(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007230
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】美容器
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20250109BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61H15/00 310D
A61H7/00 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108497
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敬
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴之
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AA10
4C100AA12
4C100AA15
4C100AA33
4C100AD12
4C100AD15
4C100AD23
4C100AE04
4C100AE05
4C100AE13
4C100AF03
4C100BB01
4C100CA01
4C100DA02
4C100DA04
4C100DA05
4C100DA08
4C100DA10
4C100EA13
(57)【要約】
【課題】身体各部に好適に使用できる美容器を提供する。
【解決手段】美容器1は、使用者が把持するハンドル2と、ハンドル2に保持された接続部3と、接続部3に回転可能に保持された一対のローラー4と、を有している。接続部3は、ローラー4を基準位置Rに対して複数の方向に変位させることができるとともに、ローラー4が基準位置Rから変位した際に、ローラー4が基準位置Rに戻る向きにローラー4を付勢することができるように構成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持するハンドルと、
前記ハンドルに保持された接続部と、
前記接続部に回転可能に保持された一対のローラーと、を有し、
前記接続部は、前記ローラーを基準位置に対して複数の方向に変位させることができるとともに、前記ローラーが基準位置から変位したときに、当該ローラーが基準位置に戻る向きに前記ローラーを付勢するように構成されている、美容器。
【請求項2】
前記接続部は、前記ローラーが基準位置から変位したときに、当該ローラーの回転中心線を当該ローラーが基準位置にある状態の回転中心線に対して傾斜させるように構成されている、請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
前記接続部は、樹脂及び/またはエラストマーから構成された付勢部を有している、請求項1または2に記載の美容器。
【請求項4】
前記付勢部は前記ハンドルに保持されており、前記ハンドルの剛性が前記付勢部よりも高い、請求項3に記載の美容器。
【請求項5】
前記ローラーは前記付勢部に保持されている、請求項3に記載の美容器。
【請求項6】
前記接続部は、前記ローラーの基準位置からの変位量が3mmであるときに前記ローラーに1.25kgf以上1.75kgf以下の付勢力を付与するように構成されている、請求項1または2に記載の美容器。
【請求項7】
一対の前記ローラーが基準位置にあるときの、第一の前記ローラーの回転中心線と、第二の前記ローラーの回転中心線とが前記各ローラーよりも前記ハンドルに近い位置において交差しており、第一の前記ローラーの回転中心線と、第二の前記ローラーの回転中心線とのなす角度が10°以上120°以下である、請求項1または2に記載の美容器。
【請求項8】
第一の前記ローラーと第二の前記ローラーとの基準位置における距離が50mm以下である、請求項1または2に記載の美容器。
【請求項9】
前記ローラーの少なくとも一部が球状の形状を有している、請求項1または2に記載の美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容器に関する。
【背景技術】
【0002】
肌の美容のために、ローラーを肌に押し当てつつ回転させて用いる美容器が知られている。例えば特許文献1には、ハンドルの先端部に交差軸線上に位置する一対の支持軸を設けるとともに、各支持軸の先端側に回転体を回転可能に支持し、それらの回転体により身体に対して美容的作用を付与するようにした美容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の美容器は、2個の回転体を肌に押し当てた状態で往復移動させることにより、回転体によって肌を押圧したり、回転体の間の肌を摘み上げるように変形させたりすることができる。これらの結果、肌を美しくする等の美容効果を期待することができる。しかし、特許文献1の美容器は、施術部位や美容器と肌との位置関係によっては、肌を摘み上げる力が強くなることがある。かかる問題に対し、どの部位に対して施術を行う場合にも肌を適度な力で摘み上げることができる美容器が望まれている。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、身体各部に好適に使用できる美容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、使用者が把持するハンドルと、
前記ハンドルに保持された接続部と、
前記接続部に回転可能に保持された一対のローラーと、を有し、
前記接続部は、前記ローラーを基準位置に対して複数の方向に変位させることができるとともに、前記ローラーが基準位置から変位したときに、当該ローラーが基準位置に戻る向きに前記ローラーを付勢するように構成されている、美容器にある。
【発明の効果】
【0007】
前記美容器は、ハンドルとローラーとの間に接続部を有している。また、接続部は、ローラーを基準位置に対して複数の方向に変位させることができるように構成されている。そのため、使用者は、例えば前記美容器を使用する際に、一対のローラーを肌に押し当てる力を調節することにより、一対のローラーを、その間隔が広がるように変位させることができる。また、前記接続部は、一対のローラーを、その間隔が広がる方向に変位させるだけではなく、例えば美容器を往復移動させる際に、美容器の移動方向に対して反対の方向にも変位させることができる。これにより、一対のローラーによって肌が摘み上げられる際の力を容易に調節し、適度な力で肌を摘み上げることができる。
【0008】
また、前記接続部は、前記ローラーが基準位置から変位したときに、当該ローラーが基準位置に戻る向きに前記ローラーを付勢するように構成されている。そのため、例えば一対のローラーを、その間隔が広がるように変位させた際に、ローラーの間に挟まれた部分を付勢力によって押圧することができる。それ故、前記美容器は、良好な美容効果を期待することができる。
【0009】
以上のごとく、前記の態様によれば、身体各部に好適に使用できる美容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例における美容器の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例における美容器の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例における美容器の上面図である。
【
図4】
図4は、実施例における美容器の前面図である。
【
図5】
図5は、実施例における美容器の側面図である。
【
図6】
図6は、実施例の美容器における接続部の上面図である。
【
図7】
図7は、実施例の美容器における接続部の下面図である。
【
図8】
図8は、実施例の美容器を肌に押し付けた状態の前面図である。
【
図9】
図9は、実施例の美容器を肌に押し付けつつ前方に移動させた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記美容器は、使用者がハンドルを把持し、一対のローラーを肌に押し付けたり、ローラーを肌に接触させた状態で往復移動させたりする際に、ローラーの位置を基準位置から変位させることができるように構成されている。ここで、ローラーの「基準位置」とは、前記美容器が使用されていない状態、つまり、一対のローラーが肌に接触していない状態におけるローラーの位置をいう。基準位置は、ローラーが変位可能な範囲内に存在している。
【0012】
前記美容器におけるローラーの配置は種々の態様を取り得る。例えば、一対の前記ローラーは、これらが基準位置にあるときに、第一のローラーの回転中心線と、第二のローラーの回転中心線とが各ローラーよりもハンドルに近い位置において交差するように配置されていてもよい。この場合には、一対のローラーを肌に押し当てた状態で美容器を往復移動させることにより、一対のローラーの間に肌が摘み上げられやすくなる。
【0013】
一対のローラーの間により確実に肌を摘み上げることができる観点からは、一対のローラーは、これらが基準位置にあるときに、第一のローラーの回転中心線と、第二のローラーの回転中心線とが各ローラーよりもハンドルに近い位置において交差するように配置されていることが好ましい。また、この場合における第一のローラーの回転中心線と前記第二のローラーの回転中心線とのなす角度は、0°を超え120°以下であることが好ましく、15°以上90°以下であることがより好ましく、18°以上70°以下であることがさらに好ましく、20°以上60°以下であることがさらにより好ましく、30°以上60°以下であることが特に好ましく、45°であることが最も好ましい。
【0014】
一対のローラーは、これらが基準位置にあるときに、第一のローラーの回転中心線と、第二のローラーの回転中心線とが互いに平行になるように配置されていてもよい。前記美容器は、接続部によって、一対のローラーを、例えば第一のローラーと第二のローラーとの距離が広がるように変位させることができる。それ故、基準位置における各ローラーの配置がどのような配置であっても、一対のローラーによって美容効果を得たい部分が押圧されるようにローラーを変位させることができる。
【0015】
一対のローラーは、基準位置において、互いに接触していてもよく、離隔していてもよい。前述したように、一対のローラーは基準位置に対して複数の方向に変位することができる。それ故、基準位置において一対のローラーが互いに接触している場合や、ローラーの間隔が比較的狭い場合であっても、一対のローラーを肌に押し当て、ローラーを基準位置から変位させて互いの間隔を広げることにより、一対のローラーの間に肌が挟み込まれた状態を実現することができる。これにより、身体の種々の部位に美容器を適用することができる。
【0016】
美容器の使用感をより高める点からは、第一のローラーと第二のローラーとの基準位置における距離は、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、20mm以下であることがさらに好ましく、18mm以下であることが特に好ましく、15mm以下であることが最も好ましい。なお、前述した「第一のローラーと第二のローラーとの基準位置における距離」とは、美容器を使用した際に第一のローラーの表面における使用者の肌に接触し得る領域と、第二のローラーの表面における使用者の肌に接触し得る領域との間の距離の最小値をいう。
【0017】
第一のローラーと第二のローラーとの基準位置における距離は、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましく、7mm以上であることが特に好ましい。この場合には、美容効果を得たい部分に一対のローラーを押し当てた際に、ローラーの間に当該部分がある程度挟み込まれた状態を自然に実現することができる。それ故、使用者が美容効果を得たい部分をローラーの間に挟みこむ動作をより容易に行うことができ、美容器の扱いやすさをより向上させることができる。
【0018】
第一のローラーと第二のローラーとの基準位置における距離の好ましい範囲を構成するに当たっては、前述した距離の上限と下限とを任意に組み合わせることができる。例えば、第一のローラーと第二のローラーとの基準位置における距離の好ましい範囲は、1mm以上50mm以下であってもよく、3mm以上30mm以下であってもよく、5mm以上20mm以下であってもよく、7mm以上18mm以下であってもよく、7mm以上15mm以下であってもよい。
【0019】
ローラーの形状は、球状、柱状等の種々の態様を取り得る。ここで、「球状」には、真球と、回転楕円体や涙滴形状等の一般的な感覚として球形と認められる程度に真球を歪めてなる形状とが含まれる。また、「柱状」には、円柱や多角柱等の柱の他に、円柱の先端に半球を付加した形状などが含まれる。
【0020】
ローラーの少なくとも一部は球状の形状を有していることが好ましい。かかる形状を有するローラーには、例えば、全体が球状の形状を有するローラーや、球状の形状を回転中心線に沿って複数連ねた形状を有するローラーなどが含まれる。この場合には、ローラーによる押圧力が一対のローラーの間に挟まれた部分に集中し易くなるため、体感できる押圧力を十分に大きくでき、より優れた美容効果を期待できる。また、この場合には、一対のローラーを肌に押し付けつつ回転させる動作をよりスムーズに行うことができ、美容器の扱い易さをより向上させることができる。さらに、この場合には、一対のローラーの間に肌が摘み上げられやすくなるため、美容器の使用感をより高めることができる。かかる作用効果をより確実に得る観点からは、ローラーの全体が球状の形状を有していることがより好ましい。
【0021】
ローラーは、滑らかな曲面より構成された表面を有していても良く、例えば多数の三角形や四角形等により構成された表面を有する多面体であってもよい。ローラーが多面体である場合には、滑らかな曲面より構成された表面を有するローラーに比べて、ローラーの表面が肌に対して滑ることを抑制でき、より優れた美容効果を期待できる。
【0022】
美容器におけるローラーは、接続部に回転可能に保持されている。ローラーは、その回転中心線がローラーの重心を通るようにして接続部に保持されていてもよく、回転中心線がローラーの重心を外れるようにして接続部に保持されていてもよい。すなわち、ローラーは、その幾何的な中心線を中心として回転するように接続部に保持されていてもよく、偏心した状態で接続部に保持されていてもよい。
【0023】
接続部は、ローラーを保持する回転軸を有していてもよい。この場合、回転軸の少なくとも先端がローラーの内部に配置されていることが好ましく、回転軸における接続部から突出した部分の全体がローラーの内部に配置されていることがより好ましい。すなわち、回転軸は、ローラーを貫通せず、回転軸の先端がローラーの外方に突出しないように配置されていることが好ましい。このように、回転軸がローラーを貫通しないように配置することにより、一方の回転軸と他方の回転軸とのなす角度が比較的狭い場合においても、回転軸とローラーとの間に皮膚が巻き込まれることをより容易に回避することができる。
【0024】
接続部は、ローラーが基準位置から変位した際に、当該ローラーが基準位置に戻る向きの付勢力をローラーに付与するように構成されている。また、接続部は、ローラーを基準位置に対して複数の方向に変位させることができるように構成されている。ここで、「ローラーを基準位置に対して複数の方向に変位させることができる」とは、基準位置に対するローラーの変位の向きが、第一の方向と、第一の方向とは異なる第二の方向とを含むことをいう。すなわち、接続部は、ローラーを基準位置に対して第一の方向と第二の方向との2つの方向に変位させることができるように構成されていてもよく、第一の方向と、第二の方向と、これらとは異なる方向との3つ以上の方向に変位させることができるように構成されていてもよい。さらに、接続部は、ローラーを、基準位置を中心とする円の径方向におけるいずれの方向にも変位させることができるように構成されていてもよい。
【0025】
肌を摘み上げる力を調節する効果をより確実に得る観点からは、接続部は、少なくとも、一対のローラーを、互いの間隔が開く方向と、美容器の往復移動の方向とを含む複数の方向に変位させることができるように構成されていることが好ましい。
【0026】
接続部は、ローラーが基準位置から変位したときに、当該ローラーの回転中心線を当該ローラーが基準位置にある状態の回転中心線に対して傾斜させるように構成されていることが好ましい。この場合には、例えば一対のローラーが基準位置から互いの間隔が広がる方向や美容器の往復移動の方向に変位した際に、ローラーの回転中心線と肌との位置関係を変化させることができる。そして、このようにローラーの回転中心線と肌との位置関係が変化することにより、一対のローラーによって肌が摘み上げられる際の力をより容易に適正な範囲に調節することができる。その結果、美容器の使用感をより向上させることができる。
【0027】
接続部は、前述した態様でローラーを変位させることができる限り、種々の態様を取り得る。例えば、接続部は、ローラーの変位に伴って伸縮する複数のばねを有していてもよい。この場合、複数のばねを、その伸縮方向が互いに異なるようにして配置することにより、前述した態様でローラーを変位させるとともに、ローラーが基準位置から変位した際に、ローラーに基準位置に戻る向きの付勢力を付与することができる。
【0028】
また、接続部は、例えば、接続部を構成する材料の弾性を利用して、前述した態様でローラーを変位させるとともに、ローラーが基準位置から変位した際に、ローラーに基準位置に戻る向きの付勢力を付与するように構成されていてもよい。この場合には、接続部の構造をより簡素化することができる。
【0029】
美容器の使用感をより高める観点からは、接続部は樹脂及び/またはエラストマーから構成された付勢部を有していることがより好ましい。この場合には、接続部は、付勢部の変形を利用して前述した態様でローラーを変位させることができる。さらに、接続部は、ローラーが基準位置から変位した際に、付勢部の弾性を利用してローラーに基準位置に戻る向きの付勢力を付与することができる。付勢部は、接続部の一部に設けられていてもよく、接続部の全体が付勢部から構成されていてもよい。また、付勢部は、樹脂から構成されていてもよく、エラストマーから構成されていてもよい。さらに、付勢部が、樹脂とエラストマーとの両方から構成されていてもよい。
【0030】
付勢部を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びシリコーン樹脂などを使用することができる。また、付勢部を構成するエラストマーは、天然ゴムであってもよく、合成エラストマーであってもよい。合成エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどを使用することができる。
【0031】
ウレタン系熱可塑性エラストマーは、硬さを広い範囲から所望の値に容易に調整することができるため、ローラーに付与される付勢力の大きさを容易に調節することができる。また、ウレタン系熱可塑性エラストマーは、着色が容易であり、耐油性及び耐摩耗性にも優れているため、美容器の付勢部として好適である。
【0032】
スチレン系熱可塑性エラストマーは、ゴム弾性が高いため、引張強度をより高くすることができる。また、ウレタン系熱可塑性エラストマーは、耐候性及び耐水性にも優れているため、美容器の付勢部としてより好適である。美容器の使用感をさらに高める観点からは、付勢部はエラストマーから構成されていることが好ましい。
【0033】
付勢部がエラストマーから構成されている場合には、付勢部によってローラーに付与される付勢力の大きさを、JIS K6253-3:2012に規定されたタイプAデュロメータを用いて測定されるエラストマーのデュロメータ硬さによって調整することもできる。例えば、付勢部がスチレン系熱可塑性エラストマーから構成されている場合には、付勢部を構成するスチレン系熱可塑性エラストマーのデュロメータ硬さがA40以上A90以下であることが好ましく、A50以上A80以下であることがより好ましく、A60以上A75以下であることがさらに好ましい。付勢部がスチレン系熱可塑性エラストマー以外のエラストマーから構成されている場合には、所望する付勢力の大きさに応じてエラストマーのデュロメータ硬さを適宜調整すればよい。
【0034】
付勢部はハンドルに保持されており、ハンドルの剛性が付勢部よりも高いことが好ましい。この場合には、使用者がローラーを肌に押し付ける際の押圧力や、美容器を往復移動させる際の力がローラーにより伝わりやすくなる。そのため、美容器の使用感をより高めることができる。同様の観点から、付勢部がハンドルに保持されており、ハンドルが美容器の使用中に実質的に変形しないように構成されていることが好ましい。
【0035】
また、前記ローラーは前記付勢部に保持されていることが好ましい。この場合には、一対のローラーをより容易に変位させ、美容器の使用感をより高めることができる。
【0036】
前記接続部は、前記ローラーの基準位置からの変位量が3mmであるときに前記ローラーに1.25kgf以上1.75kgf以下の付勢力を付与するように構成されていることが好ましい。この場合には、使用者が一対のローラーを肌に押し付ける際や、美容器を往復移動する際に、ローラーを適度に変位させるとともに、ローラーに適度な大きさの付勢力を付与することができる。その結果、肌を摘み上げる力を調節する効果をより確実に得ることができる。
【0037】
美容器のハンドルは、基準位置における一対のローラーの回転中心線を含む平面に対して傾いていることが好ましい。この場合には、一対のローラーを肌に押し当てるとともに、ハンドルが肌面に沿うようにして美容器を配置することにより、一対の回転中心線を含む平面が肌面に対して傾斜した状態となる。そして、この状態を維持しつつ美容器を往復移動させることにより、一対のローラーの間に肌をより容易に摘み上げることができる。その結果、美容器の使用感をより高めるとともに、より優れた美容効果を期待できる。
【実施例0038】
前記美容器の実施例を、
図1~
図9を用いて説明する。
図1に示すように、美容器1は、使用者が把持するハンドル2と、ハンドル2に保持された接続部3と、接続部3に回転可能に保持された一対のローラー4と、を有している。
図8及び
図9に示すように、接続部3は、ローラー4を、基準位置Rに対して複数の方向に変位させることができるように構成されている。また、接続部3は、ローラー4が基準位置Rから変位した際に、ローラー4が基準位置Rに戻る向きにローラー4を付勢するように構成されている。
【0039】
図1、
図3及び
図5に示すように、本例の美容器1におけるハンドル2は棒状の形状を有している。ハンドル2の長手方向における一方の端部には接続部3が設けられている。
図3に示すように、接続部3は、ハンドル2に保持された接続基部32と、接続基部32から突出した2本の分枝部33を有している。
図3及び
図4に示すように、2本の分枝部33は、ハンドル2から遠ざかるほど互いの間隔が広がるように形成されている。また、
図5に示すように、分枝部33は、ハンドル2の長手方向に対して傾斜した方向に延在している。
図3~
図5に示すように、各分枝部33の先端にはローラー4が回転可能に取り付けられている。
【0040】
なお、以下において、ハンドル2の長手方向を「長手方向X」といい、長手方向Xにおけるハンドル2からローラー4へ向かう方向を「前方X1」といい、ローラー4からハンドル2へ向かう方向を「後方X2」という。また、一対のローラー4の並び方向を「幅方向Y」という。そして、長手方向X及び幅方向Yの両方に直交する方向を「上下方向Z」といい、上下方向Zにおけるローラー4からハンドル2へ向かう方向を「上方Z1」といい、ハンドル2からローラー4へ向かう方向を「下方Z2」という。美容器1の向きに関するこれらの記載はいずれも便宜上の表現であり、美容器1を実際に使用する際の向きとは何ら関係がない。
【0041】
図1及び
図2に示すように、本例の美容器1におけるハンドル2は、ハンドル2の外壁の上側半分を構成する上側ハンドルカバー21と、ハンドル2の外壁の下側半分を構成する下側ハンドルカバー23と、上側ハンドルカバー21と下側ハンドルカバー23との間に保持されたハンドルベース22とを有している。本例の上側ハンドルカバー21、下側ハンドルカバー23及びハンドルベース22は、いずれもABS樹脂から構成されている。これにより、ハンドル2は、美容器1を使用する際に変形しない程度の剛性を有している。また、上側ハンドルカバー21及び下側ハンドルカバー23の外表面には、金属皮膜が形成されている。
【0042】
上側ハンドルカバー21の中央部には、光を集光するレンズ24が取り付けられている。レンズ24と上側ハンドルカバー21との間には、両者の隙間からの水分などの進入を防止するためのOリング241(
図2参照)が挟持されている。
【0043】
レンズ24とハンドルベース22との間には、太陽電池セル25が設けられている。また、上側ハンドルカバー21とハンドルベース22との間における太陽電池セル25の周囲には、両者の隙間からの水分などの進入を防止するためのパッキン251(
図2参照)が設けられている。より具体的には、太陽電池セル25は、
図6に示すハンドルベース22におけるセル収容部221に収容されている。また、パッキン251は、セル収容部221の周囲に設けられたパッキン保持溝222に収容されており、ハンドルベース22と上側ハンドルカバー21との間に挟持されている。
【0044】
太陽電池セル25は、後述するバスバー34(
図7参照)、回転軸35及び導電性ベアリング36(
図2参照)を介して一対のローラー4と電気的に接続されており、レンズ24を透過した光によって起電力を発生し、一対のローラー4の間に電位差を形成することができる。それ故、美容器1は、太陽電池セル25に光が照射された状態で一対のローラー4を使用者の肌に接触させることにより、太陽電池セル25と、一対のローラー4と、使用者とを含む環状の電流経路に微弱な電流を流すことができる。そして、使用者の肌に微弱な電流を流すことにより、更なる美容効果の向上を期待することができる。
【0045】
接続部3は、
図2、
図6及び
図7に示すように、ハンドルベース22の前方X1に配置されており、ハンドルベース22と一体的に形成されている。
図7に示すように、接続部3には、太陽電池セル25とローラー4との間の電流経路の一部を構成するバスバー34が埋設されている。バスバー34の一端341はハンドルベース22の下方Z2まで延設されており、ハンドルベース22の上方Z1に収容された太陽電池セル25(
図2参照)と、図示しない通電部材を介して電気的に接続されている。また、バスバーの他端は回転軸35に電気的に接続されている。
【0046】
本例の接続部3は、
図1に示すように、その全体が付勢部31から構成されている。より具体的には、接続部3の全体がJIS K6253-3:2012に規定されたタイプAデュロメータを用いて測定されるデュロメータ硬さがA70であるスチレン系熱可塑性エラストマーから構成されている。かかるエラストマーから構成された付勢部31は、ハンドル2よりも低い剛性を有している。また、本例の付勢部31は、エラストマーの弾性を利用し、ローラー4を、基準位置を中心とする円の径方向のいずれの方向にも変位させることができる。
【0047】
本例の付勢部31(つまり、接続部3)は、
図8及び
図9に一例を示すように、ローラー4の変位に伴って全体が変形するとともに、付勢部31の弾性によって、ローラー4に基準位置Rに戻る方向の付勢力を付与することができるように構成されている。本例の付勢部31は、ローラー4の基準位置からの変位量が3mmであるときにローラー4に1.35kgfの付勢力を付与するように構成されている。また、付勢部31は、ローラー4が基準位置から変位したときに、ローラー4の回転中心線Cを、当該ローラー4が基準位置Rにある状態の回転中心線Crに対して傾斜させるように構成されている。
【0048】
付勢部31の表面には、金属皮膜が形成されている。金属皮膜は、例えば、付勢部31の表面に金属を蒸着することにより形成されていてもよい。
【0049】
図2、
図6及び
図7に示すように、接続部3における分枝部33の先端には、ローラー4を保持するための回転軸35が設けられている。
図2に示すように、各回転軸35には、導電性ベアリング36を介して一対のローラー4が取り付けられている。これにより、本例のローラー4は接続部3(つまり、付勢部31)に保持されている。
【0050】
分枝部33に設けられた回転軸35は、分枝部33の延出方向に突出している。すなわち、回転軸35は、
図6に示すように、前方X1に向かうほど互いの間隔が広がるとともに、
図2に示すように、ハンドル2の長手方向に対して斜め下方Z2に傾斜した方向に延在している。また、回転軸35の先端はローラー4の内部に配置されている。すなわち、回転軸35はローラー4を貫通していない。
【0051】
本例のローラー4は、回転軸35の中心線が回転中心線Cとなるように接続部3に保持されている。従って、本例の美容器1における一対のローラー4(4a、4b)は、これらが基準位置にあるときに、
図3及び
図4に示すように、第一のローラー4aの回転中心線Caと第二のローラー4bの回転中心線Cbとがハンドル2から遠ざかるにつれて拡開するように配置されている。また、
図5に示すように、美容器1のハンドル2は、基準位置における一対のローラー4の回転中心線Cを含む平面に対して傾いている。
【0052】
ローラー4は、
図1等に示すように多数の三角形より構成される多面体であり、略球体状の形状を有している。本例のローラー4の直径、つまり、回転中心線Cに垂直な面におけるローラー4の最大径は40mmである。ローラー4の表面には金属皮膜が形成されている。ローラー4の表面に設けられた金属皮膜は、導電性ベアリング36に接触しており、導電性ベアリング36、回転軸35及びバスバー34を介して太陽電池セル25に電気的に接続されている。
【0053】
図3及び
図4に示すように、本例の美容器1における一対のローラー4は、基準位置Rにあるときに、互いに離隔して配置されている。第一のローラー4aと第二のローラー4bとの基準位置における距離は、具体的には9mmである。また、第一のローラー4aの回転中心線Caと、第二のローラー4bの回転中心線Cbとは、各ローラー4よりもハンドル2に近い位置において交差するように配置されている。ローラー4が基準位置にあるときの、第一のローラー4aの回転中心線Caと、第二のローラー4bの回転中心線Cbとのなす角度θは45°である。
【0054】
次に、本例の美容器1の使用方法の一例を説明する。美容器1を使用する際に、使用者は、まず、ハンドル2を把持し、美容効果を得たい部分に一対のローラー4を押し当てる。この際、使用者は、必要に応じて肌にローラー4を押し付ける力を調節してもよい。例えば、例えば
図8に示すように、肌5にローラー4を押し付ける力を強くすると、付勢部31に加わる力が付勢部31の剛性よりも大きくなり、付勢部31が後方X2に向かって撓むように変形する。その結果、ローラー4が基準位置Rから幅方向Yの外方に変位するとともに、ローラー4の回転中心線Cが基準位置Rにおける回転中心線Crに対して幅方向Yの外方に傾斜する。その結果、一対のローラー4の間隔を基準位置Rにおける間隔よりも広げることができる。
【0055】
その後、使用者は、美容器1を前後方向に往復移動させる。これにより、一対のローラー4によって肌を押圧することができる。この際、ハンドル2の長手方向Xが肌に沿うようにして美容器1を持った状態で美容器1を往復移動させると、肌におけるローラー4に接触している部分が、ローラー4の回転によって一対のローラー4の間に摘み上げられるように変形する。また、美容器1を往復移動させると、ローラー4に力が加わり、力の向き及び大きさに応じて付勢部31が変形する。例えば美容器1を前方X1に移動させる際に、ローラー4に加わる後方X2への力が付勢部31の剛性よりも高くなると、
図9に示すように付勢部31が後方X2に向かって撓むように変形するとともに、ローラー4が基準位置Rから後方X2に変位する。そして、ローラー4が基準位置Rから変位することにより、ローラー4の回転中心線Cが基準位置Rにおける回転中心線Crに対して後方に傾斜する。その結果、ローラー4の回転中心線Cと肌との位置関係が変化し、肌5に摘み上げられる力を適度に弱めることができる。
【0056】
次に、本例の美容器1の作用効果を説明する。美容器1は、ハンドル2とローラー4との間に接続部3を有している。接続部3は、ローラー4を基準位置Rに対して複数の方向に変位させることができるように構成されている。また、接続部3は、一対のローラー4を、その間隔が広がる方向に変位させるだけではなく、例えば美容器1を往復移動させる際に、往復移動の方向に沿う方向にも変位させることができる。これにより、一対のローラー4によって肌が摘み上げられる際の力を容易に調節し、適度な力で肌を摘み上げることができる。
【0057】
また、接続部3は、ローラー4が基準位置Rから変位したときに、当該ローラー4が基準位置Rに戻る向きにローラー4を付勢するように構成されている。そのため、例えば一対のローラー4を、その間隔が広がるように変位させた際に、ローラー4の間に挟まれた部分を付勢力によって押圧することができる。それ故、美容器1は、ローラー4によって肌を押圧し、良好な美容効果を期待することができる。
【0058】
また、接続部3は、ローラー4が基準位置Rから変位したときに、ローラー4の回転中心線Cを、当該ローラー4が基準位置Rにある状態の回転中心線Crに対して傾斜させることができるように構成されている。そのため、一対のローラー4が基準位置Rから互いの間隔が広がる方向(
図8参照)や美容器1の往復移動の方向(
図9参照)に変位した際に、ローラー4の回転中心線Cと肌5との位置関係を変化させることができる。そして、このようにローラー4の回転中心線Cと肌5との位置関係が変化することにより、一対のローラー4によって肌5が摘み上げられる際の力をより容易に適正な範囲に調節することができる。その結果、美容器1の使用感をより向上させることができる。
【0059】
また、接続部3は、エラストマーから構成された付勢部31を有している。それ故、美容器1は、付勢部31を構成するエラストマーの弾性を利用して、前述した態様でローラー4を変位させるとともに、ローラー4が基準位置Rから変位した際に、ローラー4に基準位置Rに戻る向きの付勢力を付与することができる。その結果、付勢部31の構造をより簡素化することができる。さらに、付勢部31をエラストマーから構成することにより、美容器1の使用感をより高めることができる。
【0060】
また、付勢部31はハンドル2に保持されており、ハンドル2の剛性が付勢部31よりも高い。そのため、使用者がローラー4を肌に押し付ける際の押圧力や、美容器1を往復移動させる際の力がローラー4により伝わりやすくなる。その結果、美容器1の使用感をより高めることができる。
【0061】
また、ローラー4は付勢部31に保持されている。そのため、一対のローラー4をより容易に変位させ、美容器1の使用感をより高めることができる。
【0062】
接続部3は、ローラー4の基準位置Rからの変位量が3mmであるときにローラー4に1.25kgf以上1.75kgf以下の付勢力を付与するように構成されている。そのため、使用者が一対のローラー4を肌に押し付ける際や、美容器1を往復移動する際に、ローラー4を適度に変位させるとともに、ローラー4に適度な大きさの付勢力を付与することができる。その結果、肌を摘み上げる力を調節する効果をより確実に得ることができる。
【0063】
また、一対のローラー4は、これらが基準位置Rにあるときに、第一のローラー4aの回転中心線Caと、第二のローラー4bの回転中心線Cbとが各ローラー4よりもハンドル2に近い位置において交差するように配置されており、第一のローラー4aの回転中心線Caと、第二のローラー4bの回転中心線Cbとのなす角度が0°を超え120°以下である。そのため、一対のローラー4を肌に押し当てた状態で美容器1を往復移動させることにより、一対のローラー4の間に肌をより容易に摘み上げることができる。
【0064】
第一のローラー4aと第二のローラー4bとの基準位置Rにおける距離は50mm以下である。そのため、一対のローラー4の間に肌をより容易に挟み込むことができる。さらに、一対のローラー4によって肌を適度に押圧したり、一対のローラー4によって肌をより容易に摘み上げることができるため、美容器1の使用感をより高めることができる。
【0065】
また、ローラー4は球状の形状を有している。そのため、ローラー4による押圧力が一対のローラー4の間に挟まれた部分に集中し易くなるため、体感できる押圧力を十分に大きくでき、より優れた美容効果を期待できる。また、この場合には、一対のローラー4を肌に押し付けつつ回転させる動作をよりスムーズに行うことができ、美容器1の扱い易さをより向上させることができる。さらに、この場合には、一対のローラー4の間に肌が摘み上げられやすくなるため、美容器1の使用感をより高めることができる。
【0066】
以上、実施例に基づいて前記美容器の態様を説明したが、本発明に係る美容器の具体的な態様は実施例及び実験例に示した態様に限定されることはなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
【0067】
例えば、実施例においては、付勢部が略Y字状に分岐している例を示したが、付勢部の形状は実施例の形状以外に種々の態様を取り得る。付勢部の先端は、例えば、美容器の幅方向Yの両側に突出していてもよい。この場合、回転軸を付勢部から前方X1、あるいは斜め前方に向けて立設することにより、前述した作用効果を奏する美容器を得ることができる。
【0068】
また、実施例においては、ハンドルが2つのローラーの回転中心線を含む平面に対して傾斜した美容器の例を示したが、ハンドルは、例えば、2つのローラーの回転中心線を含む平面上に設けられていてもよい。この場合には、例えば、ハンドルが美容効果を得たい部分の肌に対して傾いた状態で美容器を往復移動させることにより、前述した作用効果を得ることができる。
【0069】
また、実施例においては、ハンドルが、付勢部を構成するエラストマーとは異なる材質から構成されている例を示したが、ハンドルは、付勢部を構成するエラストマーと同一の材質から構成されていてもよい。この場合、例えば、ハンドルの太さを付勢部の太さよりも太くし、ハンドルの剛性を高めることにより、前述した作用効果を容易に得ることができる。また、例えば、ハンドルは、エラストマーからなる芯部とエラストマーよりも硬い材料からなり、芯部の少なくとも一部を覆う外殻部とを有していてもよい。このように、エラストマーからなる芯部の表面に外殻部を設けることによっても、ハンドルの剛性を高めることができる。
【0070】
また、実施例においては、太陽電池セルを用いて一対のローラーの間に電位差を形成するように構成されている美容器の例を説明したが、美容器は太陽電池セルを有していなくてもよい。また、使用者の肌に電気刺激を付与する方法は実施例の方法に限定されることはない。例えば、付勢部に、ローラーの変位に応じて起電力を発生するよう構成された圧電素子を設け、圧電素子とローラーとを電気的に接続することにより、ローラーの変位に伴って使用者に電気刺激を付与することもできる。
【0071】
また、実施例においては、ローラーが回転軸に保持されている例を説明したが、ローラーは、例えば接続部や付勢部の先端に直接保持されていてもよい。
【0072】
ローラーの最大径、第一のローラーの回転中心線と第二のローラーの回転中心線との交点からローラーの先端までの距離、基準位置における一対のローラーの距離及び回転中心線のなす角度は、実施例の態様に限定されることはなく、美容器が適用される部位に応じて適宜変更することができる。例えば、ローラーの最大径が30mm以上50mm以下、第一のローラーの回転中心線と第二のローラーの回転中心線との交点からローラーの先端までの距離が30mm以上50mm以下、基準位置における一対のローラーの距離が7mm以上20mm以下、基準位置におけるローラーの回転中心線のなす角度が20°以上60°以下である美容器は、腕部や脚部、わき腹などの、身体における比較的緩やかに湾曲した部位に好適である。また、例えば、ローラーの最大径が15mm以上20mmであるとともに、第一のローラーの回転中心線と第二のローラーの回転中心線との交点からローラーの先端までの距離が10mm以上20mm以下、基準位置における一対のローラーの距離が5mm以上10mm以下、基準位置におけるローラーの回転中心線のなす角度が20°以上60°以下である美容器は、顔や手などの、身体における細かな凹凸を有する部位に好適である。
【0073】
美容器は、ローラーの変位量に応じて色調や強度などの発光の態様が変化するよう構成された発光部を有していてもよい。この場合には、使用者がローラーの変位量を視覚的に把握することができるため、肌にローラーを押し付ける力などを容易に調整することができる。その結果、美容器の使い勝手をより向上させることができる。発光部は、例えば、発光ダイオードであってもよい。
【0074】
美容器は、外部装置との間で通信を行うことができるように構成された通信部を有していてもよい。通信部は、外部装置と有線通信を行うことができるように構成されていてもよく、無線通信を行うことができるように構成されていてもよい。通信部における通信の内容は特に限定されることはない。例えば、通信部は、美容器の使用回数等を外部装置に送信することができるように構成されていてもよい。この場合には、美容器の使用の態様を外部装置において記録し、美容効果と照らし合わせることで美容効果を簡便に検証することが可能となる。
【0075】
また、前記美容器は、例えば、以下の〔1〕~〔9〕に示す態様を取り得る。
【0076】
〔1〕使用者が把持するハンドルと、
前記ハンドルに保持された接続部と、
前記接続部に回転可能に保持された一対のローラーと、を有し、
前記接続部は、前記ローラーを基準位置に対して複数の方向に変位させることができるとともに、前記ローラーが基準位置から変位したときに、当該ローラーが基準位置に戻る向きに前記ローラーを付勢するように構成されている、美容器。
【0077】
〔2〕前記接続部は、前記ローラーが基準位置から変位したときに、当該ローラーの回転中心線を、当該ローラーが基準位置にある状態の回転中心線に対して傾斜させるように構成されている、〔1〕に記載の美容器。
〔3〕前記接続部は樹脂及び/またはエラストマーから構成された付勢部を有している、〔1〕または〔2〕に記載の美容器。
〔4〕前記付勢部は前記ハンドルに保持されており、前記ハンドルの剛性が前記付勢部よりも高い、〔3〕に記載の美容器。
〔5〕前記ローラーは前記付勢部に保持されている、〔3〕または〔4〕に記載の美容器。
【0078】
〔6〕前記接続部は、前記ローラーの変位量が3mmであるときに前記ローラーに1.25kgf以上1.75kgf以下の付勢力を付与するように構成されている、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の美容器。
【0079】
〔7〕一対の前記ローラーが基準位置にあるときの、第一の前記ローラーの回転中心線と、第二の前記ローラーの回転中心線とが前記各ローラーよりも前記ハンドルに近い位置において交差しており、第一の前記ローラーの回転中心線と、第二の前記ローラーの回転中心線とのなす角度が10°以上120°以下である、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の美容器。
〔8〕第一の前記ローラーと第二の前記ローラーとの基準位置における距離が50mm以下である、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の美容器。
〔9〕前記ローラーの少なくとも一部が球状の形状を有している、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の美容器。