(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007172
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】容器の製造方法、金型及び容器
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20250109BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20250109BHJP
B29C 45/37 20060101ALI20250109BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B29C45/14
B65D1/00 120
B29C45/37
B29C33/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108395
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 徹
(72)【発明者】
【氏名】篠原 知也
【テーマコード(参考)】
3E033
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA13
3E033BB08
3E033DA08
3E033DD05
3E033EA05
3E033FA02
3E033GA03
4F202AA05
4F202AA07
4F202AA11
4F202AD05
4F202AD08
4F202AD09
4F202AD20
4F202AF10
4F202AG03
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4F202CB01
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4F206JA07
4F206JB12
4F206JB19
4F206JF05
4F206JL02
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】金型コアに対してフィルムインサートを容易に行うことができるうえ、型閉めの際にフィルムの挟み込みを防止して外観品質の低下を抑える。
【解決手段】上型及び金型コア20を備えた下型を有する枠型を使用し、プラスチックフィルムの積層体からなる筒状の胴部フィルム10を金型コア20に装着し、インサートインジェクション成形手段により枠型に溶融樹脂材料を注入して胴部フィルム10の上端部に底部材を形成し、胴部フィルム10の下端部に枠部材を形成し、金型コア20における胴部フィルム10の装着面のうち少なくとも上下端部に上下方向に延びる凹部24が形成され、枠型における凹部24に対応する位置に凸部25が形成され、凹部24と凸部25との間に胴部フィルム10を挟んだ状態で、底部材及び枠部材を形成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型及び金型コアを備えた下型を有する枠型を使用し、筒状の胴部フィルムを前記金型コアに装着し、インサートインジェクション成形手段により前記枠型に溶融樹脂材料を注入して前記胴部フィルムの上端部に上部成形部を形成し、前記胴部フィルムの下端部に下部成形部を形成する容器の製造方法であって、
前記金型コアにおける前記胴部フィルムの装着面のうち少なくとも上下端部に上下方向に延びる凹部が形成され、
前記枠型における前記凹部に対応する位置に凸部が形成され、
前記凹部と前記凸部との間に前記胴部フィルムを挟んだ状態で、前記上部成形部及び前記下部成形部を形成することを特徴とする容器の製造方法。
【請求項2】
前記凹部は、前記金型コアの上下方向の全長にわたって設けられる、請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項3】
前記凸部が形成される型面は、前記装着面に対して直交する方向に移動する、請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項4】
横断面が矩形である前記金型コアを用いる、請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項5】
前記凹部は、4面ある前記装着面のうち対向する2つの側面部に形成される、請求項4に記載の容器の製造方法。
【請求項6】
前記凹部は、4面ある前記装着面のそれぞれに形成される、請求項4に記載の容器の製造方法。
【請求項7】
底面フィルムを前記金型コアの天面に載置した状態で前記上部成形部を形成する、請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項8】
前記胴部フィルムを周方向に繋いだ接続部と、前記凹部とが周方向にずれた位置に配置する、請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項9】
上型及び下型を有する枠型を備え、
前記下型は、筒状の胴部フィルムが装着される金型コアを備え、
前記枠型には、インサートインジェクション成形手段により溶融樹脂材料を注入して、前記胴部フィルムの上端部に上部成形部を形成し、前記胴部フィルムの下端部に下部成形部を形成する樹脂注入部を備え、
前記金型コアには、前記胴部フィルムの装着面のうち少なくとも上下端部に上下方向に延びる凹部が形成され、
前記枠型には、前記凹部に対応する位置に凸部が形成され、
前記凹部と前記凸部との間に前記胴部フィルムを挟んだ状態で、前記上部成形部及び前記下部成形部が形成可能に設けられることを特徴とする金型。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の容器の製造方法で製造されることを特徴とする容器。
【請求項11】
請求項9に記載の金型を使用して製造されることを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の製造方法、金型及び容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば乳児用の粉ミルク、粉末コーヒー、コーヒー豆、粉末状サプリメント等の保存性が重要視される内容物を収容する容器として、使用後の減容化が可能で廃棄性の高く、肉厚の薄いプラスチックフィルムの積層体からなる筒状のプラスチック容器が使用されるようになっている。
【0003】
このようなプラスチック容器では、射出成形金型へのフィルムインサート方式によりプラスチック容器の成形を行う際に、金型に胴部フィルムをインサートする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、プラスチック容器は、有底筒状とされ、プラスチックフィルムで筒状に成形された胴部と、この胴部の一端側及び他端側にインサートインジェクション成形手段により結合された成形部と、を有している。
そして、特許文献1には、金型コアである金型コアの先端部にラミネート筒状部材を押し込み、金型コアとラミネート筒状部材との間に気体を噴出しながらラミネート筒状部材を金型コアの基端側に案内し、金型コアの外面に前記ラミネート筒状部材を装着する方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のプラスチック容器では、以下のような問題があった。
特許文献1のような従来のプラスチック容器の製造方法では、金型コアに装着(挿着)するプラスチックラミネートフィルムからなるラミネート筒状部材(胴部フィルム)の周長と金型コアの周長とが同一寸法であるため、金型コアへのラミネート筒状部材の装着が困難になる場合があった。
【0006】
そこで、金型に対して胴部フィルムを装着し易くするために胴部フィルムの周長を大きく(長く)すると、金型を閉めた際に金型コアに密着する胴部フィルムが周長の余長分が金型同士の間に寄り、その胴部フィルムの余長部分を金型同士の間で挟んでシワが発生するという品質面の問題があり、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、金型コアに対して胴部フィルムの装着を容易に行うことができるうえ、型閉めの際にフィルムの挟み込みを防止して外観品質の低下を抑える容器の製造方法、金型及び容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る容器の製造方法の態様1は、上型及び金型コアを備えた下型を有する枠型を使用し、筒状の胴部フィルムを前記金型コアに装着し、インサートインジェクション成形手段により前記枠型に溶融樹脂材料を注入して前記胴部フィルムの上端部に上部成形部を形成し、前記胴部フィルムの下端部に下部成形部を形成する容器の製造方法であって、前記金型コアにおける前記胴部フィルムの装着面のうち少なくとも上下端部に上下方向に延びる凹部が形成され、前記枠型における前記凹部に対応する位置に凸部が形成され、前記凹部と前記凸部との間に前記胴部フィルムを挟んだ状態で、前記上部成形部及び前記下部成形部を形成することを特徴としている。
【0009】
本発明に係る容器の製造方法の態様1によれば、胴部フィルムの周長が金型コアの凹部を除く周長よりも大きいことから、金型コアに対する胴部フィルムの装着を容易に行うことができる。
また、金型を閉める際には、金型コアの凹部と枠型側の凸部とが、胴部フィルムを介して嵌合することで、胴部フィルムが凹部に密着し、胴部フィルムが周方向に余ることがなく胴部フィルムの全体を金型コアに密着させることができる。そのため、従来のように型閉めの際における胴部フィルムの挟み込みを防止でき、胴部フィルムの上下端部に上部成形部及び下部成形部を品質よく形成することができ、容器の外観品質の低下を抑えることができる。
【0010】
本発明の態様2は、態様1の容器の製造方法において、前記凹部は、前記金型コアの上下方向の全長にわたって設けられることを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、形成した容器の胴部フィルムを金型コアから上下方向に沿って抜き易くなる。そのため、胴部フィルムから金型コアを一方向に抜く簡単な構成とすることができるので、金型の簡素化を図ることができ、製造コストを低減できる。
【0012】
本発明の態様3は、態様1又は態様2の容器の製造方法において、前記凸部が形成される型面は、前記装着面に対して直交する方向に移動することが好ましい。
【0013】
この場合には、金型コアの上下方向に延びる凹部に対して直交する方向から枠型の凸部を当接させることができるので、型閉めの際に、凹部に対して胴部フィルムを確実に装着することができる。
【0014】
本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの容器の製造方法において、横断面が矩形である前記金型コアを用いることが好ましい。
【0015】
この場合には、矩形の金型コアの胴部フィルムの装着面が平面となり、この平坦な装着面に対して凹部を形成できる。そのため、型閉めの際に枠型の凸部を凹部に対して容易に、かつ確実に係合させることができる。
【0016】
本発明に係る金型の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの容器の製造方法において、前記凹部は、4面ある前記装着面のうち対向する2つの側面部に形成されることが好ましい。
【0017】
この場合には、対向する2つの側面部の凹部に対して金型コアを挟んだ両側から枠型の凸部を係合させるといった簡単な構造で、胴部フィルムを金型コアに対して周方向に均一に装着することができ、外観に優れた品質の高い容器を製造することができる。
【0018】
本発明の態様6は、態様1から態様4のいずれか一つの容器の製造方法において、前記凹部は、4面ある前記装着面のそれぞれに形成されることを特徴としてもよい。
【0019】
この場合には、4面の装着面すべての凹部に対して枠型の凸部を係合させるため、胴部フィルムを金型コアに対して周方向に均一に装着することができ、外観に優れた品質の高い容器を製造することができる。
【0020】
本発明の態様7は、態様1から態様6のいずれか一つの容器の製造方法において、底面フィルムを前記金型コアの天面に載置した状態で前記上部成形部を形成することを特徴としてもよい。
【0021】
この場合には、上型を型閉めすることで底面フィルムを金型コアの天面に装着して上部形成部を形成することができる。
【0022】
本発明の態様8は、態様1から態様7のいずれか一つの容器の製造方法において、前記胴部フィルムを周方向に繋いだ接続部と、前記凹部とが周方向にずれた位置に配置することを特徴としてもよい。
【0023】
この場合には、胴部フィルムの接続部と凹部とが重なることがないので、凹部に胴部フィルムを挟んだ状態で凸部を係合させることができ、胴部フィルムを周方向全体にわたって金型コアに装着することができる。
【0024】
本発明に係る金型の態様9は、上型及び下型を有する枠型を備え、前記下型は、筒状の胴部フィルムが装着される金型コアを備え、前記枠型には、インサートインジェクション成形手段により溶融樹脂材料を注入して前記胴部フィルムの上端部に上部成形部を形成し、前記胴部フィルムの下端部に下部成形部を形成する樹脂注入部を備え、前記金型コアには、前記胴部フィルムの装着面のうち少なくとも上下端部に上下方向に延びる凹部が形成され、前記枠型には、前記凹部に対応する位置に凸部が形成され、前記凹部と前記凸部との間に前記胴部フィルムを挟んだ状態で、前記上部成形部及び前記下部成形部が形成可能に設けられることを特徴としている。
【0025】
本発明に係る金型の態様9によれば、金型コアに胴部フィルムをインサートする際には、胴部フィルムが凹部に沿って金型コアに装着しない周長に形成されている。すなわち胴部フィルムの周長が金型コアの凹部を除く周長よりも大きいことから、金型コアに対してフィルムインサートを容易に行うことができる。
また、金型を閉める際には、金型コアの凹部に枠型側の凸部が胴部フィルムを挟んだ状態で型閉めすることで、胴部フィルムを凹部に密着させ、胴部フィルムが周方向に余ることがなく胴部フィルムの全体を金型コアに密着させることができる。そのため、従来のように型閉めの際における胴部フィルムの挟み込みを防止でき、胴部フィルムの上下端部に上部成形部及び下部成形部を品質よく形成することができ、容器の外観品質の低下を抑えることができる。上述した効果を得られる容器を提供することができる。
【0026】
本発明に係る容器の態様10は、態様1から態様8のいずれか一つの容器の製造方法で製造されることを特徴としている。
【0027】
本発明に係る容器の製造方法の態様10によれば、上述した効果を得られる容器を提供することができる。
【0028】
本発明に係る容器の態様11は、態様9の金型を使用して製造されることを特徴としている。
【0029】
本発明に係る容器の製造方法の態様11によれば、上述した効果を得られる容器を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る容器の製造方法、金型及び容器によれば、金型コアに対してフィルムインサートを容易に行うことができるうえ、型閉めの際にフィルムの挟み込みを防止して外観品質の低下を抑える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態による容器の容器本体の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す容器本体を底側から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示すI-I線矢視図であって、容器本体の側面図である。
【
図4】
図1に示すII-II線矢視図であって、容器本体の側面図である。
【
図5】
図1に示す容器本体を上端部から見た平面図である。
【
図6】容器本体を製造するための金型の側面図であって、型閉めした状態を示す図である。
【
図7】スライド型の型開きした状態を示す平面図である。
【
図8】スライド型のスライドインサート部のみを型閉めした状態を示す平面図である。
【
図9】スライド型のスライドインサート部及びスライド型閉め部を型閉めした状態を示す平面図である。
【
図10】(a)~(c)は、
図6に示す金型に対して胴部フィルムを装着する工程を示す側面図である。
【
図11】
図6に示す金型の側面図であって、型開きした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る容器の製造方法、金型及び容器の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0033】
図1~
図5に示す本実施形態の容器1の製造方法は、
図6~
図11に示すように、上型21及び金型コア20を備えた下型22を有する枠型2Aを使用し、プラスチックフィルムの積層体からなる筒状の胴部フィルム10を金型コア20に装着し、インサートインジェクション成形手段により枠型2A(上型21及び下型22)に溶融樹脂材料を注入して胴部フィルム10の上端部(上部開口端10a)に底部材13(上部成形部)及び下端部(下部開口端10b)に枠部材12(下部成形部)を形成する。
【0034】
<容器の構成>
ここで、製造される容器1について、
図1~
図5に基づいて説明する。容器1は、容器本体1Aと、容器本体1Aの上部開口端10aに嵌着された蓋部材(図示省略)と、を備える。容器1は、胴体部分がプラスチックフィルム等により構成された積層フィルムからなる胴部フィルム10により形成されている。
【0035】
容器1は、例えば、乳児用の粉ミルク、粉末コーヒー及び粉末状サプリメント等の粉体や、米、コーヒー豆等の粒状体を収容するための容器である。その他、容器1は、味噌やジャム等のペースト状の内容物、または液体を収容する容器であってもよい。また、容器1の収容物は、食品類に限定されることはなく、例えば洗剤やコーキング材のような日用品類であってもかまわない。
【0036】
容器1は、略直方体状(略四角柱状)である。なお、容器1の形状は、直方体に限られず、例えば、円柱状、あるいは四角柱以外の略多角柱状であってもよい。
【0037】
ここで、本実施形態では、金型2の金型コア20は断面形状が矩形の筒状に形成され、その横断面の中央を通る金型軸線を金型軸Oといい、金型軸Oに沿う方向を軸方向といい、金型軸Oに沿って、下型22側を下方といい、上型21側を上方という。また、軸方向から見た平面視において、金型軸Oに直交する方向を径方向といい、金型軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0038】
<容器本体>
図1及び
図2に示すように、容器本体1Aは、胴部材11と、胴部材11の上端に設けられた枠部材12と、胴部材11の下端に設けられた底部材13と、を備えている。容器本体1Aは、上端が開口する下部開口端10bを形成し、下端が底部材13により閉塞される上部開口端10aを形成している。
【0039】
胴部材11は、上部開口端10a及び下部開口端10bを有する筒状体である。後ほど容器本体1Aの製造方法で説明するように、胴部材11は、例えば、矩形の胴部フィルム10の周方向の端部を封筒貼りすることによって筒状に形成される。
【0040】
また、胴部材11は、上部開口端10aあるいは下部開口端10bを平面に設置させた場合に筒状体の状態で自立可能である。ここで、「自立可能」であるとは、胴部材11が胴部フィルム10を用いて筒状ないし袋状に形成されることで自重により座屈変形せず、自立した状態を維持する程度の剛性を有していることをいう。
【0041】
胴部フィルム10は、例えば胴部材11の外周面を構成する熱融着層と、胴部フィルム10に所定の強度やガスバリア性等を付与する中間層と、胴部材11の内周面を構成する熱融着層と、を有する積層体から構成される。この積層体の各層間は、接着剤層により接着されている。この胴部フィルム10の積層構造は一例であって、適宜変更可能である。
【0042】
熱融着層は、熱融着(ヒートシール)可能な層である。これにより、熱融着層は枠部材12や底部材13と接着する。熱融着層は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン (MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(L-LDPE)、またはポリプロピレン(PP)等からなる樹脂材料で形成されたプラスチックフィルムである。熱融着層は、これらの樹脂材料で構成された未延伸フィルムであることが好ましい。あるいは、熱融着層は、これらの樹脂材料や他の樹脂材料を組み合わせて共押出しした多層フィルムであっても構わない。熱融着層の厚みの範囲は、好ましくは10~200μmであり、より好ましくは20~150μmである。
【0043】
中間層は、熱融着層同士の間に設けられており、優れた印刷適性に加えて、突き刺し強度、引っ張り強度及び耐衝撃性等を備えていることが好ましい。中間層は、例えば、中密度ポリエチレン (MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、またはエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等からなる樹脂材料で形成されたプラスチックフィルムである。中間層は、上記材料からなる延伸フィルムまたは未延伸フィルムのいずれであってもよい。中間層の厚みの範囲は、好ましくは4~50μmであり、より好ましくは7~30μmである。
【0044】
また、中間層は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄または銅等からなる金属箔や、アルミニウム若しくはマグネシウム等の金属または酸化珪素等の酸化物を蒸着させた蒸着フィルムであってもよいし、あるいは、ポリ塩化ビニリデン等のバリア性コート剤等をコートしたコートフィルムであってもよい。これらのいずれかを中間層に設けることにより、胴部フィルム10にガスバリア性を付与することができる。また、中間層は、複数種の樹脂材料を組み合わせて共押出しした多層のプラスチックフィルムであってもよい。中間層は、1層で構成されてもよいが、2以上の層で構成されてもよい。
【0045】
胴部材11は、封筒貼り等により1枚の胴部フィルム10を筒状に形成したものに限らない。例えば、胴部材11は、1枚の矩形の胴部フィルムの左右端部の裏面(内側面)同士を熱融着させた背貼り部を胴部材側に折り曲げて筒状に形成してもよいし、2枚の矩形の胴部フィルムの対向する両縁部を熱融着させて筒状に形成してもよいし、インフレーション成形した単層または多層で構成されるプラスチックフィルムからなるチューブを任意の長さに切断した筒状体であってもよい。
【0046】
胴部材11は、横断面が長方形をなしている。胴部材11のうち長軸方向X2に延びる一対の側面には、上下方向(軸方向)の全長にわたって延びる凹溝14が周方向(長軸方向X2)に間隔をあけて複数形成されている。ここでは、各側面において4つの凹溝14が形成されている。形成された状態の容器本体1Aでは、胴部材11に上下方向の全長にわたって延びる凹溝14を設けることにより、胴部材11の金型軸Oに沿う方向の圧縮強度の向上が期待できる。
【0047】
なお、金型2を使用して容器1として製造される前の筒状の胴部フィルム10の状態では、上記の凹溝14は形成されていない。胴部フィルム10の周長は、金型コア20の後述する凹部24の凹内面の長さを含まない周長よりも例えば1.2mm程度大きくなるように設定されている。そして、胴部フィルム10の周長は、凹部24の凹内面の長さを含む金型コア20の全周長と略同一の寸法に設定されている。すなわち、胴部フィルム10の周長は、型閉めされて金型コア20の凹部24に胴部フィルム10が密着した状態で、胴部フィルム10が金型コア20に対して隙間なく密着する長さに略等しい。胴部フィルム10の周長が、金型コア20の全周長に対して長すぎる場合は、後述する分割スライド型23A、23B同士の間の部分、すなわち金型コア20の短軸方向X1の中央部分に胴部フィルム10が弛んで非密着状態となった余剰部分が寄り集まり、分割スライド型23A、23Bによって切り落とされて穴が開く不具合が生じるおそれがある。
【0048】
枠部材12は、胴部材11の下部開口端10bの外周面に結合するように設けられている。枠部材12は、下部開口端10bが所定の開口形状(矩形、多角形、円形等)を維持するように下部開口端10bの縁部を補強する。枠部材12は、後述する金型2の第1成形空間S1に形成される。
【0049】
図1、
図3及び
図4に示すように、枠部材12は、補強部121、フランジ部122及び嵌合部123で構成されている。補強部121は、胴部材11の下部開口端10bを外側から覆うように配置され、その下部開口端10bを補強する。嵌合部123は、不図示の蓋部材を容器本体1Aに取り付ける際、蓋部材に形成される被嵌合部(図示省略)に嵌め込まれる。フランジ部122は、補強部121と嵌合部123との間に配置され、嵌合部123にはめ込まれる蓋部材を保持する。枠部材12の材質は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレン等である。
【0050】
図2及び
図5に示すように、底部材13は、胴部材11の下端の内周面に結合し、胴部材11の上部開口端10aを閉塞するように形成されている。底部材13は、容器1の内容物の種類や性質に応じて、胴部材11の下部開口端10bを気密ないし液密に閉塞する。底部材13の材質は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレン等である。
【0051】
<金型>
次に、金型2について
図6~
図11に基づいて説明する。
図6に示すように、金型2は、上型21及び金型コア20を一部に備える下型22を有する。ここで、上型21及び下型22は、枠型2Aに相当する。下型22は、スライド型23を備えている。金型2では、金型コア20に胴部フィルム10を装着した状態で、上型21とスライド型23を備えた下型22とで型閉めし、さらに所望箇所に樹脂を充填することで胴部フィルム10に
図1及び
図2に示す枠部材12と底部材13を一体に形成することができる。
【0052】
下型22に設けられるスライド型23は、下型22の上面22aに案内されることにより進退可能に設けられている。下型22の上面22aは、少なくとも金型コア20の周囲においてスライド型23の下面と接している。
【0053】
金型コア20は、下型22の上面22aの平面視中央に位置している。金型コア20は、基端側から先端部までの横断面(金型軸Oに直交する方向の断面)が同一の略矩形に形成され、金型コア20の外周長が軸方向の全体にわたって同一である。金型コア20の周壁部20aに、筒状に形成された胴部フィルム10が不図示の受け渡し治具を使用して装着する。受け渡し治具を使用して胴部フィルム10を金型コア20に受け渡す方法については後述する。
【0054】
金型コア20は、筒状をなす四面を有する周壁部20a(側面20aA、20aB、20aC、20aD)と、周壁部20aの先端を覆う天面20bと、を有する。金型コア20の周壁部20aのうち長辺部を構成する対向する一対の第1側面20aA、20aBは、それぞれ上下方向(軸方向)の全体にわたって延在する凹部24が周方向に複数形成されている。ここでは、各第1側面20aA、20aBにおいて4つの凹部24が形成されている。また、周壁部20aのうち、短辺部を構成する対向する一対の第2側面20aC、20aDは、凹凸のない平坦面に形成されている。凹部24は、上述した胴部フィルム10に形成される凹溝14(
図1及び
図2参照)を形成するために設けられている。
【0055】
金型コア20における凹部24の凹内面の長さを含む全周長は、胴部フィルム10の周長と略同一の寸法に設定されている。すなわち、金型コア20に形成される全て(ここでは8つ)の凹部24の凹内面の長さの合計長さは、上述した胴部フィルム10の余長(例えば1.2mm程度)と同寸法に設定される。これにより、胴部フィルム10が型閉めされた時、胴部フィルム10が金型コア20に対して密着した状態で装着される。
【0056】
スライド型23は、金型コア20の金型軸Oを挟み金型コア20の短軸方向X1に二分割された分割スライド型23A、23Bを有する。すなわち、分割スライド型23A、23Bは、短軸方向X1に進退移動可能に設けられている。スライド型23は、型閉め時の状態において、金型コア20の周壁部20aの全体を外側から覆う。
【0057】
図7~
図9に示すように、分割スライド型23A、23Bのそれぞれは、スライドインサート部231と、スライド型閉め部232と、を有する。
【0058】
スライドインサート部231は、スライド型閉め部232の金型コア20の長軸方向X2の中央部に配置され、スライド型閉め部232に対して短軸方向X1に相対移動可能に設けられている。スライドインサート部231は、金型コア20の第1側面20aA、20aBのみに対向する第1型閉め面231aを有する。第1型閉め面231aには、第1側面20aA、20aBに形成される複数の凹部24に係合可能に設けられた凸部25が長軸方向X2に間隔をあけて複数(凹部24と同数)形成されている。凸部25の突出高さは、凹部24の凹み深さとの同様に、例えば0.5~2.5mmが好ましく、0.7~1.5mmがより好ましく、1.0~1.2mmが更に好ましい。スライドインサート部231は、型閉め時において、スライド型閉め部232より先行して第1型閉め面231aを金型コア20の第1側面20aA、20aBに当接させて型閉めされる。
【0059】
スライド型閉め部232は、スライドインサート部231に対して短軸方向X1に移動可能である。スライド型閉め部232は、金型コア20の角部から第2側面20aC、20aDにわたって接する第2型閉め面232aを有する。スライド型閉め部232は、型閉め時において、スライドインサート部231による型閉め後に、第2型閉め面232aを金型コア20の角部から第2側面20aC、20aDに当接させて型閉めされる。
【0060】
図6及び
図7に示すように、分割スライド型23A、23Bのスライドインサート部231の内側面には、胴部フィルム10の下部開口端10bに対して成形する枠部材12(
図1参照)の形状に対応した空間が形成され、スライド型23が下型22(金型コア20)に対して型閉位置となった状態において、金型コア20の基端部と下型22の上面22aとの間に枠部材12を形成するための第1成形空間S1が形成される。この第1成形空間S1は、スライド型23に設けられた溶融樹脂充填のための樹脂注入部(図示省略)と連通している。これにより、第1成形空間S1に溶融樹脂が流れるようになっている。第1成形空間S1に溶融樹脂が充填され硬化することにより、胴部フィルム10の下部開口端10bに枠部材12が一体に結合される。
【0061】
図6及び
図10(a)~(c)に示すように、分割スライド型23A、23Bの外周部には、下から上に向かうに従い漸次、縮径されるテーパ面23bが形成されている。
また、分割スライド型23A、23Bの上面23cには、テーパ面23bに沿う位置決め孔233が形成されている。位置決め孔233は、上型21に設けられる位置決めピン213が挿入可能に設けられる。上型21が下型22に軸方向に近接し、上型21の位置決めピン213が位置決め孔233に挿入することにより、一対の分割スライド型23A、23Bが近接する方向(型閉め方向)に移動する。すなわち、上型21の移動と同時にスライド型23も型閉めされる。
【0062】
上型21は、下型22の金型コア20に対して軸方向に進退移動可能に設けられている。上型21は、ベース部211と、ベース部211から下方に突出する外周枠212と、を有する。外周枠212は、周方向全周にわたって形成される外周側壁である。外周枠212の内周部には、上から下に向かうに従い漸次、拡径されるテーパ面21bが形成されている。外周枠212の内側には、底面(下面)212aが形成されている。
【0063】
また、ベース部211の下面には、テーパ面21bに沿う位置決めピン213が形成されている。位置決めピン213は、スライド型23に形成される位置決め孔233に挿入可能に設けられる。上型21が下型22に軸方向に近接し、上型21の位置決めピン213が位置決め孔233に挿入されることにより、一対の分割スライド型23A、23Bが近接する方向(型閉め方向)に移動する。
【0064】
図6に示すように、上型21が金型コア20に対して型閉位置となった状態において、上型21の外周枠212の下面212aの下方には、金型コア20の天面20bとの間に胴部フィルム10の上部開口端10aに対して成形する底部材13(
図2参照)の形状に対応した第2成形空間S2が形成される。この第2成形空間S2は、上型21に設けられた溶融樹脂充填のための樹脂注入部(図示省略)と連通している。これにより、第2成形空間S2に溶融樹脂が流れるようになっている。第2成形空間S2に溶融樹脂が充填され硬化することにより、胴部フィルム10の上部開口端10aに底部材13が一体に結合される。
【0065】
<容器の製造方法>
次に、上述した金型2を使用して容器1を製造する方法について、
図1~
図11に基づいて具体的に説明する。
先ず、積層フィルムを用いて筒状の胴部フィルム10を形成する。例えば、矩形にした積層フィルムの端部を重ね合わせて封筒貼りすることによって、胴部フィルム10を形成する。
【0066】
図10(a)~(c)は金型2に対して胴部フィルム10を装着する工程を示す側面図である。
図10(a)は、上型21と下型22とが離間した型開状態を示している。10(b)は、金型コア20の上方で図示しない受け渡し治具で保持された胴部フィルム10が待機している状態を示している。10(c)は、金型コア20に胴部フィルム10が装着された状態を示している。
【0067】
次に、
図10(a)に示すように、金型2を型開状態とする。すなわち、型開状態は、上型21及びスライド型23と金型コア20を有する下型22とが離間した状態である。そして、
図10(b)に示すように、金型2が型開状態において、金型コア20の上方で不図示の受け渡し治具で保持された筒状の胴部フィルム10を待機させる。その後、
図10(c)に示すように、待機している胴部フィルム10を金型コア20に被せるように装着する。この場合、予め四角筒状に胴部フィルム10が成形してあると、金型コア20への装着をスムーズに行うことができるが、予め四角筒状に成形しておくことは必須ではなく、少なくとも、胴部フィルム10が筒状に形成してあれば、滞りなく金型コア20への装着を行うことができる。
【0068】
このとき、胴部フィルム10には凹溝14が形成されていないので、金型コア20に対して若干の隙間を空けて装着された状態である。すなわち、胴部フィルム10の周長は、金型コア20の凹部24の内周長を含まない外周のみの周長よりも僅かに大きく設定されているので、金型コア20に対して胴部フィルム10を容易に装着することができる。
【0069】
次に、
図7、
図8及び
図11に示すように、上型21を下降させて、上型21の位置決めピン213をスライド型23の位置決め孔233に挿入することにより、一対の分割スライド型23A、23Bを短軸方向X1で金型コア20側に向けて移動させる。
具体的には、
図8に示すように、先行してスライドインサート部231を金型コア20に向けて移動させて、第1型閉め面231aを、胴部フィルム10を挟んだ状態で金型コア20の第1側面20aA、20aBに当接させる。このとき、第1型閉め面231aの凸部25が第1側面20aA、20aBの凹部24に係合する。これにより、第1側面20aA、20aBに位置する胴部フィルム10に凹溝14が成形されることになる。
【0070】
その後、
図9に示すように、スライド型閉め部232を金型コア20に向けて移動させて、第2型閉め面232aを、胴部フィルム10を挟んだ状態で金型コア20の第2側面20aC、20aDに当接させる。これと同時に、
図6に示すように、上型21も下方に移動し、型閉めが完了となる。
【0071】
型閉めが完了した状態において、胴部フィルム10と金型2との間には成形空間S1、S2が形成される。具体的には、金型コア20の基端部と下型22の上面22aとの間に第1成形空間S1が形成される。また、上型21の外周枠212の下面212aと金型コア20の天面20bとの間に第2成形空間S2が形成される。そして、次の工程では、金型2に設けられている不図示の充填流路を通して第1成形空間S1と第2成形空間S2にインサートインジュクション成形手段により合成樹脂材料を溶融状態で注入する。これにより、胴部フィルム10に一体的に結合した枠部材12と底部材13とが成形される。これにより、容器本体1Aが製造される。
【0072】
次に、このように構成される容器1の製造方法、金型2及び容器1の作用について、詳細に説明する。
【0073】
本実施形態による容器1の製造方法は、上型21及び金型コア20を備えた下型22を有する枠型2Aを使用し、プラスチックフィルムの積層体からなる筒状の胴部フィルム10を金型コア20に装着し、インサートインジェクション成形手段により枠型に溶融樹脂材料を注入して、胴部フィルム10の上端部に底部材13を形成し、下端部に枠部材12を形成する。容器1の製造方法では、金型コア20における胴部フィルム10の装着面のうち、少なくとも上下端部に上下方向に延びる凹部24が形成され、枠型における凹部24に対応する位置に凸部25が形成され、凹部24と凸部25との間に胴部フィルム10を挟んだ状態で、底部材13及び枠部材12を形成する。
【0074】
また、本実施形態による金型2は、上型21及び下型22を有する枠型2Aを備える。下型22には、プラスチックフィルムの積層体からなる筒状の胴部フィルム10が装着される金型コア20を備える。枠型2Aには、インサートインジェクション成形手段により溶融樹脂材料を注入して胴部フィルム10の上端部に底部材13及び下端部に枠部材12を形成する樹脂注入部を備え、金型コア20には、胴部フィルム10の装着面のうち少なくとも上下端部に上下方向に延びる凹部24が形成され、枠型には、凹部に対応する位置に凸部25が形成され、凹部24と凸部25との間に胴部フィルム10を挟んだ状態で、底部材13及び枠部材12が形成可能に設けられる。
【0075】
本実施形態による容器の製造方法によれば、金型コア20に胴部フィルム10が装着され、型締めが完了していない時には、胴部フィルム10が凹部24に沿って金型コア20に密着しない周長に形成されている。すなわち胴部フィルム10の周長が金型コア20の凹部24を除く周長よりも大きいことから、金型コア20に対する胴部フィルム10の装着を容易に行うことができる。
また、金型2を型閉めする際には、金型コア20の凹部24と枠型側の凸部25とが、胴部フィルム10を介して嵌合することで、胴部フィルム10が凹部24に密着し、胴部フィルム10が周方向に余ることがなく胴部フィルム10の全体を金型コア20に密着させることができる。そのため、従来のように型閉めの際における胴部フィルム10の挟み込みによるシワの発生を防止でき、胴部フィルム10の上下端部に底部材13及び枠部材12を品質よく形成することができ、容器1の外観品質の低下を抑えることができる。
【0076】
また、本実施形態では、凹部24は、金型コア20の上下方向の全長にわたって設けられるので、形成した容器1の胴部フィルム10を金型コア20から上下方向に沿って抜き易くなる。そのため、胴部フィルム10から金型コア20を一方向に抜く簡単な構成とすることができるので、金型2の簡素化を図ることができ、製造コストを低減できる。
【0077】
また、本実施形態では、枠型2Aの凸部25が形成される第1型閉め面231a(型面)は、装着面に対して直交する方向に移動することで、金型コア20の上下方向に延びる凹部24に対して直交する方向から枠型の凸部25を当接させることができるので、型閉めの際に、凹部24に対して胴部フィルム10を確実に装着することができる。
【0078】
また、本実施形態では、横断面が矩形である金型コア20を用いることで、矩形の金型コア20における胴部フィルム10の装着面が平面となり、この平坦な装着面に対して凹部24を形成できる。そのため、型閉めの際に枠型の凸部25を凹部24に対して容易に、かつ確実に係合させることができる。
【0079】
また、本実施形態では、凹部24は、4面ある装着面のうち対向する2つの側面部(第1側面20aA、20aB)に形成される。そのため、対向する2つの側面部の凹部24に対して金型コア20を挟んだ両側から枠型の凸部25を係合させるといった簡単な構造で、胴部フィルム10を金型コア20に対して周方向に均一に装着することができ、外観に優れた品質の高い容器1を製造することができる。
【0080】
また、本実施形態では、胴部フィルム10における積層体を周方向に繋いだ接続部と、凹部24とが周方向にずれた位置に配置する。そのため、胴部フィルム10の接続部と凹部24とが重なることがないので、凹部24に胴部フィルム10を挟んだ状態で凸部25を係合させることができ、胴部フィルム10を周方向全体にわたって金型コア20に装着することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上述した容器1の製造方法で製造されるので、上述した効果を得られる容器1を提供することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上述した金型2を使用して製造されるので、上述した効果を得られる容器1を提供することができる。
【0083】
上述のように構成された本実施形態による容器の製造方法、金型及び容器では、筒状の胴部フィルムを金型コア20に対して容易に装着することができるうえ、型閉めの際にフィルムの挟み込みを防止して外観品質の低下を抑えることができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のもの等が含まれる。
【0085】
例えば、上記実施形態では、胴部フィルム10の形状を略矩形断面の筒状とした例を示しているが、断面形状が略矩形であることに限定されることはなく、例えば円形であってもよい。
【0086】
また、本実施形態の金型2は、下型22にスライド型23を備えた構成とし、分割スライド型23A、23Bが下型22に対して短軸方向X1にスライドする構成の金型を採用しているが、このような形態の金型2であることに限定されることはない。例えば、スライド型23を省略した構成の金型であってもよい。この場合、例えば上型の一部に凸部25を設け、金型コア20の凹部24に対して近接離反する構成であればよい。
【0087】
また、本実施形態では、金型コア20の凹部24が4面ある装着面のそれぞれに形成されていてもよい。この場合には、4面の装着面すべての凹部24に対して枠型の凸部25を係合させるため、胴部フィルム10を金型コア20に対して周方向に均一に装着することができ、容器の品質を向上させることができる。
【0088】
さらに凹部24は、金型コア20の複数の装着面のうち1箇所の装着面のみに設けられていってもよい。
【0089】
また、本実施形態では、凹部24が金型コア20の上下方向の全体にわたって設けられた構成としているが、全体であることに限定されることはない。要は、金型コア20における胴部フィルム10の装着面のうち少なくとも上下端部に上下方向に延びる凹部が形成されていればよいのである。
【0090】
さらに、凹部24の形状(深さ、幅寸法(周方向長さ))、数量、凸部25の形状(高さ、幅寸法(周方向長さ))、数量等の構成は、所望の構成に設定することができる。
【0091】
また、本実施形態では、胴部フィルム10と同じ構成の積層フィルムからなる底面フィルムを金型コア20の天面20bに載置した状態で上型21を型閉めし、インサートインジェクション成形手段により第2成形空間S2に溶融樹脂材料を注入して成形することで胴部フィルム10の底部に一体化した底部材13(上部成形部)を形成してもよい。
【0092】
なお、胴部フィルム10の部材に関しては、マテリアルリサイクル性の観点から、胴部フィルム10のモノマテリアル率(単一素材占有率)は高ければ高いほどよく、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。具体的には、胴部フィルム10を構成する樹脂材料としてポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレン及びポリプロピレンの混合物等を用いることができる。モノマテリアル率が高いと、マテリアルリサイクル時における残渣が少なく、より効率的なリサイクルが可能となり、環境負荷を減らすことができる点で好ましい。
【符号の説明】
【0093】
1 容器
1A 容器本体
2 金型
2A 枠型
10 胴部フィルム(装着面)
10a 上部開口端
10b 下部開口端
11 胴部材
12 枠部材(下部形成部)
13 底部材(上部形成部)
14 凹溝
20 金型コア
20a 周壁部
20aA、20aB 第1側面
20aC、20aD 第2側面
20b 天面
21 上型
22 下型
23 スライド型
23A、23B 分割スライド型
231 スライドインサート部
231a 第1型閉め面(型面)
232 スライド型閉め部
232a 第2型閉め面
24 凹部
25 凸部
O 金型軸
S1 第1成形空間
S2 第2成形空間
X1 短軸方向
X2 長軸方向