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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025072864
(43)【公開日】2025-05-12
(54)【発明の名称】玉軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/41 20060101AFI20250501BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20250501BHJP
【FI】
F16C33/41
F16C19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183275
(22)【出願日】2023-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】前佛 誠
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA02
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA25
3J701BA44
3J701BA49
3J701DA14
3J701EA34
3J701EA36
3J701EA37
3J701EA76
3J701FA31
3J701GA28
3J701GA60
3J701XB03
3J701XB19
3J701XB23
3J701XB41
(57)【要約】
【課題】安価な樹脂材料を用いて低コストで製造可能で、高速回転性能の高い玉軸受を提供する。
【解決手段】内輪軌道面を有する内輪と、外輪軌道面を有する外輪と、内輪軌道面と外輪軌道面との間に設けられる複数の玉と、複数の玉を周方向に所定間隔をあけて保持する樹脂製の保持器と、を備え、保持器は、玉の軸方向一方に位置する円環状の主部と、主部から周方向に所定の間隔で軸方向に突出する複数の柱部と、を備え、隣り合う柱部の間に、前記玉を保持可能なポケット部と、を有し、柱部は、径方向外側に外輪軌道面に接触可能なガイド部が設けられた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪軌道面を有する内輪と、外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に設けられる複数の玉と、前記複数の玉を周方向に所定間隔をあけて保持する樹脂製の保持器と、を備え、
前記保持器は、
前記玉の軸方向一方に位置する円環状の主部と、
前記主部から周方向に所定の間隔で軸方向に突出する複数の柱部と、
を備え、隣り合う前記柱部の間に、前記玉を保持可能なポケット部と、を有し、
前記柱部は、径方向外側に前記外輪軌道面に接触可能なガイド部が設けられた、
玉軸受。
【請求項2】
前記ガイド部は、周方向に延在するガイド面と、前記ガイド面の周方向両端部に配置されて、周方向外側に向かって前記外輪軌道面から離間する斜面と、を有する、
請求項1に記載の玉軸受。
【請求項3】
前記柱部は、径方向外側の基端部に前記外輪軌道面に向けて突出する突起部が設けられた、
請求項1に記載の玉軸受。
【請求項4】
前記保持器は、非回転時に、前記ガイド部と前記外輪軌道面との間に形成される径方向の隙間h1が、前記ポケット部と前記玉との間に形成される径方向の隙間h2よりも大きくなるように形成された、
請求項1に記載の玉軸受。
【請求項5】
前記柱部は、前記玉の中心位置より先端側に直線状の平行部が形成され、
前記ポケット部の開口部分を一対の前記平行部によって構成した
請求項1に記載の玉軸受。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記柱部の径方向外側の先端部に設けられた、
請求項1~5の何れか1項に記載の玉軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、高速回転に適応する玉軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
玉軸受は、転動体としてボールを有する転がり軸受であって、内輪、外輪、転動体及び転動体を回転自在に保持する保持器を有する。保持器には、安価に樹脂成形可能で、ボールの組込作業が容易な冠型保持器が従来から用いられている。冠型保持器は、ボールを保持するための複数のポケットが、環状体の軸方向一端から凹む凹部として、周方向に沿って一定間隔で形成されたものである。
【0003】
冠型保持器を備えた玉軸受は、高速モータによって高速回転した場合、冠型保持器が遠心力によって凹部が開く方向に変形し易い。そして、変形した冠型保持器が軸受外輪との接触による摩擦熱によって融解したり、外輪を傷付けたりすることがある。このため、冠型保持器に作用する遠心力を軽減するために柱部を細くしたり、薄くしたり、短くしたり、高コストな高強度の樹脂材を用いたりする対策が講じられている。
【0004】
特許文献1では、円環状の主部と、該主部から周方向に所定の間隔で軸方向に突出し、先端部に互いに間隔をあけて配置される一対の爪部をそれぞれ有する複数の柱部と、隣り合う柱部の間に玉を保持可能な球面形状のポケットと、を備えた冠型保持器を備えた軸受であって、柱部は、一対の爪部を含む先端部側の外周面が、主部の外周面よりも内径側に位置するように形成することで、冠型保持器の高速回転による遠心力による変形を抑え、冠型保持器が遠心力によって変形した場合であっても、玉軸受を構成する部品に接触し難くなる、玉軸受が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-139410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、高速回転性能の高い玉軸受を形成することを目的としており、特に、モータ支持などのように略均等に転動体荷重が加わる用途を想定しているため、柱部に肉抜き部を形成して、柱部の体積を均等に削減して遠心力を下げて、柱部の撓みを軽減している。このため、転動体荷重が不均一となるような別の用途を想定した場合、玉軸受に偏心荷重が加わって玉同士の公転速度に速度差が生じることで、柱部が玉による押し引きの力に耐えられない場合があるという課題がある。この点、高強度の樹脂を用いることである程度は改善できるものの、効果は限定的で製造コストも高くなるという課題がある。
【0007】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価な樹脂材料を用いて低コストで製造可能で、高速回転性能の高い玉軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 内輪軌道面を有する内輪と、外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に設けられる複数の玉と、前記複数の玉を周方向に所定間隔をあけて保持する樹脂製の保持器と、を備え、
前記保持器は、
前記玉の軸方向一方に位置する円環状の主部と、
前記主部から周方向に所定の間隔で軸方向に突出する複数の柱部と、
を備え、隣り合う前記柱部の間に、前記玉を保持可能なポケット部と、を有し、
前記柱部は、径方向外側に前記外輪軌道面に接触可能なガイド部が設けられた、
玉軸受。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高速回転性能の高い玉軸受を安価な樹脂材料を用いて低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態の玉軸受の断面図である。
図2図2は、図1の玉軸受のA矢視図である。
図3図3は、図2の保持器のB矢視図である。
図4図4は、第2実施形態の保持器のB矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図1図3に基づいて、本発明の第1実施形態に係る深溝玉軸受ついて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の玉軸受の断面図である。図2は、図1の玉軸受のA矢視図である。図3は、図2の保持器のB矢視図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る深溝玉軸受(玉軸受)10は、内周面に外輪軌道面11aを有する外輪11と、外周面に内輪軌道面12aを有する内輪12と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に配置された複数の玉13と、玉13を転動自在に保持する保持器20と、を備える。
外輪11と内輪12との間に形成される環状空間15には、玉13及び保持器20が配置される。環状空間15は、軸受内部とも称する。玉軸受10の軸方向両側には、軸受内部のグリースが外部へ漏れるの防いだり、軸受外部の異物が軸受内部に進入することを防止したりする不図示のシール部材を設けてもよい。この玉軸受10は、例えば、歯科用エアタービン、クリーナ、ターボチャージャーなどにおける高速回転される軸の軸受として好適に用いられる。
【0013】
本実施例の説明において、軸方向とは、外輪11、内輪12、保持器20それぞれの不図示の中心線(中心軸)に沿った方向である。軸方向には、前記中心線と平行な方向も含む。径方向とは、外輪11、内輪12、保持器20それぞれの中心線に直交する方向である。周方向とは、外輪11、内輪12、保持器20それぞれの中心線を中心とした円周方向に沿う方向である。
【0014】
外輪11は、外輪軌道面11aの軸方向両側に一対の肩部11b、11bを備える。内輪12は、内輪軌道面12aの軸方向両側に一対の肩部12b、12bを備える。
外輪軌道面11aと、内輪軌道面12aとは、いずれも中心線に垂直で且つ、玉13の中心Oを通る平面に対して対称に形成される。また、外輪軌道面11aと、内輪軌道面12aとは、玉13の直径DCの半分よりも僅かに大きな半径を有している。
外輪軌道面11a及び内輪軌道面12aの溝中央位置Cにおける径を、それぞれ溝底径DA1、DB1と称し、外輪11及び内輪12の溝底径DA1、DB1の和を2で割った径を、ピッチ円直径P.C.Dと称する。また、外輪11の肩部11bにおける内径を外輪肩径DA2と称する。この構成は、図1を参照するとよい。
【0015】
保持器20は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等の合成樹脂材料からなり、射出成形によって製造される。なお、樹脂材料中に、強化材として、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等が添加されていてもよい。
【0016】
保持器20は、円環状の主部21と、主部21から周方向に所定の間隔で軸方向に突出する複数の柱部22と、隣接する柱部22の間に形成されて玉13が収容されるポケット部23と、柱部22の軸方向の先端側に配置されるガイド部24と、柱部22の軸方向の基端側に配置される突起部25と、を備える。
ガイド部24と、突起部25とは、それぞれ柱部22の外面から外輪軌道面11aに向けて径方向外側に突出するとともに、軸方向の配置間隔が玉13の直径DCよりも短い。これにより、ガイド部24及び突起部25の少なくとも一部が、外輪軌道面11aの内側に配置されている。この構成は、図1及び図2を参照するとよい。
【0017】
主部21は、その外周面の主部外径D1が、外輪11の肩部11bの外輪肩径DA2よりも小さい円環状に形成され、その径方向の厚さが、環状空間15に配置可能な厚さに形成され、軸受内部15の軸方向他方側に配置される。
主部21には、軸方向一方側に向けて軸方向の柱部22が設けられるとともに、軸方向他方側の端面に、柱部22に向けて形成された第1切欠部26が凹設されている。この構成は、図1を参照するとよい。
【0018】
柱部22は、軸受内部15において、主部21から軸方向一方側に向けて軸方向に延在する柱状の部材であって、環状の主部21に沿って所定間隔で複数並べて設けられている。
柱部22は、径方向外側にガイド部24及び突起部25が設けられ、径方向内側に軸方向に一方から他方に向けた軸方向に切り欠いた第2切欠部27が形成される。すなわち、柱部22は、ピッチ円直径P.C.Dの径方向外側で軸方向に延在している。この構成は、図1及び図2を参照するとよい。
【0019】
ガイド部24は、柱部22先端部から外輪軌道面11aに向けて径方向外側に突出するように設けられる。ガイド部24は、軸方向視で外輪軌道面11aに沿って円弧状に延在するガイド面24aと、ガイド面24aの周方向両端に形成される一対の斜面24b、24bと、ガイド面24aの軸方向反対側を切欠いた第3切欠部28と、を有する。
【0020】
ガイド面24aの外周先端部を結ぶ仮想円の直径であるガイド部外径D2は、外輪軌道面11aの溝底径DA1よりも小さい。
ガイド面24aは、柱部22先端から外輪軌道面11aの延在方向に沿って円弧状に延在する。このとき、玉軸受10が非回転の静止状態において、ガイド面24aと、外輪軌道面11aとの間に、径方向の隙間h1が形成される。この構成は、図1を参照するとよい。
【0021】
斜面24b、24bは、ガイド面24aの周方向両端部に形成された傾斜面であって、外輪軌道面11aから離間する方向に向かって滑らかに傾斜した面である。この構成は、図2等を参照するとよい。
【0022】
第3切欠部28は、ガイド部24のうち、外輪軌道面11aに接触しない軸方向反対側の面をガイド面24aの形状に沿って切欠くことによって形成される。これにより、ガイド面24aが外輪軌道面11aと直交する方向に弾性変形し易くなるとともに、ガイド部24を軽量化できる。
【0023】
突起部25は、柱部22基端部から外輪軌道面11aに向けて径方向外側に突出するように設けられ、ガイド部24よりも軸方向に短い滑らかな山型に形成される。このとき、突起部25の径方向の高さを示す凸部外径D3は、外輪11の肩部11b、11bよりも外輪軌道面11aに向けて突出するように形成される。言い換えると、凸部外径D3は、外輪肩径DA2よりも大きい。この構成は、図1及び図2を参照するとよい。
突起部25は、円環状の主部21に沿って等間隔に配置されており、柱部22基端部の周方向外側近傍に配置されている。この構成は、図3を参照するとよい。
【0024】
該構成によれば、突起部25は、外輪軌道面11a内に配置され、保持器20が軸方向に移動した場合に、外輪軌道面11aの他方側端部に接触することにより、保持器20が玉軸受10から抜け出ることを規制できる。
【0025】
ポケット部23は、円環状の主部21に沿って所定間隔で複数並べて設けられた柱部22の間に形成される。各ポケット部23には、軸受内部15に配置される玉13が収容されて転動自在に保持されている。
【0026】
ポケット部23の径方向は、図2に示されるように、柱部22の径方向に延在する面を、内輪12から外輪11に向かって、玉13を抱え込むように円弧状に湾曲形成した接触面23aによって形成される。このとき、玉軸受10が静止状態の場合、接触面23aと、玉13との間に、径方向の隙間h2が形成される。
【0027】
図3に示されるように、ポケット部23の軸方向の他方側端部は、隣接する柱部22の基端部同士を連結するように設けられた円環状の主部21によって閉じられる。その一方で、ポケット部23の軸方向の一方側端部には、開口部29が形成されている。
開口部29は、溝中央位置Cより先端側が直線状に形成された柱部22が平行に配置されることによって、平行に開口している。言い換えると、ポケット部23は、軸方向一方側である開口部29側では、径方向と異なり、玉13を抱えるように湾曲形成されていない。
該構成によれば、保持器20での玉13の保持性能を維持しつつ、遠心力が作用した際の変形を抑えることができる。この構成は、図3を参照するとよい。
【0028】
上述の構成において、玉軸受10の静止状態において、ガイド面24aと、外輪軌道面11aとの間に形成される径方向の隙間h1と、接触面23aと、玉13との間に形成される径方向の隙間h2と、外輪11の肩部11bと保持器20との間に形成される径方向の隙間h3と、関係を、h1>h3>h2とした。
なお、隙間h3は、(外輪肩径DA2-主部外径D1)/2で示される。
【0029】
(作用及び効果)
上述の構成の玉軸受10によれば、玉軸受10の高速回転によって作用する遠心力によって、保持器20のガイド部24が径方向外側に変形した場合に、ガイド面24aが外輪軌道面11aに滑らかに接触する。また、斜面24b、24bによって、ガイド面24aの周方向端部に、外輪軌道面11aとガイド面24aとの間に潤滑油をスムーズに供給するためのスペースを確保できる。
【0030】
また、保持器20は、玉軸受10の静止状態~低速回転時には、玉13によって位置決めされる玉ガイドとして機能する。その一方で、保持器20は、玉軸受10の高速回転時には、玉ガイドとしての機能に加え、ガイド部24で柱部22を支える溝ガイドとして機能する。
【0031】
具体的に説明すると、低速回転時は、h1>h2のため、保持器20は玉案内で回転し、外輪11との接触抵抗なしで低トルク回転する。これに対し、玉軸受10が高速回転し始めると、柱部22が遠心力を受けてガイド部24が外輪軌道面11a側に倒れ込むため、保持器20のh1>h2の関係性が、h1<h2へと次第に変化する。保持器20は、玉軸受10がさらに高速回転すると、ガイド部24が外輪軌道面11aに接触し、h1=0の支持状態となり、外輪案内で回転する。
該構成によれば、遠心力による柱部22の径方向外側への撓みを、ガイド部24が外輪軌道面11aに摺働することによって支えることができるため、保持器20の高速回転が安定するとともに、過大な変形による保持器20の破損も防止できる。
【0032】
また、保持器20は、第1切欠部26、第2切欠部27、第3切欠部28による肉抜きによって軽量化されている。このため、保持器20に作用する遠心力を低減できる。また、円環状の主部に形成された第1切欠部26は、保持器20を樹脂成形した際に発生するヒケを防止する作用もある。
【0033】
(第2実施形態)
図4に基づいて、保持器20の第2実施形態について、上記の例と異なる点について説明する。図4は、第2実施形態の保持器のB矢視図である。
第2実施形態の保持器20は、図4に示すように、突起部30を柱部22の基端部の周方向の幅に沿って延在する構成としてもよい。
該構成によれば、軸受内部15に配置される玉13が保持器20から外れることをより確実に防止できる。突起部30の周方向の長さや、径方向の突起部の長さは、玉軸受10の組付け作業や、玉13の抜け防止を機能させる範囲内で、自由に設計できる。
【0034】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0035】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 内輪軌道面を有する内輪と、外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に設けられる複数の玉と、前記複数の玉を周方向に所定間隔をあけて保持する樹脂製の保持器と、を備え、
前記保持器は、
前記玉の軸方向一方に位置する円環状の主部と、
前記主部から周方向に所定の間隔で軸方向に突出する複数の柱部と、
を備え、隣り合う前記柱部の間に、前記玉を保持可能なポケット部と、を有し、
前記柱部は、径方向外側に前記外輪軌道面に接触可能なガイド部が設けられた、
玉軸受。
本構成によれば、玉軸受が高速回転した場合にガイド部で外輪軌道面を支持できるため、高速回転性能の高い玉軸受を安価な樹脂材料を用いて低コストで製造することができる。
【0036】
(2) 前記ガイド部は、周方向に延在するガイド面と、前記ガイド面の周方向両端部に配置されて、周方向外側に向かって前記外輪軌道面から離間する斜面と、を有する、
(1)に記載の玉軸受。
本構成によれば、ガイド面と、外輪軌道面との間に潤滑油が供給され易くなる。
【0037】
(3) 前記柱部は、径方向外側の基端部に前記外輪軌道面に向けて突出する突起部が設けられた、
(1)又は(2)に記載の玉軸受。
本構成によれば、保持器が玉軸受から抜け出ることを確実に防止できる。
【0038】
(4) 前記保持器は、非回転時に、前記ガイド部と前記外輪軌道面との間に形成される径方向の隙間h1が、前記ポケット部と前記玉との間に形成される径方向の隙間h2よりも大きくなるように形成された、
(1)~(3)の何れか1つに記載の玉軸受。
本構成によれば、保持器は、玉軸受の高速回転時にのみ外輪軌道面に接触するため、経済性が向上する。
【0039】
(5) 前記柱部は、前記玉の中心位置より先端側に直線状の平行部が形成され、
前記ポケット部の開口部分を一対の前記平行部によって構成した
(1)~(4)の何れか1つに記載の玉軸受。
本構成によれば、玉軸受の組付け作業がより容易になる。
【0040】
(6) 前記ガイド部は、前記柱部の径方向外側の先端部に設けられた、
(1)~(5)の何れか1つに記載の玉軸受。
本構成によれば、玉軸受が高速回転した場合に、ガイド部が外輪軌道面にスムーズに接触する。
【符号の説明】
【0041】
10 玉軸受
11 外輪
11a 外輪軌道面
11b 肩部
12 内輪
12a 内輪軌道面
12b 肩部
13 玉
15 環状空間(軸受内部)
20 保持器
21 主部
22 柱部
23 ポケット部
23a 接触面
24 ガイド部
24a ガイド面
24b 斜面
25 突起部
26 第1切欠部
27 第2切欠部
28 第3切欠部
29 開口部
30 突起部
図1
図2
図3
図4