(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007362
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】作業機械を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
E02F9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108705
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】横尾 貴史
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003BA01
2D003BA02
2D003BA03
2D003BA06
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB04
(57)【要約】
【課題】作業機械において、車体の位置合わせのための操作を容易にする。
【解決手段】作業機械を制御するためのシステムであって、作業機械は、車体と作業機とを含む。作業機は、車体に取り付けられる。当該システムは、コントローラを備える。コントローラは、施工される地形上において延びる設計線を取得する。コントローラは、設計線を直線状に延長した線を目標線として決定する。コントローラは、作業機械の走行中に、車体に含まれる走行基準点が目標線に沿うように作業機械を自動操舵する走行アライメント制御を実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に取り付けられる作業機とを含む作業機械を制御するためのシステムであって、
コントローラを備え、
前記コントローラは、
施工される地形上において延びる設計線を取得し、
前記設計線を直線状に延長した線を目標線として決定し、
前記作業機械の走行中に、前記車体に含まれる走行基準点が前記目標線に沿うように前記作業機械を自動操舵する走行アライメント制御を実行する、
システム。
【請求項2】
ディスプレイをさらに備え、
前記コントローラは、前記作業機械と、前記目標線と、前記走行基準点とを前記ディスプレイに表示させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記作業機械の操舵を手動操作するために、オペレータによって操作可能なステアリング操作装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前記走行基準点が所定領域外に位置する場合には、前記ステアリング操作装置による手動操作に応じて前記作業機械を操舵し、
前記走行基準点が所定領域内に位置する場合に、前記作業機械を自動操舵する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記走行基準点が所定領域内に位置する場合に、前記ステアリング操作装置による手動操作が行われた場合には、前記ステアリング操作装置による手動操作を優先する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記作業機械の前進、及び/又は、後進の走行を手動操作するために、オペレータによって操作可能な走行操作装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記走行基準点が所定領域内に位置する場合には、前記走行操作装置による手動操作に応じて前記作業機械を走行させると共に、前記走行基準点が前記目標線に沿うように前記作業機械を自動操舵する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
ディスプレイをさらに備え、
前記コントローラは、前記作業機械と、前記目標線と、前記走行基準点と、前記所定領域とを前記ディスプレイに表示させる、
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記所定領域は、前記目標線から許容幅だけ離れた位置までの範囲である、
請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記車体は、旋回中心周りに旋回可能な旋回体を含み、
前記走行基準点は、前記作業機械の上面視において、作業機平面と、前記旋回中心を中心とする円弧との接点であり、
前記作業機平面は、前記作業機械の上面視において、前記作業機が前記作業機械の前後方向に沿って配置されている状態で、前記作業機に含まれる作業基準点を通り、前記作業機械の前後方向に延びており、
前記コントローラは、前記走行アライメント制御において、前記走行基準点において、前記円弧が前記走行基準点において前記目標線に接するように、前記作業機械を自動操舵する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
車体と、前記車体に取り付けられる作業機とを含む作業機械を制御するための方法であって、
施工される地形上において延びる設計線を取得することと、
前記設計線を直線状に延長した線を目標線として決定することと、
前記作業機械の走行中に、前記車体に含まれる走行基準点が前記目標線に沿うように前記作業機械を自動操舵する走行アライメント制御を実行すること、
を備える方法。
【請求項10】
前記作業機械と、前記目標線と、前記走行基準点とを、ディスプレイに表示させることを備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記作業機械の操舵を手動操作するために、オペレータによって操作可能なステアリング操作装置からの操作信号を受信することと、
前記走行基準点が所定領域外に位置する場合には、前記ステアリング操作装置による手動操作に応じて前記作業機械を操舵することと、
前記走行基準点が所定領域内に位置する場合に、前記作業機械を自動操舵すること、
を備える請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記走行基準点が所定領域内に位置する場合に、前記ステアリング操作装置による手動操作が行われた場合には、前記ステアリング操作装置による手動操作を優先することを備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記作業機械の前進、及び/又は、後進の走行を手動操作するために、オペレータによって操作可能な走行操作装置からの操作信号受信することと。
前記走行基準点が所定領域内に位置する場合には、前記走行操作装置による手動操作に応じて前記作業機械を走行させると共に、前記走行基準点が前記目標線に沿うように前記作業機械を自動操舵すること、
を備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記作業機械と、前記目標線と、前記走行基準点と、前記所定領域とを、ディスプレイに表示させることを備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記所定領域は、前記目標線から許容幅だけ離れた位置までの範囲である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記車体は、旋回中心周りに旋回可能な旋回体を含み、
前記走行基準点は、前記作業機械の上面視において、作業機平面と、前記旋回中心を中心とする円弧との接点であり、
前記作業機平面は、前記作業機械の上面視において、前記作業機が前記作業機械の前後方向に沿って配置されている状態で、前記作業機に含まれる作業基準点を通り、前記作業機械の前後方向に延びており、
前記走行アライメント制御において、前記走行基準点において、前記円弧が前記走行基準点において前記目標線に接するように、前記作業機械を自動操舵することを備える、
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械には、車体と作業機とを備えるものがある。作業機は、例えばバケットを含み、掘削などの作業を行う。上記のような作業機械により、線状の長い溝を掘る作業を行うことがある。作業機械のオペレータは、作業機械を操作して、溝を形成する位置を示す設計線に沿って地形を掘削することで、溝を形成する。その場合、オペレータは、車体の所定の基準点の位置を、設計線に合わせるように、作業機械を移動させる。オペレータは、作業機によって設計線上の地形を掘削する。そして、オペレータは、設計線に沿って作業機械を後進させる。これらの掘削と後進とを繰り返すことで、地形上に線状の長い溝が施工される。
【0003】
上記の作業では、車体の基準点の位置を、精度よく設計線に合わせることが求められる。そのような位置合わせを支援するための技術として、例えば特許文献1では、車体の基準点と作業機の基準点と設計線とを示す画面をディスプレイに表示させる表示システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2017/010563号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術により、オペレータは、車体の基準点と設計線との位置関係をディスプレイに表示された画面によって、容易に把握することができる。しかし、車体の基準点の位置を設計線に合わせるためには、作業機械を走行させるたびに、作業機械を精密に操舵する必要があり、オペレータへの負担が大きい。本開示の目的は、作業機械において、車体の位置合わせのための操作を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、作業機械を制御するためのシステムである。作業機械は、車体と作業機とを含む。作業機は、車体に取り付けられる。当該システムは、コントローラを備える。コントローラは、施工される地形上において延びる設計線を取得する。コントローラは、設計線を直線状に延長した線を目標線として決定する。コントローラは、作業機械の走行中に、車体に含まれる走行基準点が目標線に沿うように作業機械を自動操舵する走行アライメント制御を実行する。
【0007】
本開示の他の態様は、作業機械を制御するための方法である。作業機械は、車体と作業機とを含む。作業機は、車体に取り付けられる。当該方法は、施工される地形上において延びる設計線を取得することと、設計線を直線状に延長した線を目標線として決定することと、作業機械の走行中に、車体に含まれる走行基準点が目標線に沿うように作業機械を自動操舵する走行アライメント制御を実行すること、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、走行アライメント制御により、車体の走行基準点が目標線に沿うように作業機械が自動操舵される。それにより、車体の位置合わせのための操作が容易になる。
【0009】
また、本開示では、設計線ではなく、設計線を直線状に延長した目標線に沿うように、作業機械が自動操舵される。もし、設計線に沿うように、作業機械が自動操舵されると、設計線が、直線部分と曲線部分とを含む場合に、作業機が設計線から外れてしまうことがある。例えば、作業機が車体の前側に配置されている場合、作業機械が後進して、走行基準点が直線部分から曲線部分に移ると、車体の向きが変わることに伴い、作業機の向きも変わる。それにより、作業機が直線部分から外れてしまう。しかし、本開示では、設計線ではなく、設計線を直線状に延長した目標線に沿うように、作業機械が自動操舵される。それにより、作業機が設計線から外れてしまうことが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】作業機械およびその制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】走行アライメント制御の処理を示すフローチャートである。
【
図5】ガイドスクリーンに表示される作業機械を示すアイコンの拡大図である。
【
図6】走行アライメント制御でのガイドスクリーンの一例を示す図である。
【
図7】制御実行領域を示すガイドスクリーンの一例を示す図である。
【
図8】走行基準点が目標線に合致している状態でのガイドスクリーンの一例を示す図である。
【
図9】自動操舵の停止中のガイドスクリーンの一例を示す図である。
【
図10】旋回アライメント制御の処理を示すフローチャートである。
【
図11】旋回アライメント制御でのガイドスクリーンの一例を示す図である。
【
図12】作業基準点が目標線に合致している状態でのガイドスクリーンの一例を示す図である。
【
図13】制御停止領域を示すガイドスクリーンの一例を示す図である。
【
図14】比較例に係る作業機械の動作を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る作業機械について、図面を参照しながら説明する。
図1は、作業機械1の側面図である。本実施形態において、作業機械1は、油圧ショベル、或いは電動ショベルなどの掘削機である。
【0012】
図1に示すように、作業機械1は、車体2と作業機3とを含む。車体2は、旋回体4と走行体5とを含む。作業機3は、旋回体4に取り付けられている。旋回体4は、走行体5に対して旋回可能に接続されている。旋回体4は、旋回中心C1周りに旋回可能である。旋回体4には、キャブ6が配置されている。走行体5は、履帯7を含む。なお、
図1では、左右の履帯7のうち一方のみが図示されている。履帯7が駆動されることで、作業機械1は走行する。
【0013】
作業機3は、旋回体4に対して、上下に動作可能に取り付けられる。作業機3は、ブーム11と、アーム12と、バケット13とを含む。ブーム11は、旋回体4に対して、回転可能に取り付けられている。アーム12は、ブーム11に対して、回転可能に取り付けられている。バケット13は、アーム12に対して、回転可能に取り付けられている。
【0014】
作業機3は、ブームシリンダ14と、アームシリンダ15と、バケットシリンダ16とを含む。ブームシリンダ14と、アームシリンダ15と、バケットシリンダ16とは、例えば油圧シリンダである。ブームシリンダ14は、ブーム11を動作させる。アームシリンダ15は、アーム12を動作させる。バケットシリンダ16は、バケット13を動作させる。
【0015】
図2は、作業機械1およびその制御システムの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、作業機械1は、駆動源21と、油圧ポンプ22と、動力伝達装置23と、コントローラ24とを含む。駆動源21は、コントローラ24からの指令信号により制御される。駆動源21は、例えば内燃エンジンである。或いは、駆動源21は、電動モータ、或いは水素エンジンなどの駆動源を含んでもよい。油圧ポンプ22は、駆動源21によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ22から吐出された作動油は、ブームシリンダ14と、アームシリンダ15と、バケットシリンダ16とに供給される。
【0016】
作業機械1は、旋回モータ25を含む。旋回モータ25は、例えば油圧モータである。旋回モータ25は、油圧ポンプ22からの作動油によって駆動される。或いは、旋回モータ25は、電動モータであってもよい。旋回モータ25は、旋回体4を旋回させる。なお、
図2では、1つの油圧ポンプが図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0017】
油圧ポンプ22は可変容量ポンプである。油圧ポンプ22にはポンプ制御装置26が接続されている。ポンプ制御装置26は、油圧ポンプ22の傾転角を制御する。ポンプ制御装置26は、例えば電磁弁を含み、コントローラ24からの指令信号により制御される。コントローラ24は、ポンプ制御装置26を制御することで、油圧ポンプ22の容量を制御する。
【0018】
作業機械1は、制御弁27を含む。油圧ポンプ22とシリンダ14-16と旋回モータ25とは、制御弁27を介して油圧回路によって接続されている。制御弁27は、コントローラ24からの指令信号によって制御される。制御弁27は、油圧ポンプ22からシリンダ14-16及び旋回モータ25に供給される作動油の流量を制御する。コントローラ24は、制御弁27を制御することで、作業機3の動作を制御する。コントローラ24は、制御弁27を制御することで、旋回体4の旋回を制御する。なお、シリンダ14-16は、油圧シリンダに限らず、電動モータによって駆動されるメカニカルシリンダであってもよい。
【0019】
動力伝達装置23は、駆動源21の駆動力を走行体5に伝達する。履帯7は、動力伝達装置23からの駆動力によって駆動されて、作業機械1を走行させる。動力伝達装置23は、例えば、トルクコンバーター、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。或いは、動力伝達装置23は、HST(Hydro Static Transmission)、或いはHMT(Hydraulic Mechanical Transmission)などの他の形式のトランスミッションであってもよい。
【0020】
コントローラ24は、CPUなどのプロセッサ31と、記憶装置32とを含む。プロセッサ31は、作業機械1の制御のための処理を行う。記憶装置32は、RAM或いはROMなどのメモリ、及び、HDD(Hard Disk Drive)或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含む。記憶装置32は、作業機械1の制御のためのデータ及びプログラムを記憶している。
【0021】
制御システムは、操作装置33と、入力装置34と、ディスプレイ35とを含む。操作装置33と、入力装置34と、ディスプレイ35とは、キャブ6内に配置される。操作装置33は、オペレータによって操作可能である。操作装置33は、走行操作装置33Aと、ステアリング操作装置33Bと、旋回操作装置33Cと、作業機操作装置33Dとを含む。
【0022】
走行操作装置33Aは、作業機械1の前進と後進の走行を手動操作するために、オペレータによって操作可能である。走行操作装置33Aは、例えばスイッチを含む。ただし、走行操作装置33Aは、レバーなどの他の部材を含んでもよい。走行操作装置33Aは、中立位置N1から前進方向A1と後進方向B1とに操作可能である。走行操作装置33Aは、オペレータの操作に応じた操作信号をコントローラ24に出力する。
【0023】
ステアリング操作装置33Bは、作業機械1の操舵を手動操作するために、オペレータによって操作可能である。ステアリング操作装置33Bは、例えばスイッチを含む。ただし、ステアリング操作装置33Bは、レバーなどの他の部材を含んでもよい。ステアリング操作装置33Bは、中立位置N2から右操舵方向A2と左操舵方向B2とに操作可能である。ステアリング操作装置33Bは、オペレータの操作に応じた操作信号をコントローラ24に出力する。
【0024】
旋回操作装置33Cは、旋回体4の旋回を手動操作するために、オペレータによって操作可能である。旋回操作装置33Cは、例えばレバーを含む。ただし、旋回操作装置33Cは、スイッチなどの他の部材を含んでもよい。旋回操作装置33Cは、中立位置N3から右旋回方向A3と左旋回方向B3とに操作可能である。旋回操作装置33Cは、オペレータの操作に応じた操作信号をコントローラ24に出力する。
【0025】
作業機操作装置33Dは、作業機3を手動操作するために、オペレータによって操作可能である。作業機操作装置33Dは、例えばレバーを含む。ただし、作業機操作装置33Dは、スイッチなどの他の部材を含んでもよい。例えば、作業機操作装置33Dは、中立位置N4から上げ方向A4と下げ方向B4とに操作可能である。旋回操作装置33Cは、オペレータの操作に応じた操作信号をコントローラ24に出力する。なお、操作装置33A-33Dのそれぞれは、共通の部材によって構成されてもよい。
【0026】
コントローラ24は、オペレータによる走行操作装置33Aの操作に応じて、作業機械1を走行させるように、駆動源21及び動力伝達装置23を制御する。それにより、作業機械1は、走行操作装置33Aの操作に応じて、前進又は後進する。コントローラ24は、オペレータによるステアリング操作装置33Bの操作に応じて、作業機械1を左右に操舵するように、駆動源21及び動力伝達装置23を制御する。例えば、コントローラ24は、左右の履帯7の速度差により、作業機械1を左右に操舵する。それにより、作業機械1は、走行操作装置33Aの操作に応じて、左方又は右方に操舵される。
【0027】
コントローラ24は、オペレータによる旋回操作装置33Cの操作に応じて、旋回体4を走行体5に対して旋回させるように、制御弁27を制御する。それにより、旋回体4は、旋回操作装置33Cの操作に応じて、右回り又は左回りに旋回する。コントローラ24は、オペレータによる作業機操作装置33Dの操作に応じて、作業機3を動作させるように、制御弁27を制御する。それにより、作業機3は、作業機操作装置33Dの操作に応じて、上下に動作する。
【0028】
入力装置34は、オペレータによって操作可能である。入力装置34は、タッチスクリーンである。ただし、入力装置34は、ハードウェアキーを含んでもよい。オペレータは、入力装置34を操作することで、作業機械1に関する各種の設定を入力する。入力装置34は、オペレータの操作に応じた入力信号を出力する。ディスプレイ35は、例えばLCD、OELD、或いは他の種類のディスプレイである。ディスプレイ35は、コントローラ24からの表示信号に応じた画面を表示する。
【0029】
制御システムは、位置センサ36と、姿勢センサ37と、作業機センサ38とを含む。位置センサ36は、作業機械1の位置と方位とを検出する。位置センサ36は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)によるセンサを含む。詳細には、位置センサ36は、旋回体4の位置と方位とを検出する。位置センサ36は、旋回体4の位置と方位とを示す位置データを出力する。
【0030】
姿勢センサ37は、旋回体4に取り付けられている。姿勢センサ37は、旋回体4の姿勢を検出する。旋回体4の姿勢は、例えば、旋回体4のヨー角と、ピッチ角と、ロール角とを含む。姿勢センサ37は、例えばIMU(Inertial Measurement Unit)である。姿勢センサ37は、旋回体4の姿勢を示す第1姿勢データを出力する。
【0031】
作業機センサ38は、作業機3の姿勢を検出する。作業機3の姿勢は、ブーム角と、アーム角と、バケット角とを含む。ブーム角は、旋回体4に対するブーム11の角度である。アーム角は、ブーム11に対するアーム12の角度である。バケット角は、アーム12に対するバケット13の角度である。作業機センサ38は、ブーム角と、アーム角と、バケット角とを示す第2姿勢データを出力する。作業機センサ38は、例えば、各シリンダ14-16のストローク長を検出し、コントローラ24は、各シリンダ14-16のストローク長から、ブーム角と、アーム角と、バケット角とを算出してもよい。或いは、作業機センサ38は、ブーム角と、アーム角と、バケット角とを直接的に検出する角度センサであってもよい。
【0032】
コントローラ24は、操作装置33から操作信号を受信する。コントローラ24は、入力装置34から入力信号を受信する。コントローラ24は、ディスプレイ35に表示信号を出力する。コントローラ24は、位置センサ36から位置データを受信する。コントローラ24は、姿勢センサ37から第1姿勢データを受信する。コントローラ24は、作業機センサ38から第2姿勢データを受信する。
【0033】
コントローラ24は、位置データと、第1姿勢データと、第2姿勢データとから、作業機械1の位置と方位とを算出する。例えば、コントローラ24は、位置データと第1姿勢データとに基づいて、走行体5の位置と方位と、旋回体4の位置と方位とを算出する。コントローラ24は、位置データと、第1姿勢データと、第2姿勢データとに基づいて、作業機3の位置と方位とを算出する。なお、作業機3の位置と方位とは、作業機3に取り付けられる位置センサによって直接的に検出されてもよい。作業機械1の位置は、作業現場における平面座標と高度で示される。作業機械1の方位は、東西南北の方位座標で示される。
【0034】
次に、作業機械1の自動制御について説明する。コントローラ24は、作業機械1の位置と方位とに基づいて、作業機械1の自動制御を実行する。本実施形態では、作業機械1は、施工される地形上において延びている設計線に沿って地形を掘削することで、作業現場に長い溝を形成する作業を行う。その際、自動制御は、オペレータによる手動操作をアシストする。設計線は、例えば、施工計画に基づいて設定される。或いは、設計線は、作業現場の地形の測量に基づいて設定されてもよい。
【0035】
自動制御は、走行アライメント制御と旋回アライメント制御とを含む。走行アライメント制御では、コントローラ24は、作業機械1の走行時に、作業機械1の走行方向が設計線の延びる方向に合うように、作業機械1の操舵を自動制御する。旋回アライメント制御では、コントローラ24は、作業機械1の掘削作業時に、バケット13が設計線の位置に合うように、旋回体4を自動停止させる。なお、オペレータは、入力装置34を操作することによって、走行アライメント制御と旋回アライメント制御とのそれぞれの有効と無効とを設定可能である。
【0036】
図3は、走行アライメント制御の処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、ステップS101では、コントローラ24は、設計線を取得する。設計線の位置は、記憶装置32に保存されている。例えば、コントローラ24は、外部のコンピュータから設計線の位置を示すデータを取得する。或いは、コントローラ24は、入力装置34を介して設計線の位置を取得してもよい。
【0037】
図4に示すように、コントローラ24は、設計線41と作業機械1との位置関係を示すガイドスクリーン40をディスプレイ35に表示させる。ガイドスクリーン40は、作業機械1と設計線41とを上面視で示す。作業機械1は、上面視における作業機械1の形状を有するアイコンによって示される。コントローラ24は、作業機械1の実際の位置と方位とに応じて、ガイドスクリーン40上に作業機械1と設計線41とを表示する。
【0038】
また、ガイドスクリーン40は、アシスト画像51-53を含む。アシスト画像51-53は、作業機械1の所定部分の位置、或いは方位を示す。
図5は、作業機械1を示すアイコンとアシスト画像51-53の拡大図である。
図5に示すように、アシスト画像は、作業アシスト画像51と、走行アシスト画像52と、方位アシスト画像53とを含む。
【0039】
作業アシスト画像51は、作業機3に含まれる作業基準点P1の位置を示す。作業基準点P1は、例えばバケット13の刃先の左右方向における中央である。或いは、作業基準点P1は、バケット13の刃先の左端、又は、右端であってもよい。作業基準点P1は、入力装置34によって、バケット13の左端、中央、右端から選択可能であってもよい。作業アシスト画像51は、十字線の形状を有する。作業アシスト画像51の十字線の交点が、作業基準点P1の位置を示している。
【0040】
走行アシスト画像52は、旋回中心C1と、車体2に含まれる走行基準点P2との位置を示す。走行アシスト画像52は、十字線と円弧とが組み合わされた形状を有する。走行アシスト画像52の十字線の交点が、旋回中心C1の位置を示している。走行基準点P2は、旋回中心C1から走行体5の左右方向にオフセットした位置である。走行アシスト画像52の十字線の円弧の頂点が、走行基準点P2を示している。
【0041】
走行基準点P2は、作業機平面PL1と、旋回中心C1を中心とする円弧との接点で示される。作業機平面PL1は、作業機3が上下に動作する場合の作業基準点P1の軌跡を含む平面である。作業機平面PL1は、作業機械1の上面視において、作業機3が走行体5の前後方向に沿って配置されている状態で、作業基準点P1を通り、作業機械1の前後方向に延びる直線で示される。
【0042】
方位アシスト画像53は、走行体5の方位を示す。方位アシスト画像53は、履帯7の向きを示す。方位アシスト画像53は、例えば三角形の形状で示される。
【0043】
ステップS102で、コントローラ24は、走行アライメント制御が有効であるかを判定する。例えば、コントローラ24は、走行アライメント制御がオンに設定されている状態で、オペレータがガイドスクリーン40上の設計線41をタッチしたときに、走行アライメント制御が有効であると判定する。走行アライメント制御のオン・オフの設定は、例えば入力装置34によって行われる。走行アライメント制御が有効である場合には、処理はステップS103に進む。
【0044】
ステップS103で、コントローラ24は、目標線42を決定する。コントローラ24は、設計線41を直線状に延長した線を目標線42として決定する。
図6に示すように、コントローラ24は、目標線42をガイドスクリーン40表示する。設計線41が直線部分41Aと曲線部分41Bとを含み、直線部分41Aがタッチされた場合は、コントローラ24は、直線部分41Aを延長した線を、目標線42として決定する。
【0045】
なお、
図6に示すように、コントローラ24は、
図4に示す設計線41と異なる態様で、目標線42をガイドスクリーン40に表示する。例えば、コントローラ24は、設計線41と異なる色で、目標線42をガイドスクリーン40に表示する。また、コントローラ24は、走行アライメント制御が開始されていることを示す制御アイコンIC1をガイドスクリーン40に表示する。オペレータは、走行操作装置33Aを操作して、作業機械1が目標線42に近づくように、作業機械1を前進又は後進させる。
【0046】
ステップS104で、コントローラ24は、走行基準点P2が制御実行領域43内に位置しているかを判定する。制御実行領域43は、目標線42から、目標線42の左右それぞれの方向に、許容幅だけ離れた位置までの領域である。許容幅は、例えば入力装置34によって設定可能である。走行基準点P2が制御実行領域43内に位置している場合、
図7に示すように、コントローラ24は、制御実行領域43をガイドスクリーン40に表示する。制御実行領域43は、目標線42から左右それぞれの方向に離れており、目標線42と平行な方向に延びる2つの直線L1,L2で示される。
【0047】
走行基準点P2が制御実行領域43外に位置する場合には、コントローラ24は、自動操舵を実行せず、ステアリング操作装置33Bによる手動操作に応じて作業機械1を操舵する。また、
図6に示すように、走行基準点P2が制御実行領域43外に位置する場合には、コントローラ24は、ガイドスクリーン40に、制御実行領域43を表示させない。
【0048】
走行基準点P2が制御実行領域43内に位置している場合、処理はステップS105に進む。ステップS105では、コントローラ24は、走行アライメント制御を実行する。
図7及び
図8に示すように、コントローラ24は、作業機械1の走行中に、走行基準点P2が目標線42に沿うように、作業機械1を自動操舵する。すなわち、コントローラ24は、走行アシスト画像52の円弧が走行基準点P2において目標線42に接するように、作業機械1を自動操舵する。それにより、コントローラ24は、走行操作装置33Aによる手動操作に応じて作業機械1を走行させると共に、走行基準点P2が目標線42に沿うように作業機械1を自動操舵する。
【0049】
図8に示すように、走行基準点P2が目標線42に合致している場合には、コントローラ24は、走行アシスト画像52を、走行基準点P2が目標線42に合致していない場合と異なる態様で表示する。
【0050】
なお、走行基準点P2が制御実行領域43内に位置していても、ステアリング操作装置33Bによる手動操作が行われた場合には、コントローラ24は、走行アライメント制御よりもステアリング操作装置33Bによる手動操作を優先とする。すなわち、コントローラ24は、走行基準点P2が制御実行領域43内に位置していても、ステアリング操作装置33Bによる手動操作が行われた場合には、走行アライメント制御を停止し、ステアリング操作装置33Bによる手動操作に応じて、作業機械1を操舵する。
【0051】
なお、
図7及び
図8に示すように、コントローラ24は、走行アライメント制御の実行中には、制御アイコンIC1を、走行アライメント制御の停止中と異なる態様で表示する。例えば、コントローラ24は、走行アライメント制御の実行中には、制御アイコンIC1を、走行アライメント制御の停止中と異なる色で表示する。
図9に示すように、走行基準点P2が制御実行領域43内に位置していても、走行アライメント制御の停止中には、コントローラ24は、制御実行領域43をディスプレイ35に表示させない。なお、オペレータが走行操作装置33Aを操作しておらず、作業機械1の走行が停止している場合にも、コントローラ24は、走行アライメント制御の停止中と同じ態様で、制御アイコンIC1を表示する。
【0052】
走行操作装置33Aによる走行操作が終了すると、コントローラ24は、走行アライメント制御を中止する。ただし、走行アライメント制御は有効な状態であるため、走行操作装置33Aによる走行操作が再開されると、コントローラ24は、引き続き、走行アライメント制御を実行する。
【0053】
次に、旋回アライメント制御について説明する。
図10は、旋回アライメント制御の処理を示すフローチャートである。
図10に示すように、ステップS201で、コントローラ24は、設計線41を取得する。コントローラ24は、上述した走行アライメント制御と同様に、設計線41を取得する。
【0054】
ステップS202で、コントローラ24は、旋回アライメント制御が有効であるかを判定する。例えば、コントローラ24は、旋回アライメント制御がオンに設定されている状態で、オペレータがガイドスクリーン40上の設計線41をタッチしたときに、旋回アライメント制御が有効であると判定する。旋回アライメント制御のオン・オフの設定は、例えば入力装置34によって行われる。旋回アライメント制御が有効である場合には、処理はステップS203に進む。
【0055】
ステップS203で、コントローラ24は、目標線42を決定する。コントローラ24は、走行アライメント制御の処理と同様に、目標線42を決定する。
図11は、旋回アライメント制御中のガイドスクリーン40を示す図である。走行アライメント制御と同様に、コントローラ24は、設計線41と異なる態様で、目標線42をガイドスクリーン40に表示する。例えば、コントローラ24は、設計線41と異なる色で、目標線42をガイドスクリーン40に表示する。また、コントローラ24は、旋回アライメント制御が開始されていることを示す制御アイコンIC2をガイドスクリーン40に表示する。
【0056】
目標線42が決定された後、オペレータは、旋回操作装置33Cを操作して、旋回体4を旋回させる。なお、
図11では、作業基準点P1は、目標線42から外れた位置、例えば排土位置に位置している。オペレータは、旋回操作装置33Cを操作して、作業基準点P1が目標線42に近づくように、旋回体4を旋回させる。
【0057】
ステップS204で、コントローラ24は、旋回体4の旋回操作量が目標旋回速度よりも大きいかを判定する。コントローラ24は、旋回体4の旋回操作装置33Cの操作に応じた旋回速度が、目標旋回速度よりも大きい場合に、旋回体4の旋回操作量が目標旋回速度よりも大きいと判定する。旋回体4の旋回操作量が目標旋回速度よりも大きい場合には、処理はステップS205に進む。
【0058】
ステップS205で、コントローラ24は、旋回体4を減速させる。コントローラ24は、作業基準点P1が目標線42上に到達するまで旋回体4を減速させ、目標線42上に到達したときに、旋回体4の旋回を自動停止させる。それにより、
図12に示すように、作業基準点P1が目標線42に合致した状態で、旋回体4が停止する。この状態で、オペレータは、作業機操作装置33Dを操作することで、目標線42上の地形を掘削することができる。なお、ステップS204で、旋回体4の旋回操作量が目標旋回速度以下である場合には、旋回体4は、減速・自動停止せず、旋回操作装置33Cの操作に応じて旋回を続ける。
【0059】
作業基準点P1が目標線42に合致している状態では、コントローラ24は、作業アシスト画像51を、作業基準点P1が目標線42から外れている状態とは異なる態様で表示する。例えば、作業基準点P1が目標線42に合致している状態では、コントローラ24は、作業アシスト画像51を、作業基準点P1が目標線42から外れている状態とは異なる色で表示する。
【0060】
また、旋回体4の自動停止中には、コントローラ24は、制御アイコンIC2を、旋回体4の自動停止中ではない場合と異なる態様で表示する。例えば、旋回体4の自動停止中には、コントローラ24は、制御アイコンIC2を、旋回体4の自動停止中ではない場合と異なる色で表示する。
【0061】
旋回体4の自動停止後、オペレータが旋回操作装置33Cを中立位置に戻すと、
図13に示すように、コントローラ24は、制御無効領域44をガイドスクリーン40に表示させる。制御無効領域44は、目標線42から、目標線42の左右それぞれの方向に、許容幅だけ離れた位置までの領域である。許容幅は、例えば入力装置34によって設定可能である。制御無効領域44は、目標線42から左右それぞれの方向に離れており、目標線42と平行な方向に延びる2つの直線L3,L4で示される。また、オペレータが旋回操作装置33Cを中立位置に戻した後は、コントローラ24は、旋回操作装置33Cの操作に応じて、旋回体4を旋回させる。
【0062】
ステップS206で、コントローラ24は、作業基準点P1が制御無効領域44内に位置しているかを判定する。作業基準点P1が制御無効領域44内に位置している場合には、ステップS207で、コントローラ24は、旋回体4の自動停止を無効とする。すなわち、コントローラ24は、旋回体4の自動停止後、オペレータが手動操作によって旋回体4を旋回させて、作業基準点P1が目標線42上に到達しても、作業基準点P1が制御無効領域44内に位置している場合には、旋回体4を自動停止させない。それにより、オペレータは、制御無効領域44内で、作業基準点P1を手動で旋回させることで、目標線42の近傍の地形を容易に掘削することができる。
【0063】
オペレータが手動操作によって旋回体4を旋回させることで、作業基準点P1が制御無効領域44外に出た場合には、
図11に示すように、コントローラ24は、ガイドスクリーン40から制御無効領域44を消去する。例えば、オペレータは、作業機3によって目標線42上の地形を掘削した後、旋回体4を旋回させて、目標線42から外れた位置に、バケット13から土砂を排土する。それにより、ガイドスクリーン40から制御無効領域44が消去される。
【0064】
また、作業基準点P1が制御無効領域44外に出ると、コントローラ24は、旋回体4の自動停止を再び有効とする。それにより、上述したように、旋回体4の旋回速度が旋回操作よりも小さい場合に、旋回体4の旋回が減速され、作業基準点P1が目標線42上に到達したときに、コントローラ24は、旋回体4を自動停止させる。このような作業機械1の動作が繰り返されることで、目標線42上の地形に溝が形成される。
【0065】
次に、オペレータは、作業機械1を後進させる。このとき、上述した走行アライメント制御により、走行基準点P2が目標線42に沿って移動するように、作業機械1が自動操舵される。そして、再び、旋回体4の旋回による掘削と排土とが繰り返されることで、目標線42上の地形に溝が形成される。このような作業機械1の動作が繰り返されることで、目標線42に沿った長い溝が地形に形成される。
【0066】
なお、走行アライメント制御と同様に、旋回アライメント制御においても、制御終了操作ありの場合に、旋回アライメント制御が終了されてもよい。
【0067】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1では、走行アライメント制御により、車体2の走行基準点P2が目標線42に沿うように作業機械1が自動操舵される。それにより、車体2の位置合わせのための操作が容易になる。
【0068】
また、設計線41ではなく、設計線41を直線状に延長した目標線42に沿うように、作業機械1が自動操舵される。もし、設計線41に沿うように、作業機械1が自動操舵されると、設計線41が、上述のように直線部分41Aと曲線部分41Bとを含む場合に、作業機3が設計線41から外れてしまうことがある。
【0069】
例えば、
図14は、比較例に係る作業機械の動作を示す上面図である。
図14に示す比較例では、設計線41そのものを目標線として、走行アライメント制御が行われている。
図14に示すように、作業機械1が後進して、走行基準点P2が直線部分41Aから曲線部分41Bに移ると、車体2の向きが変わることに伴い、作業機3の向きも変わる。それにより、作業機3の作業基準点P1が直線部分41Aから外れてしまう。しかし、本実施形態に係る作業機械1では、設計線41ではなく、設計線41を直線状に延長した目標線42に沿うように、作業機械1が自動操舵される。それにより、作業機3が設計線41から外れてしまうことが抑えられる。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0071】
作業機械1は、履帯7に代えてホイールを備えてもよい。作業機械1は、遠隔から操作可能であってもよい。操作装置33と、入力装置34と、ディスプレイ35とは、作業機械1の外部に配置されてもよい。上述した自動制御の処理の一部は、作業機械1の外部のコントローラによって実行されてもよい。自動制御の処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。
【0072】
自動制御による作業機械1の作業は、溝を形成する作業に限らず、他の作業であってもよい。例えば、溝に土砂を埋める作業に対して自動制御が適用されてもよい。自動制御の処理は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、走行アライメント制御、或いは旋回アライメント制御の開始は、設計線41のタッチに限らず、他の操作であってもよい。旋回アライメント制御は、省略されてもよい。
【0073】
ガイドスクリーン40は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、作業アシスト画像51は、十字線に限らず、点などの他の形状であってもよい。走行アシスト画像52は、十字線と円弧に限らず、点などの他の形状であってもよい。方位アシスト画像53は、三角形に限らず、矢印などの他の形状であってもよい。上述したガイドスクリーン40の表示における「異なる態様」とは、異なる色に限らず、異なる形状であってもよい。制御無効領域44の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、制御無効領域44は、台形、或いは扇形状の形状を有してもよい。
【0074】
(付記1)
車体と、前記車体に取り付けられる作業機とを含む作業機械を制御するためのシステムであって、
コントローラを備え、
前記コントローラは、
施工される地形上において延びる設計線を取得し、
前記設計線を直線状に延長した線を目標線として決定し、
前記作業機械の走行中に、前記車体に含まれる走行基準点が前記目標線に沿うように前記作業機械を自動操舵する走行アライメント制御を実行する、
システム。
【0075】
(付記2)
ディスプレイをさらに備え、
前記コントローラは、前記作業機械と、前記目標線と、前記走行基準点とを前記ディスプレイに表示させる、
付記1に記載のシステム。
【0076】
(付記3)
前記作業機械の操舵を手動操作するために、オペレータによって操作可能なステアリング操作装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前記走行基準点が所定領域外に位置する場合には、前記ステアリング操作装置による手動操作に応じて前記作業機械を操舵し、
前記走行基準点が所定領域内に位置する場合に、前記作業機械を自動操舵する、
付記1又は付記1に記載のシステム。
【0077】
(付記4)
前記コントローラは、前記走行基準点が所定領域内に位置する場合に、前記ステアリング操作装置による手動操作が行われた場合には、前記ステアリング操作装置による手動操作を優先する、
付記3に記載のシステム。
【0078】
(付記5)
前記作業機械の前進、及び/又は、後進の走行を手動操作するために、オペレータによって操作可能な走行操作装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記走行基準点が所定領域内に位置する場合には、前記走行操作装置による手動操作に応じて前記作業機械を走行させると共に、前記走行基準点が前記目標線に沿うように前記作業機械を自動操舵する、
付記3又は付記4に記載のシステム。
【0079】
(付記6)
ディスプレイをさらに備え、
前記コントローラは、前記作業機械と、前記目標線と、前記走行基準点と、前記所定領域とを前記ディスプレイに表示させる、
付記3から付記5のいずれかに記載のシステム。
(付記7)
前記所定領域は、前記目標線から許容幅だけ離れた位置までの範囲である、
付記3から付記6のいずれかに記載のシステム。
【0080】
(付記8)
前記車体は、旋回中心周りに旋回可能な旋回体を含み、
前記走行基準点は、前記作業機械の上面視において、作業機平面と、前記旋回中心を中心とする円弧との接点であり、
前記作業機平面は、前記作業機械の上面視において、前記作業機が前記作業機械の前後方向に沿って配置されている状態で、前記作業機に含まれる作業基準点を通り、前記作業機械の前後方向に延びており、
前記コントローラは、前記走行アライメント制御において、前記走行基準点において、前記円弧が前記走行基準点において前記目標線に接するように、前記作業機械を自動操舵する、
付記1から付記7のいずれかに記載のシステム。
【0081】
(付記9)
車体と、前記車体に取り付けられる作業機とを含む作業機械を制御するための方法であって、
施工される地形上において延びる設計線を取得することと、
前記設計線を直線状に延長した線を目標線として決定することと、
前記作業機械の走行中に、前記車体に含まれる走行基準点が前記目標線に沿うように前記作業機械を自動操舵する走行アライメント制御を実行すること、
を備える方法。
【0082】
(付記10)
前記作業機械と、前記目標線と、前記走行基準点とを、ディスプレイに表示させることを備える、
付記9に記載の方法。
【0083】
(付記11)
前記作業機械の操舵を手動操作するために、オペレータによって操作可能なステアリング操作装置からの操作信号を受信することと、
前記走行基準点が所定領域外に位置する場合には、前記ステアリング操作装置による手動操作に応じて前記作業機械を操舵することと、
前記走行基準点が所定領域内に位置する場合に、前記作業機械を自動操舵すること、
を備える付記9又は付記10に記載の方法。
【0084】
(付記12)
前記走行基準点が所定領域内に位置する場合に、前記ステアリング操作装置による手動操作が行われた場合には、前記ステアリング操作装置による手動操作を優先することを備える、
付記11に記載の方法。
【0085】
(付記13)
前記作業機械の前進、及び/又は、後進の走行を手動操作するために、オペレータによって操作可能な走行操作装置からの操作信号受信することと。
前記走行基準点が所定領域内に位置する場合には、前記走行操作装置による手動操作に応じて前記作業機械を走行させると共に、前記走行基準点が前記目標線に沿うように前記作業機械を自動操舵すること、
を備える付記11又は付記12に記載の方法。
【0086】
(付記14)
前記作業機械と、前記目標線と、前記走行基準点と、前記所定領域とを、ディスプレイに表示させることを備える、
付記11から付記13のいずれかに記載の方法。
【0087】
(付記15)
前記所定領域は、前記目標線から許容幅だけ離れた位置までの範囲である、
付記11から付記14のいずれかに記載のシステム。
【0088】
(付記16)
前記車体は、旋回中心周りに旋回可能な旋回体を含み、
前記走行基準点は、前記作業機械の上面視において、作業機平面と、前記旋回中心を中心とする円弧との接点であり、
前記作業機平面は、前記作業機械の上面視において、前記作業機が前記作業機械の前後方向に沿って配置されている状態で、前記作業機に含まれる作業基準点を通り、前記作業機械の前後方向に延びており、
前記走行アライメント制御において、前記走行基準点において、前記円弧が前記走行基準点において前記目標線に接するように、前記作業機械を自動操舵することを備える、
付記9から付記15のいずれかに記載の方法。
【産業上の利用可能性】
【0089】
作業機械において、車体の位置合わせのための操作を容易にする。
【符号の説明】
【0090】
1:作業機械
3:作業機
4:旋回体
24:コントローラ
33A:走行操作装置
33B:ステアリング操作装置
35:ディスプレイ
41:設計線
42:目標線
C1:旋回中心
P2:走行基準点
PL1:作業機平面