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  • 特開-空調システムの制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007275
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】空調システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 16/60 20180101AFI20250109BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20250109BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B05B16/60
F24F7/06 R
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108558
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
4D073
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BF06
3L058BE08
3L058BG04
4D073AA01
4D073DD02
4D073DD09
4D073DD10
4D073DD11
4D073DD12
4D073DD19
4D073DD20
4D073DD22
4D073DD25
(57)【要約】
【課題】塗装工程の稼働開始が遅れるおそれを抑制できる空調システムの制御方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る空調システム10の制御方法は、第1の塗装ブースB1及び第2の塗装ブースB2の空気を調整する。空調システム10は、第1の空調機1と、第2の空調機2とを備える。第1の空調機1は、少なくとも第1の塗装ブースB1から排出された空気を供給され、供給された空気を加熱又は冷却して第1の塗装ブースB1に送り出す。第2の空調機2は、外気又は第2の塗装ブースB2から排出された空気を供給され、供給された外気又は第2の塗装ブースB2から排出された空気を加熱もしくは温湿度調整して第2の塗装ブースB2に送り出す。制御方法は、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1、及び第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2の少なくとも1つが所定の値を下回るかを判定するステップを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の塗装ブース及び第2の塗装ブースの空気を調整する空調システムの制御方法であって、
前記空調システムは、第1の空調機と、第2の空調機と、を備え、
前記第1の空調機は、少なくとも前記第1の塗装ブースから排出された空気を供給され、前記供給された空気を加熱又は冷却して前記第1の塗装ブースに送り出し、
前記第2の空調機は、外気又は前記第2の塗装ブースから排出された空気を供給され、前記供給された外気又は前記第2の塗装ブースから排出された空気を加熱もしくは温湿度調整して前記第2の塗装ブースに送り出し、
前記第1の塗装ブースの躯体の温度、及び前記第2の塗装ブースの躯体の温度の少なくとも1つが所定の値を下回るかを判定するステップと、
前記第1の塗装ブースの躯体の温度、及び前記第2の塗装ブースの躯体の温度の少なくとも1つが所定の値を下回ると判定された場合、前記第2の空調機への外気の供給を停止しつつ、前記第2の塗装ブースから排出された空気を前記第2の空調機へ供給するステップと、を備える、
空調システムの制御方法。
【請求項2】
前記第1の塗装ブースの躯体の温度及び前記第2の塗装ブースの躯体の温度が所定の値を下回らないと判定された場合、前記第2の空調機への外気の供給を開始しつつ、前記第2の塗装ブースから排出された空気の供給先を前記第2の空調機から前記第1の空調機へ切り替えるステップと、を備える、
請求項1に記載の空調システムの制御方法。
【請求項3】
前記第1の空調機及び前記第2の空調機は、ヒートポンプ設備、ボイラー設備、冷凍機、及び冷却塔の少なくとも1つを熱供給源として用いた、
請求項1又は2に記載の空調システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は空調システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の空調制御装置は、リサイクル空調機と、フレッシュ空調機とを含む。フレッシュ空調機は、外気の温湿度を調整した調整空気を塗装室に流通させる。また、リサイクル空調機は、当該塗装室から排出された排気の温湿度を調整した再調整空気を別の塗装室に流通させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-046600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、以下の技術的な課題を発見した。
季節や稼働前等に応じて、塗装室内の雰囲気温度が低い場合がある。このような場合、この塗装室から排出された排気の温度も低い。フレッシュ空調機にて外気を温湿度調整した空気を塗装室に流通させると、塗装室の躯体の温度が低く、塗装室内において結露が発生することがある。加温機能を持たないリサイクル空調機の場合、塗装室の躯体の温度を早く上げることができないため、塗装工程の稼働開始が遅れるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、塗装工程の稼働開始が遅れるおそれを抑制できる空調システムの制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る空調システムの制御方法は、
第1の塗装ブース及び第2の塗装ブースの空気を調整する空調システムの制御方法であって、
前記空調システムは、第1の空調機と、第2の空調機と、を備え、
前記第1の空調機は、少なくとも前記第1の塗装ブースから排出された空気を供給され、前記供給された空気を加熱又は冷却して前記第1の塗装ブースに送り出し、
前記第2の空調機は、外気又は前記第2の塗装ブースから排出された空気を供給され、前記供給された外気又は前記第2の塗装ブースから排出された空気を加熱もしくは温湿度調整して前記第2の塗装ブースに送り出し、
前記第1の塗装ブースの躯体の温度、及び前記第2の塗装ブースの躯体の温度の少なくとも1つが所定の値を下回るかを判定するステップと、
前記第1の塗装ブースの躯体の温度、及び前記第2の塗装ブースの躯体の温度の少なくとも1つが所定の値を下回ると判定された場合、前記第2の空調機への外気の供給を停止しつつ、前記第2の塗装ブースから排出された空気を前記第2の空調機へ供給するステップと、を備える。
【0007】
また、上述した空調システムの制御方法において、
前記第1の塗装ブースの躯体の温度及び前記第2の塗装ブースの躯体の温度が所定の値を下回らないと判定された場合、前記第2の空調機への外気の供給を開始しつつ、前記第2の塗装ブースから排出された空気の供給先を前記第2の空調機から前記第1の空調機へ切り替えるステップと、を備えるとよい。
【0008】
また、上述した空調システムの制御方法において、前記第2の空調機は、ヒートポンプ設備、ボイラー設備、冷凍機、及び冷却塔の少なくとも1つを熱供給源として用いるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、塗装工程の稼働開始が遅れるおそれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る空調システムの一構成例を示す概略図である。
図2】実施の形態1に係る空調システムの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
<実施の形態1>
図1を参照して実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1に係る空調システムの一構成例を示す概略図である。
【0013】
図1に示すように、空調システム10は、第1の空調機1と、第2の空調機2とを備える。空調システム10は、第1の塗装ブースB1及び第2の塗装ブースB2の空気を調整する。空調システム10は、排気ファン31、32と、第1のダンパー41と、第2のダンパー42と、第3のダンパー43と、温熱供給源5と、冷熱供給源6と、温度センサ7と、制御装置8とを備えるとよい。
【0014】
空調システム10の各構成は、流路F11、F12、F21、F21A、F22、F3、F4を介して相互に接続されている。具体的には、第1の空調機1と第1の塗装ブースB1とは、流路F11及び流路F12を介して、空気が循環可能に接続されている。流路F11Aは、流路F11の中途から分岐して、図示しない排気口へ延びる。第2の空調機2と第2の塗装ブースB2とは、流路F21及び流路F22を介して、空気が循環可能に接続されている。流路F21Aは、流路F21の中途から分岐して、流路F11へ合流し、もしくは、第1の空調機1に接続することによって第1の空調機1の内部において流路F11と合流してもよい。第1の空調機1と第2の塗装ブースB2とは、流路F21、流路F21A、及び流路F11を介して接続されている。第2の塗装ブースB2は、空気を流路F21、流路F21A、及び流路F11を通過させて第1の空調機1へ排出できる。温熱供給源5は、流路F3を介して、第1の空調機1及び第2の空調機2にそれぞれ接続されている。冷熱供給源6は、流路F4を介して、第1の空調機1及び第2の空調機2にそれぞれ接続されている。
【0015】
第1の空調機1は、熱交換部1aと、送風機1bとを有する。熱交換部1aは、例えば、適宜、第1の空調機1内の空気を加熱し、又は冷却する熱交換器である。熱交換器の一例は、冷温水コイルである。熱交換部1aは、温水を温熱供給源5から流路F3を通過して供給される。熱交換部1aは、この温水を用いて、第1の空調機1内の空気を加熱するとよい。なお、熱交換部1aは、冷水を冷熱供給源6から流路F4を通過して供給されてもよい。熱交換部1aは、この供給された冷水を用いて、第1の空調機1内の空気を冷却してもよい。送風機1bは、第1の空調機1内の空気を流路F12を通過させて第1の塗装ブースB1へ送る。第1の空調機1は、例えば、市販のリサイクル空調機を用いて構成してもよい。
【0016】
第1の空調機1は、主に第1の塗装ブースB1の空気を調和する。第1の塗装ブースB1では、塗装工程を実施できる。図1に示す第1の塗装ブースB1の一例では、無人による塗装工程を実施できる。第1の塗装ブースB1は、例えば、ドライブースであるとよい。
【0017】
第2の空調機2は、加熱部2aと、冷却部2bと、外気取入口2cと、送風機2dと、加湿部2eとを備える。加熱部2aは、第2の空調機2内の空気を加熱する。加熱部2aは、例えば、温水コイルである。加熱部2aは、温水を温熱供給源5から流路F3を通過して供給される。加熱部2aは、この温水を用いて、第2の空調機2内の空気を加熱するとよい。冷却部2bは、第2の空調機2内の空気を冷却する。冷却部2bは、例えば、冷水コイルである。冷却部2bは、冷水を冷熱供給源6から流路F4を通過して供給される。冷却部2bは、この冷水を用いて、第2の空調機2内の空気を冷却するとよい。外気取入口2cは、第2の空調機2の外部から内部へ外気を取り入れる開口である。送風機2dは、第2の空調機2内の空気を流路F22を通過させて第2の塗装ブースB2へ送る。加湿部2eは、加湿用スプレー等を使用し、第2の空調機2内の空気を加湿するとよい。第2の空調機2は、ヒートポンプ設備、ボイラー設備、冷凍機、及び冷却塔の少なくとも1つを熱供給源として用いるとよい。ただし、加熱部2aに直接加熱式のガスバーナー設備は使用しない。第2の空調機2は、例えば、市販のフレッシュ空調機を用いて構成してもよい。
【0018】
第2の空調機2は、主に第2の塗装ブースB2の空気を調和する。第2の塗装ブースB2は、塗装工程を実施可能な空間である。図1に示す第2の塗装ブースB2の一例では、有人による塗装工程を実施できる。第2の塗装ブースB2は、例えば、ドライブースであるとよい。
【0019】
排気ファン31は流路F11上に配置されている。排気ファン31は、流路F11において、第1の塗装ブースB1から排出された空気の一部を第1の空調機1へ送り、流路F11及び流路F11Aにおいてその残部を排気する。排気ファン32は流路F12上に配置されている。排気ファン32は、流路F12において、第2の塗装ブースB2から排出された空気を第2の空調機2へ送る。
【0020】
第1のダンパー41、第2のダンパー42、及び第3のダンパー43は、流量制御弁である。第1のダンパー41は流路F21A上に配置されている。第1のダンパー41は、制御装置8から指令信号を受けて、流路F21Aを閉塞し、又は開放する。第2のダンパー42は流路F21上に配置されている。第2のダンパー42は、制御装置8から指令信号を受けて、流路F21を閉塞し、又は開放する。第3のダンパー43は第2の空調機2の外気取入口2cに配置されている。第3のダンパー43は、制御装置8から指令信号を受けて、外気取入口2cを閉塞し、又は開放する。
【0021】
温熱供給源5は、温水を流路F3を通過させて第1の空調機1及び第2の空調機2にそれぞれ供給できる。温熱供給源5は、例えば、ヒートポンプ設備、又はボイラー設備を用いて構成されるとよい。
【0022】
冷熱供給源6は、冷水を流路F4を通過させて第1の空調機1及び第2の空調機2にそれぞれ供給できる。冷熱供給源6は、例えば、ヒートポンプ設備、冷凍機、冷却塔等を用いて構成されるとよい。
【0023】
温度センサ7は、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1及び、第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2を時々刻々と検出する。第1の塗装ブースB1の躯体は、例えば、第1の塗装ブースB1の内壁である。第2の塗装ブースB2の躯体は、例えば、第2の塗装ブースB2の内壁である。
【0024】
制御装置8は、一般的なコンピュータ装置を用いて構成されてもよい。制御装置8は、空調システム10の各構成と、各種信号を授受可能に接続されているとよい。具体的には、制御装置8は、温度センサ7から、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1及び、第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2を示す信号を取得する。制御装置8は、第1のダンパー41へ流路F21Aを閉塞又は開放させる信号を送る。制御装置8は、第2のダンパー42へ流路F21を閉塞又は開放させる信号を送る。制御装置8は、第3のダンパー43へ外気取入口2cを閉塞又は開放させる信号を送る。
【0025】
<制御方法>
次に、図2を参照して、空調システム10の制御方法について説明する。図2は、実施の形態1に係る空調システムの制御方法を示すフローチャートである。
【0026】
第1の空調機1及び第2の空調機2を起動する(ステップST1)。制御装置8は、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1、及び第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2が結露発生温度Tbを下回るか否かを判定する(ステップST2)。結露発生温度Tbは、予め定められた所定の値である。結露発生温度Tbは、例えば、後述するステップST3以降において第2の空調機2が量産条件で運転を行った場合に、第2の塗装ブースB2内において結露が発生する、又は発生し得る値であるとよい。
【0027】
制御装置8は、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1、及び第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2の少なくとも1つが結露発生温度Tbを下回ると判定した場合(ステップST2:YES)、第2の空調機2が結露防止条件で運転を開始する(ステップST21)。第2の空調機2は、加湿制御を行うことなく、加温制御のみを行うとよい。
【0028】
続いて、第1の空調機1の熱交換部1aが、空気を加熱する(ステップST22)。熱交換部1aが冷温水コイルである場合、当該冷温水コイルは、温熱供給源5から流路F3を通過して供給された温水を用いて、第1の空調機1内の空気を加熱する。
【0029】
続いて、第2のダンパー42が流路F21を開放する(ステップST23)。第1のダンパー41が流路F21Aを閉塞する(ステップST24)。第2の塗装ブースB2から排出された空気は、流路F21を通過して第2の空調機2へ流入する。つまり、第2の空調機2は、第2の塗装ブースB2から排出された空気を取得する。
【0030】
続いて、第3のダンパー43が外気取入口2cを閉塞する(ステップST25)。外気は、外気取入口2cを通過できないので、第2の空調機2内に流入できない。つまり、第2の空調機2は、外気の取得を停止する。言い換えると、ステップST23からステップST25において、第2の空調機2への外気の供給を停止しつつ、第2の塗装ブースB2から排出された空気を第2の空調機2へ供給する。
【0031】
制御装置8が、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1及び、第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2が結露発生温度Tbを下回らないと判定するまで(ステップST2:YES)、ステップST21からステップST25を実施した状態を維持する。具体的には、温度T1及び温度T2が結露発生温度Tb以上であると、温度T1及び温度T2が結露発生温度Tbを下回らないと判定する。また、第1の空調機1は、第1の塗装ブースB1から排出された空気を取得する。熱交換部1aが、第1の空調機1が取得した空気を加熱する。つまり、第1の空調機1は、熱交換部1aが加熱した空気を第1の塗装ブースB1に送り出す。第1の空調機1の給気量と排気量とが等しくなり、空気が第1の空調機1及び第1の塗装ブースB1を循環する。この循環によって、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1の向上を図ることができる。一方、第2の空調機2は、外気の取得を停止しつつ第2の塗装ブースB2から排出された空気を取得して加熱する。第2の空調機2は、この加熱した空気を、第2の塗装ブースB2に送り出す。つまり、第2の塗装ブースB2から排出された空気は、第2の空調機2及び第2の塗装ブースB2を循環する。第2の空調機2及び第2の塗装ブースB2を循環する空気の温度は、外気の温度と比較して高い傾向にある。そのため、早期に第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2の向上を図ることができる。
【0032】
一方、制御装置8は、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1及び、第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2が結露発生温度Tb以上であり、すなわち、結露発生温度Tbを下回らないと判定した場合(ステップST2:NO)、第2の空調機2が量産条件で運転を開始する(ステップST3)。
【0033】
続いて、第3のダンパー43が外気取入口2cを開放する(ステップST4)。外気は、外気取入口2cを通過して、第2の空調機2内に流入する。つまり、第2の空調機2は、外気の取得を開始する。
【0034】
続いて、第1のダンパー41が流路F21Aを開放する(ステップST5)。続いて、第2のダンパー42が流路F21を閉塞する(ステップST6)。第1の塗装ブースB1から排出された空気は、流路F21A及びF11を通過して第1の空調機1へ流入する。つまり、第1の空調機1は、第1の塗装ブースB1から排出された空気を取得する。言い換えると、ステップST4からステップST6において、第2の空調機2への外気の供給を開始しつつ、第2の塗装ブースB2から排出された空気の供給先を第2の空調機2から第1の空調機1へ切り替える。
【0035】
続いて、第1の空調機1が、空気を冷却する(ステップST7)。熱交換部1aが冷温水コイルである場合、当該冷温水コイルは、冷熱供給源6から流路F4を通過して供給された冷水を用いて、第1の空調機1内の空気を冷却する。冷却量は、排気リサイクルに伴う第1の空調機1の発熱量に応じて決めるとよい。
【0036】
最後に、第1の空調機1及び第2の空調機2が量産条件で運転する(ステップST8)。具体的には、第1の空調機1は、第1の塗装ブースB1、及び第2の塗装ブースB2から排出された空気を取得する。熱交換部1aが、第1の塗装ブースB1、及び第2の塗装ブースB2から排出された空気を冷却する。第1の空調機1は、熱交換部1aが冷却した空気を第1の塗装ブースB1に送り出す。第1の空調機1が、量産条件に合わせるよう、第1の塗装ブースB1の空調を調整する。一方、第2の空調機2は、第2の塗装ブースB2から排出された空気の取得を停止するとともに外気を取得して温湿度調整した後、第2の塗装ブースB2に送り出す。第2の空調機2が、量産条件に合わせるよう、第2の塗装ブースB2の空調を調整する。これらによって、第2の塗装ブースB2において作業者が塗装工程を実施でき、第1の塗装ブースB1において無人による塗装工程を実施できる。
【0037】
以上より、上記した空調システム10の制御方法によれば、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1、及び、第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2の少なくとも1つが結露発生温度Tbを下回ると、結露防止運転を行う。具体的には、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1及び第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2が結露発生温度Tb以上になるまで、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1及び第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2を高めるため、結露の発生を回避して、塗装工程を早期に開始できる。つまり、塗装工程の稼働開始が遅れるおそれを抑制できる。空調システム10の制御方法は、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1及び第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2が低い場合、例えば、時期が冬季や稼働前である場合において好適である。
【0038】
また、上記した空調システム10の制御方法によれば、第1の塗装ブースB1の躯体の温度T1及び第2の塗装ブースB2の躯体の温度T2が結露発生温度Tb以上であると、結露防止運転を行うことなく、第1の空調機1及び第2の空調機2が量産条件に合わせて運転する。その結果、第2の塗装ブースB2において作業者が塗装工程を実施でき、第1の塗装ブースB1において無人による塗装工程を実施できる。
【0039】
上述の実施形態における制御装置8は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置の機能(処理)を、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、記憶装置に実施形態における方法(例えば制御方法)を行うためのプログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納されたプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0040】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0041】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 空調システム
1 第1の空調機
1a 熱交換部
1b 送風機
2 第2の空調機
2a 加熱部
2b 冷却部
2c 外気取入口
2d 送風機
2e 加湿部
31、32 排気ファン
41 第1のダンパー
42 第2のダンパー
43 第3のダンパー
5 温熱供給源
6 冷熱供給源
7 温度センサ
8 制御装置
F11、F11A、F12、F21、F21A、F22、F3、F4 流路
B1 第1の塗装ブース
B2 第2の塗装ブース
図1
図2