(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007153
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】光学システム及びヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20250109BHJP
G02B 27/28 20060101ALI20250109BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20250109BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20250109BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20250109BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20250109BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02B27/28 Z
G02B27/01
G02F1/1347
G02F1/13357
G02B5/30
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108361
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】下田 克也
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
2H189
2H199
2H291
2H391
【Fターム(参考)】
2H148BD22
2H148BH13
2H149AA01
2H149BA02
2H149BA04
2H149BA23
2H149FD06
2H189AA35
2H189HA06
2H189LA14
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2H189MA09
2H199AB12
2H199AB42
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2H199AB52
2H199AB62
2H199DA03
2H199DA17
2H199DA20
2H199DA22
2H199DA23
2H199DA42
2H199DA48
2H291FA02Z
2H291FA22X
2H291FA24Z
2H291FA28Z
2H291FA81Z
2H291LA04
2H291MA04
2H391BA01
2H391BA02
2H391BA12
2H391BA28
2H391FA07
(57)【要約】
【課題】映像表示素子の発熱を抑制することができる光学システム及びヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】
光源と、
偏光子と、
映像表示素子と、
検光子と、
を、前記光源から出射される光源光の光路OP1に対し、この順に備え、
前記映像表示素子が、カラーフィルターと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、前記光路OP1に対し、この順に備える、光学システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
偏光子と、
映像表示素子と、
検光子と、
を、前記光源から出射される光源光の光路OP1に対し、この順に備え、
前記映像表示素子が、カラーフィルターと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、前記光路OP1に対し、この順に備える、光学システム。
【請求項2】
前記検光子が、外光の入射面を有する吸収型偏光板AP1を備え、
前記映像表示素子及び前記検光子が、前記光路OP1及び/又は前記外光の光路OP2に対して、傾斜している、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記映像表示素子が、前記液晶層LC1よりも前記偏光子側に配される液晶層LC2を更に備え、
前記液晶層LC2と前記カラーフィルターと前記反射型偏光板RP1と前記液晶層LC1とが、前記光路OP1に対し、この順に配され、
前記液晶層LC2の画素サイズが、前記液晶層LC1の画素サイズよりも大きい、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記映像表示素子が、前記液晶層LC2と前記カラーフィルターとの間に、反射型偏光板RP2を更に備える、請求項3に記載の光学システム。
【請求項5】
前記偏光子が、前記映像表示素子から離隔され、かつ、前記光路OP1に対して傾斜している、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記偏光子が、反射型偏光板RP3と、反射型偏光板RP4と、前記反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4の間に配置される吸収型偏光板AP2と、を備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記吸収型偏光板AP2が、基材S1を有し、
前記吸収型偏光板AP2における前記基材S1の厚み位相差値aは、40nm以下である、請求項6に記載の光学システム。
【請求項8】
前記反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4が、表面にワイヤグリッド構造を有するワイヤグリッド偏光板である、請求項6に記載の光学システム。
【請求項9】
前記反射型偏光板RP3の基材の厚み位相差値b1と前記反射型偏光板RP4の基材の厚み位相差値b2との和が40nm以下である、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記光学システムが、前記光源光のうち前記偏光子にて反射される光の照射面を有する内壁を更に備え、
前記照射面の少なくとも一部が、光反射性材料を含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項11】
前記検光子を介して出射される映像光が、車両の運転情報を含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の光学システムを備える、ヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学システム及びヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両映像表示装置として、ヘッドアップディスプレイ装置の利用が拡大している。ヘッドアップディスプレイ装置は、車両のダッシュボードに設けられ、映像光を、映写板としてのフロントガラスに投影することにより、運転情報を虚像として表示することができる。
【0003】
ヘッドアップディスプレイ装置の構成については、種々検討されている。例えば、特許文献1においては、所定の構成を具備する映像表示装置をヘッドアップディスプレイ装置として適用することが提案されている。この映像表示装置は、映像表示器を有するものであり、当該映像表示器は、液晶表示パネルと光源とを有し、液晶表示パネルは、液晶セルと、液晶セルの両側に貼着された偏光板(偏光子及び検光子)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の映像表示装置によれば、反射鏡として用いる反射型偏光板の偏光反射軸方向を容易に調整できるため、映写板に投影される映像の明るさの均一性を高めることができる点で有利といえる。一方、このような映像表示装置における映像表示器の液晶表示パネルは、外光(典型的には、太陽光)が、映像を表示する光と逆の方向から偏光板に入射した場合、偏光板が光を吸収して発熱する傾向がある。このような発熱を抑制し、映像表示装置としての品質をより高める観点から、特許文献1に記載の技術には依然として改善の余地がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、映像表示素子の発熱を抑制することができる光学システム及びヘッドアップディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、光学システムにおける各構成部材の配置を工夫することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1]
光源と、
偏光子と、
映像表示素子と、
検光子と、
を、前記光源から出射される光源光の光路OP1に対し、この順に備え、
前記映像表示素子が、カラーフィルターと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、前記光路OP1に対し、この順に備える、光学システム。
[2]
前記検光子が、外光の入射面を有する吸収型偏光板AP1を備え、
前記映像表示素子及び前記検光子が、前記光路OP1及び/又は前記外光の光路OP2に対して、傾斜している、[1]に記載の光学システム。
[3]
前記映像表示素子が、前記液晶層LC1よりも前記偏光子側に配される液晶層LC2を更に備え、
前記液晶層LC2と前記カラーフィルターと前記反射型偏光板RP1と前記液晶層LC1とが、前記光路OP1に対し、この順に配され、
前記液晶層LC2の画素サイズが、前記液晶層LC1の画素サイズよりも大きい、[1]又は[1]に記載の光学システム。
[4]
前記映像表示素子が、前記液晶層LC2と前記カラーフィルターとの間に、反射型偏光板RP2を更に備える、[3]に記載の光学システム。
[5]
前記偏光子が、前記映像表示素子から離隔され、かつ、前記光路OP1に対して傾斜している、[1]~[3]のいずれかに記載の光学システム。
[6]
前記偏光子が、反射型偏光板RP3と、反射型偏光板RP4と、前記反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4の間に配置される吸収型偏光板AP2と、を備える、[1]~[5]のいずれかに記載の光学システム。
[7]
前記吸収型偏光板AP2が、基材S1を有し、
前記吸収型偏光板AP2における前記基材S1の厚み位相差値aは、40nm以下である、[6]に記載の光学システム。
[8]
前記反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4が、表面にワイヤグリッド構造を有するワイヤグリッド偏光板である、[6]又は[7]に記載の光学システム。
[9]
前記反射型偏光板RP3の基材の厚み位相差値b1と前記反射型偏光板RP4の基材の厚み位相差値b2との和が40nm以下である、[6]~[8]のいずれかに記載の光学システム。
[10]
前記光学システムが、前記光源光のうち前記偏光子にて反射される光の照射面を有する内壁を更に備え、
前記照射面の少なくとも一部が、光反射性材料を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の光学システム。
[11]
前記検光子を介して出射される映像光が、車両の運転情報を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の光学システム。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載の光学システムを備える、ヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、映像表示素子の発熱を抑制することができる光学システム及びヘッドアップディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ヘッドアップディスプレイ装置の適用例を示す説明図である。
【
図2】光学システムの第1の態様を例示する模式図である。
【
図3】光学システムの第2の態様を例示する模式図である。
【
図4】光学システムの第3の態様を例示する模式図である。
【
図5】光学システムの第4の態様を例示する模式図である。
【
図6】光学システムの第5の態様を例示する模式図である。
【
図7】光学システムの第5の態様の更なる詳細の一例に係る模式図である。
【
図8】吸収型偏光板を有する偏光子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0012】
本実施形態の光学システムは、光源と、偏光子と、映像表示素子と、検光子と、を、前記光源から出射される光源光の光路OP1に対し、この順に備え、前記映像表示素子が、カラーフィルターと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、光路OP1に対し、この順に備える。本実施形態の光学システムは、このように構成されているため、映像表示素子の発熱を抑制することができる。本実施形態の光学システムは、ヘッドアップディスプレイ装置として好ましく適用することができる。
以下、本実施形態の光学システムをヘッドアップディスプレイ装置として適用する例に基づき、本実施形態の光学システムの各構成を詳述する。
【0013】
図1は、本実施形態の光学システムを備えるヘッドアップディスプレイ装置を例示する説明図である。
図1に例示するとおり、光学システム10を備えるヘッドアップディスプレイ装置1は、例えば、車両のダッシュボード2に設けられる。ヘッドアップディスプレイ装置1は、映像光(表示光)3を、映写板としてのフロントガラス4に投影し、運転情報を虚像5として表示することができる。運転者6は、虚像5を、フロントガラス4を通した風景と重畳させて視認することができる。なお、映写板としては、自動車のフロントガラスや、コンバイナと呼ばれる半透過板を挙げることができる。
【0014】
図2は、光学システムの第1の態様に係る一例を示す。
図2に例示するように、光学システム10は、光源20と、偏光子21と、映像表示素子22と、検光子23とを、光源20から出射される光源光L1の光路OP1に対し(すなわち、光源光L1の光路OP1に沿って)、この順に備える。
図2に例示するように、映像表示素子22は、カラーフィルターCFと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、光路OP1に対し、この順に備える。
図2に例示するように、検光子23は、外光L2の入射面23aを有している。
なお、本実施形態において、反射型偏光板は、入射する可視光のうち、一方の偏光を透過でき、他方の偏光を反射する。本実施形態における反射型偏光板は、入射する可視光の方向、角度によって透過、および、反射する偏光の偏光方向が変化しない固有の偏光軸を有することが好ましい。また、本実施形態において、検光子としては、固有の偏光軸を有した偏光板を用いることが好ましく、特に、他方の偏光を吸収する吸収型偏光板を好ましく採用できる。そのような吸収型偏光板を備える場合、偏光子21を透過した偏光のうち映像光として不要な光を吸収してカットでき、結果として迷光の発生を防止できる傾向にある。本実施形態において、偏光子と検光子の偏光軸方向としては、例えば、それぞれが直交配置となるようにすることで、映像表示素子で変調された光源光を偏光分離して、映像を生成することができる。
図2に例示するように、検光子23は、平板形状を有し、映像表示素子22における光源20と反対側(外側)の面に接着されていてもよい。なお、偏光軸は、反射型偏光板においては偏光透過軸と偏光反射軸を意味し、また、吸収型偏光板においては偏光透過軸と偏光吸収軸を意味する。また、光が入射し透過する方向において、2つの偏光板を重畳させ、互いの偏光透過軸方向が直交となるように配置した場合を、偏光軸方向が直交するという。
図2に例示するように、外光L2は、入射面23aから検光子23に入射し、検光子23を通過した後、映像表示素子22に到達する。ここで、映像表示素子22においては、カラーフィルターCFと反射型偏光板RP1とが光路OP1に対してこの順に配されているため(反射型偏光板RP1がカラーフィルターCFよりも外光側に配されているため)、外光L2の少なくとも一部は、カラーフィルターCFに到達する前に、反射型偏光板RP1で偏光成分として反射される。反射された外光L2’は、液晶層LC1と検光子23とを外光L2とは逆方向に通過して光学システム10の系外に導出される。なお、外光L2がカラーフィルターCFに到達する場合は、カラーフィルターCFにおいて光が吸収される、すなわち、光エネルギーが熱エネルギーに変換されることにより、カラーフィルターCFが発熱する傾向にある。本実施形態の光学システムにおいては、各構成部材が上記のように配置されているため、外光L2がカラーフィルターCFに到達する前に反射型偏光板RP1で反射することができ、したがって映像表示素子の発熱(カラーフィルターCFにおける発熱)を抑制することができる。
【0015】
なお、
図2の例において、光源20から出射した光源光L1は、偏光子21に入射し、光源光L1の少なくとも一部が偏光子21を透過し、映像表示素子22に入射する。次いで、光源光L1は、映像表示素子22で変調され、検光子23で偏光分離され、映像光となる。この映像光は、
図1を例にすると、映写板としてのフロントガラス4に投影され、運転情報が虚像5として表示されることとなる。運転者6は、虚像5を、フロントガラス4を通した風景と重畳させて視認することができる。すなわち、本実施形態において、検光子を介して出射される映像光としては、車両の運転情報を含むものとすることができる。
【0016】
上記のとおり、
図2に示す例を用いて第1の態様を説明したが、光源20、偏光子21、映像表示素子22(カラーフィルターCF、反射型偏光板RP1及び液晶層LC1)並びに検光子23に係る詳細は同図の内容に限定されず、本実施形態の光学システムは、光源と、偏光子と、映像表示素子と、検光子と、を、光路OP1に対し、この順に備え、映像表示素子が、カラーフィルターと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、光路OP1に対し、この順に備える限り、映像表示素子の発熱(カラーフィルターCFにおける発熱)を抑制することができる。以降で説明する光学システムの第2の態様~第5の態様についても、第1の態様と同様の構成を備えるものであるから、上述した光学システムの第1の態様と同じく、映像表示素子の発熱(カラーフィルターCFにおける発熱)を抑制することができる。
【0017】
図3は、光学システムの第2の態様に係る一例を示す。
図3に例示するように、光学システム10は、光源20と、偏光子21と、映像表示素子22と、検光子としての吸収型偏光板AP1とを、光路OP1に対し、この順に備えていてもよい。
図3に例示するように、映像表示素子22は、カラーフィルターCFと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、光路OP1に対し、この順に備えていてもよい。
図3の例において、吸収型偏光板AP1は、外光L2の入射面AP1aを有しており、外光L2は、入射面AP1aから吸収型偏光板AP1に入射し、吸収型偏光板AP1を通過した後、映像表示素子22に到達する。ここで、
図3に例示するように、光学システム10においては、映像表示素子22及び吸収型偏光板AP1が、光源光L1の光路OP1及び/又は外光L2の光路OP2に対して、傾斜していてもよく、映像表示素子22及び吸収型偏光板AP1が、外光L2の光路OP2に対して、傾斜していることが好ましい。ここでいう、光路OP1に対して「傾斜」とは、偏光子21を経由して映像表示素子22に到達する光源光L1の少なくとも一部が、光路OP1から外れる方向へ偏光反射するように配置されていることを意味する。また、光路OP2に対して「傾斜」とは、吸収型偏光板AP1を経由して映像表示素子22に到達する外光L2の少なくとも一部が、光路OP2から外れる方向へ偏光反射するように配置されていることを意味する。すなわち、映像表示素子22及び吸収型偏光板AP1が傾斜している場合、反射型偏光板RP1で偏光成分として反射された外光L2’は、映像光の光路外に導出される傾向にあり、結果として、外光L2’が映像品質に及ぼす影響を低減できる傾向にある。映像表示素子22及び吸収型偏光板AP1の傾斜角は特に限定されないが、外光L2の光路OP2と入射面AP1aとがなす角が1~45度となるように傾斜していてもよい。本実施形態において、反射された外光L2’を映像光の光路外により導出しやすくする観点から、外光L2の光路OP2と入射面AP1aとがなす角が3~35度となるように傾斜していることが好ましい。
上記のように、映像表示素子22及び吸収型偏光板AP1が傾斜している場合、映像表示素子22に固有の視野角依存性に起因する光学特性への影響を考慮して光学システム10を設計することが好ましい。その一例として、本実施形態においては、光学システム10が光学補償板CPを更に備えるものであってもよい。光学補償板CPは、光学特性の低下を抑制する機能を有するものであり、種々公知のものを採用することができる。より具体的には、光学補償板CPとして、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)やポリカーボネート(PC)等の異方性を持つ樹脂の延伸品又はコレステリック液晶の積層品等を採用することができる。本実施形態において、光学補償板CPは、光路OP1上の任意の位置に配置することができるが、設計上、
図3に例示するように、映像表示素子22の偏光子21側に配置することが好ましい。また、映像表示素子22の偏光子21側に光学補償板CPが配置される場合、光学補償板CPと偏光子21との間に、吸収型偏光板AP’が配置されていてもよい。
もっとも、
図2に例示するように、本実施形態において、映像表示素子22及び吸収型偏光板AP1は、外光L2の光路OP2に対して、傾斜していなくてもよい。この場合、映像表示素子22に固有の視野角依存性に起因する光学特性の変動が生じにくくなる。
【0018】
図4は、光学システムの第3の態様に係る一例を示す。
図4に例示するように、光学システム10は、光源20と、偏光子21と、映像表示素子22と、検光子23とを、光路OP1に対し、この順に備える。
図4に例示するように、映像表示素子22は、カラーフィルターCFと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、光路OP1に対し、この順に備え、かつ、液晶層LC1よりも偏光子21側に配される液晶層LC2を更に備えていてもよい。すなわち、液晶層LC2とカラーフィルターCFと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とが、光路OP1に対し、この順に配されていてもよい。
図4の例において、検光子23は、外光L2の入射面23aを有しており、外光L2は、入射面23aから検光子23に入射し、検光子23を通過した後、映像表示素子22に到達する。ここで、液晶層LC2の画素サイズは、液晶層LC1の画素サイズよりも大きいことが好ましい。この場合、液晶層LC2は、映像表示領域と映像非表示領域とのスイッチングを行う役割を担い、液晶層LC1は、映像を作る役割を担うものとして、各々、機能させることができるため、映像品位(コントラスト比)が向上する結果、映像表示素子22は、より高品位の映像を作成できる傾向にある。
【0019】
図5は、光学システムの第4の態様に係る一例を示す。
図5に例示するように、光学システム10は、光源20と、偏光子21と、映像表示素子22と、検光子23とを、光路OP1に対し、この順に備える。
図5に例示するように、映像表示素子22は、カラーフィルターCFと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、光路OP1に対し、この順に備え、かつ、液晶層LC1よりも偏光子21側に配される液晶層LC2を更に備え、かつ、液晶層LC2とカラーフィルターCFとの間に、反射型偏光板RP2を更に備えていてもよい。すなわち、液晶層LC2と反射型偏光板RP2とカラーフィルターCFと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とが、光路OP1に対し、この順に配されていてもよい。
図5の例において、検光子23は、外光L2の入射面23aを有しており、外光L2は、入射面23aから検光子23に入射し、検光子23を通過した後、映像表示素子22に到達する。ここで、液晶層LC2の画素サイズは、液晶層LC1の画素サイズよりも大きいことが好ましい。この場合、液晶層LC2は、映像表示領域と映像非表示領域とのスイッチングを行う役割を担い、液晶層LC1は、映像を作る役割を担うものとして、各々、機能させることができるため、映像品位(コントラスト比)が向上する結果、映像表示素子22は、より高品位の映像を作成できる傾向にある。加えて、液晶層LC2とカラーフィルターCFとの間に、反射型偏光板RP2が配されている場合、液晶層LC2を透過した映像非表示領域の不要な光源光L1を、反射型偏光板RP2で反射させ、偏光子21で更に反射させて系外に導出することができる。反射型偏光板RP2で反射された光は、系外への導出及び偏光子(吸収型偏光子)による吸収の少なくとも一方により、迷光になることが抑制される傾向にあり、映像品位が低下することが更に抑制される傾向にある。また、光源光L1は、液晶層LC1の映像非表示領域へは到達し難くなり、それによって不要な発熱が更に抑制される傾向にある。
図5の例において、反射型偏光板RP2の偏光軸方向は、偏光子21の偏光軸方向と平行であることが好ましい。
また、
図5の例において図示しない吸収型偏光板を、反射型偏光板RP2の液晶層LC1側に備えることもでき、そのような吸収型偏光板としては、迷光を防止できる程度の比較的低い偏光分離性のものを用いることもできる。
【0020】
図6は、光学システムの第5の態様に係る一例を示す。
図6に例示するように、光学システム10は、光源20と、偏光子21と、映像表示素子22と、検光子23とを、光路OP1に対し、この順に備え、映像表示素子22は、カラーフィルターCFと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、光路OP1に対し、この順に備える。また、
図6に例示するように、偏光子21は、映像表示素子22から離隔され、かつ、光路OP1に対して傾斜していてもよい。ここでいう「傾斜」とは、光源光L1の少なくとも一部が、光路OP1から外れる方向へ偏光反射するように配置されていることを意味する。すなわち、偏光子21が傾斜している場合、偏光子21で偏光成分として反射された光源光L1’は、映像光の光路外に導出される傾向にあり、結果として、外光L1’が映像品質に及ぼす影響を低減できる傾向にある。偏光子21の傾斜角は特に限定されないが、光源光L1の光路OP1と偏光子21への光源光L1の入射面とがなす角が45度となるように傾斜していてもよい。
【0021】
図7は、光学システムの第5の態様の更なる詳細に係る一例を示す。
図7に例示するように、光学システム10は、光源20と、偏光子21と、映像表示素子22と、検光子23とを、光路OP1に対し、この順に備える。すなわち、
図7の例において、光源20と、偏光子21と、映像表示素子22と、検光子23は、一方向(
図7の上下方向Y)の直線上に配置されている。なお、
図7の例においては図示していないが、映像表示素子22は、カラーフィルターCFと反射型偏光板RP1と液晶層LC1とを、光路OP1に対し、この順に備えるものである。
図7に例示するように、光学システム10は、任意構成として、第1の壁面24、第2の壁面25及び第3の壁面26を有していてもよい。
図7に例示するように、偏光子21は、全体が板形状を有していてもよい。
図7に例示するように、偏光子21は、映像表示素子22と離隔され、光源20から入射する光源光L1に対して傾斜し、かつ、検光子23を経由して映像表示素子22を通って入射する外光L2の少なくとも一部を反射するように配置されていてもよい。
図7の例において、偏光子21は、一方(
図7の水平方向Xの第1の方向X1)の端部21aが映像表示素子22に近づき、他方(
図7の水平方向Xの第2の方向X2)の端部21bが光源20に近づくように傾斜している。
図7の例においても、偏光子21の傾斜角は特に限定されないが、
図7の水平方向Xに対し45度傾斜していてもよい。偏光のうち、P波を透過するように偏光透過軸方向を調整することが好ましいが、表示する映像の偏光状態等を考慮して適宜決定することができ、これに限定されない。
【0022】
図7に例示するように、偏光子21は、2枚の反射型偏光板を重畳したものであってもよい。
図7の例における偏光子21は、映像表示素子22側に配される反射型偏光板RP3と光源20側に配される反射型偏光板RP4とを備える。
偏光子21における反射型偏光板RP4で反射した一部の光源光L1は、第2の壁面25に入射して反射し、反射型偏光板RP4で再度反射し、第1の壁面24で反射する。この一部の光源光L1は、偏光子21を通過し、映像表示素子22及び検光子23を通過し映像光となる。
一方で、外光L2の少なくとも一部は、検光子23と映像表示素子22とを通過して偏光子21に入射する場合がある。反射型偏光板RP3は、そのような外光L2の少なくとも一部を偏光反射することができる。そのように反射された外光L2は、第3の壁面26に入射し、吸収或いは拡散されるように光学システム10を構成することができる。
【0023】
図7の例における第1の壁面24、第2の壁面25、及び第3の壁面26は、同図の紙面上で、偏光子21の周囲にコの字状に配置されている。なお、
図7の例において図示していないが、同図の紙面手前、また、奥に遮光する壁を適宜設けることができ、これによって迷光を防止することもできるが、これらはいずれも任意の設計事項である。
【0024】
図7に例示するように、第1の壁面24は、偏光子21の光源20側(
図7の偏光子21の下側)の位置で、光源20の周囲に配置することができる。第1の壁面24は、例えば、映像表示素子22と平行であり、上方に向けられていてもよい。
図7に例示するように、第2の壁面25は、偏光子21の端部21a側(
図7の偏光子21の水平方向Xの第1の方向X1)に配置することができる。第2の壁面25は、偏光子21側(第2の方向X2)に向けられていてもよい。
【0025】
図7に例示するように、第1の壁面24と第2の壁面25は、偏光子21に反射した光源光L1が入射する壁面とすることができる。第1の壁面24と第2の壁面25は、一部又は全部が光反射性材料により形成されていてもよい。第1の壁面24と第2の壁面25は、例えば、鏡面であってもよい。本実施形態において、鏡面は、偏光状態を変えずに反射できるものを意味する。かかる構成を有する場合、例えば、第2の壁面25で反射した光源光L1を、偏光子21や映像表示素子22に戻して再利用することもでき、光の利用効率が向上する傾向にある。
【0026】
図7に例示するように、第3の壁面26は、偏光子21の端部21b側(
図7の偏光子21の水平方向Xの第2の方向X2)に配置することができる。第3の壁面26は、偏光子21側(第1の方向X1)に向けられていてもよい。第3の壁面26は、偏光子21に反射した外光L2が入射する壁面であって、その一部又は全部が、光吸収性材料若しくは拡散反射可能な構造を有する部材により形成されていてもよい。光吸収性材料は、例えば黒色材料である。拡散反射可能な構造を有する部材は、例えば、表面が粗い壁である。かかる構成を有する場合、例えば、第3の壁面26に反射された外光L2が再反射して迷光になることを防止できる傾向にある。
【0027】
図7に例示するように、光源20から出射する光源光L1の多くが直接偏光子21へ入射するように光源20を配置したり、第1の壁面24に照射し反射した光源光L1を偏光子21に入射させるように光源20を配置したりすることもできる。本実施形態における光源としては、特に限定されず、例えば、白色発光する発光ダイオード(LED)等を採用することができる。光源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、青色、緑色、赤色の発光ダイオードを複数配置して光源光L1を合成したり、白色の発光ダイオードを複数配置してエリア毎の明暗を制御したりすることもできる。
【0028】
本実施形態における反射型偏光板は、固有の偏光(反射)軸を有し、可視光から赤外光の波長の光を偏光分離可能なワイヤグリッド偏光板(ワイヤグリッド構造を有する反射型偏光板)とすることができる。
本実施形態において、ワイヤグリッド構造とは、所定の方向に延在する金属細線を整列させたものを意味する。金属細線の周期を、偏光分離を所望する光の波長の1/3、1/4程度以下とすることで、金属細線と平行の偏光を反射し、直交方向の偏光を透過するといった偏光分離が可能となる。400nmから700nmの可視光を偏光分離するためにはワイヤグリッド構造の金属細線の周期(ピッチ)を100nmから140nmとすることが好ましい。これにより、赤外光を含む広帯域の外光を適切に偏光分離することができる。また、細線を形成する金属をアルミニウムとすることにより広帯域で偏光反射性を有することになり、偏光子における外光や光源光の反射を多く吸収を少なくすることができ、この結果、光学システム内における熱の発生を更に抑制することができる。なお、基材表面に所望する方向へ延びるナノサイズの凹凸構造を設け、周期性のある前記凹凸構造の凸部の一方側面に金属を成膜することで、ワイヤグリッド構造とすることが可能である。この場合、凹凸構造が延びる方向に対する断面において、基材表面の凸部の一方側面に金属(金属細線)が形成されているため、非対称形となる。偏光子に対して光が傾斜して入光し、P波を偏光透過させる場合は、凸部の金属(金属細線)が形成されていない他方側面側へ入光、または、当該側面側から透過した偏光が出射するように配置することが好ましい。
【0029】
図7に例示するように、反射型偏光板RP3は、基材40aと、基材40aの表面に形成されたワイヤグリッド構造41aとを有していてもよい。
図7に例示するように、反射型偏光板RP4は、基材40bと、基材40bの表面に形成されたワイヤグリッド構造41bとを有していてもよい。
図7に例示するように、反射型偏光板RP3と反射型偏光板RP4は、ワイヤグリッド構造41a及びワイヤグリッド構造41bが外側に位置し、基材40a及び基材40bが内側に位置するように互いに重ねて接合されている。反射型偏光板RP3と反射型偏光板RP4は、例えば、粘着材等により接合することができる。このように、本実施形態においては、反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4が、表面にワイヤグリッド構造を有するワイヤグリッド偏光板であることが好ましい。
【0030】
図7の例において、反射型偏光板RP3の基材40aの厚み位相差値b1と前記反射型偏光板RP4の基材40bの厚み位相差値b2との和は、例えば、40nm以下とすることができる。
ここで、厚み位相差値Rthは、位相差値の測定機器(王子計測機器社製偏光解析装置KOBRA-WR)を用いて測定することができる。また、厚み位相差値Rthの測定を行うための基材の屈折率の情報は、屈折率測定装置(メトリコン社製、レーザー屈折率測定モデル2010)を用いて、波長532nm、633nm及び824nmの屈折率の測定結果からコーシーの分散式を利用して屈折率の波長分散図を求め、その波長分散図から波長550nmの屈折率を求めることができる。
【0031】
図7に例示するように、偏光子21が、2枚のワイヤグリッド偏光板(反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4)を備え、光源20から入射する光源光L1に対し傾斜している場合、基材40の厚み方向位相差値Rthの影響を受けて、透過光(量)の面内不均一が発生する傾向がある。偏光子21の両表面に偏光分離層となるワイヤグリッド構造があり、その基材を透過する光の偏光状態が変化するためである。ここで、基材40aの厚み位相差値b1と前記反射型偏光板RP4の基材40bの厚み位相差値b2との和を40nm以下とする場合、厚み方向位相差値Rthの影響を抑制して、偏光子21を透過する偏光の状態を適切に維持でき、かつ、透過光(量)の均一性を確保できる傾向にある。なお、反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4は、相互に複屈折率が異なる複屈折性フィルムを積層した積層体フィルム等であってもよい。
【0032】
図2~
図7の例示においては、光源光L1の光路OP1が外光L2の光路OP2と平行であるものとされているが、本実施形態において光路OP1が光路OP2と平行である態様には限定されない。
【0033】
図8は、光学システムにおける偏光子の一態様を例示する。
図8に例示するように、偏光子21は、反射型偏光板RP3と、反射型偏光板RP4と、反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4の間に配置される吸収型偏光板AP2と、を備えていてもよい。このように、偏光子21において、反射型偏光板RP3と反射型偏光板RP4の間に吸収型偏光板AP2が配される場合、光源光L1が偏光子21を透過する際に、反射型偏光板RP3と反射型偏光板RP4の間で反射する迷光を抑制できる傾向にある。
図8に例示するように、反射型偏光板RP3と反射型偏光板RP4の間に、芯材としてのガラス基板60が設けられてもよい。ガラス基板60を設ける場合、熱伝導による放熱が可能となり、また、熱や衝撃による偏光子21の変形等が防止される傾向にある。
図8の例においては、光源20から映像表示素子22に向けて、反射型偏光板30、ガラス基板60、基材81、吸収型偏光層80、基材82、反射型偏光板30の順番で配置されている。ここで、ガラス基板60と吸収型偏光板AP2は、粘着材により接合することができる。同様に、吸収型偏光板AP2と反射型偏光板30も、粘着材により接合することができる。なお、粘着材としては、ガラス転移点が0度以下で、室温では軟質で配向しない粘着性のある材料が好ましく、例えば、アクリル系粘着材、シリコーン系粘着材等を適宜使用できる。
【0034】
図8に例示するように、吸収型偏光板AP2は、吸収型偏光層80と、吸収型偏光層80の両面に設けられた2枚の基材(基材81及び基材82)を有していてもよい。吸収型偏光層80としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコールに二色性染料又はヨウ素を含侵して延伸した層等が挙げられる。基材81及び基材82としては、吸収型偏光層80の両面を保護するものであり、特に限定されないが、例えば、トリアセチルセルロースからなるフィルム等が挙げられる。
吸収型偏光板AP2の基材の厚み位相差値Rthは40nm以下とすることができる。この場合、偏光子21の透過率の低下(不均一)を抑制できる傾向にある。なお、
図8に例示するように、吸収型偏光板AP2が、2枚の基材(基材81及び基材82)を有する場合、基材81及び基材82の厚み位相差値Rthの和が、40nm以下であることが好ましい。なお、吸収型偏光板70の基材が一枚の場合(「基材S1」とする)、基材S1自体の厚み位相差値aが40nm以下であることが好ましい。
【0035】
なお、
図7及び
図8においては、各々、反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4が表面にワイヤグリッド構造を有する態様の一例を挙げたが、本実施形態においては、ワイヤグリッド構造を有さない反射型偏光板を適用することもできる。また、
図7及び
図8においては、各々、偏光子21が2枚の反射型偏光板(反射型偏光板RP3及び反射型偏光板RP4)を有する態様の一例を挙げたが、本実施形態においては、1枚の反射型偏光板を有するものであってもよい。
【0036】
以下、本実施形態の光学システムの更なる任意構成について説明する。
【0037】
図2~
図6の例示において、偏光子21の具体的構成は省略されているが、これらの例示における偏光子21は、
図8に例示する構成を備えるものであってもよく、
図8に例示する構成を備えないものであってもよい。
【0038】
とりわけ、
図2~
図6の例示において、偏光子21が
図8に例示する構成を備えないものである場合、光学システム10は、
図2~
図6において図示しない、反射型偏光板RP’を更に備えるものであってもよい。この場合の反射型偏光板RP’の配置としては、光学システム10が機能する限り特に限定されないが、例えば、反射型偏光板RP’が光源20と偏光子21との間に配されていてもよい。なお、反射型偏光板RP’は、隣接する構成部材と接触していてもよいし、接触していなくてもよい。反射型偏光板RP’の具体的な配置例としては、以下に限定されないが、光学システム10が、光源20と、反射型偏光板RP’と、偏光子21と、光学補償板CPと、カラーフィルターCFと、反射型偏光板RP1と、液晶層LC1と、吸収型偏光板AP1とを、光路OP1に対し、この順に備えるもの等が挙げられる。
【0039】
図2~
図8の例示において(
図2~
図6の例示については偏光子21が
図8に例示する構成を備えるか否かにかかわらず)、光学システム10は、各図において図示しない反射型偏光板であって、反射型偏光板RP’とは別体の反射型偏光板RP’’を更に備えるものであってもよい。この場合の反射型偏光板RP’’の配置としては、光学システム10が機能する限り特に限定されないが、例えば、光学システム10の内部と外部とを分画する部材(例えば、光路OP1上の外光側に配置され得るダストカバー等)との関係で決定することができる。なお、例えば、反射型偏光板RP’’は、ダストカバーと吸収型偏光板AP1(検光子23)との間に配してもよい。反射型偏光板RP’’は、各々、隣接する構成部材と接触していてもよいし、接触していなくてもよい。反射型偏光板RP’’の具体的な配置例としては、以下に限定されないが、光学システム10が、光源20と、偏光子21と、光学補償板CPと、カラーフィルターCFと、反射型偏光板RP1と、液晶層LC1と、吸収型偏光板AP1と、反射型偏光板RP’’とを、光路OP1に対し、この順に備えるもの等が挙げられる。かかる配置例において、反射型偏光板RP’’の偏光透過軸とこれに隣接する吸収型偏光板AP1の偏光透過軸とを同一とすることができる。
【0040】
本実施形態において、光学システム10は、光学システムとして機能する限り、上述した反射型偏光板RP’及び反射型偏光板RP’’の双方を備えるものであってもよく、一方のみを備えるものであってもよい。
【0041】
本実施形態の光学システムは、ヘッドアップディスプレイ装置として好ましく適用できる。すなわち、本実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は、本実施形態の光学システムを備えることができる。もっとも、本実施形態の光学システム及びヘッドアップディスプレイ装置は、車両以外にも適用できる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本実施形態について説明したが、本発明は本実施形態に限定されない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。例えば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、映像表示素子が高温になることを抑制することができる光学システムを提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 ヘッドアップディスプレイ装置
10 光学システム
20 光源
21 偏光子
22 映像表示素子
23 検光子
CF カラーフィルター
L1 光源光
L2 外光
LC1 液晶層
LC2 液晶層
RP1 反射型偏光板
RP2 反射型偏光板
RP3 反射型偏光板
RP4 反射型偏光板