(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007278
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20250109BHJP
H04N 13/302 20180101ALI20250109BHJP
H04N 13/376 20180101ALI20250109BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N13/302
H04N13/376
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108563
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 俊也
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA53
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA77
2H199CA92
2H199CA96
2H199CA97
(57)【要約】
【課題】ユーザの目の位置が変化しても3次元の虚像を適切に表示可能な表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態の表示装置は、左目用画像及び右目用画像の画像光を出射する画像光出射部と、前記画像光出射部から入射した光を出射する出射面を有する導光体と、前記画像光出射部を制御する制御部と、を備え、前記導光体は、前記画像光出射部が出射した画像光が入射するホログラム素子と、前記ホログラム素子を内包した導光部と、を有し、前記制御部は、ユーザの両目を撮像する撮像部の撮像画像に基づいて前記ユーザの両目の位置を特定し、前記ユーザの両目の位置に応じて、前記ホログラム素子に前記画像光が入射する位置を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左目用画像及び右目用画像の画像光を出射する画像光出射部と、
前記画像光出射部から入射した光を出射する出射面を有する導光体と、
前記画像光出射部を制御する制御部と、を備え、
前記導光体は、
前記画像光出射部が出射した画像光が入射するホログラム素子と、
前記ホログラム素子を内包した導光部と、を有し、
前記制御部は、
ユーザの両目を撮像する撮像部の撮像画像に基づいて前記ユーザの両目の位置を特定し、
前記ユーザの両目の位置に応じて、前記ホログラム素子に前記画像光が入射する位置を調整する、
表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザの両目の位置に応じて、前記ホログラム素子に前記画像光が入射する位置を調整するとともに、前記左目用画像および前記右目用画像を変更するように前記画像光出射部を制御する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ホログラム素子は、前記画像光が入射する入射ホログラム素子と、前記入射ホログラム素子が出射した画像光が入射する折返しホログラム素子と、前記折返しホログラム素子が出射した画像光が入射して当該画像光を前記出射面から出射する出射ホログラム素子と、を含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ユーザの両目の位置に基づいて前記出射ホログラム素子から前記画像光が出射する出射位置を決定し、前記出射位置に基づいて前記折返しホログラム素子から前記画像光が出射する折返し位置を決定し、前記折返し位置に基づいて前記入射ホログラム素子に前記画像光が入射する入射位置を決定する
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記導光部は、それぞれが、光を透過する状態と光を遮断する状態との間で遷移可能な複数の領域を有する遮光部材を備える、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記遮光部材は、前記出射ホログラム素子の前記出射面側及び前記折返しホログラム素子と前記出射ホログラム素子との間の少なくとも一方に配置される、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、
複数のユーザの両目を撮像する撮像部の撮像画像に基づいて前記複数のユーザのそれぞれの両目の位置を検出し、
前記複数のユーザのそれぞれの両目の位置に基づいて前記出射ホログラム素子から前記画像光が出射する出射位置を決定し、前記出射位置に基づいて前記折返しホログラム素子から前記画像光が出射する折返し位置を決定し、前記折返し位置に基づいて前記入射ホログラム素子に前記画像光が入射する位置を決定し、
前記複数のユーザと1対1に対応する前記遮光部材上の複数の領域が時分割で光を透過する状態となるよう、前記遮光部材を制御する、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記出射面から出射される前記画像光の間隔を示す伝搬距離は、前記ユーザの右目の瞳孔と左目の瞳孔との距離を示す瞳孔間距離に応じて、クロストークが生じない値に設定される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記出射面から出射される前記画像光の間隔を示す伝搬距離は35mmより大きく60mmより小さい値に設定される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記出射ホログラム素子から出射される画像光は、左目用画像光領域と右目用画像光領域とを有し、
前記出射ホログラム素子は、前記左目用画像光領域及び前記右目用画像光領域が対応する目の所定範囲の動きを吸収可能に前記左目用画像光領域及び前記右目用画像光領域を拡大して前記画像光を出射する、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項11】
前記出射ホログラム素子は、前記ユーザの目の位置に対応する前記出射ホログラム素子の出射位置における出射画像と、前記ユーザの目の位置に対応する前記出射ホログラム素子の出射位置に対して隣り合う前記出射位置における出射画像とが、前記導光体の前記出射面において、連続して配置されるように前記画像光を出射する、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記出射ホログラム素子から出射される画像光は、左目用画像光領域と右目用画像光領域とを有し、
前記出射ホログラム素子は、入射された画像光に対応する前記左目用画像光領域及び前記右目用画像光領域を、前記導光体の前記出射面上で、前記表示装置が搭載される移動体の左右方向に直交する方向に対して所定角度傾斜させた状態で、前記画像光を出射する、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項13】
前記出射ホログラム素子は、前記ユーザの目の位置に対応する前記出射ホログラム素子の出射位置における出射画像と、前記ユーザの目の位置に対応する前記出射ホログラム素子の出射位置に対して隣り合う前記出射位置における出射画像とが、前記導光体の前記出射面において、連続するように前記画像光を出射する、
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記導光部は、前記入射ホログラム素子及び前記折返しホログラム素子に対向する部分に配置された反射部材を更に有する
請求項3に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導光板を介して、互いに視差を有する右目用画像と左目用画像を出射させることで3次元の虚像を表示する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0294101号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、右目に対応する位置には右目用導波管、左目に対応する左目用導波管が設置されている。したがって、ユーザの目の位置が左右どちらかに中央を跨いで変化した場合には、右目用導波管に対応する位置に右目及び左目が位置する状態となり、あるいは、左目用導波管に対応する位置に左目及び右目が位置する状態となり、3次元の虚像を適切に表示することができないという問題がある。
【0005】
本開示は、ユーザの目の位置が変化しても3次元の虚像を適切に表示可能な表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の表示装置は、左目用画像及び右目用画像の画像光を出射する画像光出射部と、前記画像光出射部から入射した光を出射する出射面を有する導光体と、前記画像光出射部を制御する制御部と、を備え、前記導光体は、前記画像光出射部が出射した画像光が入射するホログラム素子と、前記ホログラム素子を内包した導光部と、を有し、前記制御部は、ユーザの両目を撮像する撮像部の撮像画像に基づいて前記ユーザの両目の位置を特定し、前記ユーザの両目の位置に応じて、前記ホログラム素子に前記画像光が入射する位置を調整する表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ユーザの目の位置が変化しても3次元の虚像を適切に表示できる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載された何れかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の表示装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態のホログラム素子の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態の制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の制御部が有する機能の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の制御部による制御を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、変形例の制御部による制御を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、伝搬距離を説明するための図である。
【
図8】
図8は、瞳孔間距離と伝搬距離との関係を示す図である。
【
図9】
図9は、導光部にミラーコートが配置される形態を説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、変形例の制御部による制御を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、視聴用途に応じて出射角を変化させる形態の原理を説明するための図である。
【
図12】
図12は、視聴用途に応じて出射角を変化させる形態を説明するための図である。
【
図13】
図13は、ユーザの目の位置に対応する折返しホログラム素子の折返し位置における出射画像と、当該折返し位置に対して隣り合う折返し位置における出射画像とが、出射ホログラム素子の出射面において、連続して出射させる形態の原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態に係る表示装置を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の表示装置1の概略構成の一例を示す図である。
表示装置1は、
図1に示すように、画像光出射部10と、導光体20と、制御部30と、を備える。
表示装置1は、導光板型ホログラムディスプレイであり、画像光出射部10から出射された右目用画像および左目用画像を、導光体20を介して投影して3次元の虚像を表示する。例えば表示装置1を車両のダッシュボード上に配置することで、導光板型ホログラムHUD(ヘッドアップディスプレイ)として使用することも可能である。以下、表示装置1の具体的な構成を説明する。
【0011】
画像光出射部10は、左目用画像(2次元画像)及び右目用画像(2次元画像)の画像光を出射する。例えば画像光出射部10は、左目用画像および右目用画像を表示する小型のディスプレイ装置で構成される。
【0012】
導光体20は、画像光出射部10から入射した画像光を出射する出射面を有する。出射面から出射した画像光がユーザの両目に導かれ、ユーザは3次元の虚像を視認することができる。導光体20は、画像光出射部10が出射した光が入射するホログラム素子40と、ホログラム素子40を内包した導光部50と、を有する。
【0013】
図2は、本実施形態のホログラム素子40の構成の一例を示す図である。
ホログラム素子40は、
図2に示すように、画像光出射部10が出射した画像光が入射する入射ホログラム素子41と、入射ホログラム素子41が出射した画像光が入射する折返しホログラム素子42と、折返しホログラム素子42が出射した画像光が入射して導光部50の出射面50Sから出射する出射ホログラム素子43と、を含む。
【0014】
この場合において、入射ホログラム素子41、折返しホログラム素子42及び出射ホログラム素子43は、それぞれ透過型回折光学素子として構成されている。
【0015】
なお、本実施の形態では、ホログラム素子40が3つのホログラム素子を含む場合を例示しているが、これには限定されない。例えば、ホログラム素子40は、2つのホログラム素子を含んでいてもよい。具体的には、ホログラム素子40は、入射ホログラム素子41、折返しホログラム素子42、及び、出射ホログラム素子43のうちの少なくとも2つを含んでいてもよい。
【0016】
この場合において、ホログラム素子40が入射ホログラム素子41及び折返しホログラム素子42の2つのホログラム素子を含んでいる場合には、折返しホログラム素子42が出射ホログラム素子43の機能を有するようにすれば良い。
【0017】
また、ホログラム素子40が、折返しホログラム素子42及び出射ホログラム素子43の2つのホログラム素子を含んでいる場合には、折返しホログラム素子42が入射ホログラム素子41の機能を有するようにすればよい。
【0018】
また、ホログラム素子40が、入射ホログラム素子41及び出射ホログラム素子43の2つのホログラム素子を含んでいる場合には、入射ホログラム素子が折返しホログラム素子42の機能を有するようにすればよい。
【0019】
図2の例では、画像光出射部10が出射した画像光は入射ホログラム素子41に入射され、入射ホログラム素子41によって回折されて折返しホログラム素子42へ向けて出射される。
折返しホログラム素子42に入射された画像光は、折返しホログラム素子42における光の伝搬方向(
図2の例ではx方向)に拡張(拡大)されながら回折されて出射ホログラム素子43へ向けて出射される。
さらに出射ホログラム素子43に入射された画像光は、出射ホログラム素子43における光の伝搬方向(
図2の例ではy方向)に拡張(拡大)されながら回析されて導光部50の出射面50Sから出射される。
【0020】
また、本実施形態の導光部50は、互いに対向する一対の(2つの)ガラス板で構成され、入射ホログラム素子41、折返しホログラム素子42、出射ホログラム素子43は一対のガラス板の間に挟持される。
【0021】
図1に戻って説明を続ける。制御部30は、ユーザの両目を撮像する撮像部60の撮像画像に基づいてユーザの両目の位置(瞳孔の位置)を特定し、ユーザの両目の位置に応じて、ホログラム素子40に画像光が入射する位置を調整する。撮像部60は、例えば、可視光カメラ、赤外線カメラ、TOFセンサ等である。
より具体的には、制御部30は、ユーザの両目の位置に基づいて出射ホログラム素子43から画像光が導光部50の出射面50Sから出射する出射位置を決定する。すなわち、制御部30は、左目用画像に対応する画像光がユーザの左目の瞳孔に入射するように左目用画像に対応する画像光の出射位置を決定し、右目用画像に対応する画像光がユーザの右目の瞳孔に入射するように右目用画像に対応する画像光の出射位置を決定する。
【0022】
そして、制御部30は、導光部50の出射面50Sからの画像光の出射位置に基づいて折返しホログラム素子42から画像光が出射する折返し位置を決定する。
さらに、制御部30は、折返し位置に基づいて入射ホログラム素子41に画像光が入射する入射位置を左目用画像に対応する画像光及び右目用画像に対応する画像光のそれぞれについて決定する。
【0023】
そして、制御部30は、決定した入射位置へ画像光出射部10が出射した画像光(左目用画像に対応する画像光及び右目用画像に対応する画像光)が入射するように調整を行う。また、制御部30は、ユーザの両目の位置に応じて、ホログラム素子40に画像光が入射する位置を調整するとともに、左目用画像および右目用画像を変更するように画像光出射部10を制御することもできる。以下、制御部30の具体的な構成を説明する。
【0024】
図3は、制御部30のハードウェア構成の一例を示す図である。
本実施形態では、制御部30はいわゆるコンピュータ装置として構成される。
制御部30は、
図3に示すように、プロセッサ301と、ROM(Read Only Memоry)302と、RAM(Random Access Memory)303と、機器I/F(インタフェース)部304と、バス305と、を備える。なお、制御部30のハードウェア要素は、
図3に例示した構成に限られるものではなく、他のハードウェア要素をさらに備える形態であっても構わない。
【0025】
プロセッサ301は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ301は、プログラムを実行することにより、制御部30の動作を統括的に制御し、制御部30が有する各種の機能を実現する。制御部30が有する各種の機能については後述する。
【0026】
ROM302は、不揮発性のメモリであり、プロセッサ301が実行するプログラム等を含む各種の情報を記憶する。
RAM303は、プロセッサ301の作業領域を有する揮発性のメモリである。
機器I/F部304は、外部の機器(例えば画像光出射部10、撮像部60等)と接続するためのインタフェースである。
バス305は、プロセッサ301、ROM302、RAM303及び機器I/F部304を通信可能に接続する。
【0027】
図4は、制御部30が有する機能の一例を示す図である。なお、
図4の例では、本実施形態の要部の説明に必要な機能のみを例示しているが、制御部30が有する機能はこれらに限られるものではない。
【0028】
図4に示すように、制御部30は、両目位置特定部310と、出射位置決定部311と、折返し位置決定部312と、入射位置決定部313と、入射位置調整部314と、画像光変更制御部315と、を有する。本実施形態では、プロセッサ301がROM302に格納されたプログラムを実行することにより、両目位置特定部310、出射位置決定部311、折返し位置決定部312、入射位置決定部313、入射位置調整部314、画像光変更制御部315の各々の機能を実現する。ただし、これに限らず、これらの機能の一部または全部が専用のハードウェア回路(半導体集積回路等)で実現される形態であってもよい。
【0029】
両目位置特定部310は、撮像部60により撮像された撮像画像に基づいて、ユーザの両目の位置を特定する。より具体的には、両目位置特定部310は、撮像部60を利用したアイトラッキングにより、右目および左目の各々の瞳孔位置の座標を、右目座標PReおよび左目座標PLeとして計測する。
図5の例では、右目座標PRe=(x1,y1,z1)とし、左目座標PLe=(x2,y2,z2)とする。
【0030】
出射位置決定部311は、両目位置特定部310により特定されたユーザの両目の位置に基づいて出射ホログラム素子43から画像光が出射する出射位置を決定する。
【0031】
図5は、実施形態の制御部による制御を説明するための模式図である。
図5の例では、右目座標PReおよび左目座標PLeのxy平面上の位置を出射位置とし、該出射位置からz軸方向に延びる延長線上に右目座標PReおよび左目座標PLeが存在することを想定している。
【0032】
図5の例では、右目出射位置PRo=(x1,y1)とし、左目出射位置PLo=(x2,y2)とする。右目出射位置PRoから右目座標PReに向けて光が出射され、左目出射位置PLoから左目座標PLeに向けて光が出射されることにより、ユーザの両目に光が届くものとする。
【0033】
図4に示す折返し位置決定部312は、出射位置決定部311により決定された出射位置(右目出射位置PRo及び目出射位置PLo)に基づいて、折返しホログラム素子42から画像光が出射する折返し位置(右目折返し位置PRt及び左目折返し位置PLt)を決定する。
図5の例では、折返しホログラム素子42の右目折返し位置から出射ホログラム素子43へ出射された光が導光部50の内部にて全反射を繰り返しながら右目出射位置PRoに届くものとする。
また、折返しホログラム素子42の左目折返し位置から出射ホログラム素子43へ出射された光は、導光部50の内部にて出射ホログラム素子43を透過しつつ、全反射を繰り返しながら出射ホログラム素子43の左目出射位置PLoに届くものとする。
【0034】
つまり、右目出射位置PRo=(x1、y1)は、折返しホログラム素子42の右目折返し位置PRtから出射ホログラム素子43へ出射された光が、光の伝搬方向(y方向)において全反射を繰り返して出射ホログラム素子43に届いた位置である。
ここで、右目折返し位置PRt=(x1、y1+α1)と表すことができる。α1は、折返しホログラム素子42を出射してから右目折返し位置PRtに至るまでの右目の画像光の全反射数(
図5の例では、4回)に対応する距離である。
同様に、左目出射位置PLo=(x2、y2)は、折返しホログラム素子42の左目折返し位置PLtから出射ホログラム素子43へ出射された光が、光の伝搬方向(y方向)において全反射を繰り返して届いた位置である。
ここで、左目折返し位置PLt=(x2、y2+β1)と表すことができる。β1は、折返しホログラム素子42を出射してから左目折返し位置PLtに至るまでの左目の画像光の全反射数(
図5の例では、4回)に対応する距離である。
【0035】
図4に示す入射位置決定部313は、折返し位置決定部312により決定された折返し位置に基づいて、入射ホログラム素子41に画像光が入射する入射位置を決定する。
図5の例では、入射ホログラム素子41の右目入射位置PRiから折返しホログラム素子42へ出射された光が導光部50の内部にて全反射を繰り返しながら右目折返し位置PRtに届くものとする。また、入射ホログラム素子41の左目入射位置から折返しホログラム素子42へ出射された光が導光部50の内部にて全反射を繰り返しながら左目折返し位置PLtに届くものとする。
【0036】
つまり、右目折返し位置PRt=(x1,y1+α1)は、入射ホログラム素子41の右目入射位置PRiから折返しホログラム素子42へ出射された光が、光の伝搬方向(x方向)において全反射を繰り返して届いた位置であり、右目入射位置PRi=(x1+α2、y1+α1)と表すことができる。ここで、α2は、入射ホログラム素子41を出射してから右目折返し位置PRtに至るまでの右目の画像光の全反射数(
図5の例では、2回)に対応する距離である。
【0037】
同様に、左目折返し位置PLt=(x2,y2+β1)は、入射ホログラム素子41の左目入射位置から折返しホログラム素子42へ出射された光が、光の伝搬方向(x方向)において全反射を繰り返して届いた位置であり、左目入射位置PLi=(x2+β2、y2+β1)と表すことができる。ここで、β2は、入射ホログラム素子41を出射してから左目折返し位置PLtに至るまでの左目の画像光の全反射数(
図5の例では、2回)に対応する距離である。
【0038】
ここで、導光部50の厚み(
図5の例ではz方向のサイズ)をdとし、入射ホログラム素子41の回折角度をθとすると、入射ホログラム素子41に対する光の入射条件は、以下に示す式1のようになる。
d/2=d’、c=d’/tanθ (式1)
【0039】
上述の入射条件より、右目入射位置PRiから、c×4×n(n:自然数)だけx方向にシフトした位置が右目折返し位置PRtになると考えることができる(α2=-c×4×n)。
同様に、左目入射位置PLiから、c×4×nだけx方向にシフトした位置が左目折返し位置PLtになると考えることができる(β2=-c×4×n)。なお、nが自然数として表すことができない場合は、自然数になるように右目入射位置PRiおよび左目入射位置PLiを調整してもよい。
【0040】
図4に戻って説明を続ける。入射位置調整部314は、入射位置決定部313により決定された入射位置PRi、PLiへ画像光出射部10が出射した画像光が入射するように調整を行う。
【0041】
この調整方法としては様々な方法を用いることができ、例えば画像光出射部10が小型のディスプレイ装置である場合、小型のディスプレイ装置に表示される右目用画像および左目用画像の表示位置を変更することで、入射ホログラム素子41に対する画像光の入射位置を調整することもできる。また、例えば小型のディスプレイ装置における画像の表示位置は変えずに、小型のディスプレイ装置を移動させることで、入射ホログラム素子41に対する画像光の入射位置を調整することもできる。
【0042】
また、画像光出射部10は、例えばレーザー光源を利用したLCOS(Liquid crystal on silicon)等のプロジェクターであってもよく、プロジェクターから出射される画像光が入射ホログラム素子41の入射位置PRi、PLiに入射するよう、該画像光の出射方向を調整することもできる。また、画像光出射部10は、例えばCGH(Computer-Generated Hologram)の技術を用いて右目用画像および左目用画像を生成する形態であってもよく、CGHを用いて生成された画像光が入射ホログラム素子41の入射位置に入射するよう、該画像光の出射方向を調整することができる。
【0043】
画像光変更制御部315は、両目位置特定部310により特定されたユーザの両目の位置に応じて、左目用画像および前記右目用画像を変更するように画像光出射部10を制御する。なお、例えば画像光変更制御部315が設けられない形態であってもよい。
【0044】
以上に説明したように、本実施形態の表示装置1は、ユーザの両目の位置に応じて、画像光出射部10から出射された画像光が両目に導かれるよう、ホログラム素子40に画像光が入射する位置を調整するので、ユーザの両目の位置が変化しても3次元の虚像を適切に表示できる。
【0045】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら新規な実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0046】
また、本明細書に記載された実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0047】
以下、変形例を記載する。
【0048】
(1)第1変形例
例えば
図6に示すように、導光部50は、遮光部材70および遮光部材80を備える形態であってもよい。
遮光部材70は、光を透過する状態と光を遮断する状態との間で遷移可能な複数の領域71、72を有する。領域71はユーザAに対応(ユーザAの両目に対応)し、領域72はユーザBに対応(ユーザBの両目に対応)する。これらの領域71、72は、対応するユーザの目の位置に応じてその設定位置が変更可能とされている。
この遮光部材70は、出射ホログラム素子43の出射面側に配置される。
【0049】
同様に、遮光部材80も、光を透過する状態と光を遮断する状態との間で遷移可能な複数の領域81、82を有する。領域81はユーザAに対応(ユーザAの両目に対応)し、領域82はユーザBに対応(ユーザBの両目に対応)する。遮光部材80は、折返しホログラム素子42と出射ホログラム素子43との間に配置される。
【0050】
図6の形態において、制御部30は、複数のユーザと1対1に対応する遮光部材70上の複数の領域71、72が時分割で光を透過する状態となるよう、遮光部材70を制御する。より具体的には、ユーザAに3次元の虚像を視認させる場合、制御部30は、遮光部材70上のユーザAに対応する領域71は光を透過し、ユーザBに対応する領域72は光を透過しない状態になるよう遮光部材70を制御し、ユーザAの両目の位置に応じた右目用画像および左目用画像を出射するよう画像光出射部10を制御する。一方、ユーザBに3次元の虚像を視認させる場合、制御部30は、遮光部材70上のユーザBに対応する領域72は光を透過し、ユーザAに対応する領域71は光を透過しない状態になるよう遮光部材70を制御し、ユーザBの両目の位置に応じた右目用画像および左目用画像を出射するよう画像光出射部10を制御する。
【0051】
同様に、
図6の形態において、制御部30は、複数のユーザと1対1に対応する遮光部材80上の複数の領域81、82が時分割で光を透過する状態となるよう、遮光部材80を制御する。より具体的には、ユーザAに3次元の虚像を視認させる場合、制御部30は、遮光部材80上のユーザAに対応する領域81は光を透過し、ユーザBに対応する領域82は光を透過しない状態になるよう遮光部材80を制御し、ユーザAの両目の位置に応じた右目用画像および左目用画像を出射するよう画像光出射部10を制御する。一方、ユーザBに3次元の虚像を視認させる場合、制御部30は、遮光部材80上のユーザBに対応する領域82は光を透過し、ユーザAに対応する領域81は光を透過しない状態になるよう遮光部材80を制御し、ユーザBの両目の位置に応じた右目用画像および左目用画像を出射するよう画像光出射部10を制御する。
【0052】
以上のようにして、制御部30は、複数のユーザと1対1に対応する遮光部材上の複数の領域が時分割で光を透過する状態となるよう、遮光部材を制御し、ユーザごとの画像光(ユーザの両目の位置に応じた画像光)も時分割に出射されるように画像光出射部10を制御することで、一方の目に他方の目の画像が入り込むクロストークを防止しつつすることができる。
【0053】
(2)第2変形例
入射ホログラム素子41のうち、画像光が入射される領域を示す入射領域(入射面)のサイズは、少なくとも右目、左目のサイズ以上であることが望ましい。入射面のサイズが、右目、左目のサイズを下回ると、複数の画像光が瞳に入ってしまい、クロストークが発生するおそれがあるためである。
【0054】
(3)第3変形例
例えば導光部50の出射面から出射される画像光間の間隔を示す伝搬距離は、ユーザの右目の瞳孔と左目の瞳孔との距離を示す瞳孔間距離に応じて、クロストークが生じない値に設定されてもよい。
【0055】
図7は、伝搬距離を説明するための図である。
伝搬距離LPは、例えば
図7に示すように、伝搬距離は、出射ホログラム素子43で回折して出射面から出射される画像光間の伝搬方向(導光部50の内部で全反射を繰り返して進行する方向)における間隔であると考えることができる。
【0056】
図8は、瞳孔間距離と伝搬距離との関係を示す図である。
例えば瞳孔間距離が60~70mmと仮定した場合、伝搬距離は35mmより大きく60mmより小さい値に設定される。
また、例えば瞳孔間距離が50~80mmと仮定した場合、伝搬距離は40mmより大きく50mmより小さい値に設定される。
図8の(A)は、瞳孔間の距離IPD1=50mmの場合の例であり、
図8の(B)は、瞳孔間の距離IPD2=65mmの場合の例であり、
図8の(C)は瞳孔間の距離IPD3=80mmの場合の例である。
【0057】
ここで、伝搬距離LPは、導光部50の厚みdに応じて決まる。より詳細には、全反射の臨界角が同一である同一材料の導光部50においては、導光部50の厚みdが少ないほど伝搬距離LPは短くなり、導光部50の厚みdが多いほど伝搬距離LPは長くなる。
したがって、一般的に瞳孔間距離は60~70mmと言われているため、上述したように、伝搬距離LPを35mmより大きく60mmより小さい値に設定することにより、クロストークの発生を抑制できる。また、瞳孔間距離が60mm未満又は70mmより大きいことを想定して瞳孔間距離が50~80mmと仮定した場合、伝搬距離LPを40mmより大きく50mmより小さい値に設定することにより、クロストークの発生をより確実に抑制できる。
【0058】
上述したように、瞳孔間距離が60~70mmの場合、伝搬距離LPが35mmより大きく60mmより小さい値になるよう、導光部50の厚みdを設定すればよい。また、瞳孔間距離が50~80mmの場合、伝搬距離LPが40mmより大きく50mmより小さい値になるよう、導光部50の厚みdを設定すればよい。他の場合についても同様に、所望の伝搬距離になるよう導光部50の厚みを設定する。
【0059】
(4)第4変形例
例えば導光部50は、入射ホログラム素子41及び折返しホログラム素子42に対向する部分に配置された反射部材を更に有する形態であってもよい。
【0060】
図9は、導光部にミラーコートが配置される形態を説明するための模式図である。
例えば
図9に示すように、導光部50は、入射ホログラム素子41と対向する2つの領域のうち、出射面側41Tの領域にミラーコート(「反射部材」の一例)MCが配置され、折返しホログラム素子42と対向する2つの領域42T、42B(出射面側の領域および出射面とは反対側の領域)のそれぞれにミラーコートMCが配置される形態であってもよい。ミラーコートMCが設けられない上述の実施形態では、導光部50のうち、入射ホログラム素子41および折返しホログラム素子42が設けられる部分における画像光の伝搬角度は全反射角度を想定しているが、上述のようにミラーコートMCを設けることにより、導光部50のうちミラーコートが配置された部分の画像光の伝搬角度は全反射角度ではない任意の角度とすることができる。
【0061】
この場合、導光部50のうち、ミラーコートが配置された部分における画像光の伝搬角度をθ1とし、導光部50のうち、ミラーコートが配置されない部分の画像光の伝搬角度をθ2(=全反射時の伝搬角度)とすると、例えばθ1>θ2のようになってもよい。
換言すれば、ミラーコートが配置されない部分の導光部50の全反射の臨界角の値の影響を受けること無く、任意の角度に設定することができる。
【0062】
(5)第5変形例
例えば、視聴用途に応じて予測される目の移動頻度に基づいて、入射された画像光に対応する左目用画像光領域及び右目用画像光領域を、出射ホログラム素子の出射面上で出射領域を拡大し、所定角度回転させた状態で出射するように構成することも可能である。
【0063】
特開2011-180178号公報には、ユーザに対して急な角度で画像光を入射させること、及び、浅い角度で画像光を入射させることが開示されている。
この開示に基づき、発明者は、視聴用途に応じて、予測される目の移動頻度に基づいて、入射された画像光に対応する左目用画像光領域及び右目用画像光領域を、出射ホログラム素子の出射面上で所定角度回転させた状態で出射するように構成することを発想した。
【0064】
図10は、変形例の制御部による制御を説明するための模式図である。
図10に示すように、出射ホログラム素子43から出射される画像光は、導光体20(導光部50)の出射面50S上で所定のサイズを有する左目用画像光領域AGLと右目用画像光領域AGRとを有する。具体的には、入射ホログラム素子41に対して画像光出射部10から所定のサイズを有する画像光を入射することで、この所定のサイズに応じて、左目用画像光領域AGL及び右目用画像光領域AGRが、出射面50S上で所定のサイズで表示されることとなる。また、この所定のサイズの左目用画像光領域及び右目用画像光領域が、隣り合う出射位置から出射されて形成される左目用画像光領域及び右目用画像光領域と連続して表示されるように所定のサイズを設定することにより、左目用画像光領域AGL及び右目用画像光領域AGRが出射面50S上で拡大されることとなる。
【0065】
図11は、視聴用途に応じて出射角を変化させる形態の原理を説明するための図である。
図11に示すように、導光部50の出射面50Sに平行な仮想平面PLN1をユーザの顔の正面に配置したと想定した場合、入射された画像光に対応する左目用画像光領域AGL及び右目用画像光領域AGRを、所定角度βだけ回転させた状態となるように、出射ホログラム素子43の出射面上で所定角度βだけ回転させた状態で出射するように出射ホログラム素子43を構成している。
【0066】
図12は、視聴用途に応じて出射角を変化させる形態を説明するための図である。
例えば、縦長の表示を視聴する場合の様に、予測される目の移動頻度が水平方向(導光部50の出射面50Sで見た場合、x方向)よりも垂直方向(導光体20(導光部50)の出射面50Sで見た場合、y方向)の方が大きい場合、
図11の(A)に示すように、出射ホログラム素子43の出射面上での回転角度β1を45°よりも小さい値(β1<45°)とすることにより、垂直方向に目が移動しても、対応する画像光領域AGL、AGRからユーザの瞳孔の位置が外れにくくなっており、制御部30において、左目用画像及び右目用画像の切替頻度を抑制することができる。
【0067】
また、例えば、ユーザの予測される目の移動頻度が水平方向と垂直方向とでほぼ等しい場合、
図11の(B)に示すように、出射ホログラム素子43の出射面上での回転角度β2=45°(あるいは、β2≒45°)とすることにより、垂直方向に目が移動しても、対応する画像光領域AGL、AGRからユーザの瞳孔の位置が外れにくくなっており、制御部30において、左目用画像及び右目用画像の切替頻度を抑制することができる。
【0068】
さらに、例えばユーザの予測される目の移動頻度が垂直方向よりも水平方向の方が大きい場合、
図11の(C)に示すように、出射ホログラム素子43の出射面上での回転角度β1を45°よりも大きい値(β3>45°)とすることにより、水平方向に目が移動しても、対応する画像光領域AGL、AGRからユーザの瞳孔の位置が外れにくくなっており、制御部30において、左目用画像及び右目用画像の切替頻度を抑制することができる。
【0069】
(6)第6変形例
以上の説明においては、ユーザの目の位置に対応する出射ホログラム素子43の一つの出射位置PRo、PLoにおける出射画像について説明したが、出射ホログラム素子43の複数の出射位置からは、同じ画像が出射されている。
【0070】
そこで、第6変形例においては、出射ホログラム素子43は、ユーザの目の位置に対応する出射ホログラム素子の出射位置における出射画像と、当該出射位置に対して隣り合う出射位置における出射画像とが、導光体20(導光部50)の出射面50Sにおいて、連続して出射するように構成されている。
【0071】
すなわち、例えば、ユーザの右目の位置に対応する出射ホログラム素子43の出射位置から出射されて形成される右目用画像光領域と、当該出射位置に対して隣り合う出射位置から出射されて形成される他の右目用画像光領域とが連続して表示されるように、入射ホログラム素子41に対して画像光出射部10から入射する画像光のサイズが設定される。
【0072】
図13は、ユーザの目の位置に対応する出射ホログラム素子43の出射位置における出射画像と、当該出射位置に対して隣り合う出射位置における出射画像とが、導光体20(導光部50)の出射面50Sにおいて、連続して出射される形態の原理を説明するための図である。
【0073】
図13に示すように、導光体(導光部)の出射面50Sに平行な仮想平面PLN1をユーザの顔の正面に配置したと想定した場合、ユーザの目の位置に対応する出射ホログラム素子の出射位置における出射画像に相当する右目用画像光領域AGR1とユーザの目の位置に対応する出射ホログラム素子の出射位置に対して隣り合う出射位置における出射画像に相当する右目用画像光領域AGR2とが、導光体(導光部)の出射面において、連続するように出射される。
【0074】
したがって、実効的に、右目用画像光領域AGR(=AGR1+AGR2)が拡張されたことと等価となり、制御部30において、右目用画像の切替頻度を抑制することができる。
【0075】
同様に、ユーザの目の位置に対応する出射ホログラム素子の出射位置における出射画像に相当する左目用画像光領域AGL1とユーザの目の位置に対応する出射ホログラム素子の出射位置に対して隣り合う出射位置における出射画像に相当する左目用画像光領域AGL2とが、導光体(導光部)の出射面において、連続するように出射され、実効的に、左目用画像光領域AGL(=AGL1+AGL2)が拡張されたことと等価となり、制御部30において、左目用画像の切替頻度を抑制することができる。
【0076】
これらの結果、対応する左目用画像光領域AGL及び右目用画像光領域AGRからユーザの瞳孔の位置が外れにくくなっており、制御部30において、左目用画像及び右目用画像の切替頻度を抑制することができる。
【0077】
さらに第5変形例と同様に、導光部50の出射面50Sに平行な仮想平面PLN1をユーザの顔の正面に配置したと想定した場合、入射された画像光に対応する左目用画像光領域AGL及び右目用画像光領域AGRを、所定角度β回転させた状態となるように、出射ホログラム素子43の出射面上で所定角度βだけ回転させた状態で出射するように出射ホログラム素子43を構成するように構成することも可能である。
この構成によれば、第6変形例の効果に加えて、第5変形例の効果を得ることができる。
【0078】
(7)第7変形例
また、上述の実施形態では、入射ホログラム素子41、折返しホログラム素子42及び出射ホログラム素子43が光を透過して回折する透過型ホログラムである例を示したが、入射ホログラム素子41、折返しホログラム素子42及び出射ホログラム素子43は光を反射して回折する反射型ホログラムで構成することも可能である。
【0079】
上述の実施形態は、以上の変形例と任意に組み合わせることができるし、以上の変形例同士を任意に組み合わせてもよい。
また、上述の実施形態に係る表示装置1は、ヘッドマウントディスプレイ、眼鏡型ディスプレイ等として使用することも可能である。
【0080】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術態様が開示される。
[第1態様]
左目用画像及び右目用画像の画像光を出射する画像光出射部と、
前記画像光出射部から入射した光を出射する出射面を有する導光体と、
前記画像光出射部を制御する制御部と、を備え、
前記導光体は、
前記画像光出射部が出射した画像光が入射するホログラム素子と、
前記ホログラム素子を内包した導光部と、を有し、
前記制御部は、
ユーザの両目を撮像する撮像部の撮像画像に基づいて前記ユーザの両目の位置を特定し、
前記ユーザの両目の位置に応じて、前記ホログラム素子に前記画像光が入射する位置を調整する、
表示装置。
[第2態様]
前記制御部は、前記ユーザの両目の位置に応じて、前記ホログラム素子に前記画像光が入射する位置を調整するとともに、前記左目用画像および前記右目用画像を変更するように前記画像光出射部を制御する、
第1態様に記載の表示装置。
[第3態様]
前記ホログラム素子は、前記画像光が入射する入射ホログラム素子と、前記入射ホログラム素子が出射した画像光が入射する折返しホログラム素子と、前記折返しホログラム素子が出射した画像光が入射して当該画像光を前記出射面から出射する出射ホログラム素子と、を含む、
第1態様又は第2態様に記載の表示装置。
[第4態様]
前記制御部は、前記ユーザの両目の位置に基づいて前記出射ホログラム素子から前記画像光が出射する出射位置を決定し、前記出射位置に基づいて前記折返しホログラム素子から前記画像光が出射する折返し位置を決定し、前記折返し位置に基づいて前記入射ホログラム素子に前記画像光が入射する入射位置を決定する
第3態様に記載の表示装置。
[第5態様]
前記導光部は、それぞれが、光を透過する状態と光を遮断する状態との間で遷移可能な複数の領域を有する遮光部材を備える、
第1態様乃至第4態様の何れか一つに記載の表示装置。
[第6態様]
前記遮光部材は、前記出射ホログラム素子の前記出射面側及び前記折返しホログラム素子と前記出射ホログラム素子との間の少なくとも一方に配置される、
第3態様に記載の表示装置。
[第7態様]
前記制御部は、
複数のユーザの両目を撮像する撮像部の撮像画像に基づいて前記複数のユーザのそれぞれの両目の位置を検出し、
前記複数のユーザのそれぞれの両目の位置に基づいて前記出射ホログラム素子から前記画像光が出射する出射位置を決定し、前記出射位置に基づいて前記折返しホログラム素子から前記画像光が出射する折返し位置を決定し、前記折返し位置に基づいて前記入射ホログラム素子に前記画像光が入射する位置を決定し、
前記複数のユーザと1対1に対応する前記遮光部材上の複数の領域が時分割で光を透過する状態となるよう、前記遮光部材を制御する、
第5態様に記載の表示装置。
[第8態様]
前記出射面から出射される前記画像光の間隔を示す伝搬距離は、前記ユーザの右目の瞳孔と左目の瞳孔との距離を示す瞳孔間距離に応じて、クロストークが生じない値に設定される、
第1態様乃至第7態様の何れか一つに記載の表示装置。
[第9態様]
前記出射面から出射される前記画像光の間隔を示す伝搬距離は35mmより大きく60mmより小さい値に設定される
第1態様乃至第8態様の何れか一つに記載の表示装置。
[第10態様]
前記出射ホログラム素子から出射される画像光は、左目用画像光領域と右目用画像光領域とを有し、
前記出射ホログラム素子は、前記左目用画像光領域及び前記右目用画像光領域が対応する目の所定範囲の動きを吸収可能に前記左目用画像光領域及び前記右目用画像光領域を拡大して前記画像光を出射する、
第3態様、第4態様又は第6態様の何れか一つに記載の表示装置。
[第11態様]
前記出射ホログラム素子は、前記ユーザの目の位置に対応する前記出射ホログラム素子の出射位置における出射画像と、前記ユーザの目の位置に対応する前記出射ホログラム素子の出射位置に対して隣り合う前記出射位置における出射画像とが、前記導光体の前記出射面において、連続して配置されるように前記画像光を出射する、
第10態様に記載の表示装置。
[第12態様]
前記出射ホログラム素子から出射される画像光は、左目用画像光領域と右目用画像光領域とを有し、
前記出射ホログラム素子は、入射された画像光に対応する前記左目用画像光領域及び前記右目用画像光領域を、前記導光体の前記出射面上で、前記表示装置が搭載される移動体の左右方向に直交する方向に対して所定角度傾斜させた状態で、前記画像光を出射する、
第3態様、第4態様又は第6態様の何れか一つに記載の表示装置。
[第13態様]
前記出射ホログラム素子は、前記ユーザの目の位置に対応する前記出射ホログラム素子の出射位置における出射画像と、前記ユーザの目の位置に対応する前記出射ホログラム素子の出射位置に対して隣り合う前記出射位置における出射画像とが、前記導光体の前記出射面において、連続するように前記画像光を出射する、
第12態様に記載の表示装置。
[第14態様]
前記導光部は、前記入射ホログラム素子及び前記折返しホログラム素子に対向する部分に配置された反射部材を更に有する
第3態様、第4態様又は第6態様の何れか一つに記載の表示装置。
[第15態様]
前記入射ホログラム素子、折返しホログラム素子及び出射ホログラム素子は、それぞれ透過型ホログラム素子あるいは反射型ホログラム素子で構成されている、
第3態様、第4態様又は第6態様の何れか一つに記載の表示装置。
【符号の説明】
【0081】
1 表示装置
10 画像光出射部
20 導光体
30 制御部
40 ホログラム素子
41 入射ホログラム素子
42 折返しホログラム素子
43 出射ホログラム素子
50 導光部
60 撮像部
301 プロセッサ
302 ROM
303 RAM
304 機器I/F部
310 両目位置特定部
311 出射位置決定部
312 折返し位置決定部
313 入射位置決定部
314 入射位置調整部
315 画像光変更制御部