(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025072189
(43)【公開日】2025-05-09
(54)【発明の名称】ウレア樹脂発泡体および配管用断熱材
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20250430BHJP
F16L 59/14 20060101ALI20250430BHJP
【FI】
C08G18/00 M
F16L59/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182779
(22)【出願日】2023-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 諒太
【テーマコード(参考)】
3H036
4J034
【Fターム(参考)】
3H036AA01
3H036AB18
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4J034RA15
(57)【要約】
【課題】耐吸湿性に優れたウレア樹脂発泡体に関する技術を提供する。
【解決手段】本発明のある態様は、ウレア樹脂発泡体100である。当該ウレア樹脂発泡体100は、コア部110およびスキン層120を有する。スキン層120の平均セル径は、コア部110の平均セル径の70%以下であってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキン層を有するウレア樹脂発泡体。
【請求項2】
前記スキン層の平均セル径が、前記ウレア樹脂発泡体のコア部の平均セル径の70%以下である、請求項1記載のウレア樹脂発泡体。
【請求項3】
前記ウレア樹脂発泡体の全体の表面に対する、前記スキン層が露出している表面の占める割合が80%以上である、請求項1記載のウレア樹脂発泡体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウレア樹脂発泡体を備える、配管用断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレア樹脂発泡体および配管用断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
配管を断熱する部材として、特許文献1に開示されているような、グラスウール製のシートにより配管を覆う技術や、特許文献2に開示されているような、硬質ウレタンフォームにより、配管を被覆する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-181281号
【特許文献2】特開2002-168393号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配管用断熱材として、グラスウールを用いた場合には、耐吸湿性が不十分であるため、経年劣化により断熱性能が低下するという課題がある。また、硬質ウレタンフォームを用いた場合には、耐吸湿性が不十分であるだけでなく、耐熱性が不十分であるという課題がある。
【0005】
本発明は上述のような課題を鑑みたものであり、耐吸湿性に優れたウレア樹脂発泡体に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、ウレア樹脂発泡体である。当該ウレア樹脂発泡体は、スキン層を有する。
【0007】
上述した態様のウレア樹脂発泡体において、前記スキン層の平均セル径が、前記ウレア樹脂発泡体のコア部の平均セル径の70%以下であってもよい。前記ウレア樹脂発泡体の全体の表面に対する、前記スキン層が露出している表面の占める割合が80%以上であってもよい。
【0008】
本発明の他の態様は、配管用断熱材である。当該配管用断熱材は、上述したいずれかの態様のウレア樹脂発泡体を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐吸湿性に優れたウレア樹脂発泡体に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るウレア樹脂発泡体の概略断面図である。
【
図2】
図2(a)~(c)は、実施形態に係るウレア樹脂発泡体の製造方法を示す概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下であることを表す。
【0012】
(ウレア樹脂発泡体)
図1は、実施形態に係るウレア樹脂発泡体100の概略断面図である。
図1に示すように、実施形態に係るウレア樹脂発泡体100は、コア部110およびスキン層120を有する。
【0013】
コア部110における平均セル径は、100~300μmが好ましく、120~280μmがより好ましく、150~250μmがより好ましい。
なお、ウレア樹脂発泡体100のコア部110における気泡(セル)の平均セル径測長機能付きの光学顕微鏡(例えば、デジタルマイクロスコープ)を用いて、観察、測定される。
具体的には、後述するモールド内で発泡させた際の発泡の流れ方向(ウレア樹脂組成物が発泡して膨張する方向であり、モールド底面から垂直上方の方向。以降、この方向をライズ方向と称す)を、試験片の厚み方向となるように取り出す。取り出した試験片のライズ方向を法線とする面をCD面とする。また、試験片のCD面に直交する面をMD面とする。
ライズ方向の中心部分において、MD面内の気泡を無作為にそれぞれ10個選択し、その長軸の長さを測定し、平均したものをコア部110におけるMD面内の平均セル径とする。
【0014】
スキン層120は、ウレア樹脂発泡体100の表面に一体的に形成される表皮層である。スキン層120はコア部110と比べて密度が高い層である。
スキン層120における平均セル径は、ウレア樹脂発泡体100のコア部110の平均セル径の70%以下であることが好ましく、60%以下であることがさらに好ましく、50%以下であることがより好ましい。これにより、ウレア樹脂発泡体110の吸水性を抑制できる。また、強度や寸法安定性を向上させることができる。
なお、ウレア樹脂発泡体100のスキン層120における気泡(セル)の平均セル径は、測長機能付きの光学顕微鏡(例えば、デジタルマイクロスコープ)を用いて、観察、測定される。
具体的には、上述した試験片のライズ方向における最表面から100μmの深さにおいて、MD面内の気泡を無作為にそれぞれ10個選択し、その長軸の長さを測定し、平均したものをスキン層120におけるMD面内の平均セル径とする。
【0015】
実施形態に係るウレア樹脂発泡体100は、スキン層120を具備することにより、コア部110に水分が侵入することを抑制することができ、ひいては、断熱性の低下を抑制することができる。また、実施形態に係るウレア樹脂発泡体100は、スキン層120を具備することにより、強度および寸法安定性の向上を図ることができる。
【0016】
ウレア樹脂発泡体100の全体の表面に対する、スキン層120が露出している表面の占める割合、換言すると、ウレア樹脂発泡体100の全体の表面に対して、コア部110を被覆するスキン層120の表面積の割合が80%以上であることが好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましく、100%が最も好ましい。上述の割合を高めるほど、ウレア樹脂発泡体110の吸水性をより一層抑制しつつ、強度および寸法安定性を向上させることができる。
【0017】
実施形態に係るウレア樹脂発泡体10は、後述するウレア樹脂組成物をモールド成型法により発泡・硬化させることで得られる。
【0018】
(ウレア樹脂組成物)
実施形態に係るウレア樹脂発泡体の形成に用いられるウレア樹脂組成物について説明する。
ウレア樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリアミン化合物(B)、三量化触媒、発泡剤を含むことが好ましく、さらに整泡剤、難燃剤含むことが好ましい。以下、ウレア樹脂組成物の各成分について説明する。
【0019】
(ポリイソシアネート化合物(A))
ポリイソシアネート化合物(A)は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ポリイソシアネート化合物(A)としては、モノマー型ポリイソシアネートとポリマー型ポリイソシアネートとを挙げることができる。モノマー型ポリイソシアネートとは、モノマー構造の末端に複数のイソシアネート基が存在する化合物である。ポリマー型ポリイソシアネートとは、ポリマー構造の末端に複数のイソシアネート基が存在する化合物である。これらのポリイソシアネート化合物(A)は、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0020】
モノマー型ポリイソシアネートは、例えば、2官能のポリイソシアネート化合物として、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、などの芳香族系のもの、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどのアルキレン系のもの;
3官能以上のポリイソシアネートとして、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等;を挙げることができ、
また、これらの変性体、誘導体等;を含むことができる。これらの変性体、誘導体としては、例えば、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート化合物、ジイソシアネート化合物のアダクト化合物、ジイソシアネート化合物のビュレット化合物、ジイソシアネート化合物のアロファネート化合物、ジイソシアネート化合物のカルボジイミド変性化合物を挙げることができる。
なお、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
モノマー型ポリイソシアネート化合物はウレア樹脂発泡体のウレア骨格を形成するため、所望するウレア樹脂発泡体の特性を考慮して自由に選択することができる。これらのモノマー型ポリイソシアネートのうち、反応性に優れる点で、芳香族イソシアネートが好ましく、MDI、又は、MDIの変性体若しくは誘導体がより好ましく、モノメリックMDI及びクルードMDIがさらに好ましい。また、同等のNCO%を有するモノメリックMDI及びクルードMDIでは、多核体を含むクルードMDIが、イソシアヌレート化率に優れるため、難燃性に優れる。
【0021】
ポリマー型ポリイソシアネート化合物としては、活性水素基を2以上有する活性水素化合物、例えば、ポリオール化合物、ポリアミン化合物(D)に過剰量のポリイソシアネート化合物(C)を反応させることにより、プレポリマー化したものが含まれる。なお、このポリアミン化合物(D)及びポリイソシアネート化合物(C)は、ポリマー型ポリイソシアネートを作製するための原料であり、本実施形態にかかるウレア樹脂組成物の原料であるポリアミン化合物(B)及びポリイソシアネート化合物(A)にはそれぞれ含まれない。ここで、ポリイソシアネート化合物(C)は、ポリイソシアネート化合物(A)と同一でも、異なっていてもよい。
【0022】
このような、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがある。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げることができる。多価カルボン酸としては
、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。
【0023】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものを挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0024】
これらポリオール化合物と反応させるポリイソシアネート化合物(B)としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、脂肪族系又は芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、及びそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを挙げることができる。
【0025】
ポリアミン化合物(D)としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ポリアミン化合物(D)としては、例えば、トリエチレンテトラミンのような脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミンのような芳香族ポリアミン、イソホロンジアミンのような脂環式ポリアミン等を挙げることができる。具体的には、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジクロロジフェニルメタン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルー5,5’-ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、2,2’,6,6’-テトラエチル-4,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンを挙げることができる。これは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。また、ポリアミン化合物(D)は、後述するポリアミン化合物(B)と同一でも、異なっていてもよい。
【0026】
ポリイソシアネート化合物(A)のNCO%は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて限定されず、例えば、5~40%とすることができ、10~35%が好ましく、15~35%がより好ましい。ポリイソシアネート化合物(A)のNCO%が大きくなると、燃焼時の保形性が高く、熱伝導性が低く、湿熱環境下における経時劣化を抑制できるウレア樹脂発泡体を得ることができる。即ち、優れた難燃性と燃焼時の保形性を有し、湿熱環境下における経時劣化を抑制できるウレア樹脂発泡体を得ることができる。
【0027】
ポリイソシアネート化合物(A)のNCO%(イソシアネート含有率)は、JIS K1603-1:2007「プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 第1部:イソシアネート基含有率の求め方」のA法(トルエン/ジブチルアミン、塩酸法)に準拠して測定する。
【0028】
ポリイソシアネート化合物(A)のウレア樹脂組成物中の含有量は、ウレア樹脂組成物中のポリアミン化合物(B)の全含有量を100質量部とした場合に、100~1000質量部とすることができる。
【0029】
(ポリアミン化合物(B))
ポリアミン化合物(B)は、イソシアネートと反応することでウレア結合を形成する。ウレア結合は耐水、耐食、酸やアルカリといった耐薬品性に優れるといった特徴を有する。
【0030】
ポリアミン化合物(B)は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ポリアミン化合物(B)としては、例えば、トリエチレンテトラミンのような脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミンのような芳香族ポリアミン、イソホロンジアミンのような脂環式ポリアミン等を挙げることができる。具体的には、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジクロロジフェニルメタン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルー5,5’-ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、2,2’,6,6’-テトラエチル-4,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンを挙げることができ、市販品の例としてクミアイ化学工業社製のイハラキュアミンMT、イハラキュアミンM液状品、CUA-4、キュアハードMED、エラスマー250P、エラスマー1000P;ロンザジャパン社製のLonzacure M-DEA、Lonzacure M-MIPA、Lonzacure M-DIPA、Lonzacure M-CDEA;アルベマール社製のエタキュア100、エタキュア300、エタキュア410、エタキュア420;Evonik Nutrition & Care社製のVERSALINK740;Evonik社製のANCAMINE2049を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0031】
ポリアミン化合物(B)のアミン価は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、50~1000mgKOH/gとすることができ、200~1000mgKOH/gが好ましく、450~1000mgKOH/gがより好ましく、500~1000mgKOH/gがさらに好ましい。ポリアミン化合物のアミン価がかかる範囲にある場合には、優れた難燃性と燃焼時の保形性を有し、湿熱環境下における経時劣化を抑制できる、ウレア樹脂発泡体が提供可能なウレア樹脂組成物を得ることができる。
【0032】
ポリアミン化合物(B)のアミン価は、JIS K1557-7:2011「プラスチック-ポリウレタン原料ポリオール試験方法-第7部:塩基性度の求め方(窒素含有量及び全アミン価表示)」に記載の全アミン価の測定方法によって測定することができる。
【0033】
ポリアミン化合物(B)のウレア樹脂組成物中の含有量は、ウレア樹脂組成物の全量を含有量100質量%とした場合に、2.0質量%以上であり、5.0質量%以上が好ましく、8.0質量%以上がより好ましい。前記ポリアミン化合物(B)の含有量上限は、例えば、40.0質量%以下とすることができ、30.0質量%以下が好ましく、20.0質量%以下がより好ましい。ポリアミン化合物(B)の含有量は、別の観点では、ウレア樹脂組成物のイソシアネートインデックスが、200~600となるように配合することができ、より好ましくは200~500である。ここで、イソシアネートインデックスとは、全原料配合である樹脂組成物のすべての活性水素のモル数と、ポリイソシアネート化合物(A)中のイソシアネート基のモル数の比に100を乗じた値(NCOのモル数/活性水素のモル数×100)をいう。樹脂組成物のイソシアネートインデックスがかかる範囲にある場合には、十分なイソシアヌレート構造が形成され、イソシアヌレート化率を適度なものとすることができる。そのため、ウレア樹脂発泡体の難燃性を優れたものとすることができる。
【0034】
上述したポリアミン化合物(B)に加え、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、活性水素化合物を添加することができる。活性水素化合物は例えば、1級アルコール、2級アルコール、3級アルコール等のアルコール類、モノオール、ポリオール化合物、又はチオール化合物が挙げられる。アルコール類やポリオール化合物は、ポリイソシアネート化合物(A)と反応してウレタン結合を形成し、ウレア樹脂発泡体の骨格の一部を形成することができる。しかしながら、ウレタン結合はウレア結合よりも燃焼性が高いため、ウレア樹脂発泡体の難燃性が低下するおそれがある。このため、ポリオール化合物の含有量は、ポリアミン化合物(B)の含有量に対し、質量比で1/5以下とすることができ、1/10以下が好ましく、ポリオール化合物は含まないことがより好ましい。
【0035】
(三量化触媒)
三量化触媒は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。三量化触媒を用いることで、ポリアミン化合物(B)を用いてウレア樹脂発泡体を製造する際にウレア樹脂発泡体にイソシアヌレート構造を形成することができる。三量化触媒としては、例えば、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類;メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシカリウム、プロポキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルコキシド類;酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、カプリル酸カリウム、シュウ酸鉄等の有機金属塩類;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン等の3級アミン類;エチレンイミンの誘導体;アルカリ金属、アルミニウム、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類;4級アンモニウム塩;ジアザビシクロウンデセン(DBU)等;を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。これらのうち、3級アミン類、有機金属塩類、ジアザビシクロウンデセンを使用することがより好ましく、3級アミン類、ジアザビシクロウンデセンを使用することがより好ましい。これら好適な三量化触媒を用いることで、優れた難燃性と燃焼時の保形性を有し、湿熱環境下における経時劣化を抑制できるウレア樹脂発泡体を得ることができる。
【0036】
三量化触媒のウレア樹脂組成物中の含有量は、ウレア樹脂組成物中のポリアミン化合物(B)の全含有量を100質量部とした場合に、0.1~30質量部とすることができ、0.5~20質量部が好ましく、1.5~20質量部がより好ましく、2.0~20質量部がさらに好ましい。三量化触媒の含有量がかかる範囲にある場合には、イソシアヌレート化が十分となり、優れた難燃性と燃焼時の保形性を有し、湿熱環境下における経時劣化を抑制できるウレア樹脂発泡体を得ることができる。また、ウレア樹脂発泡体に含まれる三量化触媒の含有量は、ウレア樹脂発泡体の全質量を100質量%とした場合に、0.01~20質量%とすることができ、0.05~15質量%が好ましい。
【0037】
本実施形態のウレア樹脂発泡体は、イソシアヌレート構造を含むことが好ましい。イソシアヌレート構造は、ウレア樹脂組成物の原料であるポリイソシアネート化合物(A)が、三量化触媒によって三量化されることで形成される。
ウレア樹脂発泡体がイソシアヌレート構造を含むことにより、優れた難燃性および燃焼時の保形性を発揮することができる。さらに、湿熱環境下におけるウレア樹脂発泡体の経時劣化を抑制することができる。
【0038】
(発泡剤)
発泡剤は、本発明の効果が阻害されない限りにおいて特に限定されない。発泡剤としては、例えば、水、炭化水素(好適にはC4~C6)、ハイドロフルオロオレフィン、炭酸ガスを挙げることができる。具体的には、シクロペンタン、HFO(1336mzz)、HFO(1233zd)を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0039】
発泡剤のウレア樹脂組成物中の含有量は、ウレア樹脂組成物中のポリアミン化合物(B)の全含有量を100質量部とした場合に、1~80質量部とすることができ、5~70質量部が好ましい。発泡剤の含有量がかかる範囲にある場合には、優れた難燃性と燃焼時の保形性を有し、湿熱環境下における経時劣化を抑制できるウレア樹脂発泡体を得ることができる。また、ウレア樹脂発泡体に含まれる発泡剤の含有量は、ウレア樹脂発泡体の全質量を100質量%とした場合に、1~60質量%とすることができ、3~55質量%が好ましい。
【0040】
(整泡剤)
整泡剤は、本発明の効果が阻害されない限りにおいて特に限定されない。整泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、非イオン系界面活性剤等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0041】
整泡剤のウレア樹脂組成物中の含有量は、ウレア樹脂組成物中のポリアミン化合物(B)の全含有量を100質量部とした場合に、0.1~40質量部とすることができる。また、ウレア樹脂発泡体に含まれる整泡剤の含有量は、ウレア樹脂発泡体の全質量を100質量%とした場合に、0.1~20質量%とすることができ、0.5~10質量%が好ましい。
【0042】
(難燃剤)
本実施形態にかかるウレア樹脂組成物は、難燃剤を含むことができる。難燃剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、赤燐、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。これらのうち、赤燐又はリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましく、赤燐を含むことがより好ましく、赤燐に加え、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる少なくとも一つを含む場合がさらに好ましく、赤燐とリン酸エステルを含み、さらに塩素含有リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる少なくとも一つを含む場合が特に好ましく、赤燐、リン酸エステル、臭素含有難燃剤を含む場合が特に好ましい。本発明にかかるウレア樹脂組成物がこれらの難燃剤を含む場合には、優れた難燃性と燃焼時の保形性を有し、湿熱環境下における経時劣化を抑制できるウレア樹脂発泡体を得ることができる。また、これらの難燃剤以外のその他の難燃剤を含むことができる。
【0043】
リン酸エステルは、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(t-ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(i-プロピル化フェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル;
1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシ
レニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族縮合リン酸エステル;
トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類;
2,2-ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2-クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート等の含ハロゲン縮合リン酸エステル類;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0044】
リン酸塩含有難燃剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、モノリン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;
リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;
リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;
リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;
リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;
リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;
リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩、第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩;等を挙げることができる。
ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0045】
臭素含有難燃剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。臭素含有難燃剤としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル;オクタブロモジフェニルエーテル;デカブロモジフェニルエーテル;テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA-エポキシオリゴマー、TBBA-ポリカーボネートオリゴマー、TBBA-ビス(ジブロモプロピールエーテル)、TBBA-ビス(アリールエーテル)等のTBBA化合物;
ビスフェニルペンタメタン、1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,6-ジブロモフェノール、2,4-ジブロモフェノール等の多ベンゼン環化合物;
臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン等の臭素化スチレン化合物;
エチレンビステトラブロモフタルイミド等のフタル酸化合物;
ヘキサブロモシクロドデカン等の環状脂肪族化合物;ポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート)等のポリアクリル酸臭素化芳香族エステル化合物;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0046】
ホウ素含有難燃剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ホウ素含有難燃剤としては、例えば、ホウ砂;三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等の酸化ホウ素;ホウ酸、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等ホウ酸化合物等を挙げることができる。
【0047】
アンチモン含有難燃剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ホウ素含有難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン;アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等のアンチモン酸塩;ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等のピロアンチモン酸塩;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0048】
金属水酸化物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0049】
その他の難燃剤としては、公知の難燃剤を用いることができる。その他の難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン等の塩素化合物;ヒンダードアミン、メラミンシアヌレート等の窒素化合物;セルロース;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0050】
難燃剤のウレア樹脂組成物中の含有量は、ウレア樹脂組成物中のポリアミン化合物(B)の全含有量を100質量部とした場合に、10~300質量部とすることができ、30~250質量部が好ましく、50~150質量部がより好ましい。難燃剤の含有量がかかる範囲にある場合には、難燃性に優れたウレア樹脂発泡体を得ることができる。また、ウレア樹脂発泡体に含まれる難燃剤の含有量は、ウレア樹脂発泡体の全質量を100質量%とした場合に、1~60質量%とすることができ、2~45質量%が好ましい。
【0051】
赤燐のウレア樹脂組成物中の含有量は、ウレア樹脂組成物中のポリアミン化合物(B)の全含有量を100質量部とした場合に、100質量部以下とすることができ、5~40質量部が好ましく、25~40質量部がより好ましい。また、ウレア樹脂発泡体に含まれる赤燐の含有量は、ウレア樹脂発泡体の全質量を100質量%とした場合に、1~30質量%とすることができ、2~25質量%が好ましく、3~10質量%がより好ましい。赤燐の含有量がかかる範囲にある場合には、より難燃性に優れたウレア樹脂発泡体を得ることができ、さらに湿熱環境下における経時劣化を抑制できる。特に発泡体の熱分解後の灰分が増加すること、及び、後述する接炎評価において、接炎初期に不燃性の炭化層を形成することで発泡体深部への燃焼進行を防止することができる。
また、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる難燃剤の合計の含有量は、ウレア樹脂組成物中のポリアミン化合物(B)の全含有量を100質量部とした場合に、10~200質量部とすることができる。また、ウレア樹脂組成物中の赤燐の含有量(Fp)と、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる難燃剤の合計の含有量(Ft)との比(Fp/Ft)は、特に限定されないが、例えば、0.0~1とすることができ、0.0~0.8が好ましく、0.09~0.73がより好ましく、0.45~0.73がさらに好ましい。これら難燃剤の配合がかかる範囲にある場合には、優れた難燃性と燃焼時の保形性を有し、湿熱環境下における経時劣化を抑制できるウレア樹脂発泡体を得ることができる。
【0052】
(その他添加物)
本実施形態にかかるウレア樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、上記の添加物に加え、さらにその他の添加物を添加することができる。その他の添加物としては、樹脂(ウレア)化触媒、泡化触媒、バランス触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、分散剤等、添加剤として公知のものを添加することができる。
【0053】
三量化触媒以外の触媒(樹脂化触媒、泡化触媒等)のウレア樹脂組成物中の含有量を配合する場合において、三量化触媒以外の触媒の含有量は、ウレア樹脂組成物中のポリアミン化合物の全含有量を100質量部とした場合に、1~10質量部とすることができる。なお、樹脂化触媒及び泡化触媒の両方の作用を有する化合物は樹脂化触媒として配合するものとする。また、ウレア樹脂発泡体に含まれる三量化触媒以外の触媒の含有量は、ウレア樹脂発泡体の全質量を100質量%とした場合に、0~20質量%とすることができ、0.5~15質量%が好ましい。
【0054】
<密度>
ウレア樹脂発泡体の密度は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、10~200kg/m3とすることができ、10~100kg/m3が好ましく、10~80kg/m3がより好ましい。ウレア樹脂発泡体の密度がかかる範囲にある場合には、熱伝導率に優れ、難燃性に優れたウレア樹脂発泡体を得ることができる。ウレア樹脂発泡体の密度は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に従って測定される。
【0055】
まず、
図2(a)に示すように、モールド(成型金型)10に注入口(図示せず)を介して、モールド10内のキャビティにウレア樹脂組成物20を注入する。モールド10の成型形状は、ウレア樹脂発泡体で形成される成型物の構造および形状に応じて適宜設計変更されうる。
なお、ウレア樹脂組成物20は、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリアミン化合物(B)、触媒、発泡剤、整泡剤、赤燐、その他の難燃剤、その他添加物をあらかじめ混合して作製される。混合方法としては公知の方法を用いることができる。具体的には、所定の容器に、ポリイソシアネート(A)以外の原料を混合機(例えば、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機)で混合し(例えば、前記攪拌機を用い2000rpmで5分間攪拌する)、ポリアミン混合物を調整する。続いて、ポリイソシアネート(A)と、ポリアミン混合液をそれぞれ所定の温度(例えば、20℃±2℃)に冷却する。その後、ポリイソシアネート(A)と、ポリアミン混合物とを、混合し(例えば、前記攪拌機を用いて3000rpmで2秒間攪拌する)、ウレア樹脂組成物20とする。
【0056】
次に、
図2(b)に示すように、モールド10内のキャビティにおいて、ウレア樹脂組成物20を発泡・硬化させる。発泡・硬化時の条件は、たとえば、30~70℃、1~30分である。発泡・硬化の過程で、ウレア樹脂組成物20から生じるウレア樹脂発泡体のうち、モールド10の内壁に接する表層部分にスキン層が形成される。発泡・硬化条件を制御することにより、後述するスキン層120の平均セル径を所望の値に調整することができる。
【0057】
次に、
図2(c)に示すように、発泡・硬化が完了した後、
図2(b)に示すモールド10を外すことにより、コア部110およびスキン層120を有するウレア樹脂発泡体100を得ることができる。具体的には、ウレア樹脂発泡体100は、スキン層120がコア部110を被覆した構造を有し、ウレア樹脂発泡体100の最表面にスキン層120が露出している。
【0058】
(配管用断熱材)
実施形態に係る配管用断熱材は、上述した態様のウレア樹脂発泡体を備える。実施形態に係る配管用断熱材の形状は特に制限されないが、配管の所定外周面を覆うことが可能な円筒形状であることが挙げられる。この場合、配管用断熱材の外周面(露出面)にスキン層が形成されていることが好ましい。
上述した態様のウレア樹脂発泡体は、耐吸湿性に優れるとともに、強度および寸法安定性に優れるため、配管用断熱材の材料として用いたときに、少なくとも以下に挙げる効果を奏する。
・吸湿による断熱性能の低下を抑制する。
・使用時に外部から衝撃を受けた際に、形状を保持しやすい。
・高温環境下で使用された際に、形状を維持しやすい。
【0059】
実施形態に係る配管用断熱材は、上述した態様のウレア樹脂発泡体により一体成型されていてもよいが、断熱対象の配管の形状に合わせて、上述した態様のウレア樹脂発泡体を複数のパーツとし、当該パーツ同士を周知の接着剤などで固定してもよい。
また、本実施形態の配管用断熱材の表面に、面材(アルミ箔や塩ビフィルムにアルミが蒸着されたもの)が貼付されてもよい。面材の貼付方法は、特に限定されないが、ウレア樹脂発泡体のモールド成形後に、ウレア樹脂発泡体の表面に面材を貼付する方法や、ウレア樹脂発泡体のモールド成形時にモールド型内に面材をセットして一体成型する方法が挙げられる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0061】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
表1に示すウレア処方に従い、ウレア樹脂組成物を調製した。このウレア樹脂組成物を、内寸300mm×300mm×t20mmのモールド型に充填した。充填後、55℃、5分にてモールド成型による発泡、硬化を行った。その後、モールドを外し、スキン層を有するウレア樹脂発泡体を得た。実施例1のウレア樹脂発泡体について、コア部および表面から深さ100μmにおける平均セル径を測定し、(表面から深さ100μmにおける平均セル径)/(コア部の平均セル径)×100(%)を算出した。得られた結果を表2に示す。
【0063】
(比較例1)
表1に示すウレア処方に従い、実施例1と同様なモールド成形を行った後、t20mmに切り出してスキン層を除去し、ウレア樹脂発泡体を得た。比較例1のウレア樹脂発泡体について、コア部および表面から深さ100μmにおける平均セル径の平均セル径を測定し、(表面から深さ100μmにおける平均セル径)/(コア部の平均セル径)×100(%)を算出した。得られた結果を表2に示す。
【0064】
(比較例2)
表1に示すウレタン処方に従い、ウレタン樹脂組成物を調製した。このウレタン樹脂組成物を、内寸300mm×300mm×t20mmのモールド型に充填した。充填後、55℃、5分にて発泡、硬化を行った後、モールドを外し、スキン層を有するウレタン樹脂発泡体を得た。比較例2のウレタン樹脂発泡体について、コア部および表面から深さ100μmにおける平均セル径を測定し、(表面から深さ100μmにおける平均セル径)/(コア部の平均セル径)×100(%)を算出した。得られた結果を表2に示す。
【0065】
<吸水量>
JIS A 9511の吸水試験に準じ、以下の手順にて、得られた各発泡体の吸水量を測定する。具体的には、発泡体を20mm×20mm×t20mmに加工し、試験片とする。この試験片を30秒、浸水した後、大気中に取り出し、30秒放置した後の質量Aを秤量する。一方、試験片を24時間、浸水した後、大気中に取り出し、30秒放置した後の質量Bを秤量する。表面積100cm2当たりの吸水量を以下の式により算出する。
(吸水量)=100×〔(質量B)-(質量A)〕/24
上式中、「24」は試験片の全表面積(2cm×2cm×6面)である。
吸水量について得られた結果を表3に示す。
【0066】
<圧縮強度>
上記試験片について、フォースゲージを用いて圧縮強度を測定する。具体的には、直径1.6cmの円状の端子が6mm沈んだ時の強度を圧縮強度とする。
圧縮強度について得られた結果を表3に示す。
【0067】
<寸法安定性>
上記試験片の厚さXを測定後、オーブン内(120℃)で7日間保持した後の厚さYを測定する。寸法安定性(変形率)を以下の式により算出する。
(寸法安定性)=100×[(厚さY)-(厚さX)]/(厚さX)
寸法安定性について得られた結果を表3に示す。
【0068】
【0069】
【0070】