(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007333
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】呼び出しシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20250109BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108646
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】第1の人物が、衣服に配置された接触センサを操作して、第2の人物を呼び出すことを可能とする。
【解決手段】呼び出しシステム(1)は、繊維状の導電体を有する相互容量式の接触センサ(11)であって、第1の人物が着用する衣服(C)と一体的に形成可能、又は、取り付け可能な接触センサと、第1の人物に、接触センサの操作を支援する第1の情報を提供するための第1の情報提供部(12a)と、第2の人物に、第2の人物を呼び出す第2の情報を提供するための第2の情報提供部(12b)と、接触センサに対する第1の人物の操作に基づいて、第2の情報提供部から第2の情報を提供することによって、第2の人物を呼び出す呼出処理を実行する制御部(14)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の人物が第2の人物を呼び出すための呼び出しシステムであって、
繊維状の導電体を有する相互容量式の接触センサであって、前記第1の人物が着用する衣服と一体的に形成可能、又は、前記衣服に取り付け可能であり、且つ、前記第1の人物が操作するための接触センサと、
前記第1の人物に、前記接触センサの操作を支援する第1の情報を提供するための第1の情報提供部と、
前記第2の人物に、前記第2の人物を呼び出す第2の情報を提供するための第2の情報提供部と、
前記接触センサに対する前記第1の人物の操作に基づいて、前記第2の情報提供部から前記第2の情報を提供することによって、前記第2の人物を呼び出す呼出処理を実行する制御部と、
を備える、呼び出しシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記接触センサに対する前記第1の人物の第1の操作に基づいて、前記呼出処理の選択を受け付ける第1の受付処理と、
前記接触センサに対する前記第1の人物の第2の操作に基づいて、前記第1の受付処理で選択された前記呼出処理の実行の選択を受け付ける第2の受付処理と、を実行した後に、
前記呼出処理を実行する、請求項1に記載の呼び出しシステム。
【請求項3】
前記接触センサは、前記第1の人物が直接、又は、間接に接触可能な接触面を有し、
前記呼び出しシステムは、前記接触面上の複数の位置と、複数の選択肢とを対応して表すテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記複数の選択肢は、前記呼出処理を選択するための第1の選択肢、及び、前記呼出処理の実行を選択するための第2の選択肢を含み、
前記制御部は、前記第1の人物が接触した前記接触面上の位置、及び、前記テーブルに基づいて、前記第1の受付処理、及び、前記第2の受付処理を実行する、
請求項2に記載の呼び出しシステム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記接触センサに対する前記第1の人物の第3の操作に基づいて、前記第2の人物を呼び出す呼出理由の選択を受け付ける第3の受付処理を実行した後に、前記呼出処理を実行し、
前記呼出処理において提供される前記第2の情報は、前記第3の受付処理で選択された呼出理由の情報を含む、請求項2又は3に記載の呼び出しシステム。
【請求項5】
前記接触センサは、前記衣服の左袖、右袖の少なくとも一方に取り付けられ、又は、前記衣服の左袖、右袖の少なくとも一方と一体的に形成される、
請求項1~3の何れか1項に記載の呼び出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の人物が、第2の人物を呼び出すための呼び出しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ファブリックベースの圧力センサを用いて、体表をモニタするセンサシステムの技術を開示する。このセンサシステムでは、体表面の条件をユーザ、管理人、臨床医に提供することができる(特許文献1の要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術では、体表面の条件を臨床医等に提供するに留まり、ユーザが臨床医等を呼び出すことはできない。
【0005】
本発明の一態様は、第1の人物が、衣服に配置された接触センサを操作して、第2の人物を呼び出すことを可能とする呼び出しシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る呼び出しシステムは、第1の人物が第2の人物を呼び出すための呼び出しシステムであって、繊維状の導電体を有する相互容量式の接触センサであって、前記第1の人物が着用する衣服と一体的に形成可能、又は、前記衣服に取り付け可能であり、且つ、前記第1の人物が操作するための接触センサと、前記第1の人物に、前記接触センサの操作を支援する第1の情報を提供するための第1の情報提供部と、前記第2の人物に、前記第2の人物を呼び出す第2の情報を提供するための第2の情報提供部と、前記接触センサに対する前記第1の人物の操作に基づいて、前記第2の情報提供部から前記第2の情報を提供することによって、前記第2の人物を呼び出す呼出処理を実行する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、第1の人物が、衣服に配置された接触センサを操作して、第2の人物を呼び出すことを可能とする呼び出しシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る呼び出しシステムを表す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る呼び出し方法を表すフロー図である。
【
図3】第1の情報提供部が提供する第1の情報と接触センサの操作との関係を表す模式図である。
【
図4】第1の情報提供部が提供する呼出理由の選択肢の情報の一例を表す模式図である。
【
図5】第1の情報提供部が提供する選択肢の情報の一例を表す模式図である。
【
図6】第1の情報提供部が提供する選択肢の情報の一例を表す模式図である。
【
図7】第2の情報提供部が提供する選択肢の情報の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る呼び出しシステム1を表す模式図である。
【0010】
呼び出しシステム1は、第1の人物Paが第2の人物Pbを呼び出すためのシステムである。第1の人物Paは、例えば、医療、介護の対象者、又は、作業者であり、第2の人物Pbは、例えば、医療、介護の従事者、監督者、又は、作業の監督者である。第1の人物Pa、第2の人物Pbは、それぞれ、互いに離間する領域Ra、領域Rbにいるとする。
【0011】
第1の人物Pa、第2の人物Pbの少なくとも一方が複数であってもよい。後述のように、複数の第1の人物Paが、第2の人物Pbを呼び出すことができる。また、第1の人物Paが複数の第2の人物Pbを呼び出してもよい。さらに、第1の人物Pa、第2の人物Pbの双方が、複数であってもよい。このように、第1の人物Pa、第2の人物Pbの少なくとも一方が複数である場合、次に示す第1の情報提供部12a、第2の情報提供部12bの個数は、第1の人物Pa、第2の人物Pbの人数に対応していることが好ましい。
【0012】
呼び出しシステム1は、接触センサ11、第1の情報提供部12a、第2の情報提供部12b、記憶部13、及び、制御部14を有する。
【0013】
接触センサ11は、第1の人物Paが操作するためのものであり、第1の人物Paが直接、又は、間接に接触可能な接触面11aを有する。第1の人物Paが直接、又は、間接に接触面に接触することで、接触センサ11を操作し、呼び出しシステム1を介して、第2の人物Pbを呼び出すことができる。第1の人物Paは、例えば、指先で接触面11aに直接接触して、接触センサ11を操作できる。第1の人物Paは、何らかの事物(例えば、棒状の部材)を介して、接触面11aに間接的に接触して、接触センサ11を操作してもよい。第1の人物Paが接触面11aに接触すると、接触面11a上の第1の人物Paが接触した箇所の静電容量が変化する。接触センサ11は、この静電容量の変化、ひいては、その接触箇所を検出することができる。
【0014】
接触センサ11は、繊維状の導電体を有する相互容量式の接触センサであって、衣服Cと一体的に形成可能である。例えば、電界発生用の繊維状の第1の導電体と電界吸収用の繊維状の第2の導電体を着衣に格子状に織り込む(例えば、刺繍)ことによって、接触センサ11を衣服Cと一体的に形成できる。これに対して、接触センサ11は、衣服Cに取り付け可能としてもよい。すなわち、接触センサ11を、例えば、ワッペン、シール、又は、バッジのような形態に形成して、衣服Cに取り付けてもよい。
【0015】
接触センサ11は、第1の人物Paが着用する衣服C、特に左袖、右袖の少なくとも一方と一体的に形成し、又は、衣服Cの左袖、右袖の少なくとも一方に取り付けてもよい。第1の人物Paが右利きの場合、接触センサ11を衣服Cの左袖に配置し、第1の人物Paが左利きの場合、接触センサ11を衣服Cの右袖に配置する。これにより、第1の人物Paは、利き手で接触センサ11を操作できる。一対の接触センサ11を衣服Cの左袖、右袖それぞれに配置してもよい。第1の人物Paが右利き、左利きの何れでも、利き手での接触センサ11の操作が容易となる。
【0016】
接触センサ11は、補助装置111を有することができる。補助装置111は、例えば、接触センサ11の電極に電圧を印加するための電圧発生部、接触センサ11の容量を検出する容量検出部、及び、制御部14と通信するための通信部を含むことができる。通信部と制御部14との通信は、有線、無線の何れでもよい。補助装置111は、例えば、衣服CのポケットPKに配置することができる。ここでは、補助装置111を接触センサ11とは別体としているが、補助装置111を接触センサ11と一体としてもよい。
【0017】
第1の情報提供部12aは、第1の人物Paに、接触センサ11の操作を支援する第1の情報を提供する情報提供部である。第2の情報提供部12bは、第2の人物Pbに、第2の人物Pbを呼び出す第2の情報を提供するための情報提供部である。第1の情報提供部12a、及び、第2の情報提供部12bは、有線、又は無線で制御部14と接続され、制御部14からの指示に基づいて、情報を提供する。
【0018】
第1の情報提供部12a、及び、第2の情報提供部12bは、例えば、画像表示装置、音声出力装置、及び、これらの組み合わせの何れかとすることができる。画像表示装置の一例として、液晶表示装置、及び、EL(Electro Luminescence)表示装置を挙げることができる。音声出力装置の一例として、スピーカ、及び、イヤホンを挙げることができる。この場合、第1の情報提供部12a、及び、第2の情報提供部12bは、画像、音声等の情報として、第1の情報、及び、第2の情報を提供する。
【0019】
第1の情報提供部12a、及び、第2の情報提供部12bは、それぞれ、第1の人物Pa、第2の人物Pbがいる領域Ra、及び、領域Rbに配置されることが好ましい。なお、記憶部13、及び、制御部14は、領域Ra、領域Rb、及び、その他の領域に適宜に配置することができる。
【0020】
記憶部13は、情報を記憶するハードウェア資源、例えば、二次記憶装置(一例として、フラッシュメモリ、ハードディスク、又は、SSD:Solid State Drive)から構成され、接触面11a上の複数の位置と、複数の選択肢とを対応して表すテーブルTを記憶する。テーブルは、例えば、接触面11a上の座標の範囲と、この範囲に対応する選択肢とを対応して表す情報である。
【0021】
制御部14は、例えば、プロセッサ(一例として、CPU:Central Processing Unit)から構成される。なお、制御部14、及び、記憶部13として、コンピュータ、例えば、パーソナル・コンピュータ(PC)、又は、サーバ装置を用いてもよい。
【0022】
制御部14は、接触センサ11に対する第1の人物Paの操作に基づいて、第2の情報提供部12bから第2の情報を提供することによって、第2の人物Pbを呼び出す呼出処理を実行する。制御部14は、テーブルT、及び、第1の人物Paが接触した接触面11a上の位置に基づいて、第1の人物Paが選択した選択肢を受け付け、後述の呼び出し方法S10を実行することができる。
【0023】
制御部14は、第1の情報提供部12aを制御し、第1の情報として、接触面11a上の複数の位置と、複数の選択肢との対応関係を表す情報を提供させることができる。第1の情報の一例として、複数の選択肢が配置される画像を挙げることができる。この画像のデータは、予め記憶部13に記憶されていてもよいし、テーブルTに基づいて、制御部14が生成してもよい。第1の情報が提供されることで、第1の人物Paは、接触センサ11を用いて、選択肢を容易に選択できる。
【0024】
(呼び出し方法S10)
図2は、本発明の実施形態に係る呼び出し方法S10を表すフロー図である。呼び出し方法S10は、受付処理S11、及び、呼び出し処理S13を実行する。以下、呼び出し方法S10を詳細に説明する。
【0025】
(1)受付処理S11
制御部14は、複数の受付処理S11を実行する。第1の人物Paは、接触センサ11を操作して、選択肢を選択する。このとき、制御部14は、第1の情報提供部12aを制御して、第1の情報を提供させ、第1の人物Paによる選択肢の選択を支援する。制御部14は、テーブルT、及び、第1の人物Paが接触した接触面11a上の位置に基づいて、第1の人物Paが選択した選択肢を受け付ける。
【0026】
受付処理S11は、例えば、次の第1の受付処理、第2の受付処理、及び、第3の受付処理の何れかである。第1の受付処理は、接触センサ11に対する第1の人物Paの第1の操作に基づいて、第2の人物Pbを呼び出すための呼び出し処理の選択を受け付ける処理である。第2の受付処理は、接触センサ11に対する第1の人物Paの第2の操作に基づいて、第1の受付処理で選択された呼出処理の実行の選択を受け付ける処理である。第3の受付処理は、接触センサ11に対する第1の人物Paの第3の操作に基づいて、第2の人物Pbを呼び出す呼出理由の選択を受け付ける受付処理である。
【0027】
この受付処理S11は、呼出処理の「実行」(の選択)を受け付ける(すなわち、第2の受付処理)まで繰り返すことができる(ステップS12)。例えば、第1の受付処理、及び、第3の受付処理は、第2の受付処理の前であれば、その何れを前後としてもよい。また、第1の受付処理、及び、第3の受付処理は、同時に行われてもよい。すなわち、第1の受付処理が、第3の受付処理を兼ねることができる。例えば、後述のように、第1の受付処理で選択される選択肢が、「呼び出し処理」と「呼出理由」の双方を表していれば、この選択肢の選択は、第1の操作、第3の操作(第1の受付処理、第3の受付処理)の双方に対応することになる。
【0028】
(2)呼び出し処理S13
制御部14は、第2の受付処理の後に(ステップS12でYES)、呼出処理を実行する。制御部14は、第2の情報提供部12bを制御して、第2の情報提供部12bから、例えば、画像情報、音声情報、又は、これらの双方によって、第2の人物Pbを呼び出す第2の情報を提供させる。この第2の情報は、第3の受付処理で選択された呼出理由の情報を含むことが好ましい。呼び出された第2の人物Pbは、領域Rbから領域Raに移動して、第1の人物Paの状態の確認、対処等を行う。
【0029】
(適用例)
以下、呼び出しシステム1を(1)医療、介護、(2)作業現場に適用した適用例を説明する。また、判り易さのために、第1の情報提供部12a、第2の情報提供部12bは、情報として、画像情報を提供する表示装置であるとする。
【0030】
(1)医療、介護への適用
呼び出しシステム1を医療、介護に適用した例を説明する。第1の人物Paは、医療又は介護の対象者であり、例えば、ベッド上で横になっているとする。
【0031】
図3は、第1の情報提供部12aが提供する第1の情報と接触センサ11の操作との関係を表す模式図である。第1の情報提供部12aは、選択肢として、「呼び出し」、「ベッド調整」、「決定」、及び、「戻る」を表示している。第1の情報提供部12aは、第1の人物Paの指Fが接触している接触面11a上の箇所をカーソルARとして表示する。
【0032】
「呼び出し」は、呼出処理を選択するための第1の選択肢である。「ベッド調整」は、ベッド調整のための呼出処理を選択するための選択肢である。「ベッド調整」は、「呼出処理」を選択するための第1の選択肢であると共に、「呼出理由」を選択するための第3の選択肢でもある。「決定」は、選択した選択肢を確定するための選択肢であり、「呼び出し」又は「ベッド調整」が選択されていれば、呼出処理の実行を選択するための第2の選択肢として機能する。「戻る」は、第1の情報提供部12aに示されない他の選択肢を表示させるための選択肢である。
【0033】
第1の人物Paは、「呼び出し」、又は、「ベッド調整」を選択し、その後に、呼び出しの「決定」を選択することができる。制御部14は、これらの選択を受け付け、呼び出し処理を実行する。すなわち、制御部14は、第2の情報提供部12bを制御して、第2の人物を呼び出すための第2の情報を提供させる。この場合、「ベッド調整」が選択されていれば、第2の情報は、「ベッド調整」の情報を含む。
【0034】
第1の人物Paは、「呼び出し」の選択後に、呼び出し理由の選択肢を選択することができる。呼出理由の選択肢の情報は、第1の情報提供部12aによって提供される。例えば、次のように設定することによって、「決定」を呼び出し理由の選択肢の情報を提供させるための選択肢として利用可能となる。すなわち、「呼び出し」が選択されている場合に、「決定」が選択されると、呼出処理を実行する替わりに、呼出理由の選択肢の情報を提供するように設定する。なお、これに替えて、呼出理由の選択肢の情報提供のための「呼出理由」専用の選択肢を「呼び出し」等と共に、表示させてもよい。
【0035】
図4は、第1の情報提供部12aが提供する呼出理由の選択肢の情報の一例を表す模式図である。第1の情報提供部12aは、選択肢として、「体の異変」、「ベッドからの落下」、「排泄」、「決定」、及び、「戻る」を表示している。
【0036】
「体の異変」、「ベッドからの落下」、及び、「排泄」は、呼び出し理由を選択するための第3の選択肢である。「決定」は、選択した選択肢を確定するための選択肢である。「戻る」は、第1の情報提供部12aに示されない他の選択肢を表示させるための選択肢である。
【0037】
第1の人物Paは、呼び出し理由を選択するための第3の選択肢を選択した後に、呼び出し処理の実行を選択する第2の選択肢を選択することができる。制御部14は、第3の選択肢の選択を受け付けた後に、呼出処理を実行する。この呼出処理において、第2の情報提供部12bが提供する第2の情報は、第3の受付処理で選択された呼出理由(「体の異変」、「ベッドからの落下」、及び、「排泄」の何れか)の情報を含む。
【0038】
(2)作業現場への適用
呼び出しシステム1を作業現場に適用した例を説明する。第1の人物Pa、及び、第2の人物Pbは、それぞれ、作業者、及び、作業の監督者であるとする。
【0039】
作業現場は、領域A1~A3、B1~B3、及び、C1~C3に区分され、各領域において、作業者が作業しているとする。すなわち、複数の第1の人物Pa(作業者)が第2の人物Pbを呼び出し可能とする。複数の第1の人物Paに合わせて、接触センサ11及び第1の情報提供部12aも複数であるとする。複数の第1の人物Paは、それぞれ、接触センサ11を有する衣服Cを着用し、第1の情報提供部12aからの情報の提供を受け得るとする。
【0040】
図5は、第1の情報提供部12aが提供する選択肢の情報の一例を表す模式図である。第1の情報提供部12aは、選択肢として、「A1」~「A3」、「B1」~「B3」、「C1」~「C3」、「決定」、及び、「戻る」を表示している。
【0041】
「A1」~「C3」は、呼出処理を選択するための第1の選択肢であり、呼び出し場所(領域A1~C3)を特定するための選択肢を兼ねている。すなわち、「A1」の選択は、領域A1への呼び出しの選択を意味する。このように、呼出処理の選択肢が呼出処理に付随する情報(ここでは、呼び出される場所)の選択肢を兼ねることによって、第1の人物Paが第2の人物Pbを迅速に呼び出すことが容易となる。また、異なる領域A1~C3において、第1の情報の共通化を図ることができる。
【0042】
「決定」は、選択した選択肢を確定するための選択肢であり、「A1」~「C3」の何れかが選択されていれば、呼出処理の実行を選択するための第2の選択肢として機能する。「戻る」は、第1の情報提供部12aに示されない他の選択肢を表示させるための選択肢である。
【0043】
第1の人物Paは、第1の情報提供部12aの表示内容に基づいて、「A1」~「C3」の何れかを選択し、その後に、呼び出しの「決定」を選択することができる。制御部14は、これらの選択を受け付け、呼び出し処理を実行する。すなわち、制御部14は、第2の情報提供部12bを制御して、第2の人物を呼び出すための第2の情報を提供させる。この場合、「A1」が選択されていれば、第2の情報は、呼び出し元が領域「A1」であるとの情報を含む。
【0044】
第1の人物Paは、例えば、「A1」の選択後に、呼び出し理由の選択肢を選択することができる。呼出理由の選択肢の情報は、第1の情報提供部12aによって提供される。例えば、呼出理由の選択肢の情報提供のための「呼出理由」専用の選択肢を「A1」等と共に、表示させ、「呼出理由」を選択すると呼出理由の選択肢の情報が提供されるようにする。これに替えて、「A1」の選択後に、「決定」が選択されると、呼出処理を実行する替わりに、呼出理由の選択肢の情報を提供するようにしてもよい。この場合、
図5に示す「決定」は、呼出処理の実行を選択するための第2の選択肢としては機能しないことになる。
【0045】
図6は、第1の情報提供部12aが提供する呼出理由の選択肢の情報の一例を表す模式図である。第1の情報提供部12aは、選択肢として、「ケガ・緊急」、「ケガ・軽傷」、「装置・異常」、「装置・メンテナンス」、「決定」、及び、「戻る」を表示している。
【0046】
「ケガ・緊急」は作業者の誰かが負傷して、緊急の対応を要することを表す。「ケガ・軽傷」は、作業者の誰かが負傷したが、比較的軽傷であることを表す。「装置・異常」は、装置に異常が発生したことを表す。「装置・メンテナンス」は、装置のメンテナンスが必要であることを表す。「決定」は、選択した選択肢を確定するための選択肢である。「戻る」は、第1の情報提供部12aに示されない他の選択肢を表示させるための選択肢である。
【0047】
第1の人物Paは、呼び出し理由を選択するための第3の選択肢を選択した後に、呼び出し処理の実行を選択する第2の選択肢を選択することができる。制御部14は、第3の選択肢の選択を受け付けた後に、呼出処理を実行する。この呼出処理において、第2の情報提供部12bが提供する第2の情報は、第3の受付処理で選択された呼出理由(「ケガ・緊急」、「ケガ・軽傷」、「装置・異常」、及び、「装置・メンテナンス」の何れか)の情報を含む。
【0048】
図7は、第2の情報提供部12bが提供する第2の情報の一例を表す模式図である。ここでは、第2の情報提供部12bは、「ケガ・緊急」の選択に対応して、「A2緊急」として、領域A2において、緊急を要する負傷者が発生したことを表示する。
【0049】
ここでは、第2の情報提供部12bは、
図5の第1の情報提供部12aが表す画面と同様の選択肢を表示し、選択され、呼び出しが実行された選択肢を強調し、呼び出し理由も併せて表示している。すなわち、第2の情報提供部12bは、接触センサ11の操作状態のモニタ及び呼び出し処理の双方に用いられている。このように、第2の情報提供部12bによって接触センサ11の操作状態のモニタを可能とすると、第2の人物Pbは、呼び出し処理の前において、第1の人物Paの状況を察知することが容易となる。
【0050】
以上のように、呼び出しシステム1では、第1の人物Paは、第1の情報提供部12aからの支援に基づいて、接触センサ11を操作して、第2の人物Pbを呼び出すことができる。第1の人物Paは、呼出理由を選択し、呼び出し時に呼出理由を提示することができる。
【0051】
[付記]
態様1の呼び出しシステムは、第1の人物が第2の人物を呼び出すための呼び出しシステムであって、繊維状の導電体を有する相互容量式の接触センサであって、前記第1の人物が着用する衣服と一体的に形成可能、又は、前記衣服に取り付け可能であり、且つ、前記第1の人物が操作するための接触センサと、前記第1の人物に、前記接触センサの操作を支援する第1の情報を提供するための第1の情報提供部と、前記第2の人物に、前記第2の人物を呼び出す第2の情報を提供するための第2の情報提供部と、前記接触センサに対する前記第1の人物の操作に基づいて、前記第2の情報提供部から前記第2の情報を提供することによって、前記第2の人物を呼び出す呼出処理を実行する制御部と、を備える。
【0052】
態様1の呼び出しシステム1では、第1の人物Paは、第1の情報提供部12aからの支援に基づいて、接触センサ11を操作して、第2の人物Pbを呼び出すことができる。
【0053】
態様2の呼び出しシステムは、態様1の呼び出しシステムにおいて、前記制御部は、前記接触センサに対する前記第1の人物の第1の操作に基づいて、前記呼出処理の選択を受け付ける第1の受付処理と、前記接触センサに対する前記第1の人物の第2の操作に基づいて、前記第1の受付処理で選択された前記呼出処理の実行の選択を受け付ける第2の受付処理と、を実行した後に、前記呼出処理を実行する。
【0054】
態様2の呼び出しシステム1では、第1の人物Paは、呼出処理を選択し、その後に、選択した呼出処理の実行を選択することができる。この結果、誤った呼び出し処理の発生の低減が図られる。
【0055】
態様3の呼び出しシステムは、態様2の呼び出しシステムにおいて、前記接触センサは、前記第1の人物が直接、又は、間接に接触可能な接触面を有し、前記呼び出しシステムは、前記接触面上の複数の位置と、複数の選択肢とを対応して表すテーブルを記憶する記憶部を備え、前記複数の選択肢は、前記呼出処理を選択するための第1の選択肢、及び、前記呼出処理の実行を選択するための第2の選択肢を含み、前記制御部は、前記第1の人物が接触した前記接触面上の位置、及び、前記テーブルに基づいて、前記第1の受付処理、及び、前記第2の受付処理を実行する。
【0056】
態様3の呼び出しシステム1では、接触センサ11の接触面11a上の複数の位置と、複数の選択肢とを対応して表すテーブルTに基づいて、制御部14は、呼出処理を選択するための第1の選択肢、及び、前記呼出処理の実行を選択するための第2の選択肢の選択を受け付けることができる。
【0057】
態様4の呼び出しシステムは、態様2又は3の何れかの呼び出しシステムにおいて、前記制御部は、前記接触センサに対する前記第1の人物の第3の操作に基づいて、前記第2の人物を呼び出す呼出理由の選択を受け付ける第3の受付処理を実行した後に、前記呼出処理を実行し、前記呼出処理において提供される前記第2の情報は、前記第3の受付処理で選択された呼出理由の情報を含む。
【0058】
態様4の呼び出しシステム1では、第1の人物Paは、第2の人物Pbを呼び出す呼出理由を選択し、第2の人物Pbの呼び出し時に選択した呼出理由を提示することができる。
【0059】
態様5の呼び出しシステムは、態様1~4何れかの呼び出しシステムにおいて、前記接触センサは、前記衣服の左袖、右袖の少なくとも一方に取り付けられ、又は、前記衣服の左袖、右袖の少なくとも一方と一体的に形成される。
【0060】
態様5の呼び出しシステム1では、第1の人物Paは、利き手で、その利き手と反対側の袖に配置される接触センサを操作することができる。第1の人物Paは、その利き手の反対側の袖に接触センサが配置される衣服を着用することで、接触センサ11を利き手で容易に操作することができる。また、左袖、右袖の双方に接触センサ11が配置される衣服Cを用いると、第1の人物Paの利き手が左右何れであっても、利き手で接触センサ11を容易に操作することができる。
【0061】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 システム、11 接触センサ、11a 接触面、111 補助装置、12a 第1の情報提供部、12b 第2の情報提供部、13 記憶部、14 制御部、Pa 第1の人物、Pb 第2の人物