(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007365
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】情報処理方法、モデルの生成方法、コンピュータプログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20250109BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q30/0601 310
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108713
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】520427815
【氏名又は名称】トヨタモビリティパーツ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513186383
【氏名又は名称】株式会社ギックス
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】田邊 祥二
(72)【発明者】
【氏名】松山 智亮
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋
(72)【発明者】
【氏名】堀川 大夢
(72)【発明者】
【氏名】大慶 哲也
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB55
5L049BB55
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】短時間で車検時における見積りを行うことを可能にする情報処理方法等を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、車検対象車両に関する車両情報を取得し、前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力する。また、前記車両情報は、前記車検対象車両の整備に関する整備情報を含み、前記整備情報は、前記車検対象車両の前回整備からの経過日数、走行距離、初年度登録からの経過日数、点検回数、または部品の交換に関する情報を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力する
情報処理方法。
【請求項2】
前記車両情報は、前記車検対象車両の整備に関する整備情報を含む
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記整備情報は、前記車検対象車両の前回整備からの経過日数、走行距離、初年度登録からの経過日数、点検回数、または部品の交換に関する情報を含む
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記要否情報は、部品の交換または点検の要否、必要性の尤度、または必要性の尤度の区分を含む
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因とを列挙して出力する
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記要否情報が記載される、車検業者用の第一提案書を作成するコマンドと、前記第一提案書とは異なる、顧客用の第二提案書を作成するコマンドとを出力する
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記第二提案書において、前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因と、前記項目及び前記主要要因に応じたメッセージとを出力する
請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
部品の交換または点検の必要性の尤度が所定値以上である前記項目を出力する
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記要否情報に関わらず提案書に必ず記載する必須項目を記憶したテーブルを参照し、前記要否情報の出力に関わらず、前記必須項目を前記提案書に記載する
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記部品の交換又は点検のための料金が不要である無料項目を記憶したテーブルを参照し、要否情報が出力された項目のうち、前記無料項目に該当する項目を提案書に記載する
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項11】
車検対象車両に関する車両情報と、前記車検対象車両の部品の交換又は点検が必要である項目の要否情報とを含む訓練データを取得し、
取得した訓練データに基づき、前記車両情報を入力した場合に、前記要否情報を出力する学習モデルを生成する
モデルの生成方法。
【請求項12】
前記訓練データの元データは、複数の車検業者の店舗が備える店舗装置から収集され、
前記訓練データは、前記店舗装置毎に異なる、項目ごとに割り振られる店舗管理番号と、全店舗で共通する共通管理番号との対応を記憶したテーブルを参照して、前記元データに含まれる前記店舗管理番号を前記共通管理番号に変換することによって生成され、
前記訓練データに含まれる前記車両情報と前記要否情報は、前記共通管理番号によって関連付けられる
請求項11に記載のモデルの生成方法。
【請求項13】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項14】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力する
処理部
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理方法、モデルの生成方法、コンピュータプログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路運送車両法に基づいて行われる車両検査(車検)の際に、車検業者によって車両の整備または修理が行われる。車両の整備または修理の内容は、車両検査の前に行われる点検検査によって車検業者が見積りを行い、顧客に提案される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のシステム装置は、検査員が行った検査の項目ごとの判定結果が入力されると、判定結果を顧客に対して表示するとともに、見積もり額を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステム装置においては、検査員が顧客の車両を実際に点検する必要があり、車検の際の見積りに多大な時間を要していた。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、短時間で車検時における見積りを行うことを可能にする情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、車検対象車両に関する車両情報を取得し、前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、前記車両情報は、前記車検対象車両の整備に関する整備情報を含む。
【0009】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、前記整備情報は、前記車検対象車両の前回整備からの経過日数、走行距離、初年度登録からの経過日数、点検回数、または部品の交換に関する情報を含む。
【0010】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、前記要否情報は、部品の交換または点検の要否、必要性の尤度、または必要性の尤度の区分を含む。
【0011】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因とを列挙して出力する。
【0012】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、前記要否情報が記載される、車検業者用の第一提案書を作成するコマンドと、前記第一提案書とは異なる、顧客用の第二提案書を作成するコマンドとを出力する。
【0013】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、前記第二提案書において、前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因と、前記項目及び前記主要要因に応じたメッセージとを出力する。
【0014】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、部品の交換または点検の必要性の尤度が所定値以上である前記項目を出力する。
【0015】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、前記要否情報に関わらず提案書に必ず記載する必須項目を記憶したテーブルを参照し、前記要否情報の出力に関わらず、前記必須項目を前記提案書に記載する。
【0016】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、前記部品の交換又は点検のための料金が不要である無料項目を記憶したテーブルを参照し、要否情報が出力された項目のうち、前記無料項目に該当する項目を提案書に記載する。
【0017】
本開示の一実施形態に係るモデルの生成方法は、車検対象車両に関する車両情報と、前記車検対象車両の部品の交換又は点検が必要である項目の要否情報とを含む訓練データを取得し、取得した訓練データに基づき、前記車両情報を入力した場合に、前記要否情報を出力する学習モデルを生成する。
【0018】
本開示の一実施形態に係るモデルの生成方法は、前記訓練データの元データは、複数の車検業者の店舗が備える店舗装置から収集され、前記訓練データは、前記店舗装置毎に異なる、項目ごとに割り振られる店舗管理番号と、全店舗で共通する共通管理番号との対応を記憶したテーブルを参照して、前記元データに含まれる前記店舗管理番号を前記共通管理番号に変換することによって生成され、前記訓練データに含まれる前記車両情報と前記要否情報は、前記共通管理番号によって関連付けられる。
【0019】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、車検対象車両に関する車両情報を取得し、前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0020】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、車検対象車両に関する車両情報を取得し、前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力する処理部を備える。
【発明の効果】
【0021】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法にあっては、短時間で車検時における見積りを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】車検提案システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】店舗車両情報テーブルの一例を示す説明図である。
【
図5】車両情報テーブルの一例を示す説明図である。
【
図8】実施形態1の第1変形例に係る学習モデルに関する説明図である。
【
図9】実施形態1の第2変形例に係る学習モデルに関する説明図である。
【
図10】出力結果表示画面の一例を示す説明図である。
【
図13】メッセージテーブルの一例を示す説明図である。
【
図14】情報処理装置の処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図15】店舗装置の処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図16】実施形態2に係る店舗装置の構成例を示すブロック図である。
【
図17】必須項目テーブルの一例を示す説明図である。
【
図18】実施形態2に係る店舗車両情報テーブルの一例を示す説明図である。
【
図19】メンテナンスパックテーブルの一例を示す説明図である。
【
図20】実施形態2に係る第二提案書の一例を示す説明図である。
【
図21】実施形態2に係る店舗装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図22】実施形態3に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図23】実施形態3に係る店舗装置の構成例を示すブロック図である。
【
図24】実施形態3に係る車検履歴テーブルの一例を示す説明図である。
【
図25】項目マスターテーブルの一例を示す説明図である。
【
図26】学習モデルの生成処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態1)
以下、実施形態1に係る本発明について図面を用いて説明する。
図1は車検提案システムの構成例を示す説明図、
図2は情報処理装置の構成例を示すブロック図、
図3は店舗装置の構成例を示すブロック図である。車検提案システムSは、情報処理装置1と、複数の店舗装置2とを含む。店舗装置2は、車検業者の店舗に備えられる装置である。情報処理装置1と店舗装置2は、ネットワークNを介して通信を行う。各店舗装置2は、各々の店舗における顧客が所有する車検対象車両に関する車両情報の入力を受け付け、記憶する。情報処理装置1は、店舗装置2から車両情報を取得し、取得した車両情報に基づき、車検対象車両において交換又は点検(整備)が必要とされる項目の要否情報を出力する。店舗装置2は、情報処理装置1が出力した要否情報を取得し、該要否情報を記載した車検の提案書(車検提案書)を作成し、車検業者及び顧客に提示する。
【0024】
情報処理装置1は、例えばサーバコンピュータであり、処理部11と、記憶部12と、通信部13とを備える。処理部11は、CPU(Central Processing Unit)MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、または量子プロセッサ等により構成されており、記憶部12に予め記憶されたプログラムP(プログラム製品)及びデータベースを読み出して実行することにより、種々の制御処理、演算処理等を行う。なお情報処理装置1の外部にデータベースサーバ等を設け、該データベースサーバ等からデータベースを読み出してもよい。また、情報処理装置1は、複数のサーバ装置またはコンピュータによりその機能が実現されるものであってもよい。また、情報処理装置1は、ブロックチェーン上のノードに対応するものでもよい。
【0025】
情報処理装置1の記憶部12は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリである。記憶部12には、プログラムP、複数の学習モデルM、車両情報テーブル121、及び項目テーブル122が記憶されている。なお、プログラムPは、コンピュータが読み取り可能に記憶した記憶媒体12aを用いて情報処理装置1に提供されてもよい。記憶媒体12aは、例えば可搬型メモリである。可搬型メモリの例として、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード、マイクロSDカード又はコンパクトフラッシュメモリ(登録商標)等が挙げられる。記憶媒体12aが可搬型メモリである場合、処理部11の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記憶媒体12aからプログラムPを読み取ってもよい。読み取ったプログラムPは記憶部12に書き込まれる。更に、プログラムPは、通信部13が外部装置と通信することによって、情報処理装置1に提供されてもよい。学習モデルM、車両情報テーブル121、及び項目テーブル122の詳細については後述する。
【0026】
情報処理装置1の通信部13は、有線又は無線により店舗装置2と通信するための通信モジュールまたは通信インターフェイスであり、例えば広域無線通信モジュールである。処理部11は、通信部13を介し、例えばインターネットなどの外部のネットワークNを通じて、店舗装置2と通信する。処理部11は、通信部13を通じて、店舗装置2から顧客の車両に関する情報(車両情報)を取得し、店舗装置2に学習モデルMによる出力結果を送信する。なお、学習モデルMは、図示しない他のコンピュータによって実行されてもよい。また、本実施形態では、学習モデルMは情報処理装置1において実行される例を示すが、これに限るものではない。例えば、学習済みの学習モデルMを店舗装置2にデプロイし、店舗装置2において、交換又は点検(整備)が必要とされる項目の要否情報を出力するようにしてもよい。
【0027】
店舗装置2は、例えば、車検業者の店舗に備えられるサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット型端末などである。店舗装置2は、処理部21と、記憶部22と、通信部23と、入出力I/F24とを備える。処理部21及び通信部13は、情報処理装置1の処理部11及び通信部13と同様の構成である。
【0028】
店舗装置2の記憶部22は、店舗車両情報テーブル221及びメッセージテーブル222を記憶している。店舗車両情報テーブル221には、店舗装置2が備えられる店舗に顧客が所有する車両に関する車両情報が記憶されている。メッセージテーブル222には、後述する第二提案書42に記載されるメッセージが記憶されている。店舗車両情報テーブル221及びメッセージテーブル222の詳細については後述する。
【0029】
入出力I/F24は、例えば、USB又はDSUB等の通信規格に準拠したものであり、入出力I/F24に接続された外部機器とシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F24には、例えばディプレイ等の表示部241、マウス及びキーボード等の入力部242が接続されており、処理部21は、入力部242から入力された実行コマンド又はイベントに基づき行った情報処理の結果を表示部241に出力する。また、入出力I/F24には、後述する提案書を印刷する印刷装置243が接続されている。
【0030】
図4は、店舗車両情報テーブルの一例を示す説明図である。店舗車両情報テーブル221には、各店舗の顧客の車検対象車両に関する車両情報が登録されている。店舗車両情報テーブル221は、例えば、顧客名フィールドと、顧客番号フィールドと、登録ナンバーフィールドと、車種フィールドと、初度登録後経過日数フィールドと、総走行距離フィールドと、車検回数フィールドと、点検回数フィールドと、点検後経過日数フィールドと、点検後走行距離フィールドと、整備情報フィールドと、整備日フィールドとを含む。顧客名フィールドには、車検対象車両の持ち主である顧客の顧客名が格納される。顧客番号フィールドには、顧客に割り振られた番号が格納される。登録ナンバーフィールドには、自治体により登録された車両のナンバープレートに記載されている登録ナンバーが格納される。車種フィールドには、車検対象車両の車種が格納される。初度登録後経過日数フィールドには、車検対象車両の初度登録時から現在までに経過した日数が格納される。総走行距離フィールドには、車検対象車両の初年度登録時から現在までに走行した距離が格納される。車検回数フィールドには、車検対象車両が初年度登録時から現在までに行われた車検の回数が格納される。点検回数フィールドには、車検対象車両が初度登録時から現在までに行われた点検の回数が格納される。点検は、道路運送車両法に基づく検査ではなく、顧客の依頼によって行われる検査である。なお、車検時に点検が同時に行われる場合もある。点検後走行距離フィールドには、車検対象車両が前回の点検時から現在までに走行した距離が格納される。整備情報フィールドには、車検対象車両において過去に整備(部品の交換又は点検)された部品が格納される。整備日フィールドには、整備情報フィールドに格納されている整備が行われた日にちが格納されている。なお、整備情報フィールド及び整備日フィールドは、店舗車両情報テーブル221に複数含まれてもよい。
【0031】
店舗装置2の処理部21は、例えば、提案書作成指示の入力を受け付けると、店舗車両情報テーブル221に新たなレコードを挿入する。この際、処理部21は、該当する車検対象車両について既に店舗車両情報テーブル221に記憶されているレコードを参照し、新たな店舗車両情報テーブル221に挿入するレコードを作成する。例えば、初度登録後経過日数フィールド及び点検後経過日数フィールドには、過去に登録ナンバーが同じレコードが存在する場合、該当レコードに格納されている日数、該当レコードが作成された日にち、及び現在日にちに基づいて算出された日数が格納される。また、車検回数フィールドに格納される回数は、前回作成された登録ナンバーが同じレコードから1だけインクリメントした回数が格納される。点検回数フィールドに格納される回数は、図示しない点検履歴テーブルを参照して取得される、車検対象車両の初度登録後の点検回数が格納される。なお、総走行距離フィールド及び点検後走行距離フィールドには、車検対象車両のメーターの表示に基づいて新たに入力された距離が格納されてもよい。
【0032】
図5は、車両情報テーブルの一例を示す説明図である。車両情報テーブル121には、車検対象車両に関する情報が記憶されている。車両情報テーブル121は、例えば、店舗フィールドと、顧客名フィールドと、顧客番号フィールドと、登録ナンバーフィールドと、車種フィールドと、初度登録後経過日数フィールドと、総走行距離フィールドと、車検回数フィールドと、点検回数フィールドと、点検後経過日数フィールドと、点検後走行距離フィールドと、交換部品フィールドとを含む。店舗フィールドには、車検を行う店舗の店舗名が格納される。他のフィールドについては、店舗車両情報テーブル221に含まれるフィールドと同様であり、情報処理装置1の処理部11が店舗装置2の記憶部22から取得した車両情報が格納される。
【0033】
図6は、項目テーブルの一例を示す説明図である。項目テーブル122には、要否情報が出力される項目が記憶されている。項目テーブル122は、例えば、項目番号フィールドと、種別フィールドと、項目フィールドとを含む。項目番号フィールドには、各項目に割り振られた番号が格納される。種別フィールドには、各項目が属する種別が格納されている。項目フィールドには、車検時に整備が必要となる可能性のある項目が格納されている。また、本実施形態においては、項目は定期交換部品、機能部品、及び付加価値商品の3つの種別に分類される。
【0034】
図7は、学習モデルMに関する説明図である。学習モデルMは、車検対象車両の車両情報を入力データとして、項目テーブルに格納される各項目の要否情報を出力する機械学習モデルである。本実施形態において要否情報は、各項目の、車検時に整備が必要と推定される尤度として出力される。
【0035】
学習モデルMは、項目毎に複数記憶されている。すなわち、車両情報を入力データとして、バッテリー交換の要否情報を出力する第1の学習モデルM、タイヤ交換の要否情報を出力する第2の学習モデルM、エンジンオイル交換の要否情報を出力する第3の学習モデルMなど、各項目の要否情報を出力する学習モデルMが記憶されている。各学習モデルMは同様の構成である。
【0036】
学習モデルMは、例えばLGBoost(Light Gradient Boosting)により構築される。LGBoostは、勾配ブースティングと、ランダムフォレストとを組み合わせたアンサンブル学習の手法である。学習モデルMは、複数の決定木(弱学習器)を構築し、1つ前までの決定木の情報を用いて新たな決定木を構築していくブースティングを行うよう構成されている。具体的には、1つ前の決定木では予測できなかった誤差(損失関数の勾配)を目的変数として新たな決定木が構築される。各決定木において、入力データは根から枝に行く途中で条件により分類され、末端の葉ノードに辿り着くと、当該末端の葉ノードに与えられた値が予測値として出される。
【0037】
学習モデルMの入力データは、車両情報である。車両情報は、車両情報テーブル121の各フィールドに格納された情報である。なお、本実施形態においては、車両情報テーブル121のフィールドうち、車種フィールド、初度登録後経過日数フィールド、総走行距離フィール、車検回数フィールドと、点検回数フィールド、点検後経過日数フィールド、点検後走行距離フィールド、整備情報フィールド、及び整備日フィールドに格納されている情報を入力データとする。なお、学習モデルMの入力データとなる車両情報は、車検対象車両の所有者である顧客の年齢、性別、居住地域、免許区分、または加入済み保険に関する情報等を含む顧客情報を含んでもよい。また、初度登録後経過日数、総走行距離、点検後経過日数、及び点検後走行距離を含む車両使用情報のみを学習モデルMの入力データとしてもよい。なお、学習モデルMの入力データはこれに限られず、車両情報に含まれる情報のうち一部の情報のみを入力データとしてもよい。
【0038】
学習モデルMは、車両情報が入力された場合に、各項目の車検時に整備が必要となる尤度を出力する。該尤度の値の範囲は、0~1である。
【0039】
なお、学習モデルMの出力は、各項目の要否(必要または不要)の分類結果であってもよい。
図8は、実施形態1の第1変形例に係る学習モデルMに関する説明図である。本例において学習モデルMは、車両情報が入力された場合、必要または不要の各クラスに対する確度を出力する。学習モデルMは、確度が閾値以上であるクラスを出力値とすることが可能である。
【0040】
また、学習モデルMはマルチクラス分類モデルであり、各項目の車検時に整備が必要となる尤度のレベルを分類するものであってもよい。
図9は、実施形態1の第2変形例に係る学習モデルMに関する説明図である。本例において学習モデルMは、尤度が0以上0.25未満である場合は第1レベル、0.25以上0.5未満である場合は第2レベル、0.5以上0.75未満である場合は第3レベル、0.75以上1以下である場合は第4レベルというように、尤度に応じたレベルを出力する。なお、第2変形例における学習モデルMは、特徴量抽出層m1と、複数の出力層m2を備える。各出力層m2は、項目ごとに尤度のレベルを出力する。
【0041】
上記では、学習モデルMがLGBoostである例を説明したが学習モデルMの構成は限定されるものではなく、各項目の、車検時に整備が必要となる尤度が出力可能であればよい。学習モデルMは、例えば、Transformer、CNN(Convolution Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short Term Memory)等のニューラルネットワークであってもよく、サポートベクタマシン、ロジスティクス回帰、ランダムフォレスト、またはXGBoost(eXtreme Gradient Boosting )等の他の学習アルゴリズムを用いてもよい。また、学習モデルMに対する入力データは、過去に車両情報テーブル121に登録された車両情報を含む時系列データであってもよい。
【0042】
処理部11は、学習モデルMに入力される車両情報に含まれる各情報の寄与度を算出することにより、出力される尤度に最も寄与した情報(主要要因)を特定する。寄与度の算出方法は限定されるものではないが、例えばSHAP(SHapley Additive exPlanation)、LIME(Local Interpretable Model-Agnostic Explanations)、またはAttention機構等を利用することができる。情報の寄与度が大きいほど、尤度の出力に及ぼす影響が大きいことを示す。
【0043】
図10は、出力結果表示画面の一例を示す説明図である。情報処理装置1の処理部11は、学習モデルMによって出力した各項目の要否情報及び特定した主要要因を店舗装置2に送信する。店舗装置2は、表示部241に、情報処理装置1から取得した各項目の要否情報及び特定した主要要因を表示させる。出力結果表示画面3は、車両情報欄31、前回車検整備欄32、直近整備欄33、推奨車検整備欄34、及びコマンド欄35を含む。
【0044】
車両情報欄31には、学習モデルMの入力データとなった車検対象車両の車両情報が格納される。前回車検整備欄32には、車検対象車両の前回の車検において実施された整備の内容、実施日、及び料金が表示される。なお、前回車検整備欄32に記載される内容は、店舗装置2の記憶部22が記憶する、車両の車検に関する履歴を格納した車検履歴テーブル(図示略)から読み出されたものである。直近整備欄33には、店舗車両情報テーブル221の整備情報フィールドに格納されている整備情報のうち、最も現在日にちに近い整備情報が表示される。
【0045】
推奨車検整備欄34には、情報処理装置1によって要否情報が出力された項目、項目の項目番号、情報処理装置1によって特定された主要因、及び整備推奨度が表示される。整備推奨度においては、例えば、学習モデルMが出力した尤度に基づく整備推奨度が星印の数によって示される。本例においては、尤度が0以上0.25未満である場合は0個の星印、0.25以上0.5未満である場合は1個の星印、0.5以上0.75未満である場合は2個の星印、0.75以上1以下である場合は3個の星印が表示される。各項目は、例えば、項目の種別ごとに、推奨度が高い順に表示される。
【0046】
コマンド欄35は、第一提案書作成コマンド351及び第二提案書作成コマンド352を含む。第一提案書41及び第二提案書42の詳細については後述するが、第一提案書41は車検業者に提示される提案書であり、第二提案書42は顧客に提示される提案書である。店舗装置2の処理部21は、第一提案書作成コマンド351が選択されると、第一提案書41を作成し、印刷装置243に印刷させる。第二提案書作成コマンド352が選択された場合も同様である。なお、第一提案書41及び第二提案書42は、店舗装置2の表示部241、または顧客が所有するスマートフォン等に表示されてもよい。
【0047】
図11は、第一提案書の一例を示す説明図である。第一提案書41は、車両情報欄411、前回車検整備欄412、直近整備欄413、及び推奨車検整備欄414を備える。すなわち、第一提案書41には、コマンド欄35を除く出力結果表示画面3に表示される内容と同様の内容が記載される。なお、推奨車検整備欄414において、各項目の前回整備日が記載されてもよい。この場合、項目の前回整備日については、店舗車両情報テーブル221の整備情報フィールドに該当項目がある場合、該当項目の整備日が記載される。また、推奨車検整備欄414において、推奨度の低い項目は記載されなくてもよい。例えば、出力結果表示画面3において星印の表示が0個である項目は、第一提案書41に記載されなくてもよい。第一提案書41は、車検業者用提案書として印刷される。
【0048】
図12は、第二提案書の一例を示す説明図、
図13はメッセージテーブルの一例を示す説明図である。第二提案書42は、車両情報欄421、推奨車検整備欄424、及びメッセージ欄425を備える。車両情報欄421及び推奨車検整備欄424に記載される内容は、第一提案書の車両情報欄411及び推奨車検整備欄414に記載される内容と同様である。なお、第一提案書41の推奨車検整備欄414と同様に、第二提案書42の推奨車検整備欄424には、各項目の前回整備日が記載されてもよい。また、推奨車検整備欄424において、推奨度の低い項目は記載されなくてもよい。例えば、出力結果表示画面3において星印の表示が0個である項目は、第二提案書42に記載されなくてもよい。第二提案書42は、お客様用提案書として印刷される。
【0049】
メッセージ欄425には、整備推奨度の高い項目から順に、複数の項目について、部品の交換または点検を顧客に促進するためのメッセージが記載される。メッセージ欄425に記載されるメッセージは、要否情報が出力された項目と、特定された主要要因に基づき、メッセージテーブル222を参照して選択される。
図13に示すように、メッセージテーブル222は、例えば、項目フィールドと、主要要因フィールドと、メッセージフィールドとを含む。項目フィールドには、整備の項目が格納されている。主要要因フィールドには、主要要因となる可能性のある車両情報が格納されている。メッセージフィールドには、項目と主要要因に対して、第二提案書のメッセージ欄425に記載されるメッセージが格納されている。
【0050】
店舗装置2の処理部21は、第二提案書作成コマンド352が選択されると、第二提案書42にメッセージを記載する項目を決定する。
図12に示す例においては、整備推奨度が高い3つの項目(ワイパー交換、エアエレメント交換、Vベルト交換)についてのメッセージを記載すると決定する。次に、店舗装置2の処理部21は、メッセージテーブルを参照し、メッセージが記載される項目及び主要要因に基づいたメッセージを特定する。処理部21は、メッセージ欄425に決定された項目及び特定されたメッセージが記載された第二提案書42を作成し、印刷装置243に印刷させる。
図12に示す例においては、項目「ワイパー交換」において、整備推奨度(尤度のレベル)が高くなった主要要因が「点検後経過日数」であると特定されたため、処理部21は、メッセージテーブル222を参照し、「点検後から日数が経過しています。拭きムラがあると目の疲労も増大します。今回交換しませんか?」というメッセージを第二提案書42に記載するメッセージに決定する。これにより、顧客に対して、整備を実施する動機を高めることが可能である。なお、第二提案書42に記載されるメッセージは、車検を実施する季節または顧客の情報に基づいて特定されてもよい。また、処理部21は、各項目に対して整備に必要な金額を記憶した料金テーブル(図示略)を参照し、整備推奨度が一定度数以上である項目の整備に必要な金額を積算した見積額を第二提案書42に記載してもよい。
【0051】
図14は、情報処理装置1の処理の一例を説明するフローチャートである。情報処理装置1の処理部11は、例えば、店舗装置2から車検対象車両の車両情報が送信されると、以下の処理を開始する。処理部11は、店舗装置2から車検対象車両の車両情報を受信する(S1)。処理部11は、店舗装置2から受信した車両情報を車両情報テーブル121に記憶する(S2)。処理部11は、車検対象車両の車両情報を学習モデルMに入力し(S3)、整備が必要とされる項目の要否情報を、項目毎に出力する(S4)。処理部11は、S4において入力された車両情報に含まれる各情報の、要否情報の出力に係る寄与度を算出し(S5)、算出した寄与度に基づいて車両情報のうちの主要要因を特定する(S6)。処理部11は、S4において出力した要否情報及びS6において特定した主要要因を店舗装置2に送信し(S7)、処理を終了する。
【0052】
図15は、店舗装置の処理の一例を説明するフローチャートである。店舗装置2の処理部21は、店舗車両情報テーブル221から、登録ナンバーに基づいて、車検対象車両に関する過去のレコードのうち最新のレコードを読み出す(S11)。処理部21は、読み出したレコードに格納される車両情報を更新し(S12)、新たなレコードを店舗車両情報テーブル221に挿入する(S13)。処理部21は、情報処理装置1に新たなレコードに格納される車両情報を送信する(S14)。処理部21は、情報処理装置1から各項目の要否情報及び主要要因を受信する(S15)。処理部21は、情報処理装置1から受信した要否情報及び主要要因を項目毎に出力結果表示画面3に表示する(S16)。なお、S16において、推奨度が低い項目については出力結果表示画面3に表示されなくてもよい。処理部21は、店舗車両情報テーブル221から車両情報及び整備情報を読み出す(S17)。また、処理部21は、車検履歴テーブルから車検履歴を読み出す(S18)。処理部21は、車両情報、車検履歴、及び整備情報を出力結果表示画面3に表示する(S19)。また、処理部21は、第一提案書41に第一提案書作成コマンド351及び第二提案書作成コマンド352を表示する(S20)。処理部21は、第一提案書作成コマンド351の選択を受け付け(S21)、第一提案書41を作成する(S22)。具体的には、処理部21は、車両情報欄411、前回車検整備欄412、直近整備欄413、及び推奨車検整備欄414を記載することによって第一提案書41を作成する。印刷装置243に印刷させる(S23)。処理部21は、第二提案書作成コマンド352の選択を受け付け(S24)、各項目の整備推奨度に基づいて第二提案書42にメッセージを記載する項目を決定する(S25)。処理部21は、メッセージテーブル222を読み出し(S26)、S25において決定された項目と、該当項目に対する主要要因に基づいて第二提案書42に記載するメッセージを決定する(S27)。処理部21は、第二提案書42を作成する(S28)。具体的には、処理部21は、車両情報欄421、推奨車検整備欄424、及びメッセージ欄425を記載することによって第二提案書42を作成する。第二提案書42を印刷装置243に印刷させ(S29)、処理を終了する。
【0053】
以上の処理によれば、車検対象車両を検査員によって点検検査することなく、整備を実施する項目の提案書を作成できるので、短時間で車検時における見積りを行うことが可能である。また、車検業者による、整備項目の提案内容を標準化し、提案漏れやばらつきを低減することが可能である。なお、本実施形態においては、情報処理装置1が学習モデルMによって要否情報の出力を行い、店舗装置2が提案書を作成したが、これに限られない、情報処理装置1及び店舗装置2は、一体の装置として構成されてもよく、一つの装置によって情報処理装置1及び店舗装置2の機能が実現されるものであってもよい。
【0054】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る本発明について図面に基づいて説明する。実施形態2に係る構成の内、実施形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施形態2に係る店舗装置2は、要否情報に関わらず、必須項目を第二提案書42に記載する。また、実施形態2に係る店舗装置2は、要否情報が出力された項目のうち、部品の交換又は点検(整備)のための料金が不要である無料項目に該当する項目を第二提案書42に記載する。
図16は、実施形態2に係る店舗装置の構成例を示すブロック図である。実施形態2に係る店舗装置2の記憶部22は、必須項目テーブル223及びメンテナンスパックテーブル224が記憶されている。
【0055】
図17は、必須項目テーブルの一例を示す説明図である。必須項目テーブル223は、例えば、車種フィールドと、必須項目フィールドとを含む。車種フィールドには、車種名が格納されている。必須項目フィールドには、車検対象車両の車種に対して、第二提案書42に必ず記載される項目が格納される。なお、必須項目フィールドには複数の項目が格納されてもよく、また、必須項目テーブル223は複数の必須項目フィールドを含んでもよい。
【0056】
図18は、実施形態2に係る店舗車両情報テーブルの一例を示す説明図である。実施形態2に係る店舗車両情報テーブル221は、メンテナンスパックフィールドを含む。メンテナンスパックとは、顧客が、車両の購入時等に加入することによって、後の部品の交換又は点検が無料となるパック商品である。メンテナンスパックパックには複数の種類が存在し、店舗車両情報テーブル221のメンテナンスパックフィールドには、メンテナンスパックの種類が格納される。
【0057】
図19は、メンテナンスパックテーブルの一例を示す説明図である。メンテナンスパックテーブル224は、メンテナンスパックフィールドと、複数の無料項目フィールドとを含む。メンテナンスパックフィールドには、メンテナンスパックの種類が格納されている。無料項目フィールドには、メンテナンスパックの種類に対して、部品の交換又は点検(整備)のための料金が不要である無料項目となる項目が格納されている。
【0058】
図20は、実施形態2に係る第二提案書の一例を示す説明図である。実施形態2に係る第二提案書42は、必須項目欄426及びメンテナンスパック欄427を備える。必須項目欄426には、必須項目テーブルを参照して特定された、車検対象車両の車種に対する必須項目が記載される。なお、必須項目欄426には、車検対象車両の車種に対して必須項目がおすすめである旨が同時に記載される。メンテナンスパック欄427には、店舗車両情報テーブル221を参照して特定された、車検対象車両の所有者である顧客が加入しているメンテナンスパックの種類と、無料項目とが記載される。なお、処理部21は、推奨車検整備欄424に記載される項目の内、無料項目に該当する項目をハイライト表示してもよい。また、処理部21は、整備推奨度が一定度数以上である項目のうち、無料項目に該当しない項目のみの整備に必要な金額を積算した見積額を第二提案書42に記載してもよい。さらに、処理部21は、必須項目の整備に必要な金額を加算した見積額を第二提案書42に記載してもよい。
【0059】
図21は、実施形態2に係る店舗装置の処理の一例を示すフローチャートである。実施形態2に係る店舗装置2の処理部21は、出力結果表示画面3において第二提案書作成コマンド352が選択されると、以下の処理を開始する。処理部21は、店舗車両情報テーブル221を読み出し(S31)、車検対象車両の車種を取得する(S32)。処理部21は、必須項目テーブル223を読み出し(S33)、S32において取得した車種に対する必須項目を特定する(S34)。処理部21は、店舗車両情報テーブル221を読み出し(S35)、車検対象車両のメンテナンスパックの種類を取得する(S36)。処理部21は、メンテナンスパックテーブル224を読み出し(S37)、S32において読み出したメンテナンスパックの種類に対する無料項目を特定する(S38)。処理部21は、S34において特定した必須項目、及びS37において特定した無料項目を第二提案書42に記載する(S39)。処理部21は、第二提案書42を印刷装置243に印刷させ(S40)、処理を終了する。なお、必須項目または無料項目は、第一提案書41にも記載されてもよい。
【0060】
以上の処理によれば、おすすめの項目及び整備のための料金が不要である無料項目が第二提案書42記載されるので、顧客の車検実施に対する意欲を向上させることが可能である。なお、店舗装置2の処理部21は、必須項目またはメンテナンスパックに関する情報のうち、一方のみを第二提案書42に記載してもよい。
【0061】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る本発明について図面に基づいて説明する。実施形態3に係る構成の内、実施形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施形態3においては、学習モデルMの生成について説明する。
【0062】
図22は、実施形態3に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。実施形態3に係る情報処理装置1の記憶部12は、項目マスターテーブル123を記憶している。項目マスターテーブル123の詳細については後述する。
【0063】
図23は、実施形態3に係る店舗装置の構成例を示すブロック図である。実施形態3に係る店舗装置2の記憶部22は車検履歴テーブル225を備える。車検履歴テーブル225の詳細については後述する。
【0064】
図24は、実施形態3に係る車検履歴テーブルの一例を示す説明図である。実施形態3に係る車検履歴テーブル225は、例えば、顧客名フィールドと、顧客番号フィールドと、登録ナンバーフィールドと、車検日にちフィールドと、複数の実施整備コード・実施項目フィールドとを含む。顧客名フィールドには、車検対象車両の持ち主である顧客の顧客名が格納される。顧客番号フィールドには、顧客に割り振られた番号が格納される。登録ナンバーフィールドには、自治体により登録された車両のナンバープレートに記載されている登録ナンバーが格納される。車検日にちフィールドには、車検が行われた日にちが格納される。実施整備コード・実施項目フィールドには、上段に車検時に実施された整備に割り振られた各店舗における独自のコードが格納され、下段に車検時に実施された整備の名称が格納される。車検履歴テーブル225には、車検業者によって整備が実施された項目についてのデータが格納される。
【0065】
図25は、項目マスターテーブルの一例を示す説明図である。項目マスターテーブル123は、店舗フィールドと、店舗管理番号フィールドと、店舗整備名フィールドと、共通管理番号フィールドと、共通管理項目フィールドとを含む。店舗フィールドには、店舗名が格納される。店舗管理番号フィールドには、各店舗において独自に割り振られた整備に対するコードが格納される。店舗整備名フィールドには、店舗管理番号に対応する整備の名称が格納される。共通管理番号フィールドには、店舗における整備が属する項目の項目番号(共通管理番号)が格納される。共通管理項目フィールドには、店舗における整備が属する項目の項目名が格納される。
【0066】
図26は、学習モデルMの生成処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の処理部11は、店舗装置2の記憶部22が記憶する店舗車両情報テーブル221から、車両情報を読み出す(S51)。処理部11は、車両情報が読み出された車両に関する車検履歴を、店舗装置2の記憶部22が記憶する車検履歴テーブル225から読み出す(S52)。なお、車検履歴テーブル225から読み出された車検履歴は、訓練データの元データとなる。情報処理装置1の処理部11は、項目マスターテーブルを参照し、読み出した車検履歴に含まれる店舗管理番号及び店舗整備名を項目番号及び項目名に変換する(S53)。処理部11は、S52において読み出した車検履歴に含まれる車検日にちにおける車両情報と、変換後の車検履歴を対応させ、訓練データを作成する(S54)。なお、S54において、処理部11は各店舗の店舗装置2から読み出した大量の車両情報と車検履歴を対応させ、大量の訓練データを作成する。処理部11は、生成した訓練データに基づき、学習モデルMを作成する(S55)。
【0067】
具体的には、処理部11は、車両情報を入力データとし、車検履歴に含まれる項目の尤度について1が出力され、車検履歴に含まれない項目の尤度について0が出力されるように各学習モデルMを最適化する。学習モデルMがLGBoostにより構築される場合、処理部11は、学習モデルMにおける損失関数を最適化(最小化)するよう、例えば勾配降下法を用いてパラメータを調整し、決定着を逐次的に学習する。なお、制御部10は、いわゆるオーバーフィッティング(過学習)を防止するため、損失関数を最適化する際、全ての説明変数を使用するのではなく、ランダムに決定された割合で説明変数の数を選定して用いる。処理部11は、損失関数が所定基準を満たすことにより学習を完了する。
【0068】
情報処理装置の処理部11は、学習済みの学習モデルMを記憶部12に記憶させ、(S56)、処理を終了する。処理部11は、各学習モデルMについて上述の処理を実行する。
【0069】
以上の処理によれば、車両情報が入力された場合に、部品の交換又は点検(整備)が必要な項目の要否情報(尤度)を適切に出力可能に学習された学習モデルMを生成することが可能である。また、整備を行う項目について店舗ごとに独自の区分分けがされている場合においても、共通管理番号及び共通管理項目に変換する、いわゆる片寄せを行うことで、訓練データに含めることが出来る。これにより、複数の店舗における車検履歴を用いて学習モデルMを生成することが可能であり、訓練データの数を増加させ、より精度の高い学習モデルMを生成することが可能である。なお、処理部11は、学習モデルMの生成後、上述した処理と同様の方法により、学習モデルMを再学習させてもよい。なお、本実施形態においては、情報処理装置1の記憶部12が項目マスターテーブル123を記憶し、店舗管理番号から共通管理番号への変換は情報処理装置1の処理部11によって行われたが、店舗装置2の記憶部22が項目マスターテーブルを記憶し、店舗管理番号から共通管理番号への変換は店舗装置2の処理部21によって行われてもよい。
【0070】
(変形例)
上述の各実施形態において、車検は法定車検(道路運送車両法に基づいて行われる車両検査)であるものとして説明したが、これに限るものではない。各実施形態において説明された構成及び処理は、民間企業が実施する任意の車両検査、または車両整備などに同様に適用されてもよい。
【0071】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理装置
10 制御部
11 処理部
12 記憶部
121 車両情報テーブル
122 項目テーブル
123 項目マスターテーブル
12a 記憶媒体
13 通信部
2 店舗装置
21 処理部
22 記憶部
221 店舗車両情報テーブル
222 メッセージテーブル
223 必須項目テーブル
224 メンテナンスパックテーブル
225 車検履歴テーブル
23 通信部
24 入出力I/F
241 表示部
242 入力部
243 印刷装置
3 出力結果表示画面
31 車両情報欄
32 前回車検整備欄
33 直近整備欄
34 推奨車検整備欄
35 コマンド欄
351 第一提案書作成コマンド
352 第二提案書作成コマンド
41 第一提案書
411 車両情報欄
412 前回車検整備欄
413 直近整備欄
414 推奨車検整備欄
42 第二提案書
421 車両情報欄
424 推奨車検整備欄
425 メッセージ欄
426 必須項目欄
427 メンテナンスパック欄
M 学習モデル
N ネットワーク
P プログラム
S 車検提案システム
【手続補正書】
【提出日】2024-10-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
前記要否情報の出力に対する前記車両情報に含まれる前記項目の寄与度を算出し、
前記寄与度に基づいて、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因を特定し、
前記項目と、前記要否情報と、前記主要要因とを列挙して出力する
情報処理方法。
【請求項2】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
前記要否情報が記載される、車検業者用の第一提案書を作成するコマンドと、前記第一提案書とは異なる、顧客用の第二提案書を作成するコマンドとを出力し、
前記第二提案書において、前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因と、前記項目及び前記主要要因に応じた、部品の交換または点検を顧客に促進するためのメッセージとを出力する
情報処理方法。
【請求項3】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出
力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力
し、
前記車検対象車両の車種に対応し、前記要否情報に関わらず提案書に必ず記載する必須項目を記憶したテーブルを参照し、
前記要否情報の出力に関わらず、前記必須項目を前記提案書に記載する
情報処理方法。
【請求項4】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
予め前記車検対象車両の所有者である顧客ごとに決定されている、前記部品の交換又は点検のための料金が不要である無料項目を記憶したテーブルを参照し、要否情報が出力された項目のうち、前記無料項目に該当する項目を提案書に記載する
情報処理方法。
【請求項5】
前記車両情報は、前記車検対象車両の整備に関する整備情報を含む
請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記整備情報は、前記車検対象車両の前回整備からの経過日数、走行距離、初年度登録からの経過日数、点検回数、または部品の交換に関する情報を含む
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記要否情報は、部品の交換または点検の要否、必要性の尤度、または必要性の尤度の区分を含む
請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因とを列挙して出力する
請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記要否情報が記載される、車検業者用の第一提案書を作成するコマンドと、前記第一提案書とは異なる、顧客用の第二提案書を作成するコマンドとを出力する
請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記第二提案書において、前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因と、前記項目及び前記主要要因に応じたメッセージとを出力する
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
部品の交換または点検の必要性の尤度が所定値以上である前記項目を出力する
請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記要否情報に関わらず提案書に必ず記載する必須項目を記憶したテーブルを参照し、前記要否情報の出力に関わらず、前記必須項目を前記提案書に記載する
請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記部品の交換又は点検のための料金が不要である無料項目を記憶したテーブルを参照し、要否情報が出力された項目のうち、前記無料項目に該当する項目を提案書に記載する
請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項14】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
前記要否情報の出力に対する前記車両情報に含まれる前記項目の寄与度を算出し、
前記寄与度に基づいて、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報
のうちの主要要因を特定し、
前記項目と、前記要否情報と、前記主要要因とを列挙して出力する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項15】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
前記要否情報が記載される、車検業者用の第一提案書を作成するコマンドと、前記第一提案書とは異なる、顧客用の第二提案書を作成するコマンドとを出力し、
前記第二提案書において、前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因と、前記項目及び前記主要要因に応じた、部品の交換または点検を顧客に促進するためのメッセージとを出力する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項16】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出
力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力
し、
前記車検対象車両の車種に対応し、前記要否情報に関わらず提案書に必ず記載する必須項目を記憶したテーブルを参照し、
前記要否情報の出力に関わらず、前記必須項目を前記提案書に記載する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項17】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
予め前記車検対象車両の所有者である顧客ごとに決定されている、前記部品の交換又は点検のための料金が不要である無料項目を記憶したテーブルを参照し、要否情報が出力された項目のうち、前記無料項目に該当する項目を提案書に記載する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項18】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
前記要否情報の出力に対する前記車両情報に含まれる前記項目の寄与度を算出し、
前記寄与度に基づいて、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報
のうちの主要要因を特定し、
前記項目と、前記要否情報と、前記主要要因とを列挙して出力する
処理部
を備える情報処理装置。
【請求項19】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
前記要否情報が記載される、車検業者用の第一提案書を作成するコマンドと、前記第一提案書とは異なる、顧客用の第二提案書を作成するコマンドとを出力し、
前記第二提案書において、前記項目と、前記要否情報と、前記要否情報の出力に最も大きく影響した前記車両情報のうちの主要要因と、前記項目及び前記主要要因に応じた、部品の交換または点検を顧客に促進するためのメッセージとを出力する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項20】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出
力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力
し、
前記車検対象車両の車種に対応し、前記要否情報に関わらず提案書に必ず記載する必須項目を記憶したテーブルを参照し、
前記要否情報の出力に関わらず、前記必須項目を前記提案書に記載する
処理部
を備える情報処理装置。
【請求項21】
車検対象車両に関する車両情報を取得し、
前記車両情報を入力した場合に部品の交換又は点検が必要とされる項目の要否情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記車両情報を入力して要否情報を出力し、
予め前記車検対象車両の所有者である顧客ごとに決定されている、前記部品の交換又は点検のための料金が不要である無料項目を記憶したテーブルを参照し、要否情報が出力された項目のうち、前記無料項目に該当する項目を提案書に記載する
処理部
を備える情報処理装置。