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特開2025-7138連結冷却塔、連結冷却塔のメンテナンス方法
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  • 特開-連結冷却塔、連結冷却塔のメンテナンス方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007138
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】連結冷却塔、連結冷却塔のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 25/00 20060101AFI20250109BHJP
   F28F 27/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F28F25/00
F28F27/00 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108338
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 耀大
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、複数連結された冷却塔の管理において、連結された冷却塔を一体として管理することができ、メンテナンス性を向上させた連結冷却塔、及び連結冷却塔のメンテナンス方法を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、液体を冷却する冷却塔であって、前記冷却塔が二以上連結され、前記二以上連結された一の前記冷却塔と隣接する他の前記冷却塔との境界において仕切りを有さないことを特徴とする、連結冷却塔を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を冷却する冷却塔であって、
運転できる最小単位であるセルが二以上連結され、
前記二以上連結された一の前記冷却塔と隣接する他の前記冷却塔との境界において仕切りを有さないことを特徴とする、
連結冷却塔。
【請求項2】
前記冷却塔が備える充填材が分割可能であることを特徴とする、
請求項1に記載の連結冷却塔。
【請求項3】
前記冷却塔の排気ファンの異常を判断する異常判断部を備えることを特徴とする、
請求項1または2に記載の連結冷却塔。
【請求項4】
一の冷却塔と、隣接する他の冷却塔と、を備える連結冷却塔のメンテナンス方法であって、
前記一の冷却塔のマンホールから、前記他の冷却塔のメンテナンスを行うステップを備えることを特徴とする、
連結冷却塔のメンテナンス方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結冷却塔、連結冷却塔のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却塔は、空気流中に冷却水を落下させ空気と接触した水の一部が蒸発することにより水温を下げる。冷却対象である処理水は、冷却塔内の充填材の表面を流下しながら、排気ファンにより塔内に誘引される外気と直接接触する。処理水は充填材の表面を伝い流れている時に外気と接触する。充填材により処理水は外気と効率よく接触し、処理水の一部を蒸発させ、残りの処理水の温度を下げる。
【0003】
一の冷却塔は、一の塔体と、一のファンと、一又は複数の充填材と、一の水槽とをその基本構成として備えている。要求される冷却能力に応じて、一の冷却塔の能力が大きなものを選択するか、又は、要求される冷却能力に見合う複数の冷却塔を選択する。
一般的に冷却塔は、運転できる最小単位であるセルに、一の塔体と、一のファンと、一又は複数の充填材と、一の水槽とをその基本構成として備えている。要求される冷却能力応じて、その冷却能力を満足する一のセルで構成される冷却塔を選択するか、又は、要求される冷却能力に見合うように複数のセルを連結した冷却塔を選択する。
【0004】
冷却塔メーカー各社は冷却性能等に応じた製品の型番をつけたカタログで提示している。冷却塔ユーザーは、このカタログから製品を選択し、要求する冷却能力や冷却塔の設置条件、敷地の状況に応じて同一の型番の冷却塔を複数連結して設置する場合がある。
また、冷却塔として運転のできる最小単位であるセルを、一の塔体の中に連結して配置する型の冷却塔もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-40672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来一つの冷却塔の塔体の中に複数のファンがある冷却塔の場合、ファンごとに内部の空間が仕切られており、メンテナンス性が悪いという問題があった。また複数の冷却塔を連結した連結冷却塔においても同様の問題があった。
複数のセルが連結された冷却塔の場合、セルごとに空間が仕切られており、充填材交換の際にはセルごとに外板などを取り外す必要があり、メンテナンス性が悪いという問題があった。
【0007】
複数のセルが連結された冷却塔は、連結された冷却塔として一体的に異常判断できておらず、それぞれのセルは独立して監視される。例えば、充填材へのスケール堆積による性能不足は、セルごとに起こる。したがって、性能不足に対応する異常判断もセルごとに行うこととなり、連結された冷却塔を一体的に管理できていない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであって、複数のセルが連結された冷却塔の管理において、連結された冷却塔を一体として管理することができ、メンテナンス性を向上させた連結冷却塔、及び連結冷却塔のメンテナンス方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一態様に係る連結冷却塔は、液体を冷却する冷却塔であって、運転できる最小単位であるセルが二以上連結され、前記二以上連結された一の前記冷却塔と隣接する他の前記冷却塔との境界において仕切りがないことを特徴とするものである。
この連結冷却塔によれば、隣り合った二以上の冷却塔の境界に仕切りが無いことで、充填材交換や充填材洗浄などの作業が、一の冷却塔から行うことが可能となり、メンテナンス性が向上するという効果を奏する。
【0010】
また、上記課題を解決するための本発明の連結冷却塔の一実施態様によれば、前記冷却塔が備える充填材が分割可能であることを特徴とするものである。
この連結冷却塔によれば、充填材が分割可能であり、塔体内部の作業空間の事情におうじて、一部充填材を取り外し可能とすることができ、メンテナンスに必要な箇所へのアクセスを可能とし、充填材交換や充填材洗浄などの作業が容易になり、メンテナンス性が向上するという効果を奏する。
【0011】
また、上記課題を解決するための本発明の連結冷却塔の一実施態様によれば、前記冷却塔の充填材及び、排気ファンの異常を判断する異常判断部を備えることを特徴とする。
この連結冷却塔によれば、二以上のセルが連結された冷却塔の運転を一体的に管理できる。これにより、一の冷却塔の運転状態の部分的な最適化ではなく、連結冷却塔の運転状態の全体的な最適化が図れる。
【0012】
また、上記課題を解決するための連結冷却塔のメンテナンス方法は、一の冷却塔と、隣接する他の冷却塔と、を備える連結冷却塔のメンテナンス方法であって、前記一の冷却塔のマンホールから、前記他の冷却塔のメンテナンスを行うステップを備えることを特徴とする。
この連結冷却塔のメンテナンス方法によれば、一の冷却塔のから他の冷却とへと自在にアクセスでき、連結冷却塔を一体的のメンテナンスできる方法が提供される。これにより、連結冷却塔のメンテナンスを一体として実施できるため、メンテナンス作業が効率化される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のセルが連結された冷却塔の管理において、連結された冷却塔を一体として管理することで、メンテナンス性を向上させることができる。また、洗浄頻度や充填材の交換時期なども、連結された冷却塔として一体的に効率的に管理することができる連結冷却塔及び連結冷却塔のメンテナンス方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施態様の連結冷却塔の構造を示す概略説明図である。
図2】本発明の連結冷却塔の異常判断部の概略説明図である。
図3】本発明の連結冷却塔の異常判断部の機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る連結冷却塔、連結冷却塔のメンテナンス方法の実施態様を詳細に説明する。
なお、実施態様に記載する連結冷却塔、連結冷却塔のメンテナンス方法については、本発明に係る冷却塔及び充填材を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0016】
本明細書において、処理水とは冷却塔において冷却対象となる水であり、冷却塔外から受け入れた水を、冷却塔内で冷却した後、再び冷却塔外へ冷却水として循環させる水をいう。また、排気ファンとは、塔内の空気を誘引することにより、塔体に設けられた吸気口から外気を取り入れつつ塔内の空気を塔外へ排気するという空気の流れをつくり出す送風機である。
【0017】
冷却塔の主な用途は、液体を冷却するための装置であれば、特に制限されないが、例えば、空調用の冷却水の冷却や、生産プロセス用の潤滑油や炉体の冷却水の冷却などが挙げられる。
【0018】
(第1実施形態)
以下に、第一の実施態様に係る連結冷却塔10について、図1を参照しながら説明する。図1は本発明の第一の実施態様の連結冷却塔の構造を示す概略説明図である。図1では、二の冷却塔を連結した構成の連結冷却塔で示した。三以上の冷却塔を連結した構成の連結冷却塔の説明は、二の冷却塔を連結した構成の連結冷却塔の説明に置き換えるものとする
【0019】
冷却塔は、処理水を空気と接触させることにより、処理水の一部が蒸発し、その気化熱により処理水自体を冷却するための装置である。第一の実施態様の連結冷却塔10で、処理水は充填材21へと流下し、水槽14まで到達する。連結冷却塔の側面に設けられた給気口16a、16bから流入した外気は、塔内へ吸引され充填材21の下部の空間に誘引される。その後外気は排気ファン15の方向へと流れの方向を変え、充填材21を通過して、排気口12から排気される。
【0020】
図1に示すように、連結冷却塔10は、たがいに隣接する一の冷却塔10aと、他の一の冷却塔10bとからなる。冷却塔10aは、塔体11aと、排気口12a、を備える。塔体11aの内部には、排気ファン15a、と、充填材21a、とを備える。塔体11aの側面には、外気を取り入れるための吸気口16a、が設けられている。
冷却塔10bは、塔体11bと、排気口12bと、を備える。塔体11bの内部には、排気ファン15bと、充填材21bとを備える。塔体11bの側面には、外気を取り入れるための吸気口16bが設けられている。
冷却塔10a、10bは、水槽14と、給水管31とを、共有して備えている。
【0021】
塔体11a、11bの側面の、吸気口16a、16bには、ルーバー17a、17bが設置されている。ルーバー17a、17bは、導入される外気の流れ方向を整え、充填材21a、充填材21bの側面に均等に外気を通過させることができる。また、ルーバー17a、17bにより、所定のサイズ以上の異物が外部から侵入することを防止することができる。
【0022】
給水管31は、外部から供給される処理水を連結冷却塔内に導入するための配管である。給水管31の塔内部分には散水装置13が複数、所定の間隔で設けられている。給水管31から導入された処理水は、散水装置13から処理水が塔内へと落下する。
【0023】
塔体11a、11bは、連結冷却塔のケーシングである。ケーシングとしての形状は、矩形である。連結冷却塔10は、冷却塔10a、10bを連結している。冷却塔10aには、排気ファン15aと、給水管31と、充填材21aとを支持する支持構造材18aが備えられている。同様に、冷却塔10bには、排気ファン15bと、給水管31と、充填材21bとを支持する支持構造材18bが備えられている。
冷却塔10a、10bが隣接する側面には、冷却塔10a、10bの支持構造材18a、18bが隣接して設けられる。
支持構造材18a、18bは、排気ファン15a、15bと、給水管31と、充填材21a、21bを構造的に支持するための梁部材及び柱部材からなる。支持構造材18a、18bには、壁や仕切り部材は取り付けられていない。したがって、冷却塔10aから冷却塔10bへ容易にアクセスでき、又、逆のアクセスも可能であるように、メンテナンスに必要なスペースは確保できている。
【0024】
冷却塔10a、10bの中央上部には、排気口12a、12bが形成されている。排気口12a、12bには、排気ファン15a、15bが設置されている。
排気口12a、12bは、排気ファン15a、15bの誘引により、連結冷却塔10内に取り込まれた外気を冷却塔外へ排出する出口である。排気ファン15a、15bの下方に、処理水を10Aに供給する給水管31が配置されている。給水管31の下方に、充填材21a、21bが設けられている。充填材21a、21bの下部には、処理水を受ける水槽14が設けられている。
【0025】
また、充填材21a、21bと排気口12a、12bの間には、排気流に随伴して空気に含まれる水滴を除去することが可能なエリミネータを設置してもよい。エリミネータを設置することにより、充填材21a、21bを通過した空気に含まれる処理水を回収し、排気口12a、12bから処理水が流出することを防止することができる。
【0026】
連結冷却塔10においては、冷却塔10a、10bを一体的に管理する。例えば、冷却塔10aの充填材21aにスケールが堆積し、圧力損失が大きくなっても、その圧力損失に起因する負荷は、排気ファン15aのみではなく、排気ファン15a、15bに共通して負担する。そのため、連結冷却塔10としての冷却能力が一定程度以上であれば、メンテナンスの時期については、冷却塔10a、10bを一体的に考えればよい。これにより、冷却塔10a、10bの間に仕切りが無いことにより、充填材の補修、交換作業が容易になり、メンテナンス性が向上するという効果の他に、メンテナンスのスケジュールについても冷却塔10a、10bを一体として考えることができ、メンテナンス計画を合理化することができる。
【0027】
(充填材)
充填材21a、21bは、図示されていない複数枚のシート状部材により構成されている。シート状部材は、ハニカム板や波形プラスティックなどのように、表面に凹凸がある構造を有し、充填材の体積に対するシート状部材の表面積の比である比表面積を大きくしている。シート状部材の表面にこのような凹凸を有することにより、処理水と空気の接触面積を大きくすることで冷却効率を高めることができるので、この比表面積の値は冷却塔の冷却能力の指標ともなる。
【0028】
充填材21a、21bは、の形状は、処理水と外気の接触の効率を向上するという観点から、通常はシート状であるが、角柱状などでもよい。充填材21a、21bは、の材質は、一般的に硬質ポリ塩化ビニルに代表される合成樹脂や、金属を原料として種々の形状に成形される。
充填材21a、21bは、全体として一体的に形成されていてもよいし、複数個の単位充填材を、水平方向又は縦方向に配置して形成されていてもよい。
【0029】
(排気ファン)
排気ファン15a、15bは、連結冷却塔10の内部に空気の流れを形成するための構成である。図1の黒塗り矢印に示すように、排気ファン15a、15bを駆動すると、排気口12a、12bから冷却塔10a、10bの内部の空気が排気され、それにより、吸気口16a、16bから外気が流入する。流入した外気は、充填材21a、21bを通過して排気口12a、12bに流れる。
【0030】
排気ファン15a、15bを駆動するための駆動部は、例えば、モーターなどが挙げられる。駆動部は、排気ファン15a、15bを駆動するものであれば特に制限されないが、例えば、インバーターなどによりファンの回転数を可変的に管理できるものでもよい。外気湿球温度と処理水温度とに応じて冷却能力を調整できるため、消費電力を低減できる効果がある。
【0031】
(第2実施形態)
第二の実施態様に係る連結冷却塔10の構成は、図1に示す第一の実施態様の連結冷却塔の構造と同様である。充填材21a、21bは、分割可能に構成されている。充填材21a、21b分割単位の充填材を、支持構造材18a、18bの梁部材及び柱部材に干渉せず、冷却塔10a、10bの間を自在に移動できるサイズとすることにより、メンテナンス性の向上が期待できる。
【0032】
図2は、本発明の連結冷却塔の異常判断部の概略説明図である。排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値は異常判断部41へ送信される。また、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間に備えられた圧力計からは、圧力値が異常判断部41へ送信される。排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値を受けて、異常判断部41では連結冷却塔を管理するためのデータ処理がされる。
【0033】
排気ファン15a、15bの駆動部の電流値からは、排気ファン15a、15bの駆動部の負荷の状態を知ることができる。
一般に、定速運転では排気ファン15a、15bにかかる負荷が大きくなると駆動部の速度は低下し電流は増加し、負荷が小さくなると駆動部は同期速度に近く上昇し電流は減少する。
駆動部に流れる電流が増加して過大になると、駆動部が発熱し温度が上昇して遂には駆動部を損傷してしまう。
ここで、冷却塔10a、10bの排気ファン15a、15bが定常運転している状態とは、具体的には、充填材21a、21bにスケールに堆積がなく、健全な状態にあることにより、充填材21a、21bを通過する空気の圧力損失が、充填材21a、21bの設計データに基づく数値に近い状態のことである。
【0034】
充填材21a、21bにスケールが堆積してくると、充填材21a、21bを通過する空気の圧力損失が大きくなり、排気ファン15a、15bにかかる負荷が大きくなる。排気ファン15a、15bにかかる負荷が大きくなると、駆動部の電流値が上昇する傾向となる。
【0035】
排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間に備えられた圧力計では、この空間の外気との差圧を計測している。
すなわち、充填材21a、21bを通過する空気の圧力損失の程度を示す。したがって、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間に備えられた圧力計の値の上昇によって、充填材21a、21bのスケール蓄積の程度を監視できる。
【0036】
排気ファン15a、15bにかかる負荷が大きくなり、駆動部の電流値が上昇する傾向を示し、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間に備えられた圧力計の値が上がるような傾向の場合は、充填材21a、21bを通過する空気の圧力損失が大きくなったと推定される。
充填材21a、21bにスケールが堆積してくると、
排気ファン15a、15bの駆動部の電流値と、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間に備えられた圧力計の値とを監視することにより、充填材21a、21b、及び、排気ファン15a、15bの駆動部のメンテナンスの時機を把握できる。
【0037】
排気ファン15a、15bの駆動部には、それぞれ電流値、電圧値の検知部を備える。排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間に備えられた圧力計は、冷却塔10a、10bからなる連結冷却塔10に一の圧力計が備えられていればよい。連結冷却塔10における、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間には仕切りがないため、圧力計周囲の局部的な流れの瞬間的な変動を除けば、圧力計が示す値は排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の外気との差圧を示しているからである。
【0038】
排気ファン15a、15bの駆動部の電流値からは、排気ファン15a、15bそれぞれの運転状態も監視することができる。例えば、排気ファン15aに異常な電流値が検知された場合、冷却塔10aに備えられた充填材21aに目詰まり等の不具合が発生しているとみることができる。
また、排気ファン15aにのみ異常な電流値が検知された場合において、圧力計が示す値が特段の変化が無ければ、排気ファン15a自体に不具合が発生したとみることができる。
【0039】
(異常判断部)
図3は、本発明の連結冷却塔監視装置の異常判断部の機能を示す図である。異常判断部41は、データ受信部411と、記憶部412と、演算部413と、表示部414とを備える。データ受信部411は、排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値を受信する。データ受信部411と、排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値のデータの送受信は、有線でもよいし、無線でもよい。
【0040】
データ受信部411は、受信した排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値のデータを、記憶部412へ送る。記憶部412では、排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値のデータを格納する。また、記憶部412には、正常な運転状態における排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値のデータが、監視用の参照値として格納されている。
運転状態を示す排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値のデータは、正常値の範囲となる境界値が幅をもって参照値として設定されていてもよい。
【0041】
たとえば、充填材21a、21bにスケール等が堆積し、充填材21a、21bを通過する空気の圧力損失が大きくなると、排気ファン15a、15bの駆動部の電流値が大きくなるが、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値は上昇するような傾向を示す。そのため、排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値のデータから、充填材21a、21bの目詰まりの状況を検知又は予測することができる。
【0042】
演算部413では、記憶部412で受信された受信した排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値のデータと、記憶部412に格納されている、正常な運転状態における排気ファン15a、15bの駆動部の電流値、電圧値、及び、排気ファン15a、15bと給水管31の間の空間の圧力値の監視用の参照値との比較が行われる。比較した結果、参照値の範囲内であれば、正常運転である旨の情報を、表示部414に受け渡す。比較した結果、参照値逸脱していれば、運転の異常を示す警報を、表示部414に受け渡す。
【符号の説明】
【0043】
10…連結冷却塔、10a、10b…冷却塔、11a、11b…塔体、12a、12b…排気口、13…散水装置、14…水槽、15a、15b…排気ファン、16a、16b…給気口、17a、17b…ルーバー、18a、18b…支持構造材、21a、21b…充填材、31…給水管、32…排水管、41…異常判断部、411…データ受信部、412…記憶部、413…演算部、414…
表示部

図1
図2
図3