(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007404
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コンテナ扉固定治具及びコンテナ扉固定方法
(51)【国際特許分類】
B65D 90/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65D90/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108782
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】309028097
【氏名又は名称】株式会社NAAファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小名木 武基
(72)【発明者】
【氏名】松戸 耕一
(72)【発明者】
【氏名】野村 忠敏
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 研吾
(72)【発明者】
【氏名】平野 勲
(72)【発明者】
【氏名】増子 信幸
(72)【発明者】
【氏名】木内 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 康晃
(72)【発明者】
【氏名】高木 浩
(72)【発明者】
【氏名】福井 真二
(72)【発明者】
【氏名】西條 豊
(72)【発明者】
【氏名】松戸 高文
(72)【発明者】
【氏名】須藤 透
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 次男
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170RA20
3E170WF10
(57)【要約】
【課題】上部に開口を有するコンテナに使用することができ、かつ、扉に隣接する位置に障害物があった場合であっても扉を開いた状態に固定することが可能なコンテナ扉固定治具及びコンテナ扉固定方法を提供する。
【解決手段】複数の側面のうちの少なくとも一面が開放されたコンテナ本体と、該コンテナ本体の開放面を開閉可能な回転式のコンテナ扉とを備えるコンテナに用いられ、コンテナ本体の開放面に隣接する側面の上縁部に取り付け可能な本体側取付部と、開状態のコンテナ扉の上縁部に取り付け可能な扉側取付部と、本体側取付部及び扉側取付部を接続する接続部とを備え、本体側取付部が取り付けられた側面の延在方向に沿って、コンテナ扉の開状態を維持可能に構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側面のうちの少なくとも一面が開放されたコンテナ本体と、該コンテナ本体の開放面を開閉可能な回転式のコンテナ扉とを備えるコンテナに用いられるコンテナ扉固定治具であって、
前記コンテナ本体の開放面に隣接する側面の上縁部に取り付け可能な本体側取付部と、
開状態の前記コンテナ扉の上縁部に取り付け可能な扉側取付部と、
前記本体側取付部及び前記扉側取付部を接続する接続部と
を備え、
前記本体側取付部が取り付けられた前記側面の延在方向に沿って、前記コンテナ扉の開状態を維持可能に構成されている
コンテナ扉固定治具。
【請求項2】
前記扉側取付部は、
前記コンテナ扉の外面に設けられる扉側第1支持部と、
前記コンテナ扉の内面に設けられる扉側第2支持部と
を備え、
前記扉側取付部は、前記扉側第1支持部と、前記扉側第2支持部との間に前記コンテナ扉の前記上縁部を挿入可能に構成されており、かつ、前記扉側第1支持部と前記扉側第2支持部との間隔を調整可能に構成されている
請求項1に記載のコンテナ扉固定治具。
【請求項3】
前記本体側取付部は、
前記コンテナ本体の外面に設けられる本体側第1支持部と、
前記コンテナ本体の内面に設けられる本体側第2支持部と
を備え、
前記本体側取付部は、前記本体側第1支持部と、前記本体側第2支持部との間に前記コンテナ本体の前記側面の前記上縁部を挿入可能に構成されており、かつ、前記本体側第1支持部と前記本体側第2支持部との間隔を調整可能に構成されている
請求項1又は2に記載のコンテナ扉固定治具。
【請求項4】
前記接続部は、把持部を備える
請求項1又は2に記載のコンテナ扉固定治具。
【請求項5】
前記接続部は、
前記コンテナ本体の側面と対向する位置に設けられ、前記本体側取付部と、前記扉側取付部とを離間した状態で接続する長尺状のベース部と、
前記ベース部に交差する方向に延びるフランジ部と
を備える
請求項1又は2に記載のコンテナ扉固定治具。
【請求項6】
前記ベース部は、長手方向に沿って貫通孔が複数設けられている
請求項5に記載のコンテナ扉固定治具。
【請求項7】
前記フランジ部は、注意喚起情報が表示されている
請求項5に記載のコンテナ扉固定治具。
【請求項8】
前記ベース部は、ステンレス鋼によって形成されている
請求項5に記載のコンテナ扉固定治具。
【請求項9】
複数の側面のうちの少なくとも一面が開放されたコンテナ本体と、該コンテナ本体の開放面を開放可能な回転式のコンテナ扉とを備えるコンテナの前記コンテナ扉の固定方法であって、
前記コンテナ本体の前記開放面に隣接する側面の上縁部にコンテナ扉固定治具の一方の取付部を取り付けるステップと、
開状態の前記コンテナ扉の上縁部に前記コンテナ扉固定治具の他方の取付部を取り付けるステップと
を備え、
前記コンテナ扉固定治具の一方の取付部が取り付けられた前記コンテナ本体の前記側面の延在方向に沿って、前記コンテナ扉の開状態を維持する
コンテナ扉固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ扉固定治具及びコンテナ扉固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業廃棄物や集配物を収容する際に使用する入れ物としてコンテナが用いられている。従来のコンテナは、その使用時にコンテナ扉を開き、コンテナ内部に廃棄物や集配物を収容するよう構成されている。その際の利便性の向上や安全性確保の観点からコンテナ扉を開いた状態に維持する装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のコンテナ扉固定装置では、コンテナ本体の上面に形成した穴部にガイドピンを用いて係合する必要があることから、上部に開口を有するコンテナに対しては使用することができない。
【0005】
また、特許文献1に記載のコンテナ扉固定装置では、扉を180度開いた状態でないと固定できないという問題がある。そのため、例えば扉の開放方向に隣接する位置に建造物や障害物が存在する場合には、扉を180度開くことができないため、扉を開き状態に固定することができず、扉が意図せず閉じることによって作業従事者が怪我をするおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、上部に開口を有するコンテナに使用することができ、かつ扉に隣接する位置に障害物があった場合であっても扉を開いた状態に固定することが可能なコンテナ扉固定治具及びコンテナ扉固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係るコンテナ扉固定治具は、複数の側面のうちの少なくとも一面が開放されたコンテナ本体と、該コンテナ本体の開放面を開閉可能な回転式のコンテナ扉とを備えるコンテナに用いられ、前記コンテナ本体の前記開放面に隣接する側面の上縁部に取り付け可能な本体側取付部と、開状態の前記コンテナ扉の上縁部に取り付け可能な扉側取付部と、前記本体側取付部及び前記扉側取付部を接続する接続部とを備え、前記本体側取付部が取り付けられた前記側面の延在方向に沿って、前記コンテナ扉の開状態を維持可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るコンテナ扉固定治具において、前記扉側取付部は、前記コンテナ扉の内面に設けられる扉側第1支持部と、前記コンテナ扉の外面に設けられる扉側第2支持部とを備え、前記扉側取付部は、前記扉側第1支持部と、前記扉側第2支持部との間に前記コンテナ扉の前記上縁部を挿入可能に構成されており、かつ、前記扉側第1支持部と前記扉側第2支持部との間隔を調整可能に構成されていることが好ましい。
【0009】
本発明に係るコンテナ扉固定治具において、前記本体側取付部は、前記コンテナ本体の外面に設けられ前記コンテナ本体を支持する本体側第1支持部と、前記コンテナ本体の内面に設けられ前記コンテナ扉を支持する本体側第2支持部を備え、前記本体側取付部は、前記本体側第1支持部と、前記本体側第2支持部との間に前記コンテナ本体の前記側面の前記上縁部を挿入可能に構成されており、かつ、前記本体側第1支持部と前記本体側第2支持部との間隔を調整可能に構成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るコンテナ扉固定治具において、前記接続部は、把持部を備えていても良い。
【0011】
本発明に係るコンテナ扉固定治具において、前記接続部は、前記コンテナ本体の側面と対向する位置に設けられ、前記本体側取付部と、前記扉側取付部とを離間した状態で接続する長尺状のベース部と、前記ベース部に交差する方向に延びるフランジ部をさらに備えていても良い。
【0012】
本発明に係るコンテナ扉固定治具において、前記ベース部は、長手方向に沿って貫通孔が複数設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るコンテナ扉固定治具において、前記フランジ部は、注意喚起情報が表示されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るコンテナ扉固定治具において、前記ベース部は、ステンレス鋼によって形成されていることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るコンテナ扉固定方法は、複数の側面のうちの少なくとも一面が開放されたコンテナ本体と、該コンテナ本体の開放面を開放可能な回転式のコンテナ扉とを備えるコンテナの前記コンテナ扉の固定方法であって、前記コンテナ本体の前記開放面に隣接する側面の上縁部にコンテナ扉固定治具の一方の取付部を取り付けるステップと、開状態の前記コンテナ扉の上縁部に前記コンテナ扉固定治具の他方の取付部を取り付けるステップとを備え、前記コンテナ扉固定治具の一方の取付部が取り付けられた前記コンテナ本体の前記側面の延在方向に沿って、前記コンテナ扉の開状態を維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上部に開口を有するコンテナに使用することができ、かつ、扉に隣接する位置に障害物があった場合であっても扉を開いた状態に固定することが可能なコンテナ扉固定治具及びコンテナ扉固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係るコンテナ扉固定治具を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るコンテナ扉固定治具を示す左側面図である。
【
図3】本実施形態に係るコンテナ扉固定治具を示す右側面図である。
【
図4】本実施形態に係るコンテナ扉固定治具の使用時における正面斜視図である。
【
図5】本実施形態に係るコンテナ扉固定治具の使用時における背面斜視図である。
【
図7】コンテナに本実施形態に係るコンテナ扉固定治具を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。なお、本明細書中における「内面」及び「外面」とは、コンテナ扉が閉じた状態におけるコンテナの内周面及び外周面のことを示す。
【0019】
[コンテナ扉固定治具の全体構成]
本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1は、コンテナ本体101及びコンテナ扉102を備えるコンテナ100に用いられるコンテナ扉固定治具である。コンテナ扉固定治具1は、
図1~
図5に示すように、コンテナ本体101の開放面111に隣接する側面110aの上縁部に取り付け可能な本体側取付部2と、開状態のコンテナ扉102の上縁部に取り付け可能な扉側取付部3と、本体側取付部2及び扉側取付部3を接続する接続部4とを備えている。以上の構成を備えることにより、コンテナ扉固定治具1は、本体側取付部2が取り付けられた側面110aの延在方向に沿って、コンテナ扉102の開状態を維持可能に構成されている。
【0020】
[コンテナの構成]
まず、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1が用いられるコンテナ100の一例について、
図6を用いて説明する。本実施形態に係るコンテナ100は、
図6に示すように、複数の側面110のうちの少なくとも一面(本実施形態では一面のみ)が開放されたコンテナ本体101と、該コンテナ本体101の開放面111を開閉可能な回転式のコンテナ扉102とを備えている。
【0021】
本実施形態において、コンテナ本体101は、矩形状の底面(図示せず)と、該底面の3つの縁から上方に向けて突設された3つの側面110とを備える矩箱状に形成されており、その内部に産業廃棄物や集配物を収容可能に構成されている。コンテナ本体101は、側面110が設けられていない底面の縁部分(一辺)が開放面111となっており、平面視において略コの字状に形成されている。また、コンテナ本体101は、上面が開放された上面開放型のコンテナである。なお、コンテナ本体101は、当該構成に限定されず、本発明に係るコンテナ扉固定治具を取り付け可能な構成であれば、種々の公知のコンテナを採用することが可能である。
【0022】
コンテナ扉102は、コンテナ本体101の開放面111を覆うよう一対設けられている。一方のコンテナ扉102は、開放面111に隣接する一方の側面110の開放側端部にヒンジを介して取り付けられており、開放面111の半分を覆うよう構成されている。他方のコンテナ扉102は、開放面111に隣接する他方の側面110の開放側端部にヒンジを介して取り付けられており、開放面111の残りの半分を覆うよう構成されている。これら一対のコンテナ扉102は、それぞれ独立して、ヒンジを中心として開閉可能に構成されている。なお、コンテナ扉102は、当該構成に限定されず、本発明に係るコンテナ扉固定治具を取り付け可能な構成であれば、種々の公知の方式のコンテナ扉を採用することが可能である。
【0023】
[コンテナ扉固定治具の詳細構成]
次に、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1の各構成について、
図1~
図5を用いて説明する。
【0024】
[接続部の構成]
図1~
図4に示すように、接続部4は、本体側取付部2と扉側取付部3とを離間した状態で接続する長尺板状のベース部41と、該ベース部41に設けられた長尺板状のフランジ部42とを備えている。また、接続部4は、使用者が把持可能な把持部43をさらに備えている。
【0025】
ベース部41は、コンテナ扉固定治具1の使用時において、コンテナ本体101の側面110aに対向する位置に設けられることが好ましい。本実施形態において、ベース部41は、金属により構成され、主にステンレス鋼によって形成されることが好ましいが、これに限定されず、種々の公知の素材を用いることができる。なお、ベース部41は、水平方向が長手方向となり、上下方向が短手方向となる長尺な板状に形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。ベース部41は、本体側取付部2と扉側取付部3とを離間した状態で接続する観点から、長手方向に90cm以上100cm以下の長さを備えることが好ましい。
【0026】
ベース部41は、
図1に示すように、長手方向の中央を境とした一方側に本体側取付部2が設けられ、他方側に扉側取付部3が設けられることにより、本体側取付部2と扉側取付部3とを離間した状態で接続する。具体的には、ベース部41は、長手方向の中央を境とした一方側に、本体側取付部2を該ベース部41に固定するための本体側締結部44を備え、他方側に、扉側取付部3をベース部41に固定するための扉側締結部45を備える。
【0027】
さらに、ベース部41は、
図1に示すように、長手方向に沿って一定の間隔をおいて、複数の貫通孔47が形成されている。各貫通孔47は、楕円形状に形成され、本体側締結部44及び扉側締結部45を取り付け可能に構成されている。本体側締結部44は、ベース部41の長手方向の中央を境とした一方側に形成された任意の貫通孔47に取り付けられており、扉側締結部45は、他方側に形成された任意の貫通孔47に取り付けられている。
【0028】
具体的には、本体側締結部44及び扉側締結部45は、本体側取付部2及び扉側取付部3を互いに離間した状態でベース部41に螺合する。より具体的には、
図2に示すように、本体側締結部44は、後述する本体側取付部2の内面支持部26及びベース部41の貫通孔47を挿通する締付ボルト44aと、該締付ボルト44aを挿通させる挿通部46と、該締付ボルト44aを係合するナット44bと、該締付ボルト44aに取付けられるワッシャー44cとを備えることにより、該本体側取付部2をベース部41に螺合するよう構成されている。また、
図3に示すように、扉側締結部45は、後述する扉側取付部3の内面支持部36及びベース部41の貫通孔47を挿通する締付ボルト45aと、該締付ボルト45aを挿通させる挿通部46と、該締付ボルト45aを係合するナット45bと、該締付ボルト45aに取付けられるワッシャー45cとを備えることにより、該扉側取付部3をベース部41に螺合することが好ましい。なお、本実施形態では、本体側締結部44及び扉側締結部45の取り付け位置の調整やベース部41の軽量化の観点から、貫通孔47が複数形成されているが、これに限定されず、中央を境とした両側に一つずつ形成される構成であっても良い。また、本体側締結部44及び扉側締結部45が貫通孔47を要しない場合には、貫通孔47が設けられない構成であっても良い。
【0029】
把持部43は、本体側取付部2及び扉側取付部3を接続するように構成される。具体的には、
図1に示すように、把持部43は、長手方向の一端部が、後述する本体側取付部2に対して蝶ねじ23により連結され、他端部が、扉側取付部3に対して蝶ねじ33により連結されることによって、本体側取付部2から扉側取付部3に亘って掛け渡されている。なお、把持部43は、該蝶ねじ23及び該蝶ねじ33を緩めることにより、本体側取付部2及び扉側取付部3から取り外すことが可能に構成されることが好ましい。また、把持部43は、図示の形状に限定されず、把持可能な形状であれば種々の公知の形状を採用可能である。
【0030】
フランジ部42は、
図1に示すように、ベース部41の下端から、該ベース部41に交差する方向に延出する、長尺状の金属板で形成されることが好ましい。なお、フランジ部42は、ベース部41に対して鈍角又は鋭角で交差する方向に延出する構成であっても良いが、直角(90°)に延出する構成であることが好ましい。また、本実施形態においてベース部41と、フランジ部42は一枚の金属板から一体に形成されているが、これに限られず、フランジ部42がベース部41に外付けされる別部材であっても良い。
【0031】
フランジ部42の表面には、
図1及び
図4に示すように注意喚起情報48が表示されている。該注意喚起情報48を表示する方法としては、例えば、フランジ部42の表面にJIS規格における安全色のうち、注意警告色である「黄」と、対比色である「黒」の色彩で構成された樹脂製の布テープを貼り付けることが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、注意喚起を目的とする標識をフランジ部42に接着する構成や、フランジ部42の表面に注意喚起の表示を投影するなど、少なくとも作業従事者が危険を認識することが可能な構成であれば、様々な構成を採用することができる。
【0032】
[本体側取付部の構成]
本体側取付部2は、
図2に示すように、コンテナ本体101の外面に設けられる本体側第1支持部21と、該コンテナ本体101の内面に設けられる本体側第2支持部22と、該本体側第1支持部21及び該本体側第2支持部22に設けられた挿通孔(図示せず)を挿通する、蝶ねじ23を備える。
【0033】
本体側第1支持部21は、
図2に示すように、外面支持部24と、本体側延出部25を備え、全体として断面L字状に形成されている。外面支持部24は、コンテナ本体101の外面に隣接するように折り曲げ形成された金属板で構成されることが好ましく、本体側延出部25は、コンテナ本体101の上縁部から、コンテナ本体101の側面110aと対向する方向に延出する金属板で構成されることが好ましい。
【0034】
本体側延出部25は、蝶ねじ23のシャフト部が挿通可能な挿通孔を備えており、該挿通孔は、蝶ねじ23の挿通位置を調節することが可能となるように縦長に形成されることが好ましい。なお、外面支持部24及び本体側延出部25は、一枚の金属板で一体に形成されていることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、外面支持部24が本体側延出部25の基端部に接合される構成であっても良い。
【0035】
本体側第2支持部22は、
図2に示すように、コンテナ本体101の側面110aに近接する位置に折り曲げ形成された内面支持部26と、コンテナ本体101の側面110aの上縁部に沿う位置に設けられた押圧部27とを備え、全体として断面L字状に形成されている。押圧部27は、蝶ねじ23のシャフト部が挿通可能な挿通孔を備えている。なお、内面支持部26及び押圧部27は、一枚の金属板で一体に形成されることが好ましいが、これに限られるものではなく、例えば、内面支持部26が押圧部27の基端部に接合される構成であっても良い。
【0036】
本体側第1支持部21及び本体側第2支持部22は、本体側第1支持部21の外面支持部24と本体側第2支持部22の内面支持部26とが互いに対向するように、本体側第1支持部21の本体側延出部25と本体側第2支持部22の押圧部27とを重ね合わせ、本体側第1支持部21及び本体側第2支持部22の各挿通孔に蝶ねじ23を締結させることにより、組み立てられている。本体側取付部2は、このようにして本体側第1支持部21及び本体側第2支持部22が組み立てられた状態において、本体側第1支持部21の外面支持部24と本体側第2支持部22の内面支持部26との間に、コンテナ本体101の側面110の上縁部を挿入させることが可能に構成されている。また、蝶ねじ23の締結位置を調整することにより、本体側第1支持部21の外面支持部24と本体側第2支持部22の内面支持部26との間隔を調整可能に構成されている。
【0037】
[扉側取付部の構成]
扉側取付部3は、
図3に示すように、コンテナ扉102の外面に設けられる扉側第1支持部31と、該コンテナ扉102の内面に設けられる扉側第2支持部32と、該扉側第1支持部31及び該扉側第2支持部32に設けられた挿通孔(図示せず)を挿通する、蝶ねじ33を備える。
【0038】
扉側第1支持部31は、
図3に示すように、外面支持部34と、扉側延出部35を備え、全体として断面L字状に形成されている。外面支持部34は、開状態のコンテナ扉102の外面に隣接するように折り曲げ形成された金属板で構成されることが好ましく、扉側延出部35は、コンテナ扉102の上縁から、コンテナ扉102の内面と対向する方向に延出する金属板で構成されることが好ましい。
【0039】
扉側延出部35は、蝶ねじ33のシャフト部が挿通可能な挿通孔を備えており、該挿通孔は、蝶ねじ33の挿通位置を調節することが可能となるように縦長に形成されることが好ましい。なお、外面支持部34及び扉側延出部35は、一枚の金属板で一体に形成されていることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば外面支持部34が扉側延出部35の基端部に接合される構成であっても良い。
【0040】
扉側第2支持部32は、
図3に示すように、コンテナ扉102の内面に近接する位置に折り曲げ形成された内面支持部36と、コンテナ扉102の上縁部に沿う位置に設けられた押圧部37とを備え、全体として断面L字状に形成されている。押圧部37は、蝶ねじ33のシャフト部が挿通可能な挿通孔を備えている。なお、本実施形態において、内面支持部36及び押圧部37は、一枚の金属板で一体に形成されていることが好ましいが、これに限られるものではなく、例えば内面支持部36が押圧部37の基端部に接合される構成であっても良い。
【0041】
扉側第1支持部31及び扉側第2支持部32は、扉側第1支持部31の外面支持部34と扉側第2支持部32の内面支持部36とが互いに対向するように、扉側第1支持部31の扉側延出部35と扉側第2支持部32の押圧部37とを重ね合わせ、扉側第1支持部31及び扉側第2支持部32の各挿通孔に蝶ねじ33を締結させることにより、組み立てられている。扉側取付部3は、このようにして扉側第1支持部31及び扉側第2支持部32が組み立てられた状態において、扉側第1支持部31の外面支持部34と扉側第2支持部32の内面支持部36との間に、コンテナ扉102の上縁部を挿入させることが可能に構成されている。また、蝶ねじ33の締結位置を調整することにより、扉側第1支持部31の外面支持部34と扉側第2支持部32の内面支持部36との間隔を調整可能に構成されている。
【0042】
[コンテナ扉固定治具の取付方法]
次に、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1の取付方法について説明する。コンテナ扉固定治具1をコンテナ100に取り付ける際には、本体側取付部2をコンテナ本体101の開放面111に隣接する側面110aの上縁部に取り付け、扉側取付部3を開状態のコンテナ扉102の上縁部に取り付ける。具体的には、
図8に示すように、本体側第1支持部21と、本体側第2支持部22との間の開口にコンテナ本体101の上縁部を挿入した後、該本体側第1支持部21と、該本体側第2支持部22との間隔をコンテナ本体101の上縁部の幅に合わせて調整し、該本体側第1支持部21及び該本体側第2支持部22が備える挿通孔を挿通する蝶ねじ23を締めることにより、蝶ねじ23と本体側第1支持部21及び本体側第2支持部22がコンテナ本体101の上縁部を押圧し、コンテナ本体101に対して本体側取付部2が取り付けされる。
【0043】
上記の工程後、
図9に示すように、扉側第1支持部31と、扉側第2支持部32との間の開口に、開状態のコンテナ扉102の上縁部を挿入した後、該扉側第1支持部31と、該扉側第2支持部との間隔をコンテナ扉102の上縁部の幅に合わせて調整し、該扉側第1支持部31及び該扉側第2支持部32が備える挿通孔を挿通する蝶ねじ33を締めることで、蝶ねじ33と、扉側第1支持部31及び扉側第2支持部32がコンテナ扉102の上縁部を押圧し、コンテナ扉102に対して扉側取付部3が取り付けされる。
【0044】
以上のような工程を経ることにより、コンテナ100に対してコンテナ扉固定治具1が取り付けされる。反対に、コンテナ扉固定治具1を取り外す場合は、蝶ねじ23を緩めることで、コンテナ本体101の側面110aの上縁部から本体側取付部2が取り外され、蝶ねじ33を緩めることで、コンテナ扉102の上縁部から扉側取付部3が取り外されるため、コンテナ100からコンテナ扉固定治具1を取り外すことができる。なお、本体側取付部2及び扉側取付部3を取り付ける工程は、上述した順番に限られるものではなく、各順番が前後しても構わないし、同時に実行されても構わない。
【0045】
[コンテナ扉固定方法]
次に、
図4~7を用いて、コンテナ扉固定治具1を用いたコンテナ扉固定方法について詳細に説明する。本実施形態に係るコンテナ扉固定方法は、概略的には、複数の側面110のうちの少なくとも一面が開放されたコンテナ本体101と、該コンテナ本体101の開放面111を開放可能な回転式のコンテナ扉102とを備えるコンテナ100のコンテナ扉102の固定方法であって、コンテナ本体101の開放面111に隣接する側面110の上縁部にコンテナ扉固定治具1の一方の取付部(本体側取付部2)を取り付けるステップと、開状態のコンテナ扉102の上縁部にコンテナ扉固定治具1の他方の取付部(扉側取付部3)を取り付けるステップとを備え、コンテナ扉固定治具1の一方の取付部が取り付けられたコンテナ本体101の側面110の延在方向に沿って、コンテナ扉102の開状態を維持する方法である。以下、その具体的な方法について説明するが、コンテナ扉固定治具1をコンテナ100に取り付ける工程については上述したコンテナ扉固定治具の取付方法と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0046】
まず、
図6に示すように、開閉自在に構成されるコンテナ扉102を、コンテナ本体101の1つの側面110aの延在方向に沿って開放する。ここで、コンテナ本体101の1つの側面110aに「沿って」とは、コンテナ扉102が閉状態から90度程度開放され、コンテナ本体101の1つの側面110aとコンテナ扉102が略一直線となった状態であることを意味する。ここでいう「90度程度」とは、コンテナ扉102の開放角度が90度(直角)である場合に限定されず、例えば80度~100度程度の場合も含むことを意味する。
【0047】
次に、
図4及び
図5に示すように、コンテナ本体101の1つの側面110aの上縁部に本体側取付部2を挿入し、開状態のコンテナ扉102の上縁に扉側取付部3を挿入する。
【0048】
その後、上述したように本体側取付部2及び扉側取付部3をそれぞれコンテナ本体101及びコンテナ扉102に取り付けることにより、
図7に示すように、接続部4が、コンテナ本体101の1つの側面110aと、コンテナ扉102の内面に対向する位置に設けられ、該コンテナ扉102が該側面110aの延在する方向に沿って固定される。なお、扉側取付部3は、扉側第1支持部31と、該扉側第2支持部32との間隔を調整することによりコンテナ扉102の固定の態様を変更することも可能に構成される。すなわち、扉側第1支持部31と扉側第2支持部32の間隔を、該扉側第1支持部がコンテナ扉102に当接する位置まで調節し、蝶ねじ33により押圧することで、開状態の該コンテナ扉102をその開状態の角度で不動に固定することができる。反対に、扉側第1支持部31と扉側第2支持部32の間隔を、該扉側第1支持部がコンテナ扉102に当接しない位置に調節することにより、開状態のコンテナ扉102を僅かに揺動可能な状態で係止することができる。
【0049】
[本実施形態に係るコンテナ扉固定治具の利点]
このように、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1は、コンテナ本体101の開放面111に隣接する側面110aの上縁部に取り付け可能な本体側取付部2と、開状態の該コンテナ扉102の上縁部に取り付け可能な該扉側取付部3と該本体側取付部2及び該扉側取付部3を接続する接続部4とを備え、該本体側取付部2が取り付けられた側面110aの延在方向に沿って、該コンテナ扉102の開状態を維持可能に構成されている。
【0050】
このような構成を備えるコンテナ扉固定治具1によれば、開状態のコンテナ扉102をコンテナ本体101の1つの側面110aの延在方向に沿って固定することが可能となるため、コンテナ本体101の付近に障害物が存在し、コンテナ扉102を満足に開放することができない状況であっても、コンテナ扉102を開いた状態で固定し、作業時における負傷の発生率を抑えることができるという利点を有する。また、コンテナの上部に開口を有するコンテナに対して使用することが可能であるという利点も有する。
【0051】
また、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1では、扉側取付部3が、コンテナ扉102の外面に設けられる扉側第1支持部31と、該コンテナ扉102の内面に設けられる扉側第2支持部32とを備え、該扉側取付部3は、該扉側第1支持部31と、該扉側第2支持部32との間に該コンテナ扉102の上縁部を挿入可能に構成されており、かつ、扉側第1支持部31と該扉側第2支持部32との間隔を調整可能に構成されている。本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1は、このような構成を備えることにより、コンテナ扉102の厚みに関わらず、コンテナ扉102を固定することが可能であるという利点も有する。
【0052】
また、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1では、本体側取付部2が、コンテナ本体101の外面に設けられる本体側第1支持部21と、コンテナ本体101の内面に設けられる本体側第2支持部22とを備え、該本体側取付部2は、本体側第1支持部21と、本体側第2支持部22との間にコンテナ本体101の側面110の上縁部を挿入可能に構成されており、かつ、本体側第1支持部21と本体側第2支持部22との間隔を調整可能に構成されている。本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1は、このような構成を備えることにより、コンテナ本体101の側面110の厚みに関わらず、コンテナ本体101の側面110に取り付けることが可能であるという利点も有する。
【0053】
さらに、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1は、接続部4が、把持部43を備えることにより、持ち運びが容易であるという利点も有する。
【0054】
さらにまた、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1の接続部4は、コンテナ本体101の側面110と対向する位置に設けられ、本体側取付部2と、扉側取付部3とを離間した状態で接続する長尺状のベース部41と、該ベース部41に交差する方向に延びるフランジ部42とを備えることにより、コンテナ扉102が閉じる方向に対して強い剛性を備えるという利点も有する。
【0055】
また、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1のベース部41は、長手方向に沿って貫通孔47が複数設けられていることにより、コンテナ扉固定治具1を軽量化できるという利点も有する。
【0056】
また、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1のフランジ部42は、注意喚起情報48が表示されていることにより、作業従事者が接触等しないように注意喚起をすることができ、作業従事者の負傷リスクを軽減することが可能であるという利点を有する。
【0057】
また、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1のベース部41は、ステンレス鋼によって形成されていることにより、錆に強く長期にわたって使用可能であるとともに、軽量で持ち運びが容易であるという利点も有する。
【0058】
[変形例]
本発明に係るコンテナ扉固定治具は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行うことができる。
【0059】
例えば、上述した実施形態においてコンテナ扉102の外面に設けられる扉側第1支持部31と、該コンテナ扉102の内面に設けられる扉側第2支持部32とを備え、該扉側取付部3は、該扉側第1支持部31と、該扉側第2支持部32との間に該コンテナ扉102の上縁部を挿入可能に構成されており、かつ、扉側第1支持部31と該扉側第2支持部32との間隔を調整可能に構成されているものとして説明したが、これに限られず、扉側第1支持部31と該扉側第2支持部32との間隔が不動に固定されていても良い。また、本体側第1支持部21及び本体側第2支持部22についても同様に、間隔が不動に固定されていても良い。
【0060】
また、本実施形態において接続部4が、把持部43を備えるものとして説明したが、これに限られず把持部43を備えなくても良い。
【0061】
また、本実施形態において長尺状のベース部41は、該ベース部41に交差する方向に延びるフランジ部42を備えるものとして説明したが、これに限られず、フランジ部42がベース部41に交差する方向に延びていなくともよいし、フランジ部42を備えていなくともよい。
【0062】
また、上述した実施形態において、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1のベース部41は、長手方向に沿って貫通孔47が複数設けられているものとして説明したが、これに限られず、貫通孔47を備えなくとも良い。
【0063】
また、本実施形態に係るコンテナ扉固定治具1のフランジ部42は、注意喚起情報48が表示されているものとして説明したが、これに限られず、注意喚起情報48が表示されていなくとも良い。
【0064】
さらに、上述した実施形態において、ベース部41は、ステンレス鋼によって形成されるものとして説明したが、これに限られず、例えば、チタン合金等公知の種々の金属材料により形成されていても良い。
【0065】
上記のような変更例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0066】
1 :コンテナ扉固定治具
2 :本体側取付部
3 :扉側取付部
4 :接続部
21 :本体側第1支持部
22 :本体側第2支持部
23 :蝶ねじ
24 :外面支持部
25 :本体側延出部
26 :内面支持部
27 :押圧部
31 :扉側第1支持部
32 :扉側第2支持部
33 :蝶ねじ
34 :外面支持部
35 :扉側延出部
36 :内面支持部
37 :押圧部
41 :ベース部
42 :フランジ部
43 :把持部
44 :本体側締結部
44a :締付ボルト
44b :ナット
44c :ワッシャー
45 :扉側締結部
45a :締付ボルト
45b :ナット
45c :ワッシャー
46 :挿通部
47 :貫通孔
48 :注意喚起情報
100 :コンテナ
101 :コンテナ本体
102 :コンテナ扉
110 :側面
110a :側面
111 :開放面