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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007397
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】二次電池用プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/364 20190101AFI20250109BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20250109BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G01R31/364
H01M50/55 201
G01R1/073 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108764
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀幸
【テーマコード(参考)】
2G011
2G216
5H043
【Fターム(参考)】
2G011AA13
2G011AB01
2G011AC14
2G011AF06
2G216BB22
5H043AA03
5H043BA11
5H043CA03
5H043DA03
5H043JA01
(57)【要約】
【課題】二次電池用プローブと二次電池との接触抵抗を低減する。
【解決手段】二次電池用プローブ1は、筒状の軸方向の一方側に互いに極性の異なる第1極51及び第1極51を囲むように環状に配置された第2極52を含む二次電池50のためのプローブである。二次電池用プローブ1は、第1極51との干渉を回避する貫通孔11aを有し、第2極52に接触する環状の電極10と、電極10を第2極52に向かって付勢する第2スプリング22とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1極及び前記第1極を囲むように環状に形成され且つ前記第1極と極性の異なる第2極が軸方向の一方の端面に配置された二次電池のためのプローブであって、
前記第1極との干渉を回避する貫通孔を有し、前記第2極に接触する環状の電極と、
前記電極を前記第2極に向かって付勢する弾性部材とを備える二次電池用プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池用プローブにおいて、
前記電極は、平板状である二次電池用プローブ。
【請求項3】
請求項2に記載の二次電池用プローブにおいて、
前記電極は、前記第2極に接触する接触面を有し、
前記接触面は、凹凸形状を有する二次電池用プローブ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の二次電池用プローブにおいて、
前記弾性部材と前記電極とは、着脱可能である二次電池用プローブ。
【請求項5】
請求項1に記載の二次電池用プローブにおいて、
前記電極は、前記第2極に接触する、環状且つ平板状のコンタクトと、前記コンタクトに電気的に接続された端子とを含む二次電池用プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、二次電池用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、二次電池の充放電特性試験などの検査を行う試験装置が知られている。例えば、特許文献1に開示された装置は、二次電池の正極と負極の間の電圧に応じて二次電池の充放電を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-50800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような二次電池の試験においては、正極及び負極のそれぞれにプローブが接触させられる。二次電池用のプローブとしては、通常、ピン状のプローブがよく用いられる。ピン状のプローブが用いられる場合、正極又は負極とプローブの接触面積が十分ではなく、改良の余地がある。さらに、二次電池に対してプローブが傾いた場合など、プローブを正極又は負極に十分に接触させることができない虞がある。特に、二次電池には、軸方向の一端面に正極と負極との両方が配置された二次電池がある。このような二次電池において、一方の極が他方の極を囲むように環状に配置される。環状の極の幅は狭小になる傾向にあり、前述のプローブとの接触の問題が特に大きくなる。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プローブと二次電池との接触抵抗を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された二次電池用プローブは、第1極及び前記第1極を囲むように環状に形成され且つ前記第1極と極性の異なる第2極が軸方向の一方の端面に配置された二次電池のためのプローブであって、前記第1極との干渉を回避する貫通孔を有し、前記第2極に接触する環状の電極と、前記電極を前記第2極に向かって付勢する弾性部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
前記二次電池用プローブによれば、二次電池との接触抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】二次電池から離隔された二次電池用プローブを示す模式的な斜視図である。
図2】二次電池に接触された二次電池用プローブを示す模式的な斜視図である。
図3】コンタクトと端子との取付状態を示すコンタクトの接触面側からみた電極の底面図である。
図4図3の矢印A方向からみた電極の側面図である。
図5】第1電極の詳細構成及び取付台への取付状態を示す断面図である。
図6】第2電極の詳細構成及び取付台への取付状態を示す断面図である。
図7】第1極への第1電極の接触状態を示す部分断面図である。
図8】第2極への第2電極の接触状態を示す部分断面図である。
図9】変形例に係る二次電池用プローブを示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、二次電池50から離隔させられた二次電池用プローブ1を示す模式的な斜視図である。図2は、二次電池50に接触された二次電池用プローブ1を示す模式的な斜視図である。
【0010】
二次電池用プローブ1は、図1、2に示すように、第1極51及び第1極51を囲むように環状に形成され且つ第1極51と極性の異なる第2極52が軸方向の一方の端面に配置された二次電池50のためのプローブである。二次電池用プローブ1は、第1極51との干渉を回避する貫通孔11aを有し、第2極52に接触する環状の電極10と、電極10を第2極52に向かって付勢する第2スプリング22とを備えている。第2スプリング22の付勢方向を「付勢方向B」と称する。第2スプリング22は、弾性部材の一例である。
【0011】
二次電池用プローブ1は、例えば、二次電池50の充放電特性試験などの試験に用いられる。環状の電極10が環状の第2極52に接触させられ、第2スプリング22によって電極10が第2極52の方へ付勢される。こうして、電極10は、第2極52に電気的に接続される。電極10は、二次電池50の試験のための計測機器(図示省略)に電気的に配線を介して接続される。つまり、電極10は、第2極52に接触することによって、第2極52を計測機器に電気的に接続する。
【0012】
二次電池50として、例えば、密閉形のニッケル・カドミウム蓄電池や、密閉形ニッケル・水素蓄電池や、リチウム・イオン蓄電池や、二酸化マンガン・リチウム蓄電池や、コバルト酸リチウム・炭素系蓄電池などが挙げられる。
【0013】
この例では、二次電池50は、円筒形である。第1極51は、正極であり、第2極52は、負極である。二次電池50は、ケースと蓋と正極板と負極板とセパレータと電解液と安全弁とを備えている。正極板と負極板とは、セパレータを挟んで隔離した状態で、ケースに収納されている。ケースは、底部を有する筒状である。ケースと蓋とは、絶縁体を介して嵌合され、密閉容器を構成する。電解液は、密閉容器内に充填されている。安全弁は、蓋に設けられ、密閉容器内の内圧が高くなった場合に内圧を開放する。
【0014】
蓋は、第1極51を含む。ケースは、第2極52を含む。ケースは、有底筒状であり、軸方向の一方に開口している。蓋は、ケースの開口を閉鎖している。第1極51は、蓋の中央に配置されている。ケースのうち開口を区画する外周縁が第2極52である。つまり、二次電池50の軸方向の一方の端面に、第1極51及び第2極52が配置されている。第1極51は、端面の中央に配置され、第2極52は、端面の外周縁に配置されている。
【0015】
二次電池50の充放電特性試験としては、例えば、容量試験、高率放電特性試験、低温放電特性試験、過充電特性試験、容量保存特性試験、長期放置特性試験、耐久特性試験、安全弁作動特性試験、耐振動特性試験、耐衝撃特性試験などが挙げられる。
【0016】
電極10は、第2極52に接触する環状且つ平板状のコンタクト11と、コンタクト11に電気的に接続された端子12とを含む。この例では、電極10は、2つの端子12を含む。
【0017】
コンタクト11は、導電性金属から構成され、例えば、金メッキされた金属板である。コンタクト11は、その中央部に貫通孔11aを有する。コンタクト11は、第2極52に対応した環状に形成されている。「第2極52に対応する」とは、付勢方向Bを向いて見た場合に、第2極52の全周を実質的に覆うことを意味する。この例では、コンタクト11は、円環状に形成されている。つまり、コンタクト11の内径は、第2極52の径よりも小さく、コンタクト11の外径は、第2極52の径よりも大きい。平面視(即ち、付勢方向Bを向いて見た場合)において、コンタクト11は、第2極52を十分に覆う。
【0018】
コンタクト11は、第2極52に接触する接触面11bと、接触面11bと反対側の取付面11cとを含む。接触面11bは、凹凸形状を有してもよい。凹凸形状は、例えば、網目状又は格子状の溝を設けて形成される。また、凹凸形状は、ローレット加工又はブラスト加工などによって形成されてもよい。また、凹凸形状として、着脱可能なメッシュ部材を設けてもよい。
【0019】
端子12は、柱状の全体形状を有する。端子12は、端子ピンである。端子12は、軸方向の一端に配置された電気的な接点を有する。端子12は、接点がコンタクト11に接触する状態でコンタクト11に取り付けられる。
【0020】
図3は、コンタクト11と端子12との取付状態を示すコンタクト11の接触面11b側からみた電極10の底面図である。図4は、図3の矢印A方向からみた電極10の側面図である。図3、4に示すように、2つの端子12は、コンタクト11の取付面11cに取り付けられる。2つの端子12は、コンタクト11の中心11pに対して対称となる位置に配置されている。つまり、2つの端子12は、コンタクト11の中心11pに対して周方向に等間隔となる位置に配置されている。
【0021】
端子12は、ねじ16で、コンタクト11に固定される。具体的には、ねじ16は、コンタクト11の接触面11b側から貫通孔11dを貫通して、端子12の端面のねじ孔12aに螺合される。これにより、端子12は、コンタクト11に電気的かつ機械的に接続される。端子12は、取付面11cに対して直交する方向に延びるように、取付面11cに取り付けられる。ねじ16の頭部は、コンタクト11の貫通孔11dの座繰りに埋め込まれ、ねじ16の頭部は、接触面11bと面一又は接触面11bよりも奥側に位置する。
【0022】
端子12は、2つのねじ16で固定される。2つのねじ16は、図3の二点鎖線で示す第2極52との接触領域を挟んだ両側に位置する。これにより、ねじ16が第2極52に接触することを防止できる。尚、端子12は、ねじ16でなく溶接により、コンタクト11に固定されてもよい。
【0023】
端子12には、配線が接続されている。この配線は、二次電池50の試験のための計測機器に接続される。つまり、コンタクト11は、端子12及び配線を介して、計測機器に電気的に接続される。
【0024】
二次電池用プローブ1は、図1,2に示すように、取付台31に取り付けられる。つまり、二次電池用プローブ1は、取付台31に取り付けられた状態で使用される。二次電池50は、取付台31と支持台32との間に配置される。このとき、取付台31と支持台32との対向する方向と二次電池50の軸方向とが一致する。第1極51及び第2極52が配置された、二次電池50の軸方向の端面が取付台31と対向し、二次電池50の軸方向の反対側の端面が支持台32と接触する。
【0025】
取付台31は、所定の付勢方向Bに移動可能に電極10を支持する。詳しくは、取付台31は、端子12を付勢方向Bへ移動可能に支持する。取付台31は、端子12が挿入される第2取付孔31bを有する。第2取付孔31bは、取付台31を付勢方向Bへ貫通している。電極10が2つの端子12を有するので、取付台31も2つの第2取付孔31bを有する。端子12は、第2取付孔31b内において付勢方向Bへ摺動可能である。端子12が取付台31に取り付けられた状態において、コンタクト11は、取付台31に対して二次電池50の側に配置され、接触面11bは、付勢方向Bに対して実質的に直交する。
【0026】
第2スプリング22は、コイルバネである。第2スプリング22は、端子12の周囲に嵌められる。第2スプリング22と端子12とは、着脱可能である。第2スプリング22の一端は、端子12に係止されている。第2スプリング22の他端は、取付台31に係止されている。
【0027】
図2に示すように二次電池用プローブ1が二次電池50に設置されるときには、取付台31は、第2スプリング22を圧縮変形させるように二次電池50に接近して配置される。これにより、第2スプリング22は、端子12を二次電池50の方へ弾性力によって付勢する。端子12はコンタクト11に取り付けられているので、コンタクト11が二次電池50の方へ付勢される。結果として、コンタクト11の接触面11bが二次電池50の第2極52に適切に接触する。
【0028】
この例では、二次電池用プローブ1は、2つの第2スプリング22を含む。2つの第2スプリング22は、コンタクト11の中心11pに対して対称となる位置に配置されている。つまり、2つの第2スプリング22は、コンタクト11の中心11pに対して周方向に等間隔となる位置に配置されている。これにより、コンタクト11における中心11pに対して対称な位置に2つの第2スプリング22の弾性力が作用する。
【0029】
二次電池用プローブ1は、電極15と第1スプリング21とをさらに有していてもよい。電極15は、電極10とは別の電極である。電極15は、二次電池50の第1極51に接触する電極である。第1スプリング21は、電極15を第1極51に向かって付勢する。つまり、二次電池用プローブ1では、第1極51のためのプローブと第2極52のためのプローブとが一体となっている。以下、電極15を「第1電極15」とも称し、電極10を「第2電極10」とも称する。
【0030】
第1電極15は、二次電池50の試験のための計測機器に電気的に配線を介して接続される。つまり、第1電極15は、第1極51に接触することによって、第1極51を計測機器に電気的に接続する。
【0031】
この例では、第1電極15は、端子12と同様の構成を有する。第1電極15は、柱状の全体形状を有する。第1電極15は、端子ピンである。第1電極15は、軸方向の一端に配置された電気的な接点を有する。第1電極15は、取付台31に、付勢方向Bに移動可能に支持される。取付台31は、第1電極15が挿入される第1取付孔31aを有する。第1取付孔31aは、取付台31を付勢方向Bへ貫通している。第1取付孔31aは、2つの第2取付孔31bの間、詳しくは、2つの第2取付孔31bの中央に配置されている。第1電極15は、第1取付孔31a内において付勢方向Bへ摺動可能である。第1電極15が取付台31に取り付けられた状態において、第1電極15の接点は、取付台31に対して二次電池50の側に配置されている。第1電極15は、コンタクト11の貫通孔11aの内側に配置されている。つまり、第1電極15は、コンタクト11、即ち、第2電極10と接触していない。
【0032】
第1スプリング21は、コイルバネである。第1スプリング21は、第1電極15の周囲に嵌められる。第1スプリング21と第1電極15とは、着脱可能である。第1スプリング21の一端は、第1電極15に係止されている。第1スプリング21の他端は、取付台31に係止されている。
【0033】
図2に示すように二次電池用プローブ1が二次電池50に設置されるときには、取付台31は、第1スプリング21を圧縮変形させるように二次電池50に接近して配置される。これにより、第1スプリング21は、第1電極15を二次電池50の方へ弾性力によって付勢する。結果として、第1電極15が二次電池50の第1極51に適切に接触する。
【0034】
図5は、第1電極15の詳細構成及び取付台31への取付状態を示す断面図である。第1電極15は、第1ピン101と第2ピン102とブッシュ103を有する。第1ピン101は、筒状である。第2ピン102は、柱状である。ブッシュ103は、筒状である。第1ピン101は、ブッシュ103に摺動可能に挿入される。第2ピン102は、第1ピン101に摺動可能に挿入される。第1ピン101と第2ピン102とは、絶縁されている。
【0035】
この例では、第1スプリング21は、第1電極15に一体的に組み込まれている。第1電極15及び第1スプリング21は、スプリング式の端子ピンを構成する。第1スプリング21は、第1ピン101の外周に嵌められている。
【0036】
詳しくは、ブッシュ103は、絶縁体で形成されている。ブッシュ103は、第1ピン101を付勢方向Bへ摺動可能に支持する。
【0037】
第1ピン101の長手方向は、付勢方向Bと一致する。第1ピン101は、長手方向の一端である第1端101aと長手方向の他端である第2端101bとを有する。第1端101a及び第2端101bはそれぞれ、ブッシュ103から突出している。第1ピン101の第1端101aは、二次電池50の試験時に第1極51に接触する。第1ピン101の第2端101bは、図示しない配線を介して、計測機器に接続される。
【0038】
第1ピン101の外周面において第2端101bの近傍には雄ねじが形成されている。第1ピン101の雄ねじに、2つのナット104が螺合されている。2つのナット104は、いわゆるダブルナットである。ナット104がブッシュ103に接触することによって、第1端101aの側への第1ピン101の移動が制限される。ナット104は、ブッシュ103からの第1ピン101の抜け止めとして機能する。尚、ナット104を第1ピン101から取り外すことによって、第1電極15が分解され、第1電極15、第1スプリング21及び取付台31を分離させることができる。
【0039】
第1ピン101の外周面において第1端101aの近傍に段差が形成されている。第1ピン101において段差よりも第1端101a側の部分が太くなっている。第1スプリング21は、第1ピン101がブッシュ103に挿入された状態において、第1ピン101の段差とブッシュ103との間に配置される。第1スプリング21の一端は、第1ピン101の段差に係止されている。第1スプリング21の他端は、ブッシュ103に係止されている。
【0040】
このとき、第1スプリング21は、圧縮されており、伸張方向に弾性力を発揮する。第1ピン101、即ち、第1電極15は、第1スプリング21によって付勢方向Bにおいて第1端101aの側へ付勢されている。ただし、ナット104がブッシュ103に接触する位置で、第1ピン101の移動は制限される。第1ピン101に対して付勢方向Bにおける第2端101bの側へ外力が作用する場合には、第1ピン101は、第1スプリング21の弾性力に抗して第2端101bの側へ移動する。
【0041】
第1ピン101の内部には、第1内部ブッシュ301及び第2内部ブッシュ302が配置されている。第1内部ブッシュ301及び第2内部ブッシュ302は、絶縁体で形成されている。第1内部ブッシュ301は、第1ピン101の内部において第1端101aの近傍に配置されている。第1内部ブッシュ301の全体が第1ピン101内に収容されている。第2内部ブッシュ302は、第1ピン101の内部において第2端102bに配置されている。第2内部ブッシュ302は、第1ピン101から部分的にはみ出している。
【0042】
第2ピン102は、第1内部ブッシュ301及び第2内部ブッシュ302に摺動可能に挿入されている。第2ピン102の一端である第1端102aは、第1ピン101の第1端101aから突出している。第2ピン102の他端である第2端102bは、第1ピン101の第2端101bから突出している。第2ピン102の第1端102aは、二次電池50の試験時に第1極51に接触する。第2ピン102の第2端102bは、図示しない配線を介して、計測機器に接続される。
【0043】
第2ピン102の外周面において第2端102bの近傍に段差が形成されている。第2ピン102において段差よりも第2端102b側の部分が太くなっている。第2ピン102の段差が第2内部ブッシュ302に接触することによって、第1端102aの側への第2ピン102の移動が制限される。すなわち、第2内部ブッシュ302は、第2ピン102の抜け止めとしても機能する。
【0044】
第2ピン102のうち第1ピン101の内部に位置する部分の外周面には、カラー303が固定されている。カラー303は、絶縁体で形成されている。カラー303は、第1ピン101の内部において第1内部ブッシュ301と第2内部ブッシュ302との間に位置している。カラー303は、第1ピン101の内周面に対して摺動する。
【0045】
第2ピン102の外周には、内部スプリング401が嵌められている。内部スプリング401は、コイルバネである。内部スプリング401は、第2内部ブッシュ302とカラー303との間に配置されている。このとき、内部スプリング401は、圧縮されており、伸張方向に弾性力を発揮する。第2ピン102は、内部スプリング401によって付勢方向Bにおいて第1端102aの側へ付勢されている。ただし、第2ピン102の段差が第2内部ブッシュ302に接触する位置で、第2ピン102の移動は制限される。第2ピン102に対して付勢方向Bにおける第2端102bの側へ外力が作用する場合には、第2ピン102は、内部スプリング401の弾性力に抗して第2端102bの側へ移動する。
【0046】
第1スプリング21は、第1電極15に組み込まれることによって、第1ピン101を付勢方向Bへ付勢する。これにより、第1ピン101は、付勢方向Bへ弾性的に変位可能となり、第1極51に対して所定の接触圧力をもって安定的に接触する。
【0047】
ブッシュ103は、取付台31の第1取付孔31aに挿入される。ブッシュ103の一端部は、取付台31の第1面31cに係止される。ブッシュ103の他端部は、取付台31の第2面31d側でナット33に螺合される。これにより、ブッシュ103は、取付台31の第1取付孔31aに固定される。ブッシュ103が取付台31に取り付けられた状態において、第1ピン101の第1端101a、第2ピン102の第1端102a及び第1スプリング21は、取付台31に対して第1面31c側に配置されている。
【0048】
図6は、第2電極10の詳細構成及び取付台31への取付状態を示す断面図である。端子12は、第1電極15と同様の構成を有する。つまり、端子12は、第1ピン101と第2ピン102とブッシュ103とを有する。この例では、第2スプリング22は、端子12に一体的に組み込まれている。端子12及び第2スプリング22は、スプリング式の端子ピンを構成する。第2スプリング22は、第1ピン101の外周に嵌められている。第1ピン101は、第2スプリング22によって付勢方向Bにおいて第1端101aの側へ付勢された状態で、ブッシュ103に挿入されている。第2ピン102は、内部スプリング401によって付勢方向Bにおいて第1端102aの側へ付勢された状態で、第1ピン101に挿入されている。
【0049】
詳しくは、ブッシュ103は、第1ピン101を付勢方向Bへ摺動可能に支持する。第1ピン101の第1端101a及び第2端101bはそれぞれ、ブッシュ103から突出している。第1ピン101のうち第2端101bの近傍の雄ねじに、2つのナット104が螺合されている。尚、ナット104を第1ピン101から取り外すことによって、端子12が分解され、第2電極10、第2スプリング22及び取付台31を分離させることができる。
【0050】
第2スプリング22は、第1ピン101の外周において、第1ピン101の段差とブッシュ103との間に配置される。第2スプリング22の一端は、第1ピン101の段差に係止されている。第2スプリング22の他端は、ブッシュ103に係止されている。このとき、第2スプリング22は、圧縮されており、伸張方向に弾性力を発揮する。第1ピン101、即ち、端子12は、第2スプリング22によって付勢方向Bにおいて第1端101aの側へ付勢されている。ただし、ナット104がブッシュ103に接触する位置で、第1ピン101の移動は制限される。第1ピン101に対して付勢方向Bにおける第2端101bの側へ外力が作用する場合には、第1ピン101は、第2スプリング22の弾性力に抗して第2端101bの側へ移動する。
【0051】
第2ピン102は、第1ピン101の内部において第1内部ブッシュ301及び第2内部ブッシュ302に摺動可能に挿入されている。第2ピン102の一端である第1端102aは、第1ピン101の第1端101aから突出している。尚、図6においては、第2ピン102は、弾性的に変位して、第1端102aは、第1端101aと面一になっている。第2ピン102の他端である第2端102bは、第1ピン101の第2端101bから突出している。
【0052】
第2ピン102の外周には、内部スプリング401が嵌められている。内部スプリング401は、第2内部ブッシュ302とカラー303との間に配置されている。このとき、内部スプリング401は、圧縮されており、伸張方向に弾性力を発揮する。第2ピン102は、内部スプリング401によって付勢方向Bにおいて第1端102aの側へ付勢されている。ただし、第2ピン102の段差が第2内部ブッシュ302に接触する位置で、第2ピン102の移動は制限される。第2ピン102に対して付勢方向Bにおける第2端102bの側へ外力が作用する場合には、第2ピン102は、内部スプリング401の弾性力に抗して第2端102bの側へ移動する。
【0053】
端子12には、第1電極15と異なり、コンタクト11が取り付けられている。第1ピン101の第1端101aの端面には、ねじ孔12aが形成されている(図4参照)。第1ピン101の第1端101aにねじ16を介してコンタクト11が取り付けられる。こうして、第1ピン101は、コンタクト11に電気的かつ機械的に接続される。通常、第2ピン102の第1端102aは、内部スプリング401の付勢によって第1ピン101の第1端101aから突出する。コンタクト11が第1ピン101の第1端101aに取り付けられることによって、第2ピン102が付勢方向Bにおいて第2端102bの側へ押し込まれる。つまり、コンタクト11が第1ピン101に取り付けられた状態において、第2ピン102は、内部スプリング401の弾性力によってコンタクト11に押し付けられている。こうして、第2ピン102は、コンタクト11に電気的かつ機械的に接続される。
【0054】
このように、第2スプリング22は、端子12に組み込まれることによって、第1ピン101を付勢方向Bへ付勢する。これにより、第1ピン101は、付勢方向Bへ弾性的に変位可能となる。さらに、コンタクト11が端子12の第1ピン101に取り付けられているので、第2スプリング22は、第1ピン101を介してコンタクト11を付勢方向Bへ付勢する。これにより、コンタクト11は、付勢方向Bへ弾性的に変位可能となる。
【0055】
ブッシュ103は、取付台31の第2取付孔31bに挿入される。ブッシュ103の一端部は、取付台31の第1面31cに係止される。ブッシュ103の他端部は、取付台31の第2面31d側でナット33に螺合される。これにより、ブッシュ103は、取付台31の第2取付孔31bに固定される。ブッシュ103が取付台31に取り付けられた状態において、第1ピン101の第1端101a、第2ピン102の第1端102a、コンタクト11及び第2スプリング22は、取付台31に対して第1面31c側に配置されている。
【0056】
次に、二次電池用プローブ1の使用例について説明する。図7は、第1極51への第1電極15の接触状態を示す部分断面図である。図8は、第2極52への第2電極10の接触状態を示す部分断面図である。
【0057】
まず、支持台32上に二次電池50が配置される。このとき、二次電池50のうち、第1極51及び第2極52が配置されていない端面が支持台32に接触している。
【0058】
この状態で、二次電池用プローブ1が取り付けられた取付台31が二次電池50のうち、第1極51及び第2極52が配置された端面に接近させられる。取付台31、即ち、二次電池用プローブ1の移動方向は、付勢方向Bと実質的に同じである。やがて、第1電極15、具体的には第1ピン101及び第2ピン102が二次電池50の第1極51に接触し、第2電極10、具体的にはコンタクト11が二次電池50の第2極52に接触する。第1電極15及び第2電極10がそれぞれ第1極51及び第2極52に接触してからも、取付台31は二次電池50の方へ移動させられ、第1スプリング21及び第2スプリング22が圧縮される。
【0059】
詳しくは、取付台31が二次電池50に接近していくと、第1電極15では、第2ピン102が第1極51に接触した後、第2ピン102が内部スプリング401の弾性力に抗して第1ピン101内へ押し込まれる。その後、図7に示すように、第1ピン101が第1極51に接触し、第1ピン101及び第2ピン102の両方が第1極51に接触するようになる。この状態から、取付台31は第1スプリング21の弾性力に抗してさらに二次電池50の方へ移動する。第1スプリング21は、さらに圧縮される。こうして、第1電極15は、第1極51に接触した状態で、第1スプリング21の弾性力によって付勢方向Bにおいて二次電池50の側へ付勢される。
【0060】
第2電極10では、図8に示すように、コンタクト11が第2極52に接触した後、取付台31は、第2スプリング22の弾性力に抗してさらに二次電池50の方へ移動する。第2スプリング22は、さらに圧縮される。こうして、第2電極10は、第2極52に接触した状態で、第2スプリング22の弾性力によって付勢方向Bにおいて二次電池50の側へ付勢される。尚、第1極51は、図2に示すように、コンタクト11の貫通孔11aの内側に位置する。つまり、コンタクト11は、第1極51と接触しない。
【0061】
二次電池用プローブ1が二次電池50に設置された後、二次電池50の試験が実行される。例えば、第1電極15及び第2電極10のそれぞれの第1ピン101を介して二次電池50の電流の充放電が行われ、第1電極15及び第2電極10のそれぞれの第2ピン102を介して二次電池50の電圧の測定が行われる。このような二次電池用プローブ1による試験は、いわゆる4端子測定法による試験である。例えば、第1ピン101は、例えば、電流印加用のピンである。第2ピン102は、例えば、電圧測定用のピンである。
【0062】
充放電特性試験の一例としての容量試験では、まず、第1電極15及び第2電極10を介して二次電池50に一定電流を所定時間流して充電が行われる。充電完了後、二次電池50が1時間放置される。その後、二次電池50の放電が開始される。具体的には、一定電流で所定の放電終止電圧に至るまで、第1電極15及び第2電極10を介して二次電池50の連続放電が行われる。放電開始後、所定の放電終止電圧に至るまでの時間が記録される。
【0063】
このように構成された二次電池用プローブ1によれば、第2電極10は、第2極52に対応する環状に形成されている。つまり、第2電極10は、環状の第2極52を十分に覆う。これにより、第2電極10は、第2極52とその周方向の大部分、好ましくは全周に亘って接触する。これにより、第2電極10と第2極52との接触面積が拡大する。このとき、第2電極10を貫通孔11aを有する環状に形成することによって、第2電極10と第1極51との接触を回避できる。つまり、第2電極10は、第1極51との接触を回避しつつ、第2極52との接触面積を増加できる。
【0064】
さらに、第2スプリング22は、第2電極10を第2極52に向かって付勢するので、第2極52に対する第2電極10の接触圧力を向上できる。これにより、第2電極10は、第2極52に安定的に接触する。それに加えて、二次電池50と第2電極10とが相対的に傾いたとしても、第2スプリング22によって第2電極10が弾性的に変位することによって、第2電極10と第2極52との接触が維持される。
【0065】
これらによって、二次電池用プローブ1と二次電池50との接触抵抗が低減される。二次電池用プローブ1と二次電池50との接触抵抗を低減できるので、二次電池用プローブ1と二次電池50との接触部の発熱を抑制しながら、二次電池用プローブ1による二次電池50への大電流印加が可能となる。
【0066】
それに加えて、二次電池用プローブ1は、複数(この例では2個)の第2スプリング22を有し、複数の第2スプリング22は、コンタクト11の中心11pに対して対称な位置、即ち、コンタクト11の中心11pに対して周方向に等間隔となる位置に配置されている。これにより、コンタクト11を周方向に均一に付勢することができる。その結果、第2電極10を第2極52に対してより安定的に接触させることができる。
【0067】
また、二次電池50の第2極52は、同一平面内で環状に形成される。コンタクト11を環状で且つ平板状に形成することによって、環状の第2極52の概ね全周に亘ってコンタクト11を接触させることができる。
【0068】
コンタクト11の接触面11bは、凹凸形状を有するので、接触面が平滑である場合に比べて、コンタクト11の接触面11bを第2極52に多点で接触させることができる。例えば、第2極52が尾根状に形成されている場合、コンタクト11の接触面が平滑であれば、コンタクト11は、第2極52の稜線とのみ接触し得る。それに対し、凹凸形状を有する接触面11bは、第2極52の稜線だけでなく、稜線以外の部分とも接触し得る。これにより、第2電極10と第2極52との接触面積をより増加できる。
【0069】
第2スプリング22と第2電極10とは着脱可能であるので、第2電極10が消耗した場合に第2電極10を容易に交換できる。
【0070】
第2スプリング22は、端子12に同軸状に嵌め込まれているので、第2スプリング22を端子12と一体化でき、第2スプリング22を設けるスペースを低減できる。さらに、端子12は、コイルバネである第2スプリング22のガイドとして機能する。これにより、第2スプリング22の弾性力を第2電極10に安定的に付与できる。
【0071】
さらに、第2スプリング22は、スプリング式の端子ピンとして端子12に組み込まれている。言い換えると、スプリング式の端子ピンのスプリングが第2スプリング22としてコンタクト11の付勢に活用される。つまり、安定的な接触を維持するためのスプリング式の端子ピンのスプリングを利用することによって、第2電極10の構成を簡易にできる。
【0072】
同様に、第1電極15は、第1スプリング21によって第1極51の方へ付勢されているので、第1極51への第1電極15の接触圧力が向上する。これにより、第1電極15は、第1極51に安定的に接触する。それに加えて、二次電池50と第1電極15とが相対的に傾いたとしても、第1スプリング21によって第1電極15が弾性的に変位することによって、第1電極15と第1極51との接触が維持される。
【0073】
《変形例》
図9は、変形例に係る二次電池用プローブ1Aを示す模式的な斜視図である。二次電池用プローブ1Aは、二次電池用プローブ1とは、電極の構成が相違する。以下、二次電池用プローブ1Aのうち二次電池用プローブ1と異なる構成を中心に説明する。尚、二次電池用プローブ1Aにおいて、二次電池用プローブ1と同一の符号は、二次電池用プローブ1と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0074】
二次電池用プローブ1Aの電極10A(以下、「第2電極10A」とも称する)は、コンタクト11を有する。第2電極10Aは、二次電池用プローブ1の端子12を有していない。第2電極10Aのコンタクト11には、配線17が電気的に直接接続されている。配線17は、図示しない計測機器に接続される。配線17は、例えば、電流印加用配線と電圧測定用配線とを含み得る。このように、第2電極10Aは、環状で且つ平板状である。
【0075】
第2スプリング22は、端子12を介さずに第2電極10Aと取付台31との間に配置される。第2スプリング22と第2電極10Aとは、着脱可能であってもよい。
【0076】
二次電池用プローブ1Aは、二次電池用プローブ1と同様に、第1極51用の第1電極15と第1スプリング21とをさらに備える。
【0077】
このような二次電池用プローブ1Aによれば、第2電極10Aは環状で且つ平板状であるので、第2電極10Aを第2極52に接触させる場合、第2極52の略全周を覆うように第2電極10Aを接触させることができる。その結果、第2極52に対する第2電極10Aの接触面積を増加できる。
【0078】
また、コンタクト11の電気的な接続は、配線17の直接の接続によって実現されている。第2スプリング22は、コンタクト11の電気的な接続とは無関係にコンタクト11に配置されている。そのため、第2スプリング22によるコンタクト11の機械的接続と、配線17によるコンタクト11の電気的接続とを別々にメンテナンスできる。
【0079】
尚、その他の構成、作用及び効果については、その説明を省略するが、二次電池用プローブ1の説明を二次電池用プローブ1Aの説明に用いることができる。
【0080】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0081】
例えば、二次電池50において、第1極51が負極であり、第2極52が正極であってもよい。二次電池50は、円筒状ではなく、角筒状であってもよい。
【0082】
二次電池用プローブ1,1Aは、第1極51用の第1電極15及び第1スプリング21を備えていなくてもよい。つまり、二次電池用プローブ1,1Aは、第2極52用の第2電極10,10A及び第2スプリング22だけを備えていてもよい。
【0083】
電極を付勢する弾性部材は、第2スプリング22のようなコイルバネに限定されず、ゴム又は板バネ等であってもよい。同様に、第1スプリング21は、コイルバネに限定されず、ゴム又は板バネ等であってもよい。
【0084】
二次電池用プローブ1では、第2スプリング22は、端子12に一体的に組み込まれているが、これに限定されない。例えば、第2スプリング22は、端子12に嵌められずに配置されてもよい。第2スプリング22と端子12とが分離されることによって、第2スプリング22と端子12とのメンテナンスを個別に行うことでき、メンテナンスが容易となる。例えば、コンタクト11の中心11pに対して周方向へ、第2スプリング22と端子12とが交互に且つ等間隔で配置されてもよい。
【0085】
二次電池用プローブ1は、端子12を2つ含むが、端子12の個数は、1つ又は3つ以上であってもよい。尚、複数の端子12は、コンタクト11の中心11pに対して周方向に等間隔に配置されることが好ましい。
【0086】
第2スプリング22の個数は、1つ又は3つ以上であってもよい。複数の第2スプリング22は、コンタクト11の中心11pに対して周方向に等間隔に配置されることが好ましい。これにより、第2スプリング22によりコンタクト11を周方向に均一に付勢することができる。この結果、第2極52に対するコンタクト11の接触の安定性が向上する。あるいは、第2スプリング22は、コンタクト11の貫通孔11aよりも大きな径を有するコイルバネであって、コンタクト11と実質的に同軸状に配置されてもよい。この場合、1つの第2スプリング22によって、コンタクト11の周方向の全体を押圧できる。
【0087】
コンタクト11の形状は、円環状に限定されず、第2極52に対応する環状であれば任意の環状でよい。例えば、コンタクト11は、多角形の環状であってもよい。
【0088】
コンタクト11は平板状であるが、コンタクト11は、筒状であってもよい。その場合、コンタクト11のうち少なくとも第2極52と接触する部分は、拡径するように拡がる円錐台状であってもよい。これにより、筒状のコンタクト11の内周面に第2極52が容易に接触する。
【0089】
端子12は、前述の構成に限定されない。例えば、端子12は、第1ピン101を有し、第2ピン102を有していなくてもよい。この場合、いわゆる2端子測定法による試験が実行され得る。
【0090】
ここに開示された技術をまとめると以下のようになる。
【0091】
[1]二次電池用プローブ1,1Aは、第1極51及び前記第1極51を囲むように環状に形成され且つ前記第1極51と極性の異なる第2極52が軸方向の一方の端面に配置された二次電池50のためのプローブであって、前記第1極51との干渉を回避する貫通孔11aを有し、前記第2極52に接触する環状の電極10,10Aと、前記電極10,10Aを前記第2極52に向かって付勢する第2スプリング22(弾性部材)とを備える。
【0092】
この構成によれば、例えば、二次電池50の試験を行うために、二次電池50に二次電池用プローブ1,1Aを接触させる場合、電極10,10Aは、第2極52に対応して環状に形成されているので、第2極52との接触面積を拡大できる。さらに、電極10,10Aは、貫通孔11aを有するので、第1極51との接触を回避しつつ、第2極52に接触できる。それに加えて、第2スプリング22は、電極10,10Aを第2極52に向かって付勢するので、第2極52に対する電極10,10Aの接触を安定させることができる。例えば、二次電池50に対して電極10,10Aが多少傾いた場合であっても、第2スプリング22の弾性変形によって電極10,10Aが変位して、第2極52との接触が維持される。その結果、二次電池用プローブ1,1Aと二次電池50との接触抵抗を低減できる。
【0093】
[2] [1]に記載の二次電池用プローブ1Aにおいて、電極10,10Aは、平板状である。
【0094】
この構成によれば、電極10,10Aと第2極52との接触面積をより拡大できる。詳しくは、二次電池50の第2極52は、一の平面内で環状に延びている。電極10,10Aを平板状にすることによって、略全周に亘って第2極52と接触させることができる。
【0095】
[3] [1]又は[2]に記載の二次電池用プローブ1,1Aにおいて、前記電極10,10Aは、前記第2極52に接触する接触面11bを有し、前記接触面11bは、凹凸形状を有する。
【0096】
この構成によれば、電極10,10Aの接触面11bは、凹凸形状を有するので、電極10,10Aの接触面11bが平滑である場合に比べて、電極10,10Aの接触面11bを第2極52に多点で接触させることができ、電極10,10Aと第2極52との接触面積をより増加できる。
【0097】
[4] [1]乃至[3]の何れか1つに記載の二次電池用プローブ1,1Aにおいて、第2スプリング22と電極10,10Aとは、着脱可能である。
【0098】
この構成によれば、電極10,10Aが消耗した場合、電極10,10Aを第2スプリング22から離脱させて、電極10,10Aを容易にメンテナンスできる。
【0099】
[5] [1]乃至[4]の何れか1つに記載の二次電池用プローブ1において、前記電極10は、前記第2極52に接触する、環状且つ平板状のコンタクト11と、前記コンタクト11に電気的に接続された端子12とを含む。
【0100】
この構成によれば、端子12を第2スプリング22のガイドとして利用することもできる。
【符号の説明】
【0101】
1,1A 二次電池用プローブ
10,10A 電極
11 コンタクト
11a 貫通孔
11b 接触面
12 端子
22 第2スプリング(弾性部材)
50 二次電池
51 第1極
52 第2極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9