(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007144
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】医用データ処理装置、医用データ処理方法および医用データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20250109BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250109BHJP
【FI】
A61B5/055 376
A61B5/055 380
G06T7/00 612
G06T7/00 350C
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108349
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 修紀
(72)【発明者】
【氏名】竹島 秀則
【テーマコード(参考)】
4C096
5L096
【Fターム(参考)】
4C096AA13
4C096AB44
4C096DA30
4C096DC40
5L096BA06
5L096BA13
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】モデルの推論精度を向上すること。
【解決手段】実施形態に係る医用データ処理装置は、取得部と、実行部とを含む。取得部は、医用データを取得する。実行部は、前記医用データに対し、前記医用データ中の注目情報に対応付けられた固定係数の演算処理を行う関数を1以上備える合成関数を用いることにより、出力データを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用データを取得する取得部と、
前記医用データに対し、前記医用データ中の注目情報に対応付けられた固定係数の演算処理を行う関数を1以上備える合成関数を用いることにより、出力データを生成する実行部と、
を具備する医用データ処理装置。
【請求項2】
前記注目情報は、前記医用データのうち、前記合成関数からの出力に影響を与える情報または前記合成関数からの出力に影響を与えることが前記合成関数の訓練において特定された情報である、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項3】
前記合成関数は、前記演算処理として前記医用データに対して前記固定係数を乗算する、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項4】
前記固定係数は、前記医用データに関するデータであり、かつ医学物理または磁気共鳴物理に関するデータに基づく値である、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項5】
前記医用データは、MR(Magnetic Resonance)データ、CT(Computed Tomography)データ、超音波データ、PETデータ、SPECTデータ、バイタルデータおよび生検データの少なくとも1つである、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項6】
前記医用データは、時系列データ、画像データ、波形データ、検査データ、3次元以上のデータの少なくとも1つである、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項7】
前記医用データは、MRSデータであり、
前記固定係数は、基底スペクトルまたは分子のケミカルシフトに対応するスペクトルである、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項8】
前記医用データは、MRSデータであり、
前記合成関数は、前記MRSデータに対して注目したい分子情報に関する前記固定係数を演算処理する、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項9】
前記医用データは、MRSデータであり、
前記合成関数は、訓練データにより訓練されることにより、前記MRSデータに対する未知の分子情報に関する前記固定係数が設定される、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項10】
前記医用データは、MR画像であり、
前記合成関数は、前記MR画像に対して注目したい画像領域に関する前記固定係数を演算処理する、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項11】
前記医用データは、MR画像であり、
前記合成関数は、訓練データにより訓練されることにより、前記MR画像に対する未知の画像領域の抽出に関する前記固定係数が設定される、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項12】
前記合成関数は、ニューラルネットワークであり、
固定係数の演算処理を行う関数は、前記固定係数をパラメータとして含む前記ニューラルネットワークの層である、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項13】
前記医用データは、MRSデータであり、
前記層は、前記MRSデータに対して注目したい分子情報が複数存在する場合、複数の分子情報の合成データに関する前記固定係数、または前記複数の分子情報にそれぞれ対応するチャネルに前記固定係数が設定される、請求項12に記載の医用データ処理装置。
【請求項14】
前記医用データは、MR画像であり、
前記層は、前記MR画像に対して注目したい画像領域が複数存在する場合、複数の画像領域の合成データに関する前記固定係数、または前記複数の画像領域にそれぞれ対応するチャネルに前記固定係数が設定される、請求項12に記載の医用データ処理装置。
【請求項15】
前記合成関数は、ニューラルネットワークであり、
前記出力データは、前記ニューラルネットワークの出力層の構成を切り替えることで、複数のタスクに適用される、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項16】
前記出力データは、前記医用データの医学的分類処理、画像再構成処理、デノイズ処理、セグメンテーション処理、超解像処理のいずれかの処理結果となるデータである、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項17】
前記固定係数は、前記医用データを収集したMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置の磁場不均一に関するデータ、コイルの送信および受信感度データに対応する値である、請求項1に記載の医用データ処理装置。
【請求項18】
医用データを取得し、
前記医用データに対し、前記医用データ中の注目情報に対応付けられた固定係数の演算処理を行う関数を1以上備える合成関数を用いることにより、出力データを生成する、
医用データ処理方法。
【請求項19】
コンピュータに、
医用データを取得する取得機能と、
前記医用データに対し、前記医用データ中の注目情報に対応付けられた固定係数の演算処理を行う関数を1以上備える合成関数を用いることにより、出力データを生成する生成機能と、
を実現させる医用データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用データ処理装置、医用データ処理方法および医用データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MR(Magnetic Resonance)画像およびMRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)のスペクトルデータなどに対し、学習済みモデルを用いて腫瘍の組織分類を行いそのグレードを推定するなどの、医用データに基づく医学的分類を推定する手法がある。しかし、当該手法で用いられる学習済みモデルの推論では、注目する領域または重要な領域に関する情報が学習済みモデルで利用されていないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-41978号公報
【特許文献2】特開2019-154854号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Hidenori Takeshima、Deep Learning and Its Application to Function Approximation for MR in Medicine: An Overview、Magn Reson Med Sci、doi:10.2463/mrms.rev.2021-004、Published Online: September 17, 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、モデルの推論精度を向上することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用データ処理装置は、取得部と、実行部とを含む。取得部は、医用データを取得する。実行部は、前記医用データに対し、前記医用データ中の注目情報に対応付けられた固定係数の演算処理を行う関数を1以上備える合成関数を用いることにより、出力データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る医用データ処理装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る医用データ処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る学習済みモデルの入出力関係を示す図である。
【
図4】
図4は、医用データの一例であるMRスペクトルを示す概念図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第1例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第2例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第3例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第4例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第5例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第5例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第6例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第6例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第7例を示す図である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第8例を示す図である。
【
図15】
図15は、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第9例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用データ処理装置、医用データ処理方法および医用データ処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。以下、一実施形態について図面を用いて説明する。
【0009】
本実施形態に係る医用データ処理装置について
図1のブロック図を参照して説明する。
図1に示すように、医用データ処理装置1は、例えば、処理回路10、メモリ11、入力インタフェース12、通信インタフェース13およびディスプレイ14を有するコンピュータである。なお、医用データ処理装置1は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、X線CT(Computed Tomography)装置などの各種医用画像診断装置のコンソールに搭載されてもよいし、ワークステーションに搭載されてもよい。または、医用画像診断装置およびワークステーションと独立して存在してもよい。また、医用データ処理装置1は、メモリ11、入力インタフェース12、通信インタフェース13、ディスプレイ14のうちの他の少なくとも1つの構成を含まずに実現されてもよい。医用データ処理装置1は、例えば処理回路10単独で実現されてもよい。
【0010】
処理回路10は、ハードウェア資源としてプロセッサを有する。処理回路10は、医用データ処理装置1の中枢として機能する。
【0011】
取得機能101により処理回路10は、種々の医用データを取得する。種々の医用データとしては、例えば、MR画像およびMRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)によるMRスペクトルといったMRデータ、CT画像、X線画像、超音波画像、PET(Positron Emission Tomography)画像、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)画像などの核医学画像に代表される医用画像、またはその中間データである、k空間データ、投影データ、サイノグラムデータが挙げられる。また、医用データは、バイタルデータ、生検データといった他の検査に関するデータであってもよい。また、医用データは、時系列データであってもよいし、波形データ、検査データなどの1次元データであってもよいし、画像データなどの2次元データであってもよいし、ボリュームデータなどの3次元データまたはそれ以上の次元を有するデータであってもよい。取得機能101により処理回路10は、医用データは、医用画像診断装置から直接的に取得してもよいし、一旦メモリ11に記憶された医用データを、当該メモリ11から取得してもよい。
【0012】
設定機能102により処理回路10は、医用データ中の注目情報に対応付けられた固定係数の演算処理を行う関数を1以上、合成関数に対して設定する。注目情報は、医用データにおいて注目すべき、または重要となる項目または領域などを示す情報である。つまり注目情報は、合成関数からの出力に影響を与える情報または合成関数からの出力に影響を与えることが合成関数の訓練において特定された情報である。固定係数は実数値である。言い換えれば、固定係数は、医用データに関するデータであり、かつ医学物理または磁気共鳴物理に関するデータに基づく値である。合成関数は、例えば、ニューラルネットワークなど機械学習で用いられるモデルである。以下、合成関数は学習済みモデルである場合について説明する。
【0013】
モデル実行機能103により処理回路10は、設定された合成関数を用いることにより、出力データを生成する。出力データは、例えば医用データに関する医学的分類結果である。医学的分類結果は、例えば腫瘍の有無などの判定または腫瘍のグレーディングに関する情報である。なお、出力データは、医学的分類結果に限らず、セグメンテーション、予後推定、治療法の提案といった臨床意思決定支援(CDS:Clinical Decision Support)であってもよい。
【0014】
表示制御機能104により処理回路10は、種々の情報をディスプレイ14に表示する。例えば、医用データや、モデル実行機能103により生成された医学的分類結果などがディスプレイ14に表示される。
【0015】
モデル訓練機能105により処理回路10は、機械学習モデルを訓練し、注目情報に関する固定係数を算出する。
【0016】
メモリ11は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ11は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、メモリ11は、医用データ(スペクトルデータ、画像データなど)、出力データ(医学的分類結果など)、制御プログラム等を記憶する。
【0017】
入力インタフェース12は、ユーザからの各種指令を受け付ける入力機器を含む。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ、タッチスクリーン、タッチパッド等が利用可能である。なお、入力機器は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、医用データ処理装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力インタフェース12の例に含まれる。また、入力インタフェース12は、マイクロフォンにより収集された音声信号を指示信号に変換する音声認識装置でもよい。
【0018】
通信インタフェース13は、LAN(Local Area Network)等を介して医用データ処理装置1と、医用画像診断装置、ワークステーションやPACS(Picture Archiving and Communication System)、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)等とを接続するインタフェースである。
【0019】
ディスプレイ14は、表示制御機能106により種々の情報を表示する。ディスプレイ14としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0020】
なお、上記の構成は一例であって、これに限定されない。例えば、メモリ11のうちのデータ収集条件の記憶領域は、医用データ処理装置1に実装されている必要はなく、例えば、医用データ処理装置1にネットワークを介して接続された記憶装置に実装されてもよい。さらに、処理回路10の各機能は、複数のデバイスをまたいで実現されてもよい。例えば、取得機能101、設定機能102、モデル実行機能103および表示制御機能104は、医用画像診断装置のコンソールに組み込まれて実行され、モデル訓練機能105がワークステーションで実行されるといった構成であってもよく、複数のデバイスで医用データ処理装置1の各機能を協調して実現できれば、各処理がどのデバイスで実行されるかは問わない。
【0021】
以下、本実施形態に係る医用データ処理装置1の動作例について
図2のフローチャートを詳細に説明する。
【0022】
ステップSA1では、取得機能101により処理回路10が、医用データを取得する。
ステップSA2では、設定機能102により処理回路10が、医用データとタスクとに応じて、注目情報に対応付けられた固定係数を設定する。固定係数の設定は、例えば学習済みモデルに対して、注目情報に関する固定係数をパラメータとして設定したニューラルネットワークの層構造である注目層を学習済みモデルに組み込むことで実現すればよい。
【0023】
ステップSA3では、モデル実行機能103により処理回路10が、注目層が組み込まれた学習済みモデルを医用データに適用し、学習済みモデルにより出力データが生成される。言い換えれば、医用データに対して注目層に係る固定係数の演算処理が実行される。ここでは、医用データに対して医学的分類が実行され、医学的分類結果を得る。
ステップSS4では、例えば表示制御機能104により処理回路10が、医学的分類結果をディスプレイ14などに出力する。
【0024】
なお、ステップSA2の処理は、学習済みモデルに対して既に注目層が組み込まれている場合は、新たな注目層を学習済みモデルに対して設定しなくともよい。
【0025】
次に、本実施形態に係る学習済みモデルの入出力関係について
図3を参照して説明する。
図3に示すように、学習済みモデル30は、医用データ31が入力され、医学的分類結果32を出力するようにパラメータ(例えば、重みおよびバイアス)が学習されたモデルである。学習済みモデル30は、ここでは、Transformer、ResNet、DenseNetなどの畳み込み層を有する深層畳み込みニューラルネットワークを想定する。なお、深層畳み込みニューラルネットワークに限らず、機械学習の分野で用いられる合成関数(モデル)であれば、どのようなモデルを用いてもよい。
【0026】
学習済みモデル30は、入力層、中間層30-2および出力層30-3を含む。ここで入力層は、注目層30-1に該当する。注目層30-1は、注目情報、例えば注目したい分子情報、注目したい領域などに関する固定係数の演算処理を行う層である。注目層30-1は、例えば、全結合層(FC:Full connection layer)で形成され、医用データ31に対して固定係数が乗算される。すなわち、注目層30-1は、医用データ31の位置情報に依存した処理を実行するように振る舞う。
【0027】
一方、中間層30-2は、ここでは複数の畳み込み層が配置されることを想定する。そのため、中間層30-2では、畳み込み層における受容野を考慮すれば、ネットワークの深さが深くなるほど位置情報に依存しない処理が実行されることになる。
出力層30-3は、医学的分類結果として、例えば分類タスクに関する確率値を出力する。
【0028】
次に、本実施形態に係る医用データの一例であるMRスペクトルについて、
図4の概念図を参照して説明する。
図4に示すMRスペクトルは、ケミカルシフト計測の一種であるMRSにより得られたデータに基づくスペクトルである。MRSは、ケミカルシフトのスペクトルを計測するデータ収集法である。なお、MRSに限らず、CSI(chemical shift imaging)、CEST(Chemical Exchange Spectroscopy)又はZAPPED(Z-Spectrum Analysis Provides Proton Environment Data)、拡散強調MRSなどのいずれの計測法により得られたスペクトルデータを、本実施形態に係る医用データとして用いてもよい。拡散強調MRSは、拡散強調傾斜磁場(MPG:Motion Probing Gradient)付きのパルスシーケンスによるMRSであり、得られるスペクトルは、MPGの印可により分子内の水素原子核の拡散が協調される。
【0029】
スペクトルデータの生成方法としては、具体的には、PRESS(point resolved spectroscopy)やSTEAM(stimulated echo acquisition mode)、ISIS(Image-Selected In vivo Spectroscopy)、SPECIAL(Spin Echo Full Intensity Acquired Localized)、semi-LASER(semi-localization by adiabatic selective refocusing)、LASERなどによる、MRSのパルスシーケンスに基づき収集された、積算回数分のk空間データを合成する。合成されたk空間データにフーリエ変換を施し、MR信号強度値を周波数関数で表すデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータに位相補正やベースライン補正等の後処理を施してMRSのスペクトルデータが生成されればよい。
【0030】
図4に示すMRスペクトルは、縦軸がMR信号強度値[AU(Arbitrary Unit)]に規定され、横軸が基準周波数からの差異、すなわちケミカルシフト[ppm(parts per million)]に規定される。基準周波数は、任意に選択された基準物質の周波数に設定される。基準物質は、特に限定されないが、例えば、テトラメチルシラン(TMS:tetramethylsilane)に設定される。MRスペクトルによれば、N-アセチルアスパラギン酸(NAA)、クレアチン(Cr)、コリン(Cho)等の分子の存在量を可視化することができる。
【0031】
次に、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第1例について
図5を参照して説明する。
注目情報となる分子が未知である場合は、モデル訓練機能105により処理回路10が、機械学習モデル50を訓練することにより、学習済みモデル30を生成すればよい。
【0032】
訓練データとしては、医用データ(ここでは一例として、MRSデータ41)を入力データとし、過去の事例より収集された医学的分類結果42を正解データとして、これらの組合せを用いればよい。入力データとなるMRSデータ41は、例えばMRI装置により生成される。正解データとなる医学的分類結果42は、当該MRSデータ41や当該MRSデータ41と同一被検体に関する生検データやMR画像などの医用情報を用いて、医療従事者が判定した分類結果が用いられればよい。なお、グレードは、当該入力データ又は医療情報に基づいてコンピュータにより所定のアルゴリズムに従い決定されてもよい。
【0033】
設定機能102により処理回路10は、訓練対象の機械学習モデルについて注目層51を組み込む。注目層51は、注目情報の種類に対応するチャネル52の数を含むように設定されればよい。具体的には、例えば、注目情報となる分子の種類が3つであれば、注目層51のチャネル52の数を3つとして設定すればよい。
【0034】
その後、モデル訓練機能105により処理回路10は、入力データとなるMRSデータ41に機械学習モデル50を適用して順伝播処理を行い、医学的分類結果(以下、推定医学的分類結果と呼ぶ)を出力する。次にモデル訓練機能105により処理回路10は、推定医学的分類結果と正解データである医学的分類結果42との差分(誤差)を誤差関数により算出し、誤差が最小となるように、誤差逆伝播法および確率的勾配降下法により機械学習モデル50のパラメータを更新する。誤差関数は、例えばMSE(Mean Squared Error)、クロスエントロピーなど、機械学習モデルのタスクに応じて使用する関数を決定すればよい。
【0035】
モデル訓練機能105により処理回路10は、訓練が終了したか否かを判定する。当該訓練が終了したか否かの判定は、例えば、誤差関数により算出される誤差の値が閾値以下である場合に訓練が終了したと判定すればよい。または、誤差の値の減少幅が所定値以内に収束した場合に訓練が終了したと判定してもよい。さらには、所定のエポック数の訓練を終了した場合に訓練が終了したと判定してもよい。訓練が終了した場合、決定されたパラメータを機械学習モデルに割り当てることにより、学習済みモデル30が生成される。
【0036】
これにより、注目情報に対応する注目層51の各チャネルの固定係数を算出することができる。その後は、新たなMRSデータ41に対して医学的分類結果を出力するように処理を実行すればよい。
次に、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第2例について
図6を参照して説明する。
図6に示すように、学習済みモデル30は、医用データとして、MRスペクトルを示すMRSデータ41が入力され、注目領域の組織性状を示す医学的分類結果42を出力するようにパラメータが学習されたモデルである。MRSデータ41は、例えば
図4に示すようなスペクトル、またはMRスペクトルを生成するまでの中間データであることを想定する。
【0037】
本実施形態に係る注目層30-1には、注目情報、ここではMRSにおいて注目したい分子の単スペクトルに関する固定係数を乗算する層が導入される。つまり、固定係数は、基底スペクトルまたは分子のケミカルシフトに対応するスペクトルであることを想定する。単スペクトルは、シミュレーションデータ43-1や機械学習等により人工的に生成されたデータであってもよいし、ファントムを撮像することにより得られるデータであってもよいし、それらのスペクトルのピーク各々についてのケミカルシフト値に対応する矩形状の波形データ43-2でもよいし、特定ピークについてのケミカルシフト値に対応するデータでもよい。MRSデータ41が注目層30-1に入力されることで、注目したい分子のスペクトルに関するデータに対応する領域が後段の中間層30-2(1以上の畳み込み層)において、重み付けされつつ処理される。すなわち、注目したい分子の単スペクトルの形状が、MRスペクトルに含まれるか否かが考慮されながら、畳み込み処理が実行されるといえる。
【0038】
医学的分類結果42は、学習済みモデル30の出力層30-3から出力され、例えば、被検体Pの腫瘍の有無が出力される。具体的に
図6の例では、医学的分類結果42として「腫瘍」である旨が出力される。出力形式としては、特に限定されないが、腫瘍の有無に加えて、複数のグレードのうちの被検体Pの属する確率の高いグレードを「1」に近い値、確率の低いグレードを「0」に近い値として出力する多クラス分類が用いられてもよい。また、医学的分類結果42として、ガンの転移の有無または症例に該当する確率などが出力されてもよい。
【0039】
なお、医学的分類結果42として、IDH1変異(isocitrate dehydrogenase-1 mutation)の有無を出力してもよい。変異型のIDH1は、2-HG(2-hydroxyglutarate)を産生することが知られている(例えば、Jelena Lazovic等、”Detection of 2-hydroxyglutaric acid in vivo by proton magnetic resonance spectroscopy in U87 glioma cells overexpressing isocitrate dehydrogenase-1 mutation” Neuro-Oncology 14(12):1465-1472,2012)。すなわち、2-HGの存在とIDH1の変異との間には相関関係が認められる。
【0040】
2-HGは、MRSで検出可能であり、MRスペクトルにおいてピークを形成し得る。また、2-HGは、FLAIR画像やT2強調画像等のMR形態画像においても描画可能である。2-HGに関するスペクトルについての固定係数を注目層30-1に設定することで、IDH1変異の有無および変異の程度を表すグレードについて、医学的分類結果42を出力することもできる。
【0041】
なお、学習済みモデル30に入力されるMRSデータは、
図6に示すMRスペクトルの波形データに限定されない。例えば、MRSデータは、MRスペクトルの複数のピーク各々についてのケミカルシフト値とMR信号強度値(波高値)との数値データの組合せでもよいし、ケミカルシフト値とMR信号強度値(波高値)ピーク幅(半値幅)との数値データの組合せでもよい。また、MRSデータは、MRスペクトルの複数のピーク各々についての分子の識別子(名称や記号)とMR信号強度値との数値データの組合せでもよいし、分子の識別子とMR信号強度値と半値幅との数値データの組合せでもよいし、分子の濃度推定値やその相対値でもよい。また、学習済みモデル30には、MRSデータの生成過程において得られる如何なる中間生成物が入力されてもよい。例えば、加算前のk空間データ、加算後のk空間データ、フーリエ変換後のk空間データが学習済みモデル30に入力されてもよい。これらMRスペクトルおよびMRスペクトルの中間生成物は、MRSデータの一例である。
【0042】
MRスペクトルの波形データ以外の場合における注目層30-1の固定係数は、注目層30-1に入力されるデータ形式に合わせて設定されればよい。例えば、MRSデータがケミカルシフト値とMR信号強度値との組み合わせであれば、注目情報である注目する分子のケミカルシフト値とMR信号強度値とに関する値を固定係数として注目層30-1に設定すればよい。このように、MRSデータが他のデータ形式である場合も、同様に固定係数が設定されればよい。
【0043】
本実施形態に係る注目層を含むモデルの第3例について
図7を参照して説明する。
図7に示すモデルは、
図6と比較して、注目層61の構成が異なる。
図7に示す注目層61は、注目情報となる、注目したい分子が複数存在する場合の設定を想定する。例えば、複数の分子の単スペクトルを合成することで、注目したい分子の合成スペクトル62-1を生成し、合成スペクトル62-1に関する固定係数を乗算する層を導入すればよい。または、単スペクトルそれぞれに対応する固定係数をチャネル62-2として設定してもよい。注目層61において、MRSデータ41とチャネル62-2との積和が計算されるため、合成スペクトル62-1と同様に、注目層において複数の単スペクトルに関する固定係数を利用できる。
【0044】
次に、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第4例について
図8を参照して説明する。
図8では、注目情報が既知である場合と未知である場合との両方を組み合わせた例を示す。つまり、機械学習モデル50は、既知の注目情報に関する注目層30-1と未知の注目情報に関する注目層51とを含む。
図8の例では、注目層30-1と注目層51とを含む機械学習モデル50が訓練されることで、既知の分子の単スペクトルに対応する固定係数と、1以上の未知の分子の単スペクトルのチャネルに対応する固定係数とが算出される。機械学習モデル50の訓練方法については、
図5に示す方法と同様の手法により訓練すればよい。
これにより、既知の分子以外の未知の分子についても、単スペクトルに対応した固定係数を生成することができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第5例について
図9および
図10を参照して説明する。
図5から
図8までの例では、学習済みモデル30または機械学習モデル50の入力層の位置に注目層30-1を組み込む例を示したが、これに限らず、注目層30-1は学習済みモデル30または機械学習モデル50のうち、出力層30-3の位置以外はどのような位置に組み込まれてもよい。
【0046】
図9は、学習済みモデル30において入力層80の後段に注目層30-1が配置される例を示す。
図10は、中間層の最後、すなわち、出力層30-3の前段に注目層30-1が配置される例を示す。このように、どの位置に注目層30-1が配置されてもよい。なお、注目層30-1の固定係数は、ネットワークの深さに応じて注目層30-1に入力されるデータサイズが異なるため、前段の層(入力層80または中間層30-2)からの出力サイズに応じて調整されればよい。
【0047】
次に、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第6例について
図11および
図12を参照して説明する。
図11では、入力される医用データとして2次元データ、つまり医用画像を想定する。医用画像に関する注目層30-1は、例えば、医学物理に関するデータである、マスクデータ、重みデータ、セグメンテーションデータ、アノテーションデータに対応する固定係数が設定される。
図11の例では、MR画像91に対して学習済みモデル30が適用され、注目層30-1では、例えば、腫瘍部分を関心部位(ROI:Region of Interest)とするマスクデータ92に対応する固定係数が設定される。なお、MR画像としては、T1強調画像、T2強調画像、T2*強調画像、FLAIR(fluid attenuated inversion recovery)画像、MRアンギオグラフィ、拡散強調画像、あるいは他の撮像方法により収集された画像を想定する。これにより、MR画像91に対してマスクデータにより設定される領域を中心として推論が実行されるといえる。
【0048】
腫瘍領域に関する注目層30-1の固定係数は、入力されるMR画像に対して、人手により生成されたマスク領域に対応するように設定されてもよいし、U-netなどを用いて、アノテーションされたセグメンテーションデータからマスクデータが生成され、対応する固定係数が得られてもよい。固定係数としては、例えば、注目情報となるROIの領域を1、その他の領域が0となる重みで表現されてもよい。なお、0または1の2値による重みで固定係数を設定することに限らず、複数の組織に対して0から1の間の値を重みとして割り当てて固定係数を設定してもよい。例えば、腫瘍を対象とするマスク領域である場合、実質を「0.1」、浮腫を「0.8」、腫瘍全体を「1」として重みを割り当てて固定係数を設定してもよい。
【0049】
続いて
図12は、注目層30-1が灰白質に関するマスクデータ、言い換えれば、セグメンテーションデータに対応する固定係数をパラメータとする例である。これにより、MR画像91に対して学習済みモデル30を適用する際、マスクデータにより設定される領域を中心として推論が実行されるといえる。医学的分類結果42として、例えばアルツハイマー型認知症であるといった分類がなされる。
【0050】
図12の灰白質に関する注目層30-1の固定係数は、入力されるMR画像に対して、人手により生成されたマスク領域に対応するように設定されてもよいし、U-netなどを用いて、灰白質に相当する信号強度と位置情報とから、灰白質に関するセグメンテーションデータからマスクデータが生成され、対応する固定係数が得られてもよい。
【0051】
なお、灰白質のマスクに限らず、白質、脳脊髄液(CSF:cerebrospinal fluid)などの組織についてマスクデータとして注目層30-1を設定してもよい。さらに、また、灰白質とCSFとの領域をマスクデータとするなど、複数の組織の領域を組み合わせてマスクデータとし、対応する固定係数を注目層30-1に設定してもよい。
【0052】
次に、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第7例について
図13を参照して説明する。
医用データがMRSデータである場合と同様に、注目情報となるマスク領域が未知である場合は、モデル訓練機能105により処理回路10が、機械学習モデル50を訓練することにより、学習済みモデル30を生成すればよい。
【0053】
訓練データとしては、MR画像91を入力データとし、過去の事例より収集された医学的分類結果42を正解データとして、これらの組合せを用いればよい。入力データとなるMR画像91は、例えばMRI装置により生成される。正解データとなる医学的分類結果42は、当該MR画像91や当該MR画像91と同一被検体に関する生検データやMR画像などの医用情報を用いて、医療従事者が判定した分類結果が用いられればよい。なお、グレードは、当該入力データ又は医療情報に基づいてコンピュータにより所定のアルゴリズムに従い決定されてもよい。
【0054】
設定機能102により処理回路10は、訓練対象の機械学習モデルについて注目層51を組み込む。注目層51は、注目情報の種類に対応するチャネル52の数を含むように設定されればよい。具体的には、例えば、注目情報となるマスク領域の種類が3つであれば、注目層51のチャネル52の数を3つとして設定すればよい。
【0055】
その後、モデル訓練機能105により処理回路10は、
図5に示す場合と同様に、入力データとなるMR画像91に機械学習モデル50を適用して順伝播処理を行い、推定医学的分類結果を出力する。次にモデル訓練機能105により処理回路10は、推定医学的分類結果と正解データである医学的分類結果42との差分(誤差)を誤差関数により算出し、誤差が最小となるように、誤差逆伝播法および確率的勾配降下法により機械学習モデル50のパラメータを更新する。訓練が終了すれば、学習済みモデル30が生成される。
【0056】
これにより、注目情報に対応する注目層51の各チャネルの固定係数を算出することができる。その後は、新たなMRSデータ41に対して医学的分類結果を出力するように処理を実行すればよい。
【0057】
なお、MRI装置で収集したMR画像91に限らず、他の医用画像診断装置で収集される医用画像でも同様に実現できる。例えば、X線CT装置で撮影されるCT画像、デュアルエナジーCT装置またはフォトンカウンティングCT装置で撮影された物質弁別画像が入力される場合でも同様に、例えば関心部位のマスクデータ92によって注目層30-1の固定係数が設定されればよい。
【0058】
次に、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第8例について
図14を参照して説明する。
図14では、入力される医用データとして超音波データの3次元データ、つまりボリュームデータ1401を想定する。ボリュームデータ1401に関する注目層30-1は、例えば、ボリュームデータに対するマスクデータ、セグメンテーションデータ、アノテーションデータに対応する固定係数をパラメータとして含む。
図13の例では、ボリュームデータ1401に対して学習済みモデル30が適用される。学習済みモデル30の注目層30-1では、例えば、腫瘍部分を関心領域(関心ボクセル)とするボリュームデータに対するマスクデータ1402が設定される。これにより、ボリュームデータ1401に対しても、
図11および
図12に示すような2次元画像の場合と同様に、マスクデータにより設定される領域を中心として推論が実行される。
【0059】
上述のように、どのような医用データに対しても、
図3から
図10までに示すモデルの実施例である第1例から第5例までのいずれでも適用できる。すなわち、例えば、MR画像91などの医用画像やボリュームデータ1401に対しても、既知の注目情報に関する注目層30-1と未知の注目情報に関する注目層51とを組み合わせてモデルを訓練してもよいし、モデルにおける注目層30-1の組み込み位置を自由に変更してもよい。
【0060】
なお、上述の例では、固定係数として、注目分子および注目領域に関するマスクデータ、セグメンテーションデータなどを想定するが、これに限らず、医用データを収集した医用画像診断装置の撮像に関するパラメータに基づく値であってもよい。例えば、医用画像診断装置がMRI装置であれば、固定係数は、磁気共鳴物理に関する、磁場不均一に関するデータ、MRI装置におけるコイルの送信感度データおよび受信感度データに対応する値であってもよい。
【0061】
次に、本実施形態に係る注目層を含むモデルの第9例について
図15を参照して説明する。
図15に示すように、学習済みモデルのうちの出力層30-3を除いた学習済みモデルのレイヤ構成を用いて、分類タスク以外の手法にも応用することができる。例えば、出力層として、アップサンプリングを行う処理層(例えば、デコーダ)を配置する、またはU-netのようなネットワークを用いることで、注目層30-1を含むレイヤ構成を用いて、画像再構成を実行することもできる。または、画像に対するデノイズ処理、セグメンテーション処理、超解像処理などに利用してもよい。すなわち、本実施形態に係る注目層30-1を含む学習済みモデルに対して出力層30-3の構成を切り替える、つまり、いわゆるヘッドを切り替えることで、複数のタスクに適用可能となり、所望のタスクに対する処理を実行できる。
【0062】
以上に示した本実施形態によれば、医用データに対して、注目情報に対応付けられた固定係数の演算処理を行う関数を1以上備える機械学習モデルまたは学習済みモデルなどの合成関数を用いることにより、医学的結果分類などの推論結果を出力データとして生成する。これにより、例えば学習済みモデルを用いた推論において、医用データに固定係数が重要な領域に関する固定係数が乗算されることで、当該重要な領域に関する情報を組み込み、当該重要な領域について重点的な推論が実行される。すなわち、モデルの精度を向上させることができる。
【0063】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、医用データを使用した医学的分類の精度の向上することができる。
【0064】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現しても良い。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 医用データ処理装置
10 処理回路
11 メモリ
12 入力インタフェース
13 通信インタフェース
14 ディスプレイ
30 学習済みモデル
30-1 注目層
30-2 中間層
30-3 出力層
31 医用データ
32,42 医学的分類結果
41 MRSデータ
43-1 シミュレーションデータ
43-2 波形データ
50 機械学習モデル
51,61 注目層
51-1 合成スペクトル
52,62-2 チャネル
62-1 合成スペクトル
80 入力層
91 MR画像
92,1402 マスクデータ
101 取得機能
102 設定機能
103 モデル実行機能
104 表示制御機能
105 モデル訓練機能
106 表示制御機能
1401 ボリュームデータ