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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007277
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250109BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20250109BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
H01L21/304 648A
H01L21/304 651B
H01L21/68 S
H01L21/306 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108562
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 裕次
(72)【発明者】
【氏名】福岡 洋太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】宮本 かりん
【テーマコード(参考)】
5F043
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE35
5F131AA02
5F131BA18
5F131BA37
5F131CA12
5F131DA42
5F131EA06
5F131EB32
5F157AA03
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157DB37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】処理される基板の品質を向上させる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、回転体20により回転する基板Wに対して処理液を供給する供給部と、回転体20の軸Axを中心とする円に沿って3つ以上配置されたベース部材31と、ベース部材31の回動の軸Bxから偏心した位置に設けられ、ベース部材31の回動に従って、基板Wに接離する閉位置と開位置との間を移動可能なクランプピン32と、クランプピン32とは平面視で間隔を空けて設けられ、基板Wを支持する支持部材33と、を有する。支持部材33は、回転体20の軸Axに近い側から遠い側に向かって高く、クランプピン32に遠い側から近い側に向かって高くなり、ベース部材31の回動に従って、基板Wが載置される載置位置と、閉位置にあるクランプピン32とともに基板Wを保持する保持位置と、の間で移動可能な傾斜面を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させる回転体と、
前記回転体により回転する前記基板に対して処理液を供給する供給部と、
前記回転体の軸と平行な軸を中心に回動可能となるように前記回転体に設けられ、前記回転体の軸を中心とする円に沿って3つ以上配置されたベース部材と、
前記ベース部材毎に、前記ベース部材の回動の軸から偏心した位置に設けられ、前記ベース部材の回動に従って、前記基板に接する閉位置と、前記基板から離れる開位置との間を移動可能なクランプピンと、
前記ベース部材毎に、前記クランプピンとは平面視で間隔を空けて設けられ、前記基板を支持する支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記回転体の軸に近い側から遠い側に向かって高くなるとともに、前記クランプピンに遠い側から近い側に向かって高くなり、前記ベース部材の回動に従って、前記クランプピンが前記開位置にあるときに前記基板が載置される載置位置と、前記閉位置にある前記クランプピンとともに前記基板を保持する保持位置との間で移動可能な傾斜面と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記傾斜面における最も高い位置は、前記クランプピンの上端よりも低いことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
平面視において、前記傾斜面における前記ベース部材の回動の軸に近い端部側の幅は、遠い端部側の幅よりも広いことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記傾斜面において、前記回転体の回転の軸に近い側から遠い側に向かって高くなる傾斜は、前記回転体の回転の軸から遠くなるに従って傾斜が緩やかとなっていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記クランプピンの前記基板に接離する接触面は、上端に向かって、前記クランプピンの軸から離れるように外側に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
平面視において、前記支持部材は、前記クランプピン側と反対側に膨らむように湾曲していることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
平面視において、前記ベース部材の回動の軸と、当該軸に最も近い前記傾斜面の端部との距離は、前記ベース部材の回動の軸と前記クランプピンとの距離よりも長いことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
平面視において、前記ベース部材の回動の軸は、前記支持部材に載置された前記基板の外周よりも内側にあることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項9】
平面視において、前記傾斜面の一部は、前記ベース部材の回動の軸からの距離が前記クランプピンと同じになる領域内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項10】
平面視において、前記傾斜面における前記ベース部材の回動の軸に近い側の端部は、前記領域内に設けられ、前記傾斜面における前記ベース部材の回動の軸から遠い側の端部は、前記領域の外側に設けられていることを特徴とする請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
平面視において、前記ベース部材の回動の軸と前記クランプピンの軸とを通る直線と、この直線に直交する前記クランプピンの外周の接線であって前記ベース部材の外周側の直線と、前記ベース部材の外周と、で囲まれた領域のうち、前記クランプピンが前記開位置から前記閉位置となるように前記ベース部材が回動するときの回動方向における下流側の領域の中に、前記傾斜面における前記ベース部材の回動の軸から遠い側の端部が位置することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項12】
平面視において、前記クランプピンと前記支持部材との間を通る前記クランプピンの外周の接線であって前記ベース部材の回動の軸を通る直線に、前記傾斜面における前記ベース部材の回動の軸から遠い側の端部が接することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項13】
平面視において、前記クランプピンが前記開位置にあるとき、前記支持部材に前記基板が載置される領域は、前記クランプピンと前記支持部材との間を通る前記クランプピンの外周の接線であって前記ベース部材の回動の軸を通る直線に直交し、前記クランプピンの軸を通る直線よりも、前記クランプピンが前記開位置から前記閉位置になるように前記ベース部材が回動するときの回動方向における下流側の領域にあることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハなどの基板に対して、薬液や洗浄液などの処理液による処理を行う基板処理装置は、各基板に対する処理の均一性や再現性の観点から、基板を1枚ずつ処理する枚葉方式の装置が広く採用されている。枚葉方式の基板処理装置は、基板を保持した回転テーブルを回転させることにより、基板を回転させながら、基板の中心付近に処理液を供給することで、遠心力により処理液を基板の被処理面の全体に行き渡らせて、被処理面を処理する。
【0003】
このような処理装置は、回転テーブルに基板を保持するチャック機構を備えている。チャック機構は、例えば、基板の周縁に沿って配置された複数のチャックピンが、基板の外周の端面に接する閉位置と、端面から離れる開位置との間で移動可能に設けられている。回転テーブル上に搬入された基板は、複数のチャックピンが閉位置となることによって回転テーブル上に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-181889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、基板の中心付近に供給された処理液は、回転テーブルの回転により、基板の外周に向かって流れることにより、被処理面の全体が処理される。しかし、チャックピンが当接している位置には処理液が流れ難くなるため、基板に未処理部分や処理が不十分な部分が発生する場合がある。また、回転テーブルを高速回転させることにより、基板上の処理液を振り切って乾燥させる際に、チャックピンが当接している位置では、処理液が排出されずに残留してしまう場合がある。残留した処理液が乾燥すると、ウォーターマークとなって、製品不良につながる。
【0006】
本発明の実施形態は、処理される基板の品質を向上させることができる基板処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の基板処理装置は、基板を回転させる回転体と、前記回転体により回転する前記基板に対して処理液を供給する供給部と、前記回転体の軸と平行な軸を中心に回動可能となるように前記回転体に設けられ、前記回転体の軸を中心とする円に沿って3つ以上配置されたベース部材と、前記ベース部材毎に、前記ベース部材の回動の軸から偏心した位置に設けられ、前記ベース部材の回動に従って、前記基板に接する閉位置と、前記基板から離れる開位置との間を移動可能なクランプピンと、前記ベース部材毎に、前記クランプピンとは平面視で間隔を空けて設けられ、前記基板を支持する支持部材と、前記支持部材に設けられ、前記回転体の軸に近い側から遠い側に向かって高くなるとともに、前記クランプピンに遠い側から近い側に向かって高くなり、前記ベース部材の回動に従って、前記クランプピンが前記開位置にあるときに前記基板が載置される載置位置と、前記閉位置にある前記クランプピンとともに前記基板を保持する保持位置との間で移動可能な傾斜面と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、処理される基板の品質を向上させることができる基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の基板処理装置の構成を示す図である。
図2図1の基板処理装置の保持部の動作を示す平面図であり、(A)はクランプピンが開位置及び支持部材が載置位置にある状態、(B)はクランプピンが閉位置及び支持部材が保持位置にある状態を示す。
図3図1の基板処理装置の内部構成の基板解放状態を示す一部断面図である。
図4図1の基板処理装置の内部構成の基板保持状態を示す一部断面図である。
図5】クランプピン及び支持部材を示す斜視図であり、(A)はクランプピンが開位置及び支持部材が載置位置にある状態、(B)はクランプピンが閉位置及び支持部材が保持位置にある状態を示す。
図6】クランプピンが開位置及び支持部材が載置位置にある状態を示す平面図(A)、クランプピンが閉位置及び支持部材が保持位置にある状態を示す平面図(B)である。
図7】傾斜面の回転体の軸に近い側から遠い側に向かって高くなる傾斜を示す側面図(A)、傾斜面のクランプピンに遠い側から近い側に向かって高くなる傾斜を示す側面図(B)である。
図8】載置位置にある支持部材に基板が載置された状態を示す側面図(A)、クランプピン及び支持部材によって基板が保持された状態を示す側面図(B)である。
図9】クランプピン及び支持部材の位置関係を示す平面図である。
図10】実施形態の基板処理の手順を示すフローチャートである。
図11】比較例における基板と支持部材との間の液溜りの例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、重力に抗する方向を上、重力に従う方向を下とする。
【0011】
[概要]
図1に示すように、基板処理装置1は、クランプピン32及び支持部材33によって円板形状の基板Wを保持して回転させながら、供給部40からの処理液Lを、基板Wの表裏の双方の面(被処理面)に供給することにより基板Wをウェット処理する装置である。ウェット処理は、洗浄液による洗浄処理、薬液によるエッチング処理などを含む。本実施形態では、クランプピン32に保持された基板Wの上になる面(上面)及び下になる面(下面)の双方に対して処理を行う。但し、基板Wの上面のみ又は下面のみに処理液Lを供給して処理してもよい。
【0012】
また、基板Wの外周の側面を端面とし、端面と上面の境界及びその近傍領域を上縁部wu、端面と下面の境界及びその近傍領域を下縁部wlとする(図8(A)、(B)参照)。処理対象となる基板Wは、例えば、円形のシリコン製の半導体ウェーハである。なお、半導体ウェーハの上縁部wu、下縁部wlは、ベベル加工により面取りされていても、丸みを帯びていてもよい。
【0013】
[基板処理装置]
基板処理装置1は、図1に示すように、回転体20、保持部30、供給部40、制御装置50を有する。
【0014】
(回転体)
回転体20は基板Wを回転させる。回転体20は、保持部30に保持された基板Wに、間隔を空けて対向する平坦なテーブル20aを有し、保持部30とともに回転可能に設けられている。回転体20は、一端がテーブル20aによって塞がれた円筒形状である。テーブル20aは、基板Wよりも大きな径の円形の面である。テーブル20aの中央には、図2に示すように、円形の貫通孔20bが形成されている。
【0015】
回転体20は、図示しない設置面又は設置面に設置された架台に固定された固定ベース21上に、モータ22によって回転可能に設けられている。図中のAxは、回転体20の回転の中心の軸である。モータ22は、図3及び図4に示すように、中空の回転子22aとこれを回転させる固定子22bを有する中空モータである。モータ22の回転子22aには、中空の回転軸22cが接続されている。回転軸22cの外周は、回転体20の内部に設けられた支持板20cに、回転体20と同軸となるように接続されている。固定子22bは、固定ベース21に固定されている。回転軸22cの内部には、貫通孔20bに連通した廃液管22dが設けられている。廃液管22dの上部は、漏斗状(逆円錐形、すり鉢形)の傾斜面が形成され、上端が貫通孔20bに向かって開口している。
【0016】
モータ22は、固定子22bのコイルに通電することにより、回転子22aを回転させる。回転子22aの回転とともに回転軸22cが回転するので回転体20が回転する。図3及び図4の点線で示した回転体20と、一点鎖線で囲まれた部分とが、基板Wとともに回転する部分であり、それ以外が固定ベース21に固定され、基板Wとともに回転しない部分である。但し、廃液管22dは、回転子22aからは独立して架台に支持固定され、回転体20等が回転しても回転しない。
【0017】
なお、固定ベース21には、防護壁21aが設けられている。防護壁21aは、図3及び図4に示すように、回転体20と同心であって、固定ベース21上に立ち上げられた二重の円筒形の壁であり、回転体20の下縁を非接触で挟むように覆っている。これにより、防護壁21aと回転体20との間に、屈曲した経路であるラビリンス構造が形成され、回転体20の外壁に沿って流れ落ちる処理液Lが、回転体20の内部に流入し難い構成となっている。
【0018】
(保持部)
保持部30は、テーブル20aと平行に且つ間隔を空けて、基板Wを保持する。保持部30は、図3及び図4に示すように、ベース部材31、クランプピン32、支持部材33、回動機構34を有する。
【0019】
<ベース部材>
ベース部材31は、図5(A)、(B)に示すように、円柱形状の部材である。ベース部材31は、回転体20の軸Axと平行な軸Bxを中心に回動可能となるように、回転体20に設けられている(図3図4参照)。ベース部材31は、図2(A)、(B)に示すように、回転体20の軸Axを中心とする円に沿って3つ以上配置されている。この円は、軸Axを中心に位置決めされた基板Wの外周に相当する。本実施形態のベース部材31は、周方向に等間隔で6つ配置されている。それぞれのベース部材31の天面31aは、テーブル20aから露出している。
【0020】
<クランプピン>
クランプピン32は、図5(A)、(B)に示すように、ベース部材31の天面31aから、軸Axと平行な方向に立ち上げられた円柱形状の部材である。クランプピン32は、図6(A)、(B)に示すように、ベース部材31毎に、ベース部材31の回動の軸Bxから偏心した位置に設けられている。つまり、クランプピン32は、平面視で軸Bxからずれた位置に設けられている。クランプピン32は、ベース部材31の回動に従って、開位置(図2(A)、図5(A)、図6(A))と閉位置(図2(B)、図5(B)、図6(B))との間を移動可能に設けられている。閉位置は、基板Wに接することにより基板Wを保持する位置である。開位置は、基板Wから離れることにより基板Wを解放する位置である。本実施形態では、6つのクランプピン32が同期して基板Wに接することにより、基板Wの中心が軸Axに一致する。
【0021】
図8(A)、(B)に示すように、クランプピン32の基板Wに接離する接触面32aは、上端(ベース部材31と反対側の端部)に向かって、軸Cxから離れるように外側に傾斜している。本実施形態においては、クランプピン32は円柱形状であり、接触面32aは上方になるに従って拡径した逆テーパ面となっている。接触面32aの部分の高さ方向の長さは、基板Wの厚みよりも大きい。但し、接触面32aは、基板Wに接離する部分にのみ形成されていてもよい。
【0022】
<支持部材>
支持部材33は、図6(A)、(B)に示すように、ベース部材31毎に、クランプピン32とは平面視で間隔を空けて設けられ、基板Wを支持する部材である。支持部材33は、図5(A)、(B)に示すように、ベース部材31の天面31aから、軸Bxと平行な方向に立ち上げられた部材である。また、支持部材33は、平面視でクランプピン32側と反対側に膨らむように湾曲している。クランプピン32と支持部材33とは間隔を空けて配置されているので、両者の間には処理液Lが流通する隙間が形成されている。つまり、クランプピン32と支持部材33との間には、ベース部材31の天面31a以外には処理液Lの流通を阻害する部材は存在しない。
【0023】
支持部材33には、傾斜面330が設けられている。傾斜面330は、支持部材33の上端(ベース部材31と反対側の面)に形成されている。傾斜面330は、図6(A)の黒塗りの矢印方向から見た側面図である図7(A)の矢印S1に示すように、回転体20の軸Axに近い側から遠い側に向かって高くなっている。また、傾斜面330は、図6(A)の白塗りの矢印方向から見た側面図である図7(B)の矢印S2に示すように、クランプピン32に遠い側から近い側に向かって高くなっている。図6(A)、(B)に示すように、傾斜面330において、軸Ax及び軸Bxに近く、クランプピン32に遠い側の端部をe1、軸Ax及び軸Bxに遠く、クランプピン32に近い側の端部をe2とする。
【0024】
図7(A)の矢印S1、図7(B)の矢印S2は、傾斜面330の全体の傾斜角度を簡略的に示したものである。但し、傾斜面330は、全長に亘って傾斜角度が一定である必要はない。本実施形態では、回転体20の軸Axに近い側から遠い側に向かって高くなる傾斜は、軸Axから遠くなるに従って傾斜が緩やかになっている。つまり、傾斜面330は、軸Axに近い端部e1の近傍の領域r1よりも、軸Axに遠い端部e2の近傍の領域r2が、水平に近くなっている(図6(A)、(B)、図8(A)、(B)参照)。なお、傾斜面330の最も高い位置は、軸Axに遠い側の端部e2と一致している必要はなく、端部e2において角が面取りされていたり、丸みを帯びている等により、低くなっていてもよい。
【0025】
また、図8(A)、(B)に示すように、傾斜面330における最も高い位置は、クランプピン32の上端よりも低い。より具体的には、傾斜面330の最も高い位置は、クランプピン32の接触面32aとの間で、側面視で基板Wを挟むことができる高さとなっている。但し、上記のように、クランプピン32と支持部材33とは間隔を空けて設けられているため、図6(A)、(B)に示すように、平面視では傾斜面330とクランプピン32の位置は離れている。
【0026】
図6(A)、(B)に示すように、平面視において、支持部材33の外周面における端部e2側には丸みが形成されている。また、支持部材33は平面視でクランプピン32の外周に沿うように湾曲した形状となっている。
【0027】
傾斜面330は、ベース部材31の回動に従って、載置位置(図2(A)、図3図8(A)参照)と、保持位置(図2(B)、図4図8(B)参照)との間を移動可能に設けられている。載置位置は、基板Wが載置されることにより、基板Wを支持する位置である。載置位置では、傾斜面330によってのみ基板Wが支持され、クランプピン32は基板Wに接していない。このように、基板Wが載置される部分は、傾斜面330の端部e1側の領域r1である(図6(A)参照)。保持位置は、クランプピン32とともに基板Wに接して基板Wを保持する位置である。保持位置では、側面視でクランプピン32と傾斜面330が基板Wを挟むように保持する。保持位置において基板Wが接する傾斜面330の部分は、端部e2側の領域r2である(図6(B)参照)。なお、傾斜面330は、クランプピン32に遠い側から近い側に向かって高くなっているため(図7(B)参照)、領域r1、領域r2において、基板Wに接するのは、傾斜面330のクランプピン32側の縁部である。
【0028】
また、図6(A)、(B)に示すように、支持部材33は、ベース部材31の回動の軸Bxに遠い側よりも、ベース部材31の回動の軸Bxに近い側の幅が大きく、つまり水平方向の長さが長く形成されている。このため、傾斜面330におけるベース部材31の軸Bxに近い端部e1側の幅t1は、ベース部材31の軸Bxに遠い端部e2側の幅t2よりも広い。なお、ここでいう幅t1は、傾斜面330が載置位置で基板Wに接する箇所において、基板Wの外周における傾斜面330上の箇所を接点とする接線方向の長さである。また、幅t2は、傾斜面330が保持位置で基板Wに接する箇所において、基板Wの外周における傾斜面330上の箇所を接点とする接線方向の長さである。
【0029】
図8(A)に示すように、載置位置にある傾斜面330の領域r1(図6(A)参照)に基板Wが載置され、ベース部材31の回動に従って傾斜面330によって基板Wが上昇して行く(図中、黒塗りの矢印)。そして、図8(B)に示すように、クランプピン32の傾斜した接触面32aが、基板Wの上縁部wuに接して閉位置となるとともに、傾斜面330の領域r2(図6(B)参照)が基板Wの下縁部wlに接する保持位置となる。
【0030】
<位置関係>
より具体的には、ベース部材31、クランプピン32、支持部材33の傾斜面330は、平面視において、以下のような位置関係にある。
(1)図6(A)、(B)に示すように、ベース部材31の回動の軸Bxと、当該軸Bxに最も近い傾斜面330の端部e1との距離d1は、ベース部材31の回動の軸Bxとクランプピン32との距離d2よりも長い。軸Bxとクランプピン32との距離d2は、平面視でクランプピン32の外周円と軸Bxとの最短距離である。
【0031】
(2)図6(A)、(B)に示すように、ベース部材31の回動の軸Bxは、傾斜面330に載置された基板Wの外周よりも内側にある。外周よりも内側とは、基板Wの中心に近い位置にあることをいう。
【0032】
(3)図9に示すように、傾斜面330の一部は、ベース部材31の軸Bxからの距離がクランプピン32と同じになる領域H内に設けられている。好ましくは、傾斜面330における端部e1は、領域H内に設けられている。領域Hは、クランプピン32の外周円の径の幅のリング形状である。領域H内とは、平面視で領域Hに重なる位置をいい、リング形状の内側の円の領域は含まない。また、傾斜面330における端部e2は、領域Hの外側に設けられている。
【0033】
また、ベース部材31の回動の軸Bxとクランプピン32の軸Cxとを通る直線v1と、この直線v1に直交するクランプピン32の外周の接線であってベース部材31の外周側の直線v2と、ベース部材31の外周とで囲まれた領域のうち、クランプピン32が開位置から閉位置となるようにベース部材31が回動する回動方向(図9の矢印方向)における下流側の領域の中に、傾斜面330の端部e2が位置している。
【0034】
また、クランプピン32と支持部材33との間を通るクランプピン32の外周の接線であって、ベース部材31の回動の軸Bxを通る直線v3に、傾斜面330におけるベース部材31の回動の軸Bxから遠い側の端部e2が接する。
【0035】
(4)クランプピン32が開位置にあるとき、傾斜面330に基板Wが載置される領域r1は、クランプピン32と支持部材33との間を通るクランプピン32の外周の接線であってベース部材31の回動の軸Bxを通る直線v3に直交し、クランプピン32の軸Cxを通る直線v4よりも、ベース部材31が開位置から閉位置になるように回動する回動方向における下流側の領域である。
【0036】
<回動機構>
回動機構34は、ベース部材31を回動させることにより、クランプピン32を閉位置と開位置との間で移動させるとともに、支持部材33を載置位置と保持位置との間で移動させる。回動機構34は、図2図4に示すように、軸部材341、小ギヤ342、大ギヤ343を有する。軸部材341は、図5(A)、(B)に示すように、ベース部材31の天面31aと反対側に、ベース部材31の回動の軸Bxと同軸に設けられた円柱形状の部材である。
【0037】
小ギヤ342は、軸部材341のベース部材31と反対側の端部に設けられたセクタギヤである。小ギヤ342は、支持板20cに回動可能に設けられている。大ギヤ343は、小ギヤ342に対応して、ギヤ溝が間欠的に形成されたギヤである。大ギヤ343は、回転軸22cの外周に軸受(図示せず)によって回転自在に設けられている。つまり、大ギヤ343は、回転体20を回転させるモータ22によって、回転体20と同軸に回転自在に設けられている。大ギヤ343は、小ギヤ342と対応する間隔で、6つの凸部が周方向に所定間隔で形成されてなり、各凸部の先端外周面に、小ギヤ342に噛合するギヤ溝が形成されている。
【0038】
大ギヤ343は、図示しないバネによって、図2(A)に矢印αで示す回転方向(反時計方向)に付勢されている。これにより、小ギヤ342は、矢印β1で示す時計方向に付勢されるため、小ギヤ342の回動にベース部材31が連動し、クランプピン32が回転体20の中心方向へ移動して、図2(B)に示すように、基板Wの端面に当接する閉位置に維持される。なお、基板処理時には、この閉位置を維持した状態で、ベース部材31、軸部材341、クランプピン32、小ギヤ342、大ギヤ343は、回転体20とともに、図2図2(B)における白塗りの矢印方向)に回転する。
【0039】
また、大ギヤ343は、図示しないストッパ機構によって、回転が阻止される。大ギヤ343の回転が阻止された状態で、図2(B)に示すように、回転体20を矢印γ方向へ所定角度回転させると、回転が阻止された大ギヤ343に噛合している小ギヤ342が、矢印β2で示す反時計方向に回動する。これにより、ベース部材31が回動するので、クランプピン32が基板Wの端面から離れる方向に移動して、図2(A)に示すように、開位置に来る。
【0040】
(供給部)
供給部40は、図1に示すように、基板Wの処理面に、処理液Lを供給する。供給部40は、処理液供給機構41、上ノズル42、移動機構43、下ノズル44を有する。
【0041】
処理液供給機構41は、複数種の処理液Lを供給する機構である。本実施形態では、例えば、処理液Lとしてフッ化水素(HF)を含む水溶液(以下、フッ酸溶液とする)、超純水(以下、DIWとする)、オゾン(O)を含む水溶液(以下、オゾン水とする)を使用する。処理液供給機構41は、それぞれの処理液Lを貯留する処理液槽41aを有している。
【0042】
各処理液槽41aからは、個別送通管41bが並列的に処理液供給管41cに結合されている。処理液供給管41cは、その先端部が上ノズル42及び下ノズル44に接続されている。これにより、各処理液槽41aからの処理液Lは、個別送通管41b及び処理液供給管41cを介して、基板Wの処理面に供給される。各個別送通管41bには、それぞれ流量調整バルブ41d、流量計41eが設けられている。
【0043】
上ノズル42は、処理液供給機構41に、処理液供給管41cを介して接続され、処理液Lを基板Wの上面の中心付近に吐出する。移動機構43は、駆動源によって揺動するアームを有し、アームの先端に設けられた上ノズル42を、基板Wの中心付近の上方である供給位置と、基板Wの上方から退避する退避位置との間で移動させる。
【0044】
下ノズル44は、処理液供給機構41に、処理液供給管41cを介して接続され、処理液Lを基板Wの下面の中心付近に吐出する。下ノズル44の先端は、廃液管22dの傾斜面に形成された貫通孔に取り付けられ、基板Wの下面の中心付近に向かっている。
【0045】
(制御装置)
制御装置50は、基板処理装置1の各部を制御する。制御装置50は、基板処理装置1の各種の機能を実現するべく、プログラムを実行するプロセッサと、プログラムや動作条件などの各種情報を記憶するメモリ、各要素を駆動する駆動回路を有する。つまり、制御装置50は、モータ22、回動機構34、処理液供給機構41、移動機構43などを制御する。
【0046】
[基板処理]
次に、基板処理装置1による基板処理について、上記の図1図9に加えて、図10のフローチャートを参照して説明する。以下に説明する処理は、DIW、フッ酸溶液、オゾン水による洗浄処理の一例である。
【0047】
まず、図2(B)に示す状態において、回転体20がγ方向に所定角度回動することにより、小ギヤ342がβ2の方向に回動し、図2(A)に示すように、クランプピン32が、基板Wが載置される領域(図2中、一点鎖線で示す)から離れた開位置に来る。このとき、支持部材33の傾斜面330の領域r1の一部は、基板Wが載置される領域の外周よりも内側にある(図9(A)参照)。
【0048】
図3に示すように、搬送ロボットのロボットハンドに搭載された基板Wが、回転体20の上に搬入され、その縁部が複数の支持部材33の傾斜面330の領域r1に支持される(ステップS01)。そして、ロボットハンドは、基板処理装置1から退避する(ステップS02)。
【0049】
次に、回転体20のγ方向への回動による付勢を止めると、図2(A)に示すように、バネによって大ギヤ343がα方向に付勢されて回動するので、小ギヤ342とともにベース部材31がβ1方向に回動する。すると、図8(A)に示すように、クランプピン32が基板Wの端面に接する方向に移動するに従って、支持部材33が傾斜面330によって基板Wの縁部を押し上げながら移動して、図8(B)に示すように、クランプピン32が基板Wの端面に接する閉位置で停止する(ステップS03)。これにより、図2(B)、図6(B)に示すように、傾斜面330が保持位置となるため、クランプピン32とともに傾斜面330の領域r2によって基板Wが保持される。
【0050】
このように、クランプピン32と支持部材33によって基板Wの上縁部wu、下縁部wlが保持されることにより、回転体20のテーブル20a上に基板Wが保持される。このとき、6つのクランプピン32によって、基板Wの中心と回転体20回転の軸Axとが合致するように位置決めされる。
【0051】
次に、回転体20が、比較的低速な所定速度(例えば、50rpm程度)にて回転する。これにより、基板Wが保持部30とともに前記の所定速度にて回転する(ステップS04)。そして、上ノズル42及び下ノズル44から、基板Wの上面、下面に処理液Lを供給することにより、基板処理を開始する(ステップS05)。
【0052】
以下、基板処理の詳細を説明する。図1に示すように、移動機構43が上ノズル42を基板Wの上面の中心近傍の上方に移動させる。そして、上ノズル42及び下ノズル44から、処理液Lを基板Wの上面及び下面の中心近傍に吐出する。回転する基板Wの処理面に処理液Lが供給されると、処理液Lが基板Wの外周に向けて順次移動するため、基板Wの上面及び下面の全体が処理液Lによって処理される。なお、基板Wの外周から保持部30に向かって流れ出した処理液Lは、クランプピン32と支持部材33の間から外部に排出される。また、クランプピン32に接している基板Wの下方は全て空いているので、処理液Lが滞留しない。
【0053】
傾斜面330は、クランプピン32に遠い側から近い側に向かって高くなっているため(図7(B)参照)、基板Wに接するのは、傾斜面330のクランプピン32側の縁部のみとなり、基板Wの中心から外へ向かう方向の流れを遮る部分が小さいので、処理液Lが滞留しない。また、傾斜面330における最も高い位置は、クランプピン32の上端よりも低いため、外方へ向かって流れる処理液Lが傾斜面330の上部に当って流れを阻害することがない。また、傾斜面330の傾斜は、回転体20の軸Axから遠くなるに従って緩やかとなっていて、高い位置において水平に近いために、処理液Lが流れ易くなる。さらに、傾斜面330における軸Bxに近い端部e1側の幅t1よりも、遠い端部e2側の幅t2が狭いため、基板Wの下部に存在する傾斜面330の領域r2の幅t2が狭くなり、処理液Lが流れ易くなる。
【0054】
所定の処理時間が経過すると、上ノズル42、下ノズル44が処理液Lの供給を停止することにより、当該基板処理装置1内での処理を終了し(ステップS06のYES)、回転体20が、比較的高速な回転速度(例えば、300rpm以上)にて回転して、処理液を振り切って乾燥させた後、回転を停止する(ステップS07)。
【0055】
上記のような基板Wの回転中には、所望の処理に応じて、上ノズル42、下ノズル44から供給する処理液Lを切り替える。例えば、DIWを供給することにより、基板Wを洗浄し、基板Wの上面及び下面の粒子や汚れを除去した後、フッ酸溶液を供給することにより、基板Wの酸化物層を除去する。そして、DIWを供給することによりフッ酸と反応生成物を除去した後、オゾン水を供給することにより、有機物を酸化分解し、表面の微細な不純物を除去する。
【0056】
上記のような処理後、図2(B)に示すように、回転体20がγ方向に所定角度回動することにより、小ギヤ342がβ2方向に回動するので、図2(A)、図6(A)に示すように、クランプピン32が基板Wの端面から離れる開位置に来る(ステップS08)。このとき、支持部材33の傾斜面330は、載置位置となる。
【0057】
この状態で、搬送ロボットのロボットハンドが基板Wの下に挿入され、上昇することにより基板Wを支持する(ステップS09)。そして、ロボットハンドが基板Wを上昇させて、基板処理装置1外に搬出する(ステップS10)。
【0058】
[効果]
(1)本実施形態の基板処理装置1は、基板Wを回転させる回転体20と、回転体20により回転する基板Wに対して処理液Lを供給する供給部40と、回転体20の軸Axと平行な軸Bxを中心に回動可能となるように回転体20に設けられ、回転体20の軸Axを中心とする円に沿って3つ以上配置されたベース部材31と、ベース部材31毎に、ベース部材31の回動の軸Bxから偏心した位置に設けられ、ベース部材31の回動に従って、基板Wに接する閉位置と、基板Wから離れる開位置との間を移動可能なクランプピン32と、ベース部材31毎に、クランプピン32とは平面視で間隔を空けて設けられ、基板Wを支持する支持部材33と、支持部材33に設けられ、回転体20の軸Axに近い側から遠い側に向かって高くなるとともに、クランプピン32に遠い側から近い側に向かって高くなり、ベース部材31の回動に従って、クランプピン32が開位置にあるときに基板Wが載置される載置位置と、閉位置にあるクランプピン32とともに基板Wを保持する保持位置との間で移動可能な傾斜面330と、を有する。
【0059】
このため、基板Wの外周から外に向かって流れ出す処理液Lは、クランプピン32と支持部材33との間から排出される。そして、クランプピン32に接している基板Wの下方は空いているため、処理液Lは滞留しない。また、傾斜面330は回転体20の軸Axに近い側から遠い側に向かって高くなっているので、基板Wに接する位置が、基板Wの下縁部wlとなる。しかも、傾斜面330は、クランプピン32に遠い側から近い側に向かって高くなっているので、クランプピン32側の縁部でのみ基板Wに接する。このため、基板Wに接する面積を最小限に抑えることができるとともに、基板Wの中心から外へ向かう処理液Lの流れを遮る部分を最小限に抑えることができるので、処理液Lが滞留し難い。
【0060】
ここで、図11に示すように、傾斜面SLを有する支持部材SPが、クランプピン32と一体に構成されている場合、基板Wの下面と傾斜面SLとの間に処理液Lによる液溜りが発生する。しかし、本実施形態では、クランプピン32と傾斜面330が離隔しており、クランプピン32に接する基板Wの下方が空いているとともに、傾斜面330によって基板Wとの間に処理液Lの外方への流れが生じ易くなるため、液溜りが発生しない。このため、基板Wに未処理部分や処理が不十分な部分が発生し難く、残留した処理液Lの乾燥によるウォーターマークの発生を防止できるので、製品の品質が向上する。
【0061】
(2)傾斜面330における最も高い位置は、クランプピン32の上端よりも低い。このため、処理液Lの流れを阻害する位置に、傾斜面330が存在しなくなるため、処理液Lの滞留を防止できる。
【0062】
(3)平面視で、傾斜面330におけるベース部材31の回動の軸Bxに近い端部e1側の幅t1は、遠い端部e2側の幅t2よりも広い。このため、搬入された基板Wが載置される際には、広い幅t1の領域r1で安定して基板Wを支持できる。また、基板Wの処理時には、狭い幅t2の領域r2で保持するため、処理液Lの流動が阻害されず、流れ易くなる。さらに、基板Wから遠心力によって排出される処理液Lが衝突して飛散し、基板Wに再付着することを抑えることができる。
【0063】
(4)傾斜面330において、回転体20の回転の軸Axに近い側から遠い側に向かって高くなる傾斜は、回転体20の回転の軸Axから遠くなるに従って傾斜が緩やかとなっている。このため、処理液Lが排出される側の傾斜が水平に近くなり、基板W上の処理液L及び支持部材33に付着した処理液Lが、遠心力によって排出され易くなる。
【0064】
(5)クランプピン32の基板Wに接離する接触面32aは、上端に向かって、クランプピン32の軸Cxから離れるように外側に傾斜している。このため、傾斜面330によって押し上げられた基板Wの上縁部wuに、接触面32aを接触させて、基板Wを保持することができるので、接触面積を抑えることができる。また、傾斜した接触面32aによって形成される隙間により、処理液Lが排出され易くなる。特に、接触面32aが逆テーパ面(傾斜した曲面)であるため、基板Wとの接触面積を小さくして、処理液Lが流れる隙間を大きくすることができる。
【0065】
(6)平面視において、支持部材33は、クランプピン32側と反対側に膨らむように湾曲している。基板Wの上面及び下面を流れる処理液Lは、基板Wの回転により渦巻き状になるため、処理液Lの排出方向は直線的な放射状にはならずに傾斜する。支持部材33は湾曲しているため、処理液Lの流れに沿うことになり、処理液Lがよりスムーズに排出される。
【0066】
(7)平面視において、ベース部材31の回動の軸Bxと、当該軸Bxに最も近い傾斜面330の端部e1との距離d1は、ベース部材31の回動の軸Bxとクランプピン32との距離d2よりも長い。このため、傾斜面330が載置位置にあるときには、クランプピン32を基板Wから離隔させることができる。
【0067】
(8)平面視において、ベース部材31の回動の軸Bxは、支持部材33に載置された基板Wの外周よりも内側にある。このため、クランプピン32及び支持部材33を移動させるためのベース部材31の回動量を小さくできるとともに、支持部材33の大型化を抑えることができる。また、ベース部材31及び回転体20の大型化も抑えることができる。
【0068】
(9)平面視において、傾斜面330の一部は、ベース部材31の回動の軸Bxからの距離がクランプピン32と同じになる領域H内に設けられている。このため、ベース部材31の21の回動に従って、クランプピン32とともに傾斜面330が移動したときに、傾斜面330に載置された基板Wをクランプピン32と傾斜面330との間で保持できる。
【0069】
(10)傾斜面330における端部e1は、領域H内に設けられている。つまり、領域Hの内側には、傾斜面330は設けられておらず、領域Hより内側の円の領域を避けた位置に設けられている。このため、基板Wを保持する保持位置となったときに、基板Wの下に入り込む傾斜面330の面積を少なくすることができ、基板Wの下面に供給された処理液Lが、遠心力により排出されることが阻害され難い。
【0070】
また、傾斜面330における端部e2は、領域Hの外側に設けられている。このため、ベース部材31の回動に従って、クランプピン32とともに傾斜面330が移動したときに、傾斜面330に載置された基板Wをクランプピン32と傾斜面330との間で確実に保持できる。
【0071】
(11)平面視において、ベース部材31の回動の軸Bxとクランプピン32の軸Cxとを通る直線v1と、この直線v1に直交するクランプピン32の外周の接線であってベース部材31の外周側の直線v2と、ベース部材31の外周と、で囲まれた領域のうち、クランプピン32が開位置から閉位置となるようにベース部材31が回動するときの回動方向(図9の矢印方向)における下流側の領域の中に、傾斜面330におけるベース部材31の回動の軸Bxから遠い側の端部e2が位置する。このため、傾斜面330が載置位置から保持位置となるまでに、支持部材33を移動させるためのベース部材31の回動量を小さくできるとともに、支持部材33の大型化を抑えることができる。
【0072】
(12)平面視において、クランプピン32と支持部材33との間を通るクランプピン32の外周の接線であってベース部材31の回動の軸Bxを通る直線v3に、傾斜面330におけるベース部材31の回動の軸Bxから遠い側の端部e2が接する。このため、傾斜面330が載置位置から保持位置となるまでに、支持部材33を移動させるためのベース部材31の回動量を小さくできるとともに、支持部材33の大型化を抑えることができる。
【0073】
(13)平面視において、クランプピン32が開位置にあるとき、支持部材33に基板Wが載置される領域r1は、クランプピン32と支持部材33との間を通るクランプピン32の外周の接線であってベース部材31の回動の軸Bxを通る直線v3に直交し、クランプピン32の軸Cxを通る直線v4よりも、クランプピン32が開位置から閉位置になるようにベース部材31が回動するときの回動方向における下流側の領域にある。このため、搬入された基板Wを、支持部材33に確実に載置することができる。
【0074】
[変形例]
(1)本実施形態は、上記のような態様には限定されない。傾斜面330は、全体の傾斜角度が一定であってもよい。傾斜面330は、湾曲していなくてもよい。傾斜面330の幅は一定であってもよい。
【0075】
(2)クランプピン32は、基板Wの端面を保持可能な外周面を有している突出部であればよく、特定の形状には限定されない。例えば、クランプピン32の外形は、単純な円柱形状であってもよいし、上記の態様のように上部に拡径した部分を有していてもよい。また、クランプピン32の全体が逆テーパ(逆向きの円錐台)であってもよい。クランプピン32の外周面に縊れ、溝等が形成されていてもよい。
【0076】
(3)本実施形態は、回転する基板Wに処理液Lを供給して処理する基板処理装置1に広く適用できる。このため、使用する処理液Lの種類も、上記の実施形態で例示したものには限定されない。例えば、リン酸を含む水溶液、アンモニア-過酸化水素水混合液(APM)、塩酸-過酸化水素水混合液(HPM)、硫酸-過酸化水素水混合液(SPM)、希フッ酸溶液(DHF)、フッ酸-過酸化水素水混合液(FPM)、フッ酸(HF)-オゾン水混合液など、種々の処理液Lを適用できる。また、加熱が必要な処理液Lを用いる装置の場合には、処理液Lを加熱するとともに、温度を維持する加熱部を有していてもよい。
【0077】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 基板処理装置
20 回転体
20a テーブル
20b 貫通孔
20c 支持板
21 固定ベース
21a 防護壁
22 モータ
22a 回転子
22b 固定子
22c 回転軸
22d 廃液管
30 保持部
31 ベース部材
31a 天面
32 クランプピン
32a 接触面
33 支持部材
34 回動機構
40 供給部
41 処理液供給機構
41a 処理液槽
41b 個別送通管
41c 処理液供給管
41d 流量調整バルブ
41e 流量計
42 上ノズル
43 移動機構
44 下ノズル
50 制御装置
330 傾斜面
341 軸部材
342 小ギヤ
343 大ギヤ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11