(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007254
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】搬送容器用受け部材の製造方法及びそれに用いられる金型
(51)【国際特許分類】
B29C 51/36 20060101AFI20250109BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B29C51/36
B29C51/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108530
(22)【出願日】2023-06-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】390032056
【氏名又は名称】ヒロホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】小早川 昌士
【テーマコード(参考)】
4F202
4F208
【Fターム(参考)】
4F202AG06
4F202AG28
4F202CA27
4F202CB01
4F202CD16
4F202CK12
4F202CK43
4F208AC03
4F208AG06
4F208AG28
4F208AH56
4F208MA01
4F208MB01
4F208MC03
4F208MG23
4F208MH06
(57)【要約】
【課題】製造コストが安く、しかも保管場所を節約することが可能な金型とそれを用いて製造される搬送容器用受け部材とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の金型16は、略直方体状をなし、底面19bに凹部19cが設けられるとともに第1のピン17a及びブロック18が設置されるベース19と、凹部19cに嵌め込まれた状態でボルト21aを用いてベース19に固定される底板20からなる。ベース19には、平面視円形をなす複数のピン挿通孔19dが上面19aに対して垂直に設けられており、底面19bの四隅には、平面視円形をなし、他の部材にベース19をネジ止めする際に用いられるネジ孔19eがそれぞれ設けられている。また、底板20には、ベース19のピン挿通孔19dに挿通されるボルト21bを連通可能に平面視円形をなす複数の貫通孔20aがピン挿通孔19dと符合する箇所に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒状突起を有する収納品受け部を真空成形によって熱可塑性樹脂の平板材の一部に形成するための金型であって、
円柱体又は円筒体からなる複数のピンと、
平面視円形をなす複数のピン挿通孔が上面に対して垂直に設けられているベースと、
前記ピン挿通孔の下端を閉塞するように前記ベースに設置される底板と、を備え、
前記底板は、前記ピン挿通孔と符合する箇所に貫通孔が厚さ方向と平行に設けられており、
前記ピンは先端側が前記ベースの前記上面から突出するように、基端側が前記ピン挿通孔に挿通された状態で固定されていることを特徴とする金型。
【請求項2】
前記ピンは、上端に雄ネジ部が長手方向へ突出するように設けられるとともに、前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が下端に長手方向と平行に設けられた連結ピンと、下端に前記雌ネジ部が長手方向と平行に設けられた先端ピンと、からなることを特徴とする請求項1に記載の金型。
【請求項3】
前記先端ピンの代わりに直方体からなるブロックを備え、
このブロックは、互いに平行をなす一対の面のうちの一方の面に対して垂直に前記雌ネジ部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の金型。
【請求項4】
前記貫通孔の内壁面の輪郭線は、平面視した場合に、前記ピン挿通孔の内径よりも小さく、かつ、前記雌ネジ部の内径よりも大きい直径を有する円形部と、前記ピン挿通孔の半径方向の外側へ突出するように前記円形部の一部に設けられた切り欠き部によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の金型。
【請求項5】
前記ベースは、少なくとも前記上面側の一部が平面視して四角形の四隅が丸みを帯びた角丸四角形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の金型。
【請求項6】
真空成形によって複数の棒状突起を有する収納品受け部を熱可塑性樹脂の平板材の一部に形成するための金型であって、
円柱体又は円筒体からなる段付き構造の複数のピンと、
段付き構造の複数のピン挿通孔が上面に対して垂直に設けられている下型と、
前記ピン挿通孔と符合する箇所に平面視円形をなす貫通孔が厚さ方向と平行に設けられるとともに前記下型の前記上面に設置される上型と、を備え、
前記ピン挿通孔は、平面視円形をなし底面側に開口する小径孔と、平面視円形をなし前記上面側に開口する大径孔と、からなり、
前記ピンは、前記上型の前記貫通孔の内径よりも外径が小さい円柱体からなる小径部が先端側に設けられるとともに、前記下型の前記小径孔及び前記上型の前記貫通孔の内径よりも外径が大きい大径部が基端側に設けられており、
前記ピンの前記大径部は、前記下型の前記大径孔の内径よりも外径が小さく、かつ、前記下型の前記大径孔の深さと長さが等しいことを特徴とする金型。
【請求項7】
搬送容器に収納された物品を固定するために設置される搬送容器用受け部材であって、
熱可塑性樹脂の平板材の一部に収納品受け部が設けられており、
前記収納品受け部は、一の方向へ突出するように形成された複数の棒状突起を有することを特徴とする搬送容器用受け部材。
【請求項8】
熱可塑性樹脂の射出成形によって平板状のプリフォームを形成する工程と、
前記プリフォームの一部を熱変形温度に達するまで加熱する工程と、
前記プリフォームの加熱された部分に請求項1乃至6のいずれか1項に記載された金型を押し当てるようにして真空成形を行うことで前記プリフォームの一部に前記収納品受け部を形成する工程と、を備えていることを特徴とする搬送容器用受け部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送容器の内部で製品や部品などを移動させないように固定する搬送容器用受け部材(以下、単に受け部材という。)とその製造方法及びそれに用いられる金型に係り、特に、搬送容器を構成する部材に対して着脱可能に取り付けられる受け部材を安価に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品や部品など(以下、まとめて物品という。)の搬送や輸送に用いられる容器(以下、搬送容器という。)には、物品が傷ついたり、破損したりすることを防ぐ目的で受け部材が設置されることが多い。この受け部材には、物品を確実に支持できるように、物品の形状に沿った三次元曲面が設けられる場合がある。しかしながら、このような形状の受け部材を製造する場合、多品種少量生産とならざるを得ない。そのため、それらの受け部材を全て射出成形によって製造しようとすると、金型の作成に多大な時間を要し、製造コストが嵩んでしまうという課題があった。
【0003】
このような課題に対処するものとして、例えば、特許文献1には「モータ受容トレー及び搬送セット」という名称で、車両走行用のモータの下部を受容する真空成形品のトレーに関する発明が開示されている。
特許文献1には、複数の形状突部を有し、加熱された成形金型の上に、加熱された合成樹脂製の板状部材を敷設した状態で、成形金型に設けられた吸引孔内を負圧にすることによって成形突部に対応した凹凸形状を板状部材に成形した後、冷却した板状部材を成形金型から離脱するようにしてモータ受容トレーを製造することが記載されている。
このようにして製造されるモータ受容トレーでは、物品の形状に沿った三次元曲面が真空成形によって形成されるため、当該部分を射出成形などの方法によって形成する場合に比べると、製造コストが安いというメリットがある。
【0004】
また、特許文献2には「製品の運搬容器」という名称で、製品を支持する受け部材を備えた運搬容器に関する発明が開示されている。
特許文献2には、ポリプロピレンなどの熱可塑性シートを加熱軟化させた後、金属ブロックの一部上面に製品の形状が写された構造の金型によって、真空圧力で変形させるようにして表皮部材を形成し、その表皮部材とリブ板によって運搬容器の製品受け部を形成することが記載されている。
このような構造の運搬容器においては、製品を支持する製品受け部の三次元的な窪み部が真空成形によって形成されるため、当該部分を射出成形などの方法によって形成する場合よりも製造コストを安くすることができる。
【0005】
さらに、特許文献3には「搬送容器の製造方法」という名称で、三次元形状の受け材を備えるとともに、部品点数が少なく、かつ、分別廃棄が容易な搬送容器を短納期で製造する方法に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、間隔をあけて上下方向に配置された一対の側壁に開口が設けられた台座ユニットを有するフレームと、台座ユニットの上に跨設され、一対の側壁の開口の上枠に爪部がそれぞれ嵌合する受け材を有する搬送容器の製造方法において、平板状をなすとともに立ち上がったリブが面内に格子状に設けられた矩形状の成形主部と、この成形主部を取り囲むように設けられたフランジ部と、成形主部の一対の辺の外側であってフランジ部から上下方向の下側に直角に曲がるようにそれぞれ設けられた一対の嵌合構造部と、この嵌合構造部にそれぞれ形成された爪部を有するプリフォームを射出成形によって形成する工程と、形状付けを行うために用意された成形型及びプラグにより成形主部を挟み込んで成形主部に対して真空成形を行う工程と、真空成形されたプリフォームを受け材として台座ユニットに搭載する工程を備えていることを特徴としている。
このような搬送容器の製造方法によれば、受け材がプリフォームの接合形状部と横梁によって台座ユニットに取り付けられるため、搬送容器を形成する部品点数が削減される。これにより、分別廃棄も容易になる。また、真空成形によって成形主部が上下に引き伸ばされるようにして受け材が形成される際に、リブから樹脂材料が周囲に供給されることによって成形主部が極端に薄くなることが防止される。その結果、受け材の強度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-179883号公報
【特許文献2】特許第7007006号公報
【特許文献3】特許第7215795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
真空成形に用いられる金型は、金属製や樹脂製のブロックを三次元形状に切削するなどして所望の形状に加工されるものであるが、射出成形に用いられる金型に比べると構造が複雑でないため、製造コストも射出成形に用いられる金型ほど高くない。
特許文献1に開示されたモータ受容トレー、特許文献2に開示された運搬容器及び特許文献3に開示された搬送容器では、真空成形を行う際に用いられる金型の製造コストが射出成形を行う際に用いられる金型より安いものの、物品に接触する部分が三次元曲面によって形成されていることから、物品の仕様変更によって形状が少しでも変わると、真空成形を行う際に用いられる金型をその都度、作り直さなければならないため、金型の製造コストが嵩むという課題があった。また、リピート生産に対応するため、製造した金型を一定期間保管する必要があるが、金型の数が増えると、保管場所の確保が難しくなるという課題もあった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、製造コストが安く、しかも保管場所を節約することが可能な金型とそれを用いて製造される搬送容器用受け部材とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明は、複数の棒状突起を有する収納品受け部を真空成形によって熱可塑性樹脂の平板材の一部に形成するための金型であって、円柱体又は円筒体からなる複数のピンと、平面視円形をなす複数のピン挿通孔が上面に対して垂直に設けられているベースと、ピン挿通孔の下端を閉塞するようにベースに設置される底板と、を備え、底板は、ピン挿通孔と符合する箇所に貫通孔が厚さ方向と平行に設けられており、ピンは先端側がベースの上面から突出するように、基端側がピン挿通孔に挿通された状態で固定されていることを特徴とする。
第1の発明においては、ベースの上面から突出するピンの長さを変更することで収納品受け部によって支持できる物品の形状が決まるという作用を有する。また、ピンの下端にネジ孔やボルト孔を設けておけば、底板の貫通孔に挿通されたネジやボルトの先端をそのネジ孔やボルト孔に螺入することにより、ピンが底板を介してベースに固定されるという作用を有する。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、ピンは、上端に雄ネジ部が長手方向へ突出するように設けられるとともに、雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が下端に長手方向と平行に設けられた連結ピンと、下端に雌ネジ部が長手方向と平行に設けられた先端ピンと、からなることを特徴とする。
第2の発明においては、第1の発明の作用に加え、先端ピンと組み合わせる連結ピンを長さの異なる複数の連結ピンの中から選択し直したり、複数の連結ピンを連結させたりすることにより、ピンの全長が簡単に変わるという作用を有する。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、先端ピンの代わりに直方体からなるブロックを備え、このブロックは、互いに平行をなす一対の面のうちの一方の面に対して垂直に雌ネジ部が形成されていることを特徴とする。
第3の発明を用いて搬送容器用受け部材を製造すると、互いに平行をなす上記一対の面のうちの他方の面により、棒状突起の長手方向に対して垂直な平坦面を有する収納品受け部が形成されるという作用を有する。
【0012】
第4の発明は、第2の発明において、貫通孔の内壁面の輪郭線は、ピン挿通孔の内径よりも小さく、かつ、雌ネジ部の内径よりも大きい直径を有する円形部と、ピン挿通孔の半径方向の外側へ突出するように円形部の一部に設けられた切り欠き部によって構成されていることを特徴とする。
第4の発明においては、第2の発明の作用に加え、ピンをベースに固定するために、ピンの下端に設けられた雌ネジ部に対して底板の貫通孔に挿通されたボルトの先端を螺入した場合、真空成形の際にベースの上面側から吸引された空気が切り欠き部のうち、ボルトの頭によって覆われていない箇所を通ってベースの底面側から下方へ排出されるという作用を有する。
【0013】
第5の発明は、第1の発明において、ベースは、少なくとも上面側の一部が平面視して四角形の四隅が丸みを帯びた角丸四角形状をなしていることを特徴とする。
真空成形時にベースをプリフォームに押し当てる際に両者を密着させるため、プリフォームの下面に対してベースの上面を数ミリ程度めり込ませるようにすると良いが、ベースの上面が平面視四角形状をなしていると、その角部がプリフォームに接触した部分に亀裂が発生するおそれがある。これに対し、第5の発明においては、ベースの上面が平面視角丸四角形状をなしているため、上述の亀裂が生じ難いという作用を有する。
【0014】
第6の発明は、真空成形によって複数の棒状突起を有する収納品受け部を熱可塑性樹脂の平板材の一部に形成するための金型であって、円柱体又は円筒体からなる段付き構造の複数のピンと、段付き構造の複数のピン挿通孔が上面に対して垂直に設けられている下型と、ピン挿通孔と符合する箇所に平面視円形をなす貫通孔が厚さ方向と平行に設けられるとともに下型の上面に設置される上型と、を備え、ピン挿通孔は、平面視円形をなし底面側に開口する小径孔と、平面視円形をなし上面側に開口する大径孔と、からなり、ピンは、上型の貫通孔の内径よりも外径が小さい円柱体からなる小径部が先端側に設けられるとともに、下型の小径孔及び上型の貫通孔の内径よりも外径が大きい大径部が基端側に設けられており、ピンの大径部は、下型の大径孔の内径よりも外径が小さく、かつ、下型の大径孔の深さと長さが等しいことを特徴とする。
第6の発明において、下型のピン挿通孔の大径孔の内部にピンの大径部を配置した後、ピンの小径部を貫通孔に通過させるようにして上型を下型の上面に設置してボルトなどによって両者を固定すると、ピンの大径部が下型のピン挿通孔の大径孔から抜出不能な状態になり、ピンが金型に固定されるという作用を有する。
【0015】
第7の発明は、搬送容器に収納された物品を固定するために設置される搬送容器用受け部材であって、熱可塑性樹脂の平板材の一部に収納品受け部が設けられており、収納品受け部は、一の方向へ突出するように形成された複数の棒状突起を有することを特徴とする。
第7の発明においては、搬送容器に収納された物品が棒状突起の先端面によって支持されたり、棒状突起の側面が物品に当接することによって、物品の横方向への動きが規制されたりするという作用を有する。
【0016】
第8の発明に係る搬送容器用受け部材の製造方法は、熱可塑性樹脂の射出成形によって平板状のプリフォームを形成する工程と、プリフォームの一部を熱変形温度に達するまで加熱する工程と、プリフォームの加熱された部分に第1の発明乃至第6の発明のいずれかに係る金型を押し当てるようにして真空成形を行うことでプリフォームの一部に収納品受け部を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
第8の発明においては、第7の発明に係る搬送容器用受け部材が第1の発明乃至第6の発明のいずれかに係る金型を用いた真空成形によって容易に製造されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、ベースに設置するピンを長さの異なるものと交換したり、ベースにピンが設置される位置を変更したりすることにより、搬送容器用受け部材の収納品受け部の形状を容易に変更できるため、一から金型を作り直す場合に比べて製造コストが削減されるという効果を奏する。また、ピンの長さとピンが設置されるピン挿通孔の位置を記録しておけば、いつでも簡単に元の状態に戻せるため、ピン挿通孔からピンを抜き出した状態でベースを保管することができる。これにより、金型の保管場所の節約が可能となる。
さらに、第1の発明では、底板を介してピンの下端をベースに固定できることから、真空成形の際にベースの上面から吸引される空気の流路をピン挿通孔とピンの間に形成することが可能である。この場合、ベースにおけるピン挿通孔以外の箇所やピンの内部に当該流路を設ける場合よりも金型の製造コストが削減される。
【0018】
第2の発明によれば、ピンの全長を容易に変更できることから、第1の発明の効果に加え、搬送容器用受け部材における収納品受け部の仕様が変更になった場合でもそれぞれのピンの全長を調整することで所望の長さの棒状突起を有する収納品受け部を備えた搬送容器用受け部材を短時間で安価に製造できるという効果を奏する。
【0019】
第3の発明によれば、物品を面で支持する部分を有する収納品受け部を備えた搬送容器用受け部材を製造できるため、第2の発明の効果に加え、搬送容器用受け部材の収納品受け部を設計する際の自由度が増すという効果を奏する。
【0020】
第4の発明では、底板の貫通孔が真空成形の際にベースの上面から吸引された空気の流路として機能するため、当該流路を新しく底板に加工する必要がない。したがって、第4の発明によれば、第2の発明の効果に加え、金型の製造コストが削減されるという第1の発明の効果がより一層発揮される。
【0021】
第5の発明によれば、真空成形時にプリフォームに亀裂が生じ難いことから、第1の発明の効果に加え、プリフォームから搬送容器用受け部材を効率良く製造できるという効果を奏する。
【0022】
第6の発明では、ピンを一本ずつ固定する必要がないため、ピンの設置に要する時間が削減される。したがって、第6の発明によれば、金型の製造効率を高めることが可能である。
【0023】
第7の発明では、収納品受け部が物品を面全体で支持する従来技術の場合とは異なり、物品と収納品受け部が接触する面積が狭いことから、収納品への傷が発生し難い。また、収納品受け部のうち物品に接触しない部分については、その形状に対する制約が少ないことから、当該部分の加工精度を他の部分よりも低く設定することが可能である。これにより、収納品受け部を形成する際に用いられる真空成形用の金型の製造コストが削減される。
【0024】
第8の発明によれば、第7の発明に係る搬送容器用受け部材を安価に効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る搬送容器用受け部材及びその製造に用いられるプリフォームの外観斜視図である。
【
図2】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の搬送容器用受け部材の製造に用いられる熱成形装置の構成を示した模式図及び搬送容器用受け部材の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図3】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る金型の外観斜視図であり、(b)は同図(a)の金型を底面側から見た図である。
【
図4】(a)は
図3(b)において底板を外した状態を示した図であり、(b)は
図3(b)に示した底板の平面図である。
【
図5】(a)は
図3(a)に示した金型に設置される第1のピン及び第2のピン並びにブロックの側面図であり、(b)は第1のピン及び第2のピン並びにブロックが金型に取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図6】(a)は本発明の第2の実施の形態に係る金型の外観斜視図であり、(b)及び(c)はそれぞれ同図(a)に示した上型及び下型の外観斜視図である。
【
図7】(a)は第3のピン及び第4のピンの側面図であり、(b)は
図6(a)に示した金型を底面側から見た図であり、(c)は第3のピン及び第4のピンが金型に取り付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の搬送容器用受け部材とその製造方法及びそれに用いられる金型について
図1乃至
図7を用いて具体的に説明する。
なお、以下の説明では、搬送容器用受け部材として搬送容器の床板などの板材に設置される構造のものを例に挙げているが、例えば、特許文献3に開示された搬送容器の受け材のように搬送容器のフレームを構成する角パイプに設置される構造のものを製造する場合にも本発明の搬送容器用受け部材の製造方法及び金型は同様に適用可能である。すなわち、特許文献3に開示されたプリフォームの成形主部に対し、本発明の金型を用いた真空成形を行った場合にも以下に説明する本発明の搬送容器用受け部材とその製造方法及びそれに用いられる金型に関する作用及び効果は同様に発揮される。
また、本願明細書では、搬送容器用受け部材及びその製造に用いられる金型に関し、それらが実際に用いられる状態を想定して、「上面」や「下面」などの表現を用いている。
【実施例0027】
図1(a)及び
図1(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る搬送容器用受け部材(以下、受け部材1という。)及びその製造に用いられるプリフォーム13の外観斜視図である。なお、
図1(a)は受け部材1を第2の面13b側から見た状態を表し、
図1(b)はプリフォーム13を第1の面13a側から見た状態を表している。
プリフォーム13はポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂の射出成形によって形成されて平面視略矩形状をなす板材からなり、真空成形によって収納品受け部1a(
図1(a)を参照)が形成される成形対象部2と、この成形対象部2を囲むとともに第2の面13b(
図1(a)を参照)から突出するように設けられた境界部3(
図1(a)を参照)と、この境界部3の外側に設けられて、上述の矩形を構成する平行な2辺に対応する側面13c、13dをそれぞれ有する第1の結合部4及び第2の結合部10を備えている。そして、プリフォーム13の第1の面13aには、第2の面13b(
図1(a)を参照)に境界部3(
図1(a)を参照)が設けられることにより肉厚となる部分に対応する箇所に対し、平面視長方形状をなす肉盗み3a、3aが成形対象部2を間に挟むようにして対称に設けられている。
なお、受け部材1では、成形対象部2において収納品受け部1aが形成されていない箇所に微小な円形の窪み1bが形成されているが、これは真空成形時に成形対象部2の第1の面13aと金型の間の空気を吸引することによって形成されるものであり、第2のピン17bの高さを調整することにより、目立ち難い状態にすることができる。また、あえて第2のピン17bをベース19の上面19aよりも高くして円形の凸部を設けることにより、成形対象部2の強度をアップさせて歪を防止することもできる。
【0028】
第1の結合部4は、平面視長方形状をなす座板4aと、この座板4aに対して第1の面13aに設けられた突設部5及び突起部6、7からなり、座板4aには、側面13c、13dに対して直交する側面13e、13fの近くに円形の貫通孔8aがそれぞれ設けられている。また、突設部5は、座板4aに垂直であって、かつ、側面13cに平行な一対の側面板5a、5aと、この一対の側面板5a、5aの上端側同士を接続し、平坦で第1の面13aに平行な上面板5cと、座板4aに垂直であって、かつ、上面板5cと一対の側面板5a、5aを接続する一対の側面板5b、5bと、側面板5bと平行に設置されて一対の側面板5a、5a同士を接続する4枚の補強板5dによって構成されており、突設部5の補強板5dが設けられていない箇所には一対の開口部9、9が設けられている。
なお、開口部9は平面視した場合に長方形の長辺の1つに相当する内壁面の一部が切り欠かれることにより、一対の係止部9a、9aが成形対象部2から遠い側に形成されている。また、突設部5の上面板5cには、長手方向の両端に突起部6がそれぞれ設けられ、略中央に突起部7が設けられている。
【0029】
第2の結合部10の座板10aには、側面13e、13fの近くに円形の貫通孔8bがそれぞれ設けられている。そして、側面13dに対して垂直な方向へ突出するとともに平面視矩形状をなし、かつ、スリット11aによって2つに分けられた一対の係止片11b、11bが座板10aの幅方向(側面13e、13fに直交する方向)の略中央に設けられている。また、第2の結合部10の座板10aには、側面13dに対して垂直な方向へ所定の長さを有する一対のスリット10b、10bが一対の係合爪12、12を間に挟むようにして一対の貫通孔8b、8bの間に設けられている。
【0030】
図1(a)に示すように受け部材1の構造は、収納品受け部1aを有する点を除けば、プリフォーム13と同じである。そのため、受け部材1とプリフォーム13を結合した場合、受け部材1の側面13dにプリフォーム13の突起部6が当接し、プリフォーム13の側面13dに受け部材1の突起部6が当接する。
すなわち、受け部材1とプリフォーム13は、それぞれ突起部6が側面13dに当接することにより、側面13dに垂直な方向への移動が互いに規制される構造となっている。
【0031】
突設部5の上面板5cには、その長手方向に平行な直線部分と、この直線部分の両端と略中央に当該長手方向に対して垂直をなすようにそれぞれ設けられた3つの突状部分からなる突起部7が形成されている。そして、上述したように、受け部材1とプリフォーム13を結合した場合、一方のスリット11aの内部に他方の突起部7において直線部分の略中央に設けられた突状部分が配置されるとともに、一方の係止片11bが他方の突起部7において直線部分の端部と略中央に設けられた2つの突状部分の間にそれぞれ配置される。
すなわち、受け部材1とプリフォーム13は、一方の係止片11bが他方の突起部7において直線部分の端部と略中央に設けられた2つの突状部分の間に配置されることにより、側面13dに対して平行な方向及び垂直な方向への移動が互いに規制される構造となっている。
【0032】
受け部材1とプリフォーム13は、搬送容器の底板などの板材に第1の面13aがそれぞれ向いた状態で、板材に設けられた貫通孔を通して一方の突設部5の開口部9に他方の係合爪12を係合させることによって、板材の両面に対してそれぞれ固定される。
ただし、受け部材1及びプリフォーム13では、突設部5の開口部9と係合爪12が成形対象部2を挟んで対称に設けられていることから、一方の係合爪12が他方の突設部5の開口部9に係合すると、他方の係合爪12も同時に一方の突設部5の開口部9に係合する。すなわち、プリフォーム13は、それから製造される受け部材1と組み合わせることで、搬送容器の底板などの板材に対して容易に取り付け可能な構造となっている。
【0033】
図1(a)に示すように、受け部材1の収納品受け部1aは、一の方向へ突出するように形成された複数の棒状突起1cを有している。そのため、受け部材1を搬送容器の内部に設置した場合、収納された物品が棒状突起1cの先端面によって支持されたり、棒状突起1cの側面が物品に当接することによって、物品の横方向への動きが規制されたりする。
このように受け部材1では、収納品受け部1aが物品を面全体で支持する従来技術の場合とは異なり、物品と収納品受け部1aが接触する面積が狭いことから、収納品への傷が発生し難い。また、収納品受け部1aのうち物品に接触しない部分については、その形状に対する制約が少ないことから、当該部分の加工精度を他の部分よりも低く設定することができる。したがって、上記構造の受け部材1によれば、収納品受け部1aを形成する際に用いられる真空成形用の金型について製造コストの削減を図ることができる。
【0034】
ここで、受け部材1の製造方法について
図2を用いて説明する。
図2(a)及び
図2(b)はそれぞれ受け部材1の製造に用いられる熱成形装置14の構成を示した模式図及び受け部材1の製造方法を説明するためのフローチャートである。
熱成形装置14は、図示しない加熱ブースと締付具に加え、
図2(a)に示すように、プラグ15及び金型16を備えている。プラグ15は成形対象部2を上から押え付けるようにして成形対象部2を金型16に密着させるための部材であり、略水平をなすように締付具を用いて熱成形装置14に固定されたプリフォーム13の上方に配置される。一方、金型16は上方に突出するように設置された複数本の第1のピン17aを備えており、プリフォーム13の下方に配置される。
なお、プラグ15については、使用されない場合もある。
【0035】
図2(b)に示すように、まず、熱可塑性樹脂の射出成形により、略矩形状のプリフォーム13を形成する(ステップS1)。つぎに、プリフォーム13を熱成形装置14の加熱ブース(図示せず)内に設置して、成形対象部2を所定の熱変形温度に達するまで加熱する(ステップS2)。そして、加熱されたプリフォーム13を熱成形装置14に設置した後、プリフォーム13と金型16の間の空間に存在する空気を吸引しながら成形対象部2の第1の面13a(
図1(b)を参照)に金型16を下方から押し当てるとともに、成形対象部2の第2の面13b(
図1(a)を参照)にプラグ15を上方から押し当てる(ステップS3)。最後に、プリフォーム13を十分に冷却した後、熱成形装置14から取り出す(ステップS4)。
このような方法によれば、受け部材1が金型16を用いた真空成形によって容易に製造されるため、受け部材1の製造コストを安くするともに、その製造効率を高めることができる。
【0036】
つぎに、プリフォーム13から受け部材1を製造する際に用いられる金型について
図3乃至
図5を用いて説明する。
図3(a)は本発明の第1の実施の形態に係る金型16の外観斜視図であり、
図3(b)は
図3(a)の金型16を底面側から見た図である。また、
図4(a)は
図3(b)において底板20を外した状態を示した図であり、
図4(b)は
図3(b)に示した底板20の平面図である。
なお、
図3(a)及び
図3(b)並びに
図4(a)及び
図4(b)では、図が煩雑になるのを避けるため、一部のピン挿通孔と貫通孔に対してのみ符号を付している。
【0037】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、アルミニウム製の金型16は、略直方体状をなし、底面19bに凹部19cが設けられるとともに第1のピン17a及び第2のピン17b(
図5(a)を参照)並びにブロック18が設置されるベース19と、凹部19cに嵌め込まれた状態でボルト21aを用いてベース19に固定される底板20からなる。なお、ベース19には、平面視円形をなす複数のピン挿通孔19dが上面19aに対して垂直に設けられており、底面19bの四隅には、平面視円形をなし、他の部材にベース19をネジ止めする際に用いられるネジ孔19eがそれぞれ設けられている。
一方、底板20には、ベース19のピン挿通孔19dに挿通されるボルト21bを連通可能に平面視円形をなす複数の貫通孔20aがピン挿通孔19dと符合する箇所に厚さ方向と平行に設けられている。
【0038】
金型16を用いて真空成形を行う場合、ベース19をプリフォーム13に押し当てる際に両者を密着させるため、プリフォーム13の第1の面13a(
図2(a)を参照)に対してベース19の上面19aを数ミリ程度めり込ませるようにすると良いが、ベース19の上面19aが平面視四角形状をなしていると、その角部がプリフォーム13に接触した部分に亀裂が発生するおそれがある。これに対し、ベース19は、少なくとも上面19a側の一部が平面視して四角形の四隅が丸みを帯びた角丸四角形状をなしている(
図3(a)を参照)。そのため、金型16では、真空成形時に上述の亀裂が生じ難い。したがって、金型16によれば、プリフォーム13から受け部材1を効率良く製造することができる。
【0039】
図4(a)に示すように、ベース19には、平面視円形をなし、底板20をボルト21aで固定するためのボルト孔19fがネジ孔19eに近い凹部19c内の4箇所に設けられている。
図4(b)に示すように、貫通孔20aの内壁面の輪郭線は、平面視した場合に、ピン挿通孔19dの内径よりも小さく、かつ、雌ネジ部23b(
図5(a)を参照)の内径よりも大きい直径を有する円形部22aと、ピン挿通孔19dの半径方向の外側へ突出するように円形部22aの直径の両端に相当する箇所に設けられた一対の切り欠き部22b、22bによって構成されている。なお、切り欠き部22bは1つであっても良い。
また、底板20にはベース19の凹部19cに嵌め込まれた状態においてボルト孔19fと符合する箇所に切り欠き20bが設けられている。
上記構造の底板20に用いられるボルト21bは、貫通孔20aにボルト21bが挿通された状態で一対の切り欠き部22b、22bの少なくとも一部が露出するようなサイズの頭部を有していることが望ましい(
図3(b)を参照)。
【0040】
図5(a)は
図3(a)に示した金型16に設置される第1のピン17a及び第2のピン17b並びにブロック18の側面図であり、
図5(b)は第1のピン17a及び第2のピン17b並びにブロック18が金型16に取り付けられた状態を示す断面図である。なお、
図5(b)はピン挿通孔19dの中心軸を通る平面によって金型16、第1のピン17a、第2のピン17b及びブロック18が切断された状態を示している。また、
図5(b)では、図が煩雑になるのを避けるため、連結ピン23の雄ネジ部23a及び雌ネジ部23b、先端ピン24の雌ネジ部24a、ブロック18の雌ネジ部18a及び底板20の貫通孔20aについて、それらの一部についてのみ符号を付すとともに、1本の第1のピン17aに対してのみボルト21bが取り付けられた状態を示し、他の第1のピン17a及び第2のピン17bについてはボルト21bの図示を省略している。
【0041】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第1のピン17aは連結ピン23と先端ピン24で構成されている。連結ピン23は、先端に雄ネジ部23aが長手方向へ突出するように設けられた円柱体からなり、基端には、ボルト21bや他の連結ピン23の雄ネジ部23aと螺合する雌ネジ部23bが長手方向と平行に設けられている。先端ピン24は、ボルト21bや連結ピン23の雄ネジ部23aと螺合する雌ネジ部24aが長手方向と平行に設けられた円柱体からなり、先端が尖頭状をなしているものと、長手方向に垂直な平坦面が先端に設けられているものの2種類がある。また、第2のピン17bは、長さがピン挿通孔19dの深さと等しく、ボルト21bと螺合する雌ネジ部23bが長手方向と平行に設けられた円柱体からなり、ベース19のピン挿通孔19dを塞ぐ目的でピン挿通孔19dの内部に設置可能な構造となっている。
なお、連結ピン23と先端ピン24は円柱体に限らず、円筒体や角柱体、あるいは角筒体とすることもできる。ただし、先端ピン24が角柱体や角筒体の場合、真空成形時に先端ピン24の先端面の角部と接触するプリフォーム13の成形対象部2に亀裂が生じるおそれがあるため、先端ピン24は円柱体又は円筒体であることが望ましい。
【0042】
上記構造の第1のピン17aは、先端ピン24と組み合わせる連結ピン23について長さの異なるものを用いたり、複数の連結ピン23を組み合わせたりすることによって、全長が簡単に変わるとともに、先端ピン24の種類を変えることによって先端の形状も簡単に変わるという作用を有している。したがって、このような第1のピン17aを備えた金型16によれば、受け部材1における収納品受け部1aの仕様が変更になった場合でもそれぞれの第1のピン17aの全長を調整することで所望の長さの棒状突起1c(
図1(a)を参照)を有する収納品受け部1aを備えた受け部材1を短時間で安価に製造することが可能である。
【0043】
ブロック18は、連結ピン23の雄ネジ部23aと螺合する一対の雌ネジ部18a、18aが互いに平行をなす一対の面18b、18cのうちの一方の面18cに対して垂直に設けられた直方体からなり、ベース19において連続して設けられた2つのピン挿通孔19dに対し、雄ネジ部23aを雌ネジ部18aに螺入するようにして連結された一対の連結ピン23、23を同時に挿通可能な構造となっている。このような構造のブロック18を備えた金型16を用いて受け部材1を製造した場合、面18bにより、棒状突起1cの長手方向に対して垂直な平坦面を有する収納品受け部1aが形成される。この場合、受け部材1の収納品受け部1aを設計する際の自由度が増すというメリットがある。
【0044】
図5(b)に示すように、第1のピン17a、第2のピン17b及びブロック18に連結された一対の連結ピン23、23は、凹部19cに嵌め込まれた状態でボルト21aを用いてベース19に固定された底板20の貫通孔20aを通してボルト21bが雌ネジ部23bに螺入されることによって、ベース19に固定される。そのため、連結ピン23の外径をベース19のピン挿通孔19dの内径よりも小さくして、真空成形の際にベース19の上面19a側から吸引された空気の流路を連結ピン23とピン挿通孔19dの間に形成することが可能である。この場合、ベース19におけるピン挿通孔19d以外の箇所や第1のピン17aや第2のピン17bの内部に当該流路を設ける場合よりも金型16の製造コストを安くすることができる。
また、既に述べたように、貫通孔20aの一対の切り欠き部22b、22bはボルト21bが貫通孔20aに挿通された状態で少なくとも一部を露出させた状態にすることができる。この場合、真空成形の際にベース19の上面19a側から吸引された空気が切り欠き部22bのうち、ボルト21bの頭によって覆われていない箇所を通ってベース19の底面19b側から下方へ排出されることになる。このように、金型16では、上述の空気の流路を新しく底板20に加工する必要がないことから、製造コストを安くすることができる。
【0045】
さらに、金型16では、ベース19の上面19aから突出する第1のピン17aの長さを変更することで収納品受け部1aによって支持できる物品の形状が決まる。すなわち、金型16においては、ベース19に設置する第1のピン17aを長さの異なるものと交換したり、ベース19に第1のピン17aが設置される位置を変更したりすることにより、受け部材1の収納品受け部1aの形状を容易に変更できるため、一から金型を作り直す場合に比べて製造コストが削減される。また、第1のピン17aの長さや第1のピン17aが設置されるピン挿通孔19dの位置を記録しておけば、いつでも簡単に元の状態に戻せるため、ピン挿通孔19dから第1のピン17aを抜き出した状態でベース19を保管することができる。すなわち、金型16では、従来の金型の場合とは異なり、リピート生産に対応するために製造した全ての金型をそれぞれ保管する必要がない。したがって、金型16によれば、保管場所の節約が可能である。