(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025073994
(43)【公開日】2025-05-13
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250502BHJP
【FI】
H01G4/30 201M
H01G4/30 201N
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024146194
(22)【出願日】2024-08-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0144773
(32)【優先日】2023-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チャン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、セオン ヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】カン、スン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダエ ヒー
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】積層型電子部品及びそのカバー部に加わるアコースティックノイズを相殺させて信頼性及び寿命を向上させる。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層111及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含む容量形成部Ac及び上記容量形成部の上記第1方向の両端面に配置されるカバー部112、113を含む本体110と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記カバー部は、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO
3)系物質を含み、副成分として上記チタン酸バリウム(BaTiO
3)系物質を除く圧電セラミック物質を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、及び前記容量形成部の前記第1方向の両端面に配置されるカバー部を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記カバー部は、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含み、副成分として前記チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記カバー部は、複数の誘電体結晶粒を含み、
前記カバー部に含まれた複数の誘電体結晶粒は、前記チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含む第1誘電体結晶粒、及び前記圧電セラミック物質を含む第2誘電体結晶粒を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記カバー部に含まれた前記第1誘電体結晶粒の数をA、前記カバー部に含まれた前記第2誘電体結晶粒の数をBとするとき、B≦Aを満たす、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記カバー部に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち、前記第1誘電体結晶粒の個数比率は50%以上である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記カバー部に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち、前記第2誘電体結晶粒の個数比率は50%以下である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記圧電セラミック物質は、単結晶(single crystals)、延性ピエゾセラミック(soft piezoceramics)、硬質ピエゾセラミック(hard piezoceramics)、及び高温セラミック(high-temperature ceramics)のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記単結晶(single crystals)は、0.67PMN-0.33PT、0.71PMN-0.29PT、0.93PZN-0.07PT、0.91PZN-0.07PT、0.66PIN-0.34PT、KNNT、LiNbO3及びα-Quartzのうち少なくとも一つを含む、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記延性ピエゾセラミック(soft piezoceramics)は、PZT-5A、2.5Sm-PMN-29PT、textured PMN-PT、0.3PZN-0.7PZT、0.55PNN-0.135PZ-0.315PT、Textured(KNL)(NTS)O3、BNT、及びNKN-BZ-BLTのうち少なくとも一つを含む、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記硬質ピエゾセラミック(hard piezoceramics)は、KNN-KCN、PZT-4、PZT-8、PMMnN-PZT、PMMnN-PZT+0.2wt% CuO、0.015PSN-0.3PNN-0.685PZT、PMS-PZT、PMS-PNN-PZT、PNW-PMS-PZT、及びPSN-PZN-PZT-Mnのうち少なくとも一つを含む、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記高温セラミック(high-temperature ceramics)は、0.36BiScO3-0.64PbTiO3、0.4Bi(Ga1/4Sc3/4)O3-0.6PbTiO3、0.34BS-0.66PT-Mn、0.45Bi(Fe1/2Sc1/2)O3-0.55PbTiO3、0.98(0.36BiScO3-0.64PbTiO3)-0.02LiNbO3、0.63Bi(Mg1/2Ti1/2)O3-0.37PbTiO3、0.46[BiScO3+Bi(Ni1/2Ti1/2)O3]-0.54PbTiO3、及び0.35BiScO3-0.25Bi(Zr0.5Zn0.5)O3-0.625PbTiO3のうち少なくとも一つを含む、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記容量形成部のうち、前記カバー部との界面から前記容量形成部の中央部方向に10μm以内の領域は、前記圧電セラミック物質を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記容量形成部のうち、前記カバー部との界面から前記容量形成部の中央部方向に10μm以外の領域は、前記圧電セラミック物質を含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記容量形成部は、前記圧電セラミック物質を含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記カバー部は、前記容量形成部の第1方向の一面に配置される第1カバー部、及び前記容量形成部の第1方向の他面に配置される第2カバー部を含み、前記第1カバー部及び前記第2カバー部の前記第1方向の平均サイズはそれぞれ100μm以下である、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記本体は、前記第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面と連結され、第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、
前記本体の前記第5面及び前記第6面に配置されるサイドマージン部を含み、
前記サイドマージン部は、主成分として前記チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含み、副成分として前記圧電セラミック物質を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記誘電体層は、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち少なくとも一つを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記カバー部のチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質は、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち少なくとも一つを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種の電子機器が小型化、高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
より具体的には、小型化、集積化しているIT電子機器に対する需要が増加するにつれて、これらの装置に搭載されるアコースティックノイズ(acoustic noise)関連条件も厳しくなっており、結果的に、アコースティックノイズ特性の向上した製品が必要な実情である。
【0005】
既存のMLCCは、高周波が印加され作動するときに発生するアコースティックノイズに持続的に曝される場合、隣接する回路や装置に副影響を及ぼす可能性があり、又は電気的信号伝達を不安定にする可能性がある。また、持続的なアコースティックノイズの発生は、MLCC自体を変形させて信頼性及び耐久性を低下させる可能性があり、そのため、当該MLCCが含まれた機器を使用するユーザに騒音問題を引き起こすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、積層型電子部品に加わるアコースティックノイズを相殺させることである。
【0008】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、カバー部に加わるアコースティックノイズを相殺させることである。
【0009】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、積層型電子部品の信頼性及び寿命を向上させることである。
【0010】
但し、本発明が解決しようとするいくつかの課題は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、及び上記容量形成部の上記第1方向の両端面に配置されるカバー部を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記カバー部は、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含み、副成分として上記チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質を含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の様々な効果のうち一つは、積層型電子部品のアコースティックノイズを相殺させることである。
【0013】
本発明の様々な効果のうち一つは、カバー部のアコースティックノイズを相殺させることである。
【0014】
本発明の様々な効果のうち一つは、積層型電子部品の信頼性及び寿命を向上させることである。
【0015】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものである。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
【
図4】
図2のP領域拡大図の微細構造を概略的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張することができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0018】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0020】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図3は、
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図4は、
図2のP領域拡大図の微細構造を概略的に示すものである。
【0021】
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は誘電体組成物を利用する様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどにも適用することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層111と第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含む容量形成部Ac、及び上記容量形成部Acの上記第1方向の両端面に配置されるカバー部112、113を含む本体110と、上記本体110上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記カバー部112、113は、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含み、副成分として上記チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質を含むことができる。
【0023】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていてもよい。
【0024】
より具体的に、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0025】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程において本体110に含まれたセラミック粒子の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0026】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1面1及び第2面2、第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面3及び第4面4、第1面1、第2面2、第3面3及び第44と連結され、第3方向に互いに対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0027】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0028】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り限定されない。一般に、ペロブスカイト(ABO3)系材料を用いることができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粒子を含むことができ、セラミック粒子の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)等が挙げられる。
【0029】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粒子に本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0030】
但し、容量形成部Acに含まれる誘電体層111は、後述するチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質を含まないことがあり、又は圧電セラミック物質が焼成されて形成される圧電セラミック物質を含む誘電体結晶粒を含まないことがある。
【0031】
ここで、容量形成部Acが圧電セラミック物質を含まないというのは、誘電体層111のセラミックシートとなる誘電体スラリー(slurry)に圧電セラミック物質を添加しないことを意味するものであり得る。一方、焼成過程において、カバー部112、113となるカバー部用誘電体シートから容量形成部Acの中央部方向に圧電セラミック物質が拡散して容量形成部Acのうちカバー部112、113との界面付近の領域で圧電セラミック物質が検出されることがあるが、これは、カバー部用誘電体シートから圧電セラミック物質が拡散したことによるものであり得る。
【0032】
ここで、容量形成部Acのうちカバー部112、113との界面付近の領域は、例えば、容量形成部Acとカバー部112、113との界面から容量形成部Acの中央部方向に10μm以内の領域を意味することができる。すなわち、圧電セラミック物質は、容量形成部Acとカバー部112、113のそれぞれの界面から容量形成部Acの中央部方向に10μm以内の領域に含まれることができ、当該領域における圧電セラミック物質の原子百分率(at%)は5at%以下、又は当該領域における圧電セラミック物質を含む誘電体結晶粒の個数比率は5%以下であることができる。
【0033】
但し、容量形成部Acのうち、カバー部112、113との界面以外の領域、例えば、容量形成部Acとカバー部112、113との界面から容量形成部Acの中央部方向に10μm以外の領域では、圧電セラミック物質を含まないことがあり、又は圧電セラミック物質を含む誘電体結晶粒を含まないことがある。
【0034】
また、これに関する説明は、積層型電子部品100がサイドマージン部114、115を含む場合にも同様に適用することができる。
【0035】
すなわち、容量形成部Acのうちサイドマージン部114、115との界面付近の領域で圧電セラミック物質が検出されることがあるが、これは、サイドマージン部用誘電体シートから圧電セラミック物質が拡散したことによるものであり得る。
【0036】
容量形成部Acのうちサイドマージン部114、115との界面付近の領域は、例えば、容量形成部Acとサイドマージン部114、115との界面から容量形成部Acの中央部方向に10μm以内の領域を意味することができる。すなわち、圧電セラミック物質は、容量形成部Acとサイドマージン部114、115のそれぞれの界面から容量形成部Acの中央部方向に10μm以内の領域に含まれることができ、当該領域における圧電セラミック物質の原子百分率(at%)は5at%以下、又は当該領域における圧電セラミック物質を含む誘電体結晶粒の個数比率は5%以下であることができる。
【0037】
但し、容量形成部Acのうちサイド部114、115との界面以外の領域、例えば、容量形成部Acとサイドマージン部114、115との界面から容量形成部Acの中央部方向に10μm以外の領域では、圧電セラミック物質を含まないことがあり、又は圧電セラミック物質を含む誘電体結晶粒を含まないことがある。
【0038】
誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0039】
但し、積層型電子部品の高容量化を達成するために誘電体層111の厚さは3.0μm以下であってもよく、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは1.0μm以下であってもよく、好ましくは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0040】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0041】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味することができる。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0042】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111の第1方向の平均サイズは、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層111を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値を意味することができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0043】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されることができる。
【0044】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1内部電極121及び第2内部電極122は本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。
【0045】
より具体的に、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0046】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0047】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0048】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0049】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0051】
但し、積層型電子部品の高容量化を達成するために内部電極121、122の厚さは1.0μm以下であってもよく、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0052】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0053】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極の第1方向の平均サイズは、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0054】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されるカバー部112、113を含むことができる。
【0055】
より具体的に、カバー部112、113は、容量形成部Acの第1方向の一面に配置される第1カバー部112、及び容量形成部Acの第1方向の他面に配置される第2カバー部113を含むことができる。
【0056】
ここで、第1カバー部112は容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112とすることができ、第2カバー部113は容量形成部Acの第2方向の下部に配置される下部カバー部113とすることができる。
【0057】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0058】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができ、チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質をさらに含むことができる。
【0059】
すなわち、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100において、上部及び下部カバー部112、113は、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含むことができ、副成分として上記チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質を含むことができる。
【0060】
上述したように、小型化、集積化しているIT電子機器に対する需要が増加するにつれて、これらの装置に搭載されるアコースティックノイズ(acoustic noise)関連条件も厳しくなっており、結果的に、アコースティックノイズ特性の向上した製品が必要な実情である。
【0061】
既存のMLCCは、高周波が印加され動作するときに発生するアコースティックノイズに持続的に曝される場合、隣接する回路や装置に副影響を及ぼす可能性があり、又は電気的信号伝達を不安定にする可能性がある。また、持続的なアコースティックノイズの発生は、MLCC自体を変形させて信頼性及び耐久性を低下させる可能性があり、そのため、当該MLCCが含まれた機器を使用するユーザに騒音問題を引き起こすおそれがある。
【0062】
このような問題点を解決するために、アコースティックノイズの低いチップを設計する研究が行われているが、本発明は、アコースティックノイズの低いチップを設計するのではなく、交流電圧が印加されて積層型電子部品に発生する振動とは反対の振動を発生させ、振動によるノイズを相殺させることができる効果があり得る。
【0063】
一般に、圧電素材(piezoelectric material)は、圧電効果を用いて電気エネルギーを運動エネルギーに変換するか、又は逆圧電効果を用いて運動エネルギーを電気エネルギーに変換する性質を有する素材である。圧電効果は正圧電効果と逆圧電効果とに分けられるが、正圧電効果は、圧電素子を変形すると電気エネルギーが発生する効果であり、逆圧電効果は、圧電素子に電気エネルギーを加えると変位が発生する効果である。このうち、逆圧電効果は様々な分野で応用され、圧電センサ(piezoelectric sensor)、アクチュエータ(actuator)、モータ(motor)などに適用している。
【0064】
そこで、本発明は、圧電効果又は逆圧電効果を利用し、積層型電子部品に加わる電歪応力を相殺して部品の信頼性を向上させることができる効果を奏することができる。
【0065】
本発明で説明する圧電セラミック物質とは、チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質を意味することができる。
【0066】
そして、本発明において「主成分」とは、他の成分に比べて相対的に多い原子百分率を占める成分を意味することができ、全組成物又は全誘電体層の原子の総数を基準として50at%以上の成分を意味することができる。「副成分」とは、他の成分に比べて、相対的に少ない原子百分率を占める成分を意味することができ、全組成物又は全誘電体層の原子の総数を基準として50at%未満の成分を意味することができる。
【0067】
圧電セラミック物質は、単結晶(single crystals)、延性ピエゾセラミック(soft piezoceramics)、硬質ピエゾセラミック(hard piezoceramics)、及び高温セラミック(high-temperature ceramics)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0068】
より具体的に、単結晶(single crystals)は、0.67PMN-0.33PT(0.67Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-0.33PbTiO3)、0.71PMN-0.29PT(0.71Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-0.29PbTiO3)、0.93PZN-0.07PT(0.93Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-0.07PbTiO3)、0.91PZN-0.07PT(0.91Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-0.07PbTiO3)、0.66PIN-0.34PT(0.66Pb(In1/2Nb1/2)O3-0.34PbTiO3)、KNNT(Potassium Sodium Niobate Tantalate)、LiNbO3(Lithium Niobate)及びα-Quartz(Alpha Quartz、SiO2)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0069】
単結晶形態の圧電セラミック物質は、焼成過程で結晶形態を維持することができ、焼成後にもカバー部112、113において単結晶形態であることができる。
【0070】
単結晶の有無又は単結晶物質を確認する方法としては、例えば、X線回折法(X-ray Diffraction、XRD)を用いて測定したとき、測定されるピーク(peak)を介して検出される結晶格子の構造を確認して単結晶の有無を確認することができ、あるいは検出されるピークから具体的な単結晶物質を確認することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0071】
延性ピエゾセラミック(soft piezoceramics)は、PZT-5A(Lead Zirconate Titanate-5A)、2.5Sm-PMN-29PT(2.5% Samarium-doped Lead Magnesium Niobate-29Lead Titanate)、textured PMN-PT(Textured Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate)、0.3PZN-0.7PZT(Lead Zirconate Titanate-Lead Zirconate Titanate)、0.55PNN-0.135PZ-0.315PT(Lead Niobate-Lead Zirconate-Lead Titanate)、Textured(KNL)(NTS)O3(Textured Potassium Sodium Niobate Tantalate)、BNT(Bismuth Sodium Titanate)、及びNKN-BZ-BLT(NaNbO3-BaZrO3-BiLa4Ti3O12)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0072】
硬質ピエゾセラミック(hard piezoceramics)は、KNN-KCN(Potassium Sodium Niobate-Potassium Calcium Niobate)、PZT-4(Lead Zirconate Titanate-4)、PZT-8(Lead Zirconate Titanate-8)、PMMnN-PZT(Lead Magnesium Manganese Niobate-Lead Zirconate Titanate)、PMMnN-PZT+0.2wt% CuO(Lead Magnesium Manganese Niobate-Lead Zirconate Titanate with 0.2% Copper Oxide)、0.015PSN-0.3PNN-0.685PZT(Lead Strontium Niobate-Lead Nickel Niobate-Lead Zirconate Titanate)、PMS-PZT(Lead Magnesium Strontium-Niobate-Lead Zirconate Titanate)、PMS-PNN-PZT(Lead Magnesium Strontium-Niobate-Lead Nickel Niobate-Lead Zirconate Titanate)、PNW-PMS-PZT(Lead Niobate-Lead Magnesium Strontium-Niobate-Lead Zirconate Titanate)、及びPSN-PZN-PZT-Mn(Lead Strontium Niobate-Lead Zinc Niobate-Lead Zirconate Titanate with Manganese)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0073】
高温セラミック(high-temperature ceramics)は、0.36BiScO3-0.64PbTiO3(Bismuth Scandium Oxide-Lead Titanium Oxide)、0.4Bi(Ga1/4Sc3/4)O3-0.6PbTiO3(Bismuth Gallium Scandium Oxide-Lead Titanium Oxide)、0.34BS-0.66PT-Mn(Bismuth Scandium Oxide-Lead Titanium Oxide with Manganese)、0.45Bi(Fe1/2Sc1/2)O3-0.55PbTiO3(Bismuth Iron Scandium Oxide-Lead Titanium Oxide)、0.98(0.36BiScO3-0.64PbTiO3)-0.02LiNbO3(Bismuth Scandium Oxide-Lead Titanium Oxide with Lithium Niobate)、0.63Bi(Mg1/2Ti1/2)O3-0.37PbTiO3、0.46[BiScO3+Bi(Ni1/2Ti1/2)O3]-0.54PbTiO3(Bismuth Magnesium Titanium Oxide-Lead Titanium Oxide)、及び0.35BiScO3-0.25Bi(Zr0.5Zn0.5)O3-0.625PbTiO3(Bismuth Scandium Oxide-Bismuth Nickel Titanium Oxide-Lead Titanium Oxide)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0074】
本発明の一実施形態において、カバー部112、113は複数の誘電体結晶粒を含み、複数の誘電体結晶粒はチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含む第1誘電体結晶粒10、及び上述の圧電セラミック物質を含む第2誘電体結晶粒20を含むことができる。
【0075】
カバー部112、113が圧電セラミック物質を含む第2誘電体結晶粒20を含むことにより、圧電効果又は逆圧電効果を効果的に実現することができ、積層型電子部品100に加わるアコースティックノイズを相殺させて、電歪応力を減少させることで、積層型電子部品100の信頼性及び寿命を向上させることができる。
【0076】
誘電体結晶粒を測定する方法としては、例えば、カバー部の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)又は第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)を用いて測定することができ、エネルギー分散X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectrometer、EDS)モードでバリウム(Ba)、チタン(Ti)、及び酸素(O)元素を同時に含む誘電体結晶粒を第1誘電体結晶粒10と解釈することができ、圧電セラミック物質に含まれた元素を含む誘電体結晶粒を第2誘電体結晶粒20と解釈することができる。
【0077】
また、カバー部112、113が第2誘電体結晶粒20を含む場合、第1誘電体結晶粒10のみが含まれた場合と比較して、LCR meter、Impedance analyzer、d33 meterなどの装備を用いて誘電定数、誘電損失、周波数特性などを測定したとき、互いに異なることがあり、又は製品によっては圧電特性などが改善されることもできる。このような圧電物質測定装備を介して第2誘電体結晶粒20を含むか否かを測定することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0078】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100において、カバー部112、113に含まれた第1誘電体結晶粒10の数をA、カバー部112、113に含まれた第2誘電体結晶粒20の数をBとするとき、カバー部112、113はB≦Aを満たすことができる。すなわち、カバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち、第2誘電体結晶粒20よりも第1誘電体結晶粒10がさらに多くてもよい。ここで、カバー部112、113がB≦Aを満たすとは、上部カバー部112がB≦Aを満たすか、又は下部カバー部113がB≦Aを満たすことを意味することができ、あるいは、上部及び下部カバー部112、113がB≦Aを満たすことを意味することができる。
【0079】
例えば、
図2及び
図4を参照して説明すると、上述したカバー部の断面(cross-section)を基準として10μm×10μm領域に含まれる第1誘電体結晶粒10の数をA、第2誘電体結晶粒20の数をBと定義することができ、当該領域がB≦Aを満たすことを意味することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0080】
カバー部112、113に含まれた第1誘電体結晶粒の数(A)及び第2誘電体結晶粒の数(B)がB≦Aを満たすことにより、カバー部112、113に加わるアコースティックノイズによる電歪応力を効果的に減少させるとともに、カバー部112、113の強度を維持し、内部電極121、122を十分に保護することができる。
【0081】
カバー部112、113に含まれた第1誘電体結晶粒の数(A)及び第2誘電体結晶粒の数(B)がA<Bの場合、カバー部112、113に加わるアコースティックノイズによる電歪応力をより効果的に減少させることができるが、カバー部112、113の強度が低下するため、内部電極121、122を十分に保護できないという問題が生じるおそれがある。
【0082】
あるいは、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100において、カバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第1誘電体結晶粒10の個数比率は50%以上であることができ、又はカバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒20の個数比率は50%以下であることができる。ここで、「カバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第1誘電体結晶粒10の個数比率は50%以上であることができ、又はカバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒20の個数比率は50%以下であることができる」とは、上部カバー部112又は下部カバー部113のうち少なくとも一つに含まれた複数の誘電体結晶粒のうち、第1誘電体結晶粒10の個数比率が50%以上であり得ること、又はカバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち、第2誘電体結晶粒20の個数比率が50%以下であり得ることを意味することができる。例えば、上述したカバー部の断面(cross-section)を基準として10μm×10μm領域に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち、第1誘電体結晶粒10の個数比率が50%以上であることができ、又は複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒20の個数比率が50%以下を満たすことを意味することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0083】
カバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第1誘電体結晶粒の個数比率が50%以上であるか、又はカバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒の個数比率が50%以下を満たすことにより、カバー部112、113に加わるアコースティックノイズによる電歪応力を効果的に減少させるとともに、カバー部112、113の強度を維持し、内部電極121、122を十分に保護することができる。
【0084】
カバー部112、113に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第1誘電体結晶粒の個数比率が50%未満であるか、又はカバー部112、113に含まれる複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒の個数比率が50%を超える場合、カバー部112、113に加わるアコースティックノイズによる電歪応力をより効果的に減少させることができるが、カバー部112、113の強度が低下するため、内部電極121、122を十分に保護できないという問題が生じるおそれがある。
【0085】
一方、カバー部112、113の厚さtcは特に限定する必要はない。
【0086】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品においては、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0087】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味することができる。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0088】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つのカバー部をスキャンしたイメージにおいて、第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値を意味することができる。
【0089】
また、上述した方法で測定したカバー部の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)において、カバー部の第1方向の平均サイズと実質的に同じサイズを有することができる。
【0090】
一方、積層型電子部品100は、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上に配置されるサイドマージン部114、115を含むことができる。
【0091】
より具体的に、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114、及び本体110の第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。
【0092】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を基準として、第1方向及び第2内部電極121、122の第3方向の両端面(end-surface)と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0093】
サイドマージン部114、115は、容量形成部Acに適用されるセラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成される箇所を除いて、導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end-surface)上に第3方向に積層して形成することもできる。
【0094】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0095】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができ、チタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質をさらに含むことができる。
【0096】
すなわち、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100において、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、主成分としてチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含むことができ、副成分としてチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を除く圧電セラミック物質を含むことができる。
【0097】
以下において、サイドマージン部114、115に関連する圧電セラミック物質に対する説明は、カバー部112、113に関連する圧電セラミック物質に対する説明と同一であり得るため、重複内容は省略することができる。
【0098】
但し、サイドマージン部114、115に含まれた圧電セラミック物質は、カバー部112、113に含まれた圧電セラミック物質と同じ圧電セラミック物質を必ずしも含む必要はなく、異なる圧電セラミック物質を含んでもよく、複数の圧電セラミック物質を含む場合、複数の圧電セラミック物質の全てが異なってもよく、又は少なくとも一つの圧電セラミック物質が同一であってもよい。
【0099】
すなわち、カバー部112、113に含まれた圧電セラミック物質を第1圧電セラミック物質と定義することができ、サイドマージン部114、115に含まれた圧電セラミック物質を第2圧電セラミック物質と定義することができ、第1圧電セラミック物質及び第2圧電セラミック物質は、同一又は異なることができ、あるいは一部の同じ圧電セラミック物質を互いに含むことができる。
【0100】
サイドマージン部114、115に含まれる圧電セラミック物質は、カバー部112、113に含まれる圧電セラミック物質と同様に、単結晶(single crystals)、延性ピエゾセラミック(soft piezoceramics)、硬質ピエゾセラミック(hard piezoceramics)、及び高温セラミック(high-temperature ceramics)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0101】
本発明の一実施形態において、サイドマージン部114、115は複数の誘電体結晶粒を含み、複数の誘電体結晶粒はチタン酸バリウム(BaTiO3)系物質を含む第1誘電体結晶粒、及び上述した圧電セラミック物質を含む第2誘電体結晶粒を含むことができる。
【0102】
サイドマージン部114、115が圧電セラミック物質を含む第2誘電体結晶粒20を含むことにより、圧電効果又は逆圧電効果を効果的に実現することができ、積層型電子部品100に加わるアコースティックノイズを相殺させ、電歪応力を減少させることで、積層型電子部品100の信頼性及び寿命を向上させることができる。
【0103】
誘電体結晶粒を測定する方法としては、例えば、サイドマージン部を含む積層型電子部品の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができ、エネルギー分散X線分光法(EDS)モードでバリウム(Ba)、チタン(Ti)、及び酸素(O)元素を同時に含む誘電体結晶粒を第1誘電体結晶粒と解釈することができ、圧電セラミック物質に含まれた元素を含む誘電体結晶粒を第2誘電体結晶粒と解釈することができる。
【0104】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100において、サイドマージン部114、115に含まれた第1誘電体結晶粒の数をA、第2誘電体結晶粒の数をBとするとき、サイドマージン部114、115はB≦Aを満たすことができる。すなわち、サイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち、第2誘電体結晶粒よりも第1誘電体結晶粒がさらに多くてもよい。
【0105】
ここで、サイドマージン部114、115に含まれた第1誘電体結晶粒の数をA、第2誘電体結晶粒の数をBと定義するものの、これは、カバー部112、113に含まれた第1誘電体結晶粒の数(A)、及び第2誘電体結晶粒の数(B)とは異なることがあり、通常の技術者であれば、カバー部とサイドマージン部に対する説明を区分して理解することができる。
【0106】
例えば、上述したサイドマージン部の断面(cross-section)を基準として10μm×10μm領域に含まれた第1誘電体結晶粒10の数をA、第2誘電体結晶粒20の数をBと定義することができ、当該領域がB≦Aを満たすことを意味することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0107】
サイドマージン部114、115に含まれた第1誘電体結晶粒の数(A)及び第2誘電体結晶粒の数(B)がB≦Aを満たすことにより、サイドマージン部114、115に加わるアコースティックノイズによる電歪応力を効果的に減少させるとともに、サイドマージン部114、115の強度を維持し、内部電極121、122を十分に保護することができる。
【0108】
サイドマージン部114、115に含まれた第1誘電体結晶粒の数(A)及び第2誘電体結晶粒の数(B)がA<Bの場合、サイドマージン部114、115に加わるアコースティックノイズによる電歪応力をより効果的に減少させることができるが、サイドマージン部114、115の強度が低下するため、内部電極121、122を十分に保護できないという問題が生じるおそれがある。
【0109】
あるいは、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100において、サイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第1誘電体結晶粒の個数比率は50%以上であることができ、又はサイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒の個数比率は50%以下であることができる。
【0110】
例えば、上述したサイドマージン部の断面(cross-section)を基準として10μm×10μm領域に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第1誘電体結晶粒の個数比率が50%以上であることができ、又は複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒の個数比率が50%以下を満たすことを意味することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0111】
サイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第1誘電体結晶粒の個数比率が50%以上であるか、又はサイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒の個数比率が50%以下を満たすことにより、サイドマージン部114、115に加わるアコースティックノイズによる電歪応力を効果的に減少させるとともに、サイドマージン部114、115の強度を維持し、内部電極121、122を十分に保護することができる。
【0112】
サイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第1誘電体結晶粒の個数比率が50%未満であるか、又はサイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち第2誘電体結晶粒の個数比率が50%を超える場合、サイドマージン部114、115に加わるアコースティックノイズによる電歪応力をより効果的に減少させることができるが、サイドマージン部114、115の強度が低下するため、内部電極121、122を十分に保護できないという問題が生じるおそれがある。
【0113】
一方、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115の幅wmは特に限定する必要はない。
【0114】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、サイドマージン部114、115の幅wmは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品においては、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0115】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の第3方向のサイズを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味することができ、サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができる。
【0116】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つのサイドマージン部をスキャンしたイメージにおいて、第1方向に等間隔である10個の地点で第3方向のサイズを測定して計算した平均値を意味することができる。
【0117】
本発明の一実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0118】
外部電極131、132は本体110上に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0119】
より具体的に、外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置され、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結される第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0120】
また、外部電極131、132は、本体110の第1面1及び第2面2上の一部に延びて配置されることができ、又は本体110の第5面5及び第6面6上の一部に延びて配置されることができる。すなわち、第1外部電極131は、本体110の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6上の一部、及び本体110の第3面3上に配置されることができ、第2外部電極132は、本体110の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6上の一部、及び本体110の第3面3上に配置されることができる。
【0121】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに多層構造を有してもよい。
【0122】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層及び電極層上に配置されるめっき層131c、132cを含むことができる。
【0123】
電極層に対するより具体的な例を挙げると、電極層は、第1導電性金属及びガラスを含む焼成電極である第1電極層131a、132aを含むか、又は第2導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極である第2電極層131b、132bを含むことができる。
【0124】
ここで、第1導電性金属は第1電極層131a、132aに含まれた導電性金属を意味することができ、第2導電性金属は第2電極層131b、132bに含まれた導電性金属を意味することができる。このとき、第1導電性金属及び第2導電性金属は同一又は異なってもよく、同じ金属物質を含んでもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0125】
また、電極層は、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であってもよい。
【0126】
また、電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0127】
電極層131a、132a、131b、132bに含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができ、例えば、導電性金属はニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0128】
本発明の一実施形態において、電極層131a、132a、131b、132bは、第1電極層131a、132a及び第2電極層131b、132bを含む2層の構造を有することができ、これにより、外部電極131、132は、導電性金属及びガラスを含む第1電極層131a、132a及び上記第1電極層131a、132a上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む第2電極層131b、132bを含むことができる。
【0129】
第1電極層131a、132aは、ガラスを含むことにより本体110との接合性を向上させる役割を果たし、第2電極層131b、132bは樹脂を含むことにより曲げ強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0130】
第1電極層131a、132aに使用される導電性金属は、静電容量の形成のために上記内部電極121、122と電気的に連結できる材質であれば特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。第1電極層131a、132aは、上記導電性金属粒子にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0131】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、第1電極層131a、132aと電気的に連結されるようにする役割を果たすことができる。
【0132】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、電極層131a、132aと電気的に連結できる材質であれば特に限定されず、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択される一つ以上を含むことができる。
【0133】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、球状粒子及びフレーク状粒子のうち1以上を含むことができる。すなわち、導電性金属はフレーク状粒子のみからなるか、又は球状粒子のみからなることができ、フレーク状粒子と球状粒子とが混合された形態であることもできる。ここで、球状粒子は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粒子とは、平たいかつ細長い形態を有する粒子を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)は1.95以上であってもよい。上記球状粒子及びフレーク状粒子の長軸と短軸の長さは、セラミック電子部品の第3方向の中央部で切断した第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得られたイメージから測定することができる。
【0134】
第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性確保及び衝撃吸収の役割を果たすことができる。第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粒子と混合してペーストを作製できるものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0135】
また、第2電極層131b、132bは、複数の金属粒子、金属間化合物及び樹脂を含むことができる。上記金属間化合物を含むことにより、第1電極層131a、132aとの電気的連結性をより向上させることができる。上記金属間化合物は、複数の金属粒子を連結して電気的連結性を向上させる役割を果たし、複数の金属粒子を囲んで互いに連結する役割を果たすことができる。
【0136】
このとき、上記金属間化合物は、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むことができる。すなわち、上記金属間化合物が樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むため、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属が乾燥及び硬化工程を経る過程で溶融し、金属粒子の一部と金属間化合物を形成して金属粒子を囲むようになる。このとき、金属間化合物は、好ましくは300℃以下の低融点金属を含むことができる。
【0137】
例えば、213℃~220℃の融点を有するSnを含むことができる。乾燥及び硬化工程を経る過程でSnが溶融し、溶融したSnがAg、Ni又はCuのような高融点の金属粒子を毛細管現象により湿らし、Ag、Ni又はCu金属粒子の一部と反応してAg3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5、Cu3Snなどの金属間化合物を形成するようになる。反応に関与しなかったAg、Ni又はCuは金属粒子の形態で残る。
【0138】
したがって、上記複数の金属粒子は、Ag、Ni及びCuのうち一つ以上を含み、上記金属間化合物は、Ag3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5及びCu3Snのうち一つ以上を含むことができる。
【0139】
めっき層131c、132cは、実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0140】
めっき層131c、132cの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む単一層のめっき層131c、132cであってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0141】
めっき層131c、132cに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131c、132cはNiめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a、131b、132b上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよい。また、めっき層131c、132cは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0142】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0143】
但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、3216(長さ×幅:3.2mm×1.6mm)サイズ以下の積層型電子部品100において本発明に係る効果がより顕著になり得る。
【0144】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0145】
また、本発明において使用される「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解されることができる。
【0146】
本発明において使用される用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0147】
10:第1誘電体結晶粒
20:第2誘電体結晶粒
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:サイドマージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極