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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007152
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20250109BHJP
【FI】
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108360
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小柴 敦誉
(72)【発明者】
【氏名】杉本 幸彦
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA02
5H622CA02
5H622CA10
5H622CB05
(57)【要約】
【課題】エネルギ効率を高めることができるモータを提供すること。
【解決手段】モータは、ロータコアを有するロータを備える。ロータコアは、磁石孔と、磁石孔の周方向両側に区画壁を介して設けられた空隙と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコアを有するロータを備え、
前記ロータコアは、
磁石孔と、
前記磁石孔の周方向両側に区画壁を介して設けられた空隙と、を有する、
モータ。
【請求項2】
前記ロータコアは、外周面から径方向内側に窪む複数の凹部を有する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記磁石孔に配置される永久磁石を備え、
前記永久磁石の周方向の端面は、前記磁石孔の内面に接触する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記空隙は、前記ロータコアの軸方向一方側の端面と軸方向他方側の端面と貫くように設けられる、
請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記空隙の周方向の寸法は、径方向外側に向かって大きくなる、
請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記磁石孔は、周方向に間隔をあけて複数設けられ、
第1磁石孔の周方向一方側の隣に第2磁石孔が設けられ、
前記第1磁石孔の周方向一方側に設けられた第1空隙と、前記第2磁石孔の周方向他方側に設けられた第2空隙との距離は、周方向における前記区画壁の寸法よりも大きい、
請求項2に記載のモータ。
【請求項7】
前記凹部は、周方向において前記第1空隙の中心よりも前記第1磁石孔に近い位置に設けられる第1凹部を含む、
請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記第1空隙は、前記第1磁石孔に隣接し、径方向に延びるエッジを有し、
前記第1凹部の少なくとも一部は、前記エッジの延長線上に設けられる、
請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記ロータの回転軸に直交する面内において、前記回転軸と前記第1凹部の周方向他方側の端部とを結ぶ第1ラインと、前記回転軸と前記第1凹部の周方向一方側の端部とを結ぶ第2ラインとがなす角度をθi、
前記回転軸と前記第1空隙と前記第2空隙との中心とを結ぶ第3ラインと、前記第1ラインとがなす角度をθil、
前記第3ラインと、前記第2ラインとがなす角度をθis、
極対数をp、とした場合、
θi=θil-θis、
θis<θil、
24/p≦θis≦34/p、
24/p≦θil≦34/p、
の条件を満足する、
請求項7に記載のモータ。
【請求項10】
前記凹部は、周方向において前記第1空隙と前記第2空隙との間に設けられる第2凹部を含む、
請求項7に記載のモータ。
【請求項11】
前記ロータの回転軸に直交する面内において、前記回転軸と前記第2凹部の周方向他方側の端部とを結ぶ第4ラインと、前記回転軸と前記第2凹部の周方向一方側の端部とを結ぶ第5ラインとがなす角度をθo、
前記回転軸と前記第1空隙と前記第2空隙との中心とを結ぶ第3ラインと、前記第4ラインとがなす角度をθol、
前記第3ラインと、前記第5ラインとがなす角度をθos、
極対数をp、とした場合、
θo=θol-θos、
θos<θol、
0≦θos≦10/p、
0≦θol≦10/p、
の条件を満足する、
請求項10に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータに係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなモータが知られている。特許文献1において、ロータコアの埋込孔に永久磁石が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-197970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、マグネットトルクを増やし、さらに、リラクタンストルクを利用することでトルクを増大するために、1極当たりの磁石量を増加させている。一方で、1極当たりの磁石量を増加させると、固定子巻線に誘起される電圧は高調波を多く含んだ歪み波形となり、モータのエネルギ効率が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、エネルギ効率を高めることができるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、ロータコアを有するロータを備えるモータが提供される。ロータコアは、磁石孔と、磁石孔の周方向両側に区画壁を介して設けられた空隙と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、エネルギ効率を高めることができるモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るモータ装置を示す縦断面図である。
図2図2は、実施形態に係るモータ装置を示す平断面図である。
図3図3は、実施形態に係るロータの一部を上側から見た模式図である。
図4図4は、実施形態に係るロータの一部を上側から見た模式図である。
図5図5は、実施形態に係るロータの一部を上側から見た模式図である。
図6図6は、実施形態に係るロータの一部を上側から見た模式図である。
図7図7は、実施形態に係る角度θiによるコギングトルクとトルクとの関係を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る角度θoによるコギングトルクとトルクリプルとの関係を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る角度θoによるトルクの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、ロータ7の回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称する。ロータ7の回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。ロータ7の回転軸AXを周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称する。
【0011】
軸方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、上側又は上方向、と称し、軸方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、下側又は下方向、と称する。径方向において、ロータ7の回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側又は内方向、と称し、ロータ7の回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側又は外方向、と称する。周方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、正転側又は正転方向、と称し、周方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、逆転側又は逆転方向、と称する。
【0012】
[モータ装置]
図1は、実施形態に係るモータ装置1を示す縦断面図である。図2は、実施形態に係るモータ装置1を示す平断面図である。モータ装置1は、例えば、建設機械の一種である電動式油圧ショベルの油圧ポンプを駆動させるための回転力を発生する。
【0013】
モータ装置1は、モータ2と、モータケース3とを有する。モータ2は、ロータ7と、ステータ8と、固定リング9とを備える。モータ2は、インナロータ型である。ステータ8は、ロータ7の周囲に配置される。ロータ7は、回転軸AXを中心に回転する。
【0014】
ロータ7は、ロータコア21と、永久磁石22と、ロータシャフト23とを有する。
【0015】
ロータコア21は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ロータコア21は、回転軸AXを囲むように配置される。
【0016】
永久磁石22は、ロータコア21に支持される。永久磁石22は、ロータコア21の内部に配置される。永久磁石22は、回転軸AXの周囲に複数配置される。
【0017】
ロータコア21は、周方向に間隔をあけて設けられた複数の磁石孔24を有する。複数の磁石孔24は、周方向に等間隔で設けられる。磁石孔24は、ロータコア21の上端面と下端面とを貫くように設けられる。磁石孔24には、永久磁石22が配置される。実施形態において、磁石孔24の数は、24個である。実施形態において、永久磁石22は、軸方向に複数分割されてロータコア21の内部に配置されている。
【0018】
ロータシャフト23は、軸方向に延伸する。ロータシャフト23の中心軸と回転軸AXとは、一致する。ロータシャフト23は、ロータコア21の内側に配置される。ロータコア21とロータシャフト23とは固定される。ロータシャフト23の上部は、ロータコア21の上端面から上側に突出する。ロータシャフト23の下部は、ロータコア21の下端面から下側に突出する。
【0019】
ステータ8は、ステータコア13と、ステータコア13に固定されるインシュレータ14と、インシュレータ14を介してステータコア13に装着されるコイル15とを備える。
【0020】
ステータコア13は、ロータコア21の周囲に配置される。ステータコア13は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア13は、円環状のヨークと、ヨークの内周面から径方向内側に突出する複数のティースとを有する。ヨークは、回転軸AXを囲むように配置される。ティースは、周方向に複数配置される。複数のティースは、周方向に等間隔で配置される。隣り合う一対のティースの間には、スロットが設けられる。
【0021】
インシュレータ14は、ステータコア13の表面の少なくとも一部を覆うように配置される。インシュレータ14は、合成樹脂製の電気絶縁部材である。インシュレータ14は、ステータコア13に固定される。ステータコア13とコイル15とは、インシュレータ14により電気的に絶縁される。実施形態において、インシュレータ14は、例えば射出成形法のような任意の成形法により成形された後、ステータコア13に装着される。
【0022】
コイル15は、インシュレータ14を介してティースに巻かれる。実施形態において、コイル15は、ティースに集中巻によって巻かれている。コイル15の一部は、スロットの内側に配置される。コイル15の一部は、ステータコア13の上端面から上側に突出する。コイル15の一部は、ステータコア13の下端面から下側に突出する。実施形態において、コイル15は、1つのティースに1つずつ巻かれる。すなわち、1つのティースに1つのコイル15が巻かれる。
【0023】
接続端子10を介してコイル15に駆動電流が供給される。複数のコイル15は、渡り線11を介して接続される。コイル15に駆動電流が供給されることにより、コイル15とロータ7との間で回転磁界が生成され、ロータが回転する。
【0024】
固定リング9は、ステータコア13の周囲に配置される。固定リング9は、ステータコア13に固定される。
【0025】
モータケース3は、モータ2を収容する。モータケース3は、固定リング9の周囲に配置される。モータケース3は、ケース本体4と、ケース蓋5とを有する。
【0026】
ケース本体4の内周面には、冷媒流路18が形成される。冷媒流路18は、ケース本体4の内周面から径方向外側に窪むように形成される。冷媒流路18は、螺旋状である。冷媒流路18は、回転軸AXの周囲を周回するように設けられる。なお、冷媒流路18は、パルス状でもよい。
【0027】
冷媒流路18は、冷媒供給回路16及び冷媒排出回路17のそれぞれに接続される。冷媒は、冷媒供給回路16を介して冷媒流路18に供給される。冷媒は、冷媒流路18を流れる。冷媒流路18を流れた冷媒は、冷媒排出回路17を介して冷媒流路18から排出される。
【0028】
ケース蓋5は、ケース本体4の上端部の開口を塞ぐように配置される。ケース本体4とケース蓋5とは、ボルト6により固定される。モータケース3の内部空間は、密閉空間である。
【0029】
図3は、実施形態に係るロータ7一部を上側から見た模式図である。図4は、実施形態に係るロータ7の一部を上側から見た模式図である。図4は、図3の一部を拡大した図に相当する。図5は、実施形態に係るロータ7の一部を上側から見た模式図である。図6は、実施形態に係るロータ7を上側から見た模式図である。
【0030】
ロータコア21は、周方向に間隔をあけて設けられた複数の磁石孔24と、磁石孔24の周方向両側に区画壁50を介して設けられた空隙30と、を有する。
【0031】
区画壁50は、ロータコア21の一部である。区画壁50は、磁石孔24と空隙30とを仕切る。ロータコア21を例えば穴あけ加工することにより、磁石孔24及び空隙30のそれぞれが形成される。磁石孔24と空隙30とは繋がっていない。
【0032】
複数の磁石孔24のそれぞれの周方向両側に、区画壁50を介して空隙30が設けられる。磁石孔24と磁石孔24の周方向正転側に配置される空隙30との距離と、磁石孔24と磁石孔24の周方向逆転側に配置される空隙30との距離とは、等しい。
【0033】
磁石孔24は、ロータコア21の上端面と下端面と貫くように設けられる。空隙30は、ロータコア21の上端面と下端面と貫くように設けられる。
【0034】
回転軸AXに直交する面内において、磁石孔24は、周方向に長い長方形状である。回転軸AXに直交する面内において、永久磁石22は、周方向に長い長方形状である。永久磁石22の径方向外側を向く端面及び径方向内側を向く端面のそれぞれは、磁石孔24の内面に接触する。永久磁石22の周方向正転側を向く端面及び周方向逆転側を向く端面のそれぞれは、磁石孔24の内面に接触する。すなわち、永久磁石22は、磁石孔24に隙間なく配置される。なお、図4に示すように、永久磁石22の角部と磁石孔24との間に微小な隙間25が存在してもよい。また、永久磁石22の外周と磁石孔24との間に微小な隙間が存在してもよい。隙間25には、合成樹脂が充填されてもよい。
【0035】
周方向において、空隙30の寸法は、磁石孔24の寸法よりも小さい。径方向において、空隙30の寸法は、磁石孔24の寸法よりも大きい。径方向において、空隙30の外端部は、磁石孔24の外端部よりも径方向外側に配置される。
【0036】
図4に示すように、空隙30の径方向内側のエッジの周方向の寸法Waは、空隙30の径方向外側のエッジの周方向の寸法Wbよりも小さい。空隙30の周方向の寸法は、径方向外側に向かって大きくなる。回転軸AXに直交する面内において、空隙30の形状は、実質的に台形状である。
【0037】
図3及び図4に示すように、第1磁石孔24Aの周方向正転側の隣に第2磁石孔24Bが設けられる。第1磁石孔24Aの周方向正転側に設けられた第1空隙30Aと、第2磁石孔24Bの周方向逆転側に設けられた第2空隙30Bとの距離Fは、周方向における区画壁50の寸法Gよりも大きい。
【0038】
ロータコア21は、ロータコア21の外周面から径方向内側に窪む第1凹部41と、ロータコア21の外周面から径方向内側に窪む第2凹部42を有する。第1凹部41及び第2凹部42のそれぞれは、軸方向に長い溝状である。第1凹部41は、ロータコア21の上端部と下端部とに亘って設けられる。第2凹部42は、ロータコア21の上端部と下端部とに亘って設けられる。
【0039】
周方向において、第1凹部41は、第1空隙30Aの中心よりも第1磁石孔24Aに近い位置に設けられる。図4に示すように、空隙30は、磁石孔24に隣接し、径方向に延びるエッジELを有する。第1凹部41の少なくとも一部は、エッジELから径方向外側に延びた延長線上に設けられる。
【0040】
周方向において、第2凹部42は、第1空隙30Aと第2空隙30Bとの間に設けられる。
【0041】
図5及び図6に示すように、ロータ7の回転軸AXに直交する面内において、回転軸AXと第1凹部41の周方向逆転側の端部とを結ぶ第1ラインと、回転軸AXと第1凹部41の周方向正転側の端部とを結ぶ第2ラインとがなす角度をθi、とする。回転軸AXと第1空隙30Aと第2空隙30Bとの中心とを結ぶ第3ラインである基準軸RLと、第1ラインとがなす角度をθil、とする。基準軸RLと、第2ラインとがなす角度をθis、とする。ロータ7の極対数をp、とする。基準軸RLは、周方向において、第1空隙30Aと第2空隙30Bとの中心を通るラインである。この場合、第1凹部41は、以下の条件を満足する。
【0042】
θi=θil-θis …(1)
θis<θil …(2)
24/p≦θis≦34/p …(3)
24/p≦θil≦34/p …(4)
【0043】
図5及び図6に示すように、ロータ7の回転軸AXに直交する面内において、回転軸AXと第2凹部42の周方向逆転側の端部とを結ぶ第4ラインと、回転軸AXと第2凹部42の周方向正転側の端部とを結ぶ第5ラインとがなす角度をθo、とする。回転軸AXと第1空隙30Aと第2空隙30Bとの中心とを結ぶ第3ラインである基準軸RLと、第4ラインとがなす角度をθol、とする。第3ラインと、第5ラインとがなす角度をθos、とする。極対数をp、とする。基準軸RLは、周方向において、第1空隙30Aと第2空隙30Bとの中心を通るラインである。この場合、第2凹部42は、以下の条件を満足する。
【0044】
θo=θol-θos …(5)
θos<θol …(6)
0≦θos≦10/p …(7)
0≦θol≦10/p …(8)
【0045】
図7は、実施形態に係る角度θiによるコギングトルクとトルクとの関係を示す図である。図7において、横軸は[θis/p-θil/p]の値を示し、縦軸はコギングトルク及びトルクを示す。
【0046】
図7に示すように、第1凹部41が設けられることにより、コギングトルクが減少し、トルクが増加する。矢印Yaで示すように、横軸の値が大きくなることは、第1凹部41が空隙30に近い位置に配置されることを示す。また、横軸の値が大きいほど、コギングトルクが減少し、トルクが増加する。ラインSLは、ロータ7の機械強度の上限値を示す。ラインSLを超える条件になると、ロータ7の機械強度が許容値を下回る。そのため、矢印Ybで示すように、ラインSLよりも小さくなるように横軸の値を選択するのがよい。横軸の値は、ラインSLよりも小さい範囲においてラインSLに近い値が最もよい。上述の(1)式から(4)式の条件を満足することにより、ロータの強度の低下を抑制しつつ、トルクを低下させることなくコギングトルクを抑制することができる。
【0047】
図8は、実施形態に係る角度θoによるコギングトルクとトルクリプルとの関係を示す図である。図9は、実施形態に係る角度θoによるトルクの関係を示す図である。図8において、横軸は[θos/p-θol/p]の値を示し、縦軸はトルクリプル及びコギングトルクを示す。図9において、横軸は[θos/p-θol/p]の値を示し、縦軸はトルクを示す。
【0048】
図8の矢印Ycで示すように、横軸の値が小さいほど、トルクリプルが減少する。但し、矢印Ydで示す範囲においては、コギングトルクが増加する。横軸の値を矢印Ydで示す範囲よりも小さくすることにより、トルクリプル及びコギングトルクの両方を減少させることができる。一方、図9の矢印Yeで示すように、横軸の値が小さいほど、トルクが減少する。そのため、横軸の値を範囲Raで示す値にすることにより、トルクリプル及びコギングトルクの両方を減少させつつ、トルクを維持することができる。実施形態においては、上述の(5)式から(8)式の条件を満足することにより、トルクリプル及びコギングトルクの両方を減少させつつ、トルクを維持することができる。
【0049】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、トルクを低下させることなくコギングトルクおよびトルクリプルを抑えることができ、モータ2のエネルギ効率を高めることができる。また、実施形態によれば、永久磁石22が配置される磁石孔24と空隙30との間に区画壁50が設けられるので、遠心力による機械強度を維持することができ、ロータ7の強度の低下が抑制することができる。実施形態によれば、ロータ7の強度の低下が抑制された状態で、フラックスバリア効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…モータ装置、2…モータ、3…モータケース、4…ケース本体、5…ケース蓋、6…ボルト、7…ロータ、8…ステータ、9…固定リング、10…接続端子、11…渡り線、13…ステータコア、14…インシュレータ、15…コイル、16…冷媒供給回路、17…冷媒排出回路、18…冷媒流路、21…ロータコア、22…永久磁石、23…ロータシャフト、24…磁石孔、24A…第1磁石孔、24B…第2磁石孔、25…隙間、30…空隙、30A…第1空隙、30B…第2空隙、41…第1凹部、42…第2凹部、50…区画壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9