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特開2025-7355給電装置、給電制御方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007355
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給電装置、給電制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250109BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20250109BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20250109BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 302C
H02J7/34 G
H02J1/00 306L
B60L55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108684
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 涼
(72)【発明者】
【氏名】山本 靖旺
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直樹
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G165BB02
5G165EA02
5G165FA01
5G165GA04
5G165GA09
5G165MA01
5G165MA02
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CC02
5G503DA05
5G503DA07
5G503DA17
5G503FA06
5G503GB01
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC11
5H125AC24
5H125BC24
5H125BD01
5H125CC06
5H125EE41
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】FCV(Fuel Cell Vehicle)及びEV(Electric Vehicle)のいずれにも対応可能な給電装置、給電制御方法、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】給電装置は、車両に配備されたモータの駆動電力源と接続されるコネクタを有し、コネクタを介して駆動電力源から電力を取り出し、外部電気負荷へ電力を供給する給電装置であって、コネクタと、外部電気負荷との間で電力を変換して出力する回路と、回路からの外部電気負荷への電力の出力のON/OFFを制御する制御部とを備え、制御部は、コネクタに接続された車両が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断し、車両が特定車両であると判断した場合、上位装置又はユーザからの操作により給電開始の指示を受け付けた後、回路からの電力の出力をONとする前に、特定車両の駆動電力源からの出力上昇に応じた処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配備されたモータの駆動電力源と接続されるコネクタを有し、前記コネクタを介して前記駆動電力源から電力を取り出し、外部電気負荷へ電力を供給する給電装置であって、
前記コネクタと、前記外部電気負荷との間で電力を変換して出力する回路と、
前記回路からの前記外部電気負荷への電力の出力のON/OFFを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記コネクタに接続された車両が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断し、
前記車両が前記特定車両であると判断した場合、前記回路からの電力の出力をONとする前に、前記特定車両の前記駆動電力源からの出力上昇に応じた処理を実行する
給電装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記車両が特定車両であると判断した場合、前記特定車両の前記駆動電力源からの出力が上昇する前の準備期間に応じた期間待機し、
待機後に、前記回路からの電力の出力をONとする
請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記車両が前記特定車両であると判断した場合、ユーザの確認操作を受け付け、
前記確認操作が受け付けられた場合、前記準備期間に応じた期間待機し、
待機後に、前記回路からの電力の出力をONとする
請求項2に記載の給電装置。
【請求項4】
上位装置と通信接続する上位通信部を更に備え、
前記制御部は、前記特定車両が接続されたことを前記上位通信部から前記上位装置へ通知する
請求項1から3のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項5】
前記モータの駆動電力源を制御する車載制御装置と通信する車両通信部を更に備え、
前記制御部は、
前記回路からの電力の出力をONとする前に、
前記上位通信部により、給電に係る最大電力、最大電流を一定時間、最低値とすることを前記上位装置へ通知し、
前記車両通信部により、前記最大電力、最大電流として前記最低値を前記車載制御装置へ通知する
請求項4に記載の給電装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記車両が前記特定車両であると判断した場合、前記給電装置からの出力を制限しつつ前記回路からの電力の出力をONとし、
前記回路からの出力を徐々に上昇させる
請求項1に記載の給電装置。
【請求項7】
上位装置と通信接続する上位通信部を更に備え、
前記制御部は、前記回路からの出力の制限を、前記上位通信部から前記上位装置へ通知する
請求項6に記載の給電装置。
【請求項8】
車両に配備されたモータの駆動電力源と接続されるコネクタを有し、前記コネクタを介して前記駆動電力源から電力を取り出し、外部電気負荷へ電力を供給する給電装置が、
前記コネクタに接続された車両が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断し、
前記車両が前記特定車両であると判断した場合、前記給電装置からの電力の出力をONとする前に、前記特定車両の前記駆動電力源からの出力上昇に応じた処理を実行する
給電制御方法。
【請求項9】
車両に配備されたモータの駆動電力源と接続されるコネクタを有し、前記コネクタを介して前記駆動電力源から電力を取り出し、外部電気負荷へ電力を供給する給電装置に搭載されるコンピュータに、
前記コネクタに接続された車両が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断し、
前記車両が前記特定車両であると判断した場合、前記給電装置からの電力の出力をONとする前に、前記特定車両の前記駆動電力源からの出力上昇に応じた処理を実行する
ように機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両から得られる電力を外部負荷へ供給する給電装置、給電制御方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の駆動力として、燃料電池(Fuel Cell )を採用した燃料電池車両(FCV:Fuel Cell Vehicle)が実用化されている。燃料電池を駆動力としたFCVは、環境負荷を軽減した自動車であるが、その発電能力を用い、停電状態となった家庭や家庭外の建物、工場などへの電力供給が可能であるところ、災害時の生活維持や、工場の稼働維持に活用できるという期待がある。
【0003】
直流電力でモータを駆動するFCVの燃料電池システムから、交流電力で作動する家庭や他の建物、工場における電気機器へは、直接的に電力供給できない。燃料電池システムから出力される電力を、電気機器(電気負荷)向けに電圧や電流を調整して出力する給電装置を、車外に用意する必要がある。特許文献1には、給電装置を介して外部の電気機器へ給電することを可能とするFCVが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6907830号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車外に設置されるFCV向けの給電装置は、FCVのオーナーが使用する場合は、FCV向けのみであってもよい。しかしながら、災害時でも電力を必要とする公共の建物や、工場では、FCVに限らず、蓄電池を搭載している電気自動車(EV:Electric Vehicle)からの給電にも対応する給電装置を利用することが好ましい。また、FCVに対応する給電装置であっても、上位装置(例えばEMS(Energy Management System))からの制御を受け電力を必要とする電気機器の動作に合わせて給電が制御可能であることが望ましい。
【0006】
本発明は、FCVを含む各種車両からの給電に対応可能な給電装置、給電制御方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態の給電装置は、車両に配備されたモータの駆動電力源と接続されるコネクタを有し、前記コネクタを介して前記駆動電力源から電力を取り出し、外部電気負荷へ電力を供給する給電装置であって、前記コネクタと、前記外部電気負荷との間で電力を変換して出力する回路と、前記回路からの前記外部電気負荷への電力の出力のON/OFFを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記コネクタに接続された車両が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断し、前記車両が前記特定車両であると判断した場合、前記回路からの電力の出力をONとする前に、前記特定車両の前記駆動電力源からの出力上昇に応じた処理を実行する。
【0008】
本開示の一実施形態の給電制御方法は、車両に配備されたモータの駆動電力源と接続されるコネクタを有し、前記コネクタを介して前記駆動電力源から電力を取り出し、外部電気負荷へ電力を供給する給電装置が、前記コネクタに接続された車両が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断し、前記車両が前記特定車両であると判断した場合、前記給電装置からの電力の出力をONとする前に、前記特定車両の前記駆動電力源からの出力上昇に応じた処理を実行する。
【0009】
本開示の一実施形態のコンピュータプログラムは、車両に配備されたモータの駆動電力源と接続されるコネクタを有し、前記コネクタを介して前記駆動電力源から電力を取り出し、外部電気負荷へ電力を供給する給電装置に搭載されるコンピュータに、前記コネクタに接続された車両が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断し、前記車両が前記特定車両であると判断した場合、前記給電装置からの電力の出力をONとする前に、前記特定車両の前記駆動電力源からの出力上昇に応じた処理を実行するように機能させる。
【0010】
給電装置は、車両に配備されたモータの駆動電力源と接続され、外部電気負荷へ電力を供給する。車両のモータの駆動電力源が、燃料電池(FC)である場合、発電機関から出力される電力が定格電力に到達する時間は、リチウムイオン電池等の二次電池からの放電よりも長い。これにより、上位装置や操作部に対する操作に基づいて電力の供給を開始しようとした場合に、二次電池を駆動電力源とする車両(EV)に対する処理と同様の処理を実行すると、電力不足でエラーとなるケースがある。出力される電力が定格電力に到達する時間が比較的長い車両は、FCVに限られず、モータの駆動電力源が蓄電池である車両であってもよい。蓄電池から、DC-DCコンバータを介して電力を出力するように設計されているEVにおいて出力される電力が定格電力に到達する時間は、直接的に蓄電池から出力するEVよりも長く、電力不足でエラーとなるケースがある。
【0011】
本開示の給電装置、給電制御方法、及びコンピュータプログラムでは、給電装置は、接続される車両が、出力電力が定格電力に到達する時間が比較的長い特定車両である場合には準備に要する時間に応じた処理を行なう。車両が特定のふるまいをする車両であるか否かに応じて、適切に動作し、特定車両からの給電が必要であるにも関わらず特定車両が接続された場合にエラーとなってしまうことを回避できる。
【0012】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記制御部は、前記車両が特定車両であると判断した場合、前記特定車両の前記駆動電力源からの出力が上昇する前の準備期間に応じた期間待機し、待機後に、前記回路からの電力の出力をONとする。
【0013】
本開示の給電装置では、接続された車両が特定車両である場合に、発電機関からの電力出力の準備に要する時間に応じた処理として、その時間に相当する期間、待機する。その時間に相当する期間として所定時間が予め給電装置で設定される。所定時間は、充電規格、充放電規格(CHAdeMO(登録商標)、CCS (Combined Charging System)など)で定められた充放電可能になるまでの時間に基づき設定されるか、予め試験によって定められる時間でよい。特定車両が接続された場合であっても、適切に外部電気負荷への給電が可能となる。
【0014】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記制御部は、前記車両が前記特定車両であると判断した場合、ユーザの確認操作を受け付け、前記確認操作が受け付けられた場合、前記準備期間に応じた期間待機し、待機後に、前記回路からの電力の出力をONとする。
【0015】
本開示の給電装置では、待機する前に更に、ユーザからの確認操作を受け付ける。特定車両では、駆動電力源からの電力出力開始についてユーザからの操作が必要であることが多い。単に待機するのみでは、ユーザの操作に時間を要している間に時間切れとなる可能性がある。ユーザの確認操作を受け付けてから待機する、という処理を加えることにより、特定車両が接続された場合であっても適切に給電が実施できる。
【0016】
本開示の一実施形態の給電装置は、上位装置と通信接続する上位通信部を更に備え、前記制御部は、前記特定車両が接続されたことを前記上位通信部から前記上位装置へ通知する。
【0017】
本開示の給電装置では、上位装置が存在する場合に、ふるまいが異なる特定車両が接続されていることを制御部が上位装置へ通知する。上位装置は、給電装置の先に特定車両が接続されていることを認識し、駆動電力源からの電力出力に時間を要することに応じて適切な制御を実施できる。
【0018】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記モータの駆動電力源を制御する車載制御装置と通信する車両通信部を更に備え、前記制御部は、前記回路からの電力の出力をONとする前に、前記上位通信部により、給電に係る最大電力、最大電流を一定時間、最低値とすることを前記上位装置へ通知し、前記車両通信部により、前記最大電力、最大電流として前記最低値を前記車載制御装置へ通知する。
【0019】
本開示の給電装置では、外部電気負荷へ定格電力を供給し始める前に、大きな電力や電流が出力されないことを、上位装置及び特定車両にも通知しておき、出力される電力が低くエラーとなって終了することを回避できる。特に、給電装置自体が電力系統から電力を得られない停電のような状況では、給電を実行していない間も、車両と給電装置との間が接続された状態を維持できる。接続状態では、給電装置が備える起動用の蓄電池を、車両の駆動電力源からの電力で充電できる。
【0020】
本開示の一実施形態の給電装置は、前記制御部は、前記車両が前記特定車両であると判断した場合、前記給電装置からの出力を制限しつつ前記回路からの電力の出力をONとし、前記回路からの出力を徐々に上昇させる。
【0021】
本開示の給電装置では、接続された車両が特定車両である場合に、駆動電力源からの電力出力の準備に要する時間に応じた処理として、上位装置や操作部に対する操作に応じて、出力を制限しつつ、直ちに電力の供給を開始する。特定車両から出力される電力が低くエラーとなって終了することを回避できる。
【0022】
本開示の一実施形態の給電装置は、上位装置と通信接続する上位通信部を更に備え、前記制御部は、前記回路からの出力の制限を、前記上位通信部から前記上位装置へ通知する。
【0023】
本開示の給電装置では、上位装置が存在する場合に、特定車両が接続されていることを制御部が上位装置へ通知すると共に、出力制限がされていることを通知する。給電装置からの出力が低くても、上位装置側からエラーとして停止されることを回避できる。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、給電装置は、EVからの給電についてもFCVからの給電についても、多様な車両に対して適切に動作することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】給電システムの概要図である。
図2】給電装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態の給電装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の給電開始の処理手順の変形例を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態の給電装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】第3実施形態の給電装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】第4実施形態の給電装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】第4実施形態の給電装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下の実施の形態では、本開示の給電装置を適用した給電システムについて説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、給電システム100の概要図である。給電システム100は、敷地内などに配置されている電気機器(電気負荷)21、及び給電装置1を含む。電気機器21及び給電装置1は、分電盤22及び電力線PLで接続されている。分電盤22には、電力系統Eが接続されており、電気機器21には、通常、電力系統Eや直流電力網などから電力が供給される。電気機器21に対する電力供給源は、商用系統を模擬するものでもよく、図示しない蓄電装置であってもよいし、図示しない発電システムであってもよい。災害時等、電力系統Eや直流電力網からの電力が使用できない場合に、本実施形態の給電装置1は、FCVである車両V1からの電力を、電気機器21へ供給可能である。給電装置1は、EVである車両V2に搭載されている蓄電池からの電力を、電気機器21へ供給することもできる。
【0028】
給電装置1は、通信線CLによって上位装置23と接続されている。給電装置1は、ケーブル内に含まれる通信線CLによって車両V1,V2に搭載されている車載制御装置とも通信線CLによってデータを送受信可能である。給電装置1は、上位装置23と、車載制御装置との通信に基づき、車両V1又は車両V2からの電力供給を制御する。
【0029】
給電装置1は、電力系統E、直流電力網などから得られる電力をEVである車両V2へ供給して充電する機能をも備えた充放電装置であってもよい。しかしながら以下では、給電装置1としての機能のみについて説明する。
【0030】
上位装置23は、電力系統Eや、他の電力源から電気機器21への電力の授受、車両V1又は車両V2から電気機器21への電力の授受を制御する。給電システム100に発電システムが接続されている場合、上位装置23は発電システムから電気機器21への電力の授受を制御し、蓄電装置が接続されている場合、当該蓄電装置から電気機器21への電力の授受を制御する。本実施形態において上位装置23は、サーバ装置として、システム100外に設けられているものとして説明するが、上位装置23は、分電盤22内に設置されて敷地内で電力線PLにより接続されている電気機器21への電力の授受を制御するものであってもよいし、給電装置1内に内蔵されているものであってもよい。
【0031】
図2は、給電装置1の構成を示すブロック図である。給電装置1は、給電回路10、制御部11、車両通信部12、上位通信部13、電源部14、及び操作部15を備える。給電回路10は、インバータ、各種リレー等の回路素子群を含む。給電回路10は、車両V1,V2と接続するコネクタ16と接続されるリレー10bと、電気機器21等の負荷側と接続されるリレー10aとを含む。給電回路10は、コネクタ16と電力線PLを介して接続されている。給電回路10は、車両V1,V2から供給される電力を、負荷側に向けて変換して出力する。
【0032】
コネクタ16には車両V1の燃料電池システム、又は車両V2の車載蓄電池が接続される。コネクタ16に接続可能な車両は、外部へ給電(放電)可能なEV、FCV、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid EV)である。
【0033】
車両V1及び車両V2はいずれも、車両V1,V2側のコネクタに接続される電力線PL、電力線PLに介装されるDCリレー、及び、車載制御装置を備える(図示せず)。車載制御装置は、DCリレーのON及びOFFを制御する。FCVである車両V1の車載制御装置は、燃料電池システムの発電を制御する。EVである車両V2の車載制御装置は、車載蓄電池に対する充電、及び、車載蓄電池からの駆動モータや外部への放電を制御する。
【0034】
制御部11は、給電回路10に含まれる回路素子群へ制御信号を出力して制御する。制御部11は、車両V1,V2からの電流量及び電圧量を制御する。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)及び不揮発性メモリを含み、CPUは不揮発性メモリに記憶されたコンピュータプログラムP1に基づく制御処理を実行して給電回路10(リレー10a,10bのON/OFF等)を制御する。
【0035】
制御部11の不揮発性メモリに記憶されているコンピュータプログラムP1(コンピュータプロダクト)は、コンピュータから読み取り可能な非一時記憶媒体9に記憶されていたコンピュータプログラムP9をCPUが読み出してメモリに記憶したものであってもよい。
【0036】
車両通信部12は、コネクタ16を介して車載制御装置と通信接続が可能である。車両通信部12の通信接続のプロトコルは、車両V1,V2側の車載制御装置及びコネクタに対応する充放電方式に準拠していればよく、異なる充放電方式に適用するように複数のプロトコルに対応していずれかを選択的に実行できてもよい。本実施形態では車両通信部12は例えば、CAN(Controller Area Network)によって車載制御装置と通信する。車両通信部12はその他、ECHONET/ECHONETLite(登録商標)によって車載制御装置と通信してもよい。車両通信部12は、PLCによって車載制御装置と通信してもよい。
【0037】
上位通信部13は、上位装置23と通信線CLを介して通信を実現する。上位通信部13は例えば、Ethernet(登録商標)に準拠した通信線に対応する通信モジュールであってもよいし、ECHONET/ECHONETLite(登録商標)対応の通信線に対応する通信モジュールであってもよい。上位通信部13は、PLCにより通信を実現してもよい。
【0038】
電源部14は、UPS(Uninterruptible Power Systems)回路及び起動用蓄電池を含み、制御部11へ電力を供給する。電源部14は、停電時には起動用蓄電池から給電装置1の起動に必要な電力を供給する。電源部14は、電力系統E、発電システム又は車両V1,V2からの電力を起動用蓄電池に充電してもよい。
【0039】
操作部15は、ディスプレイ、ディスプレイ内蔵タッチパネル、及び物理ボタンを含む。操作部15は、給電装置1の外装に露出してユーザからのON(起動)、OFF(電源オフ)、START(開始)及びSTOP(終了)を含む操作を受け付ける。制御部11は、操作部15にて受け付けられた操作に基づいて給電回路10を制御してもよい。
【0040】
上述のように構成される給電装置1の制御部11は、コネクタ16が接続される車両V1,V2が、FCVであってもEVであっても、電気機器21への給電開始の制御を成功させることが求められる。そこで第1実施形態の給電装置1は、車両V1,V2がいずれであっても、車両V1,V2側からの給電が可能な状態となってから、給電を開始させる。給電が可能な状態か否かは、時間の経過や、車載制御装置とのデータ送受信等の処理により判断される。
【0041】
図3は、第1実施形態の給電開始の処理手順の一例を示すフローチャートである。給電装置1の制御部11は、操作部15からのON操作、スケジュールに基づく電源部14からの電力供給開始を受けて起動すると、コンピュータプログラムP1に基づき、以下の処理を実行する。
【0042】
制御部11は、起動すると、操作部15からSTARTの指示を受けたか否かを判断する(ステップS101)。制御部11は、STARTの指示受けていないと判断された場合(S101:NO)、処理をステップS101へ戻し、指示を受けるまで待機状態となる。
【0043】
制御部11は、操作部15からSTARTの指示を受けたと判断した場合(S101:YES)、接続された車両V1,V2が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断する(ステップS102)。特定車両は例えばFCVである。なお所定時間は、FCVあるいはEVにおいて、電力出力可能状態となるまでに要する時間として、予めメモリに記憶されていてよい。所定時間は、充電規格、充放電規格(CHAdeMO(登録商標)、CCS等)で定められた充放電可能になるまでの時間に基づき設定されるか、試験によって試行錯誤により設定された値であってよい。
【0044】
ステップS102において、接続された車両V1,V2が、特定車両であるか否かの判断は、車両通信部12における車載制御装置との通信により得られる情報から可能である。その他、制御部11は、コネクタ16を介して授受される信号(CHAdeMO (登録商標)及び V2HガイドラインのCAN ID 202.1,CAN ID700.0 等)の内容、信号の入出力のタイミング等、車載制御装置の振る舞いに基づいて車種を推定し、推定結果から判断してもよい(特許6737390号等)。制御部11は、別途設けるカメラを用いて車種推定を行ない、推定された車種から、接続された車両V1,V2が、特定車両であるかを判断してもよい。その他、車種推定の方法として、給電装置1に設けられる読取部で読み取るユーザの認証用のカードに記載されている車種情報を、制御部11が取得して車種を特定してもよい。制御部11は、操作部15にてユーザに車種情報を入力してもらい、車種を特定してもよい。
【0045】
車両V1,V2が、特定車両でないと判断された場合(S102:NO)、制御部11は、例えば車両V1,V2は、電力出力可能状態となるまでに要する時間が比較的短いEVである車両V2と判断し(ステップS103)、車両V2に対する充放電のためのパラメータ決定の処理を行ない、上位通信部13により、EV(電気自動車)(特定車両でない車両V2)が接続されたことを通知する(ステップS104)。ステップS104において制御部11は、接続されたEVである車両V2が給電可能か否かを示すデータを通知する。
【0046】
制御部11は、コネクタ16をロックし(ステップS105)、車載制御装置と通信し、EVである車両V2の蓄電池からの給電の処理を実行する(ステップS106)。ステップS106の処理は例えば、制御部11が車両V2の車載制御装置と通信接続を行なうなどの接続シーケンス等を含み、車両V2側、給電装置1側のインバータの昇圧等を含む。以後、制御部11は、車両V2の蓄電池からの電力出力を開始又は継続し、操作部15又は上位装置23からSTOPの指示を受けるまで処理を実行する。
【0047】
車両V1,V2が、特定車両であると判断された場合(S102:YES)、制御部11は、例えば接続された車両V1,V2は、電力出力可能状態となるまでに要する時間が比較的長いFCVであると判断する(ステップS107)。制御部11は、上位通信部13により、FCV(燃料電池車両)である車両V1が接続されたことを通知する(ステップS108)。ステップS108の処理により、上位装置23では、給電装置1の先にFCVが接続され、電力の出力開始に時間を要することに応じた処理を実行できる。
【0048】
制御部11は、コネクタ16をロックし(ステップS109)、制御部11は、燃料電池の準備期間(例えば、30秒、60秒)に応じた期間、待機してから(ステップS110)、FCVである車両V1からの給電の処理を実行する(ステップS111)。ステップS110における準備期間は、ステップS102に関し記憶してある所定時間と同程度又はそれ以上の長さに設定されている。ステップS111の処理は例えば、制御部11が車両V1の車載制御装置と通信接続を行なうなどの接続シーケンス等を含み、給電装置1側のインバータの昇圧等を含む。以後、制御部11は、車両V1の燃料電池からの電力出力を開始又は継続し、操作部15又は上位装置23からSTOPの指示を受けるまで処理を実行する。
【0049】
図4は、第1実施形態の給電開始の処理手順の変形例を示すフローチャートである。変形例においては、車両V1,V2が接続されると自動的に車両が特定車両であるか否かを判断し、時間が経過してから上位装置23からSTARTの指示が送信されることを想定している。図4のフローチャートに示す処理手順のうち、図3のフローチャートと共通する手順については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
制御部11は、起動すると、コネクタ16を介して車両V1,V2との接続が検知されたか否かを判断する(ステップS141)。接続が検知されないと判断された場合(S141:NO)、制御部11は、処理をステップS141へ戻す。接続が検知されたと判断された場合(S141:YES)、制御部11は、接続された車両V1,V2が特定車両であるか否かを判断する(S102)。
【0051】
変形例において制御部11は、車両V2と接続された状態でコネクタ16をロックした後(S105)、操作部15又は上位装置23からSTARTの指示を受けたか否かを判断する(ステップS145)。STARTの指示を受けたと判断された場合(S145:YES)、制御部11は、処理をステップS106へ進める。STARTの指示を受けていないと判断された場合(S145:NO)、制御部11は、処理をステップS145へ戻し、指示を受けるまで待機状態となる。この待機状態において、給電装置1の制御部11は一定時間、接続された車両V2の車載制御装置との通信接続を維持しながら待機してもよいし、通信接続はせず、コネクタ16をロックとしたまま、そのまま待機してもよい。一定時間が経過した時点で、制御部11は、エラーとして処理を停止するようにしてもよい。
【0052】
変形例において制御部11は、車両V1と接続された状態でコネクタ16をロックした後(S109)、操作部15又は上位装置23から、給電のSTARTの指示を受けたか否かを判断する(ステップS146)。STARTの指示を受けたと判断された場合(S146:YES)、制御部11は処理をステップS110へ進める。STARTの指示を受けていないと判断された場合(S146:NO)、制御部11は、処理をステップS146へ戻し、指示を受けるまで待機状態となる。待機状態はステップS145に関する説明と同様である。
【0053】
上述したように、本実施形態では、FCVである車両V1と接続された場合には、準備期間分の待機を行なう(S110)。というのも、FCVの発電機関から、電気機器21に必要な電力(定格電力)の供給を受けるには、蓄電池からよりも時間を要する車種がある。車両V1の発電機関の準備ができていないにも関わらず、給電装置1から電力供給を開始してしまうと、定格電力に足りずエラーを検知して、分電盤22側から稼働を停止させる処理を実行したり、給電装置1自体が停止したりする場合がある。給電装置1と、車載制御装置とはそれぞれ、異なるメーカーで製造され、各々が細かい手順まで相手に依存しない手順で準備を行ない、給電し、安全を見て処理を停止することがある。給電装置1には、異なるメーカーの車両V1,V2,…が接続され得るため、制御部11は、各車両V1,V2,…が行なう各自の制御に対して適切に動作することが必要となる。FCVの発電機関からの定格電力出力までに時間を要することは、原理上、共通的事項であるから、給電装置1は、準備期間に応じた時間だけ待機してから、給電を開始することで適切に動作することが可能である。勿論、FCVの発電期間からの定格電力出力までに要する時間を短縮化した車両V1が接続される場合や、逆に、蓄電池からの定格電力出力までの時間が比較的長いEVである車両V2が接続される場合がある。したがって制御部11は、ステップS102において、蓄電池搭載車両であるか否かの判断に代替して、車種を具体的に特定することで、定格電力出力までに時間を要しない車両であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0054】
FCVである車両V1からの給電を開始させる方法は、種々の方法が考えられるが、一例として、ユーザが車両V1内における操作パネルで所定の操作を行なうことで給電開始を指示できる。車載制御装置は、例えば、ブレーキを踏まない状態でSTART(ON)スイッチの2回連続押下するなど、外部への給電を行なうモードへの切り替えの指示を受け付け、更に、本当に外部への給電を実施するか否かの確認を「決定」ボタン等の押下で実行してから給電を開始する。これらのユーザによる操作は、図4のフローチャートのステップS109の処理とステップS110の処理との間で、行なわれることが想定される。
【0055】
ユーザが給電装置1のコネクタ16を車両V1のコネクタに取り付け、車内で給電開始を指示する所定の操作(外部への給電モードへの切り替え及び確認)を行なって、車両V1の車載制御装置は燃料電池からの給電準備を実行する。ユーザが給電装置1側で、操作部15でSTARTボタンを押下、選択し、これにより車両V1の車載制御装置と通信接続が確立され、リレー10b、車両V1のリレー等がONとなり出力が可能な状態となったとしても、実際に車両V1から、電気機器21側から必要とされる定格電力が出力されるには例えば30秒、60秒等の準備期間を要する。したがって、給電装置1側でSTARTの指示を受け付けた後に、制御部11が準備期間を待機してから給電を開始すれば、車両V1の発電機関からの電力供給に時間を要しても、エラー等で停止してしまうことを回避できる。
【0056】
制御部11は、変形例において、ステップS108でFCVが接続されたことを上位装置23へ通知したにも関わらず、準備期間が経過していない間にステップS146にてSTARTの指示を受けた場合でも、ステップS110で準備期間に対応する期間分、待機してから、給電回路10から電力を出力する。FCVである車両V1からの給電電力は、即時的に、上位装置23から求められている電力を満たすとは限らない。したがって、制御部は、ステップS111において、車両V1にて給電開始の操作がされた後であっても、準備期間に応じた期間、待機する。
【0057】
また、ステップS110で制御部11は、準備期間分の待機に代替して、車載制御装置と通信接続を確立する接続シーケンスの後、給電開始の準備ができたことを示す通知を、車両V1の車載制御装置から受けるまで待機することとしてもよい。
【0058】
なお、ステップS110の待機処理は、接続された車両V1,V2が特定車両でないと判断された場合であっても(S102:NO)、実行されてもよい。FCV同様に、蓄電池からの定格電力の出力に時間を要する車両Vには、この方法を適用してもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0059】
(第2実施形態)
第2実施形態において給電装置1は、FCVである車両V1が接続された場合には、給電の開始に確認操作を必要とする。以下に説明する第2実施形態の給電システム100のハードウェア構成は、第1実施形態の給電システム100と同様である。第2実施形態の給電システム100のうち、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
図5は、第2実施形態の給電装置1の処理手順の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートに示す処理手順のうち、図3のフローチャートに示す処理手順と共通する手順には同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
第2実施形態において制御部11は、FCVである車両V1が接続されたと判断した場合(S107)、操作部15に、START確認ボタンの押下又は選択が可能となるように有効化する(ステップS121)。ステップS121において制御部11は、ディスプレイにソフトウェアボタンとしてSTART確認ボタンを表示するか、物理ボタンであるSTART確認ボタンの押下を可能とするなどであってよい。ステップS121において制御部11は、有効化までに所定の時間を置き、有効化した場合には音声等を出力するとよい。更に、ステップS121において制御部11は、車両V1において、給電を開始させる所定の操作を行なってから、START確認ボタンを押下又は選択するようにガイダンスメッセージを表示し、音声で案内するとよい。
【0062】
制御部11は、ステップS121で有効化したSTART確認ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS122)。START確認ボタンが押下されていないと判断された場合(S122:NO)、制御部11は、処理をステップS122へ戻して待機する。
【0063】
START確認ボタンが押下されたと判断された場合(S122:YES)、制御部11は、これを契機に、燃料電池の準備期間に応じた期間、待機し(S110)、次の処理をステップS111へ処理を進める。
【0064】
このように、FCVの発電機関からの電力供給に時間を要することに応じて、給電装置1は、対応する期間分待機してから、給電を開始することで適切に動作することが可能である。
【0065】
(第3実施形態)
第3実施形態において給電装置1は、FCVである車両V1が接続された場合には、出力を徐々に上げるように動作する。以下に説明する第3実施形態の給電システム100のハードウェア構成は、第1実施形態の給電システム100と同様である。第3実施形態の給電システム100のうち、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、処理内容について説明する。
【0066】
図6は、第3実施形態の給電装置1の処理手順の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理手順のうち、図3のフローチャートに示す処理手順と共通する手順には同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
第3実施形態において制御部11は、FCVである車両V1が接続されたと判断した場合(S107)、上位通信部13により、出力制限を実行中であることを上位装置23に通知する(ステップS131)。制御部11は、定格電力に不足した状態での給電処理を開始し(ステップS132)、出力を定格電力に向けて徐々に上昇させる(ステップS133)。ステップS133において制御部11は、車両V1の発電機関からの出力に応じて、給電回路10からの出力を徐々に上げるように制御する。
【0068】
車両V1の発電機関からの出力が十分に上がると、出力制限が終了したことを上位装置23に通知し(ステップS134)、車両V1からの給電を継続する(ステップS135)。
【0069】
このように、FCVの発電機関からの出力電力が徐々に上昇することに応じて、給電装置1からも、定格電力を満たすまで時間を要することに応じた処理を行なうことで適切に動作することが可能である。この場合、第1実施形態や第2実施形態と比較して、運転開始を遅らせることなく動作できる。定格電力に満たさない出力制限の状態で給電を開始することを上位装置23に通知することにより、上位装置23も適切な動作で制御可能になる。
【0070】
(第4実施形態)
第4実施形態では、電力系統Eからの電力が得られない状況での自立運転での動作について説明する。以下に説明する第4実施形態の給電システム100のハードウェア構成は、第1実施形態の給電システム100と同様である。第4実施形態の給電システム100のうち、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、処理内容について説明する。
【0071】
図7及び図8は、第4実施形態の給電装置1の処理手順の一例を示すフローチャートである。給電装置1の制御部11は、操作部15からのON操作により、電源部14の起動用蓄電池に蓄電された電力で起動すると、コンピュータプログラムP1に基づき、自立運転モードで以下の処理を実行する。
【0072】
制御部11は、起動すると、操作部15からSTARTの指示を受けたか否かを判断する(ステップS201)。制御部11は、STARTの指示受けていないと判断された場合(S201:NO)、処理をステップS201へ戻し、指示を受けるまで待機状態となる。
【0073】
制御部11は、操作部15からSTARTの指示を受けたと判断した場合(S201:YES)、接続された車両V1,V2が、電力出力可能状態となるまでに所定時間以上の時間を要する特定車両であるか否かを判断する(ステップS202)。ステップS202における判断処理は、第1実施形態にて説明したステップS102と同様である。
【0074】
制御部11は、車両V1,V2が、特定車両でないと判断された場合(S202:NO
)、例えば車両V1,V2は、電力出力可能状態となるまでに要する時間が比較的短いEVである車両V2と判断する(ステップS203)。制御部11は、EVである車両V2に対する充放電のためのパラメータとして、放電最大電力、放電最大電流を一定時間、最低電力値(1kW、又は0kW等)、最低電流値(1A等)に設定する(ステップS204)。制御部11は、上位通信部13により、設定したパラメータを出力し(ステップS205)、EV(電気自動車)が接続されたことを通知する(ステップS206)。ステップS206において制御部11は、接続されたEVである車両V2が給電可能か否かを示すデータを通知するとよい。
【0075】
制御部11は、コネクタ16をロックし(ステップS207)、車載制御装置と通信し、EVである車両V2の蓄電池からの給電の処理を実行する(ステップS208)。ステップS208の処理は、第1実施形態にて説明したステップS106と同様である。以後、制御部11は、車両V2の蓄電池からの電力出力を開始又は継続し、操作部15又は上位装置23からSTOPの指示を受けるまで処理を実行する。
【0076】
制御部11は、自立運転中において、第1実施形態の変形例と同様に、給電処理(S208)を実行する前に、START指示を受けたか否かを判断してもよい。この場合、START指示を受けるまでの待機状態において制御部11は、給電回路10のリレー10a,10bのいずれも閉路とし、車両V2の蓄電池からの電力により起動用蓄電池を充電するとよい。
【0077】
車両V1,V2が、特定車両であると判断された場合(S202:YES)、制御部11は、FCVであると判断し(ステップS209)、上位通信部13により、FCV(燃料電池車両)である車両V1が接続されたことを操作部15から通知する(ステップS210)。制御部11は、放電最大電力、放電最大電流を一定時間、最低電力値(1kW、0kW等)、最低電流値(1A等)に設定し(ステップS211)、設定したパラメータ(放電最大電力、放電最大電流)を上位通信部13により出力する(ステップS212)。
【0078】
制御部11は、コネクタ16をロックし(ステップS213)、操作部15のディスプレイに、FCVが接続されていることを通知するメッセージを出力する(ステップS214)。ステップS214において制御部11は、例えば、「FCV接続であるため、しばらくの間、給電装置1からの電力供給先から電気機器を取らないでください。」と表示させる。
【0079】
制御部11は、車両V1の車載制御装置へ向けて、放電電流の電流値として所定の最低値(例えば1A)を車両通信部12から送信する(ステップS215)。制御部11は、燃料電池の準備期間(例えば、30秒、60秒)に応じた期間、待機してから(ステップS216)、FCVである車両V1からの給電の処理を実行(継続)する(ステップS217)。
【0080】
制御部11は、電力が不足しているか否かを判断し(ステップS218)、不足していると判断された場合(S218:YES)、電力供給を停止し(ステップS219)、電力供給先の電気機器を減らすようにメッセージを操作部15から出力する(ステップS220)。制御部11は処理をステップS215へ戻す。電力供給を停止している間も、待機状態において制御部11は、給電回路10のリレー10a,10bのいずれも閉路とし、車両V1の発電機関からの電力により起動用蓄電池を充電するとよい。
【0081】
ステップS218にて、電力が不足していないと判断された場合(S218:NO)、給電処理を続行する(ステップS221)。
【0082】
このようにして、自立運転においても、FCVの接続を許容し、FCVが接続された場合にも、不要なエラー処理を回避して、FCVからの供給電力量が定格となるのに時間を要することに応じた適切な処理を実行できる。
【0083】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 給電装置
10 給電回路
10a,10b リレー
11 制御部
12 車両通信部
13 上位通信部
16 コネクタ
21 電気機器(電気負荷)
23 上位装置
V1,V2 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8