(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007137
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】表示制御プログラム、表示制御装置、及び表示制御システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108335
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】大木 憲二
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】記事の表示において、主観的な信頼性と客観的な信頼性を確保する表示制御プログラム、表示制御装置、及び表示制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】表示制御プログラムは、第1ユーザから入力されたキーワードに基づいて、通信ネットワーク上に公開された記事の一覧を取得し、取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を取得し、取得した前記ユーザ情報と、前記第1ユーザが信頼する前記複数のユーザの中の第2ユーザを含む信頼ユーザ情報から除外された前記複数のユーザの中の第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する、処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザから入力されたキーワードに基づいて、通信ネットワーク上に公開された記事の一覧を取得し、
取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を取得し、
取得した前記ユーザ情報と、前記第1ユーザが信頼する前記複数のユーザの中の第2ユーザを含む信頼ユーザ情報から除外された前記複数のユーザの中の第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する、
処理をコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。
【請求項2】
前記信頼ユーザ情報と、前記第2ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から前記第1ユーザに提示する第1記事を決定し、
取得した前記ユーザ情報と、前記第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する第2記事を決定する、
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項3】
前記信頼ユーザ情報と、前記第2ユーザが共感した数の多さとに基づいて、取得した前記記事それぞれの重みを算出し、
算出した重みに基づいて、前記記事の一覧の中から前記第1ユーザに提示する第1記事を一意に決定し、
取得した前記ユーザ情報と、前記第3ユーザが共感した数の多さとに基づいて、前記第1記事を除いた前記記事の一覧の中から優先的に表示する第2記事を決定する、
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項4】
取得した前記記事それぞれに対して否定的なユーザに関する別のユーザ情報を取得し、
取得した前記別のユーザ情報に基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する、
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項5】
取得した前記記事に含まれる所定の記事が、否定を表す所定情報に基づいて、前記所定の記事とは異なる別の記事又は前記別の記事の作成者から否定されている場合、前記別の記事を前記所定の記事に関連する関連記事として抽出し、
前記関連記事と、取得した前記ユーザ情報と、前記第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する、
処理を前記コンピュータに実行させるための請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項6】
第1ユーザから入力されたキーワードに基づいて、通信ネットワーク上に公開された記事の一覧を取得する第1取得部と、
取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を取得する第2取得部と、
取得した前記ユーザ情報と、前記第1ユーザが信頼する前記複数のユーザの中の第2ユーザを含む信頼ユーザ情報から除外された前記複数のユーザの中の第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する決定部と、
を有する表示制御装置。
【請求項7】
第1ユーザからキーワードが入力される端末と、
前記キーワードに基づいて、通信ネットワーク上に公開された記事の一覧を取得し、取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を取得し、取得した前記ユーザ情報と、前記第1ユーザが信頼する前記複数のユーザの中の第2ユーザを含む信頼ユーザ情報から除外された前記複数のユーザの中の第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する表示制御装置と、
を有する表示制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、表示制御プログラム、表示制御装置、及び表示制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検索エンジンにキーワードが入力されると、キーワードに関連付けられた検索結果の一覧が表示される検索エンジンシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。また、インターネットに代表される通信ネットワークを介した様々な通信サービスの中には、大量の商品の中からユーザに対してお勧めの商品を推薦する技術が知られている(例えば特許文献2参照)。さらに、SNS(Social Networking Service)の友達登録に基づいて、対象者のユーザ情報の延長とは反対の商品を推薦する技術も知られている(例えば特許文献3参照)。
【0003】
ところで、SNSなどを利用してインターネット上に発信(例えば投稿など)されたデータの中には、正しい内容のデータもあれば、いわゆる偽情報といった誤った内容のデータもある。このような偽情報に対する対策として、Trustable Internetと呼ばれるアーキテクチャが提案されている(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
Trustable Internetでは、インターネット上のデータの確からしさにお墨付きを与えるお墨付きデータ(Endorsement Data)が利用される。お墨付きデータは、例えばお墨付きデータを発行した発行体の情報を含んでいる。発行体は個人や公的機関の場合もあれば、モノ(例えばセンサなど)の場合もある。Trustable Internetでは、インターネット上のデータにお墨付きデータが関連付けられることにより、データが表す内容の信頼性が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7603350号明細書
【特許文献2】特開2008-77386号公報
【特許文献3】特開2011-232836号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0201373号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】TIAL(Trusted Internet Architecture Lab), “Trustable Internet”, [online], 2022年10月13日, [令和5年4月18日検索], インターネット<URL:https://tial.sfc.keio.ac.jp/blob/Trustable_InternetホワイトペーパーV1.0.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、例えば検索結果として表示された記事とお墨付きデータとを併せて表示すれば、記事の内容が正しいか否かの判断を支援できると想定される。しかしながら、ユーザが各記事を確認する度にお墨付きデータも確認することは操作に手間がかかるおそれがある。このため、検索結果として表示された記事とお墨付きデータとを併せて表示する際には、操作に手間がかからないことが望ましい。
【0008】
例えば、SNSや電子掲示板のコメント機能には、投稿された記事に対して肯定や否定といったフィードバック情報が付与される。このため、検索結果として表示された投稿記事とお墨付きデータとを併せて表示する際、フィードバック情報の肯定順で表示することが想定される。しかしながら、この場合、例えば社会的な信頼性が乏しい者によって投稿記事が肯定されてその表示順位が上位に配置される可能性がある。すなわち、ユーザ本人が信頼する者によって記事が肯定されているとは限らない可能性がある。
【0009】
一方で、ユーザの主観的な信頼性が高い記事ほど上位に表示すると、ユーザと価値観が類似する者同士で共感し合うことにより特定の意見や思想が増幅し、ユーザは自分と似た思考であれば正解であると勘違いするおそれがある。すなわち、いわゆるエコーチェンバー現象が発生するおそれがある。
【0010】
そこで、1つの側面では、記事の表示において、主観的な信頼性と客観的な信頼性を確保する表示制御プログラム、表示制御装置、及び表示制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの実施態様では、表示制御プログラムは、第1ユーザから入力されたキーワードに基づいて、通信ネットワーク上に公開された記事の一覧を取得し、取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を取得し、取得した前記ユーザ情報と、前記第1ユーザが信頼する前記複数のユーザの中の第2ユーザを含む信頼ユーザ情報から除外された前記複数のユーザの中の第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
記事の表示において、主観的な信頼性と客観的な信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】お墨付きデータの一例とその格納例を説明する図である。
【
図4】お墨付きデータの他の一例とその格納例を説明する図である。
【
図5】人物関係と併せた記事データの相関図の一例である。
【
図6】表示制御サーバのハードウェア構成の一例である。
【
図8】表示制御サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本件を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、表示制御システムSTは、複数の端末装置10,20,30,40と、お墨付きシステム50とを含んでいる。お墨付きシステム50は、表示制御サーバ100と、複数のデータ管理サーバ210,220,230とを含むコンピュータシステムである。表示制御サーバ100は表示制御装置の一例である。表示制御サーバ100と複数のデータ管理サーバ210,220,230は通信ネットワークNW1を介して接続されている。通信ネットワークNW1は例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を含んでいる。通信ネットワークNW1は例えばインターネットを含んでいてもよい。
【0016】
また、複数の端末装置10,20,30,40とお墨付きシステム50は通信ネットワークNW2及び携帯基地局BSを介して接続されている。通信ネットワークNW2は例えばインターネットを含んでいる。なお、端末装置10,20,30,40は携帯端末を含んでいる。携帯端末は、スマートフォンであってもよいし、タブレット端末であってもよいし、PC(Personal Computer)であってもよい。
【0017】
端末装置10は記事の作成者P1によって操作される。例えば、作成者P1が端末装置10を操作して、ワクチン効果に関する記事を電子的に含む記事データを端末装置10から発信する。これにより、記事データは携帯基地局BSを介して通信ネットワークNW2に到達する。作成者P1は、記事に代えて、端末装置10のカメラで撮影した画像データを端末装置10から発信してもよい。
【0018】
通信ネットワークNW2にはDB(Data Base)サーバ51がストレージ52と関連付けられて接続されている。記事データは、
図2に示すように、ストレージ52に蓄積される。例えば、記事データD1は記事データD1を識別する記事ID(Identifier)「A1」を含んでいる。記事データD1は記事を作成した作成者P1を識別する記事作成者ID「a1」を含んでいる。記事データD1は作成者P1が作成した記事を含んでいる。記事データD1は記事データD1の格納先を表すURL(Uniform Resource Locator)「http://k.com/k1.html」を含んでいる。
【0019】
一方、記事データD2は記事データD2を識別する記事ID「A2」を含んでいる。記事データD2は記事を作成した後述する評価者P3を識別する記事作成者ID「a3」を含んでいる。記事データD2は評価者P3が作成した記事を含んでいる。記事データD2は記事データD2の格納先を表すURL「http://k.com/k2.html」を含んでいる。DBサーバ51は、記事データを通信ネットワークNW2上に公開し、キーワードを含む検索要求を受信すると、キーワードに応じた記事データを検索要求の送信元に提供する。なお、DBサーバ51は例えばSNSを提供するサーバによって実現することができる。
【0020】
図1に戻り、端末装置20,30は、記事データに含まれる記事の内容を評価する評価者P2,P3によってそれぞれ操作される。端末装置20,30は、評価者P2,P3から操作されて、記事データの確からしさにお墨付きを与えるお墨付きデータを発行する。
図1では、評価者P2,P3の一例として個人が示されているが、法人(例えば教育機関など)や、公的機関(国家や自治体など)、これらに所属する担当者であってもよい。お墨付きデータの発行体は、評価者P2,P3に限らず、画像センサを含む監視カメラなどであってもよい。
【0021】
例えば、評価者P2は端末装置20を操作して、
図3に示すように、記事データD1に含まれる記事を肯定するお墨付きデータ61を端末装置20から発信する。お墨付きデータ61は、ED(Endorsement Data)発行体ID、ED被発行体ID、記事作成者ID、評価IDといった複数の項目を含んでいる。なお、本実施例に係るIDはDID(Decentralized ID:分散型識別子)を含んでいる。
【0022】
ED発行体IDの項目には、お墨付きデータ61の発行体である評価者P2の識別子「a2」が登録される。ED被発行体IDの項目には、お墨付きデータ61の被発行体である記事データD1の識別子「A1」が登録される。記事作成者IDの項目には、記事データD1に含まれる記事の作成者P1の識別子「a1」が登録される。評価IDの項目には、記事データD1に含まれる記事に対する肯定を表す識別子「Posi」が登録される。肯定は共感の一例である。肯定に代えて、是認や賛同、賛成を共感の一例として採用してもよい。
【0023】
このように、作成者P1が作成した記事を肯定するお墨付きデータ61が識別子を介して記事データD1に関連付けられる。お墨付きデータ61は携帯基地局BS及び通信ネットワークNW2を介して通信ネットワークNW1に到達し、
図3に示すように、例えばデータ管理サーバ210に格納される。これにより、データ管理サーバ210はお墨付きデータ61を管理する。
【0024】
一方、評価者P3は端末装置30を操作して、
図4に示すように、記事データD1に含まれる記事を否定するお墨付きデータ62を端末装置30から発信する。お墨付きデータ62に含まれる複数の項目は基本的にお墨付きデータ61に含まれる複数の項目と同様である。例えば、評価IDの項目には、記事データD1に含まれる記事に対する否定を表す識別子「Nega」が登録される。否定に代えて、反対を採用してもよい。
【0025】
このように、作成者P1が作成した記事を否定するお墨付きデータ62も識別子を介して記事データD1に関連付けられる。お墨付きデータ62は携帯基地局BS及び通信ネットワークNW2を介して通信ネットワークNW1に到達し、
図4に示すように、例えばデータ管理サーバ220に格納される。これにより、データ管理サーバ220はお墨付きデータ62を管理する。このように、お墨付きデータ61,62はデータ管理サーバ210,220に分散して個別的に管理される。
【0026】
図1に戻り、端末装置40は記事データD1に含まれる記事を閲覧する閲覧者P4によって操作される。閲覧者P4は、記事データD1の記事を閲覧する場合、端末装置40を操作して、例えばキーワード「ワクチン」及びキーワード「効果」をブラウザに入力する。これにより、端末装置40はこれらのキーワードを含む検索要求を送信する。
【0027】
詳細は後述するが、この検索要求は表示制御サーバ100を経由してDBサーバ51に到達する。すなわち、表示制御サーバ100は検索要求を受信すると、受信した検索要求をDBサーバ51に転送する。DBサーバ51は検索要求を受信すると、検索要求に含まれるキーワードに応じた記事データD1,D2を含む複数の記事データの一覧をストレージ52から抽出する。そして、DBサーバ51は、抽出した記事データD1,D2を含む複数の記事データの一覧を表示制御サーバ100に提供する。
【0028】
これにより、表示制御サーバ100は記事データD1,D2を含む複数の記事データの一覧を取得する。表示制御サーバ100は、記事データの一覧を取得すると、
図1に示すように、信頼リストを端末装置40から取得する。信頼リストは、信頼ユーザ情報の一例であって、閲覧者P4が信頼する作成者P1や評価者P2などの識別子を含んでいる。例えば、作成者P1がワクチンに詳しい専門家であって、評価者P2が厚生労働省といった公的機関であれば、閲覧者P4は作成者P1や評価者P2を信頼することができる。
【0029】
表示制御サーバ100は、信頼リストを取得すると、記事データD1,D2などの一覧、信頼リスト、お墨付きデータ61,62などを利用して様々な処理を実行し、端末装置40に記事を表示する。例えば、表示制御サーバ100は、閲覧者P4にとって信頼性が高い記事を表示する。すなわち、表示制御サーバ100は、閲覧者P4の主観的な信頼性が確保された記事を端末装置40に表示する。
【0030】
一方で、表示制御サーバ100は、その記事に対する信頼性は高くないが、客観的な信頼性が高い記事を併せて表示する。すなわち、表示制御サーバ100は、閲覧者P4が有する思想の影響が少ない客観的信頼性が確保された記事を同時に端末装置40に表示する。このように、相対立する2つの信頼性が両立された記事が表示されることで、閲覧者P4の嗜好が反映されつつ、エコーチェンバー現象の発生が抑制される。なお、表示制御サーバ100は、記事自体ではなく、記事データへのリンク情報であるURLを表示するが、以下の説明では、基本的に記事を表示すると説明する。
【0031】
図5を参照して、記事データD1,D2の相関関係を作成者P1や評価者P2,P3、閲覧者P4の人物関係と共に説明する。なお、
図5では、
図1では省略されている評価者P5,P6が示されている。また、閲覧者P4は第1ユーザの一例であって、評価者P2は第2ユーザの一例であって、評価者P5,P6は第3ユーザの一例である。したがって、評価者P2,P5,P6は複数のユーザの一例である。
【0032】
まず、上述したように、記事データD1の記事は作成者P1によって作成される。この記事データD1には評価者P2による肯定的なお墨付きデータ61が付与されて、互いに関連付けられる。一方で、この記事データD1には評価者P3による否定的なお墨付きデータ62が付与されて、互いに関連付けられる。
【0033】
閲覧者P4には信頼リストTLが関連付けられる。具体的には、閲覧者P4の端末装置40が信頼リストTLを保有することにより、閲覧者P4に信頼リストTLが関連付けられる。閲覧者P4は作成者P1と評価者P2を信頼する。このため、信頼リストTLには作成者P1の識別子「a1」と評価者P2の識別子「a2」が定義又は格納される。
【0034】
次に、記事データD2の記事は評価者P3によって作成される。すなわち、評価者P3は記事データD1の記事(具体的には記事の内容)を否定する一方で、記事データD1の記事と異なる別の記事を作成する。この別の記事を含む記事データD2には評価者P5,P6による肯定的なお墨付きデータ(不図示)が付与されて、互いに関連付けられる。
【0035】
このように、評価者P3が記事データD1の記事を否定する一方で、記事データD1の記事と異なる別の記事を作成する場合、表示制御サーバ100は、記事データD2と記事データD1が関連すると判断する。なお、記事データD2に含まれる記事に対して、表示制御サーバ100がスクレイピングを行うと、スクレイピング対象の記事に記事データD1を特定するURLが記載されている場合がある。そして、スクレイピング対象の記事の中に記事データD1の記事を嫌疑する言葉が含まれている場合がある。このような場合、表示制御サーバ100は、記事データD2と記事データD1が関連すると判断する。
【0036】
なお、記事を嫌疑する言葉の有無は「スタンス検出」と呼ばれるSNS上における投稿者や発言者の特定のトピックに対する立場(肯定/否定など)を推定する技術を利用して判断すればよい。また、スクレイピングに代えて、表示制御サーバ100はスキャン(走査)やOCR(Optical Character Recognition)処理などを行ってもよい。
【0037】
表示制御サーバ100は、後述する様々な処理を行って、閲覧者P4の主観的な信頼性が高い記事を記事データD1が含むと判断し、記事データD1の記事を第1記事として端末装置40にメインで表示(
図5において主表示と記載)する。その際、表示制御サーバ100は、評価者P5,P6による客観的な信頼性が高い記事を記事データD2が含むと判断し、記事データD2の記事を第2記事として端末装置40にサブで表示(
図5において副表示と記載)する。これにより、主体的な信頼性と客観的な信頼性の両方が低い記事と比べた場合に、記事データD2の記事は注意記事として注意喚起的に優先して表示される。この結果、閲覧者P4は記事データD1,D2の各記事を同時に視認することができる。
【0038】
次に、
図6を参照して、表示制御サーバ100のハードウェア構成について説明する。なお、上述した端末装置10,20,30,40やDBサーバ51、データ管理サーバ210,220,230は基本的に表示制御サーバ100と同様のハードウェア構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
表示制御サーバ100は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)100Aと、メモリとしてのRAM(Random Access Memory)100B及びROM(Read Only Memory)100Cを含んでいる。RAM100BはDRAM(Dynamic RAM)とSRAM(Static RAM)を含んでいる。SRAMはCPU100Aに含まれていてもよい。表示制御サーバ100は、ネットワークI/F(インタフェース)100D及びHDD(Hard Disk Drive)100Eを含んでいる。HDD100Eに代えて、SSD(Solid State Drive)を採用してもよい。
【0040】
表示制御サーバ100は、必要に応じて、入力I/F100F、出力I/F100G、入出力I/F100H、ドライブ装置100Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU100Aからドライブ装置100Iまでは、内部バス100Jによって互いに接続されている。すなわち、表示制御サーバ100はコンピュータによって実現することができる。
【0041】
入力I/F100Fには入力装置710が接続される。入力装置710としては例えばキーボードやマウス、タッチパネルなどがある。出力I/F100Gには表示装置720が接続される。表示装置720としては例えば液晶ディスプレイなどがある。入出力I/F100Hには半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F100Hは半導体メモリ730に記憶された表示制御プログラムを読み取る。入力I/F100F及び入出力I/F100Hは例えばUSBポートを備えている。出力I/F100Gは例えばディスプレイポートを備えている。
【0042】
ドライブ装置100Iには可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置100Iは可搬型記録媒体740に記録された表示制御プログラムを読み込む。ネットワークI/F100Dは例えばLANポートや通信回路などを備えている。通信回路は有線通信回路と無線通信回路のいずれか一方又は両方を含んでいる。ネットワークI/F100Dは通信ネットワークNW1と接続されている。
【0043】
RAM100BにはROM100C、HDD100E、半導体メモリ730の少なくとも1つに記憶された表示制御プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。RAM100Bには可搬型記録媒体740に記録された表示制御プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。格納された表示制御プログラムをCPU100Aが実行することにより、CPU100Aは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を含む表示制御方法を実行する。なお、表示制御プログラムは後述するフローチャートに応じたものとすればよい。
【0044】
図7を参照して、表示制御サーバ100の機能構成について説明する。なお、
図7では表示制御サーバ100の機能の要部が示されている。
【0045】
図7に示すように、表示制御サーバ100は記憶部110、処理部120、及び通信部130を備えている。記憶部110は上述したRAM100BとHDD100Eのいずれか一方又は両方によって実現することができる。処理部120は上述したCPU100Aによって実現することができる。通信部130は上述したネットワークI/F100Dによって実現することができる。記憶部110、処理部120、及び通信部130は互いに接続されている。記憶部110は、記事一覧記憶部111を含んでいる。処理部120は、第1取得部121、第2取得部122、決定部123、及び表示部124を含んでいる。
【0046】
第1取得部121は記事データD1,D2を含む複数の記事データの一覧を取得する。より詳しくは、第1取得部121は端末装置40から送信された検索要求を受信する。第1取得部121は検索要求を受信すると、検索要求をDBサーバ51に転送する。DBサーバ51は検索要求を受信すると、検索要求に含まれるキーワードに応じた記事データの一覧をストレージ52から抽出し、表示制御サーバ100に送信する。これにより、第1取得部121は記事データの一覧を取得する。第1取得部121は記事データの一覧を取得すると、記事データの一覧を記事一覧記憶部111に格納する。これにより、記事一覧記憶部111は、ストレージ52に格納された様々な記事データのうち(
図2参照)、キーワードに応じた記事データD1,D2を含む複数の記事データの一覧を記憶する。なお、第1取得部121は記事データの一覧を記事一覧記憶部111に格納すると、端末装置40から信頼リストTL(
図5参照)を取得する。
【0047】
第2取得部122は、第1取得部121が取得した記事データの一覧それぞれに対し、記事データを肯定した複数の評価者の評価者情報を取得する。より詳しくは、第2取得部122は、記事一覧記憶部111から記事データの一覧を抽出し、抽出した記事データの一覧それぞれに対し、お墨付きデータを取得する。第2取得部122は、取得したお墨付きデータに基づいて、記事データの記事を肯定した複数の評価者の評価者情報を特定する。例えば、記事データD1はお墨付きデータ61,62によって肯定されたり、否定されたりする。お墨付きデータ61には、評価者P2の識別子「a2」が評価者情報として登録される。このため、お墨付きデータ61はユーザ情報に相当する。評価者P5,P6のお墨付きデータについてもお墨付きデータ61と同様である。記事データD1,D2は複数の評価者P2,P5,P6によって肯定されている(
図5参照)。このため、第2取得部122は複数の評価者P2,P5,P6のお墨付きデータを取得する。
【0048】
決定部123は記事データD1,D2を含む複数の記事データの一覧の中から優先的に表示する記事を含む記事データを決定する。より詳しくは、決定部123は、第2取得部122が取得したお墨付きデータと、信頼リストTLから除外された評価者P5,P6が肯定した肯定数の情報とに基づいて、記事データを決定する。
【0049】
上述したように、信頼リストTLは閲覧者P4が信頼する評価者P2の識別子「a2」を含むが、評価者P5,P6の各識別子を含んでいない(
図5参照)。すなわち、信頼リストTLから評価者P5,P6は除外されている。このため、本実施例であれば、評価者P2,P5,P6の評価者情報と評価者P5,P6が肯定した肯定数の情報とに基づいて、複数の記事データの一覧の中から記事データD2を決定する。
【0050】
表示部124は閲覧者が信頼する評価者によって肯定された記事を含む記事データ、及び、閲覧者が信頼する作成者によって作成された記事の記事データを表示順位の上位に表示する。すなわち、表示部124は、閲覧者の主観的な信頼性が高い記事を含む記事データを表示順位の上位に表示する。
【0051】
また、表示部124は、主観的な信頼性が高い記事データを表示する際、決定部123が決定した記事データを主観的な信頼性が高い記事に関連付けて表示する。すなわち、表示部124は客観的な信頼性が高い記事を含む記事データも併せて表示する。例えば本実施例であれば、表示部124は主観的な信頼性が高い記事を含む記事データとして記事データD1を表示し、客観的な信頼性が高い記事を含む記事データとして記事データD2を記事データD1に並べて表示する。表示部124は、例えば記事データD2のURLを記事データD1のURLの下位に並べて表示してもよいし、記事データD1のURLの右側に並べて表示してもよい。記事データD2のURLが端末装置40に表示されることで、閲覧者P4は記事データD2を記事データD1に対する注意喚起として気付くことができる。
【0052】
図8を参照して、表示制御サーバ100が実行する様々な処理について説明する。
【0053】
端末装置40からキーワードを含む検索要求が送信されると、
図8に示すように、第1取得部121は検索要求を受信してDBサーバ51に転送する(ステップS1)。上述したように、DBサーバ51は検索要求に含まれるキーワードに応じて抽出した記事データの一覧を表示制御サーバ100に送信する。これにより、第1取得部121は記事データの一覧を取得する(ステップS2)。第1取得部121は、記事データの一覧を取得すると、記事一覧記憶部111に格納し、端末装置40から信頼リストを取得する(ステップS3)。
【0054】
第1取得部121が信頼リストを取得すると、第2取得部122は第1ループ処理を開始する(ステップS4)。より詳しくは、第2取得部122は記事一覧記憶部111からいずれか1つの記事データをループ処理の対象記事として抽出し、第1ループ処理を開始する。第1ループ処理を開始すると、第2取得部122は対象記事と関連付けられたお墨付きデータを取得する(ステップS5)。例えば、第2取得部122が記事一覧記憶部111から記事データD1を抽出した場合、第2取得部122はデータ管理サーバ210,220のそれぞれからお墨付きデータ61,62を取得する(
図3及び
図4参照)。
【0055】
お墨付きデータを取得すると、第2取得部122は対象記事の重みを算出する(ステップS6)。より詳しくは、第2取得部122は、信頼リストとお墨付きデータとに基づいて、対象記事の重みを算出する。例えば、お墨付きデータの記事作成者IDの項目に登録された識別子が信頼リストにあれば、第2取得部122は対象記事の初期重み(例えば初期重み「0」)に第1重みαを加算する。第1重みαは事前に設定された正の数値である。本実施例では第1重みαとして例えば数値「1」が採用される。
【0056】
また、お墨付きデータのED発行体IDの項目に登録された評価者の識別子が信頼リストにあり、かつ、評価IDの項目に肯定を表す識別子「Posi」が登録されていれば、第2取得部122は対象記事の初期重みに第2重みβを加算する。お墨付きデータのED発行体IDの項目に登録された評価者の識別子が信頼リストに含まれており、かつ、評価IDの項目に否定を表す識別子「Nega」が登録されていれば、第2取得部122は対象記事の初期重みから第2重みβを減算する。第2重みβは事前に設定された正の数値である。本実施例では第2重みβとして例えば数値「1」が採用される。
【0057】
したがって、第2取得部122が記事データD1を抽出し、お墨付きデータ61,62を取得した場合、第2取得部122は対象記事の重み「2」を算出する。すなわち、お墨付きデータ61の記事作成者IDの項目に登録された識別子「a1」は信頼リストTLにあるため(
図3及び
図5参照)、第2取得部122は対象記事の初期重み「0」に第1重み「1」を加算する。また、お墨付きデータ61のED発行体IDの項目に登録された評価者の識別子「a2」が信頼リストTLにあり(
図3及び
図5参照)、かつ、評価IDの項目に肯定を表す識別子「Posi」が登録されているため、第2取得部122は対象記事の初期重み「0」に第2重み「1」を加算する。これにより、第2取得部122は対象記事の重み「2」を算出する。すなわち、記事データD1に重み「2」が付与される。
【0058】
重みを算出すると、第2取得部122は第1ループ処理を終了する(ステップS7)。これにより、第2取得部122は記事一覧記憶部111から別の記事データをループ処理の対象記事として抽出し、再び第1ループ処理を開始する。例えば、第2取得部122が記事一覧記憶部111から記事データD2を抽出した場合、第2取得部122は例えばデータ管理サーバ230などから評価者P5,P6の各お墨付きデータ(不図示)を取得する。
【0059】
第2取得部122が記事データD2を抽出し、記事データD2に関連する評価者P5,P6のお墨付きデータを取得した場合、第2取得部122は対象記事の重み「0」を算出する。すなわち、記事データD2の記事は評価者P3によって作成されているため、第2取得部122が取得する評価者P5,P6の各お墨付きデータの記事作成者IDの項目には識別子「a3」が登録されている。この識別子「a3」は信頼リストTLにない(
図5参照)。このため、第2取得部122は対象記事の初期重み「0」に第1重み「1」を加算せずに維持する。
【0060】
また、評価者P5のお墨付きデータのED発行体IDの項目には評価者P5の識別子「a5」が登録されている。同様に、評価者P6のお墨付きデータのED発行体IDの項目には評価者P6の識別子「a6」が登録されている。これら2つの識別子「a5」及び「a6」はいずれも信頼リストTLにない(
図5参照)。このため、第2取得部122は対象記事の初期重み「0」に第2重み「1」を加算せずに維持する。これにより、第2取得部122は対象記事の重み「0」を算出する。すなわち、記事データD2に重み「0」が付与される。このように、第2取得部122は、複数の評価者P2,P5,P6のお墨付きデータ61などを取得して、記事データD1,D2の重みを算出する。
【0061】
第2取得部122が記事データの一覧全てに対し第1ループ処理を実行し終えると、決定部123は第2ループ処理を開始する(ステップS8)。より詳しくは、決定部123は記事一覧記憶部111からいずれか1つの記事データをループ処理の対象記事として抽出し、第2ループ処理を開始する。第2ループ処理を開始すると、決定部123は対象記事に否定的に関連する関連記事を抽出する(ステップS9)。
【0062】
例えば、記事データD1が対象記事として抽出され、記事データD1の記事を、記事データD2の記事を作成する評価者P3が否定する場合(
図5参照)、決定部123は記事データD2が対象記事に否定的に関連すると判断する。そして、決定部123はこの記事データD2を関連記事として抽出する。上述したように、決定部123はスクレイピングなどを行って関連記事を抽出してもよいし、これら2つの抽出手法の両方を利用して、関連記事を抽出してもよい。
【0063】
関連記事を抽出すると、決定部123は注意記事を抽出する(ステップS10)。より詳しくは、決定部123は関連記事の中から対象記事と注意関係にある特定の関連記事を注意記事と決定して抽出する。すなわち、決定部123は関連記事を一部に絞り込む。例えば、正の重みが付与された記事データに重み「0」以下の記事データが関連しており、かつ、重み「0」以下の記事データに対するお墨付きデータの肯定数が閾値γを超えている場合、決定部123は関連記事が対象記事と注意関係にあると判断する。
【0064】
本実施例であれば、正の重み「2」が付与された記事データD1に、重み「0」が付与された記事データD2が否定的に関連している。このため、閾値γとして例えば数値「1」が事前に設定されている場合、記事データD2の記事を肯定する評価者P5,P6の各お墨付きデータに基づけば肯定数「2」により、決定部123は記事データD2が記事データD1と注意関係にあると判断する。これにより、決定部123は記事データD2を注意記事と決定して抽出する。注意記事を抽出すると、決定部123は第2ループ処理を終了する(ステップS11)。これにより、決定部123は記事一覧記憶部111から別の記事データをループ処理の対象記事として抽出し、再び第2ループ処理を開始する。
【0065】
このように、決定部123は、第2取得部122が取得した評価者P2,P5,P6のお墨付きデータ61などと、信頼リストTLから除外された評価者P5,P6の肯定数の情報とに基づいて、記事データの一覧の中から優先的に表示する注意記事を決定する。すなわち、記事データの一覧の中には注意記事に該当しない記事も含まれるため、決定部123はこのような記事より優先的に表示する注意記事を決定する。
【0066】
決定部123は、記事データの一覧全てに対し第2ループ処理を実行し終えると、表示部124は記事データを重み順に並び替える(ステップS12)。これにより、例えば記事データD1の順位が記事データD2の順位より上位になる。記事データを並び替えると、表示部124は第3ループ処理を開始する(ステップS13)。例えば、表示部124は並び替えた記事データの最上位をループ処理の対象記事として抽出し、第3ループ処理を開始する。
【0067】
第3ループ処理を開始すると、表示部124は対象記事のURLを端末装置40の画面に表示する(ステップS14)。対象記事のURLを表示すると、表示部124は注意記事の有無を判断する(ステップS15)。注意記事がある場合(ステップS15:YES)、表示部124は注意記事のURLを端末装置40の画面に表示する(ステップS16)。一方、注意記事がない場合(ステップS15:NO)、表示部124はステップS16の処理をスキップする。
【0068】
注意記事のURLを表示するか、ステップS16の処理をスキップすると、表示部124は第3ループ処理を終了する(ステップS17)。これにより、表示部124は並び替えた記事データの次上位をループ処理の対象記事として抽出し、再び第3ループ処理を開始する。第3ループ処理の対象記事がなくなると、表示部124は処理を終了する。以上の処理により、端末装置40の画面には、記事データD1の記事へのURLが表示され、その下位に記事データD2の記事へのURLが注意記事へのURLとして表示される。
【0069】
図9を参照して、実施例の効果を比較例1及び比較例2と対比して説明する。
【0070】
比較例1は、閲覧者が信頼する者か否かに関わらず、肯定数の多い順に記事が表示される例である。この場合、様々な評価者が記事を評価するため、客観的な信頼性は高いが、社会的な信頼性が乏しい者によって記事が肯定されている可能性もある。このため、閲覧者本人が信頼する者によって記事が肯定されているとは限らず、主観的な信頼性が低い可能性がある。
【0071】
比較例2は、閲覧者が信頼する者を優先して記事が表示される例である。この場合、閲覧者本人が信頼する者を基準に記事が上位に表示される。このため、主観的な信頼性は高いが、閲覧者と価値観が類似する者同士で共感し合うことにより特定の意見や思想が増幅し、閲覧者は自分と似た思考であれば正解であると勘違いする可能性が高い。すなわち、比較例2ではエコーチェンバー現象が発生するおそれがある。
【0072】
比較例1及び比較例2に対し、本実施例であれば、記事の表示において、閲覧者のキーワードに応じた記事の一覧から、閲覧者が信頼する作成者が作成した記事や閲覧者が信頼する評価者が肯定する記事が上位に表示される。これにより、閲覧者の主観的な信頼性が確保される。一方で、閲覧者が信頼する者か否かに関わらず、閲覧者以外の者が作成した記事が閲覧者の信頼とは無関係な第三者に肯定されていれば、記事同士に関連性があることにより、この記事が注意記事として表示される。これにより、客観的な信頼性が確保される。このように、本実施例によれば、記事の表示において、主観的な信頼性と客観的な信頼性を確保することができる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明に係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述した実施例では第1重みαと第2重みβを同じ数値としたが、第1重みαと第2重みβを異なる数値としてもよい。
【0074】
例えば、信頼リストTL内に定義された者のうち、特に著名で権威がある者を信頼リストTLの中でも特別な者と位置付けて、第1重みαを倍にしてもよい。また、第1重みαを加算する対象が、多くの場合、作成者1人であるのに対し、第2重みβを加算する対象はお墨付きデータの数の分だけ存在する。このため、第1重みαの影響が少なくなる可能性がある。そこで、お墨付きデータの数が多い場合には、第1重みαの数値を上げておくことで、第2重みβの影響を抑えてもよい。
【0075】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)第1ユーザから入力されたキーワードに基づいて、通信ネットワーク上に公開された記事の一覧を取得し、取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を取得し、取得した前記ユーザ情報と、前記第1ユーザが信頼する前記複数のユーザの中の第2ユーザを含む信頼ユーザ情報から除外された前記複数のユーザの中の第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する、処理をコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。
(付記2)前記信頼ユーザ情報と、前記第2ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から前記第1ユーザに提示する第1記事を決定し、取得した前記ユーザ情報と、前記第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する第2記事を決定する、処理を前記コンピュータに実行させるための付記1に記載の表示制御プログラム。
(付記3)前記信頼ユーザ情報と、前記第2ユーザが共感した数の多さとに基づいて、取得した前記記事それぞれの重みを算出し、算出した重みに基づいて、前記記事の一覧の中から前記第1ユーザに提示する第1記事を一意に決定し、取得した前記ユーザ情報と、前記第3ユーザが共感した数の多さとに基づいて、前記第1記事を除いた前記記事の一覧の中から優先的に表示する第2記事を決定する、処理を前記コンピュータに実行させるための付記1に記載の表示制御プログラム。
(付記4)取得した前記記事それぞれに対して否定的なユーザに関する別のユーザ情報を取得し、取得した前記別のユーザ情報に基づいて、前記記事の一覧の中から表示する記事を決定する、処理を前記コンピュータに実行させるための付記1に記載の表示制御プログラム。
(付記5)取得した前記記事に含まれる所定の記事が、否定を表す所定情報に基づいて、前記所定の記事とは異なる別の記事又は前記別の記事の作成者から否定されている場合、前記別の記事を前記所定の記事に関連する関連記事として抽出し、前記関連記事と、取得した前記ユーザ情報と、前記第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する、処理を前記コンピュータに実行させるための付記1に記載の表示制御プログラム。
(付記6)取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を、前記通信ネットワーク上の前記記事の確からしさにお墨付きを与えるお墨付きデータに基づいて、取得する、処理を前記コンピュータに実行させるための付記1から3のいずれか1項に記載の表示制御プログラム。
(付記7)決定した前記第1記事へのリンク情報と前記第2記事へのリンク情報とを並べて前記第1ユーザが操作する端末装置に表示する、処理を前記コンピュータに実行させるための付記2又は3に記載の表示制御プログラム。
(付記8)第1ユーザから入力されたキーワードに基づいて、通信ネットワーク上に公開された記事の一覧を取得する第1取得部と、取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を取得する第2取得部と、取得した前記ユーザ情報と、前記第1ユーザが信頼する前記複数のユーザの中の第2ユーザを含む信頼ユーザ情報から除外された前記複数のユーザの中の第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する決定部と、を有する表示制御装置。
(付記9)第1ユーザからキーワードが入力される端末と、前記キーワードに基づいて、通信ネットワーク上に公開された記事の一覧を取得し、取得した前記記事それぞれに対して共感した複数のユーザのユーザ情報を取得し、取得した前記ユーザ情報と、前記第1ユーザが信頼する前記複数のユーザの中の第2ユーザを含む信頼ユーザ情報から除外された前記複数のユーザの中の第3ユーザが共感した数の情報とに基づいて、前記記事の一覧の中から優先的に表示する記事を決定する表示制御装置と、を有する表示制御システム。
【符号の説明】
【0076】
10,20,30,40 端末装置
50 お墨付きシステム
51 DBサーバ
52 ストレージ
61,62 お墨付きデータ
100 表示制御サーバ
111 記事一覧記憶部
121 第1取得部
122 第2取得部
123 決定部
124 表示部
210,220,230 データ管理サーバ
ST 表示制御システム
TL 信頼リスト
D1,D2 記事データ