(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007352
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/265 20180101AFI20250109BHJP
F21S 41/33 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/29 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20250109BHJP
F21W 102/14 20180101ALN20250109BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250109BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/33
F21S41/148
F21S41/151
F21S41/29
F21S41/663
F21W102:14
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108677
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野間 慶
(57)【要約】
【課題】重複部分とその周辺との間(境界)で比較的強い明暗差が生じることを抑制することができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】
車両用灯具1において、光源31~33と、光源31~33から出射した光を反射するリフレクタ41~43と、リフレクタ41~43で反射された光を車両前方に投影する投影レンズ5と、を備えている。車幅方向Xに並んで配置され、光源31~33とリフレクタ41~43と投影レンズ5とをそれぞれ有する3つの照射機構10~13を設けている。投影レンズ5は、各照射機構10~13を構成する各照射面部51~53が形成されたものである。各照射面部51~53から出射される各出射光の一部が上下方向Yで互いに異なる位置に照射される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源から出射した光を反射するリフレクタと、前記リフレクタで反射された光を車両前方に投影する投影レンズと、を備えた車両用灯具において、
車幅方向に並んで配置され、前記光源と前記リフレクタと前記投影レンズとをそれぞれ有する複数の照射機構を設け、
前記投影レンズは、前記各照射機構を構成する各照射面部が形成されたものであり、
前記各照射面部から出射される各出射光の一部が上下方向で互いに異なる位置に照射される
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用灯具において、
前記各照射面部のレンズ焦点位置は、上下方向で互いに異なる位置に設定されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項2に記載された車両用灯具において、
前記各照射機構では、前記各レンズ焦点位置は、前記各光源から前記各リフレクタの車両前方の前端位置までの各設定距離の間、または、前記各光源から車両後方へ前記各設定距離の分の間に設定されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項2に記載された車両用灯具において、
複数の前記光源は基板の同一平面上に設けられている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項4に記載された車両用灯具において、
複数の前記リフレクタは、一体に形成されたリフレクタ部材であり、
前記リフレクタ部材と前記基板とが対向する両対向面は、少なくとも互いに接する面は平面に形成されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
請求項5に記載された車両用灯具において、
前記リフレクタ部材は、車両前方の前端位置に前記投影レンズのレンズフレームを一体に有する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項7】
請求項6に記載された車両用灯具において、
前記リフレクタ部材の上端面は、前記リフレクタ部材の前記対向面であり、
複数の前記リフレクタの上端位置は、上下方向で前記リフレクタ部材の前記対向面の位置を基準に設定されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項8】
請求項1から6までの何れか一項に記載された車両用灯具において、
複数の前記リフレクタの上端位置は、上下方向で互いに異なる位置に設定されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具は、3つの内曲面からなる投影レンズを用いて配光パターンを形成し、内曲面に対して光源および反射面が一対一の対応とされ、各光源の焦点が1つの内曲面に対応するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車両用灯具は、3つの内曲面からなる投影レンズを用いて、例えば各内曲面を透過した光を重複させる場合、重複部分とその周辺との間(境界)で比較的強い明暗差が生じるおそれがある。このため、車両用灯具は、その比較的強い明暗差により、乗員に違和感を与えるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、重複部分とその周辺との間(境界)で比較的強い明暗差が生じることを抑制することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両用灯具は、光源と、前記光源から出射した光を反射するリフレクタと、前記リフレクタで反射された光を車両前方に投影する投影レンズと、を備えている。車幅方向に並んで配置され、前記光源と前記リフレクタと前記投影レンズとをそれぞれ有する複数の照射機構を設けている。前記投影レンズは、前記各照射機構を構成する各照射面部が形成されたものである。前記各照射面部から出射される各出射光の一部が上下方向で互いに異なる位置に照射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の車両用灯具によれば、重複部分とその周辺との間(境界)で比較的強い明暗差が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示に係る一実施形態としての車両用灯具を示す説明図である。
【
図2】車両用灯具を正面(前後方向の前側)から見た様子を示す説明図である。
【
図3】車両用灯具の構成を分解して示す説明図である。
【
図4】
図2に示すI-I線に沿って得られた端面で示す説明図である。
【
図5】
図2に示すII-II線に沿って得られた端面で示す説明図である。
【
図6】各光源とリフレクタ部材と投影レンズとの位置関係を平面(上下方向の上側)から見た様子を示す説明図であって、各焦点位置を示す概略説明図である。
【
図7】投影レンズにおける各面部とその入射面との位置関係を背面(前後方向の後側)から見た様子を示す説明図であって、各焦点位置を各面部に示す概略説明図である。
【
図8】リフレクタ部材の部分拡大図であって、各拡散光源と各拡散リフレクタとの長さ関係を平面(上下方向の上側)から見た様子を示す説明図であり、各焦点位置を示す概略説明図である。
【
図9】各集光焦点位置の上下方向の位置関係を示す概略説明図である。
【
図10】各光源とリフレクタ部材と投影レンズとの位置関係を平面(上下方向の上側)から見た様子を示す説明図であって、各焦点位置の前後関係を示す概略説明図である。
【
図11】3つの集光機構と1つの拡散機構とが形成する走行用配光パターンを示す概略説明図である。
【
図12A】第1集光リフレクタで反射された光が第1集光面部を透過する様子を示す概略説明図である。
【
図12B】第2集光リフレクタで反射された光が第2集光面部を透過する様子を示す概略説明図である。
【
図12C】第3集光リフレクタで反射された光が第3集光面部を透過する様子を示す概略説明図である。
【
図13】走行用配光パターンを示す概略説明図であって、各集光機構が形成する各集光パターンの部分拡大を示す説明図である。
【
図14A】第1集光機構が形成する第1集光パターンを示す説明図である。
【
図14B】第2集光機構が形成する第2集光パターンを示す説明図である。
【
図14C】第3集光機構が形成する第3集光パターンを示す説明図である。
【
図15】拡散機構が形成する拡散パターンを示す説明図であって、各拡散リフレクタで反射された光の各拡散パターンを示す説明図である。
【
図16】拡散面部が凸レンズの場合に形成される拡散パターンを示す概略説明図である。
【
図17】拡散面部が凹レンズの場合に形成される拡散パターンを示す概略説明図である。
【
図18】
図6における各集光リフレクタ(各集光反射面)の各第2焦点の位置を変更した例を示す概略説明図である。
【
図19】
図15における第2拡散リフレクタ(第2拡散反射面)の第2焦点の位置を変更した例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具1の実施例1について図面を参照しつつ説明する。なお、
図11と
図13~
図15では、車両用灯具1による照射の中心位置O(
図1の投影光軸Lp)を原点として水平線Hと鉛直線Vとが交差するスクリーン上で、走行用配光パターン10、集光パターン10A、各集光パターン101~103または拡散パターン10B(第1拡散パターン105~第3拡散パターン107)を示している。
【0010】
以下の説明では、車両用灯具1において、車両の進行方向を前後方向Zとし、前後方向Zを水平面に沿う状態とした際の鉛直方向を上下方向Y(スクリーンの鉛直線Vの方向に対応)とし、前後方向Zおよび上下方向Yに直交する水平方向を車幅方向X(左右方向、スクリーンの水平線Hの方向に対応)とする。その前後方向Zでは、後述の投影レンズ5が設けられる側を前側とし、上下方向Yでは、後述のベース部21が設けられる側を上側とする。ここで、車両用灯具1は、車両の左側と右側に設けられるもので基本的に等しい構成とされつつ車幅方向Xで反転されたものであるので、以下では、左側に設けられる車両用灯具1を用いて説明する。
【実施例0011】
実施例1における車両用灯具1を、
図1~
図17を用いて説明する。車両用灯具1は、自動車等の車両前方を照射するプロジェクタタイプの前照灯ユニットに適用したものである。車両用灯具1は、先行車や対向車がいないときに用いる走行用配光パターン10(配光パターン、
図11等参照)を形成することができる。車両用灯具1は、カットオフラインを有するすれ違い用配光パターンを形成するロービームユニットと合わせて車両に搭載される。車両用灯具1は、ロービームユニットがすれ違い用配光パターンを形成した状態において、そのすれ違い用配光パターンの上部に部分的に重複させつつその上部を照射する走行用配光パターン10を形成することで、いわゆるハイビームとすることができる。以下、実施例1の構成を、「全体構成」と「集光機構11~13(照射機構)と拡散機構15の詳細構成」に分けて説明する。
【0012】
【0013】
図1と
図2に示す車両用灯具1は、車両の前部の左右両側で、開放された前端がアウターレンズで覆われたランプハウジングにより形成される灯室に、上下方向用光軸調整機構や左右方向用光軸調整機構を介して設けられる。
【0014】
車両用灯具1は、走行用配光パターン10として、中心部に位置する集光パターン10Aと、中心部とその周辺の周辺部に位置する拡散パターン10Bと、を形成する(
図11等参照)。集光パターン10Aは、
図3に示す第1集光機構11、第2集光機構12および第3集光機構13の3つの協働により形成される。拡散パターン10Bは、
図3に示す1つの拡散機構15により形成される。車両用灯具1において、3つの集光機構11~13と拡散機構15とが設けられている。3つの集光機構11~13と拡散機構15は、第1集光機構11、第2集光機構12、拡散機構15および第3集光機構13の順で、車幅方向Xに並んで配置されている。このため、車幅方向Xにおいて、拡散機構15は3つの集光機構11~13の間に配置されつつ、第2集光機構12よりも車両の内側に近い位置に配置されている。第3集光機構13は、車両の最も内側に配置されている。
【0015】
車両用灯具1は、
図1~
図3に示すように、ヒートシンク2と、光源部3と、リフレクタ部材4と、投影レンズ5と、を有する。光源部3と投影レンズ5は、上下方向Yでヒートシンク2とリフレクタ部材4との間に配置される。車両用灯具1は、ヒートシンク2に、光源部3とリフレクタ部材4と投影レンズ5とが取り付けられる。後述するように、車両用灯具1は、3つの集光機構11~13と1つの拡散機構15のそれぞれは、光源部3と、リフレクタ部材4と、投影レンズ5と、を有する。
【0016】
ヒートシンク2は、熱伝導性を有するアルミプレートやアルミダイカストや樹脂で形成される。ヒートシンク2は、不図示のブラケットを介して、ランプハウジングに固定される。ヒートシンク2は、ベース部21と、ベース部21に一体に設けられた複数枚の放熱フィン24と、を有する。ベース部21は、
図3に示すように、光源取付部22と、レンズ取付部23と、を有する。
【0017】
光源取付部22は、上下方向Yに略直交する平板状とされ、所定の位置に光源部3が取り付けられる。光源取付部22の下面である第1対向面22aは、
図4と
図5に示すように、後述の基板38の上面である第2対向面38aと対向する。第1対向面22aは、第2対向面38aと接する面は少なくとも平面(平坦面)に形成されている。
【0018】
レンズ取付部23は、上下方向Yに略直交する平板状とされ、光源取付部22の前後方向Zの前側に設けられている。レンズ取付部23は、
図1と
図3に示すように、段差をつけて光源取付部22よりも上下方向Yの上側の位置に配置されている。レンズ取付部23は、投影レンズ5を取り付ける箇所としての機能を有し、光源取付部22に取り付けられた光源部3の前側位置に投影レンズ5は配置される。レンズ取付部23は、レンズ取付部23の前端位置にレンズフレーム上部23aを一体に有する。レンズフレーム上部23aは、投影レンズ5の上部を取り巻き、車幅方向Xの両端部のそれぞれで下側に屈曲されている。
【0019】
レンズ取付部23には、
図3に示すように、3つの仕切り板23bが設けられている。3つの仕切り板23bは、レンズ取付部23の車幅方向Xに間隔を空けて配置され、それぞれ略前後方向Zおよび上下方向Yに延びる板状とされている。3つの仕切り板23bは、レンズ取付部23の内方の空間、すなわち、光源部3からの光がリフレクタ部材4で反射されて投影レンズ5へと進行する空間を、車幅方向Xで4つに区画している。仕切り板23bは、各集光機構11~13と拡散機構15との間で互いの光が混ざることを抑えることができ、意図しない方向や態様で投影レンズ5から光が前方へ投影されることを抑えることができる。
【0020】
ヒートシンク2では、光源部3で発生する熱を主に各放熱フィン24から外部に放熱することができ、全体として光源部3で発生する熱を外部に逃がす放熱部材として機能する。ヒートシンク2では、冷却効率を高めるために適宜冷却ファンユニットを設けるものとしてもよい。
【0021】
光源部3は、
図3~
図6に示すように、第1集光機構11に対応する第1集光光源31と、第2集光機構12に対応する第2集光光源32と、第3集光機構13に対応する第3集光光源33と、を有する。光源部3は、拡散機構15に対応する第1拡散光源35と第2拡散光源36と第3拡散光源37と、を有する。各光源31~33、35~37は、各配光パターン10A、10Bを形成するための光を出射するものであり、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成されている。各光源31~33、35~37は、後述の基板38の下面(第3対向面38b)に取り付けられている。
【0022】
光源部3は、
図3に示すように、基板38を有する。基板38は、板状であり、アルミ基板やガラスエポキシ基板等で形成されている。基板38の形状は、車幅方向Xに長尺でかつ一部が前側と後側に突出している。第2対向面38aは、
図3~
図5に示すように、第1対向面22aと接する面は少なくとも平面(平坦面)に形成されている。基板38の下面である第3対向面38bは、後述のリフレクタ部材4の上面である第4対向面4aと対向する。第3対向面38bは、第4対向面4aと接する面は少なくとも平面(平坦面)に形成されている。実施例1では、第2対向面38aと第3対向面38bとの両面は、平面(平坦面)に形成されている。
【0023】
第3対向面38bには、6つの光源31~33、35~37が取り付けられると共に同一平面上に配置(実装)される。基板38は、車両に搭載された電力供給源からの電力を各光源31~33、35~37へと供給可能である。基板38は、各光源31~33、35~37を個別にまたは同時に適宜点灯させることができる。なお、6つの光源31~33、35~37に電力を供給するための端子と電源と制御回路等は図示を省略する。
【0024】
基板38は、6つの光源31~33、35~37が実装された状態で、光源取付部22に取り付けられる。光源取付部22に基板38が取り付けられた状態では、6つの光源31~33、35~37が下側に向けられる。更に、基板38にリフレクタ部材4が取り付けられると、
図3~
図6に示すように、6つの光源31~33、35~37は、リフレクタ部材4で覆われる。
【0025】
リフレクタ部材4は、各光源31~33、35~37から出射された光を投影レンズ5側へ反射する。リフレクタ部材4は、
図6に示すように、第1集光機構11に対応する第1集光リフレクタ41と、第2集光機構12に対応する第2集光リフレクタ42と、第3集光機構13に対応する第3集光リフレクタ43と、を有する。リフレクタ部材4は、拡散機構15に対応する第1拡散リフレクタ45と第2拡散リフレクタ46と第3拡散リフレクタ47と、を有する。第1集光リフレクタ41は第1集光反射面41aを有する。第2集光リフレクタ42は第2集光反射面42aを有する。第3集光リフレクタ43は第3集光反射面43aを有する。第1拡散リフレクタ45は第1拡散反射面45aを有し、第2拡散リフレクタ46は第2拡散反射面46aを有し、第3拡散リフレクタ47は第3拡散反射面47aを有する。リフレクタ部材4は、樹脂材料により成形され、6つのリフレクタ41~43、45~47が一体に形成されたものである。リフレクタ部材4の第4対向面4aは、第3対向面38bと接する面は少なくとも平面(平坦面)に形成されている。各リフレクタ41~43、45~47の上端位置は、上下方向Yで第4対向面4aの位置を基準に設定されている。
【0026】
リフレクタ部材4は、
図3~
図5に示すように、上下方向Yでヒートシンク2との間に、光源部3と投影レンズ5を介在させる。次に、リフレクタ部材4は、光源取付部22および光源部3に対して位置決めされた状態で、ヒートシンク2に取り付けられる。これにより、各光源31~33、35~37は、対応する各反射面41a、42a、43a、45a、46a、47aに上下方向Yで対向する。このため、各反射面41a、42a、43a、45a、46a、47aは、対応する各光源31~33、35~37から出射された光(出射光)を反射することにより、効率よく投影レンズ5へと各出射光を進行させることができる。
【0027】
リフレクタ部材4は、投影レンズ5を取り付ける箇所としての機能を有し、リフレクタ部材4の前側位置に投影レンズ5は配置される。リフレクタ部材4は、リフレクタ部材4の前端部にレンズフレーム下部48(レンズフレーム)を一体に有する。レンズフレーム下部48は、投影レンズ5の下部を取り巻き、車幅方向Xの両端部のそれぞれで上側に屈曲されている。レンズフレーム上部23aとレンズフレーム下部48により、投影レンズ5を取り巻くレンズフレームを構成することができるので、投影レンズ5の全周を囲むことができる。このため、有害光の車両前方への出射を、レンズフレームにより抑制することができる。ここで、有害光とは、投影レンズ5から出射される出射光に影響を及ぼす可能性がある光である。具体的には、有害光とは、各光源31~33、35~37から出射された出射光や各リフレクタ41~43、45~47で反射された反射光のうち、投影レンズ5に入射せずに、車両前方へ照射される光(車両用灯具1から出射される光)である。リフレクタ部材4は、レンズフレーム下部48の後側(前端部分)の左右位置に、一対のレンズ保持部49を有する。一対のレンズ保持部49は投影レンズ5を保持するための箇所である。
【0028】
ヒートシンク2にリフレクタ部材4が取り付けられた状態では、
図4と
図5に示すように、レンズ取付部23の前端(光源取付部22とは反対側の端部)位置で、レンズ取付部23とリフレクタ部材4との間に投影レンズ5が配置される。このため、リフレクタ部材4は、レンズ取付部23と協働して、各リフレクタ41~43、45~47から投影レンズ5までで、各反射面41a、42a、43a、45a、46a、47aで反射された光が投影レンズ5へと進行する空間を形成する。また、レンズフレーム上部23aとレンズフレーム下部48により、投影レンズ5を取り巻くレンズフレームを構成する。
【0029】
投影レンズ5は、樹脂材料からなる成形品で構成されている。投影レンズ5は、リフレクタ部材4で反射された光を車両前方へ投影し、それらと協働して所定の走行用配光パターン10を形成する。投影レンズ5は、
図6と
図7に示すように、第1集光機構11に対応する第1集光面部51(集光面部、照射面部)と、第2集光機構12に対応する第2集光面部52(集光面部、照射面部)と、第3集光機構13に対応する第3集光面部53(集光面部、照射面部)と、拡散機構15に対応する拡散面部55と、を有する。
【0030】
投影レンズ5の出射面5a(前側)は、各面部51~53、55に対応する各出射面51a、52a、53a、55aを有する。投影レンズ5の入射面5b(後側)は、各面部51~53、55に対応する各入射面51b、52b、53b、55bを有する。
【0031】
投影レンズ5は、4つの面部51~53、55が一体に形成されたものである。投影レンズ5の出射面5aは、4つの出射面51a、52a、53a、55aが一体に形成されている。このため、投影レンズ5の前側(出射面側)における形状が、車幅方向Xに長尺な略四角形状であると共に滑らかに連続する(屈曲箇所がなく曲率の変化が連続する)単一な面である。これにより、投影レンズ5を外側(出射面側)から見たときに、投影レンズ5は一体感のある見た目となる。各集光面部51~53は凸形状の凸レンズであり、拡散面部55は、拡散入射面55b側が凹形状の凹レンズである。拡散面部55の凹レンズの厚みは、
図6に示すように、左右で異なり、車幅方向Xの車両外側(左側)の厚み551が車両内側(右側)の厚み552よりも厚くなる設定とされている。
【0032】
投影レンズ5は、第1集光面部51と第3集光面部53のそれぞれの端から後方へ延びる一対の取付片部56を有する。一対の取付片部56の下側は、一対のレンズ保持部49に保持される。このため、ヒートシンク2とリフレクタ部材4に投影レンズ5が取り付けられた状態では、一対の取付片部56はレンズ取付部23とリフレクタ部材4に挟まれる。これにより、投影レンズ5は、レンズ取付部23とリフレクタ部材4により固定される。
【0033】
図3~
図15に基づいて、集光機構11~13と拡散機構15の詳細構成を、「各機構11~13、15の全体構成」、「リフレクタ部材4の詳細構成」、「投影レンズ5の詳細構成」、「走行用配光パターン10の詳細パターン」に分けて説明する。
【0034】
図3~
図6に基づいて、各機構11~13、15の全体構成を説明する。
【0035】
第1集光機構11は、
図3~
図6に示すように、第1集光光源31と、第1集光リフレクタ41と、投影レンズ5の第1集光面部51と、を有する。第1集光面部51は、第1集光出射面51aと第1集光入射面51bと、を有する。第2集光機構12は、第2集光光源32と、第2集光リフレクタ42と、投影レンズ5の第2集光面部52と、を有する。第2集光面部52は、第2集光出射面52aと第2集光入射面52bと、を有する。第3集光機構13は、第3集光光源33と、第3集光リフレクタ43と、投影レンズ5の第3集光面部53と、を有する。第3集光面部53は、第3集光出射面53aと第3集光入射面53bと、を有する。このように、各集光機構11~13は、各集光面部51~53に対して各集光光源31~33および各集光リフレクタ41~43が一対一(1:1)の対応とされる。
【0036】
拡散機構15は、第1拡散光源35と、第2拡散光源36と、第3拡散光源37と、第1拡散リフレクタ45と、第2拡散リフレクタ46と、第3拡散リフレクタ47と、投影レンズ5の拡散面部55と、を有する。拡散面部55は、拡散出射面55aと拡散入射面55bと、を有する。このように、拡散機構15は、1つの拡散面部55に対して3つの拡散光源35~37および3つの拡散リフレクタ45~47が一対三(1:3)の対応とされる。
【0037】
図3~
図6と
図8に基づいて、リフレクタ部材4の詳細構成を説明する。
【0038】
各反射面41a、42a、43a、45a、46a、47aは、
図3に示すように楕円形状を基本とする曲面(例えば椀状の自由曲面)であり、対応する各光源31~33、35~37を個別に覆うように湾曲された形状である(
図4と
図5参照)。各反射面41a、42a、43a、45a、46a、47aの表面には、例えばアルミ蒸着が施されている。
【0039】
各集光反射面41a、42a、43aは、対応する各集光光源31~33(その中心位置またはその近傍)を各第1焦点とする曲面である(
図3~
図6参照)。言い換えると、各第1焦点が、対応する各集光光源31~33(その中心位置またはその近傍)に設定される。各集光反射面41a、42a、43aは、対応する各集光面部51~53における後側(各集光光源31~33側)を各第2焦点41b、42b、43bとする曲面である(
図3~
図6参照)。言い換えると、各第2焦点41b、42b、43bが、対応する各集光面部51~53における後側に設定される。具体的には、対応する各集光面部51~53における後側は、対応する各集光面部51~53および各集光リフレクタ41~43の中間位置である。より具体的には、対応する各集光面部51~53における後側は、対応する各集光面部51~53および各集光リフレクタ41~43の中間位置のうち、対応する各集光面部51~53における後側の近傍である。なお、対応する各集光面部51~53における後側は、後側の近傍に限らず、対応する各集光面部51~53および各集光リフレクタ41~43の中間位置であればよい。このため、
図6に示すように、各集光反射面41a、42a、43aに反射された光が各第2焦点41b、42b、43bに集光し、各第2焦点41b、42b、43bに集光した光は各集光面部51~53へ向かって広がっていく。これにより、各集光リフレクタ41~43は、第1焦点の近傍の各集光光源31~33から出射された光を、効率よく対応する各集光面部51~53へと進行させることができる。各第2焦点41b、42b、43bの位置は、主に各集光面部51~53への光の入射量の調整に用いられ、一般的に入射量が最も増える位置に調整される。
【0040】
各拡散反射面45a、46a、47aは、対応する各拡散光源35~37(その中心位置またはその近傍)を各第1焦点とする曲面である。言い換えると、各第1焦点が、対応する各拡散光源35~37(その中心位置またはその近傍)に設定される。各拡散反射面45a、46a、47aは、投影レンズ5の拡散面部55における後側(3つの拡散光源35~37側)を第2焦点46b(
図15参照)とする曲面である。言い換えると、第2焦点46bが、投影レンズ5の拡散面部55における後側に設定される。具体的には、対応する拡散面部55における後側は、対応する拡散面部55および各拡散リフレクタ45~47の中間位置である。より具体的には、対応する拡散面部55における後側は、対応する拡散面部55および各拡散リフレクタ45~47の中間位置のうち、対応する拡散面部55における後側の近傍である。なお、対応する拡散面部55における後側は、後側の近傍に限らず、対応する拡散面部55および各拡散リフレクタ45~47の中間位置であればよい。つまり、3つの拡散反射面45a、46a、47aの第2焦点46bの位置は、同じもしくは略同じである。このため、各拡散反射面45a、46a、47aに反射された光が各第2焦点46bに集光し、第2焦点46bに集光した光は拡散面部55へ向かって広がっていく。これにより、各拡散リフレクタ45~47は、第1焦点の近傍の各拡散光源35~37から出射された光を、効率よく対応する拡散面部55へと進行させることができる。第2焦点46bの位置は、主に拡散面部55への光の入射量の調整に用いられ、一般的に入射量が最も増える位置に調整される。
【0041】
各拡散リフレクタ45~47は、
図3と
図6に示すように、各集光リフレクタ41~43よりも前側に配置されている。そのため、各拡散リフレクタ45~47の前端位置は、各集光リフレクタ41~43の前端位置よりも、前側に配置されている。第2拡散反射面46aは、
図8に示すように、残りの第1拡散反射面45aおよび第3拡散反射面47aよりも、光軸方向L5の長さ(45c、46c、47c)が前後に長く設定されている(46c>45c、47c)。第1拡散反射面45aと第3拡散反射面47aは、光軸方向L5の長さ(45c、47c)が同じまたは略同じに設定されている。ここで、「光軸方向L5」とは、光を照射(投影)する方向である。
【0042】
【0043】
図6に示すように4つの出射面51a、52a、53a、55aは滑らかに連続する単一の面として一体に形成されているので、各入射面51b、52b、53b、55bの形状は各出射面51a、52a、53a、55aの形状に合わせて光学的に設定されている。このため、各集光入射面51b、52b、53bの形状は、対応する各集光光源31~33と各集光リフレクタ41~43に合わせて光学的に設定されている。拡散入射面55bの形状は、対応する拡散光源35~37と拡散リフレクタ45~47に合わせて光学的に設定されている。また、各入射面51b、52b、53b、55bの形状は、レンズ焦点位置(後述の51c、52c、53c、55c)等が考慮され、各面部51~53、55のレンズ肉厚が設定されている。このため、例えば、投影レンズ5のレンズ肉厚は最大で10mm以下に抑えることができる。
【0044】
各集光面部51~53の各集光入射面51b、52b、53b側のレンズ焦点位置として、各集光焦点位置51c、52c、53cが設定されている。まず、各集光焦点位置51c、52c、53cは、車幅方向Xでは、対応する各集光光源31~33と各集光リフレクタ41~43の中心位置またはその近傍に設定される。次に、3つの集光焦点位置51c、52c、53cは、
図7と
図9に示すように、上下方向Yで互いに異なる位置に設定されている。例えば、上から、第1集光焦点位置51c、第3集光焦点位置53c、第2集光焦点位置52cの順に設定されている。3つの集光焦点位置51c、52c、53cを設定するために、集光パターン10Aを形成するための単一の基準位置100を基準とする。例えば、基準位置100は、
図11等に示すようなスクリーン投影時の水平線Hと鉛直線Vの交差位置(中心位置O、
図1の投影光軸Lp)である。
【0045】
続いて、各集光焦点位置51c、52c、53cは、前後方向Zでは、対応する各集光光源31~33の位置を基準に設定される。例えば、各集光焦点位置51c、52c、53cは、各集光光源31~33の位置の前側に設定される場合、
図10に示すように、各集光光源31~33(光源中心)の位置から、各光軸方向L1~L3と各集光リフレクタ41~43(各集光反射面41a、42a、43a)の前端位置との交差位置までの各設定距離51d、52d、53dの間に設定される。また、各集光焦点位置51c、52c、53cが、各集光光源31~33の位置の後側に設定されてもよい。この後側に設定される場合、各集光焦点位置51c、52c、53cは、各集光光源31~33(光源中心)の位置から、各設定距離51d、52d、53dの分の間に設定されればよい。更に、各集光焦点位置51c、52c、53cが、各集光光源31~33(光源中心)の位置に設定されても良い。なお、各集光焦点位置51c、52c、53cは、スクリーン上に集光パターン10Aを形成するために、光学的に設定されている。ここで、「光軸方向L1~L3」とは、各光を照射(投影)する方向である。
【0046】
拡散面部55の拡散入射面55b側のレンズ焦点位置として、拡散焦点位置55cが設定されている。拡散焦点位置55cは、3つの拡散反射面45a、46a、47aのうち、第2拡散反射面46aを基準に設定される。まず、拡散焦点位置55cは、車幅方向Xでは、第2拡散光源36と第2拡散リフレクタ46の中心位置またはその近傍に設定される。次に、拡散焦点位置55cは、上下方向Yと前後方向Zでは、走行用配光パターン10のスクリーン投影時、拡散パターン10Bを集光パターン10Aに適宜重複させつつ、走行用配光パターン10の中心部とその周辺の周辺部を形成する位置に設定される。例えば、拡散焦点位置55cは、
図11等に示すように、走行用配光パターン10のスクリーン投影時、拡散パターン10B内に集光パターン10Aが収まる位置に設定される。
【0047】
拡散焦点位置55cは、上下方向Yでは、基準位置100を基準に設定される。例えば、拡散焦点位置55cは、スクリーン投影時、上下方向Yの光の広がり等を考慮し、3つの集光焦点位置51c、52c、53cのうち上下方向Yで真ん中の第3集光焦点位置53cと同じまたはその近傍に設定される。拡散焦点位置55cは、前後方向Zでは、各集光焦点位置51c、52c、53cの前後方向Zの設定と同様に、第2拡散光源36の位置を基準に設定される。拡散焦点位置55cは、第2拡散光源36の位置の前側に設定される場合、
図10に示すように、第2拡散光源36(光源中心)の位置から、光軸方向L5と第2拡散リフレクタ46(第2拡散反射面46a)の前端位置との交差位置までの各設定距離55dの間に設定される。なお、拡散焦点位置55cが、第2拡散光源36の位置の後側に設定される場合、または、第2拡散光源36(光源中心)の位置に設定される場合は、各集光焦点位置51c、52c、53cの前後方向Zの設定と同様である。このように、拡散焦点位置55cは、3つの拡散反射面45a、46a、47aのうち、第2拡散反射面46aに設定される。言い換えると、拡散焦点位置55cは、第2拡散反射面46aに含まれる。
【0048】
図11~
図15に基づいて、走行用配光パターン10の詳細パターンを説明する。
【0049】
車両用灯具1は、水平線Hと鉛直線Vとの交差位置(中心位置O)を中心として3つの集光機構11~13で集光パターン10Aを形成しつつ、鉛直線Vに対して左側に偏らせて拡散機構15で拡散パターン10Bを形成する。これにより、
図11に示すように、スクリーン上に走行用配光パターン10を形成する。
【0050】
具体的に説明すると、3つの集光機構11~13において、各集光リフレクタ41~43で反射された光(集光光束41c、42c、43c)は、
図12A~Cに示すように、各集光面部51~53を透過する。各集光面部51~53を透過した光は、
図13に示すように、スクリーン上に集光パターン10Aを形成する。集光パターン10Aは、拡散パターン10Bより狭い範囲内に光が集光され、走行用配光パターン10の中心部の光度を高くするものである。
【0051】
第1集光機構11は、
図13と
図14Aに示すように、スクリーン上の集光パターン10Aのうち、第1集光光源31からの光を集光した第1集光パターン101を形成する。第1集光パターン101は、鉛直線Vに対して僅かに右側に偏らせている。第2集光機構12は、
図13と
図14Bに示すように、スクリーン上の集光パターン10Aのうち、第2集光光源32からの光を集光した第2集光パターン102を形成する。第2集光パターン102は、鉛直線Vに対して僅かに左側に偏らせている。第3集光機構13は、
図13と
図14Cに示すように、スクリーン上の集光パターン10Aのうち、第3集光光源33からの光を集光した第3集光パターン103を形成する。第3集光パターン103は、鉛直線Vに対して中央または略中央に設定されている。第3集光パターン103は、第1集光パターン101と第2集光パターン102よりも水平線Hの方向(車幅方向X)の幅が広く設定されている。
【0052】
また、集光パターン10Aにおける各集光パターン101~103の上下方向Yの位置について記載する。
【0053】
まず、
図12A~Cに示すように、集光パターン10Aの水平線Hに投影される光路を矢印A(投影光軸Lpの高さに一致し、各集光パターン101~103で共通とする。)とすると、各第2焦点41b、42b、43bよりも前方において各集光パターン101~103は次の通りである。第1集光パターン101を形成する集光光束41cは矢印Aの上寄りを通る光路になっている。第2集光パターン102を形成する集光光束42cは矢印Aの下寄りを通る光路になっている。第3集光パターン103を形成する集光光束43cは矢印Aを中心として上下に均一または略均一の光路になっている。
【0054】
次に、スクリーン上では、
図13と
図14A~Cに示すように、水平線Hから各集光パターン101~103の下端までの上下方向Yの各距離101A、102A、103Aは、短い順に、第1距離101A、第3距離103A,第2距離102Aになっている。つまり、矢印Aに対する各集光パターン101~103を形成する各光束41c、42c、43cが通る光路と、スクリーン上に投影された各集光パターン101~103の各距離101A、102A、103Aは、各集光焦点位置51c、52c、53cの上下方向Yの配置に一致する。
【0055】
拡散機構15は、
図11と
図15に示すように、スクリーン上において3つの拡散光源35~37からの光を用いて拡散した拡散パターン10Bを形成する。拡散パターン10Bは、集光パターン10Aよりも光が広範囲(特に水平線Hの方向)に拡散され、走行用配光パターン10の周辺部を広範囲で照射するものである。広範囲の照射については、拡散面部55の凹レンズで調整される。拡散面部55の凹レンズの厚みは左右で異なるため、拡散パターン10Bの左右拡散角度(拡散角度)が調整される。
【0056】
拡散パターン10Bを左側に偏らせている理由は、車両用灯具1が車両の左側に設けられるからである。このため、車両用灯具1が車両の右側に設けられる場合、車幅方向Xで車両用灯具1が反転された構成とされるので、鉛直線Vに対して右側に偏らせて拡散パターンは形成される。
【0057】
拡散機構15は、
図15に示すように、スクリーン上の拡散パターン10Bのうち、第1拡散光源35からの光を拡散した第1拡散パターン105を形成する。第1拡散パターン105は、鉛直線Vを跨がせ、鉛直線Vに対して右側に偏らせている。第1拡散パターン105の一部分は、第2拡散パターン106の右側と重ならせている。
【0058】
拡散機構15は、スクリーン上の拡散パターン10Bのうち、第2拡散光源36からの光を拡散した第2拡散パターン106を形成する。第2拡散パターン106は、拡散パターン10Bの中央部に形成される。理由は、拡散焦点位置55cが第2拡散反射面46aに設定されているからである。また、第2拡散パターン106は、鉛直線Vを跨がせ、鉛直線Vに対してやや左側に偏らせている。
【0059】
拡散機構15は、スクリーン上の拡散パターン10Bのうち、第3拡散光源37からの光を拡散した第3拡散パターン107を形成する。第3拡散パターン107は、鉛直線Vを跨がず、鉛直線Vに対して左側に偏らせている。理由は、車両用灯具1が車両の左側に設けられているからである。第3拡散パターン107の一部分は、第2拡散パターン106の左側と重ならせている。
【0060】
図15において第2拡散パターン106の鉛直線Vの方向(上下方向Y)の長さが、第1拡散パターン105と第3拡散パターン107よりも長く形成される。理由は、第2拡散反射面46aの光軸方向L5の長さが、
図8に示すように、残りの第1拡散反射面45aおよび第3拡散反射面47aよりも、前後に長く設定されているからである。なお、各拡散パターン105~107の水平線H方向の下端位置は、揃っているまたは略揃っている(同一または略同一である)。
【0061】
以下、従来の車両用灯具の技術の課題について説明した後、実施例1の車両用灯具1としての作用効果を説明する。
【0062】
従来の車両用灯具は、3つの内曲面からなる投影レンズを用いて配光パターンを形成し、内曲面に対して光源および反射面が一対一の対応とされ、各光源の焦点が1つの内曲面に対応するように構成されている。従来の投影レンズを用いて、例えば各内曲面を透過した光を重複させる場合、重複部分は光度が増加するため、重複部分とその周辺との間(境界)で比較的強い明暗差が生じるおそれがある。このため、その比較的強い明暗差により、乗員に違和感を与えるおそれがある。
【0063】
これに対し、本開示の車両用灯具1では、
図6と
図7等に示すように、投影レンズ5は、各集光機構11~13を構成する各集光面部51~53が形成されたものである。また、各集光面部51~53から出射される各出射光の一部が上下方向Yで互いに異なる位置に照射される。
【0064】
即ち、各集光面部51~53から出射される各出射光の一部を重複させず残りの部分を重複させるために(
図13参照)、個別に各集光機構11~13の光学設定が可能になる。言い換えると、各集光面部51~53から出射される各出射光の一部をずらすために、個別に各集光機構11~13の光学設定が可能になる。従って、重複部分とその周辺との間(境界)で比較的強い明暗差が生じることを抑制することができる。これにより、明暗差によって乗員に与える違和感を抑制することができる。
【0065】
各集光面部51~53の各集光焦点位置51c、52c、53cは、上下方向Yで互いに異なる位置に設定されている。言い換えると、各集光面部51~53の各集光焦点位置51c、52c、53cは、各集光面部51~53から出射される各出射光の一部をずらすために、上下方向Yで互いに異なる位置に照射される。
【0066】
このため、各集光焦点位置51c、52c、53cの違いにより各出射光をずらすことができる。従って、重複部分とその周辺との間(境界)で比較的強い明暗差が生じることを抑制することができる。これにより、明暗差によって乗員に与える違和感を抑制することができる。
【0067】
また、従来の車両用灯具において、本開示の車両用灯具1のように明暗差が生じることを抑制するためには、例えば、投影レンズのレンズ面にプリズムを設けたり、そのレンズ面の自由曲面で配光を細かく制御したりすることで対応する。しかし、前者では特に集光パターンの光度が低下するため、また後者ではレンズ面が複雑な形状になるため、どちらも意図した集光パターンを形成することができないおそれがある。
【0068】
これに対し、本開示の車両用灯具1では、上記のように各出射光をずらすため、レンズ面にプリズムを設けたりレンズ面を複雑化したりすることなく、重複部分とその周辺との間で比較的強い明暗差が生じることを抑制することができる。これにより、明暗差によって乗員に与える違和感を抑制することができる。更に、重複部分の光度の低下を抑制できると共にレンズ面を複雑化することなく簡易な形状とすることができる。
【0069】
更にまた、各集光機構11~13では、
図10に示すように、各集光焦点位置51c、52c、53cは、各集光光源31~33から各集光リフレクタ41~43の車両前方の前端位置までの各設定距離51d、52d、53dの間に設定されている。即ち、各集光光源31~33は、各集光リフレクタ41~43と上下方向Yで対向する位置に設定されている。各集光焦点位置51c、52c、53cは、各集光リフレクタ41~43と上下方向Yで対向する位置に設定されている。そして、各集光リフレクタ41~43(各集光反射面41a、42a、43a)で反射された各集光光源31~33の光(反射光)が投影レンズ5の各集光面部51~53に入射する。このため、各集光リフレクタ41~43(各集光反射面41a、42a、43a)の形状を設定することにより、各集光光源31~33の出射光の広がりを調整(コントロール)することができる。
【0070】
また、従来の車両用灯具において、例えば、リフレクタで反射された反射光の一部をシェード部材で遮光(カット)するものがある。このため、遮光された分、光源からの出射光(光度)を有効利用することができないおそれがある。これに対し、本開示の車両用灯具1では、各集光リフレクタ41~43(各集光反射面41a、42a、43a)で反射された反射光の一部をシェード部材で遮光しないものである。このため、各集光光源31~33からの出射光(光度)を有効利用することができる。
【0071】
更にまた、
図3~
図6等に示すように、3つの集光光源31~33は基板38の同一平面(第3対向面38b)上に設けられている。即ち、3つの集光光源31~33を同一基板38に搭載することができる。このため、3つの集光光源31~33を基板38に取り付ける取付工程を単純化することができる。
【0072】
また、3つの集光リフレクタ41~43は、一体に形成されたリフレクタ部材4である。リフレクタ部材4と基板38とが対向する両対向面(第4対向面4aと第3対向面38b)は、少なくとも互いに接する面は平面に形成されている。このため、リフレクタ部材4と基板38の平面同士を合わせることにより、リフレクタ部材4と基板38の取り付ける取付工程を単純化することができる。
【0073】
更に、実施例1では、リフレクタ部材4と基板38は互いに平面(第4対向面4aと第3対向面38b)で接し、基板38とヒートシンク2の一部である光源取付部22は互いに平面(第2対向面38aと第1対向面22a)で接している。このため、リフレクタ部材4が発する熱と、基板38に取り付けられた6つの光源31~33、35~37が発する熱とは、互いに接する平面を通じてヒートシンク2に伝導される。このため、リフレクタ部材4と基板38と6つの光源31~33、35~37の冷却効率を向上することができる。
【0074】
更に、リフレクタ部材4は、車両前方の前端位置に投影レンズ5のレンズフレーム下部48を一体に有する。即ち、リフレクタ部材4により、リフレクタ部材4とは別に投影レンズ5のレンズフレームを設けなくて良い。従って、レンズフレーム分の部品点数を低減することができる。また、レンズ取付部23は、レンズ取付部23の前端位置にレンズフレーム上部23aを一体に有する。即ち、レンズ取付部23により、レンズ取付部23とは別に投影レンズ5のレンズフレームを設けなくて良い。従って、レンズフレーム分の部品点数を低減することができる。
【0075】
更にまた、リフレクタ部材4の上端面は、第4対向面4aである。3つの集光リフレクタ41~43の上端位置は、上下方向Yで第4対向面4aの位置を基準に設定されている。これにより、3つの集光リフレクタ41~43の上端位置を別々の位置を基準に調整(設定)することが不要になる。このため、3つの集光リフレクタ41~43の上端位置を調整する調整工程を単純化することができる。また、各リフレクタ41~43、45~47の上端位置は、上下方向Yで第4対向面4aの位置を基準に設定されている。これにより、6つのリフレクタ41~43、45~47の上端位置を別々の位置を基準に調整(設定)することが不要になる。このため、6つのリフレクタ41~43、45~47の上端位置を調整する調整工程を単純化することができる。
【0076】
更に、車両用灯具1において、
図6に示すように、投影レンズ5の入射面5bまたは出射面5aの少なくとも入射面5bでは、各集光面部51~53は凸レンズであり、拡散面部55は凹レンズである。ここで、仮に拡散面部55が従来の車両用灯具のように凸レンズの場合、
図16に示すように、拡散面部55を透過した光は凸レンズの集光作用により平行光となってしまう。そうすると、拡散パターン10Bの領域が走行用配光パターン10で不足するおそれがある。これに対し、車両用灯具1では、拡散面部55が凹レンズであることで、
図17に示すように、拡散面部55を透過した光は凹レンズの拡散作用により凸レンズの平行光よりも拡散パターン10Bの領域を広げることができる。そして、拡散パターン10Bの領域を走行用配光パターン10で充足することができる(
図11と
図15参照)。
【0077】
以上、本開示の車両用灯具1を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0078】
実施例1では、3つの集光機構11~13であるが、集光機構の個数は2つでも4つ以上でもよく、実施例1の構成に限定されない。また、複数の照射機構として3つの集光機構を例として示したが、複数の照射機構は車幅方向に並んで配置され、光源とリフレクタと投影レンズとをそれぞれ有するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0079】
実施例1では、1つの拡散機構15は、1つの拡散面部55に対して3つの拡散光源35~37および3つの拡散リフレクタ45~47が一対三の対応とされる。しかし、1つの拡散面部55に対して拡散光源および拡散リフレクタが2つずつの一対二(1:2)の対応とされてもよく、実施例1の構成に限定されない。要するに、1つの拡散面部に対して拡散光源および拡散リフレクタが一対複数になっていればよい。また、3つの拡散光源35~37および3つの拡散リフレクタ45~47を示した。しかし、拡散光源と拡散リフレクタの個数はそれぞれ異なっていてもよく、実施例1の構成に限定されない。つまり、拡散光源に対して拡散リフレクタが三対三(3:3、同数)の構成には限定されない。
【0080】
実施例1では、1つの拡散機構15であるが、拡散機構の個数は複数でもよく、実施例1の構成には限定されない。
【0081】
実施例1では、3つの集光機構11~13と1つの拡散機構15は、第1集光機構11、第2集光機構12、拡散機構15および第3集光機構13の順で、車幅方向Xに並んで配置されている構成としている。しかし、順番は走行用配光パターン10の形成と光源等の種々の光学部品等に合わせればよく、実施例1の構成に限定されない。また、拡散機構15は、車両の最も内側または外側に配置されてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0082】
実施例1では、各拡散リフレクタ45~47は、各集光リフレクタ41~43よりも前側に配置されている。しかし、各リフレクタ41~43、45~47は、前後方向Zを(同一または略同一に)揃えるまたは略揃えると共に車幅方向Xに1列に並べてもよく、実施例1の構成に限定されない。このように、各リフレクタ41~43、45~47は車幅方向Xに1列に並べた場合、各リフレクタ41~43、45~47の前端位置は、前後方向Zを同一または略同一に揃えればよい。また、上下方向Yの上側から見たとき(平面視)、投影レンズ5が傾斜されている場合、この傾斜に合わせて各リフレクタ41~43、45~47が傾斜されて並べられてもよい。同様に、4つの面部51~53、55のうち1つの面部が傾斜されている場合、この傾斜に合わせて対応するリフレクタが傾斜されてもよい。
【0083】
実施例1では、3つの拡散反射面45a、46a、47aの光軸方向L5の前後長さ(45c、46c、47c)は、第2拡散反射面46aが最長に形成されている。しかし、この光軸方向L5の前後長さ(45c、46c、47c)は、走行用配光パターン10および拡散パターン10Bの形成と投影レンズ5等の種々の光学部品等に合わせればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0084】
実施例1では、拡散面部55は凹形状の凹レンズであるが、拡散面部55の形状は、走行用配光パターン10および拡散パターン10Bの形成等に合わせればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0085】
実施例1では、4つの出射面51a、52a、53a、55aが滑らかに連続する単一の面として一体に形成されている。しかし、4つの入射面51b、52b、53b、55bを実施例1の出射面5aと同様に一体に形成し、各出射面51a、52a、53a、55aの形状は各入射面51b、52b、53b、55bの形状に合わせて光学的に設定してもよく、実施例1の構成に限定されない。また、投影レンズ5は、4つの面部51~53、55を滑らかに連続する単一のレンズとして一体に形成されている。しかし、4つの面部51~53、55を段差のある(例えば上下方向Yの上側から見たときの平面視で階段状の)レンズとして一体に形成してもよく、4つの面部51~53、55を個別に分割して4つの投影レンズ5としてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0086】
実施例1では、6つの光源31~33、35~37は基板38の同一平面上に設けられている。しかし、実施例1の基板38の形状を変形させて、3つの集光光源31~33と3つの拡散光源35~37は基板38の異なる平面上に設けられてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0087】
実施例1では、6つのリフレクタ41~43、45~47は一体に形成されたリフレクタ部材4である。しかし、3つの集光リフレクタ41~43と3つの拡散リフレクタ45~47は別体に形成された2つのリフレクタ部材としてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0088】
実施例1では、各集光リフレクタ41~43(各集光反射面41a、42a、43a)の各第2焦点41b、42b、43bは、対応する各集光面部51~53における後側(各集光光源31~33側)の近傍、または、対応する各集光面部51~53および各集光リフレクタ41~43の中間位置、に設定される。しかし、各第2焦点41b、42b、43bは、
図18に示すように、対応する各集光面部51~53における前側(各集光出射面51a、52a、53a側)の近傍に設定されてもよく、実施例1の構成に限定されない。また、3つの第2焦点41b、42b、43bの全てが、対応する各集光面部51~53における前側の近傍に設定されてもよいし、各第2焦点41b、42b、43bのうち1つまたは2つが、対応する各集光面部51~53における前側の近傍に設定されてもよい。この結果、各第2焦点41b、42b、43bがその前側の近傍に設定された場合、各集光反射面41a、42a、43aに反射された光が各第2焦点41b、42b、43bに集光し、各第2焦点41b、42b、43bに集光した光は前後方向Zの前方へ向かって広がっていく。
【0089】
また、実施例1では、第2拡散リフレクタ46(第2拡散反射面46a)の第2焦点46bは、投影レンズ5の拡散面部55における後側(3つの拡散光源35~37側)の近傍、または、拡散面部55および各拡散リフレクタ45~47の中間位置、に設定される。しかし、第2焦点46bは、
図19に示すように、投影レンズ5の拡散面部55における前側(拡散出射面55a側)の近傍に設定されてもよく、実施例1の構成に限定されない。この結果、第2焦点46bがその前側の近傍に設定された場合、各拡散反射面45a、46a、47aに反射された光が各第2焦点46bに集光し、第2焦点46bに集光した光は前後方向Zの前方へ向かって広がっていく。なお、
図19において、拡散パターンの図示は省略した。
【0090】
このように、第2焦点41b、42b、43b、46bが対応する投影レンズ5の各面部51~53、55における前側の近傍に設定されていてもよい。
【0091】
ここで、拡散パターン10Bの拡散角は、実施例1の
図15に示すように第2焦点46bが拡散面部55の後側に設定されるよりも、
図19に示すように第2焦点46bが拡散面部55の前側に設定される方が減少する。この拡散角を考慮すると、第2焦点の位置は、
図19の第2焦点46bよりも、実施例1の
図15に示すように第2焦点46bが拡散面部55における後側の近傍、または、拡散面部55および各拡散リフレクタ45~47の中間位置に設定される方が好ましい。拡散角とは、第2焦点46bに集光した光が前後方向Zの前方へ向かって広がっていく角度のことである。
【0092】
実施例1では、2つの対向する第1対向面22aと第2対向面38aは、互いに接する面は少なくとも平面に形成されている。また、2つの対向する第3対向面38bと第4対向面4aは、互いに接する面は少なくとも平面に形成されている。しかし、互いに接する面において、各対向面は、いずれも、全体的に平面に形成されてもよいし、平面に形成されず段差のある面に形成されてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0093】
実施例1では、リフレクタ部材4は、車両前方の前端位置に投影レンズ5のレンズフレーム下部48を一体に有するが、レンズフレーム下部48は別体に形成されてもよく、実施例1の構成に限定されない。また、レンズ取付部23(ヒートシンク2の一部)は、レンズフレーム上部23aを一体に有するが、レンズフレーム上部23aは別体に形成されてもよい。更に、レンズフレーム上部23aとレンズフレーム下部48は、投影レンズ5を取り巻くレンズフレームとして一体に形成され、他の部材とは別体に形成されてもよい。
【0094】
実施例1では、各リフレクタ41~43、45~47の上端位置は、上下方向Yで第4対向面4aの位置を基準に設定されている。しかし、各リフレクタ41~43、45~47の上端位置は、上下方向Yで第4対向面4aの位置を基準に設定されず別の位置を基準に設定されてもよく、実施例1の構成に限定されない。また、各リフレクタ41~43、45~47の上端位置は、上下方向Yで異なる位置を基準に設定されてもよく、実施例1の構成に限定されない。更に、各リフレクタ41~43、45~47の上端位置は、上下方向Yで異なる位置に設定されてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0095】
実施例1では、3つの集光焦点位置51c、52c、53cは、上下方向Yで互いに異なる位置に設定されている。また、実施例1では、各集光リフレクタ41~43の上端位置は、上下方向Yで第4対向面4aの位置を基準に設定されている。しかし、各集光リフレクタ41~43の上端位置は、上下方向Yで第4対向面4aの位置を基準に設定されず別の位置を基準に設定されてもよく、実施例1の構成に限定されない。また、各集光リフレクタ41~43の上端位置は、上下方向Yで互いに異なる位置を基準に設定されてもよく、実施例1の構成に限定されない。更に、各集光リフレクタ41~43の上端位置は、上下方向Yで互いに異なる位置に設定されてもよく、実施例1の構成に限定されない。即ち、3つの集光焦点位置51c、52c、53cの変更に加えて、各集光リフレクタ41~43の上端位置も変更することで、出射光をより一層ずらすことができる。また、3つの集光焦点位置51c、52c、53cに替えて各集光リフレクタ41~43の上端位置を変更するのみで、3つの集光焦点位置51c、52c、53cが上下方向Yで互いに異なる位置に設定されてもよい。このため、実施例1と異なり、3つの集光焦点位置51c、52c、53cに替えて各集光リフレクタ41~43の上端位置を変更するのみであっても、各集光焦点位置51c、52c、53cの違いにより各出射光をずらすことができる。従って、重複部分とその周辺との間(境界)で比較的強い明暗差が生じることを抑制することができる。これにより、明暗差によって乗員に与える違和感を抑制することができる。
【0096】
実施例1では、基準位置100は、
図11等に示すようなスクリーン投影時の水平線Hと鉛直線Vの交差位置である。しかし、3つの集光焦点位置51c、52c、53cのうち1つを単一の基準位置とし、残りの2つについて基準位置を基準としてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0097】
実施例1では、本発明の車両用灯具1は自動車等の車両前方を照射するプロジェクタタイプの前照灯ユニットに適用したものであるが、車両は自動車に限らず、更に照射は車両後方でもよく、実施例1の構成に限定されない。また、実施例1では、本発明の車両用灯具1は走行用配光パターン10のいわゆるハイビームに適用したものであるが、いわゆるロービームに適用してもよく、実施例1の構成に限定されない。