気を混合させないで取り込む換気を行うことが要求される場合がある。
このため、換気システム2000Cに使用される換気レジスター100と換気装置100Bは、内気混合停止機構46C又は46Dを備える構成としてもよい。
これらについて、図面に基づいて説明する。
【0082】
図11は換気レジスター100において内気混合停止機構46Cを搭載した構成の前後方向及び上下方向に沿った面の断面図を示している。
内気混合停止機構46Cは、室内の空気の取込口321における混合流通部60側への取込を行う範囲を閉塞可能なシャッター機構からなる。アクチュエータによりシャッターを開閉可能なものであり、外部指令によって、混合流通部60における室内の空気の流通を阻止することができる。
換気レジスター100は、内気混合停止機構46Cを備えることにより、室外の空気に室内の空気を混合させて取り込む内気混合換気状態と、室外の空気に室内の空気を混合させずに取り込む内気混合停止換気状態とを切り替えて換気を行うことが可能となる。
なお、内気混合停止機構46Cは、混合流通部60における上記位置よりも送風機11側に設けてもよい。
【0083】
また、上記内気混合停止機構46Cは、送風機11又は12のいずれか一方のみを有する換気レジスター100に搭載してもよい。
図12に示すように、送風機11のみを備える換気レジスター100の場合には、混合流通部60において、当該混合流通部60が第二流通部30と合流する位置又は当該合流する位置よりも排出口221側であって第一流通部20と合流する位置よりも手前までの位置に内気混合停止機構46Cを配置する。
また、
図13に示すように、送風機12のみを備える換気レジスター100の場合も、混合流通部60において、当該混合流通部60が第二流通部30と合流する位置又は当該合流する位置よりも排出口221側であって第一流通部20と合流する位置よりも手前までの位置に内気混合停止機構46Cを配置する。
【0084】
[換気システムに好適な換気装置の構成]
図14は換気装置100Bにおいて内気混合停止機構46Dを搭載した構成について
図8のD-D線に沿った断面図を示している。
内気混合停止機構46Dは、前側カバー1003Bの仕切り部1003Baの後端部と後側カバー1004Bの前面との間の開口である混合流通部60Bの位置に設けられ、当該開口を閉塞可能なシャッター機構からなる。アクチュエータによってシャッターを開閉可能なものであり、外部指令によって、混合流通部60Bにおける室内の空気の流通を阻止することができる。
【0085】
換気装置100Bは、内気混合停止機構46Dを備えることにより、室外の空気に室内の空気を混合させて取り込む内気混合換気状態と、室外の空気に室内の空気を混合させずに取り込む内気混合停止換気状態とを切り替えて換気を行うことが可能となる。
なお、換気システム2000Cに組み込まれる換気装置100Bは、送風機11B又は12Bのいずれか一方のみを有する構成としてもよい。この場合も、開口である混合流通部60Bの位置に内気混合停止機構46Dが設けられる。
【0086】
また、換気システム2000Cでは、換気レジスター100又は換気装置100Bは、通信装置2001Cと無線通信を行う必要がある。
従って、
図15に示すように、換気レジスター100又は換気装置100Bは、外部からの指令を受信する通信機器52Cと、受信した指令に基づいて送風機11,12(又は11B,12B)と内気混合停止機構46C(又は46D)を制御する制御装置51Cとを備える構成とされる。
【0087】
通信機器52Cは、室内温度センサ2003Cと同様の構成である。
制御装置51Cは、例えば、マイクロプロセッサで構成される。
換気レジスター100又は換気装置100Bの電源は、室内温度センサ2003Cと同様の構成である。
【0088】
[換気システムにおける外気冷房制御]
換気システム2000Cにおける外気冷房制御について
図16の概念図と
図17のフローチャートに基づいて説明する。
図17のフローチャートはサーバ2200CのCPUが、所定のプログラムを実行することで、通信装置2001Cを通じて各構成に対して行う制御である。この制御は、周期的に繰り返し実行してもよい。
この外気冷房制御は、室内の気温が室外よりも高くなり、室外の空気を取り込むことで室内を冷却する制御である。
例えば、春から初夏或いは秋等の頃に、日中の暖気が室内に残留し、夜になって室外温度が下がった場合に、空調装置2006Cを利用しないで室内の冷却を行う。
【0089】
まず、外気冷房制御において、サーバ2200CのCPU(以下、単に、CPUとする)は、携行端末2300Cからの外気冷房の実行指令の有無を判定する(ステップS1)。
そして、CPUは、外気冷房の実行指令ありと判定した場合には、ステップS3に処理を進める。
一方、外気冷房の実行指令無しと判定した場合には、人感センサ2004Cの検出結果を取得して、対象となる室内に人がいるか否かを判定する(ステップS2)。
そして、人がいない場合には、そのまま制御を終了する。
【0090】
一方、外気冷房の実行指令があった場合又は人がいる場合には、CPUは、室内温度センサ2003Cの検出結果を取得して、予め定められた外気冷房の実施温度以上かを判定する(ステップS3)。
そして、実施温度に満たない場合には、そのまま制御を終了する。
【0091】
一方、室内温度が外気冷房の実施温度以上である場合には、CPUは、室外温度センサ2002Cの検出結果を取得して、室内温度に対して室外温度を減算し、その温度差を算出する。
さらに、CPUは、温度差が、あらかじめ定められた外気冷房の開始閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS5)。
その結果、室内温度に対する室外温度の温度差が開始閾値よりも大きくない場合には、そのまま制御を終了する。
【0092】
一方、室内温度に対する室外温度の温度差が開始閾値よりも大きい場合には、空調装置2006Cが作動中の場合には、CPUは、空調装置2006Cに対して停止指令を送信する(ステップS7)。
さらに、CPUは、換気レジスター100又は換気装置100Bに対して、内気混合停止機構46C又は46Dを制御して内気混合停止換気状態に切り替えるように指令を送信する(ステップS9)。
そして、CPUは、換気レジスター100又は換気装置100Bに対して、換気の開始指令を送信する(ステップS11)。
これにより、室内に対して、内気混合停止換気状態で室外の空気が取り込まれ、室内の温度を低下させることができる。
【0093】
その後、CPUは、再び、室外温度センサ2002Cの検出結果と室内温度センサ2003Cの検出結果とを取得して、室内温度に対して室外温度を減算し、その温度差を算出する。さらに、室内温度に対する室外温度の温度差が、予め設定された外気冷房の停止閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS13)。
そして、室内温度に対する室外温度の温度差が、予め設定された外気冷房の停止閾値よりも大きい場合には、換気を継続する。
【0094】
一方、室内温度に対する室外温度の温度差が、予め設定された外気冷房の停止閾値以下となった場合には、CPUは、換気レジスター100又は換気装置100Bに対して、換気の停止指令を送信して(ステップS11)、制御を終了する。
【0095】
[CO
2濃度調整制御]
換気システム2000CにおけるCO
2濃度調整制御について
図18の概念図と
図19のフローチャートに基づいて説明する。
図19のフローチャートはサーバ2200CのCPUが、所定のプログラムを実行することで、通信装置2001Cを通じて各構成に対して行う制御である。この制御は、周期的に繰り返し実行してもよい。
このCO
2濃度調整制御は、室内を喚起して、CO
2濃度を規定以下に調整する制御である。
【0096】
まず、CO2濃度調整制御において、サーバ2200CのCPU(以下、単に、CPUとする)は、携行端末2300CからのCO2濃度調整制御の実行指令の有無を判定する(ステップS21)。
そして、CPUは、CO2濃度調整制御の実行指令ありと判定した場合には、ステップS23に処理を進める。
一方、CO2濃度調整制御の実行指令無しと判定した場合には、人感センサ2004Cの検出結果を取得して、対象となる室内に人がいるか否かを判定する(ステップS22)。
そして、人がいない場合には、そのまま制御を終了する。
【0097】
一方、CO2濃度調整制御の実行指令があった場合又は人がいる場合には、CPUは、CO2濃度センサ2005Cの検出結果を取得して、予め定められたCO2濃度調整制御の実施閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS23)。
そして、室内のCO2濃度が実施閾値以下の場合には、そのまま制御を終了する。
【0098】
一方、室内のCO2濃度が実施閾値を超えている場合には、CPUは、換気レジスター100又は換気装置100Bに対して、換気の開始指令を送信する(ステップS25)。
これにより、室内に対して、室外の空気が取り込まれ、室内のCO2濃度を低下させることができる。
なお、CO2濃度調整制御の場合には、換気レジスター100又は換気装置100Bは、内気混合換気状態で換気を実行する。
【0099】
その後、CPUは、再び、CO2濃度センサ2005Cの検出結果を取得して、室内のCO2濃度が予め設定されたCO2濃度調整制御の停止閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS27)。
そして、室内のCO2濃度が、予め設定されたCO2濃度調整制御の停止閾値よりも高い場合には、換気を継続する。
【0100】
一方、室内のCO2濃度が、予め設定されたCO2濃度調整制御の停止閾値以下となった場合には、CPUは、換気レジスター100又は換気装置100Bに対して、換気の停止指令を送信して(ステップS29)、制御を終了する。
【0101】
[換気システムの技術的効果]
以上のように、換気システム2000Cは、外気冷房制御を実行することにより、空調装置2006Cを使用しないで外気によって室内の冷却を図ることができ、省エネルギーの観点で優れた換気を実施することが可能となる。
【0102】
また、換気システム2000Cは、CO2濃度調整制御を実行することにより、人が気づかない場合でも、室内のCO2濃度の増加が抑制され、適正なCO2濃度に維持することが可能となる。
【0103】
なお、上述した外気冷房制御では、室内に人が在室している場合に実行されるが、これに限定されず、人が在室していない場合にも、自動で外気冷房を実行してもよい。
特に、換気システム2000Cは、通信ネットワークNを通じて、携行端末2300Cと通信可能なので、外気冷房制御の外気冷房制御のステップS2において在室していないと判定された場合に、サーバ2200Cが携行端末2300Cと通信を行い、住人の現在地情報を取得して、対象の建物の所定距離内まで近付いているような場合には、ステップS3以降の処理を継続する制御を行ってもよい。
【0104】
[その他]
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、実施形態において、単一の部材により一体的に形成された構成要素は、複数の部材に分割されて互いに連結又は固着された構成要素に置換してもよい。また、複数の部材が連結されて構成された構成要素は、単一の部材により一体的に形成された構成要素に置換してもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0105】
例えば、前述した換気システム2000Cにおいて、外気冷房制御を実施し、CO2濃度調整制御は実施しない場合には、CO2濃度センサ2005Cは、構成から除いてもよい。
また、換気システム2000Cにおいて、CO2濃度調整制御を実施し、外気冷房制御は実施しない場合には、室外温度センサ2002C、室内温度センサ2003C、空調装置2006Cは、構成から除いてもよい。また、換気レジスター100又は換気装置100Bにおいて、内気混合停止機構46C,46Dを持たないものを利用してもよい。
さらに、換気システム2000Cにおいて、携行端末2300Cからの実行指令によってのみ、外気冷房制御又はCO2濃度調整制御を実行する構成とする場合には、人感センサ2004Cは、構成から除いてもよい。
【0106】
また、換気システム2000Cとして、外気冷房制御とCO2濃度調整制御の処理を、通信ネットワークNを通じてサーバ2200Cが実行する構成を例示したがこれに限定されない。
例えば、通信装置2001Cに、通信ネットワークNを介さずに、情報処理を行う制御装置を有線接続又はローカルエリアネットワークで接続し、外気冷房制御とCO2濃度調整制御の処理を通信装置2001Cに接続された制御装置が行う構成としてもよい。また、通信装置2001Cに、情報処理を行う制御機能を付加し、通信装置2001Cが外気冷房制御とCO2濃度調整制御の処理を行う制御装置として機能する構成としてもよい。
また、携行端末2300Cが実行するアプリケーションが外気冷房制御とCO2濃度調整制御の処理を実行し、通信ネットワークNを通じて換気システム2000Cの各構成を制御してもよい。この場合には、携行端末2300Cが制御装置として機能することとなる。
【符号の説明】
【0107】
11,11B,12,12B 送風機
20,20B 第一流通部
21 主管路
22 室内管路
23 室外管路
30,30B 第二流通部
31 主管路
32 室内管路
33 室外管路
46C,46D 内気混合停止機構
51C 制御装置(換気制御装置)
52C 通信機器
100 換気レジスター(換気装置)
100B 換気装置
111B 噴出口
121B 噴出口
221,221B,331,331B 排出口
231,231B,321,321B 取込口
1000B 開口部装置
1001B 無目
1002B ガラスパネル
1003B 前側カバー
1004B 後側カバー
1100B 枠体
2000C 換気システム
2001C 通信装置
2002C 室外温度センサ
2003C 室内温度センサ
2004C 人感センサ
2005C CO2濃度センサ
2006C 空調装置
2200C サーバ
2300C 携行端末(指令入力装置)
B 貫通孔
N 通信ネットワーク
W 壁