(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007290
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】自動バレー駐車の管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G08G1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108583
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF40
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181MB08
(57)【要約】
【課題】自動バレー駐車において、乳幼児等の保護対象の車内居残りを防止する。
【解決手段】自動バレー駐車の管理装置が駐車場に対する車両の入庫予定情報を受信した場合、管理装置が、車両の位置情報と、車両の搭乗者情報と、を取得する。搭乗者情報に保護対象の情報が含まれる場合、管理装置が、車両の位置情報に基づいて、覚醒誘導情報を車両に送信する。覚醒誘導情報を受信した場合、車両は、覚醒誘導情報に基づいて、車両の室内覚醒装置を作動する。覚醒誘導情報の送信及び室内覚醒装置の作動が、駐車場の乗降スペースに車両が到着する前に行われる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場における自動バレー駐車を管理する方法であって、
前記自動バレー駐車の管理装置が前記駐車場に対する車両の入庫予定情報を受信した場合、前記管理装置が、前記車両の位置情報と、前記車両の搭乗者情報と、を取得するステップと、
前記搭乗者情報に保護対象の情報が含まれる場合、前記管理装置が、前記位置情報に基づいて、覚醒誘導情報を前記車両に送信するステップと、
前記車両が前記覚醒誘導情報を受信した場合、前記車両が、前記覚醒誘導情報に基づいて、前記車両の室内覚醒装置を作動するステップと、
を含み、
前記覚醒誘導情報の送信及び前記室内覚醒装置の作動が、前記駐車場の乗降スペースに前記車両が到着する前に行われる
ことを特徴とする自動バレー駐車の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車場における車両の自動バレー駐車を管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、駐車場での車両の自動運転を行うシステムを開示する。この従来のシステムは、駐車場での車両の自動運転を開始する前に、乳幼児等の乗員の居残りの検出を行う。そして、この居残りが検出された場合は、車両の自動運転の開始が禁止される。従来のシステムでは、また、居残りが検出された場合、車載音源から警報音が出力され、又は、居残りが検出されたことを示す情報が車両の外部機器(車両のユーザの端末、駐車場の管理端末)に送信される。従来のシステムでは、更に、自動運転の開始後も居残りの検出が継続される。自動運転の開始後に居残りが検出された場合、居残りが検出されたことを示す情報が、車両の外部機器に送信される。
【0003】
本開示に関連する技術分野の技術水準を示す文献としては、特許文献1の他に、特許文献2及び3を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-169689号公報
【特許文献2】特開2019-215665号公報
【特許文献3】特開2019-127132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乳幼児等の保護対象の車内居残りを防止するための対策は万全であることが望ましい。車内居残りが発生してしまう要因の一つに、保護者を含む車両の同乗者が車両から降りる際に保護対象が寝ており、保護対象から同乗者に対する働きかけが行われないことが考えられる。この点、特許文献1のシステムによれば、居残りが検出された場合、車両から周囲へ、又は、車両から保護者等への働きかけが可能である。しかしながら、自動バレー駐車では、車両と駐車場の間で情報のやり取りを行うことができる。従って、保護対象の居残りを防止するための働きかけを駐車場から行う観点から改良の余地があると言える。
【0006】
本開示の1つの目的は、自動バレー駐車において、乳幼児等の保護対象の車内居残りを防止することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、駐車場における自動バレー駐車を管理する方法であり、次の特徴を有する。
前記方法は、
前記自動バレー駐車の管理装置が前記駐車場に対する車両の入庫予定情報を受信した場合、前記管理装置が、前記車両の位置情報と、前記車両の搭乗者情報と、を取得するステップと、
前記搭乗者情報に保護対象の情報が含まれる場合、前記管理装置が、前記位置情報に基づいて、覚醒誘導情報を前記車両に送信するステップと、
前記車両が前記覚醒誘導情報を受信した場合、前記車両が、前記覚醒誘導情報に基づいて、前記車両の室内覚醒装置を作動するステップと、
を含む。
前記覚醒誘導情報の送信及び前記室内覚醒装置の作動が、前記駐車場の乗降スペースに前記車両が到着する前に行われる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、駐車場の乗降スペースに車両が到着する前に自動バレー駐車の管理装置から車両に対して覚醒誘導情報が送信され、この車両の室内覚醒装置が作動される。そのため、乗降スペースに車両が到着する前に、保護対象を覚醒させることが可能となる。覚醒した保護対象は、保護者を含む車両の同乗者に対する働きかけを行うことが期待される。これにより、乗降スペースにおいて同乗者が車両から降りる際に、保護対象の車内居残りが発生するのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係る居残り防止対策を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。尚、各図において、同一又は相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化し又は省略する。
【0011】
1.自動バレー駐車
自動バレー駐車(AVP: Automated Valet Parking)は、駐車場の乗降スペースから駐車スペースまでの車両の入庫動作と、駐車スペースから乗降スペースまでの車両の出庫動作とが、自動的に行われる駐車システムである。
図1は、AVPを説明する図である。
図1には、駐車場PKが描かれている。駐車場PKは、AVPを実施可能な構成を有している。AVPを実施可能な構成には、乗降スペースPDと、駐車スペースPSと、が含まれる。乗降スペースPDは、乗員の乗車及び/又は降車のためのスペースである。駐車スペースPSは、車両が駐車するためのスペースである。AVPが可能な構成には、また、車両の移動を補助するランドマーク、車両を監視するセンサ類など(何れも不図示)も含まれる。
【0012】
図1には、また、AVPの管理を行うサーバ(以下、「管理サーバ」とも称す。)10が描かれている。管理サーバ10は、本開示の「自動バレー駐車の管理装置」に相当する。管理サーバ10は、駐車場PKのセンサ類から各種情報を取得し、この各種情報に基づいてAVPの管理に関する各種処理を行う。管理サーバ10は、典型的には、少なくとも1つのプロセッサ11と、少なくとも1つのメモリ12と含むコンピュータである。プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。メモリ12は、DDRメモリなどの揮発性のメモリであり、プロセッサ11により行われる各種処理において使用される各種プログラムの展開及び各種情報の一時保存を行う。
【0013】
図1には、更に、複数の車両VHが描かれている。これらの車両VHのそれぞれは、AVPを実施可能な構成を有している。AVPを実施可能な構成としては、例えば、車載の制御システム20が挙げられる。
図1に示される例では、制御システム20は、制御装置21と、センサ類22と、走行装置23と、を備えている。制御装置21は、例えば、AVP専用の装置である。
【0014】
AVP(入庫)の実施に際し、制御装置21は、例えば、乗降スペースPDでの車両VHの待機中に車両VHの操作権限を管理サーバ10に送信する。この操作権限が管理サーバ10に移ることで、管理サーバ10(プロセッサ11)による車両VHのAVPが実施可能となる。操作権限の送信後、制御装置21は、管理サーバ10から受信した入庫指令に従って、車両VHが駐車場PK内を自律走行するための車両制御を行う。この入庫時の車両制御では、例えば、入庫指令及びセンサ類22からの情報に基づいて、走行装置23が制御される。
【0015】
AVP(出庫)の実施に際し、制御装置21は、例えば、管理サーバ10から受信した出庫指令に従って、車両VHが駐車場PK内を自律走行するための車両制御を行う。この出庫時の車両制御は、入庫時のそれと基本的には同じである。乗降スペースPDへの到着後、制御装置21は、車両VHの操作権限を管理サーバ10から受信する。この操作権限が車両VHに戻ることで、管理サーバ10(プロセッサ11)による車両VHのAVPの実施が終了する。
【0016】
2.居残り防止対策
実施形態では、保護対象の車内居残りを防止するために、管理サーバ10と車両VHの間でやり取りされる通信情報を利用する。
図2は、実施形態に係る居残り防止対策を説明する図である。
図2には、
図1で説明した駐車場PK、管理サーバ10などが描かれている。
図2には、更に、駐車場PK(乗降スペースPD)に到着する前の車両VHが描かれている。この車両VHの制御システム20は、
図1を参照して説明した構成に加えて室内覚醒装置24を備えている。室内覚醒装置24としては、車載ユーザインタフェース(例えば、カーナビゲーションシステムのHMI)、車載オーディオシステムなどが例示される。つまり、室内覚醒装置24は、一般的な車両に搭載される装置である。室内覚醒装置24は、可動シートを作動する装置も考えられる。
【0017】
実施形態では、車両VHが駐車場PK(乗降スペースPD)に到着する前に、利用予約情報BKGが車両VHから管理サーバ10へと送信される。利用予約情報BKGは、例えば、車両VHのID情報、車両VHの代表者のID情報、車両VHが駐車場PKを利用する日時(入庫及び出庫予定時間)の情報、車両VHの諸元(車体のサイズ、可動シートの有無など)の情報といった、AVPの利用に必要な情報を含んでいる。
【0018】
実施形態では、また、利用予約情報BKGに加えて、搭乗者情報PSS及び位置情報LOCが車両VHから管理サーバ10へと送信される。搭乗者情報PSSは、車両VHの乗員に関する情報である。搭乗者情報PSSには、乗員の性別及び年齢情報が含まれている。搭乗者情報PSSは、手動入力されたものでもよいし、センサ類22(具体的にはカメラ)の画像処理により自動的に生成されたものでもよい。位置情報LOCは、車両VHの現在位置に関する情報である。位置情報LOCは、センサ類22(例えば、GPS機器)により取得される。
【0019】
管理サーバ10は、利用予約情報BKGに含まれる入庫予定時間が迫った場合、搭乗者情報PSS及び位置情報LOCを取得する。管理サーバ10は、また、搭乗者情報PSSに基づいて、保護対象TGが車両VHに乗車しているか否かを判定する。管理サーバ10は、更に、位置情報LOCに基づいて、車両VHが駐車場PKに到着する時刻を予測する。そして、保護対象TGが車両VHに乗車していると判定された場合、管理サーバ10は、駐車場PKへの到着予測時刻と現在時刻を比較する。そして、到着予測時刻よりも所定時間前(例えば、5~10分前)となったタイミングで覚醒誘導情報AWK(AWK1)を車両VHに送信する。車両VHは、この覚醒誘導情報AWK1に従い、室内覚醒装置24を作動させる。
【0020】
管理サーバ10は、車両VHが駐車場PKに到着する時刻を予測することなく、覚醒誘導情報AWK1を車両VHに送信してもよい。この場合は、管理サーバ10は、位置情報LOCに基づいて、車両VHから駐車場PK(乗降スペースPD)までの距離を計算する。そして、この距離が所定距離(例えば、数キロ)まで近づいたタイミングで覚醒誘導情報AWK1を車両VHに送信する。
【0021】
室内覚醒装置24が作動することで、車両VHが駐車場PKに到着する前に、保護対象TGを覚醒させる(例えば、寝ている保護対象TGを起こす)ことが可能となる。覚醒した保護対象TGは、保護者を含む車両VHの同乗者に対する働きかけを行うことが期待される。これにより、乗降スペースPDにおいて同乗者が車両VHから降りる際に、保護対象TGの車内居残りが発生するのを防止することが可能となる。
【0022】
管理サーバ10は、車両VHが駐車場PK(乗降スペースPD)に到着した後、覚醒誘導情報AWK(AWK2)を車両VHに送信してもよい。覚醒誘導情報AWK2の送信のタイミングは、例えば、車両VHの操作権限を車両VHから受信した直後のタイミングである。覚醒誘導情報AWK2が送信された場合、覚醒誘導情報AWK1が送信された場合と同じく室内覚醒装置24が作動する。覚醒誘導情報AWK2に従って室内覚醒装置24が作動すれば、覚醒誘導情報AWK1に従った室内覚醒装置24の作動の後に再び寝てしまった保護対象TGを覚醒させることが可能となる。これにより、乗降スペースPDにおいて同乗者が車両VHから降りる前、又は、同乗者が車両VHから降りた直後に、同乗者に保護対象TGの存在を気づかせることが可能となる。
【符号の説明】
【0023】
10…管理サーバ、11…プロセッサ、12…メモリ、20…制御システム、21…制御装置、22…センサ類、23…走行装置、24…室内覚醒装置、TG…保護対象、PK…駐車場、PD…乗降スペース、PS…駐車スペース、VH…車両、AWK…覚醒誘導情報、BKG…利用予約情報、LOC…位置情報、PSS…搭乗者情報