(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007258
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】リクライニングベッド
(51)【国際特許分類】
A61G 7/05 20060101AFI20250109BHJP
A47C 19/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61G7/05
A47C19/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108535
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】599139442
【氏名又は名称】株式会社プラッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】江▲崎▼ 公一
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA05
4C040DD01
4C040DD05
4C040EE05
(57)【要約】
【課題】支持台を降下させて受台と床との間の高さができるだけ低くなるようにするとともに、キャスター等をできるだけ大型化させることができるようにすること。
【解決手段】本発明では、リクライニングベッド(1)において、支持台(3)に横臥者の大腿部を受ける大腿部受台(21)の基端部を起倒自在に設けるとともに、大腿部受台(21)の先端部に横臥者の下腿部を受ける下腿部受台(22)の基端部を上下折曲自在に設けて、大腿部受台(21)の起倒に伴って大腿部受台(21)の先端部で下腿部受台(22)の基端部が折曲するようにし、基台(2)に対して支持台(3)を最も下降させた状態で大腿部受台(21)を起立させた時に、下腿部受台(22)の先端部を支持台(3)よりも上方に突出する突出部材(キャスター部(10,11)等)の上方へ上昇させるために設けた下腿部受台ガイド(50,57)に沿って下腿部受台(22)の先端部を滑動させて、下腿部受台(22)の先端部と突出部材との衝突を回避することにした。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に支持台を昇降可能に設けるとともに、支持台に横臥者の身体を受ける受台を起倒可能に設けたリクライニングベッドにおいて、
支持台に横臥者の大腿部を受ける大腿部受台の基端部を起倒自在に設けるとともに、大腿部受台の先端部に横臥者の下腿部を受ける下腿部受台の基端部を上下折曲自在に設けて、大腿部受台の起倒に伴って大腿部受台の先端部で下腿部受台の基端部が折曲するようにし、
基台に対して支持台を最も下降させた状態で大腿部受台を起立させた時に、下腿部受台の先端部を支持台よりも上方に突出する突出部材の上方へ上昇させるために設けた下腿部受台ガイドに沿って下腿部受台の先端部を滑動させて、下腿部受台の先端部と突出部材との衝突を回避することを特徴とするリクライニングベッド。
【請求項2】
前記下腿部受台ガイドを、上面で横臥者の下腿部を受ける下腿部受台の下部に設けた凹部に収容可能に配置したことを特徴とする請求項1に記載のリクライニングベッド。
【請求項3】
前記下腿部受台ガイドを、支持台に設けて、支持台の昇降状態にかかわらず大腿部受台の起倒時に常に下腿部受台の先端部を下腿部受台ガイドに沿って滑動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリクライニングベッド。
【請求項4】
前記下腿部受台ガイドを、基台に対して支持台を最も下降させた状態で支持台よりも上方に突出する突出部材に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリクライニングベッド。
【請求項5】
前記下腿部受台の先端部に滑動体を設け、支持台の昇降状態によって、支持台よりも突出部材が上方に突出している時には前記滑動体が下腿部受台ガイドに沿って滑動し、支持台よりも突出部材が上方に突出していない時には前記滑動体が支持台に沿って滑動することを特徴とする請求項4に記載のリクライニングベッド。
【請求項6】
前記突出部材が基台に設けたキャスター部であることを特徴とする請求項4に記載のリクライニングベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台に支持台を昇降可能に設けるとともに、支持台に横臥者の身体を受ける受台を起倒可能に設けたリクライニングベッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院や介護施設や在宅介護・看護などにおいては、基台に支持台を昇降可能に設け、支持台に横臥者(仰臥位や側臥位や腹臥位などでベッドに横たわる者)の身体を受ける受台を起倒可能に設けて、受台全体が上下に昇降するとともに、受台の一部(たとえば、横臥者の背中や大腿部及び下腿部)が起倒するリクライニングベッドが利用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この昇降可能なリクライニングベッドでは、横臥者の乗降を容易なものとするためや、転落時の身体への衝撃を軽減するために、できるだけ支持台を下降させて受台と床との間の高さを低くすることが望まれている。
【0004】
一方、特に病院や介護施設で使用されるリクライニングベッドでは、床面等の段差を容易に乗り越えられるようにして移動を容易なものとするために、基台に取付けられるキャスターを大型化することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来のリクライニングベッドでは、支持台を最も降下させて受台と床との間の高さができるだけ低くなるようにするとともに、キャスターをできるだけ大型化させた場合に、基台に対して支持台を最も下降させると、基台よりも上方にキャスターの上部が突出した状態となる。
【0007】
このように、基台に対して支持台を最も下降させた際に支持台よりも上方に突出する部材があると、基台に対して支持台を最も下降させた状態で大腿部受台を起立させると、大腿部受台に連動して移動する下腿部受台の先端部が途中で支持台よりも上方に突出する部材に衝突してしまい、下腿部受台を円滑に移動させることができず、また、下腿部受台や部材などが破損してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、基台に支持台を昇降可能に設けるとともに、支持台に横臥者の身体を受ける受台を起倒可能に設けたリクライニングベッドにおいて、支持台に横臥者の大腿部を受ける大腿部受台の基端部を起倒自在に設けるとともに、大腿部受台の先端部に横臥者の下腿部を受ける下腿部受台の基端部を上下折曲自在に設けて、大腿部受台の起倒に伴って大腿部受台の先端部で下腿部受台の基端部が折曲するようにし、基台に対して支持台を最も下降させた状態で大腿部受台を起立させた時に、下腿部受台の先端部を支持台よりも上方に突出する突出部材の上方へ上昇させるために設けた下腿部受台ガイドに沿って下腿部受台の先端部を滑動させて、下腿部受台の先端部と突出部材との衝突を回避することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に記載の本発明において、前記下腿部受台ガイドを、上面で横臥者の下腿部を受ける下腿部受台の下部に設けた凹部に収容可能に配置することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記下腿部受台ガイドを、支持台に設けて、支持台の昇降状態にかかわらず大腿部受台の起倒時に常に下腿部受台の先端部を下腿部受台ガイドに沿って滑動させることにした。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記下腿部受台ガイドを、基台に対して支持台を最も下降させた状態で支持台よりも上方に突出する突出部材に設けることにした。
【0012】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項4に係る本発明において、前記下腿部受台の先端部に滑動体を設け、支持台の昇降状態によって、支持台よりも突出部材が上方に突出している時には前記滑動体が下腿部受台ガイドに沿って滑動し、支持台よりも突出部材が上方に突出していない時には前記滑動体が支持台に沿って滑動することにした。
【0013】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項4に係る本発明において、前記突出部材が基台に設けたキャスター部であることにした。
【発明の効果】
【0014】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0015】
すなわち、本発明では、基台に支持台を昇降可能に設けるとともに、支持台に横臥者の身体を受ける受台を起倒可能に設けたリクライニングベッドにおいて、支持台に横臥者の大腿部を受ける大腿部受台の基端部を起倒自在に設けるとともに、大腿部受台の先端部に横臥者の下腿部を受ける下腿部受台の基端部を上下折曲自在に設けて、大腿部受台の起倒に伴って大腿部受台の先端部で下腿部受台の基端部が折曲するようにし、基台に対して支持台を最も下降させた状態で大腿部受台を起立させた時に、下腿部受台の先端部を支持台よりも上方に突出する突出部材の上方へ上昇させるために設けた下腿部受台ガイドに沿って下腿部受台の先端部を滑動させて、下腿部受台の先端部と突出部材との衝突を回避することにしているために、基台に対して支持台を最も下降させた状態でも下腿部受台を円滑に移動させることができ、また、下腿部受台と突出部材との衝突による破損を防ぐことができる。これにより、支持台を最も降下させて受台と床との間の高さができるだけ低くなるようにするとともに、キャスター等をできるだけ大型化させることができる。
【0016】
特に、前記下腿部受台ガイドを、上面で横臥者の下腿部を受ける下腿部受台の下部に設けた凹部に収容可能に配置することにした場合には、基台に対して支持台を最も下降させた状態で下腿部受台の凹部に下腿部受台ガイドが収容されるので、下腿部受台ガイドを設けても支持台を最も降下させた際の受台と床との間の高さを低くすることができる。
【0017】
また、前記下腿部受台ガイドを、支持台に設けて、支持台の昇降状態にかかわらず大腿部受台の起倒時に常に下腿部受台の先端部を下腿部受台ガイドに沿って滑動させることにした場合には、支持台の昇降状態にかかわらず大腿部受台の起倒に連動する下腿部受台の動きを同一にすることができる。
【0018】
また、前記下腿部受台ガイドを、基台に対して支持台を最も下降させた状態で支持台よりも上方に突出する突出部材に設けた場合には、突出部材を異なるサイズのものに変更しても、突出部材と下腿部受台の先端部との衝突を回避することができる。
【0019】
また、前記下腿部受台の先端部に滑動体を設け、支持台の昇降状態によって、支持台よりも突出部材が上方に突出している時には前記滑動体が下腿部受台ガイドに沿って滑動し、支持台よりも突出部材が上方に突出していない時には前記滑動体が支持台に沿って滑動することにした場合には、共通の滑動体を下腿部受台の先端部に設けるだけで支持台の昇降状態にかかわらず突出部材と下腿部受台の先端部との衝突を回避することができる。
【0020】
また、前記突出部材が基台に設けたキャスター部である場合には、キャスターを大型化させてリクライニングベッドの移動を容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係るリクライニングベッドを示す平面図(a)、側面図(b)。
【
図2】リクライニングベッドの昇降機構を示す平面図(a)、側面断面図(b)。
【
図3】リクライニングベッドの上半身起倒機構及び下半身起倒機構を示す平面図(a)、側面断面図(b)。
【
図4】リクライニングベッドの上半身起倒機構を示す側面拡大断面図。
【
図5】リクライニングベッドの下半身起倒機構を示す側面拡大断面図。
【
図8】支持台に取付けた下腿部受台ガイドを示す側面拡大断面図。
【
図9】キャスター部に取付けた下腿部受台ガイドを示す側面拡大断面図(a)(b)、平面拡大図(c)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係るリクライニングベッドの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1~
図3に示すように、リクライニングベッド1は、基台2の上部に支持台3を着脱可能(組立及び分離可能)に設けるとともに、支持台3の上部に横臥者の身体を支持する受台4を着脱可能(組立及び分離可能)に設けている。基台2と支持台3との間には、基台2に対して支持台3(受台4)を全体的に昇降させるための昇降機構5が設けられている。また、支持台3と受台4との間には、支持台3に対して受台4の一部(上半身側)を部分的に起倒させるための上半身起倒機構6が設けられているとともに、支持台3に対して受台4の一部(下半身側)を部分的に起倒させるための下半身起倒機構7が設けられている。なお、ここでは、便宜的に、リクライニングベッド1に横臥する者の足側(
図1中における右側)を前側とし、頭側(
図1中における左側)を後側として説明する。
【0024】
基台2は、前後方向に伸延する左右一対の基台フレーム8,9の前端下部及び後端下部にキャスター及びキャスターの上方等を覆う部分などからなるキャスター部10,11を取付けて移動可能とするとともに、左右の基台フレーム8,9の前部間及び後部間に左右方向に伸延する連結フレーム12,13を取付け(固定し)ている。
【0025】
支持台3は、前後方向に伸延する左右一対の支持台フレーム14,15の前端部間及び後端部間にボード(フットボード16及びヘッドボード17)を着脱可能に取付けるとともに、左右の支持台フレーム14,15の中途部間に左右方向に伸延する連結フレーム18を取付け(固定し)ている。連結フレーム18は、中途部で湾曲させて上半身起倒機構6との干渉(衝突)を回避している。
【0026】
受台4は、主に横臥者の尻の荷重を受ける(横臥者の尻を下方から支える)ための尻部受台19と、主に横臥者の上半身(尻よりも上側)の荷重を受ける(横臥者の上半身を下方から支える)ための上半身受台20と、主に横臥者の下半身(尻よりも下側)の荷重を受ける(横臥者の下半身を下方から支える)ための下半身受台とで構成している。この下半身受台は、主に横臥者の大腿の荷重を受ける(横臥者の大腿を下方から支える)ための大腿部受台21と、主に横臥者の下腿の荷重を受ける(横臥者の下腿を下方から支える)ための下腿部受台22とに分割して構成している。
【0027】
尻部受台19は、支持台3(支持台フレーム14,15)の概略中央上部に水平状に固定されている。
【0028】
上半身受台20は、支持台3(支持台フレーム14,15)の後側(尻部受台19よりも後側)上部に前端部を上下回動自在に枢着することによって支持台3や尻部受台19に対して起倒可能に設けられている。この上半身受台20は、後述する支持機構によって支持台3(支持台フレーム14,15)で支持されており、支持台フレーム14,15に沿って前後に移動しながら支持台フレーム14,15に対して上下に起倒するようになっている。なお、上半身受台20は、主に横臥者の肩(肩甲骨)よりも下側の背中(背骨)の荷重を受ける(横臥者の肩(肩甲骨)よりも下側の背中(背骨)を下方から支える)ための背部受台と、主に横臥者の肩(肩甲骨)から上側の肩及び頭の荷重を受ける(横臥者の肩(肩甲骨)から上側の肩及び頭を下方から支える)ための肩部受台とに分割して構成してもよい。
【0029】
下半身受台は、支持台3(支持台フレーム14,15)の尻部受台19よりも前側上部に大腿部受台21の後端部を上下回動自在に枢着している。これにより、大腿部受台21は、支持台3や尻部受台19に対して起倒可能となっている。また、下半身受台は、大腿部受台21の前端部に下腿部受台22の後端部を上下回動自在に枢着している。これにより、下腿部受台22は、支持台3や尻部受台19に対して大腿部受台21とともに起倒するとともに、大腿部受台21に対して起倒可能(自由に屈曲可能)となっている。なお、下腿部受台22は、後端部が大腿部受台21の前端部とともに動き、前端部が支持台3(支持台フレーム14,15)の上面に沿って動くようになっている。
【0030】
昇降機構5は、基台フレーム8,9の中途部間内側に左右方向に伸延する基台側移動フレーム23を基台フレーム8,9に沿って前後移動可能に取付けるとともに、支持台フレーム14,15の中途部間内側に左右方向に伸延する支持台側移動フレーム24を支持台フレーム14,15に沿って前後移動可能に取付けている。この昇降機構5の基台側移動フレーム23と支持台側移動フレーム24は、後述する支持機構によって基台フレーム8,9と支持台フレーム14,15でそれぞれ支持されている。支持台側移動フレーム24は、中途部で湾曲させて下半身起倒機構7との干渉(衝突)を回避している。
【0031】
また、昇降機構5は、基台2の後側の連結フレーム13と基台側移動フレーム23に左右一対のクロスバー25,26の下端部を左右に間隔をあけて上下回動自在に取付けるとともに、支持台3の後側の連結フレーム18と支持台側移動フレーム24にクロスバー25,26の上端部を左右に間隔をあけて上下回動自在に取付けている。クロスバー25,26は、中央部で上下回動自在に連結されている。
【0032】
さらに、昇降機構5は、基台2の前側の連結フレーム12の中央部と支持台側移動フレーム24の中央部との間にアクチュエーター27を上下回動自在に取付けている。なお、アクチュエーター27は、モーターとロッドで構成しており、モーター側(基端部側)が連結フレーム12に上下回動自在に取付けられ、ロッド側(先端部側)が支持台側移動フレーム24に上下回動自在に取付けられている。昇降機構5のアクチュエーター27の下方には、アクチュエーター27を下方から保護する(下方からの力が上方のアクチュエーター27に直接かからないように保護する)ための保護体28を設けている。保護体28は、連結フレーム12の下部に前方に向けて水平に伸延させた状態で取付けられている。
【0033】
そして、昇降機構5は、アクチュエーター27のロッドを伸縮させることで、基台2に対して支持台3(受台4)を上下に昇降させることができるようになっている。なお、昇降機構5は、基台2に対して支持台3(受台4)を上下に昇降させることができればよく、上記構成に限定されるものではない。
【0034】
上半身起倒機構6は、支持台フレーム14,15の後側中途部間に左右方向に伸延するとともに中央部を前側下方に向けて湾曲させた支持フレーム29を取付け、支持フレーム29の中央部に前側上方へ向けて伸延する支持アーム30,31を左右に間隔をあけて取付けている。左右の支持アーム30,31の間には、前後方向に伸延する可動体32の基端部(前端部)が上下回動自在に軸支されており、可動体32の先端部(後端部)には、左右にローラー33,34が回動自在に軸支されている。左右のローラー33,34は、上半身受台20の下部に上半身受台20に沿って転動可能に当接されている。可動体32は、後述する支持機構によって左右の支持アーム30,31の先端部で支持されている。
【0035】
また、上半身起倒機構6は、支持台フレーム14,15の後端部間に左右方向に伸延する支持フレーム35を取付け、支持フレーム35の中央部に下方へ向けて伸延する支持体36を取付けている。
【0036】
さらに、上半身起倒機構6は、支持体36の前側下部と可動体32の下側中途部との間にアクチュエーター37を上下回動自在に取付けている。なお、アクチュエーター37は、モーターとロッドで構成しており、モーター側(基端部側)が支持体36に上下回動自在に取付けられ、ロッド側(先端部側)が可動体32に上下回動自在に取付けられている。上半身起倒機構6のアクチュエーター37の下方には、アクチュエーター37を下方から保護する(下方からの力が上方のアクチュエーター37に直接かからないように保護する)ための保護体38を設けている。保護体38は、基端部が支持体36の前側下部に前側上方に向けて屈曲させた状態で取付けられており、先端部が支持フレーム29の中央後部に取付けられている。
【0037】
そして、上半身起倒機構6は、アクチュエーター37のロッドを伸縮させることで、
図4に示すように、支持台3に対して上半身受台20を上下に起倒させることができるようになっている。なお、上半身起倒機構6は、支持台3に対して上半身受台20を上下に起倒させることができればよく、上記構成に限定されるものではない。
【0038】
下半身起倒機構7は、支持台フレーム14,15の中途部前側間に左右方向に伸延する支持フレーム39を取付け、支持フレーム39の中央部に前側上方へ向けて伸延する支持アーム40,41を左右に間隔をあけて取付けている。左右の支持アーム40,41の間には、前後方向に伸延する可動体42の基端部(後端部)が上下回動自在に軸支されており、可動体42の先端部(前端部)には、左右にローラー43,44が回動自在に軸支されている。左右のローラー43,44は、大腿部受台21の下部に大腿部受台21に沿って転動可能に当接されている。可動体42は、後述する支持機構によって支持アーム40,41で支持されている。
【0039】
また、下半身起倒機構7は、支持台フレーム14,15の中途部後側間に左右方向に伸延する支持フレーム45を取付け、支持フレーム45の中央部に下方へ向けて伸延する支持体46を取付けている。
【0040】
さらに、下半身起倒機構7は、支持体46の前側下部と可動体42の下側後部との間にアクチュエーター47を上下回動自在に取付けている。なお、アクチュエーター47は、モーターとロッドで構成しており、モーター側(基端部側)が支持体46に上下回動自在に取付けられ、ロッド側(先端部側)が可動体42に上下回動自在に取付けられている。下半身起倒機構7のアクチュエーター47の下方には、アクチュエーター47を下方から保護する(下方からの力が上方のアクチュエーター47に直接かからないように保護する)ための保護体48を設けている。保護体48は、基端部が支持体46の前側下部に前側上方に向けて左右に分岐して屈曲させた状態で取付けられており、二股状の先端部が支持フレーム39の中央後部に左右に間隔をあけて取付けられている。
【0041】
そして、下半身起倒機構7は、アクチュエーター47のロッドを伸縮させることで、
図5に示すように、支持台3に対して下半身受台(大腿部受台21及び下腿部受台22)を上下に起倒させることができるようになっている。なお、下半身起倒機構7は、支持台3に対して下半身受台(大腿部受台21及び下腿部受台22)を上下に起倒させることができればよく、アクチュエーター47を用いずに上半身起倒機構6のアクチュエーター37と可動体42とを連動連結させた構成としてもよく、上記構成に限定されるものではない。
【0042】
下半身受台(大腿部受台21及び下腿部受台22)は、支持台3に大腿部受台21の基端部を起倒自在に設けるとともに、大腿部受台21の先端部に下腿部受台22の基端部を上下折曲自在に設けているため、下半身起倒機構7を駆動すると、大腿部受台21の起倒に伴って大腿部受台21の先端部で下腿部受台22の基端部が折曲するようになっている。その際に、下腿部受台22は、先端部がフリーな状態となっていて自重で先端部が支持台3(支持台フレーム14,15)等に沿って滑動するようになっている。
【0043】
そのため、
図6及び
図7に示すように、基台2に対して支持台3及び受台4を最も下降させて床49と受台4の上面との間の高さ(段差)を低くした際に、支持台3の上面よりも上方に突出する突出部材(たとえば、キャスター部10,11)があると、その突出部材と下腿部受台22の先端部とが衝突して、下腿部受台22を円滑に移動させることができず、また、下腿部受台22や突出部材などが破損してしまう。
【0044】
そこで、上記リクライニングベッド1では、基台2に対して支持台3及び受台4を最も下降させた状態で基台2よりも上方に突出する突出部材(たとえば、キャスター部10,11)の上方へ向けて下腿部受台22の先端部を上昇させるために、下腿部受台ガイド50を設けている。
【0045】
下腿部受台ガイド50は、支持台3の左右の支持台フレーム14,15の上面にそれぞれ取付けられている。この下腿部受台ガイド50は、前端部に前低後高状の傾斜面51を形成するとともに、その後部に同一高さの平坦面52を形成している。
【0046】
下腿部受台22には、先端部に滑動体53が設けられており、大腿部受台21を起立させると、下腿部受台22の先端部の滑動体53が支持台フレーム14,15の上面に沿って滑動し、
図8に示すように、途中で滑動体53が下腿部受台ガイド50の傾斜面51に沿って滑動し、これにより、下腿部受台22の先端部が基台2よりも上方に突出している突出部材(ここでは、キャスター部10)の上方へ上昇して、下腿部受台22と突出部材(キャスター部10)との衝突を回避し、その後、滑動体53が下腿部受台ガイド50の平坦面52に沿って同一高さで滑動する。大腿部受台21を倒伏させた場合には、上記大腿部受台21の起立時の動作と逆向きの動作を行う。なお、滑動体53は、大腿部受台21の起倒時に下腿部受台22の先端部を滑らかに移動させることができればよく、車輪に限られず、樹脂やゴムなどの成形体であってもよい。
【0047】
下腿部受台ガイド50は、基台2に対して支持台3及び受台4を最も下降させた状態で、上面で横臥者の下腿部を受ける下腿部受台22の下部に設けた凹部54に上部が収容されるようにしている。下腿部受台22は、矩形枠状の受枠体55の上部に可撓性を有するネット状の受面56を取付けて、受面56の下方に凹部54を形成している。この下腿部受台22の凹部54には、基台2に対して支持台3及び受台4を最も下降させた状態で支持台3の上面よりも上方に突出する突出部材(ここでは、キャスター部10,11)の上部も収容されるようにしている。このように、リクライニングベッド1では、基台2に対して支持台3を最も下降させた状態で下腿部受台22の凹部54に下腿部受台ガイド50や突出部材(ここでは、キャスター部10)が収容されるために、支持台3を最も降下させた際の受台4と床49との間の高さを低くすることができ、横臥者のリクライニングベッド1への乗降が容易なものとなり、また、転落時の身体への衝撃を軽減することができる。
【0048】
上記下腿部受台ガイド50は、支持台3の支持台フレーム14,15の上部に設けられているために、支持台3の昇降状態にかかわらず大腿部受台21の起倒時に常に下腿部受台22の先端部の滑動体53が下腿部受台ガイド50に沿って滑動することになるが、これに限られず、上記突出部材(ここでは、キャスター部10)に設けてもよい。
【0049】
たとえば、
図9に示すように、基台2の基台フレーム8,9の前端部に取付けたキャスター部10の前側部に下腿部受台ガイド57を取付けるとともに、下腿部受台22の先端部に滑動体53よりも横長の滑動体58を取付けている。そして、支持台3の昇降状態によって、支持台3の上面よりも上方に突出部材が突出している時には、大腿部受台21を起立させると、下腿部受台22の先端部の滑動体58が下腿部受台ガイド57の平坦面59に沿って滑動し、途中で滑動体58が下腿部受台ガイド57の傾斜面60に沿って滑動し、これにより、下腿部受台22の先端部が基台2よりも上方に突出しているキャスター部10の上方へ上昇して、下腿部受台22とキャスター部10との衝突を回避し、その後、滑動体58がキャスター部10の上端面61に沿って同一高さで滑動する。一方、支持台3の上面よりも上方に突出部材が突出していない時(突出部材が支持台3の上方に突出しない程度に支持台3が上昇している時)には、大腿部受台21を起立させると、下腿部受台22の先端部の滑動体58が支持台フレーム14,15の上面に沿って同一の高さで滑動する。大腿部受台21を倒伏させた場合には、上記大腿部受台21の起立時の動作と逆向きの動作を行う。このように突出部材に下腿部受台ガイド57を設けた場合には、支持台3を最も下降させた位置付近の状態以外では、下腿部受台22が下腿部受台ガイド57と接触せずに、下腿部受台22の先端部が支持台フレーム14,15に対して上下動しないこととなる。なお、下腿部受台22の先端部に横長の滑動体58を設けて、滑動体58が下腿部受台ガイド57と支持台フレーム14,15のいずれかに沿って滑動するようにした場合に限られず、下腿部受台ガイド57に沿って滑動する滑動体と支持台フレーム14,15に沿って滑動する滑動体とを別個に下腿部受台22の先端部に設けてもよい。
【0050】
以上に説明したように、上記リクライニングベッド1は、支持台3に横臥者の大腿部を受ける大腿部受台21の基端部を起倒自在に設けるとともに、大腿部受台21の先端部に横臥者の下腿部を受ける下腿部受台22の基端部を上下折曲自在に設けて、大腿部受台21の起倒に伴って大腿部受台21の先端部で下腿部受台22の基端部が折曲するようにし、基台2に対して支持台3を最も下降させた状態で大腿部受台21を起立させた時に、下腿部受台22の先端部を支持台3よりも上方に突出するキャスター部10,11等の突出部材の上方へ上昇させるために設けた下腿部受台ガイド50,57に沿って下腿部受台22の先端部を滑動させて、下腿部受台22の先端部と突出部材との衝突を回避する構成となっている。
【0051】
そのため、上記構成のリクライニングベッド1では、基台2に対して支持台3を最も下降させた状態でも下腿部受台22を円滑に移動させることができ、また、下腿部受台22と突出部材との衝突による破損を防ぐことができる。
【0052】
これにより、上記リクライニングベッド1では、支持台3を最も降下させて受台4と床49との間の高さができるだけ低くなるようにして、リクライニングベッド1への乗降を容易なものとすることができ、また、キャスター部10,11等をできるだけ大型化させて、リクライニングベッド1の移動を容易なものとすることができる。
【0053】
また、上記リクライニングベッド1は、下腿部受台ガイド50,57を、上面で横臥者の下腿部を受ける下腿部受台22の下部に設けた凹部54に収容可能に配置した構成となっている。
【0054】
そのため、上記構成のリクライニングベッド1では、基台2に対して支持台3を最も下降させた状態で下腿部受台22の凹部54に下腿部受台ガイド50,57が収容されるので、下腿部受台ガイド50,57を設けても支持台3を最も降下させた際の受台4と床49との間の高さを低くすることができる。
【0055】
また、上記リクライニングベッド1は、下腿部受台ガイド50を、支持台3に設けて、支持台3の昇降状態にかかわらず大腿部受台21の起倒時に常に下腿部受台22の先端部を下腿部受台ガイド50に沿って滑動させる構成となっている。
【0056】
そのため、上記構成のリクライニングベッド1では、支持台3の昇降状態にかかわらず大腿部受台21の起倒に連動する下腿部受台22の動きを同一にすることができる。
【0057】
また、上記リクライニングベッド1は、下腿部受台ガイド57を、基台2に対して支持台3を最も下降させた状態で支持台3よりも上方に突出する突出部材に設けた構成となっている。
【0058】
そのため、上記構成のリクライニングベッド1では、キャスター部10,11等の突出部材を異なるサイズのものに変更しても、突出部材と下腿部受台22の先端部との衝突を回避することができる。
【0059】
また、下腿部受台22の先端部に滑動体58を設け、支持台3の昇降状態によって、支持台3よりも突出部材が上方に突出している時には滑動体58が下腿部受台ガイド57に沿って滑動し、支持台3よりも突出部材が上方に突出していない時には滑動体58が支持台3(支持台フレーム14,15)に沿って滑動する構成となっている。
【0060】
そのため、上記構成のリクライニングベッド1では、共通の滑動体58を下腿部受台22の先端部に設けるだけで支持台3の昇降状態にかかわらず突出部材と下腿部受台22の先端部との衝突を回避することができる。
【0061】
また、上記リクライニングベッド1は、突出部材が基台2に設けたキャスター部10,11となるように構成している。
【0062】
そのため、上記構成のリクライニングベッド1では、キャスター部10,11を大型化させてリクライニングベッド1の移動を容易なものとすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 リクライニングベッド 2 基台
3 支持台 4 受台
5 昇降機構 6 上半身起倒機構
7 下半身起倒機構 8,9 基台フレーム
10,11 キャスター部 12,13 連結フレーム
14,15 支持台フレーム 16 フットボード
17 ヘッドボード 18 連結フレーム
19 尻部受台 20 上半身受台
21 大腿部受台 22 下腿部受台
23 基台側移動フレーム 24 支持台側移動フレーム
25,26 クロスバー 27 アクチュエーター
28 保護体 29 支持フレーム
30,31 支持アーム 32 可動体
33,34 ローラー 35 支持フレーム
36 支持体 37 アクチュエーター
38 保護体 39 支持フレーム
40,41 支持アーム 42 可動体
43,44 ローラー 45 支持フレーム
46 支持体 47 アクチュエーター
48 保護体 49 床
50 下腿部受台ガイド 51 傾斜面
52 平坦面 53 滑動体
54 凹部 55 受枠体
56 受面 57 下腿部受台ガイド
58 滑動体 59 平坦面
60 傾斜面 61 上端面