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特開2025-73970積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025073970
(43)【公開日】2025-05-13
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250502BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 311
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024077918
(22)【出願日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0145384
(32)【優先日】2023-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】房 載勳
(72)【発明者】
【氏名】宋 玲娥
(72)【発明者】
【氏名】崔 奉珪
(72)【発明者】
【氏名】成 光東
(72)【発明者】
【氏名】李 度▲キョン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 完植
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AH01
5E001AJ03
5E082AB03
5E082GG10
5E082GG28
(57)【要約】
【課題】信頼性に優れた積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態による積層セラミックキャパシタは誘電体層と内部電極層を含むキャパシタボディー、及び前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、前記外部電極は前記内部電極層のうちの少なくとも一つと電気的に連結されるように前記キャパシタボディーの断面上に位置する下部層と、前記下部層を覆い前記下部層上に位置する上部層とを含み、前記下部層は第1ガラスを含み、前記上部層は第2ガラスを含み、前記第1ガラスはアルミニウム(Al)を前記第1ガラスの成分総量に対して0超過8原子%以下で含み、前記第2ガラスはアルミニウム(Al)を前記第2ガラスの成分総量に対して10原子%以上20原子%以下で含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と内部電極層とを含むキャパシタボディー、及び
前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、
前記外部電極は前記内部電極層のうちの少なくとも一つと電気的に連結されるように前記キャパシタボディーの断面上に位置する下部層と、前記下部層を覆い前記下部層上に位置する上部層とを含み、
前記下部層は第1ガラスを含み、
前記上部層は第2ガラスを含み、
前記第1ガラスはアルミニウム(Al)を前記第1ガラスの成分総量に対して0超過8原子%以下で含み、
前記第2ガラスはアルミニウム(Al)を前記第2ガラスの成分総量に対して10原子%以上20原子%以下で含む、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第2ガラスに含まれるアルミニウム(Al)は、前記第1ガラスに含まれるアルミニウム(Al)に対して2超過100以下の原子比を有する、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第2ガラスは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記第2ガラスは前記ケイ素(Si)を含み、
前記第2ガラスに含まれる前記アルミニウム(Al)及び前記ケイ素(Si)の成分合計が前記第2ガラスの成分総量に対して20原子%以上50原子%以下である、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第1ガラスは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1ガラスは前記バリウム(Ba)及び前記亜鉛(Zn)を含み、
前記第1ガラスに含まれる前記バリウム(Ba)及び前記亜鉛(Zn)の成分合計が前記第1ガラスの成分総量に対して50原子%以上95原子%以下である、請求項5に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1ガラス及び前記第2ガラスはナトリウム(Na)をさらに含み、
前記第2ガラスに含まれるナトリウム(Na)は前記第1ガラスに含まれるナトリウム(Na)に対して2超過100以下の原子比を有する、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第1ガラス及び前記第2ガラスは鉄(Fe)をさらに含み、
前記第2ガラスに含まれる鉄(Fe)は前記第1ガラスに含まれる鉄(Fe)に対して2超過100以下の原子比を有する、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記下部層及び前記上部層のうちの少なくとも一つは導電性金属をさらに含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記外部電極において前記積層セラミックキャパシタの厚さ方向長さの中間地点を中心部といい、前記積層セラミックキャパシタの角地点をコーナー部という時、前記外部電極の中心部に対するコーナー部の厚さ比は0.1以上0.5以下である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第2ガラスは前記リチウム(Li)を含む、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記第1ガラスはリチウム(Li)をさらに含み、
前記第2ガラスに含まれるリチウム(Li)は前記第1ガラスに含まれるリチウム(Li)に対して1超過の原子比を有する、請求項12に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
誘電体層と内部電極層とを含むキャパシタボディーの一面に第1ガラスを形成する第1ガラス組成物を含む下部層形成用第1ペーストを塗布する段階;
前記下部層形成用第1ペーストを焼結して外部電極の下部層を形成する段階;
前記外部電極の下部層の上に第2ガラスを形成する第2ガラス組成物を含む上部層形成用第2ペーストを塗布する段階;及び
前記上部層形成用第2ペーストを焼結して外部電極の上部層を形成する段階を含み、
前記第1ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を前記第1ガラス組成物の総量100モル部に対して0超過8モル部以下で含み、
前記第2ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を前記第2ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上20モル部以下で含む、積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項15】
誘電体層と内部電極層とを含むキャパシタボディーの一面に第1ガラスを形成する第1ガラス組成物を含む下部層形成用第1ペーストを塗布する段階;
前記下部層形成用第1ペーストの上に第2ガラスを形成する第2ガラス組成物を含む上部層形成用第2ペーストを塗布する段階;及び
前記下部層形成用第1ペースト及び前記上部層形成用第2ペーストが塗布されたキャパシタボディーを焼結して下部層及び上部層を含む外部電極を形成する段階を含み、
前記第1ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を前記第1ガラス組成物の総量100モル部に対して0超過8モル部以下で含み、
前記第2ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を前記第2ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上20モル部以下で含む、積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記第1ガラス組成物は、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)、二酸化ケイ素(SiO)、又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項14又は請求項15に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記第1ガラス組成物の総量100モル部に対して、
前記酸化バリウム(BaO)は10モル部以上40モル部以下で含まれ、
前記酸化カルシウム(CaO)は1モル部以上20モル部以下で含まれ、
前記酸化亜鉛(ZnO)は10モル部以上40モル部以下で含まれ、
前記酸化ホウ素(B)は10モル部以上40モル部以上で含まれ、
前記二酸化ケイ素(SiO)は1モル部以上20モル部以上で含まれる、請求項16に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記第2ガラス組成物は、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化鉄(Fe)、又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項14又は請求項15に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記第2ガラス組成物の総量100モル部に対して、
前記酸化リチウム(LiO)は1モル部以上20モル部以下で含まれ、
前記酸化ナトリウム(NaO)は1モル部以上20モル部以下で含まれ、
前記酸化バリウム(BaO)は10モル部以上40モル部以下で含まれ、
前記酸化カルシウム(CaO)は1モル部以上20モル部以下で含まれ、
前記酸化亜鉛(ZnO)は1モル部以上20モル部以下で含まれ、
前記酸化ホウ素(B)は10モル部以上40モル部以下で含まれ、
前記二酸化ケイ素(SiO)は1モル部以上20モル部以下で含まれ、
前記酸化鉄(Fe)は0.1モル部以上10モル部以下で含まれる、請求項18に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項20】
前記下部層形成用第1ペースト及び前記上部層形成用第2ペーストのうちの少なくとも一つは導電性金属をさらに含む、請求項14又は請求項15に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を使用する電子部品としてキャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタ又はサーミスタなどがある。このようなセラミック電子部品のうちの積層セラミックキャパシタ(multilayer ceramic capacitor、MLCC)は小型でありながら高容量が保障され実装が容易であるという長所によって多様な電子装置に使用できる。
【0003】
例えば、積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(liquid crystal display、LCD)、プラズマ表示装置パネル(plasma display panel、PDP)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末器、及びスマートフォンのような様々な電子製品の基板に装着されて電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサに使用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、電子製品の小型化につれて積層セラミックキャパシタも超小型化及び超高容量化が要求されている。このために、誘電体層及び内部電極層の厚さを薄くし、より多くの数の誘電体層と内部電極層を積層した構造を有する積層セラミックキャパシタが製造されている。このような超小型及び超高容量の積層セラミックキャパシタは最近、電気自動車などのように高い水準の信頼性を要求する分野に使用されるので、これに対応する高信頼性が要求される状況である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを提供する。
【0006】
他の一実施形態は、前記積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0007】
一実施形態は、誘電体層と内部電極層とを含むキャパシタボディー、及び前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、前記外部電極は前記内部電極層のうちの少なくとも一つと電気的に連結されるように前記キャパシタボディーの断面上に位置する下部層と、前記下部層を覆い前記下部層上に位置する上部層とを含み、前記下部層は第1ガラスを含み、前記上部層は第2ガラスを含み、前記第1ガラスはアルミニウム(Al)を前記第1ガラスの成分総量に対して0超過8原子%以下で含み、前記第2ガラスはアルミニウム(Al)を前記第2ガラスの成分総量に対して10原子%以上20原子%以下で含む、積層セラミックキャパシタを提供する。
【0008】
前記第2ガラスに含まれるアルミニウム(Al)は、前記第1ガラスに含まれるアルミニウム(Al)に対して2超過100以下の原子比を有することができる。
【0009】
前記第2ガラスは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0010】
前記第2ガラスは前記ケイ素(Si)を含むことができ、前記アルミニウム(Al)及び前記ケイ素(Si)の成分合計が前記第2ガラスの成分総量に対して20原子%以上50原子%以下であってもよい。
【0011】
前記第1ガラスは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0012】
前記第1ガラスは前記バリウム(Ba)及び前記亜鉛(Zn)を含むことができ、前記バリウム(Ba)及び前記亜鉛(Zn)の成分合計が前記第1ガラスの成分総量に対して50原子%以上95原子%以下であってもよい。
【0013】
前記第1ガラス及び前記第2ガラスはナトリウム(Na)をさらに含むことができ、前記第2ガラスに含まれるナトリウム(Na)は前記第1ガラスに含まれるナトリウム(Na)に対して2超過100以下の原子比を有することができる。
【0014】
前記第1ガラス及び前記第2ガラスは鉄(Fe)をさらに含むことができ、前記第2ガラスに含まれる鉄(Fe)は前記第1ガラスに含まれる鉄(Fe)に対して2超過100以下の原子比を有することができる。
【0015】
前記下部層及び前記上部層のうちの少なくとも一つは導電性金属をさらに含むことができる。
【0016】
前記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0017】
前記外部電極において前記積層セラミックキャパシタの厚さ方向長さの中間地点を中心部といい、前記積層セラミックキャパシタの角地点をコーナー部という時、前記外部電極の中心部に対するコーナー部の厚さ比は0.1以上0.5以下であってもよい。
【0018】
前記第2ガラスはリチウム(Li)を含むことができる。
【0019】
前記第1ガラスはリチウム(Li)をさらに含むことができ、前記第2ガラスに含まれるリチウム(Li)は前記第1ガラスに含まれるリチウム(Li)に対して1超過の原子比を有することができる。
【0020】
他の一実施形態は、誘電体層と内部電極層を含むキャパシタボディーの一面に第1ガラスを形成する第1ガラス組成物を含む下部層形成用第1ペーストを塗布する段階;前記下部層形成用第1ペーストを焼結して外部電極の下部層を形成する段階;前記外部電極の下部層の上に第2ガラスを形成する第2ガラス組成物を含む上部層形成用第2ペーストを塗布する段階;及び前記上部層形成用第2ペーストを焼結して外部電極の上部層を形成する段階を含み、前記第1ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を前記第1ガラス組成物の総量100モル部に対して0超過8モル部以下で含み、前記第2ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を前記第2ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上20モル部以下で含む、積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0021】
また他の一実施形態は、誘電体層と内部電極層を含むキャパシタボディーの一面に第1ガラスを形成する第1ガラス組成物を含む下部層形成用第1ペーストを塗布する段階;前記下部層形成用第1ペーストの上に第2ガラスを形成する第2ガラス組成物を含む上部層形成用第2ペーストを塗布する段階;及び前記下部層形成用第1ペースト及び前記上部層形成用第2ペーストが塗布されたキャパシタボディーを焼結して下部層及び上部層を含む外部電極を形成する段階を含み、前記第1ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を前記第1ガラス組成物の総量100モル部に対して0超過8モル部以下で含み、前記第2ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を前記第2ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上20モル部以下で含む、積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0022】
前記第1ガラス組成物は、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)、二酸化ケイ素(SiO)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0023】
前記第1ガラス組成物の総量100モル部に対して、前記酸化バリウム(BaO)は10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、前記酸化カルシウム(CaO)は1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、前記酸化亜鉛(ZnO)は10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、前記酸化ホウ素(B)は10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、前記二酸化ケイ素(SiO)は1モル部以上20モル部以下で含まれてもよい。
【0024】
前記第2ガラス組成物は、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化鉄(Fe)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0025】
前記第2ガラス組成物の総量100モル部に対して、前記酸化リチウム(LiO)は1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、前記酸化ナトリウム(NaO)は1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、前記酸化バリウム(BaO)は10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、前記酸化カルシウム(CaO)は1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、前記酸化亜鉛(ZnO)は1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、前記酸化ホウ素(B)は10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、前記二酸化ケイ素(SiO)は1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、前記酸化鉄(Fe)は0.1モル部以上10モル部以下で含まれてもよい。
【0026】
前記下部層形成用第1ペースト及び前記上部層形成用第2ペーストのうちの少なくとも一つは導電性金属をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
一実施形態による積層セラミックキャパシタは内部電極との接触性、耐食性、及び耐湿信頼性に優れた外部電極を含むことによって、信頼性が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I’線に沿って切断した積層セラミックキャパシタの断面図である。
図3図1のII-II’線に沿って切断した積層セラミックキャパシタの断面図である。
図4】一実施形態による積層セラミックキャパシタの外部電極を示す概略図である。
図5】実施例1による積層セラミックキャパシタの外部電極に対するSEM分析イメージである。
図6a】実施例1による外部電極の上部層に対する断面SEM-EDS分析イメージである。
図6b】実施例1による外部電極の下部層に対する断面SEM-EDS分析イメージである。
図7a】実施例1による積層セラミックキャパシタの外部電極に対する断面SEM-EDS分析イメージである。
図7b】比較例1による積層セラミックキャパシタの外部電極に対する断面SEM-EDS分析イメージである。
図8】実施例1による積層セラミックキャパシタの外部電極に対する断面EPMA分析イメージである。
図9a】実施例1による外部電極に対する耐湿信頼性を示すグラフである。
図9b】比較例1による外部電極に対する耐湿信頼性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付図面において一部構成要素は誇張されるか省略されるか又は概略的に図示され、各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するものではない。
【0030】
添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0031】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明することに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0032】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」又は「上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分「の直上に」あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」又は「上に」あるというのは基準となる部分の上又は下に位置することであり、必ずしも重力反対方向側に「の上に」又は「上に」位置することを意味するのではない。
【0033】
明細書全体で、「含む」又は「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0034】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0035】
また、明細書全体で、「連結される」という時、これは二つ以上の構成要素が直接的に連結されることのみを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく電気的に連結されること、又は位置や機能によって異なる名称で称されたが、一体であるのを意味することができる。
【0036】
以下、一実施形態による積層セラミックキャパシタについて図1図4を参照して説明する。
【0037】
図1は一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す斜視図であり、図2図1のI-I’線に沿って切断した積層セラミックキャパシタの断面図であり、図3図1のII-II’線に沿って切断した積層セラミックキャパシタの断面図であり、図4は一実施形態による積層セラミックキャパシタの外部電極を示す概略図である。
【0038】
図1図3に表示されたL軸、W軸、及びT軸はそれぞれキャパシタボディー110の長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよく、一例として誘電体層111が積層される積層方向と同一な概念として使用できる。長さ方向(L軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延長される方向で厚さ方向(T軸方向)と略垂直な方向であってもよく、一例として両側に第1外部電極131及び第2外部電極132が位置する方向であってもよい。幅方向(W軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延長される方向で厚さ方向(T軸方向)及び長さ方向(L軸方向)と略垂直な方向であってもよく、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さよりさらに長くてもよい。
【0039】
図1図4を参照すれば、一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、キャパシタボディー110と、キャパシタボディー110の外側に配置される外部電極131、132とを含む。外部電極131、132は、キャパシタボディー110の長さ方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0040】
キャパシタボディー110は一例として、略六面体形状であってもよい。
【0041】
一実施形態に関する説明の便宜のために、キャパシタボディー110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面及び第2面と、第1面及び第2面と連結され長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面及び第4面と、第1面及び第2面と連結され第3面及び第4面と連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面及び第6面と定義する。
【0042】
一例として、下面である第1面が実装方向に向かう面になり得る。また、第1面~第6面は平らであってもよいが、一実施形態がこれに限定されるのではない。例えば、第1面~第6面は中央部が凸の曲面であってもよく、各面の境界である角は丸められて(round)いてもよい。
【0043】
キャパシタボディー110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたものに限定されるのではない。
【0044】
キャパシタボディー110は複数の誘電体層111及び内部電極層121、122を含む。具体的に、キャパシタボディー110は複数の誘電体層111と誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含む。
【0045】
キャパシタボディー110に関する詳細な説明は後述する。
【0046】
[外部電極]
図2及び図4を参照すれば、外部電極131、132、即ち、第1外部電極131及び第2外部電極132は互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121及び第2内部電極122の露出される部分とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0047】
上記のような構成により、第1外部電極131及び第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121及び第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層セラミックキャパシタ100の静電容量はアクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重畳する第1内部電極121及び第2内部電極122が重畳した面積と比例するようになる。
【0048】
第1外部電極131及び第2外部電極132は、キャパシタボディー110の第3面及び第4面にそれぞれ配置されて第1内部電極121及び第2内部電極122と接続される第1接続部及び第2接続部と、キャパシタボディー110の第3面及び第4面と、第1面及び第2面又は第5面及び第6面が接する角に配置される第1バンド部及び第2バンド部をそれぞれ含むことができる。
【0049】
第1バンド部及び第2バンド部は第1接続部及び第2接続部からキャパシタボディー110の第1面及び第2面又は第5面及び第6面の一部までそれぞれ延長される。第1バンド部及び第2バンド部は第1外部電極131及び第2外部電極132の固着強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0050】
外部電極131、132は、内部電極層121、122のうちの少なくとも一つと電気的に連結されるようにキャパシタボディー110の断面上に位置する下部層10、30、及び下部層10、30を覆い下部層10、30上に位置する上部層20、40を含む。具体的に、第1外部電極131は、第1内部電極121と電気的に連結されるようにキャパシタボディー110の断面上に位置する第1下部層10、及び第1下部層10を覆い第1下部層10上に位置する第1上部層20を含む。また、第2外部電極132は、第2内部電極122と電気的に連結されるようにキャパシタボディー110の断面上に位置する第2下部層30、及び第2下部層30を覆い第2下部層30上に位置する第2上部層40を含む。
【0051】
下部層10、30と上部層20、40はそれぞれ、互いに異なる組成を有するガラスを含む。外部電極を少なくとも二つの層から形成し、この時、各層は互いに異なる組成のガラス成分を含むことによって、内部電極との接触性に優れるだけでなく、水分及びメッキ液の浸透を防止して耐食性及び耐湿信頼性に優れた外部電極を確保することができる。これにより信頼性が向上した積層セラミックキャパシタを実現することができる。
【0052】
下部層10、30は第1ガラスを含み、前記第1ガラスはアルミニウム(Al)を含む。また、上部層20、40は第2ガラスを含み、前記第2ガラスはアルミニウム(Al)を含む。
【0053】
具体的に、下部層10、30に含まれるアルミニウム(Al)は第1ガラスの成分総量に対して0超過8原子%以下で含まれ、例えば0.1原子%以上7.9原子%以下、例えば0.5原子%以上7.7原子%以下で含まれてもよい。また、上部層20、40に含まれるアルミニウム(Al)は第2ガラスの成分総量に対して10原子%以上20原子%以下で含まれ、例えば11原子%以上19原子%以下、例えば12原子%以上18原子%以下で含まれてもよい。下部層10、30及び上部層20、40それぞれがガラス成分として前記含量範囲内のアルミニウム(Al)を含む場合、内部電極との接触性に優れるだけでなく、水分及びメッキ液の浸透を防止して耐食性及び耐湿信頼性に優れた外部電極を確保することができる。このような外部電極を含む積層セラミックキャパシタは信頼性を向上できる。
【0054】
一例として、上部層20、40の第2ガラスに含まれるアルミニウム(Al)は下部層10、30の第1ガラスに含まれるアルミニウム(Al)に対して2超過100以下の原子比を有することができ、例えば3以上80以下の原子比を有することができる。下部層10、30及び上部層20、40それぞれに含まれるアルミニウム(Al)の原子比が前記範囲内である場合、内部電極との接触性に優れており耐食性及び耐湿信頼性に優れた外部電極を確保することができることによって、積層セラミックキャパシタの信頼性が向上できる。
【0055】
第1ガラスに含まれるアルミニウム(Al)及び第2ガラスに含まれるアルミニウム(Al)は、外部電極形成時それぞれ下部層形成用ペースト及び上部層形成用ペーストに添加される酸化アルミニウムに由来する成分であり得る。
【0056】
下部層10、30の第1ガラスは、アルミニウム(Al)以外に、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0057】
第1ガラスに含むことができるリチウム(Li)、ナトリウム(Na)及び鉄(Fe)は、外部電極形成時上部層形成用ペーストに添加される酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、及び酸化鉄(Fe)にそれぞれ由来する成分であり得る。即ち、前記添加剤は上部層を形成しながら一部が下部層に拡散した成分であり得る。また、第1ガラスに含むことができるバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、及びケイ素(Si)は、外部電極形成時塗布される下部層形成用ペーストに添加される酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)、及び二酸化ケイ素(SiO)にそれぞれ由来する成分であり得る。
【0058】
一例として、第1ガラスは、アルミニウム(Al)、バリウム(Ba)、及び亜鉛(Zn)を含むことができる。また、第1ガラスは、バリウム(Ba)及び亜鉛(Zn)の成分合計が第1ガラスの総成分中の最も多い部分を占めるBa/Zn系ガラスであってもよい。例えば、バリウム(Ba)及び亜鉛(Zn)の成分合計が第1ガラスの成分総量に対して50原子%以上95原子%以下であってもよく、55原子%以上90原子%以下であってもよい。第1ガラスが前記範囲内の組成を有する場合、内部電極との連結性、即ち、接触性に優れた外部電極を得ることができる。
【0059】
上部層20、40の第2ガラスは、アルミニウム(Al)以外に、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0060】
第2ガラスに含むことができるリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、及び鉄(Fe)は、外部電極形成時上部層形成用ペーストに添加される酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、及び酸化鉄(Fe)にそれぞれ由来する成分であり得る。また、第2ガラスに含むことができるバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、及びケイ素(Si)は、外部電極形成時塗布される上部層形成用ペーストに添加される酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)、及び二酸化ケイ素(SiO)にそれぞれ由来する成分であり得る。
【0061】
一例として、第2ガラスは、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むことができる。また、第2ガラスは、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)の成分合計が第2ガラスの総成分中の主要部分を占めるAl/Si系ガラスであってもよい。例えば、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)の成分合計が第2ガラスの成分総量に対して20原子%以上50原子%以下であってもよく、22原子%以上40原子%以下であってもよい。第2ガラスが前記範囲内の組成を有する場合、耐食性及び耐湿信頼性に優れた外部電極を得ることができる。
【0062】
外部電極形成時、Ba/Zn系ガラスを単独で使用する場合、内部電極との接触性は優れているが、メッキ液に侵食されることがあって信頼性保証が難しく、Al/Si系ガラスを単独で使用する場合、メッキ液に対する耐食性が強いので信頼性に優れるが、金属との低い接触性によって内部電極との接触不良が発生することがある。一実施形態によれば、外部電極をBa/Zn系ガラスに該当する下部層とAl/Si系ガラスに該当する上部層を含んで少なくとも2つの層から形成することによって、内部電極との接触性だけでなくメッキ液に対する耐食性と耐湿信頼性が全て優れた外部電極を確保することができる。したがって、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを実現することができる。
【0063】
また、一例として、下部層10、30の第1ガラス及び上部層20、40の第2ガラスはナトリウム(Na)を含むことができる。この場合、第2ガラスに含まれるナトリウム(Na)は第1ガラスに含まれるナトリウム(Na)に対して2超過100以下の原子比を有することができ、例えば3以上80以下の原子比を有することができる。下部層10、30及び上部層20、40それぞれに含まれるナトリウム(Na)の原子比が前記範囲内である場合、内部電極との接触性に優れており耐食性及び耐湿信頼性に優れた外部電極を確保することができる。
【0064】
一例として、下部層10、30の第1ガラス及び上部層20、40の第2ガラスは鉄(Fe)を含むことができる。この場合、第2ガラスに含まれる鉄(Fe)は第1ガラスに含まれる鉄(Fe)に対して2超過100以下の原子比を有することができ、例えば3以上80以下の原子比を有することができる。下部層10、30及び上部層20、40それぞれに含まれるナトリウム(Na)の原子比が前記範囲内である場合、内部電極との接触性に優れており耐食性及び耐湿信頼性に優れた外部電極を確保することができる。
【0065】
一実施形態による外部電極131、132が前述のように下部層10、30及び上部層20、40を含んで形成されることは、SEM(走査電子顕微鏡)分析によって確認できる。
【0066】
SEM分析は次のような方法で測定することができる。積層セラミックキャパシタ100をエポキシ混合液に入れて硬化させた後、研磨紙(sand paper)及びダイヤモンド懸濁液(diamond suspension)を用いて研磨(polishing)して、外部電極を観察することができるようにLT面を有する断面サンプルを得ることができる。次いで、得られた断面サンプルを走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)で測定することができる。SEMは例えば、Tescan社のVega3を用いて20kV、0.2nA、分析倍率3k倍の条件で測定することができる。
【0067】
また、前述の下部層10、30及び上部層20、40に含まれる成分の組成、具体的に各層でのアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)などの原子%及び原子比は、SEM-EDS(走査電子顕微鏡-エネルギー分散型分光法)分析又はEPMA(電子探針微細分析器)によって確認できる。
【0068】
SEM-EDS分析は次のような方法で行うことができる。まず、積層セラミックキャパシタ100から前述の方法で断面サンプルを得ることができる。次いで、得られた断面サンプルを走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)で測定することができる。SEMは例えば、Tescan社のVega3を用いて20kV、0.2nA、分析倍率6005倍の条件で測定することができる。次いで、測定された断面サンプルのSEMイメージで、EDS(エネルギー分散型分光法)分析を行って、外部電極の下部層及び上部層に存在する各成分の含量を確認することができる。
【0069】
またEPMAは次のような方法で分析することができる。まず、積層セラミックキャパシタ100から前述の方法で断面サンプルを得ることができる。得られた断面サンプルに対して15kVの電圧及び10k倍率条件でEPMA(電子探針微細分析器)分析を測定して、外部電極の下部層及び上部層に存在する各元素のマッピング(mapping)及び元素別含量を確認することができる。
【0070】
下部層10、30及び上部層20、40は外部電極の焼結金属層であってもよい。
【0071】
下部層10、30及び上部層20、40のうちの少なくとも一つは導電性金属をさらに含むことができる。即ち、下部層10、30及び上部層20、40のうちのいずれか一つに導電性金属が含まれてもよく、下部層10、30及び上部層20、40全てに導電性金属が含まれてもよい。
【0072】
導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含むことができ、例えば銅(Cu)又は銅(Cu)合金を含むことができる。
【0073】
導電性金属が銅(Cu)を含む場合、銅(Cu)以外の金属は銅(Cu)100モル部に対して5モル部以下で含まれてもよい。
【0074】
下部層10、30に含まれる導電性金属は下部層の総量に対して80重量%以上99重量%以下で含まれ、上部層20、40に含まれる導電性金属は上部層の総量に対して80重量%以上99重量%以下で含まれてもよい。
【0075】
図2に表示された通り、外部電極131、132において積層セラミックキャパシタ100の厚さ方向(T軸方向)の長さの中間地点を中心部Aといい、積層セラミックキャパシタ100の角地点をコーナー部Bと称することができる。即ち、中心部Aは第3面及び第4面の長さの中間地点であってもよく、コーナー部Bは三面が接する地点であってもよい。
【0076】
一実施形態による外部電極131、132のコーナー部Bは下部層10、30及び上部層20、40を含んでいて、即ち、少なくとも二重層を形成しているので、コーナー部Bの厚さが増加できる。コーナー部Bはメッキ液の浸透経路のうちの一つになり得る。一実施形態によれば、コーナー部Bの厚さが増加することによってメッキ液の浸透を遮断することができ、これにより耐食性及び耐湿信頼性が向上できる。
【0077】
一例として、外部電極131、132の中心部Aに対するコーナー部Bの厚さ比は0.1以上0.5以下であってもよく、例えば0.15以上0.45以下であってもよい。外部電極131、132の中心部Aに対するコーナー部Bの厚さ比が前記範囲内である場合、耐食性及び耐湿信頼性が向上できる。
【0078】
外部電極131、132の中心部A及びコーナー部Bの厚さはSEM(走査電子顕微鏡)分析で測定できる。SEM分析は前述のように下部層10、30及び上部層20、40の形成を確認するSEM分析方法と同様に行うことができる。
【0079】
外部電極131、132は、前述の下部層10、30及び上部層20、40を覆うように上部層20、40上に配置される伝導性樹脂層、そして伝導性樹脂層を覆うように配置されるメッキ層をさらに含むことができる。
【0080】
伝導性樹脂層はキャパシタボディー110の第1面及び第2面又は第5面及び第6面に延長され、伝導性樹脂層がキャパシタボディー110の第1面及び第2面又は第5面及び第6面に延長して配置された領域(即ち、バンド部)の長さは、上部層20、40がキャパシタボディー110の第1面及び第2面又は第5面及び第6面に延長して配置された領域(即ち、バンド部)の長さより長くてもよい。即ち、伝導性樹脂層は上部層20、40の上に形成され、上部層20、40を完全に覆う形態に形成できる。
【0081】
伝導性樹脂層は、樹脂及び導電性金属を含む。
【0082】
伝導性樹脂層に含まれる樹脂は接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂を含むことができる。
【0083】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、内部電極層121、122、又は下部層10、30及び上部層20、40と電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0084】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、球形、フレーク形、又はこれらの組み合わせの形態を有することができる。即ち、導電性金属はフレーク形のみからなるか、又は球形のみからなってもよく、フレーク形と球形が混合された形態であってもよい。
【0085】
ここで、球形は完全な球形でない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク形粉末は平たくて細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるわけではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。
【0086】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、又は鉛(Pb)の単独、又はこれらの合金を含むことができる。例えば、メッキ層はニッケル(Ni)メッキ層又はスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層及びスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層、及びスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層は複数のニッケル(Ni)メッキ層及び/又は複数のスズ(Sn)メッキ層を含んでもよい。
【0087】
メッキ層は、積層セラミックキャパシタ100の基板への実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性、及び等価直列抵抗値(equivalent series resistance、ESR)を改善することができる。
【0088】
[キャパシタボディー]
キャパシタボディー110は、複数の誘電体層111及び内部電極層121、122を含む。具体的に、キャパシタボディー110は、複数の誘電体層111と、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含む。
【0089】
この時、キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)を使用せずに確認しにくい程度に一体化される。
【0090】
キャパシタボディー110はアクティブ領域を含むことができる。アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121又は第2内部電極122が重畳(overlap)した領域であってもよい。
【0091】
また、キャパシタボディー110は、カバー領域及びサイドマージン領域をさらに含むことができる。
【0092】
カバー領域は厚さ方向マージン部であって厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面及び第2面側にそれぞれ配置することができる。このようなカバー領域は、単一誘電体層111又は二つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面及び下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0093】
サイドマージン領域は幅方向マージン部であって幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面及び第6面側にそれぞれ配置することができる。このようなサイドマージン領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成できる。
【0094】
カバー領域とサイドマージン領域は、物理的又は化学的ストレスによる第1内部電極121及び第2内部電極122の損傷を防止する役割を果たす。
【0095】
誘電体層111はチタン酸バリウム系主成分を含む。
【0096】
チタン酸バリウム系主成分は誘電体母材であって、高い誘電率を有し、積層セラミックキャパシタ100の誘電率形成に寄与する。
【0097】
チタン酸バリウム系主成分は例えば、BaTiO、Ba(Ti,Zr)O、Ba(Ti,Sn)O、(Ba,Ca)TiO、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O、(Ba,Ca)(Ti,Sn)O、(Ba,Sr)TiO、(Ba,Sr)(Ti,Zr)O、(Ba,Sr)(Ti,Sn)O、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0098】
誘電体層111は副成分をさらに含むことができる。副成分は例えば、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0099】
誘電体層111の平均厚さ(T軸方向平均長さ)は2.0μm以上8.0μm以下であってもよく、例えば2.4μm以上7.8μm以下であってもよい。誘電体層111の平均厚さが前記範囲内である場合、積層セラミックキャパシタの信頼性に優れる。これは前述のように測定された断面サンプルの走査電子顕微鏡(SEM)イメージで、誘電体層111の長さ方向(L軸方向)又は幅方向(W軸方向)中央地点を基準点にして、基準点から所定間隔で離れた10地点での、誘電体層111厚さの算術平均値として求めることができる。10地点の間隔は走査電子顕微鏡(SEM)イメージのスケール(scale)によって調節することができ、例えば1μm以上100μm以下、1μm以上50μm以下、又は1μm以上10μm以下の間隔であってもよい。この時、10地点は全て誘電体層111内に位置しなければならず、10地点が全て誘電体層111内に位置しない場合、基準点の位置を変更するか、又は10地点の間隔を調節することができる。
【0100】
内部電極層121、122、即ち、第1内部電極121と第2内部電極122は互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を挟んでT軸方向に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディー110の第3面及び第4面を通じてそれぞれ露出される。
【0101】
第1内部電極121と第2内部電極122は中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0102】
キャパシタボディー110の第3面及び第4面を通じて交互に露出される第1内部電極121及び第2内部電極122の端部は第1外部電極131及び第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0103】
第1内部電極121及び第2内部電極122は導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属、又はこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0104】
また、第1内部電極121及び第2内部電極122は誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含んでもよい。
【0105】
第1内部電極121及び第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成できる。導電性ペーストの印刷方法はスクリーン印刷法又はグラビア印刷法を用いることができる。
【0106】
第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さは0.1μm以上2μm以下であってもよい。第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さは走査電子顕微鏡(SEM)分析によって測定できる。ここで、走査電子顕微鏡(SEM)分析は前述の誘電体層111の平均厚さ測定時の方法と同一なので、その説明を省略する。
【0107】
キャパシタボディー110は、複数の誘電体層111と内部電極層121、122が積層された積層体を焼成して形成できる。
【0108】
以下では、一実施形態による積層セラミックキャパシタ100の製造方法について説明する。
【0109】
[積層セラミックキャパシタの製造方法]
一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は誘電体層111と内部電極層121、122を含むキャパシタボディー110の一面に第1ガラスを形成する第1ガラス組成物を含む下部層形成用第1ペーストを塗布する段階;前記下部層形成用第1ペーストを焼結して外部電極131、132の下部層10、30を形成する段階;前記外部電極131、132の下部層10、30の上に第2ガラスを形成する第2ガラス組成物を含む上部層形成用第2ペーストを塗布する段階;及び前記上部層形成用第2ペーストを焼結して外部電極131、132の上部層20、40を形成する段階を含むことができる。
【0110】
また、一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は誘電体層111と内部電極層121、122を含むキャパシタボディー110の一面に第1ガラスを形成する第1ガラス組成物を含む下部層形成用第1ペーストを塗布する段階;前記下部層形成用第1ペーストの上に第2ガラスを形成する第2ガラス組成物を含む上部層形成用第2ペーストを塗布する段階;及び前記下部層形成用第1ペースト及び前記上部層形成用第2ペーストが塗布されたキャパシタボディーを焼結して下部層10、30及び上部層20、40を含む外部電極131、132を形成する段階を含むことができる。
【0111】
まず、キャパシタボディー110の製造方法について説明する。
【0112】
キャパシタボディー110は、誘電体スラリーを用いて誘電体グリーンシートを製造し、誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成する段階;前記導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階;及び前記誘電体グリーンシート積層体を焼成する段階を経て製造することができる。
【0113】
誘電体スラリーは、チタン酸バリウム系主成分粉末、及び選択的に副成分粉末を混合して製造することができる。
【0114】
チタン酸バリウム系主成分粉末は誘電体層に含まれるチタン酸バリウム系主成分と同一なので、ここではその説明を省略する。
【0115】
副成分粉末は例えば、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、又はこれらの組み合わせを含むことができるが、これに限定されない。前記副成分粉末それぞれは、チタン酸バリウム系主成分粉末100モル部に対して0.01モル部以上5モル部以下で含まれてもよい。
【0116】
前記副成分粉末は各金属を含有する酸化物又は塩化合物の形態で使用でき、又は有機溶媒に分散したゾル形態で使用できる。
【0117】
また、誘電体スラリーは、分散剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤などの添加剤と溶媒を追加的に混合して製造することができる。
【0118】
チタン酸バリウム系主成分粉末と選択的に副成分粉末の混合は、湿式ボールミル又は攪拌ミルを用いることができる。湿式ボールミルでジルコニアボールを用いる場合、直径0.1mm以上10mm以下の多数のジルコニアボールを用いて8時間以上48時間以下、又は10時間若しくは24時間、湿式混合することができる。
【0119】
製造された誘電体スラリーは、焼成後に誘電体層として形成される。
【0120】
製造された誘電体スラリーをシート形状に成形する方法としては、ドクターブレード法、カレンダーロール法などのテープ成形法など、例えばヘッド吐出方式のオン-ロール(on roll)成形コーター(coater)を用いることができ、その後、成形体を乾燥することによって誘電体グリーンシートを得ることができる。
【0121】
焼成後に内部電極層になる導電性ペースト層を形成するために、導電性金属又はその合金からなる導電性粉末、バインダー及び溶媒を混合して導電性ペーストを製造することができる。また、必要によって共材としてチタン酸バリウム粉末が共に混合されてもよい。共材は焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用を果たすことができる。誘電体グリーンシート表面にスクリーン印刷などの各種印刷法や転写法によって導電性ペーストを所定のパターンで塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0122】
前記導電性粉末は、ニッケル(Ni)又はニッケル(Ni)合金を含むことができる。
【0123】
次いで、内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることによって誘電体グリーンシート積層体を製造する。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面及び下面には誘電体グリーンシートが位置するように誘電体グリーンシートと内部電極パターンを積層することができる。
【0124】
製造された誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどによって所定の寸法に切断する段階を選択的に行うことができる。
【0125】
また、誘電体グリーンシート積層体は必要によって可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に水平遠心バレル研磨機などを用いてバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディア及び研磨液と共にバレル容器内に投入し、そのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することによって、切断時に発生したバー(burr)などの不必要部分を研磨することができる。また、バレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は水などの洗浄液で洗浄して乾燥することができる。
【0126】
その次に、誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理及び焼成してキャパシタボディーを製造する。
【0127】
脱バインダー処理条件は、誘電体層の成分や内部電極層の成分によって適切に調節することができる。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間以上300℃/時間以下、支持温度は180℃以上400℃以下、温度維持時間は0.5時間以上24時間以下であってもよい。脱バインダー処理時雰囲気は空気又は還元性雰囲気であってもよい。
【0128】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成によって適切に調節することができる。例えば、焼成は1100℃以上1400℃以下の温度で行うことができ、例えば1200℃以上1350℃以下の温度で行うことができる。また、焼成は0.5時間以上8時間以下、例えば1時間以上3時間以下で行うことができる。また、焼成は還元性雰囲気、例えば、窒素及び水素の混合ガスを加湿した雰囲気で行うことができる。内部電極がニッケル(Ni)又はニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPa以上1.0×10-10MPa以下であってもよい。
【0129】
焼成処理後、必要によってアニーリングを行うことができる。アニーリングは誘電体層を再酸化させるための処理であり、還元性雰囲気で焼成処理した場合、アニーリングを行うことができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の成分によって適切に調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃以上1150℃以下であってもよく、時間は0時間以上20時間以下であってもよく、昇温速度は50℃/時間以上500℃/時間以下であってもよい。アニーリング雰囲気は加湿した窒素ガス(N)雰囲気であってもよく、酸素分圧は1.0×10-9MPa以上1.0×10-5MPa以下であってもよい。
【0130】
脱バインダー処理、焼成処理、又はアニーリング処理で、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには例えばウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は5℃以上75℃以下であってもよい。脱バインダー処理、焼成処理、及びアニーリング処理は連続して行うことができ、独立的に行うこともできる。
【0131】
選択的に、製造されたキャパシタボディー110の第3面及び第4面に対して、サンドブラスティング処理、レーザー照射、バレル研磨などの表面処理を行うことができる。このような表面処理を行うことによって、第3面及び第4面の最表面に第1内部電極及び第2内部電極の端部が露出され、これにより第1外部電極及び第2外部電極と第1内部電極及び第2内部電極の電気的接合が良好になり、合金部が形成されやすくなり得る。
【0132】
以下、外部電極131、132の製造方法について説明する。
【0133】
製造されたキャパシタボディー110の一面に下部層形成用第1ペーストを塗布し焼結して下部層10、30を形成した後、下部層10、30の上に上部層形成用第2ペーストを塗布し焼結して上部層20、40を形成することによって外部電極131、132を製造することができる。また、製造されたキャパシタボディー110の一面に下部層形成用第1ペーストを塗布しその上に上部層形成用第2ペーストを塗布した後、焼結して下部層10、30及び上部層20、40を形成することによって外部電極131、132を製造することができる。
【0134】
下部層形成用第1ペーストは第1ガラスを形成する第1ガラス組成物を含み、第1ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を含むことができる。また、上部層形成用第2ペーストは第2ガラスを形成する第2ガラス組成物を含み、第2ガラス組成物は酸化アルミニウム(Al)を含むことができる。
【0135】
具体的に、下部層形成用第1ペーストに含まれる酸化アルミニウム(Al)は第1ガラス組成物の総量100モル部に対して0超過8モル部以下で含まれてもよく、例えば0.1モル部以上7.9モル部以下、例えば0.5モル部以上7.7モル部以下で含まれてもよい。また、上部層形成用第2ペーストに含まれる酸化アルミニウム(Al)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、例えば11モル部以上19モル部以下、例えば12モル部以上18モル部以下で含まれてもよい。下部層形成用第1ペースト及び上部層形成用第2ペーストそれぞれがガラス成分として前記含量範囲内の酸化アルミニウム(Al)を含む場合、内部電極との接触性に優れるだけでなく水分及びメッキ液の浸透を防止して耐食性及び耐湿信頼性に優れた外部電極を製造することができる。
【0136】
下部層形成用第1ペーストの第1ガラス組成物は、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)、二酸化ケイ素(SiO)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0137】
酸化バリウム(BaO)は第1ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、例えば15モル部以上35モル部以下で含まれてもよい。酸化カルシウム(CaO)は第1ガラス組成物の総量100モル部に対して1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、例えば5モル部以上15モル部以下で含まれてもよい。酸化亜鉛(ZnO)は第1ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、例えば15モル部以上35モル部以下で含まれてもよい。酸化ホウ素(B)は第1ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、例えば15モル部以上35モル部以下で含まれてもよい。二酸化ケイ素(SiO)は第1ガラス組成物の総量100モル部に対して1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、5モル部以上15モル部以下で含まれてもよい。下部層形成用第1ペースト形成時第1ガラス組成物として各成分が前記含量範囲内で含まれる場合、内部電極との接触性と耐食性及び耐湿信頼性に全て優れた外部電極を製造することができる。
【0138】
上部層形成用第2ペーストの第2ガラス組成物は、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化鉄(Fe)、又はこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0139】
酸化リチウム(LiO)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、例えば5モル部以上15モル部以下で含まれてもよい。酸化ナトリウム(NaO)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、例えば3モル部以上15モル部以下で含まれてもよい。酸化バリウム(BaO)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、15モル部以上35モル部以下で含まれてもよい。酸化カルシウム(CaO)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、例えば5モル部以上15モル部以下で含まれてもよい。酸化亜鉛(ZnO)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、例えば5モル部以上15モル部以下で含まれてもよい。酸化ホウ素(B)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して10モル部以上40モル部以下で含まれてもよく、例えば15モル部以上35モル部以下で含まれてもよい。二酸化ケイ素(SiO)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して1モル部以上20モル部以下で含まれてもよく、5モル部以上15モル部以下で含まれてもよい。酸化鉄(Fe)は第2ガラス組成物の総量100モル部に対して0.1モル部以上10モル部以下で含まれてもよく、0.5モル部以上5モル部以下で含まれてもよい。上部層形成用第2ペースト形成時第2ガラス組成物として各成分が前記含量範囲内で含まれる場合、内部電極との接触性と耐食性及び耐湿信頼性に全て優れた外部電極を製造することができる。
【0140】
下部層形成用第1ペースト及び上部層形成用第2ペーストのうちの少なくとも一つは導電性金属をさらに含むことができる。即ち、下部層形成用第1ペースト及び上部層形成用第2ペーストのうちのいずれか一つに導電性金属が含まれてもよく、下部層形成用第1ペースト及び上部層形成用第2ペーストの全てが導電性金属を含むこともできる。
【0141】
導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含むことができ、例えば銅(Cu)又は銅(Cu)合金を含むことができる。
【0142】
一例として、下部層形成用第1ペーストに含まれる導電性金属は下部層形成用第1ペーストの総量に対して80重量%以上99重量%以下で含まれてよく、上部層形成用第2ペーストに含まれる導電性金属は上部層形成用第2ペーストの総量に対して80重量%以上99重量%以下で含まれてもよい。
【0143】
下部層形成用第1ペースト及び上部層形成用第2ペーストのうちの少なくとも一つは、バインダー、溶媒、分散剤、可塑剤、酸化物粉末などをさらに含むことができる。
【0144】
バインダーは例えばエチルセルロース、アクリル、ブチラール(butyral)などを使用することができ、溶媒は例えばテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンなどの有機溶媒や、水系溶媒を使用することができる。
【0145】
下部層形成用第1ペーストをキャパシタボディー110の外面に塗布する方法としては、ディップ法、スクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを用いた塗布法、スプレーを用いた噴霧法などを使用することができる。下部層形成用第1ペーストは少なくともキャパシタボディー110の第3面及び第4面に塗布され、選択的に第1外部電極及び第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面、又は第6面の一部にも塗布されてもよい。
【0146】
焼結は、700℃以上1000℃以下の温度で0.1時間以上3時間以下で行うことができる。
【0147】
選択的に、下部層10、30の上に上部層20、40が形成されたキャパシタボディー110の外面に、伝導性樹脂層形成用ペーストを塗布した後に硬化させて伝導性樹脂層を形成することができる。
【0148】
伝導性樹脂層形成用ペーストは、樹脂、及び選択的に導電性金属又は非伝導性フィラーを含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は前述のものと同一なので反復的な説明は省略する。また、伝導性樹脂層形成用ペーストは選択的にバインダー、溶媒、分散剤、可塑剤、酸化物粉末などを含むことができる。バインダーは例えばエチルセルロース、アクリル、ブチラール(butyral)などを使用することができ、溶媒はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンなどの有機溶媒や、水系溶媒を使用することができる。
【0149】
一例として、伝導性樹脂層の形成方法は、伝導性樹脂層形成用ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成した後に硬化させるか、又は伝導性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法又はグラビア印刷法などで印刷するか、又は伝導性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布した後に硬化させて形成することができる。
【0150】
その次に、伝導性樹脂層の外側にメッキ層を形成することができる。
【0151】
一例として、メッキ層はメッキ法によって形成することができ、スパッタ又は電解メッキ(electric deposition)によって形成することもできる。
【0152】
以下、実施例を通じて前述の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【0153】
[実施例]
(積層セラミックキャパシタ製造)
[実施例1]
チタン酸バリウム(BaTiO)主成分粉末を用いて誘電体グリーンシートを製造した後、誘電体グリーンシートの表面にニッケル(Ni)を含む導電性ペースト層を印刷し、導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシート(横×縦×高さ=3.2mm×2.5mm×2.5mm)を積層及び圧縮して誘電体グリーンシート積層体を製造した。誘電体グリーンシート積層体を400℃以下、窒素雰囲気で可塑工程を経て、焼成温度1300℃以下、水素濃度1.0% H以下条件で焼成して、キャパシタボディーを製造した。
【0154】
キャパシタボディーの一面にCu及び下記表1の組成を有する第1ガラス組成物を含む下部層形成用第1ペーストを塗布し、730℃で1時間焼結して外部電極の下部層を形成した。この時、Cu及び第1ガラス組成物の総量に対して、Cuは90重量%で、第1ガラス組成物は10重量%で含まれた。その次に、形成された下部層の上にCu及び下記表1の組成を有する第2ガラス組成物を含む上部層形成用第2ペーストを塗布し730℃で1時間焼結して外部電極の上部層を形成した。この時、Cu及び第2ガラス組成物の総量に対して、Cuは90重量%で、第2ガラス組成物は10重量%で含まれた。その次に、メッキなどの工程を経て積層セラミックキャパシタを製造した。
【0155】
【表1】
【0156】
[比較例1]
キャパシタボディーの一面にCu及び下記表2の組成を有するガラス組成物を含む外部電極形成用ペーストを塗布し、730℃で1時間焼結して外部電極を形成したことを除いては、実施例1と同様な方法で積層セラミックキャパシタを製造した。この時、Cu及びガラス組成物の総量に対して、Cuは90重量%で、ガラス組成物は10重量%で含まれた。
【0157】
【表2】
【0158】
[評価1:SEM分析]
実施例1で製造された積層セラミックキャパシタに対してSEM(走査電子顕微鏡)分析を行って、その結果を図5に示した。
【0159】
SEM分析は次のように行われた。実施例1で製造された積層セラミックキャパシタ100をエポキシ混合液に入れて硬化させた後、研磨紙(sand paper)及びダイヤモンド懸濁液(diamond suspension)を用いて研磨(polishing)して、外部電極を観察することができるようにLT面を有する断面サンプルを得た。得られた断面サンプルを走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)で測定した。SEMは例えば、Tescan社のVega3を用いて20kV、0.2nA、分析倍率3k倍の条件で測定した。
【0160】
図5は、実施例1による積層セラミックキャパシタの外部電極に対するSEM分析イメージである。
【0161】
図5を参照すれば、一実施形態による実施例1の場合、外部電極がキャパシタボディーの断面上で下部層及び上部層の二重層から形成されるのを確認することができる。
【0162】
[評価2:SEM-EDS分析]
実施例1で製造された積層セラミックキャパシタに対してSEM-EDS(走査電子顕微鏡-エネルギー分散型分光法)分析を行って、その結果を図6a及び6bに示した。
【0163】
SEM-EDS分析は次のように行われた。実施例1で製造された積層セラミックキャパシタ100をエポキシ混合液に入れて硬化させた後、研磨紙(sand paper)及びダイヤモンド懸濁液(diamond suspension)を用いて研磨(polishing)して、外部電極を観察することができるようにLT面を有する断面サンプルを得た。得られた断面サンプルを走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)で測定した。SEMは例えば、Tescan社のVega3を用いて20kV、0.2nA、分析倍率6005倍の条件で測定した。その次に、測定された断面サンプルのSEMイメージで、EDS(エネルギー分散型分光法)分析を行って、外部電極の下部層及び上部層に存在する各成分の含量を確認した。
【0164】
図6aは実施例1による外部電極の上部層に対する断面SEM-EDS分析イメージであり、図6bは実施例1による外部電極の下部層に対する断面SEM-EDS分析イメージである。
【0165】
図6a及び6bを参照すれば、一実施形態による実施例1の場合、外部電極の下部層に含まれる第1ガラスはアルミニウム(Al)を7.64原子%で含み、外部電極の上部層に含まれる第2ガラスはアルミニウム(Al)を16原子%で含むことが分かる。
【0166】
[評価3:SEM分析]
実施例1及び比較例1で製造された積層セラミックキャパシタに対してSEM(走査電子顕微鏡)分析を行って、外部電極の中心部及びコーナー部での厚さを測定して、その結果を図7a及び7bと下記表3に示した。
【0167】
SEM分析は評価1と同様な方法で行われた。得られた外部電極のSEMイメージで、積層セラミックキャパシタの厚さ方向(T軸方向)長さの中間地点を中心部Aとし、積層セラミックキャパシタの角地点をコーナー部Bと定義した。
【0168】
図7aは実施例1による積層セラミックキャパシタの外部電極に対する断面SEM-EDS分析イメージであり、図7bは比較例1による積層セラミックキャパシタの外部電極に対する断面SEM-EDS分析イメージである。
【0169】
【表3】
【0170】
上記表3と図7a及び7bを参照すれば、一実施形態による実施例1の場合、比較例1と比較して外部電極のコーナー部での厚さが増加することが分かる。
【0171】
[評価4:EPMA分析]
実施例1で製造された積層セラミックキャパシタに対してEPMA(電子探針微細分析器)分析を行って、その結果を図8及び下記表4に示した。
【0172】
EPMA分析は次のように行われた。実施例1で製造された積層セラミックキャパシタ100をエポキシ混合液に入れて硬化させた後、研磨紙(sand paper)及びダイヤモンド懸濁液(diamond suspension)を用いて研磨(polishing)して、外部電極を観察することができるようにLT面を有する断面サンプルを得た。得られた断面サンプルに対して15kVの電圧及び10k倍率条件でEPMA(電子探針微細分析器)分析を測定した。測定結果、外部電極の下部層及び上部層に存在する各元素のマッピング(mapping)及び元素別含量を確認した。
【0173】
図8は、実施例1による積層セラミックキャパシタの外部電極に対する断面EPMA分析イメージである。
【0174】
【表4】
【0175】
上記表4及び図8を参照すれば、実施例1の場合、外部電極の上部層に含まれる第2ガラス成分としてナトリウム(Na)及び鉄(Fe)が存在するのを確認することができる。
【0176】
一方、外部電極の下部層に少量検出されるナトリウム(Na)及び鉄(Fe)は外部電極の上部層形成時添加される酸化ナトリウム(NaO)及び酸化鉄(Fe)に由来して一部が下部層に拡散した成分と見られる。
【0177】
[評価5:耐湿信頼性]
実施例1及び比較例1で製造された積層セラミックキャパシタに対して耐湿信頼性を測定して、その結果を図9a及び9bに示した。
【0178】
具体的に、実施例1及び比較例1で製造された積層セラミックキャパシタをそれぞれ10個ずつ準備して測定基板に実装し、ESPEC(PR-3J、8585)装備を用いて85℃、相対湿度(R.H.)85%、6.3V及び24時間条件で測定した。
【0179】
図9aは実施例1による外部電極に対する耐湿信頼性を示すグラフであり、図9bは比較例1による外部電極に対する耐湿信頼性を示すグラフである。
【0180】
図9a及び9bを参照すれば、一実施形態によって外部電極が二重層から形成され、下部層及び上部層に各Alが異なる原子%で含まれる実施例1の場合、単一層から形成された比較例1と比較して、耐湿信頼性に優れていることが分かる。
【0181】
以上を通じて本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の説明及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0182】
100:積層セラミックキャパシタ
110:キャパシタボディー
111:誘電体層
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
10:第1下部層
20:第1上部層
30:第2下部層
40:第2上部層
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9a
図9b