(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007338
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ペースト注入器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20250109BHJP
A61C 5/00 20170101ALI20250109BHJP
【FI】
A61M5/315 512
A61C5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108656
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】301069384
【氏名又は名称】クラレノリタケデンタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川名 麻梨子
(72)【発明者】
【氏名】野尻 大和
(72)【発明者】
【氏名】安宅 謙介
(72)【発明者】
【氏名】村山 百恵
(72)【発明者】
【氏名】武井 満
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 智
(72)【発明者】
【氏名】大平 宗幸
【テーマコード(参考)】
4C052
4C066
【Fターム(参考)】
4C052AA17
4C052HH01
4C052HH08
4C052HH10
4C066BB01
4C066CC04
4C066CC09
4C066EE18
4C066HH13
4C066HH18
(57)【要約】
【課題】ペースト収納室の内周面と弾性体の間のシール性を保ちながら、プランジャの長手方向への移動しやすさを調整しやすいペースト注入器を提供する。
【解決手段】ペースト注入器1は、シリンジ3と、プランジャ5と、弾性体(Oリング17)とを有している。シリンジ3は、断面形状が楕円形状のペースト収納室49を有する。プランジャ5は、ペースト収納室49内に挿入して長手方向Xに移動可能であり、先端部(弾性体ホルダ15)の断面形状がペースト収納室49の断面形状より小さく、ペースト収納室49の断面形状に相似した楕円形状であって、環状溝部81Dが形成されている。Oリング17は、環状溝部81Dに取り付けられて楕円形状に引き伸ばされる。プランジャ5をシリンジ3に挿入すると、Oリング17はペースト収納室49の内周面に接触して圧縮される。Oリング17の長軸方向の圧縮率は、短軸方向の圧縮率よりも大きい。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延び、内部に前記長手方向と直交する断面形状が楕円形状のペースト収納室を有するシリンジと、
前記ペースト収納室内に挿入されて前記長手方向に移動可能であり、少なくとも先端部の前記長手方向と直交する断面形状が前記ペースト収納室の断面形状より小さく、前記ペースト収納室の断面形状に相似した楕円形状であって、前記先端部の外周部に環状溝部が形成されたプランジャと、
前記環状溝部に取り付けられて楕円形状に引き伸ばされ、前記環状溝部からはみ出た状態で固定される円環状の弾性体と、を備え、
前記環状溝部に前記弾性体を取り付けた状態で前記プランジャを前記シリンジに挿入すると、前記弾性体は、前記ペースト収納室の内周面に接触して圧縮され、
前記圧縮された前記弾性体の長軸方向の圧縮率は、短軸方向の圧縮率よりも大きい
ことを特徴とするペースト注入器。
【請求項2】
前記プランジャの前記先端部は、胴部と、頂部と、前記胴部と前記頂部の間に形成されたネック部を有しており、
前記環状溝部は、前記ネック部と、前記ネック部を挟んで対向する前記胴部及び前記頂部によって形成されており、
前記圧縮率(%)は、下記式により求められることを特徴とする請求項1に記載のペースト注入器。
C=(Wr-Gd)/Wr×100
但し、
C:圧縮率[%]
Wr:弾性体の線径[mm]
Gd:ネック部の外周面からペースト収納室の内周面までの距離[mm]
【請求項3】
前記ペースト収納室の断面形状の楕円形状、及び、前記プランジャの先端部の断面形状の楕円形状の長軸方向の寸法は、短軸方向の寸法を1とした場合に、1.1~2.0の間である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のペースト注入器。
【請求項4】
前記プランジャは、プランジャ本体と、前記プランジャ本体の先端に緩く係合して、前記先端部を構成する弾性体ホルダと、から構成されており、
前記弾性体ホルダは、前記環状溝部に前記弾性体を取り付けた状態で前記プランジャを前記シリンジに挿入した後、前記プランジャが引き戻されると、前記プランジャ本体から分離され、前記シリンジ内に取り残されるようになっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のペースト注入器。
【請求項5】
歯科材料であるペーストの注入に使用されることを特徴とする請求項1に記載のペースト注入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト注入器に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状の歯科材料を所望の位置に吐出するためのペースト注入器が知られている。ペースト注入器は、長手方向に延び、内部にペースト収納室を有するシリンジと、シリンジ内に挿入可能であり、長手方向に移動可能なプランジャと、プランジャの先端部に装着され、ペースト収納室の内周面と密着する弾性体とを備えている。ペースト注入器として、例えば、特許文献1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のペースト注入器のシリンジのペースト収納室は、中空の円筒状のものであり、プランジャは、ペースト収納室の形状に対応して、長手方向と直交する断面形状は円状である。
【0005】
ペースト収納室内のシール性を重視する場合、ペースト収納室の内周面に弾性体が強く密着していることが望ましいが、このように構成すると、プランジャの長手方向への移動が困難になる。これに対して、プランジャの長手方向への移動しやすさを重視する場合、ペースト収納室の内周面に弾性体が弱く密着していることが望ましいが、このように構成すると、内周面と弾性体の間に生じた隙間からペーストが漏れ出てしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、ペースト収納室の内周面と弾性体の間のシール性を保ちながら、プランジャの長手方向への移動しやすさを調整しやすいペースト注入器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のペースト注入器は、長手方向に延び、内部に前記長手方向と直交する断面形状が楕円形状のペースト収納室を有するシリンジと、前記ペースト収納室内に挿入されて前記長手方向に移動可能であり、少なくとも先端部の前記長手方向と直交する断面形状が前記ペースト収納室の断面形状より小さく、前記ペースト収納室の断面形状に相似した楕円形状であって、前記先端部の外周部に環状溝部が形成されたプランジャと、前記環状溝部に取り付けられて楕円形状に引き伸ばされ、前記環状溝部からはみ出た状態で固定される円環状の弾性体と、を備えている。そして、前記環状溝部に前記弾性体を取り付けた状態で前記プランジャを前記シリンジに挿入すると、前記弾性体は、前記ペースト収納室の内周面に接触して圧縮され、前記圧縮された前記弾性体の長軸方向の圧縮率は、短軸方向の圧縮率よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
このようにすることで、本発明のペースト注入器は、ペースト収納室の内周面と弾性体の間のシール性を保ちながら、プランジャの長手方向への移動しやすさを調整しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のスタティックミキサーを備えたペースト注入器の斜視図である。
【
図2】実施例1のペースト注入器の分解斜視図である。
【
図3】実施例1のシリンジの先端部に固定されたスタティックミキサーを、長手方向に延びる中心軸を通る位置で幅方向に切断した断面図である。
【
図7A】実施例1のプランジャ本体の正面図である。
【
図7B】実施例1のプランジャ本体の側面図である。
【
図7C】実施例1のプランジャ本体の平面図である。
【
図7D】実施例1のプランジャ本体の底面図である。
【
図8】
図7Aに示したVIII-VIII線断面図である
【
図10】実施例1のペースト注入器において、環状溝部にOリングを取り付けた状態の弾性体ホルダを、ネック部の部分で長手方向と直交する幅方向に切断した断面図である。
【
図11】実施例1のペースト注入器において、環状溝部にOリングを取り付けた状態の弾性体ホルダを、シリンジのペースト収納室内に挿入した状態で、ネック部の部分で長手方向と直交する幅方向に切断した場合の断面図(模式図)と、その際の正面方向及び側面方向から見た場合の断面図(模式図)である。
【
図12A】実施例1のミキシングチップ本体部の斜視図である。
【
図12B】実施例1のミキシングチップ本体部の底面図である。
【
図14A】実施例1のミキサーハウジングの斜視図である。
【
図14B】実施例1のミキサーハウジングの底面図である。
【
図16A】実施例1のミキサー外装体の正面図である。
【
図16B】実施例1のミキサー外装体の平面図である。
【
図16C】実施例1のミキサー外装体の底面図である。
【
図19A】実施例1のキャップ内側部材の斜視図である。
【
図19B】実施例1のキャップ内側部材の底面図である。
【
図21A】実施例1のキャップ外装体の正面図である。
【
図21B】実施例1のキャップ外装体の平面図である。
【
図21C】実施例1のキャップ外装体の底面図である。
【
図24】実施例1のペースト注入器において、スタティックミキサーをシリンジに被せて固定する前段階の様子を示す図である。
【
図25】実施例1のペースト注入器において、ミキサー外装体のみが回転した後のスタティックミキサーの底面図である。
【
図26】実施例2のペースト注入器の分解斜視図である。
【
図27】実施例2のシリンジの先端部に固定されたスタティックミキサーを、長手方向に延びる中心軸を通る位置で幅方向に切断した断面図である。
【
図28A】実施例2のシリンジの先端部の斜視図である。
【
図29A】実施例2のミキシングチップ本体部の斜視図である。
【
図29B】実施例2のミキシングチップ本体部の底面図である。
【
図30A】実施例2のミキサーハウジングの斜視図である。
【
図31A】実施例2のミキサー外装体の正面図である
【
図31B】実施例2のミキサー外装体の側面図である。
【
図31C】実施例2のミキサー外装体の平面図である。
【
図31D】実施例2のミキサー外装体の底面図である。
【
図32A】実施例2のキャップ外装体の正面図である。
【
図32B】実施例2のキャップ外装体の側面図である。
【
図32C】実施例2のキャップ外装体の平面図である。
【
図32D】実施例2のミキサー外装体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のスタティックミキサー、及び、ペースト注入器の実施形態について、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【0011】
(実施例1)
<全体構成>
図1は、実施例1のスタティックミキサー7を備えたペースト注入器1の斜視図であり、
図2は、実施例1のペースト注入器1の分解斜視図である。本実施例1では、
図2に示すように、ペースト注入器1に対して、長手方向(X)、幅方向(Y)、厚み方向(Z)を定義する。
【0012】
図1に示すように、ペースト注入器1は、シリンジ3と、プランジャ5と、スタティックミキサー7と、ガイドチップ9とを備えている。実施例1のペースト注入器1は、シリンジ3内に個別に充填された2種類のペーストをプランジャ5で押し出して、スタティックミキサー7により使用直前に混ぜ合わせて歯科材料として調製しながら、ガイドチップ9を介して、所望の位置(患部や歯の被せ物等)に注入するものである。なお、ガイドチップ9は、必要に応じてスタティックミキサー7に対して嵌め殺し状態で装着されるノズル部材である。ペースト注入器1は、ガイドチップ9がスタティックミキサー7に取り付けられていなくても使用可能である。
【0013】
ペースト注入器1は、保管時や搬送時では、シリンジ3の先端部(後述するシリンジ本体41の一方の端部41A)に、スタティックミキサー7に代えて、
図2に示すキャップ11が固定される。本明細書では、シリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)に着脱可能に装着されるスタティックミキサー7及びキャップ11をまとめて、装着部材Mと呼ぶ。シリンジ3、プランジャ5、装着部材M(スタティックミキサー7またはキャップ11)は、
図2に示した長手方向Xに延び、各部材の中心を通る中心軸CAを一致させた状態で組み合わされる。
【0014】
シリンジ3は、内部に予めペーストが充填され、プランジャ5が挿入された状態で流通される。プランジャ5は、プランジャ本体13と、プランジャ本体13の先端に緩く係合する弾性体ホルダ15と、弾性体ホルダ15に取り付けられる円環状のOリング(弾性体)17とから構成されている。ここで「緩く係合する」とは、シリンジ3とOリング17との摩擦力によって、プランジャ本体13から弾性体ホルダ15が外れる程度の係合力で係合することである。そして、弾性体ホルダ15とOリング17により、プランジャ5の先端部が形成されている。なお、プランジャ5は、プランジャ本体13と弾性体ホルダ15に分離しない、一体のものであってもよいのはもちろんである。この場合には、プランジャ5の先端部に直接、円環状のOリング17が取り付けられればよい。
【0015】
スタティックミキサー7は、ミキシングチップ本体部19と、ミキサーハウジング21と、ミキサー外装体23とから構成されている。
【0016】
キャップ11は、キャップ内側部材25と、キャップ外装体27とから構成されている。
【0017】
[ペーストの流路]
図3は、シリンジ3の先端部に固定されたスタティックミキサー7を、長手方向Xに延びる中心軸CAを通る位置で幅方向Yに切断した断面図である。
【0018】
スタティックミキサー7内には、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21によって、ペーストの流路が形成される。ペーストの流路は、実施例1では、ペースト通路29及びペースト通路29´と、中間通路31と、ミキシング通路33から構成されている。ペースト通路29,29´は、中心軸CAを中心にした円周上に並び、幅方向Yに沿って対称に配置され、それぞれ長手方向Xに延びている。ミキシング通路33は、ペースト通路29,29´よりペースト流れ方向の下流に位置し、長手方向Xに延びる中心軸CAを中心にして延びている。中間通路31は、ペースト通路29,29´と、ミキシング通路33をつなぐ通路である。
【0019】
ペースト通路29は、シリンジ3のペースト収納室49から排出されたペーストが流れる通路である。ペースト通路29は、ペーストが流入する流入孔29Aと、ペーストが流出する流出孔29Bを有しており、ミキシングチップ本体部19内に形成されている。ここで、流入孔29Aの開口面積は、流出孔29Bの開口面積よりも大きい。さらに、流出孔29Bの開口中心点は、流入孔29Aの開口中心点よりも中心軸CAに近い位置に設定されている。
【0020】
そして、ペースト通路29の内周面は、厚み方向Zに直交する断面で見たときに中心軸CAから離れた遠位面29Cにテーパ部を有している。実施例1の遠位面29Cが有するテーパ部は、流入孔29Aから流出孔29Bに向かうにつれて、次第に中心軸CAに近づくテーパ状に形成されている。つまり、実施例1のテーパ部は、流入孔29Aから流出孔29Bまで、一定の角度で傾斜して延びている。また、ペースト通路29の内周面は、厚み方向Zに直交する断面で見たときに中心軸CAに近い近位面29Dが、流入孔29Aから流出孔29Bに至るまで中心軸CAに対して平行に延び、中心軸CAに沿っている。このため、実施例1のペースト通路29の中心軸CA(長手方向X)に直交する断面の面積は、流入孔29Aから流出孔29Bに至るまで、一定の割合で次第に小さくなっていく。
【0021】
ペースト通路29´は、シリンジ3のペースト収納室49´から排出されたペーストが流れる通路である。ペースト通路29´は、ペースト通路29と同様の構成をしているため、ペースト通路29の各部の符号に「´」を付して、説明を省略する。
【0022】
そして、ペースト通路29とペースト通路29´は、同等の大きさに形成されており、中心軸CAを中心に幅方向Yに沿って対称形状を呈している。すなわち、流入孔29Aと流入孔29A´は同一の開口面積に設定され、流出孔29Bと流出孔29B´は同一の開口面積に設定されている。また、中心軸CAに沿って見たときの中心軸CAから流入孔29Aの中心までの距離と、中心軸CAから流入孔29A´までの距離は同一である。また、中心軸CAに沿って見たときの中心軸CAから流出孔29Bの中心までの距離と、中心軸CAから流出孔29B´までの距離は同一である。さらに、中心軸CAに対する遠位面29Cの傾斜角度と、中心軸CAに対する遠位面29C´の傾斜角度は同一角度である。
【0023】
中間通路31は、流出孔29B,29B´から流出したペーストを合流位置JPまで導く通路である。実施例1では、流出孔29Bと流出孔29B´の間に、逆流防止壁35が設けられている。逆流防止壁35は、中間通路31を流出孔29B側と流出孔29B´側とに区画し、一方の流出孔29B(29B´)から出たペーストが他方の流出孔29B´(29B)に流入することを防ぐ。ここでは、逆流防止壁35は、流出孔29B,29B´が形成されたミキシングチップ本体部19の端面から起立し、中心軸CAに沿って合流位置JPまで延びている。逆流防止壁35は、根本部分にペーストを合流位置JPに向ける湾曲面35A,35A´が形成されている。
【0024】
ミキシング通路33は、合流位置JPで合流したペーストが混合されながら通る通路であり、長手方向Xに延びる中心軸CAを中心にして延びている。ミキシング通路33は、ミキサーハウジング21の円筒状に延びるエレメントハウジング部37と、逆流防止壁35の端部から延び、エレメントハウジング部37に挿入されたエレメント群39から構成されている。
【0025】
[装着部材の固定]
装着部材Mであるスタティックミキサー7またはキャップ11は、シリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)に着脱可能に装着される。以下では、その固定構造について説明する。
【0026】
ここで、装着部材Mは、内側部材IMと、外装体OMとから構成されている。装着部材Mがスタティックミキサー7の場合、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21が内側部材IMを構成し、ミキサー外装体23が外装体OMを構成する。また、装着部材Mがキャップ11の場合、キャップ内側部材25が内側部材IMを構成し、キャップ外装体27が外装体OMを構成する。
【0027】
スタティックミキサー7では、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21(内側部材IM)が、ミキサー外装体23(外装体OM)の内側に配置されている。また、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21は、ミキサー外装体23に対して、中心軸CAを中心にして、その周りを所定角度範囲内で相対回転可能に構成されている。また、キャップ11でも同様に、キャップ内側部材25(内側部材IM)が、キャップ外装体27(外装体OM)の内側に配置されている。そして、キャップ内側部材25は、キャップ外装体27に対して、中心軸CAを中心にして、その周りを所定角度範囲内で相対回転可能に構成されている。
【0028】
そして、シリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)が中心軸CAに沿って内側部材IMを介して外装体OMに挿入されたとき、内側部材IMはシリンジ3に対して回転不能になるが、外装体OMはシリンジ3に対して回転可能である。この状態で外装体OMが中心軸CAを中心にして回転することで、シリンジ3に対して外装体OMのみが回転し、装着部材Mはシリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)に係合構造を介して固定される。
【0029】
係合構造は、シリンジ3に形成された係合部45と外装体OMであるミキサー外装体23に形成された被係合部107からなる係合組、或いは、シリンジ3に形成された係合部45と外装体OMであるキャップ外装体27に形成された被係合部129からなる係合組を三組以上(実施例1では三組)有している。係合部45、被係合部107及び被係合部129の詳細な構成は後述する。
【0030】
【0031】
シリンジ3は、長手方向Xに延びる筒状体であり、シリンジ本体41と、2つの突出部43,43´と、係合部45と、指掛け部47と、を備えている。
【0032】
シリンジ本体41は、内部に、ペーストが充填される複数(ここでは2つ)のペースト収納室49及びペースト収納室49´が形成されている。2つのペースト収納室49,49´は、シリンジ本体41の内部で、幅方向Yに沿って並んでおり、同形状に形成されている。シリンジ本体41の一方の端部41Aには、長手方向Xと直交する幅方向Yに切断した形状が円形の円形壁部41aが形成されており、他方の端部41Bには、指掛け部47が形成されている。
【0033】
2つの突出部43,43´は、シリンジ本体41の一方の端部41A(円形壁部41a)の端面から長手方向Xに突出し、先端がそれぞれ排出口51,51´となる筒状部である。突出部43の内周部はペースト収納室49の一部を構成し、突出部43´の内周部はペースト収納室49´の一部を構成している。なお、2つの突出部43,43´は、円形壁部41aから起立した起立壁41cを介して連結され、傾きが規制されている。
【0034】
係合部45は、装着部材Mをシリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)に固定する係合構造を構成し、装着部材M(スタティックミキサー7及びキャップ11)の被係合部(被係合部107及び被係合部129)と係合する部分である。実施例1では、係合部45は、
図4Cに示されたように、シリンジ本体41の円形壁部41aの外周面に形成された3つの突起片45A,45B,45Cで構成されている。
【0035】
突起片45A,45B,45Cは、外装体OMの回転方向に沿って並ぶと共に、中心軸CAに沿って見たとき、外装体OMの回転中心である中心軸CAを中心点とした非点対称になっている。なお、「点対称」は、一般的に対称点を中心として図形を180°回転したときに元の図形と重なることをいうが、ここでの「非点対称」とは、中心軸CAを中心点にしてシリンジ3が回転したとき、360°回転したとき以外、突起片45A,45B,45C同士が重ならないことをいう。
【0036】
そして、実施例1では、突起片45A,45B,45Cは、外装体OMの回転方向に沿って非等間隔で並んでいる。ここでは、突起片45Aから突起片45Bまでの回転方向の距離と、突起片45Aから突起片45Cまでの回転方向の距離とは同じ長さである。一方、突起片45Bから突起片45Cまでの回転方向の距離は、突起片45Aから突起片45Bまでの距離及び突起片45Aから突起片45Cまでの距離よりも短くなっている。
【0037】
さらに、突起片45A,45B,45Cは、それぞれ中心軸CAに沿って見たときに異なる形状を呈している。すなわち、突起片45Aの回転方向の長さは、突起片45B及び突起片45Cの回転方向の長さより長い。一方、突起片45B及び突起片45Cの回転方向の長さは同じであるが、円形壁部41aの外周面から突出する方向が異なっている。
【0038】
なお、突起片45Bと突起片45Cは、中心軸CA及び突起片45Aの周方向中心位置を通る対称軸ASに対して、線対称の形状をしている。円形壁部41aの表面には、突起片45Aの位置を示す矢印AR1が刻印されている。
【0039】
指掛け部47は、シリンジ本体41の他方の端部41Bの外周面から幅方向Y及び厚み方向Zに延びるフランジ状の部分である。実施例1の指掛け部47は、
図4C及び
図4Dに示すように、外周形状が略六角形に構成されている。なお、指掛け部47には、少なくとも一方の端部41A側の表面47aに、シボ加工が施されてもよい。表面47aにシボ加工が施されることで、使用時に指が滑ることを防止できると共に、ゲート痕を目立たなくして外観の品質向上を図ることができる。
【0040】
シリンジ本体41の外周面は、
図6に示すように、一対の幅方向外周面57,57´と、一対の厚み方向外周面59,59´と、4カ所の連結外周面61と、を有している。
【0041】
一対の幅方向外周面57,57´は、シリンジ本体41の外周面のうち、厚み方向Zに沿って互いに反対側に位置する面である。幅方向外周面57,57´は、それぞれ長手方向X及び幅方向Yに沿って平らな平坦部57Aを有している。また、幅方向外周面57,57´には、長手方向Xに延びると共に、平坦部57Aよりもへこんだ溝状のへこみ部57Bがそれぞれ形成されている。へこみ部57Bは、シリンジ本体41の内部に形成された2つのペースト収納室49,49´の間に位置し、平坦部57Aはへこみ部57Bによって幅方向Yに沿って二つに分割されている。また、へこみ部57Bは、深くなるにしたがって幅方向Yの長さが次第に狭くなる断面楔状を呈している。
【0042】
一対の厚み方向外周面59,59´は、シリンジ本体41の外周面のうち、幅方向Yに沿って互いに反対側に位置する面である。厚み方向外周面59,59´は、所定の曲率半径で幅方向Yの外方に湾曲しており、ここではR5の曲面に設定されている。
【0043】
連結外周面61は、シリンジ本体41の外周面のうち、幅方向外周面57と厚み方向外周面59の間、幅方向外周面57´と厚み方向外周面59の間、幅方向外周面57と厚み方向外周面59´の間、幅方向外周面57´と厚み方向外周面59´の間にそれぞれ設定された面である。連結外周面61は、所定の曲率半径(例えば曲率半径R1~R5、実施例1ではR1.5)で湾曲し、幅方向外周面57と厚み方向外周面59、幅方向外周面57´と厚み方向外周面59、幅方向外周面57と厚み方向外周面59´、幅方向外周面57´と厚み方向外周面59´を、それぞれ滑らかに連続する。実施例1では、連結外周面61と一対の厚み方向外周面59,59´は、異なる曲率半径に設定された複数の曲面を組み合わせて形成されている。なお、連結外周面61と一対の厚み方向外周面59,59´は、同一曲率半径に設定された曲面によって形成されてもよい。
【0044】
ペースト収納室49は、一方の端部49A(突出部43)に、ペースト収納室49の一端を開放し、プランジャ5によって押し出されたペーストが排出される排出口51を有し、他方の端部49Bに、ペースト収納室49の他端を開放する充填口53を有している。ペースト収納室49は、一方の端部49Aにおいて、ペースト収納室49に挿入されたプランジャ5の先端部(弾性体ホルダ15の頂部83)が嵌る先細り形状を有している。また、他方の端部49Bの内周面には、ペースト収納室49に挿入されたプランジャ5が抜け落ちることを防ぐ、抜止突起55が設けられている。なお、ペースト収納室49´は、ペースト収納室49と同様の構成をしているため、ペースト収納室49の各部と同一の符号を付して、説明を省略する。
【0045】
ペースト収納室49は、
図6に示すように、長手方向Xと直交する方向で切断した断面形状が、長軸方向LAが厚み方向Zに沿い、短軸方向SAが幅方向Yに沿う楕円形状になっている。なお、「楕円形状」とは、幾何学で定義される楕円形のほか、楕円形に近似する形状、例えば長円形(オーバル、二つの半円を二本の直線で結んだ形状)、楕円弓形(楕円の一部を直線に沿って切り欠いた形状)、扁平楕円(楕円形を長軸または短軸方向につぶした形状)、小判形等を含む概念である。実施例1では、ペースト収納室49の内周面は、長手方向X及び厚み方向Zに沿って平らな一対の内側平坦面部63,63´と、所定の曲率で湾曲した一対の内側湾曲面部65,65´と、によって構成されている。
【0046】
一対の内側平坦面部63,63´は、ペースト収納室49の内部空間を挟んで幅方向Yに沿って対向する。また、一対の内側湾曲面部65,65´は、ペースト収納室49の内部空間を挟んで厚み方向Zに対向すると共に、一対の内側平坦面部63,63´を滑らかに連続する。これにより、実施例1では、ペースト収納室49の内周面の断面形状が、扁平楕円を呈する。
【0047】
また、実施例1では、ペースト収納室49の内周面の楕円形状の長軸方向LAの長さ寸法T1は、短軸方向SAの長さ寸法W1を1とした場合に、1.1~2.0の範囲内であることが好ましい。実施例1では、長軸方向LAの長さ寸法T1は、短軸方向SAの長さ寸法W1を1として、1.3に設定されている。また、長軸方向LAの長さ寸法T1は、具体的には5mm~20mmであることが好ましく、短軸方向SAの長さ寸法W1は、4.5mm~10mmであることが好ましい。
【0048】
[プランジャ本体]
図7Aはプランジャ本体13の正面図、
図7Bは側面図、
図7Cは平面図、
図7Dは底面図である。また、
図8は、
図7Aに示したVIII-VIII線断面図である。
【0049】
プランジャ本体13は、押圧部67と、2本の棒状部69及び棒状部69´とを備えている。
【0050】
押圧部67は、使用者が指2本(例えば、人差し指と中指)でシリンジ3を挟み、且つ、指掛け部47に指を掛けた状態で、シリンジ3内にプランジャ5を押し込むために、指(例えば、親指)で押圧する部分である。
図7Dに示すように、押圧部67は、外周形状が幅方向Yに長い楕円形状をしており、中央部に2本の棒状部69,69´が配置されている。押圧部67は、使用者が指で押圧しやすいように、棒状部69,69´が延びる方向に底面が湾曲している。
【0051】
棒状部69,69´は、押圧部67から長手方向Xに沿って平行に延びる棒状の部分である。実施例1では、棒状部69,69´は、押圧部67の長軸方向(幅方向Y)に沿って所定の間隔をあけて並んでおり、ペースト収納室49,49´にそれぞれ同時に挿入される。ここで、棒状部69と棒状部69´は同形状を呈しており、いずれもペースト収納室49,49´の双方に挿入可能である。つまり、棒状部69がペースト収納室49に挿入されたときは、棒状部69´がペースト収納室49´に挿入され、棒状部69がペースト収納室49´に挿入されたときは、棒状部69´がペースト収納室49に挿入される。
【0052】
棒状部69は、
図8に示すように、幅方向Yの断面形状が、厚み方向Zに延びる厚み方向壁部71Aと、幅方向Yに延びる幅方向壁部71Bの組み合わせからなる十字状に形成されている。厚み方向壁部71Aの厚み方向Zの長さ寸法は、幅方向壁部71Bの幅方向Yの長さ寸法よりも大きくなっている。棒状部69がペースト収納室49(49´)内に挿入されると、厚み方向壁部71Aの先端がペースト収納室49(49´)の内側湾曲面部65,65´に沿い、幅方向壁部71Bの先端がペースト収納室49(49´)の内側平坦面部63,63´に沿うようになっている。
【0053】
幅方向壁部71Bの長手方向Xの一方の端部には、幅方向Yに突出するように形成された一対の突出部73,73と、一対の肉抜き部75,75とが形成されている。これにより、棒状部69をペースト収納室49(49´)内に挿入すると、幅方向壁部71Bは、一対の突出部73,73が内側平坦面部63,63´に接触し、一対の肉抜き部75,75が形成された部分が撓む。これにより、棒状部69は、幅方向Yの位置決めがなされ、がたつきが防止される。また、同様に、棒状部69のがたつき防止を目的として、厚み方向壁部71A及び幅方向壁部71Bには、複数の突出部77が形成されている。
【0054】
棒状部69は、先端に、弾性体ホルダ15が緩く係合するホルダ係合部79が形成されている。ホルダ係合部79は、弾性体ホルダ15の底面81Aに接触する先端壁部79Aと、先端壁部79Aから長手方向Xに延び出て、弾性体ホルダ15の底面81Aに形成された被係合孔81Bに差し込まれる係合突起79Bを備えている。
図7Cに示すように、先端壁部79Aは、外周形状が、ペースト収納室49(49´)の断面形状に沿う楕円形状になっている。棒状部69がペースト収納室49(49´)内に挿入したとき、突出部73,73や突出部77が抜止突起55(55´)を乗り越えると、抜止突起55(55´)が突出部73等に引っ掛かり、プランジャ5が抜け落ちるのを防止するようになっている。
【0055】
棒状部69´は、棒状部69と同様の構成をしているため、棒状部69の各部の符号に「´」を付して、説明を省略する。
【0056】
[弾性体ホルダ]
図9Aは、弾性体ホルダ15の斜視図であり、
図9Bは、底面図である。
【0057】
弾性体ホルダ15は、プランジャ本体13の先端のホルダ係合部79,79´に1つずつ緩く係合され、プランジャ5の先端部を構成するものである。弾性体ホルダ15は、胴部81と、頂部83と、ネック部85とを有している。胴部81は、幅方向Yの断面形状が楕円形状の部分である。胴部81の底面81Aには、ホルダ係合部79の係合突起79B又はホルダ係合部79´の係合突起79B´が差し込まれる被係合孔81Bが形成されている。胴部81の外周面81Cは、ペースト収納室49(49´)の内周面(内側平坦面部63,63´及び内側湾曲面部65,65´)の楕円形状に沿う楕円形状を有している。頂部83は、先端に向かうにしたがって細くなる形状を有している。ネック部85は、胴部81と頂部83の間に形成された楕円形状の部分である。ネック部85と、ネック部85を挟んで対向する胴部81及び頂部83によって、Oリング17が取り付けられる環状溝部81Dが形成されている。
【0058】
胴部81の楕円形状は、ペースト収納室49(49´)の断面形状より小さく、また、ペースト収納室49(49´)の断面形状に相似した断面形状であり、ペースト収納室49(49´)の内周面の楕円形状に沿うものである。このため、弾性体ホルダ15がペースト収納室49(49´)に挿入されたとき、胴部81の外周面81Cからペースト収納室49(49´)の内周面までの距離は、胴部81の全周にわたって一定になる。また、実施例1では、ペースト収納室49(49´)と同様に、胴部81の楕円形状の長軸方向の長さ寸法T2は、短軸方向の長さ寸法W2を1とした場合に、1.1~2.0の範囲内であることが好ましい。具体的には、実施例1では、長軸方向の長さ寸法T2は、短軸方向の長さ寸法W2を1として、1.3に設定されている。
【0059】
ネック部85の楕円形状は、胴部81の楕円形状より小さく、胴部81の楕円形状に相似した断面形状である。つまり、ネック部85の楕円形状は、ペースト収納室49(49´)の断面形状に相似した断面形状である。このため、弾性体ホルダ15がペースト収納室49(49´)に挿入されたとき、ネック部85の外周面85Cからペースト収納室49(49´)の内周面までの距離は、ネック部85の全周にわたって一定になる。また、実施例1では、ネック部85の楕円形状の長軸方向の長さ寸法と短軸方向の長さ寸法との比率は、胴部81の楕円形状と同じ比率に設定されている。
【0060】
図10は、環状溝部81DにOリング17を取り付けた状態の弾性体ホルダ15を、ネック部85の部分で長手方向Xと直交する幅方向Yに切断した断面図である。ここで、Oリング17は、円環状であるが、ネック部85が楕円形状を呈している。そのため、Oリング17は、環状溝部81Dに取り付けられると、長軸方向(厚み方向Z)に引き伸ばされて、楕円形状となる。楕円形状になったOリング17の長軸方向の長さ寸法T3は、胴部81の楕円形状の長軸方向の長さ寸法T2よりも大きい。また、楕円形状になったOリング17の短軸方向の長さ寸法W3は、胴部81の楕円形状の短軸方向の長さ寸法W2よりも大きい。そのため、Oリング17は、環状溝部81Dからはみ出た状態で固定される。
【0061】
また、Oリング17のうち、長軸方向(厚み方向Z)に引き伸ばされる領域aには、長軸方向(厚み方向Z)に引き伸ばされない領域bよりも強い引張力が作用する。これにより、
図10に示されたように、領域aにおけるOリング17の線径ΔAは、領域bにおける線径ΔBよりも細くなり、Oリング17は、周方向の位置によって線径に違いが生じる。なお、「Oリング17の線径」とは、Oリング17の断面太さである。そして、周方向の位置によってOリング17の線径に違いが生じることで、環状溝部81DからのOリング17のはみ出し量が異なり、線径が細い部分(例えば領域a)ほど、環状溝部81Dからのはみ出し量が少なくなる。
【0062】
さらに、楕円形状になったOリング17の長軸方向の長さ寸法T3は、ペースト収納室49或いはペースト収納室49´の内周面の楕円形状の長軸方向の長さ寸法T1よりわずかに大きい。また、楕円形状になったOリング17の短軸方向の長さ寸法W3は、ペースト収納室49或いはペースト収納室49´の内周面の楕円形状の短軸方向の長さ寸法W1よりわずかに大きい。そのため、弾性体ホルダ15をシリンジ3のペースト収納室49(49´)内に挿入すると、Oリング17は、ペースト収納室49(49´)の内周面に接触し、ペースト収納室49(49´)の内周面とネック部85の外周面85Cとに挟まれて圧縮される。
【0063】
図11は、環状溝部81DにOリング17を取り付けた状態の弾性体ホルダ15を、シリンジ3のペースト収納室49内に挿入した状態で、ネック部85の部分で長手方向Xと直交する幅方向Yに切断した場合の断面図(模式図)と、その際の正面方向及び側面方向から見た場合の断面図(模式図)である。
図11では、環状溝部81Dからはみ出していてペースト収納室49に挿入されることで圧縮されるOリング17の部分をグレーに着色して表現しており、圧縮される前のOリング17の状態を破線で示している。
【0064】
図11に示すように、環状溝部81DにOリング17を取り付けた状態でプランジャ5をシリンジ3に挿入すると、Oリング17は、ペースト収納室49の内周面(内側平坦面部63,63´及び内側湾曲面部65,65´)及びネック部85の外周面85Cに挟まれて圧縮される。ここで、Oリング17は、周方向の位置によって線径に違いが生じており、線径が細い部分ほど、環状溝部81Dからのはみ出し量が少なくなっている。
【0065】
このため、
図11に示したように、Oリング17の周方向の位置によって、ネック部85の外周面85Cからペースト収納室49の内周面までの距離Gdと、Oリング17の線径Wrとの差(ΔX1,ΔX2)の大きさが異なる。このため、ペースト収納室49に挿入されたときのOリング17の圧縮率には、周方向の位置に応じて差が生じる。
【0066】
すなわち、楕円形状になっているOリング17のうち、線径が太い領域bの方が、線径の細い領域aよりも環状溝部81Dからのはみ出し量が多く、領域bにおける差ΔX2の方が、領域aにおける差ΔX1よりも大きくなる。そのため、シリンジ3に挿入された際、Oリング17は、領域bの方が領域aよりもペースト収納室49の内部に向かって押し込まれることになり、領域bにおける圧縮率の方が、領域aにおける圧縮率よりも大きくなる。この結果、楕円形状になっているOリング17の長軸方向(厚み方向Z)の圧縮率の方が、Oリング17の短軸方向(幅方向Y)の圧縮率よりも大きくなる。
【0067】
そして、周方向の位置によってOリング17の圧縮率に差があることで、Oリング17の周方向の位置によって、Oリング17とペースト収納室49(49´)の内周面との間に生じる摩擦力に差が生じる。すなわち、楕円形状に伸ばされたOリング17の長軸方向の頂点17Aとペースト収納室49(49´)の内周面との間の摩擦力が、楕円形状に伸ばされたOリング17の短軸方向の頂点17Bとペースト収納室49(49´)の内周面との間の摩擦力よりも大きくなる。そのため、ペースト収納室49(49´)の断面形状である楕円形状、及び、プランジャ5の断面形状である楕円形状の長軸方向の寸法を、短軸方向の寸法に対して調整することで、ペースト収納室49(49´)の内周面と弾性体(Oリング17)の間のシール性を保ちながら、プランジャ5の長手方向への移動しやすさを調整しやすい。
【0068】
また、Oリング17の長軸方向の圧縮率(領域bにおける圧縮率)は約10~14%であり、短軸方向の圧縮率(領域aにおける圧縮率)は約3~7%であることが好ましい。具体的には、実施例1では、長軸方向の圧縮率は12%であり、短軸方向の圧縮率は5%である。
圧縮率C(%)は、下記式により求められる:
C=(Wr-Gd)/Wr×100
但し、
Wr:弾性体(Oリング)の線径[mm]
Gd:ネック部の外周面からペースト収納室の内周面までの距離[mm]
【0069】
なお、弾性体ホルダ15は、プランジャ本体13の先端のホルダ係合部79(79´)に緩く係合する。このため、弾性体ホルダ15は、Oリング17を取り付けた状態で、プランジャ本体13と共にシリンジ3のペースト収納室49(49´)内に挿入されると、プランジャ本体13が押し込まれることで、プランジャ本体13と共にペースト収納室49(49´)内を長手方向Xに移動する。一方、プランジャ本体13が引き戻されると、プランジャ本体13から分離され、ペースト収納室49(49´)内に取り残されるようになっている。これにより、誤ってプランジャ5が引き戻されても、排出口51,(51´)からペースト収納室49(49´)内に空気が取り込まれることがない。
【0070】
[スタティックミキサー]
(ミキシングチップ本体部)
図12Aは、ミキシングチップ本体部19の斜視図であり、
図12Bは底面図である。また、
図13は、
図12Bに示したXIII-XIII線断面図である。
【0071】
ミキシングチップ本体部19は、ミキサーハウジング21と組み合わせて、装着部材Mであるスタティックミキサー7の内側部材IMを構成する部材である。ミキシングチップ本体部19は、基部87と、2つの挿入部89,89´と、一対の回転係合片91,91´と、逆流防止壁35と、エレメント群39とを備えている。
【0072】
基部87は、外装体OMであるミキサー外装体23の内側に嵌まる円柱状の部位である。基部87の外周部には、径方向外側に延びるフランジ部87Cが形成されている。ミキシングチップ本体部19は、フランジ部87Cが後述のミキサー外装体23の内周面に形成された溝(周方向溝103)に嵌ることで、ミキサー外装体23に対して、中心軸CAを中心にして、相対的に回転可能な状態で固定される。
【0073】
2つの挿入部89,89´及び一対の回転係合片91,91´は、基部87のシリンジ3と対向する第1端面87Aに形成され、第1端面87Aから長手方向Xに延びている。2つの挿入部89,89´は、スタティックミキサー7がシリンジ3に取り付けられた際、シリンジ3の2つの突出部43,43´にそれぞれ挿入される。挿入部89の内部にはペースト通路29が形成され、挿入部89´の内部にはペースト通路29´が形成されている。一対の回転係合片91,91´は、後述のミキサー外装体23の被係合溝(一対の第1被係合溝105A,105A´、または、一対の第2被係合溝105B,105B´)にそれぞれ係合する部分である。
【0074】
逆流防止壁35は、基部87の第1端面87Aの反対側の第2端面87Bの中央部から、中心軸CAに沿って延びている。逆流防止壁35の先端が、ペーストの合流位置JPとなり、エレメント群39は、逆流防止壁35の先端から延びている。エレメント群39は、中心軸CAに沿って並んだ複数(実施例1では、8つ)のエレメントによって構成されている。
【0075】
ペースト通路29は、挿入部89及び基部87を連続して貫通して形成されている。流入孔29Aは、挿入部89の端面に形成されており、また、流出孔29Bは、基部87の第2端面87Bに形成されている。同様に、ペースト通路29´は、挿入部89´及び基部87を連続して貫通して形成されている。流入孔29A´は、挿入部89´の端面に形成されており、また、流出孔29B´は、基部87の第2端面87Bに形成されている。
【0076】
(ミキサーハウジング)
図14Aは、ミキサーハウジング21の斜視図であり、
図14Bは底面図である。また、
図15は、
図14Bに示したXV-XV線断面図である。
【0077】
ミキサーハウジング21は、ミキシングチップ本体部19と組み合わせて、装着部材Mであるスタティックミキサー7の内側部材IMを構成する部材である。ミキサーハウジング21は、基部ハウジング部93と、エレメントハウジング部37とを備えている。
【0078】
基部ハウジング部93は、ミキサーハウジング21をミキシングチップ本体部19に被せた場合に、ミキシングチップ本体部19の基部87の第2端面87Bを覆う円形の端壁部93Aと、端壁部93Aの縁部から立ち上がり、基部87を取り囲んで先端がフランジ部87Cに接するまで延びる周壁部93Bを備えている。
【0079】
端壁部93Aの内壁には、流出孔29B,29B´と対向する位置に凹部93Cが設けられている。ミキサーハウジング21をミキシングチップ本体部19に被せることで、内側部材IMの内部に基部87と逆流防止壁35と凹部93Cとで区画される中間通路31が形成される(
図3参照)。
【0080】
エレメントハウジング部37は、基部ハウジング部93の端壁部93Aの中央部に形成された貫通孔から長手方向Xに延び、先端が開放した円筒状の部分である。エレメントハウジング部37は、ミキサーハウジング21をミキシングチップ本体部19に被せた際、内部にエレメント群39が挿入され、ミキシング通路33が形成される。エレメントハウジング部37の外周部には、ガイドチップ9を固定するためのガイドチップ係合溝37Aが形成されている。
【0081】
【0082】
ミキサー外装体23は、装着部材Mであるスタティックミキサー7の外装体OMを構成する筒状部材である。ミキサー外装体23内に、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21からなる内側部材IMが収納されることで、装着部材Mであるスタティックミキサー7が構成される。また、ミキサー外装体23は、シリンジ3に対して中心軸CAを中心にして相対的に回転する。
【0083】
ミキサー外装体23は、外周形状が正六角形状の頂壁部95と、頂壁部95の縁部から立ち上がる第1周壁部97と、第1周壁部97から段差を介して連続して延びる第2周壁部99を備えている。また、ミキサー外装体23の内部には、頂壁部95及び第1周壁部97によって囲まれた第1空間S1と、第2周壁部99によって囲まれた第2空間S2とが形成されている(
図17参照)。そして、第1空間S1内には、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21からなる内側部材IMが、中心軸CAを中心に回転可能な状態で嵌る。また、第2空間S2内には、内側部材IMが収納された状態で、シリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)が挿入される(
図3参照)。
【0084】
頂壁部95は、ミキサーハウジング21の端壁部93Aを覆う部分であり、シリンジ3が挿入される開口部に対向する(
図3参照)。頂壁部95の中央部には、エレメントハウジング部37を外部に露出するための頂部貫通筒101が形成されている。頂部貫通筒101は、頂壁部95から突出した円筒部分であり、頂壁部95を貫通している。ミキサー外装体23内に、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21からなる内側部材IMが収納された際、エレメントハウジング部37が頂部貫通筒101を貫通する。また、頂壁部95の表面には、後述するへこみ107Aの位置を示す矢印AR2が刻印されている(
図16B参照)。
【0085】
第1周壁部97は、中心軸CAに沿って見たとき、
図16Bに示されたように、外周面が正六角形状を呈する。また、第1周壁部97の内周面は、中心軸CAに沿って見たとき、
図16Cに示されたように、円形を呈している。そして、第1周壁部97の内周面には、周方向溝103と、一対の第1被係合溝105A,105A´と、一対の第2被係合溝105B,105B´と、が形成されている。
【0086】
周方向溝103は、
図3に示されたように、ミキシングチップ本体部19のフランジ部87Cが嵌るへこみであり、周方向(内側部材IMの回転方向)に延びている。
【0087】
一方の第1被係合溝105A及び第2被係合溝105Bは、一方の回転係合片91が係合するへこみである。他方の第1被係合溝105A´及び第2被係合溝105B´は、他方の回転係合片91´が係合するへこみである。一対の第1被係合溝105A,105A´及び一対の第2被係合溝105B,105B´は、所定の間隔をあけて周方向(内側部材IMの回転方向)に沿って並んで配置されている。ここでは、一対の第1被係合溝105A,105A´は、中心軸CAを挟んで厚み方向Zに対向する位置に形成されている。一対の第2被係合溝105B,105B´は、中心軸CAを挟んで厚み方向Zとは周方向にずれた向きで対向する位置に形成されている。
【0088】
スタティックミキサー7として組み立てられた際、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21は、ミキサー外装体23に対して中心軸CAを中心として相対回転する。このとき、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21と、ミキサー外装体23との回転方向の位置関係に応じて、一方の回転係合片91は、一方の第1被係合溝105Aまたは第2被係合溝105Bのいずれかと係合し、他方の回転係合片91´は、他方の第1被係合溝105A´または第2被係合溝105B´のいずれかと係合する。これにより、ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21とミキサー外装体23の相対的な回転方向の位置が定まる。
【0089】
第2周壁部99は、中心軸CAに沿って見たとき、
図16Bに示されたように、外周面が六角形状を呈する。なお、第2周壁部99の外周面は、厚み方向Zに沿って互いに反対側に位置する一対の長辺部99A,99Aを有している。一対の長辺部99A,99Aは、シリンジ3の円形壁部41aを挿入可能とするため、径方向外側に向かって膨らんだ形状になっている(
図16B、
図16C等参照)。また、第2周壁部99の内周面は、中心軸CAに沿って見たとき、
図16Cに示されたように、円形を呈している。
【0090】
そして、第2周壁部99の内周面には、段差部98と、3つのへこみ107A,107B,107Cで構成された被係合部107が形成されている。段差部98は、第1周壁部97と第2周壁部99との境界に形成され、ミキサー外装体23の内径を頂壁部95に向かって狭める段状の凹凸であり、周方向(内側部材IMの回転方向)に延びている。段差部98は、スタティックミキサー7がシリンジ3の先端に取り付けられた際、シリンジ3の円形壁部41aが突き当たる(
図3参照)。
【0091】
また、被係合部107は、装着部材Mをシリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)に固定する係合構造を構成し、シリンジ3の係合部45(3つの突起片45A,45B,45C)と係合する部分である。
【0092】
へこみ107A,107B,107Cは、それぞれ第1溝部107Aa,107Ba,107Caと、第2溝部107Ab,107Bb,107Cbと、を有する。第1溝部107Aa,107Ba,107Caは、第2周壁部99の端面99B(シリンジ3が挿入されるミキサー外装体23の開口部)に開放し、長手方向X(中心軸CA)に沿って段差部98まで延びている。第2溝部107Ab,107Bb,107Cbは、第1溝部107Aa,107Ba,107Caの端部から段差部98に沿ってミキサー外装体23の回転方向に延びている。そして、第2溝部107Ab,107Bb,107Cbにそれぞれ対応する位置には、第2周壁部99を貫通する窓部109A,109B,109Cが形成されている。つまり、第2溝部107Ab,107Bb,107Cbは、窓部109A,109B,109Cの縁によって構成される。
【0093】
また、へこみ107A,107B,107Cは、ミキサー外装体23の回転方向に沿って並ぶと共に、中心軸CAに沿って見たとき、ミキサー外装体23の回転中心である中心軸CAを中心点とした非点対称になっている。そして、実施例1では、へこみ107A,107B,107Cは、ミキサー外装体23の回転方向に沿って非等間隔で並んでいる。すなわち、へこみ107Aは、第2周壁部99の内周面のうち、第2周壁部99の外周面の隅角部に対応する位置に形成されている。また、へこみ107B及び107Cは、第2周壁部99の内周面のうち、第2周壁部99の外周面の平面部に対応する位置に形成されている(
図16C、
図18参照)。さらに、へこみ107Aは、係合部45である突起片45Aが挿入可能な形状を呈し、へこみ107Bは、係合部45である突起片45Bが挿入可能な形状を呈し、へこみ107Cは、係合部45である突起片45Cが挿入可能な形状を呈している。そして、へこみ107A,107B,107Cは、それぞれ中心軸CAに沿って見たとき互いに異なる形状を呈している。
【0094】
[キャップ]
キャップ11は、ペースト注入器1の保管時や搬送時に、スタティックミキサー7に代えて、シリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)に固定されるものである。スタティックミキサー7と共通する構成については、同じ部材名称を付し、説明を省略することがある。
【0095】
(キャップ内側部材)
図19Aは、キャップ内側部材25の斜視図であり、
図19Bは底面図である。また、
図20は、
図19Bに示したXX-XX線断面図である。
【0096】
キャップ内側部材25は、装着部材Mであるキャップ11の内側部材IMを構成する部材であり、スタティックミキサー7の内側部材IMであるミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21に対応する部材である。
【0097】
キャップ内側部材25は、ミキシングチップ本体部19と同様、基部111と、2つの挿入部113,113´と、一対の回転係合片115,115´とを備えている。
【0098】
基部111は、外装体OMであるキャップ外装体27の内側に嵌まる円柱状の部位である。基部111の外周部には、径方向外側に延びるフランジ部117Cが形成されている。キャップ内側部材25は、フランジ部117Cが後述のキャップ外装体27の内周面に形成された溝(周方向溝125)に嵌ることで、キャップ外装体27に対して、中心軸CAを中心にして、相対的に回転可能な状態で固定される。
【0099】
2つの挿入部113,113´及び一対の回転係合片115,115´は、基部111のシリンジ3と対向する第1端面111Aに形成され、第1端面111Aから長手方向Xに延びている。2つの挿入部113,113´は、キャップ11がシリンジ3に取り付けられた際、シリンジ3の2つの突出部43,43´にそれぞれ挿入される。挿入部113,113´は、ミキシングチップ本体部19の場合と異なり、シリンジ3の排出口51,51´を封鎖するための柱形状を呈しており、内部に通路は形成されていない。一対の回転係合片115,115´は、後述のキャップ外装体27の被係合溝(一対の第1被係合溝127A,127A´、または、一対の第2被係合溝127B,127B´)にそれぞれ係合する部分である。
【0100】
基部111の第1端面111Aの反対側の第2端面111Bには、一対の有底凹部117,117が形成されている。
【0101】
【0102】
キャップ外装体27は、装着部材Mであるキャップ11の外装体OMを構成する筒状部材であり、スタティックミキサー7の外装体OMであるミキサー外装体23に対応する部材である。キャップ外装体27内にキャップ内側部材25が収納されることで、装着部材Mであるキャップ11が構成される。また、キャップ外装体27は、シリンジ3に対して中心軸CAを中心にして相対的に回転する。
【0103】
キャップ外装体27は、外周形状が正六角形状の頂壁部119と、頂壁部119の縁部から立ち上がる第1周壁部121と、第1周壁部121から段差を介して連続して延びる第2周壁部123を備えている。また、キャップ外装体27の内部には、頂壁部119及び第1周壁部121によって囲まれた第1空間S1と、第2周壁部123によって囲まれた第2空間S2とが形成されている(
図22参照)。そして、第1空間S1内には、キャップ内側部材25からなる内側部材IMが、中心軸CAを中心に回転可能な状態で嵌る。また、第2空間S2内には、内側部材IMが収納された状態で、シリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)aが挿入される。
【0104】
頂壁部119は、第1空間S1を閉鎖する部分である。頂壁部119は、ミキシングチップ本体部19の場合と異なり、湾曲した板部材からなり、中央部に頂部貫通筒は形成されていない。また、頂壁部119の表面には、後述するへこみ129Aの位置を示す矢印AR2が刻印されている(
図21B参照)。
【0105】
第1周壁部121は、中心軸CAに沿って見たとき、
図21Bに示されたように、外周面が正六角形状を呈する。また、第1周壁部121の内周面は、中心軸CAに沿って見たとき、
図21Cに示されたように、円形を呈している。そして、第1周壁部121の内周面には、周方向溝125と、一対の第1被係合溝127A,127A´と、一対の第2被係合溝127B,127B´と、が形成されている。
【0106】
周方向溝125は、キャップ内側部材25のフランジ部117Cが嵌まるへこみであり、周方向(キャップ内側部材25の回転方向)に延びている。
【0107】
一方の第1被係合溝127A及び第2被係合溝127Bは、一方の回転係合片115が係合するへこみである。他方の第1被係合溝127A´及び第2被係合溝127B´は、他方の回転係合片115´が係合するへこみである。一対の第1被係合溝127A,127A´及び一対の第2被係合溝127B,127B´は、所定の間隔をあけて周方向(キャップ内側部材25の回転方向)に沿って並んで配置されている。ここでは、一対の第1被係合溝127A,127A´は、中心軸CAを挟んで厚み方向Zに対向する位置に形成されている。一対の第2被係合溝127B,127B´は、中心軸CAを挟んで厚み方向Zとは周方向にずれた向きで対向する位置に形成されている。
【0108】
キャップ11として組み立てられた際、キャップ内側部材25は、キャップ外装体27に対して中心軸CAを中心として相対回転する。このとき、キャップ内側部材25と、キャップ外装体27との回転方向の位置関係に応じて、一方の回転係合片115は、一方の第1被係合溝127Aまたは第2被係合溝127Bのいずれかと係合し、他方の回転係合片115´は、他方の第1被係合溝127A´または第2被係合溝127B´のいずれかと係合する。これにより、キャップ内側部材25とキャップ外装体27の相対的な回転方向の位置が定まる。
【0109】
第2周壁部123は、中心軸CAに沿って見たとき、
図21Bに示されたように、外周面が六角形状を呈する。なお、第2周壁部123の外周面は、厚み方向Zに沿って互いに反対側に位置する一対の長辺部123A,123Aを有している。一対の長辺部123A,123Aは、シリンジ3の円形壁部41aを挿入可能とするため、径方向外側に向かって膨らんだ形状になっている(
図21B、
図21C等参照)。また、第2周壁部123の内周面は、中心軸CAに沿って見たとき、
図21Cに示されたように、円形を呈している。
【0110】
そして、第2周壁部123の内周面には、段差部120と、3つのへこみ129A,129B,129Cで構成された被係合部129が形成されている。段差部120は、第1周壁部121と第2周壁部123との境界に形成され、キャップ外装体27の内径を頂壁部119に向かって狭める段状の凹凸であり、周方向(内側部材IMの回転方向)に延びている。段差部120は、キャップ11がシリンジ3の先端に取り付けられた際、シリンジ3の円形壁部41aが突き当たる。
【0111】
また、被係合部129は、装着部材Mをシリンジ3の先端部(シリンジ本体41の一方の端部41A)に固定する係合構造を構成し、シリンジ3の係合部45(3つの突起片45A,45B,45C)と係合する部分である。
【0112】
へこみ129A,129B,129Cは、それぞれ第1溝部129Aa,129Ba,129Caと、第2溝部129Ab,129Bb,129Cbと、を有する。第1溝部129Aa,129Ba,129Caは、第2周壁部123の端面(シリンジ3が挿入されるキャップ外装体27の開口部)に開放し、長手方向X(中心軸CA)に沿って段差部120まで延びている。第2溝部129Ab,129Bb,129Cbは、第1溝部129Aa,129Ba,129Caの端部から段差部120に沿ってキャップ外装体27の回転方向に延びている。そして、第2溝部129Ab,129Bb,129Cbにそれぞれ対応する位置には、第2周壁部123を貫通する窓部131A,131B,131Cが形成されている。つまり、第2溝部129Ab,129Bb,129Cbは、窓部131A,131B,131Cの縁によって構成される。
【0113】
また、へこみ129A,129B,129Cは、キャップ外装体27の回転方向に沿って並ぶと共に、中心軸CAに沿って見たとき、キャップ外装体27の回転中心である中心軸CAを中心点とした非点対称になっている。そして、実施例1では、へこみ129A,129B,129Cは、キャップ外装体27の回転方向に沿って非等間隔で並んでいる。すなわち、へこみ129Aは、第2周壁部123の内周面のうち、第2周壁部123の外周面の隅角部に対応する位置に形成されている。また、へこみ129B及び129Cは、第2周壁部123の内周面のうち、第2周壁部123の外周面の平面部に対応する位置に形成されている(
図21C、
図23参照)。さらに、へこみ129Aは、係合部45である突起片45Aが挿入可能な形状を呈し、へこみ129Bは、係合部45である突起片45Bが挿入可能な形状を呈し、へこみ129Cは、係合部45である突起片45Cが挿入可能な形状を呈している。そして、へこみ129A,129B,129Cは、それぞれ中心軸CAに沿って見たとき互いに異なる形状を呈している。
【0114】
[装着部材を固定するまでの詳細]
図24及び
図25を用いて、装着部材Mをシリンジ3に固定するまでの詳細を、スタティックミキサー7を例に説明する。
図24は、スタティックミキサー7をシリンジ3に被せて固定する前段階の様子を示す図である。
図24では、スタティックミキサー7は底面を示してあり、シリンジ3は、指掛け部47を省略した平面を示してある。また、
図24及び
図25では、内側部材IMをグレーに着色して図示してある。
【0115】
図24に示すように、シリンジ3に固定する前のスタティックミキサー7は、一方の回転係合片91が一方の第2被係合溝105Bと係合し、他方の回転係合片91´が他方の第2被係合溝105B´と係合した状態にある。すなわち、ミキサー外装体23の幅方向Yと内側部材IMの幅方向Yとが一致していない状態にある。この状態で、シリンジ3の3つの突起片45A,45B,45Cに、へこみ107A,107B,107Cの第1溝部107Aa,107Ba,107Caの位置をそれぞれ対向させた場合に限って、ミキサー外装体23の第2周壁部99に囲まれた第2空間S2内にシリンジ3の円形壁部41aを挿入可能である。そして、このときに限り、シリンジ3の突出部43がミキシングチップ本体部19の挿入部89に対向し、シリンジ3の突出部43´がミキシングチップ本体部19の挿入部89´に対向する。
【0116】
なお、使用者は、円形壁部41aの表面の矢印AR1と、頂壁部95の表面の矢印AR2を合わせることで、突起片45Aとへこみ107Aの位置合わせを行うことができる。この結果、突起片45Aにへこみ107Aの第1溝部107Aaが対向し、突起片45Bにへこみ107Bの第1溝部107Baが対向し、突起片45Cにへこみ107Cの第1溝部107Caが対向し、突出部43に挿入部89が対向し、突出部43´に挿入部89´が対向する。
【0117】
そして、第2空間S2内にシリンジ3の円形壁部41aを挿入すると、突出部43に挿入部89が挿入され、突出部43´に挿入部89´が挿入される。その結果、内側部材IM(ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21)の回転方向位置がシリンジ3に対して固定される。また、突起片45Aは、へこみ107Aの第1溝部107Aaに挿入されて、段差部98に突き当たる。また、突起片45Bは、へこみ107Bの第1溝部107Baに挿入されて、段差部98に突き当たる。また、突起片45Cは、へこみ107Cの第1溝部107Caに挿入されて、段差部98に突き当たる。
【0118】
そして、この状態でミキサー外装体23が、中心軸CAを中心にして回転すると、内側部材IM(ミキシングチップ本体部19及びミキサーハウジング21)は回転せずに、外装体OMであるミキサー外装体23のみが回転し、
図25の状態になる。
【0119】
図25は、ミキサー外装体23のみが回転した後のスタティックミキサー7の底面図である(挿入されているシリンジ3の図示は省略している)。ミキサー外装体23のみが回転すると、一方の回転係合片91が一方の第1被係合溝105Aと係合し、他方の回転係合片91´が他方の第1被係合溝105A´と係合した状態になる。また、突起片45Aは、第1溝部107Aaの端部から段差部98に沿って第2溝部107Abに入り込み、窓部109Aから外部に露出する。また、突起片45Bは、第1溝部107Baの端部から段差部98に沿って第2溝部107Bbに入り込み、窓部109Bから外部に露出する。また、突起片45Cは、第1溝部107Caの端部から段差部98に沿って第2溝部107Cbに入り込み、窓部109Cから外部に露出する。
【0120】
これにより、突起片45A,45B,45Cがそれぞれへこみ107A,107B,107Cに係合した状態になり、スタティックミキサー7とシリンジ3が相互に固定される。
【0121】
<ペースト注入器の作用>
以下、実施例1のペースト注入器の作用を説明する。
【0122】
実施例1のペースト注入器1は、長手方向Xに延び、内部に長手方向Xと直交する断面形状が楕円形状のペースト収納室49(49´)を有するシリンジ3と、ペースト収納室49(49´)内に挿入されて長手方向Xに移動可能であり、少なくとも先端部(弾性体ホルダ15)の長手方向Xと直交する断面形状がペースト収納室49(49´)の断面形状より小さく、長手方向Xと直交する断面形状がペースト収納室49(49´)の断面形状に相似した楕円形状であって、先端部(弾性体ホルダ15)の外周部に環状溝部81Dが形成されたプランジャ5と、環状溝部81Dに取り付けられて楕円形状に引き伸ばされ、環状溝部81Dからはみ出た状態で固定される円環状の弾性体(Oリング17)と、を備えている。
【0123】
そして、環状溝部81Dに弾性体(Oリング17)を取り付けた状態でプランジャ5をシリンジ3に挿入すると、弾性体(Oリング17)は、ペースト収納室49(49´)の内周面に接触して圧縮され、圧縮された弾性体(Oリング17)の長軸方向の圧縮率は、短軸方向の圧縮率よりも大きい。
【0124】
すなわち、実施例1のOリング17(弾性体)は円環状であるところを引き伸ばされて楕円形状になっている。このため、Oリング17の長軸方向に引き伸ばされる領域(領域a)には、長軸方向に引き伸ばされない領域(領域b)よりも強い引張力が作用する。これにより、領域aにおけるOリング17の線径は、領域bにおける線径よりも細くなり、Oリング17は、周方向の位置によって、Oリング17の太さ(線径)に違いが生じている。そのため、Oリング17は、線径が太い部分ほど、環状溝部81Dからのはみ出し量が多く、線径が細い部分ほど、環状溝部81Dからのはみ出し量が少なくなる。よって、環状溝部81Dからの弾性体(Oリング17)のはみ出し量の多い部分(領域b)の方が、はみ出し量の少ない部分(領域a)よりも、ペースト収納室49(49´)の内部に向かって押し込まれ、圧縮率も大きくなる。この結果、楕円形状になっているOリング17の長軸方向(厚み方向Z)の圧縮率が、Oリング17の短軸方向(幅方向Y)の圧縮率よりも大きくなる。
【0125】
そして、周方向の位置によってOリング17の圧縮率に差があることで、Oリング17の周方向の位置によって、Oリング17とペースト収納室49(49´)の内周面との間に生じる摩擦力に差が生じる。すなわち、楕円形状に伸ばされたOリング17の長軸方向の頂点17A(周方向の寸法の短い部分)とペースト収納室49(49´)の内周面との間の摩擦力が、楕円形状に伸ばされたOリング17の短軸方向の頂点17B(周方向の寸法の長い部分)とペースト収納室49(49´)の内周面との間の摩擦力よりも大きくなる。
【0126】
したがって、ペースト収納室49(49´)の断面形状である楕円形状、及び、プランジャ5の断面形状である楕円形状の長軸方向の寸法を、短軸方向の寸法に対して調整することで、ペースト収納室49(49´)の内周面と弾性体(Oリング17)の間のシール性を保ちながら、プランジャ5の長手方向への移動しやすさを調整しやすい。
【0127】
プランジャ5の先端部(弾性体ホルダ15)は、胴部81と、頂部83と、胴部81と頂部83の間に形成されたネック部85を有しており、環状溝部81Dは、ネック部85と、ネック部85を挟んで対向する胴部81及び頂部83によって形成されている。この場合、圧縮率C(%)は、下記式により求められる。
C=(Wr-Gd)/Wr×100
但し、
C:圧縮率[%]
Wr:弾性体の線径[mm]
Gd:ネック部の外周面からペースト収納室の内周面までの距離[mm]
【0128】
ペースト収納室49(49´)の断面形状の楕円形状、及び、プランジャ5の先端部(弾性体ホルダ15)の断面形状の楕円形状の長軸方向の寸法は、短軸方向の寸法を1とした場合に、1.1~2.0の間であることが好ましい。このように設定すると、ペースト収納室49(49´)の内周面と弾性体(Oリング17)の間のシール性を保ちながら、プランジャ5の長手方向への移動がしやすい。
【0129】
プランジャ5は、プランジャ本体13と、プランジャ本体13の先端に、シリンジ3とOリング17との摩擦力で外れる程度の係合力で緩く係合して、先端部を構成する弾性体ホルダ15と、から構成されている。このため、弾性体ホルダ15は、環状溝部81Dに弾性体(Oリング17)を取り付けた状態でプランジャ5をシリンジ3に挿入した後、プランジャ5が引き戻されると、シリンジ3とOリング17との間に生じる摩擦力でプランジャ本体13から分離され、シリンジ3内に取り残されるようになっていてもよい。
【0130】
このようにすると、誤ってプランジャ5が引き戻されても、排出口51(51´)からペースト収納室49(49´)内に空気が取り込まれることがない。
【0131】
さらに、実施例1のペースト注入器1は、歯科材料の注入に使用されるものである。このため、実施例1のペースト注入器1は、歯科材料を所望の位置に注入することができる。
【0132】
(実施例2)
<全体構成>
図26は、実施例2のペースト注入器の分解斜視図である。
図27は、実施例2のシリンジの先端部に固定されたスタティックミキサーを、長手方向に延びる中心軸を通る位置で幅方向に切断した断面図である。なお、実施例2においても、
図26に示すように、ペースト注入器1001に対して、長手方向(X)、幅方向(Y)、厚み方向(Z)を定義する。
【0133】
実施例2のペースト注入器1001は、実施例1と同様にシリンジ1003と、プランジャ1005と、スタティックミキサー1007と、ガイドチップ1009と、を備えている。ガイドチップ1009は、実施例1と同様に、必要に応じてスタティックミキサー1007に装着され、ペースト注入器1001は、ガイドチップ1009がスタティックミキサー1007に取り付けられていなくても使用可能である。
【0134】
また、実施例2のペースト注入器1001は、実施例1と同様、シリンジ1003の先端部(シリンジ本体1041の一方の端部1041A)に、スタティックミキサー1007に代えて、
図26に示すキャップ1011を固定可能である。実施例2においても、シリンジ1003の先端部(シリンジ本体1041の一方の端部1041A)に着脱可能に装着されるスタティックミキサー1007及びキャップ1011をまとめて、装着部材Mと呼ぶ。
【0135】
また、実施例2のプランジャ1005は、実施例1と同様にプランジャ本体1013と、プランジャ本体1013の先端に緩く係合する弾性体ホルダ1015と、弾性体ホルダ1015に取り付けられる円環状のOリング(弾性体)1017とから構成されている。
【0136】
そして、実施例2では、シリンジ1003、スタティックミキサー1007、キャップ1011の形状が実施例1と異なっている。以下、それぞれについて詳述する。
【0137】
[シリンジ]
図28Aはシリンジ1003の先端部の斜視図、
図28Bは平面図である。また、
図28Cは、
図28Bに示したXXVIII-XXVIII線断面図の要部である。実施例1と共通する部分については、
図4A乃至
図4D及び
図5に付した符号に1000を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
【0138】
実施例2のシリンジ1003では、実施例1と同様に、シリンジ本体1041の一方の端部1041Aに円形壁部1041aが形成され、シリンジ本体1041の他方の端部1041Bに指掛け部1047が形成されている。また、円形壁部1041aからは、一対の突出部1043,1043´が突出形成され、円形壁部1041aの外周面には3つの突起片1045A,1045B,1045Cからなる係合部1045が形成されている。
【0139】
そして、実施例2の円形壁部1041aには、表面(一方の端部1041Aの端面)に凹部1041bが形成されている。凹部1041bは、円形壁部1041aの周縁部と突出部1043,1043´との間に形成され、適宜段差が設けられている。円形壁部1041aの表面に凹部1041bが形成されたことで、シリンジ1003を樹脂で成形する際のヒケの発生が防止される。また、ヒケの発生が防止されることで、突出部1043,1043´の傾きを抑制できる。
【0140】
また、実施例2においても、指掛け部1047の一方の端部1041A側の表面にシボ加工が施されてもよい。
【0141】
また、実施例2のシリンジ本体1041では、連結外周面1061の曲率半径が実施例1の連結外周面61よりも大きいR2.5の曲面に設定されている。これにより、実施例2のシリンジ1003では、シリンジ本体1041の外周面に貼ったラベルが、連結外周面1061において実施例1よりも緩く曲がることになる。このため、実施例2のシリンジ1003は、実施例1よりもシリンジ本体1041の外周面に貼ったラベルをはがれにくくすることができる。
【0142】
[スタティックミキサー]
(ミキシングチップ本体部)
図29Aはミキシングチップ本体部1019の斜視図であり、
図29Bは底面図である。また、
図29Cは、
図29Bに示したXXIX-XXIX線断面図である。実施例1と共通する部分については、
図12A、
図12B及び
図13に付した符号に1000を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
【0143】
実施例2のミキシングチップ本体部1019は、実施例1と同様に、円柱状の基部1087を有している。基部1087の外周部には、径方向外側に延びるフランジ部1087Cが形成されている。基部1087のシリンジ1003と対向する第1端面1087Aには、2つの挿入部1089,1089´及び一対の回転係合片1091,1091´が形成されている。そして、挿入部1089の内部にはペースト通路1029が形成され、挿入部1089´の内部にはペースト通路1029´が形成されている。さらに、基部1087の第1端面87Aの反対側の第2端面87Bには、逆流防止壁1035及び逆流防止壁1035の先端から延びるエレメント群1039が形成されている。
【0144】
そして、実施例2のミキシングチップ本体部1019では、基部1087の長手方向Xに沿った長さ寸法L1が、実施例1のミキシングチップ本体部19の基部87と比べて短くなっている。一方、実施例2の逆流防止壁1035は、長手方向Xに沿った長さ寸法L2が、実施例1の逆流防止壁35と比べて長くなっている。そのため、ミキシングチップ本体部1019の長手方向Xに沿った全長L3(挿入部1089,1089´の先端からエレメント群1039の先端までの長さ)は、実施例1のミキシングチップ本体部19と同じ長さに設定されている。
【0145】
また、実施例2のミキシングチップ本体部1019では、ペースト通路1029の遠位面1029Cに有するテーパ部が、流入孔1029Aからペースト通路1029の途中位置までの領域に形成されている。すなわち、実施例2の遠位面1029Cは、流入孔1029Aからペースト通路1029の途中までの部分が、流出孔1029Bに向かうにつれて次第に中心軸CAに近づくテーパ状に形成されている。なお、テーパ部の角度、つまり、遠位面1029Cと流入孔1029Aの中心点を通って長手方向Xに延びる直線C1とでなす角θは、ここでは45°に設定されている。
【0146】
そして、遠位面1029Cのうち、テーパ部から流出孔1029Bまでの領域が、近位面1029D及び中心軸CAに対して平行に延び、近位面1029D及び中心軸CAに沿っている。つまり、実施例2のペースト通路1029の中心軸CA(長手方向X)に直交する断面の面積は、流入孔1029Aからペースト通路1029の途中位置までは一定の割合で次第に小さくなるが、ペースト通路1029の途中位置から流出孔1029Bまでは、流出孔1029Bの開口面積と同じ大きさになる。
【0147】
このように、遠位面1029Cが有するテーパ部が、流入孔1029Aからペースト通路1029の途中位置までの領域に形成されたことで、実施例2のペースト注入器1001は、ペースト通路1029内での気泡溜りの形成を抑制しつつ、実施例1のペースト通路29の場合と比べて、ペースト通路1029内に流れるペーストの量を減らすことができ、また、ペースト通路1029内に残留するペーストの量を減らすことができる。
【0148】
ペースト通路1029´は、ペースト通路1029と同様の構成をしているため、ペースト通路1029の各部の符号に「´」を付して、説明を省略する。また、実施例2においても、ペースト通路1029とペースト通路1029´は、同等の大きさに形成されており、中心軸CAを中心に幅方向Yに沿って対称形状を呈している。
【0149】
(ミキサーハウジング)
図30Aはミキサーハウジング1021の斜視図であり、
図30Bは、
図30Aに示したXXX-XXX線断面図である。実施例1と共通する部分については、
図14A及び
図15に付した符号に1000を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
【0150】
実施例2のミキサーハウジング1021は、基本的な形状は実施例1のミキサーハウジング21と同形状である。すなわち、実施例2のミキサーハウジング1021は、基部ハウジング部1093と、エレメントハウジング部1037とを備えている。
【0151】
基部ハウジング部1093は、ミキシングチップ本体部1019の基部1087の第2端面1087Bを覆う円形の端壁部1093Aと、基部1087を取り囲んで先端がフランジ部1087Cに接する周壁部1093Bと、を備えている。また、エレメントハウジング部1037は、端壁部1093Aの中央部に形成された貫通孔から長手方向Xに延びており、外周面にガイドチップ係合溝1037Aが形成されている。
【0152】
そして、端壁部1093Aの内壁には、ミキシングチップ本体部1019の流出孔1029B,1029B´と対向する位置に凹部1093Cが設けられている。内側部材IMの内部に基部1087と逆流防止壁1035と凹部1093Cとで区画される中間通路1031が形成される(
図27参照)。
【0153】
ここで、実施例2のミキシングチップ本体部1019の基部1087は、フランジ部1087Cから第2端面1087Bまでの長手方向Xに沿った長さが実施例1と比べて短い。そのため、実施例2のミキサーハウジング1021は、基部1087を取り囲んで先端がフランジ部1087Cに接する周壁部1093Bの長手方向Xに沿った長さ寸法L4が、実施例1のミキサーハウジング21の周壁部93Bと比べて短くなっている。
【0154】
【0155】
実施例2のミキサー外装体1023は、頂壁部1095と、頂壁部1095の縁部から立ち上がる第1周壁部1097と、第1周壁部1097から段差を介して連続して延びる第2周壁部1099と、を備えている。また、ミキサー外装体1023の内部には、実施例1と同様に、頂壁部1095及び第1周壁部1097によって囲まれた第1空間S1と、第2周壁部1099によって囲まれた第2空間S2と、が形成されている(
図31E及び
図31F参照)。
【0156】
頂壁部1095は、外周形状が正六角形状を呈しており、中央部に頂部貫通筒1101が形成され、表面にへこみ1107Aの位置を示す矢印AR2が刻印されている(
図31C参照)。なお、矢印AR2は、へこみ1107Aと中心軸CAに沿って重複する位置に刻印されている。また、へこみ1107Aは、後述する被係合部1107の一つである。
【0157】
第1周壁部1097は、中心軸CAに沿って見たとき、
図31Cに示されたように、外周面が正六角形状を呈する。第1周壁部1097の内周面は、中心軸CAに沿って見たとき、
図31Dに示されたように、円形を呈している。そして、第1周壁部1097の内周面には、周方向溝1103と、一対の第1被係合溝1105A,1105A´と、一対の第2被係合溝1105B,1105B´と、が形成されている。
【0158】
第2周壁部1099は、中心軸CAに沿って見たとき、
図31Cに示されたように、外周面が中心軸CAを中心とする円弧状に湾曲すると共に、一部が外方に向かって尖ったしずく形状を呈する。第2周壁部1099の外周面のうち、尖った部分を先鋭部1099aとし、先鋭部1099aの先端と、頂壁部1095に形成された矢印AR2の指す方向とが一致している。また、先鋭部1099aには、第2周壁部1099の端面1099B(シリンジ1003が挿入されるミキサー外装体1023の開口部)から中心軸CAに沿って突出する突起部1099bが形成されている。そのため、突起部1099bは、被係合部1107のうちの一つであるへこみ1107Aが形成された位置に対し、中心軸CAを中心とした周方向に一致する位置に形成される。
【0159】
そして、第2周壁部1099の内周面には、段差部1098と、第2段差部1098Aと、3つのへこみ1107A,1107B,1107Cで構成された被係合部1107と、が形成されている。
【0160】
段差部1098は、第1周壁部1097と第2周壁部1099との境界に形成され、ミキサー外装体1023の内径を頂壁部1095に向かって狭める段状の凹凸である。段差部1098は、周方向(内側部材IMの回転方向)に延び、スタティックミキサー1007がシリンジ1003の先端に取り付けられた際、シリンジ1003の円形壁部1041aが突き当たる(
図27参照)。
【0161】
第2段差部1098Aは、ミキサー外装体1023の内径を頂壁部1095に向かって狭める段状の凹凸であり、段差部1098よりも第2周壁部1099の端面1099Bに近い位置に形成されている。第2段差部1098Aは、周方向(内側部材IMの回転方向)に延び、スタティックミキサー1007がシリンジ1003の先端に取り付けられた際、シリンジ1003のペースト収納室1049,1049´の外周面に形成された段差部分1049cが突き当たる(
図27参照)。
【0162】
へこみ1107A,1107B,1107Cは、実施例1と同様に、それぞれ第1溝部1107Aa,1107Ba,1107Caと、第2溝部1107Ab,1107Bb,1107Cbと、を有している。また、第2溝部1107Ab,1107Bb,1107Cbにそれぞれ対応する位置には、第2周壁部1099を貫通する窓部1109A,1109B,1109Cが形成されている。そして、第1溝部1107Aa,1107Ba,1107Caは、第2段差部1098Aに開放し、長手方向X(中心軸CA)に沿って段差部1098まで延びている。
【0163】
さらに、実施例2のミキサー外装体1023には、第2段差部1098Aの縁部から中心軸CAに沿って立ち上がり、ミキサー外装体1023の開口部を形成する円筒壁部1098Bが形成されている。円筒壁部1098Bは、スタティックミキサー1007がシリンジ1003の先端に取り付けられた際、ペースト収納室1049,1049´の外周面に形成された段差部分1049cの周囲を取り囲む円筒状の壁面である。円筒壁部1098Bが第2段差部1098Aの縁部から立ち上がることで、第1溝部1107Aa,1107Ba,1107Caは、それぞれ円筒壁部1098Bの内側で開放することになる。すなわち、円筒壁部1098Bは、被係合部1107よりも中心軸CAに沿って突出している。
【0164】
【0165】
また、実施例2のキャップ1011におけるキャップ内側部材1025は、実施例1と同一の構成であるため、説明を省略する。
【0166】
実施例2のキャップ外装体1027は、頂壁部1119と、頂壁部1119の縁部から立ち上がる第1周壁部1121と、第1周壁部1121から段差を介して連続して延びる第2周壁部1123と、を備えている。また、キャップ外装体1027の内部には、実施例1と同様に、頂壁部1119及び第1周壁部1121によって囲まれた第1空間S1と、第2周壁部1123によって囲まれた第2空間S2と、が形成されている(
図32E及び
図32F参照)。
【0167】
頂壁部1119は、第1空間S1を閉鎖する部分である。頂壁部1119は、ミキシングチップ本体部1019の場合と異なり、湾曲した板部材からなり、中央部に頂部貫通筒は形成されていない。また、頂壁部1119の表面には、後述するへこみ1129Aの位置を示す矢印AR2が刻印されている(
図32C参照)。なお、矢印AR2は、へこみ1129Aと中心軸CAに沿って重複する位置に刻印されている。また、へこみ1129Aは、後述する被係合部1129の一つである。
【0168】
第1周壁部1121は、中心軸CAに沿って見たとき、
図32Cに示されたように、外周面が正六角形状を呈する。第1周壁部1121の内周面は、中心軸CAに沿って見たとき、
図32Dに示されたように、円形を呈している。そして、第1周壁部1121の内周面には、周方向溝1125と、一対の第1被係合溝1127A,1127A´と、一対の第2被係合溝1127B,1127B´と、が形成されている。
【0169】
第2周壁部1123は、中心軸CAに沿って見たとき、
図32Cに示されたように、外周面が中心軸CAを中心とする円弧状に湾曲すると共に、一部が外方に向かって尖ったしずく形状を呈する。第2周壁部1123の外周面のうち、尖った部分を先鋭部1123aとし、先鋭部1123aの先端と、頂壁部1119に形成された矢印AR2の指す方向とが一致している。また、先鋭部1123aには、第2周壁部1123の端面1123B(シリンジ1003が挿入されるキャップ外装体1027の開口部)から中心軸CAに沿って突出する突起部1123bが形成されている。そのため、突起部1123bは、被係合部1129のうちの一つであるへこみ1129Aが形成された位置に対し、中心軸CAを中心とした周方向に一致する位置に形成される。
【0170】
そして、第2周壁部1123の内周面には、段差部1120と、第2段差部1120Aと、3つのへこみ1129A,1129B,1129Cで構成された被係合部1129と、が形成されている。
【0171】
段差部1120は、第1周壁部1121と第2周壁部1123との境界に形成され、キャップ外装体1027の内径を頂壁部1119に向かって狭める段状の凹凸である。段差部1120は、周方向(内側部材IMの回転方向)に延び、キャップ1011がシリンジ1003の先端に取り付けられた際、シリンジ1003の円形壁部1041aが突き当たる(
図27参照)。
【0172】
第2段差部1120Aは、キャップ外装体1027の内径を頂壁部1119に向かって狭める段状の凹凸であり、段差部1120よりも第2周壁部1123の端面1123Bに近い位置に形成されている。第2段差部1120Aは、周方向(内側部材IMの回転方向)に延び、キャップ1011がシリンジ1003の先端に取り付けられた際、シリンジ1003のペースト収納室1049,1049´の外周面に形成された段差部分1049cが突き当たる(
図27参照)。
【0173】
へこみ1129A,1129B,1129Cは、実施例1と同様に、それぞれ第1溝部1129Aa,1129Ba,1129Caと、第2溝部1120Ab,1129Bb,1129Cbと、を有している。また、第2溝部1129Ab,1129Bb,1129Cbにそれぞれ対応する位置には、第2周壁部1123を貫通する窓部1131A,1131B,1131Cが形成されている。そして、第1溝部1129Aa,1129Ba,1129Caは、第2段差部1120Aに開放し、長手方向X(中心軸CA)に沿って段差部1120まで延びている。
【0174】
さらに、実施例2のキャップ外装体1027には、第2段差部1120Aの縁部から中心軸CAに沿って立ち上がり、キャップ外装体1027の開口部を形成する円筒壁部1120Bが形成されている。円筒壁部1120Bは、キャップ1011がシリンジ1003の先端に取り付けられた際、ペースト収納室1049,1049´の外周面に形成された段差部分1049cの周囲を取り囲む円筒状の壁面である。円筒壁部1120Bが第2段差部1120Aの縁部から立ち上がることで、第1溝部1129Aa,1129Ba,1129Caは、それぞれ円筒壁部1120Bの内側で開放することになる。すなわち、円筒壁部1120Bは、被係合部1129よりも中心軸CAに沿って突出している。
【0175】
以上、本発明の実施例1及び実施例2について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能であるのは勿論である。
【0176】
例えば、本実施の形態では、ペースト収納室49等の楕円形状の長軸方向LAの長さ寸法T1は、短軸方向SAの長さ寸法W1を1として、1.3に設定してある。しかしながら、例えば、充填するペーストの粘度等に応じて、1.1~2.0の範囲内で設定して、プランジャの長手方向への移動しやすさを調整してもよい。
【0177】
また、上記実施例では、シリンジは、2つのペースト収納室(49,49´)を有する例を示したが、本発明のペースト注入器は、ペースト収納室は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。ペースト収納室が1つの場合には、ペースト収納室に収納するペーストは、1種類で用いるものでよいのは勿論である。
【0178】
なお、以上の実施例1及び実施例2の説明に関し、さらに以下を開示する。
(1) 長手方向に延び、内部に前記長手方向と直交する断面形状が楕円形状のペースト収納室を有するシリンジと、
前記ペースト収納室内に挿入されて前記長手方向に移動可能であり、少なくとも先端部の前記長手方向と直交する断面形状が前記ペースト収納室の断面形状より小さく、前記ペースト収納室の断面形状に相似した楕円形状であって、前記先端部の外周部に環状溝部が形成されたプランジャと、
前記環状溝部に取り付けられて楕円形状に引き伸ばされ、前記環状溝部からはみ出た状態で固定される円環状の弾性体と、を備え、
前記環状溝部に前記弾性体を取り付けた状態で前記プランジャを前記シリンジに挿入すると、前記弾性体は、前記ペースト収納室の内周面に接触して圧縮され、
前記圧縮された前記弾性体の長軸方向の圧縮率は、短軸方向の圧縮率よりも大きい
ことを特徴とするペースト注入器。
(2)前記プランジャの前記先端部は、胴部と、頂部と、前記胴部と前記頂部の間に形成されたネック部を有しており、
前記環状溝部は、前記ネック部と、前記ネック部を挟んで対向する前記胴部及び前記頂部によって形成されており、
前記圧縮率(%)は、下記式により求められることを特徴とする(1)に記載のペースト注入器。
C=(Wr-Gd)/Wr×100
但し、
C:圧縮率[%]
Wr:弾性体の線径[mm]
Gd:ネック部の外周面からペースト収納室の内周面までの距離[mm]
(3)前記ペースト収納室の断面形状の楕円形状、及び、前記プランジャの先端部の断面形状の楕円形状の長軸方向の寸法は、短軸方向の寸法を1とした場合に、1.1~2.0の間である
ことを特徴とする(1)または(2)に記載のペースト注入器。
(4)前記プランジャは、プランジャ本体と、前記プランジャ本体の先端に緩く係合して前記先端部を構成する弾性体ホルダと、から構成されており、
前記弾性体ホルダは、前記環状溝部に前記弾性体を取り付けた状態で前記プランジャを前記シリンジに挿入した後、前記プランジャが引き戻されると、前記プランジャ本体から分離され、前記シリンジ内に取り残されるようになっている
ことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のペースト注入器。
(5)歯科材料であるペーストの注入に使用されることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のペースト注入器。
【符号の説明】
【0179】
1,1001 ペースト注入器
3,1003 シリンジ
5,1005 プランジャ
7,1007 スタティックミキサー
9,1009 ガイドチップ
11,1011 キャップ
13,1013 プランジャ本体
15,1015 弾性体ホルダ
17,1017 Oリング(弾性体)
19,1019 ミキシングチップ本体部
21,1021 ミキサーハウジング
23,1023 ミキサー外装体
25,1025 キャップ内側部材
27,1027 キャップ外装体
29,29´,1029,1029´ ペースト通路
29A,29A´,1029A,1029A´ 流入孔
29B,29B´,1029B,1029B´ 流出孔
29C,29C´,1029C,1029C´ 遠位面
29D,29D´,1029D,1029D´ 近位面
31 中間通路
33,1033 ミキシング通路
35,1035 逆流防止壁
37,1037 エレメントハウジング部
39,1039 エレメント群
41,1041 シリンジ本体
41a,1041a 円形壁部
1041b 凹部
43,43´,1043,1043´ 突出部
45,1045 係合部
45A,45B,45C,1045A,1045B,1045C 突起片
47,1047 指掛け部
49,49´,1049,1049´ ペースト収納室
51,51´,1051,1051´ 排出口
53,53´ 充填口
55 抜止突起
57,57´ 幅方向外周面
59,59´ 厚み方向外周面
61 連結外周面
63,63´ 内側平坦面部
65,65´ 内側湾曲面部
67 押圧部
69,69´ 棒状部
71A 厚み方向壁部
71B 幅方向壁部
73,73´ 突出部
75,75´ 肉抜き部
77,77´ 突出部
79,79´ ホルダ係合部
81 胴部
83 頂部
85 ネック部
87,1087 基部
87A,1087A 第1端面
87B,1087B 第2端面
87C,1087C フランジ部
89,89´,1089,1089´ 挿入部
91,91,1091,1091´ 回転係合片
93,1093 基部ハウジング部
93A,1093A 端壁部
93B,1093B 周壁部
93C,1093C 凹部
95,1095 頂壁部
97,1097 第1周壁部
98,1098 段差部
99,1099 第2周壁部
99A 長辺部
99B,1099B 端面
1099a 先鋭部
1099b 突起部
101,1101 頂部貫通筒
103,1103 周方向溝
105A,105A´,1105A,1105A´ 第1被係合溝
105B,105B´,1105B,1105B´ 第2被係合溝
107,1107 被係合部
107Aa,107Ba,107Ca 第1溝部
1107Aa,1107Ba,1107Ca 第1溝部
107Ab,107Bb,107Cb 第2溝部
1107Ab,1107Bb,1107Cb 第2溝部
109A,109B,109C,1109A,1109B,1109C 窓部
111 基部
113,113´ 挿入部
115,115´ 回転係合片
117 有底凹部
119,1119 頂壁部
120,1120 段差部
121,1121 第1周壁部
123,1123 第2周壁部
123A 長辺部
123B,1123B 端面
1123a 先鋭部
1123b 突起部
125,1125 周方向溝
127A,127A´,1127A,1127A´ 第1被係合溝
127B,127B´,1127B,1127B´ 第2被係合溝
129,1129 被係合部
129Aa,129Ba,129Ca 第1溝部
1129Aa,1129Ba,1129Ca 第1溝部
129Ab,129Bb,129Cb 第2溝部
1129Ab,1129Bb,1129Cb 第2溝部
131A,131B,131C,1131A,1131B,1131C 窓部
M 装着部材
IM 内側部材
OM 外装体
CA 中心軸
X 長手方向
Y 幅方向
Z 厚み方向