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特開2025-7413無線通信装置、無線通信方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007413
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/20 20090101AFI20250109BHJP
   H04W 40/28 20090101ALI20250109BHJP
   H04W 4/80 20180101ALI20250109BHJP
【FI】
H04W84/20
H04W40/28
H04W4/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108795
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】金銅 剛史
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067JJ41
(57)【要約】
【課題】リモートデバイスからの要求を考慮しつつ、通信のパフォーマンス低下を抑制する。
【解決手段】無線通信装置は、複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで通信を行う通信回路と、同じ規格の通信で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL(L:1以上の整数)+1未満の場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を受諾しリモートデバイスに対して通信回路の役割をペリフェラルに設定し、同じ規格の通信で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL+1以上の場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否し、リモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定するプロセッサと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで通信を行う通信回路と、
同じ規格の通信で前記通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL(L:1以上の整数)+1未満の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定し、同じ規格の通信で前記通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL+1以上の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定するプロセッサと、を備える、
無線通信装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記リモートデバイスのいずれとも前記通信回路が接続されていない状態から、前記リモートデバイスに対して前記通信回路を接続した後、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し、その後前記通信回路が前記リモートデバイスへ前記セントラルの獲得要求を出力しないように前記通信回路を制御する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記リモートデバイスのいずれとも接続されていない状態から、前記リモートデバイスから接続された後、前記リモートデバイスへ前記セントラルの獲得要求を所定の回数出力し、
前記リモートデバイスが前記獲得要求を受諾する場合、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定し、
前記リモートデバイスが前記獲得要求を受諾しない場合、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記リモートデバイスが前記セントラルの獲得要求を受諾し前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定した後、前記リモートデバイスから前記セントラルの獲得要求を受信した場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾する、
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、既に1台以上の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続されている状態から、新たに別のリモートデバイスに対して前記通信回路を接続した後、前記別のリモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
既に1台以上の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続されている状態から、新たに別のリモートデバイスから前記通信回路が接続された後、前記別のリモートデバイスへ前記セントラルの獲得要求を所定の回数出力し、
前記別のリモートデバイスが前記セントラルの獲得要求を受諾する場合、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定し、
前記別のリモートデバイスが前記セントラルの獲得要求を受諾しない場合、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記別のリモートデバイスが前記セントラルの獲得要求を受諾し前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定した後、前記別のリモートデバイスから前記セントラルの獲得要求を受信した場合、前記別のリモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否する、
請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記通信回路は、Bluetooth(登録商標)規格に則って前記通信を行う、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記通信回路は、前記複数のリモートデバイスに対して前記セントラルまたは前記ペリフェラルのモードで第1の規格および第2の規格に準拠する通信を行う、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記第1の規格に準拠する通信で前記リモートデバイス1台と前記通信回路とを接続し、かつ前記第2の規格に準拠する通信でかつ前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定してL+1台未満の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続している場合、前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と接続している前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定し、
前記第1の規格に準拠する通信で前記リモートデバイス1台と前記通信回路とを接続し、かつ前記第2の規格に準拠する通信でかつ前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定してL+1台以上の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続している場合、前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と接続している前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定し、
前記第1の規格に準拠する通信で前記リモートデバイス2台以上と前記通信回路とが接続している場合、前記第1の規格に準拠する通信で接続している前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、前記リモートデバイスに対して前記前記通信回路の役割を前記セントラルに設定する、
請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記第1の規格に準拠する通信で前記リモートデバイスと前記通信回路とが1台も接続されておらず、かつ前記第2の規格に準拠する通信でかつ前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定してL+1台未満の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続している場合、前記第1の規格に準拠する通信で前記リモートデバイスに対して前記通信回路を接続した後、前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と接続している前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し、その後前記通信回路が前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と接続している前記リモートデバイスへ前記セントラルの獲得要求を出力しないように前記通信回路を制御し、
前記第1の規格に準拠する通信で前記リモートデバイスと前記通信回路とが1台も接続されておらず、かつ前記第2の規格に準拠する通信でかつ前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定してL+1台未満の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続している場合、前記第1の規格に準拠する通信で前記リモートデバイスから前記通信回路に接続された後、前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路に接続している前記リモートデバイスへ前記セントラルの獲得要求を所定の回数出力し、前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路に接続している前記リモートデバイスが前記セントラルの獲得要求を受諾する場合、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定し、前記通信回路の役割を前記セントラルに設定した後、前記第1の規格に準拠する通信で接続している前記リモートデバイスから前記セントラルの獲得要求を受諾し、
前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路が前記リモートデバイスと1台も接続されておらず、かつ前記第2の規格に準拠する通信でかつ前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定してL+1台未満の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続している場合、前記第1の規格に準拠する通信で前記リモートデバイスから前記通信回路に接続された後、前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と接続している前記リモートデバイスへ前記セントラルの獲得要求を所定の回数出力し、前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と接続している前記リモートデバイスが前記セントラルの獲得要求を受諾しない場合、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定する、
請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と前記リモートデバイス1台とを接続し、かつ前記第2の規格に準拠する通信でかつ前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定してL+1台未満の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続している場合、新たに別のリモートデバイスに対して前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と接続した後、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、
前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と前記リモートデバイス1台とを接続し、かつ前記第2の規格に準拠する通信でかつ前記通信回路の役割を前記ペリフェラルとしてL+1台未満の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続している場合、新たに別のリモートデバイスから前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路が接続された後、前記別のリモートデバイスへ前記セントラルの獲得要求を所定の回数出力し、前記別のリモートデバイスが前記セントラルの獲得要求を受諾する場合、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定し、前記通信回路の役割を前記セントラルに設定した後、前記別のリモートデバイスから前記セントラルの獲得要求を受信した場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、
前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路と前記リモートデバイス1台とが接続し、かつ前記第2の規格に準拠する通信でかつ前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定してL+1台未満の前記リモートデバイスと前記通信回路とが接続している場合、新たに別のリモートデバイスから前記第1の規格に準拠する通信で前記通信回路に接続された後、前記別のリモートデバイスへ前記セントラルの獲得要求を所定の回数出力し、前記別のリモートデバイスが前記セントラルの獲得要求を受諾しない場合、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定する、
請求項10に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記第1の規格は、Bluetooth Classic規格であり、
前記第2の規格は、Bluetooth Low Energy規格であり、
前記第1の規格と前記第2の規格とが同じデバイスでデュアルモードとして同時動作する、
請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項14】
複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで通信を行い、
同じ規格で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL(L:1以上の整数)+1未満の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割をペリフェラルに設定し、
同じ規格で前記通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL+1以上の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定する、
無線通信方法。
【請求項15】
複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで通信を行う処理と、
同じ規格で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL(L:1以上の整数)+1未満の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定する処理と、
同じ規格で前記通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL+1以上の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置、無線通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハンズフリー通話に関する第1プロファイルおよびオーディオに関する第2プロファイルを含む複数のプロファイルを用いて、通信端末と通信可能な通信部を備える無線通信システムが開示されている。また、無線通信システムは、当該通信部と通信している通信端末から通信部に送信されたパケット情報に拡張同期パケットが含まれない場合に、通信部の役割をマスターからスレーブに切り替えることを禁止する制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5976259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、通信機器は、複数台のリモートデバイスとの接続が考慮されており、お互いが通信のセントラル(Central)を取りたいケースが多くなってきている。無線通信装置は、例えば、車載機である。リモートデバイスは、例えば、スマートフォンである。なお、無線通信装置およびリモートデバイスは、上述した例に限られない。
【0005】
特許文献1では、通信機器は、通信するリモートデバイスが拡張同期パケットに対応しているか否かに応じて、セントラルからペリフェラル(Peripheral)へ、またはペリフェラルからセントラルへと役割を切り替えるロールスイッチ(Role Switch)を行う。
【0006】
しかしながら、近年、拡張同期パケットは多くのリモートデバイスで対応している。そのため、通信機器が複数台のリモートデバイスに対しペリフェラルとなり、通信速度の低下、通信遅延量の増加または接続安定性の低下といったパフォーマンスの低下が生じる恐れがある。
【0007】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、リモートデバイスからの要求を考慮しつつ、通信のパフォーマンス低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで通信を行う通信回路と、同じ規格の通信で前記通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL(L:1以上の整数)+1未満の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定し、同じ規格の通信で前記通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL+1以上の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定するプロセッサと、を備える、無線通信装置を提供する。
【0009】
また、本開示は、複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで通信を行い、同じ規格で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL(L:1以上の整数)+1未満の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割をペリフェラルに設定し、同じ規格で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL+1以上の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定する、無線通信方法を提供する。
【0010】
また、本開示は、複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで通信を行う処理と、同じ規格で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL(L:1以上の整数)+1未満の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を受諾し前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記ペリフェラルに設定する処理と、同じ規格で前記通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL+1以上の場合、前記リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、前記リモートデバイスに対して前記通信回路の役割を前記セントラルに設定する処理と、をコンピュータに実行させる、プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リモートデバイス側へ一定の配慮をしつつ、自装置のパフォーマンス低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る無線通信システムの構成例を示す図
図2】実施の形態1に係る無線通信装置のハードウェア構成を示すブロック図
図3】実施の形態1に係る無線通信装置のソフトウェアプログラムの階層構造を示す図
図4】Classic接続台数が0台の場合のロールスイッチ制御の処理を示すフローチャート
図5】Classic接続台数が1台の場合のロールスイッチ制御の処理を示すフローチャート
図6】Classic自接続またはClassic被接続発生時に当該Classic自接続またはClassic被接続が発生したデバイス以外のClassic接続済みデバイスが存在する場合の処理を示すフローチャート
図7】無線通信装置に複数台のリモートデバイスがClassic接続されており、Classic接続の切断が発生した場合の処理を示すフローチャート
図8】実施の形態2に係る無線通信装置100Aのソフトウェアプログラムの階層構造を示す図
図9】Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満の場合の処理を示すフローチャート
図10】Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上の場合の処理を示すフローチャート
図11】Classic接続台数が1台以上でありかつBLEペリフェラル接続台数が任意の場合の処理を示すフローチャート
図12】Classic接続済みのリモートデバイスが存在する場合のClassic切断発生時の第1の処理のフローチャート
図13】Classic接続済みのリモートデバイスが存在する場合のClassic切断発生時の第2の処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本開示に係る無線通信装置、無線通信装置の制御方法およびプログラムを具体的に開示した実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
Bluetooth(登録商標)は近距離無線通信規格の1つであり、Bluetooth Classic(Basic Rate / Enhanced Data Rate:BR/EDR)とBluetooth Low Energy から構成される。以下、Bluetoothを「BT」と、Bluetooth Classic を「Classic」と、Bluetooth Low Energyを「BLE」と称する。
【0015】
Classicでは、ピコネット(piconet)という単位で、各デバイスはセントラルまたはペリフェラルの役割を担い、通信が行われる。セントラルは通信の主導権を握るデバイスであり、セントラルに同時に接続できるペリフェラルの数は最大7までとなる。また、セントラルとして動作しているデバイスが同時に他ピコネットのペリフェラルとして動作することも許しており、このトポロジは「スキャッターネット(Scatternet)」と呼ばれる。
【0016】
BLEにおいても同様に、セントラルおよびペリフェラルの2種類の役割が存在する。Classicと同様に、BLEにおいてもセントラルが通信の主導権を握る。また、一つのペリフェラルが複数のセントラルと同時に接続を確立することも可能となる。
【0017】
複数のBTデバイスと同時接続する場合、自デバイスが複数台のリモートデバイスに対してそれぞれペリフェラルになると、複数台分の異なるBluetoothクロックを識別し、そのクロックを独立したクロックとして維持・管理できるようにする必要がある。そのため、BTコントローラの性能や実装にも依存するが、通信速度の低下や通信の遅延量の増加、接続安定性の低下といったパフォーマンスの低下が生じることが知られている。パフォーマンスの低下は、自デバイスとリモートデバイスとの間のリンクロスにつながり得る。
【0018】
また、Classicでは、セントラルからペリフェラルへ、または、ペリフェラルからセントラルへと役割の切り替わりを接続中の他のデバイスへ要求することができる。役割の切り替わりはロールスイッチと呼ばれる。ロールスイッチを要求されたデバイスは、これを許可または拒否することができる。
【0019】
従来、ハンズフリー通話に関する第1プロファイルおよびオーディオに関する第2プロファイルを含む複数のプロファイルを用いて、通信端末とClassicでの通信可能な無線通信装置が存在する。無線通信装置は、通信しているリモートデバイスから送信されたパケット情報に拡張同期パケットが含まれない場合に、通信部の役割をセントラルからペリフェラルに切り替えることを禁止するものが知られている(例えば特許文献1参照)。なお、Bluetooth CORE SPECIFICATION Version 5.2までは、Classic側のロールは、セントラルはマスターと、ペリフェラルはスレーブと呼ばれていた。Bluetooth CORE SPECIFICATION Version 5.3以降では、Classic側のロールもBLEに合わせてセントラルと、ペリフェラルと用語が統一されている。本文ではClassic側のロールとして、セントラルとペリフェラルとを使用する。
【0020】
近年、無線通信装置およびリモートデバイスの双方とも複数台のデバイスとの接続が考慮されており、お互いが通信のセントラルを取りたいケースが多くなってきている。例えば、無線通信装置の一例である車載機では、Hands Free Profile(以下、「HFP」と称する)をサポートするメインデバイス1台、サブデバイス1台、Advanced Audio Distribution Profile(以下、「A2DP」と称する)/A/V Remote Control Profile(以下、「AVRCP」と称する)をサポートするデバイス1台、Serial Port Profile(以下、「SPP」と称する)をサポートするデバイス1台など計4台のリモートデバイスと同時に接続するケースがある。一方、リモートデバイスの一例であるスマートフォンでは、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイス、イヤフォンなどのアクセサリデバイスまたは車載機などと同時に接続するケースがある。スマートフォンがセントラルを取りたい場合、スマートフォンは、車載機へロールスイッチを要求し、ロールスイッチの要求が受諾されることを求める。以下、無線通信装置の例として車載機を、リモートデバイスの例としてスマートフォンを用いて説明することがある。
【0021】
一方、車載機は、これまでは無制限にロールスイッチを拒否する実装が主流であった。車載機およびスマートフォンの双方がセントラルを取ろうとすることで、ロールスイッチの要求が繰り返されて、通信ができなくなるリスクも存在する。
【0022】
また、車載機からリモートデバイスへ接続するケースとリモートデバイス側から車載機への接続を車載機が受け入れるケースとがある。車載機からリモートデバイスへ接続することを自接続と称する。リモートデバイス側から車載機への接続を車載機が受け入れることを被接続と称する。通常、接続を要求する側がセントラルとなるので、被接続のケースでは、通常車載機はペリフェラルとなる。
【0023】
また、ClassicとBLEとは、通信の互換性は無いが、同じ2.4GHz帯を使用しており、ClassicとBLEとを同時に動作させるデュアルモードでの利用が増えてきている。例えば、車載機は、デュアルモードで動作し、Classicで複数台のリモートデバイスと接続および通信しつつ、BLEのペリフェラルとして複数台のリモートデバイスと接続および通信するケースもある。このように、車載機がデュアルモードで通信を行う場合、BLEの通信を維持管理するために、Classicの通信のパフォーマンスが低下する可能性がある。特にBLEではロールスイッチの概念が無いため、車載機は、一度BLEのペリフェラルで接続するとペリフェラルを維持し続けることとなる。
【0024】
特許文献1記載の従来の無線通信装置では、2台のリモートデバイスが存在し、1台目とHFP接続、2台目とPersonal Area Networking Profile接続するときに、1台目の拡張同期パケット(eSCO)対応有無によって、2台目とのロールスイッチの許可および禁止を切り替えることを特徴としている。当該無線通信装置は、リモートデバイスが拡張同期パケット(eSCO)対応であるとロールスイッチを許可し、拡張同期パケット(eSCO)に非対応であるとロールスイッチを禁止するという動作となる。最近では、ほぼ全てのスマートフォンが拡張同期パケット(eSCO)に対応している。したがって、当該無線通信装置では、1台目のスマートフォンが拡張同期パケット(eSCO)に対応していたら、2台目以降のスマートフォンが何台あってもロールスイッチが許可されることになり、上述したパフォーマンスへの影響は避けられないものとなる。
【0025】
本開示は、このような従来問題を解決するためになされたものであり、自接続時のケースおよび被接続時のケースそれぞれに対応して、無線通信装置およびリモートデバイスの双方からセントラルの獲得を求めるロールスイッチの要求を繰り返す事態を回避できる。また、本開示は、Classic単独の通信およびClassicとBLEとが同時動作するデュアルモードの通信の場合においても、リモートデバイスからの要求を考慮しつつ、通信のパフォーマンス低下を抑制する無線通信装置を提供することを目的とする。
【0026】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における無線通信システムについて図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1に係る無線通信システム1の構成例を示す図である。
【0027】
図1において、無線通信システム1は、無線通信装置100と、リモートデバイス101と、リモートデバイス102から構成される。
【0028】
無線通信装置100は、例えば、車に搭載される車載機等である。無線通信装置100は、リモートデバイス101およびリモートデバイス102とClassicに基づいて無線通信を行う。
【0029】
リモートデバイス101およびリモートデバイス102は、ユーザが所持しているスマートフォン等の端末装置である。ユーザは、例えば、車の運転者または車の同乗者等である。リモートデバイス101およびリモートデバイス102は、無線通信装置100が搭載される車または車近くに持込まれる。また、リモートデバイス101およびリモートデバイス102は、スマートフォンに限らず、タブレット端末、携帯電話、オーディオプレーヤー等でもよい。また、リモートデバイス101およびリモートデバイス102は、2台に限らず、1台以上の複数台であってもよい。
【0030】
次に、図2を参照して、実施の形態1に係る無線通信装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、実施の形態1に係る無線通信装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0031】
無線通信装置100は、プロセッサ201と、通信回路202と、ディスプレイ203と、入力装置204と、メモリ205とを備える。
【0032】
プロセッサ201は、無線通信装置100全体の動作を制御する。プロセッサ201は、例えば、Central Processing Unit、Micro Processing Unit、Digital Signal Processor、Graphical Processing UnitもしくはField Programmable Gate Array等である。プロセッサ201が、Read Only Memory(以下、「ROM」と称する)に格納されるプログラムを実行することによって、各機能ブロックが相互連携し、本実施の形態に係る処理が実現される。また、プロセッサ201は、プログラムの実行中、RAMを作業領域として使用する。なお、ROMまたはRAMは、プロセッサ201の外部に設けられてもよい。プロセッサ201の外部とは、例えば、メモリ205である。また、プロセッサ201に加えて、もしくは、代えて、ASIC(特定用途向け集積回路)等により構成されるようにしてもよい。
【0033】
通信回路202は、例えば無線周波数(RF:Radio Frequency)回路やベースバンド(BB:Baseband)回路、リンクレイヤ(LL:Link Layer)回路、メモリ回路、アンテナ等で構成される。通信回路202は、アンテナを介して受信した無線信号を、復調、複合してプロセッサ201へ送る。また、通信回路202は、プロセッサ201から送られた信号を、符号化、変調等して、アンテナを介して無線上へ送信する。本実施の形態において、通信回路202は、BTに基づく無線信号の送信および受信を行うコントローラにより実現される。BTに基づく無線信号の送信および受信を行うコントローラとは、例えば、BT/WiFi一体となったコンボモジュールまたはBTのみのBTモジュールである。
【0034】
ディスプレイ203は、例えば、液晶ディスプレイ、有機Electro-Luminescentディスプレイなどの表示デバイスであり、描画するための回路等を含んでいる。ディスプレイ203には、例えば、各種アプリケーションに係わる情報や、リモートデバイス101およびリモートデバイス102から受信した情報を表示する。
【0035】
入力装置204は、例えば、リモートデバイス101およびリモートデバイス102との接続や切断等のユーザからの指示を入力するものである。入力装置204は、例えば、押圧式のスイッチを所定数並べた構成を採るものや、タッチパネル式のもの等で構成される。入力装置204は、当該入力操作に応じた電気信号をプロセッサ201に出力する。例えば、入力装置204は、タッチセンサがディスプレイ203の表示パネルに重ねられて設けられ、表示パネルとともにタッチパネルを構成してもよい。この場合、入力装置204であるタッチセンサは、当該タッチセンサへのユーザの接触動作に係わる接触位置や接触態様を検出し、検出された接触位置や接触態様に応じた信号をプロセッサ201へ送る。
【0036】
メモリ205は、例えば、RAMとROMとを用いて構成され、無線通信装置100が本実施の形態に係る制御を行うための制御プログラム、初期設定データ、制御プログラム実行中の各種変数データおよび動作中に生成されたデータを一時的に保持する。
【0037】
また、リモートデバイス101およびリモートデバイス102のハードウェア構成は省略するが、無線通信装置100と同様な通信回路、プロセッサ、ディスプレイ、入力装置を最低限備えている。
【0038】
次に、図3を参照して、無線通信装置100のソフトウェア構成を説明する。図3は、実施の形態1に係る無線通信装置100のソフトウェアプログラムの階層構造を示す図である。
【0039】
図3において、無線通信装置100は、ハンズフリーアプリ、オーディオアプリ、電話帳転送アプリ、メッセージングアプリ、シリアル通信アプリ等の各種アプリケーション、通信ミドルウェア、Bluetoothプロトコルスタック、Host Controller Interface(以下、「HCI」と称する)からなるソフトウェアで構成される。
【0040】
ハンズフリーアプリは、HFPを使用し、無線通信装置100とリモートデバイス101および/またはリモートデバイス102との間でハンズフリー通話を行うアプリケーションである。ハンズフリーアプリを用いることで、無線通信装置100は、例えばリモートデバイス101およびリモートデバイス102と同時にハンズフリー接続し、リモートデバイス101およびリモートデバイス102からの着信を受け付けることができる。
【0041】
オーディオアプリは、A2DP/AVRCPを使用し、リモートデバイス101、および/またはリモートデバイス102から送られてくるオーディオの再生や再生/停止などのリモートコントロール制御を行うアプリケーションである。
【0042】
電話帳転送アプリは、Phone Book Access Profile(以下、「PBAP」と称する)を使用し、リモートデバイス101、および/またはリモートデバイス102との間で電話帳や発信および着信の履歴転送を行うアプリケーションである。
【0043】
メッセージングアプリは、Message Access Profile(以下、「MAP」と称する)を使用し、SMSやE-mailなどのメッセージの受信や送信をリモートデバイス101、および/またはリモートデバイス102との間で行うアプリケーションである。
【0044】
シリアル通信アプリは、SPPを使用し、無線通信装置100とリモートデバイス101、および/またはリモートデバイス102とが連携してシリアル通信を行うアプリケーションである。シリアル通信アプリは1つに限られず、用途毎に複数のアプリケーションが備わっていてもよい。
【0045】
Link Layer/Physical Layerはハードウェアであり、通信回路202に相当するBTコントローラである。
【0046】
HCIは、ホストスタックからコントローラへアクセスするためのコマンド/イベントインタフェースを提供し、HCIコマンドやHCIイベントとその構成パラメータにより、BT通信を制御する。ロールスイッチ制御も、プロセッサ201がHCIを介してBTコントローラを制御することにより行われる。
【0047】
Bluetoothプロトコルスタックは、Logical Link Control and Adaptation Protocol(以下、「L2CAP」と称する)やRFCOMM、Object Exchange(以下、「OBEX」と称する)等のプロトコルスタックである。L2CAPは、上位層のプロトコルの通信パケットの分割と再構成などの機能等を提供する。RFCOMMは、シリアルケーブルの設定と、RS-232Cシリアルポートをエミュレートするために使用する。OBEXは、主にはPBAPやMAPで使用され、電話帳をはじめとする多様なデータやコマンドを交換できるように定義されている。
【0048】
通信ミドルウェアは、Bluetoothプロトコルスタックと各種アプリケーションを中継するソフトウェアである。ここで、「Device Manager」は、通信ミドルウェア内に属し、実施の形態1に係るロールスイッチ制御を行うソフトウェアブロックである。
【0049】
Device Managerが行う処理は、通信ミドルウェア以下の通信レイヤに対して行われ、上位側から見たときにその処理が隠ぺい化される。すなわち、上位にある各種アプリケーションは、無線通信装置100のロールやリモートデバイス101およびリモートデバイス102のロール、ロールスイッチ制御を意識することなく、通信を行うことができるように構成されている。
【0050】
以上のように構成された無線通信装置100について、以下にその処理動作を説明する。まず、図4図7を用いて無線通信装置100のロールスイッチ制御を行う処理動作を説明する。
【0051】
図4は、Classic接続台数が0台の場合のロールスイッチ制御の処理を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの各処理は、プロセッサ201上で動作するDevice Managerによって行われる。図4図5図6図7図9図10図11図12および図13では、説明の便宜上、プロセッサ201の行う処理として説明する。
【0052】
まず、プロセッサ201は、無線通信装置100がClassicで接続しているリモートデバイスの台数が0台であるか否かを判定する(S40)。リモートデバイスは、例えば、リモートデバイス101またはリモートデバイス102である。以下、無線通信装置100がClassicでリモートデバイスとBT接続することをClassic接続と称する。また、Classic接続しているリモートデバイスの台数のことをClassic接続台数と称する。
【0053】
プロセッサ201は、Classic接続台数が0台ではないと判定した場合(S40,NO)、図5に示す処理に遷移する。
【0054】
次に、プロセッサ201は、Classic接続台数が0台であると判定した場合(S40,YES)、無線通信装置100とリモートデバイスとの間にClassic接続を確立する(S41)。
【0055】
プロセッサ201は、ステップS41の処理の過程において、無線通信装置100からリモートデバイスへClassic接続したか否かを判定する(S42)。
【0056】
プロセッサ201は、無線通信装置100からリモートデバイスへClassic接続していない、つまりリモートデバイスから無線通信装置100にClassic接続したと判定した場合(S42,NO)、リモートデバイスに対して無線通信装置100の通信回路202の役割をペリフェラルからセントラルに設定するロールスイッチを要求する(S45)。なお、リモートデバイスに対してロールスイッチを要求する回数は、無線通信システム1の設計者等によって所定の回数(例えば、2回、あるいは3回)に設定可能であってもよい。なお、所定の回数は、1回以下が望ましい。
【0057】
プロセッサ201は、ロールスイッチの要求をリモートデバイスが受諾したか否かを判定する(S46)。
【0058】
プロセッサ201は、ロールスイッチの要求をリモートデバイスが受諾したと判定した場合(S46,YES)、無線通信装置100の通信回路202のリモートデバイスに対する役割をペリフェラルからセントラルに設定する(S47)。以下、無線通信装置100の通信回路202がリモートデバイスに対しセントラルとして動作することを、セントラル動作と称する。プロセッサ201は、ステップS47の処理の後、ステップS43の処理を実行する。
【0059】
プロセッサ201は、ロールスイッチの要求をリモートデバイスが受諾しなかったと判定した場合(S46,NO)、無線通信装置100の通信回路202リモートデバイスに対する役割をペリフェラルのままとする(S48)。以下、無線通信装置100の通信回路202がリモートデバイスに対しペリフェラルとして動作することを、ペリフェラル動作と称する。プロセッサ201は、ステップS48の処理の後、処理を終了する。
【0060】
プロセッサ201は、無線通信装置100からリモートデバイスへClassic接続したと判定した場合(S42,YES)、リモートデバイスからリモートデバイスをセントラルとするロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する(S43)。プロセッサ201は、リモートデバイスをセントラルとするロールスイッチの要求の信号(LMP_switch_req)をリモートデバイスから受信したか否かで、ロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する。
【0061】
プロセッサ201は、ロールスイッチの要求が発生していないと判定した場合(S43,NO)、無線通信装置100をリモートデバイスに対しセントラルのままとする。プロセッサ201は、ステップS43,NOの処理の後はステップS43の処理を再び行う。例えば、プロセッサ201は、ステップS43,NOの処理の後、予め定められた時間経過後にステップS43の処理を再び行ってもよい。リモートデバイスに対する通信回路202の役割が、セントラルに設定された場合でも、無線通信装置100とリモートデバイスとが1対1接続を維持している間にリモートデバイスからのロールスイッチ要求があれば、これを受け入れるためにプロセッサ201の処理をステップS43の前に戻す。一方、無線通信装置100は、リモートデバイスと1対1接続している場合、リモートデバイスからロールスイッチの要求を受信しない限りセントラルとなる。
【0062】
プロセッサ201は、ロールスイッチの要求が発生したと判定した場合(S43,YES)、ロールスイッチを許可し、無線通信装置100の通信回路202をリモートデバイスに対してペリフェラルに設定しペリフェラル動作する(S44)。無線通信装置100は、リモートデバイスに対してペリフェラルに遷移した後、接続しているリモートデバイスの台数に変化がない場合は、無線通信装置100をセントラルとするロールスイッチの要求をリモートデバイスへ出さない。つまり、プロセッサ201は、リモートデバイスからのロールスイッチの要求を受諾した後、通信回路202がリモートデバイスに対しセントラルの獲得要求を出力しないように通信回路202を制御する。
【0063】
これにより、実施の形態1に係る無線通信装置100は、リモートデバイスと1対1接続している場合、かつ、Classic自接続した場合、リモートデバイスからのロールスイッチ要求に応じてロールスイッチを許可し通信回路202の役割をペリフェラルと設定することができる。つまり、無線通信装置100は、接続するリモートデバイスが1台と少なく通信のパフォーマンスが低下する可能性が低い場合、リモートデバイスのロールスイッチ要求を受諾することができる。これにより、無線通信装置100は、リモートデバイスを所有するユーザの利便性を向上することができる。また、これによりリモートデバイス側のパフォーマンス低下を抑制することができる。
【0064】
また、無線通信装置100は、Classic被接続した場合、リモートデバイスへ所定の回数だけペリフェラルからセントラルへのロールスイッチを要求することができる。これにより、無線通信装置100は、リモートデバイスがロールスイッチを受諾する場合、通信回路202の役割をセントラルに設定することができ、通信のパフォーマンスの安定性を向上することができる。また同時に、無線通信装置100は、ロールスイッチを要求する回数を1回等の所定の回数に設定することで、リモートデバイスへロールスイッチの要求を繰り返し通信のパフォーマンスを低下することを防ぐことができる。
【0065】
次に、図5を参照して、Classic接続台数が1台の場合のロールスイッチ制御の処理を説明する。図5は、Classic接続台数が1台の場合のロールスイッチ制御の処理を示すフローチャートである。なお、図5において、図4に示す処理と同一の処理に関しては図4と同一の符合を付記し、説明を省略する。
【0066】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台以上か否かを判定する(S50)。
【0067】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台以上ではないと判定したとき(S50,NO)、処理を終了する。
【0068】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台以上であると判定したとき(S50,YES)、無線通信装置100とリモートデバイスとの間にClassic接続を確立する(S51)。
【0069】
プロセッサ201は、ステップS51の処理の過程において、無線通信装置100からリモートデバイスへClassic接続したか否かを判定する(S52)。
【0070】
プロセッサ201は、無線通信装置100からリモートデバイスへClassic接続していない、つまりリモートデバイスから無線通信装置100にClassic接続したと判定した場合(S52,NO)、ステップS45の処理を実行する。ステップS45、ステップS46、ステップS47およびステップS48の処理は図4のフローチャートの処理と同様である。なお、プロセッサ201は、ステップS47の処理で無線通信装置100はセントラルとなった場合でも、無線通信装置100とリモートデバイスとが1対2台以上の接続を維持している間にリモートデバイスからロールスイッチの要求を受信した場合、ロールスイッチの要求を拒否するためにステップS53の処理を実行する。
【0071】
プロセッサ201は、無線通信装置100からリモートデバイスへClassic接続したと判定した場合(S52,YES)、リモートデバイスからリモートデバイスをセントラルとするロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する(S53)。
【0072】
プロセッサ201は、ロールスイッチの要求が発生していないと判定した場合(S53,NO)、無線通信装置100をリモートデバイスに対しセントラルのままとしステップS53の処理を再び行う。例えば、プロセッサ201は、ステップS53,NOの処理の後、予め定められた時間経過後にステップS53の処理を再び行ってもよい。
【0073】
プロセッサ201は、ロールスイッチの要求が発生したと判定した場合(S53,YES)、リモートデバイスからのロールスイッチの要求を拒否し、無線通信装置100のロールスイッチを行わずセントラル動作となる(S54)。
【0074】
これにより、無線通信装置100は、リモートデバイスと1対2台以上の接続をしており、Classic自接続をした場合に、リモートデバイスからロールスイッチの要求があっても当該要求を拒否しセントラルを維持することができる。つまり、無線通信装置100は、複数台のリモートデバイスに対してそれぞれペリフェラルとなり通信のパフォーマンスが低下することを防ぐことができる。
【0075】
次に、図6を参照して、無線通信装置100とあるリモートデバイスとの間にClassic自接続またはClassic被接続発生時に、それ以外のClassic接続済みデバイスが存在する場合の処理を説明する。図6は、Classic自接続またはClassic被接続発生時に、当該Classic自接続またはClassic被接続が発生したデバイス以外のClassic接続済みデバイスが存在する場合の処理を示すフローチャートである。図6のフローチャートの各処理は、プロセッサ201によって実行される。
【0076】
プロセッサ201は、無線通信装置100とリモートデバイスとの接続発生時に、他の接続済みリモートデバイスが存在するか否かを判定する(S61)。無線通信装置100とリモートデバイスとの接続は、Classic自接続またはClassic被接続である。
【0077】
プロセッサ201は、無線通信装置100とリモートデバイスとの接続発生時に他の接続済みリモートデバイスが存在しないと判定した場合(S61,NO)、処理を終了する。
【0078】
プロセッサ201は、無線通信装置100とリモートデバイスとの接続発生時に他の接続済みリモートデバイスが存在すると判定した場合(S61,YES)、接続済みのリモートデバイスそれぞれに対してセントラル動作となるかペリフェラル動作となるかに関する判定処理を実行する(S62)。ステップS62からステップS69までの処理を接続済みのリモートデバイスの数だけ繰り返す。
【0079】
プロセッサ201は、無線通信装置100がペリフェラルであるか否かを判定する(S63)。
【0080】
プロセッサ201は、無線通信装置100がペリフェラルではないと判定した場合(S63,NO)、無線通信装置100はセントラルのままとなり次の接続済みのリモートデバイスの処理へ遷移する。
【0081】
プロセッサ201は、無線通信装置100がペリフェラルであると判定した場合(S63,YES)、BTのハンズフリーの通話中であるか否かまたはBTで音楽を再生中であるか否かを判定する(S64)。BTのハンズフリーの通話中とは、例えば、HFP eSCOリンクが確立されており、無線通信装置100とリモートデバイスとの間で音声パケットの交換が行われている状態を指す。また、BTで音楽を再生中とは、例えば、A2DP Streaming再生中であることを指す。
【0082】
プロセッサ201は、BTのハンズフリーの通話中であるまたはBTで音楽を再生中であると判定した場合(S64,YES)、無線通信装置100のロールスイッチを行わずペリフェラル動作となる(S68)。プロセッサ201は、ステップS68の処理のあと次の接続済みのリモートデバイスの処理へ遷移する。
【0083】
プロセッサ201は、BTのハンズフリーの通話中でなく、BTで音楽を再生中でもないと判定した場合(S64,NO)、リモートデバイスへロールスイッチを要求する(S65)。
【0084】
プロセッサ201は、リモートデバイスがロールスイッチを受諾したか否かを判定する(S66)。
【0085】
プロセッサ201は、リモートデバイスがロールスイッチを受諾していないと判定した場合(S66,NO)、ロールスイッチはせずペリフェラル動作となり(S68)、次の接続済みのリモートデバイスの処理へ遷移する。
【0086】
プロセッサ201は、リモートデバイスがロールスイッチを受諾したと判定した場合(S66,YES)、無線通信装置100の通信回路202のリモートデバイスに対する役割をセントラルに設定しセントラル動作となり(S67)、次の接続済みのリモートデバイスの処理へ遷移する。
【0087】
プロセッサ201は、全ての接続済みのリモートデバイスについてステップS63からステップS69までの処理を終了した場合、処理を終了する。
【0088】
プロセッサ201は、図6に示すフローチャートの処理を、例えば、無線通信装置100が新たなリモートデバイスとの接続が発生した場合に実行する。
【0089】
これにより、無線通信装置100は、リモートデバイスとClassic自接続またはClassic被接続をしている際に、さらに他の接続済みのリモートデバイスが存在する場合に、接続済みのリモートデバイスそれぞれの接続条件に応じてロールスイッチを行うことができる。無線通信装置100は、接続済みのリモートデバイスがBTのハンズフリーの通話中ではなくまたはBTで音楽を再生中でもない場合、接続済みのリモートデバイスに対してロールスイッチを要求することができる。これにより、無線通信装置100は、リモートデバイスがロールスイッチを受諾した場合はセントラルとなることができるため、通信のパフォーマンスを安定させることができる。また、無線通信装置100は、接続済みのリモートデバイスがBTのハンズフリーの通話中であるまたはBTで音楽を再生中である場合、接続済みのリモートデバイスに対してロールスイッチを要求することなくペリフェラル動作を行う。これにより、無線通信装置100は、リモートデバイスの通話または音楽の音が飛んでしまう等のパフォーマンスの低下を防ぎユーザの利便性を向上させることができる。
【0090】
次に、図7を参照して、無線通信装置100に複数台のリモートデバイスがClassic接続されており、Classic接続の切断が発生した場合の処理を説明する。図7は、無線通信装置100に複数台のリモートデバイスがClassic接続されており、Classic接続の切断が発生した場合の処理を示すフローチャートである。
【0091】
プロセッサ201は、無線通信装置100とリモートデバイスとの間のClassic接続が切断されたか否かを判定する(S71)。
【0092】
プロセッサ201は、Classic接続が切断されていないと判定した場合(S71,NO)、ステップS71の処理を再び実行する。このようにプロセッサ201は、Classic接続中にClassic接続の切断が発生したか否かを監視する。
【0093】
プロセッサ201は、Classic接続が切断されたと判定した場合(S71,YES)、Classic接続台数が2台未満か否かを判定する(S72)。
【0094】
プロセッサ201は、Classic接続台数が2台未満ではないと判定した場合(S72,NO)、再びステップS71の処理を実行する。
【0095】
プロセッサ201は、Classic接続台数が2台未満であると判定した場合(S72,YES)、Classic接続台数が1台であるか否かを判定する(S73)。
【0096】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台ではない、つまりClassic接続台数が0台であり全てのClassic接続が切断されている場合(S73,NO)、処理を終了する。
【0097】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台であると判定した場合(S73,YES)、無線通信装置100がリモートデバイスに対してセントラルであるか否かを判定する(S74)。
【0098】
プロセッサ201は、無線通信装置100がリモートデバイスに対してセントラルでないと判定した場合(S74,NO)、ロールスイッチを行わずペリフェラル動作となる(S77)、処理を終了する。
【0099】
プロセッサ201は、無線通信装置100がリモートデバイスに対してセントラルであると判定した場合(S74,YES)、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生したか、つまりリモートデバイスからロールスイッチの要求を受信したか否かを判定する(S75)。
【0100】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生していないと判定した場合(S75,NO)、再びステップS75の処理を実行し、リモートデバイスからのロールスイッチの要求を監視する。
【0101】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生していると判定した場合(S75,YES)、ロールスイッチの要求を許可し無線通信装置100の通信回路202のリモートデバイスに対する役割をペリフェラルに設定しペリフェラル動作となる(S76)。
【0102】
以上により、実施の形態1の無線通信装置100は、同じ規格で接続しているリモートデバイスの台数がL(L:1以上の整数)+1台未満である場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を許可し、リモートデバイスに対してペリフェラルとなる。無線通信装置100は、同じ規格で接続しているリモートデバイスの台数がL+1台以上の場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否し、リモートデバイスに対してセントラルとなる。ここで、同じ規格の接続とはClassic接続を指す。また、実施の形態1において、L=1となる。
【0103】
これにより、無線通信装置100は、リモートデバイスの接続台数が増えていった後に、切断が発生し接続台数が減り、最終的に1対1接続になった場合、ペリフェラルとしての動作を許容することができる。これにより、無線通信装置100は、リモートデバイスがセントラルとなることを受諾しリモートデバイスを有するユーザの利便性を向上することができる。また、これによりリモートデバイス側のパフォーマンス低下を抑制することができる。
【0104】
これにより、実施の形態1の無線通信装置100は、Classic自接続時のケースおよびClassic被接続時のケースそれぞれに対応できる。また、無線通信装置100は、無線通信装置100およびリモートデバイスの双方からセントラルの獲得のロールスイッチの要求を繰り返す事態を回避できる。また、無線通信装置100は、Classic接続でリモートデバイスと1対1接続しているケースではペリフェラル動作を許可するので、パフォーマンスの低下が懸念されない状況ではリモートデバイス側にセントラル動作を許可しつつ、複数台でのClassic接続時には、自装置のパフォーマンス低下を抑制することができる。以上が本開示の代表的な実施形態の一例であるが、本開示は、明細書および図面に示す実施形態の範囲に限定されることなく、その要旨を変更しない範囲内で変更して実施できる。例えば、図6のフローチャートに示した処理について実行するか、あるいは実行しないかを任意に選択することもできる。無線通信装置100の起動時に、それぞれの処理について実行するか、あるいは実行しないかを選択できるように無線通信装置100を設定しても良い。
【0105】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2における無線通信システム1について図面を参照しながら説明する。無線通信システム1の構成例は、実施の形態1で説明した図1と同じであり、説明を省略する。実施の形態2に係る無線通信装置100A(図8参照)のハードウェア構成は実施の形態1と同様であるが、通信回路202の内部構成が異なる。
【0106】
実施の形態2に係る通信回路202は、ClassicとBLEに基づく無線信号の送信および受信を行うコントローラ(Classic/BLE一体となったコンボモジュールまたはClassic/BLE/Wi-Fi(登録商標)一体となったコンボモジュール)により実現される。また、通信回路202は、1つのコントローラで、ClassicとBLE両方を同時に動作させるデュアルモードをサポートする。
【0107】
次に、図8を参照して、無線通信装置100Aのソフトウェア構成を説明する。図8は、実施の形態2に係る無線通信装置100Aのソフトウェアプログラムの階層構造を示す図である。
【0108】
無線通信装置100Aは、各種アプリケーション(ハンズフリーアプリ、オーディオアプリ、電話帳転送アプリ、メッセージングアプリ、シリアル通信アプリ、BLE通信アプリ等)、通信ミドルウェア、Bluetoothプロトコルスタック、HCIからなるソフトウェアで構成される。
【0109】
図8におけるBLEアプリ以外は、実施の形態1の図3の構成と同じであるため、説明は省略する。
【0110】
BLEアプリは、BLEを使用して、無線通信装置100Aとリモートデバイスとの間でGeneric Attribute Profile通信を行う任意のアプリケーションである。リモートデバイスとは、例えばスマートフォンやリモコンである。無線通信装置100Aはペリフェラル、リモートデバイスはセントラルとして接続することを前提として説明を行うが、これに限定するものではない。また、BLEアプリは、1つのアプリで、複数台のリモートデバイスと同時接続が可能な構成となっている。なお、BLEアプリが複数存在することで、複数台のリモートデバイスと同時接続可能な構成を取ることもできる。
【0111】
以上のように構成された無線通信装置100Aについて、以下に処理動作を説明する。まず、図9図13を用いて無線通信装置100Aのロールスイッチ制御を行う処理動作を説明する。
【0112】
図9を参照して、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満の場合の処理を説明する。図9は、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満の場合の処理を示すフローチャートである。
【0113】
プロセッサ201は、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満であるか否かを判定する(S100)。BLEペリフェラル接続とは、BLEで無線通信装置100がペリフェラルでリモートデバイスがセントラルとして接続されている状態を示す。BLEペリフェラル接続台数とは、無線通信装置100がBLEで接続しているリモートデバイスの台数を示す。ここで、Nは1以上の整数であり、例えば、3である。なお、Nの数は、通信回路202の性能に応じて変化し3に限られない。
【0114】
プロセッサ201は、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満ではないと判定した場合(S100,NO)、図10のフローチャートの処理へ遷移する。
【0115】
プロセッサ201は、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満であると判定した場合(S100,YES)、無線通信装置100Aとリモートデバイスとの間にClassic接続を確立する(S101)。
【0116】
プロセッサ201は、ステップS101の処理の過程において、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続したか否かを判定する(S102)。
【0117】
プロセッサ201は、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続したと判定した場合(S102,YES)、リモートデバイスからセントラルのロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する(S103)。プロセッサ201は、リモートデバイスからセントラルのロールスイッチの要求が発生したか否かを、リモートデバイスからロールスイッチの要求を示す信号(LMP_switch_req)を受信したか否かで判定する。
【0118】
プロセッサ201は、リモートデバイスからセントラルのロールスイッチの要求が発生していないと判定した場合(S103,NO)、再びステップS103の処理を実行する。
【0119】
プロセッサ201は、リモートデバイスからセントラルのロールスイッチの要求が発生したと判定した場合(S103,YES)、ロールスイッチの要求を許可し無線通信装置100Aの通信回路202の役割をペリフェラルに設定しペリフェラル動作となる(S104)。無線通信装置100Aは、一度当該リモートデバイスに対してペリフェラルに遷移した後、無線通信装置100Aとリモートデバイスとの接続台数に変化がない場合は、無線通信装置100Aをセントラルとするロールスイッチ要求は出さない。つまり、プロセッサ201は、リモートデバイスからのロールスイッチの要求を受諾した後、通信回路202がリモートデバイスに対しセントラルの獲得要求を出力しないように通信回路202を制御する。
【0120】
プロセッサ201は、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続していない、つまり、リモートデバイスから無線通信装置100AへClassic接続した場合(S102,NO)、リモートデバイスへ無線通信装置100Aがセントラルとなるロールスイッチを要求する(S105)。なお、無線通信装置100Aがリモートデバイスに対してロールスイッチを要求する回数は1回に限られず、無線通信システム1の設計者等よって所定の回数(例えば、2回、あるいは3回)に設定可能であってもよい。なお、所定の回数は、1回以下が望ましい。
【0121】
プロセッサ201は、リモートデバイスがロールスイッチを受諾したか否かを判定する(S106)。なお、プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチを受諾した旨の信号(LMP_accepted)を受信したか否かで、リモートデバイスがロールスイッチを受諾したか否かを判定する。
【0122】
プロセッサ201は、リモートデバイスがロールスイッチを受諾したと判定した場合(S106,YES)、無線通信装置100Aの通信回路202のリモートデバイスに対する役割をセントラルに設定しセントラル動作となる(S107)。無線通信装置100Aは、セントラルとなった場合でも、無線通信装置100Aとリモートデバイスとが1対1のClassic接続を維持し、かつBLEペリフェラル接続台数がN台未満を維持している場合、リモートデバイスからセントラルをとるロールスイッチの要求があれば受け入れる。そのため、プロセッサ201は、ステップS107の処理のあとステップS103の処理を実行する。
【0123】
プロセッサ201は、リモートデバイスがロールスイッチを受諾しなかったと判定した場合(S106,NO)、無線通信装置100の通信回路202のリモートデバイスに対する役割をペリフェラルのままとしペリフェラル動作となる(S108)。
【0124】
これにより、実施の形態2に係る無線通信装置100Aは、予め定められた所定の台数以下のリモートデバイスとBLEで接続している場合において、Classic自接続した際に、リモートデバイスからのロールスイッチの要求に応じてペリフェラル動作をすることができる。これにより、無線通信装置100Aは、BLEでの接続しているリモートデバイスが少なく通信のパフォーマンスに影響がない場合は、Classic自接続したリモートデバイスをセントラルとして動作させることができる。これによりユーザの利便性を向上することができる。また、これによりClassic自接続したリモートデバイス側のパフォーマンス低下を抑制することができる。
【0125】
次に、図10を参照して、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上の場合の処理を説明する。図10は、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上の場合の処理を示すフローチャートである。なお、図10において、図9に示す処理と同一の処理に関しては図9と同一の符合を付記し、説明を省略する。
【0126】
プロセッサ201は、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上であるか否かを判定する(S110)。
【0127】
プロセッサ201は、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上ではないと判定した場合(S110,NO)、図11のフローチャートの処理へ遷移する。
【0128】
プロセッサ201は、Classic接続台数が0台でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上であると判定した場合(S110,YES)、無線通信装置100Aとリモートデバイスとの間にClassic接続を確立する(S111)。
【0129】
プロセッサ201は、ステップS111の処理の過程において、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続したか否かを判定する(S112)。
【0130】
プロセッサ201は、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続していないと判定した場合(S112,NO)、ステップS105以降の処理を実行する。ステップS105、ステップS106、ステップS107およびステップS108の処理は図9のフローチャートの処理と同様である。
【0131】
プロセッサ201は、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続したと判定した場合(S112,YES)、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する(S113)。なお、プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求信号(LMP_switch_req)を受信したか否かで、ロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する。
【0132】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生していないと判定した場合(S113,NO)、再びS113の処理を実行する。
【0133】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生したと判定した場合(S113,YES)、ロールスイッチを拒否しセントラル動作となる(S114)。
【0134】
これにより、実施の形態2に係る無線通信装置100Aは、Classic接続が0台であっても、BLEペリフェラル接続をしているリモートデバイスが予め定められた台数以上ある場合、新たにClassic自接続したリモートデバイスからのロールスイッチ要求を拒否することができる。これにより、無線通信装置100Aは、BLEペリフェラル接続をしているリモートデバイスが多い場合、Classic自接続をするリモートデバイスに対してセントラルとなる。したがって、無線通信装置100Aは、通信のパフォーマンスが低下することを防ぐことができる。
【0135】
次に、図11を参照して、Classic接続台数が1台以上でありかつBLEペリフェラル接続台数が任意の場合の処理を説明する。図11は、Classic接続台数が1台以上でありかつBLEペリフェラル接続台数が任意の場合の処理を示すフローチャートである。なお、図9のフローチャートの処理と同様の処理は同一符合を付記し説明を省略する。
【0136】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台以上であるか否かを判定する(S120)。
【0137】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台以上ではないと判定した場合(S120,NO)、処理を終了する。
【0138】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台以上であると判定した場合(S120,YES)、無線通信装置100Aとリモートデバイスとの間にClassic接続を確立する(S121)。
【0139】
プロセッサ201は、ステップS121の処理の過程において、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続したか否かを判定する(S122)。
【0140】
プロセッサ201は、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続していない、つまり、リモートデバイスから無線通信装置100AへClassic接続した場合(S122,NO)、ステップS105の処理を実行する。ステップS105、ステップS106、ステップS107およびステップS108の処理は図9のフローチャートの処理と同様である。
【0141】
プロセッサ201は、無線通信装置100AからリモートデバイスへClassic接続したと判定した場合(S122,YES)、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する(S123)。
【0142】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生していないと判定した場合(S123,NO)、再びステップS123の処理を実行する。
【0143】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生したと判定した場合(S123,YES)、ロールスイッチを拒否し、セントラル動作となる(S124)。
【0144】
なお、Classic自接続またはClassic被接続発生時に当該Classic自接続またはClassic被接続が発生したデバイス以外のClassic接続済みデバイスが存在するときの動作は、図6と同じであり、ここではその説明を省略する。
【0145】
また、以下において、Classic接続台数が1台のまま変化せず、BLEペリフェラル接続台数が変化した後に、無線通信装置100Aがリモートデバイスからロールスイッチの要求を受信するケースについて説明する(不図示)。以下、Classic接続台数は1台、無線通信装置100Aの通信回路202のリモートデバイスに対する役割はセントラルであるものとする。
【0146】
プロセッサ201は、BLEペリフェラル接続台数が変化した後、リモートデバイスからロールスイッチの要求を受信した場合、BLEペリフェラル接続台数がN台未満であるか否かを判定する。
【0147】
プロセッサ201は、BLEペリフェラル接続台数がN台未満であると判定した場合、リモートデバイスからのロールスイッチの要求を許可し、無線通信装置100Aの通信回路202のリモートデバイスに対する役割をペリフェラルとする。つまり、通信回路202はペリフェラル動作する。
【0148】
プロセッサ201は、BLEペリフェラル接続台数がN台未満ではない、つまりBLEペリフェラル接続台数がN台以上であると判定した場合、リモートデバイスからのロールスイッチの要求を拒否し、無線通信装置100Aの通信回路202のリモートデバイスに対する役割をセントラルのままとする。つまり、通信回路202はセントラル動作する。
【0149】
なお、Classic接続台数は1台に限られず、通信回路202の性能に応じてユーザによって設定された数(例えば、2台以下等)であってもよい。
【0150】
以上により、プロセッサ201は、Classic接続台数が予め定められた台数から変化がなくBLEペリフェラル接続台数が増減する場合において、BLEペリフェラル接続台数に応じてリモートデバイスのロールスイッチの要求を許可または拒否することができる。これにより、プロセッサ201は、BLEペリフェラル接続台数が閾値以上に増加し、通信のパフォーマンスが低下する恐れがある場合はリモートデバイスに対してセントラルとなり、通信のパフォーマンスを安定させることができる。また、プロセッサ201は、BLEペリフェラル接続台数が閾値未満である場合は、リモートデバイスがセントラルとなることを許可し、リモートデバイスを使用するユーザの利便性を向上することができる。また、これによりリモートデバイス側のパフォーマンス低下を抑制させることができる。
【0151】
次に、図12を参照して、Classic接続済みのリモートデバイスが存在する場合のClassic切断発生時の第1の処理を説明する。図12は、Classic接続済みのリモートデバイスが存在する場合のClassic切断発生時の第1の処理のフローチャートである。
【0152】
プロセッサ201は、無線通信装置100AがClassic接続しているリモートデバイスとの間でClassic接続が切断されたか否かを判定する(S131)。
【0153】
プロセッサ201は、Classic接続しているリモートデバイスとの間でClassic接続が切断されていないと判定した場合(S131,NO)、再びS131の処理を実行しClassic切断が発生したか否かの監視を続ける。
【0154】
プロセッサ201は、Classic接続しているリモートデバイスとの間でClassic接続が切断されたと判定した場合(S131,YES)、Classic接続台数が2台未満でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満であるか否かを判定する(S132)。
【0155】
プロセッサ201は、Classic接続台数が2台未満でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満ではないと判定した場合(S132,NO)、図13に示すフローチャートの処理に遷移する。
【0156】
プロセッサ201は、Classic接続台数が2台未満でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台未満であると判定した場合(S132,YES)、Classic接続台数が1台であるか否かを判定する(S133)。
【0157】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台でない場合、つまり全てのClassic接続が切断されていると判定した場合(S133,NO)、処理を終了する。
【0158】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台であると判定した場合(S133,YES)、無線通信装置100Aがリモートデバイスに対してセントラルであるか否かを判定する(S134)。
【0159】
プロセッサ201は、無線通信装置100Aがリモートデバイスに対してセントラルではないと判定した場合(S134,NO)、ロールスイッチをせずペリフェラル動作となり(S137)、処理を終了する。
【0160】
プロセッサ201は、無線通信装置100Aがリモートデバイスに対してセントラルであると判定した場合(S134,YES)、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する(S135)。プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチを要求する信号(LMP_switch_req)を受信したか否かで、ロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する。
【0161】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生していないと判定した場合(S135,NO)、ステップS135の処理を再び実行し、リモートデバイスからのロールスイッチの要求を監視する。プロセッサ201は、リモートデバイスとの接続台数に変化がない間、監視を継続する。
【0162】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生していると判定した場合(S135,YES)、ロールスイッチを許可し通信回路202のリモートデバイスに対する役割をペリフェラルに設定し、ペリフェラル動作となる(S136)。
【0163】
これにより、無線通信装置100Aは、Classic接続台数が増えていった後、切断が発生しClassic接続台数が減っていき、1対1接続になった時点で、BLEペリフェラル接続台数がN台未満であれば、無線通信装置100Aはペリフェラルとしての動作を許可することができる。
【0164】
次に、図13を参照して、Classic接続済みのリモートデバイスが存在する場合のClassic切断発生時の第2の処理を説明する。図13は、Classic接続済みのリモートデバイスが存在する場合のClassic切断発生時の第2の処理のフローチャートである。
【0165】
プロセッサ201は、Classic接続台数が2台未満でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上であるか否かを判定する(S141)。
【0166】
プロセッサ201は、Classic接続台数が2台未満でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上ではない、つまりClassic接続台数が2台以上であると判定した場合(S141,NO)、再び図12のフローチャートの処理を実行しClassic切断が発生したか否かの監視を継続する。
【0167】
プロセッサ201は、Classic接続台数が2台未満でありかつBLEペリフェラル接続台数がN台以上であると判定した場合(S141,YES)、Classic接続台数は1台であるか否かを判定する(S142)。
【0168】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台ではないと判定した場合(S142,NO)、全てのClassic接続が切断されたとして処理を終了する。
【0169】
プロセッサ201は、Classic接続台数が1台であると判定した場合(S142,YES)、無線通信装置100AがClassic接続しているリモートデバイスに対してセントラルであるか否かを判定する(S143)。
【0170】
プロセッサ201は、無線通信装置100Aがセントラルではないと判定した場合(S143,NO)、ロールスイッチをせずペリフェラルとなり(S146)、処理を終了する。
【0171】
プロセッサ201は、無線通信装置100Aがセントラルであると判定した場合(S143,YES)、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する(S144)。プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチを要求する信号(LMP_switch_req)を受信したか否かで、ロールスイッチの要求が発生したか否かを判定する。
【0172】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生していないと判定した場合(S144,NO)、再びステップS144の処理を実行し、リモートデバイスとの接続台数に変化がない間、リモートデバイスからのロールスイッチの要求の有無の監視を継続する。
【0173】
プロセッサ201は、リモートデバイスからロールスイッチの要求が発生したと判定した場合(S144,YES)、ロールスイッチを拒否しセントラル動作する。
【0174】
プロセッサ201は、無線通信装置100Aがリモートデバイスに対してセントラルである場合(S143:Yes)、ステップS144へ処理を進める。ステップS144では、プロセッサ201は、リモートデバイス側からリモートデバイス側をセントラルとするロールスイッチ要求があったかを判定する。
【0175】
プロセッサ201は、ロールスイッチ要求が無い場合(S144,No)、S144の前に処理を戻し、リモートデバイス側からのロールスイッチ要求の有無を監視する。接続台数に変化が無い間、プロセッサ201は監視を継続する。
【0176】
プロセッサ201は、リモートデバイス側からのロールスイッチ要求があった場合(S144,Yes)これを拒否し、無線通信装置100Aはセントラル動作する(S145)。
【0177】
以上により、実施の形態2における無線通信装置100Aは、Classic自接続時のケースおよびClassic被接続時のケースそれぞれにおいて、Classic接続台数およびBLEペリフェラル接続台数の数に応じてリモートデバイスに対するロールを決定し通信のパフォーマンスが低下することを防ぐことができる。また、無線通信装置100Aは、リモートデバイスとの間でセントラルのロールスイッチの要求を繰り返すことを回避できる。また、無線通信装置100Aは、Classic接続とBLEペリフェラル接続が同時動作するデュアルモード時の場合においても、Classic接続で1対1接続およびBLEペリフェラル接続台数がN台未満のケースでは、自装置のペリフェラル動作を許可する。これにより、無線通信装置100Aは、自装置のパフォーマンス低下を抑制し、かつリモートデバイスの通信を安定させることができる。
【0178】
また、実施の形態2における無線通信装置100Aは、同じ規格で接続しているリモートデバイスの台数がL(L:1以上の整数)+1台未満である場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を許可し、リモートデバイスに対してペリフェラルとなる。無線通信装置100は、同じ規格で接続しているリモートデバイスの台数がL+1台以上の場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否し、リモートデバイスに対してセントラルとなる。ここで、同じ規格の接続とはBLEペリフェラル接続を指す。また、実施の形態2において、NはL+1に対応する。
【0179】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、明細書および図面に示す実施形態の範囲に限定されることなく、その要旨を変更しない範囲内で変更して実施できる。
【0180】
また、上述の実施の形態1および実施の形態2では、無線通信装置として、車載機を例に説明したが、これに限らず、航空機内エンターテインメントシステム機器、テレビ、ブルーレイ/DVDレコーダー、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、照明器具、エアコン、空気清浄機、カメラ、プリンタ、プロジェクタ、スキャナ、フィットネス機器、自動販売機、ゲーム機器等の各種装置に適用することができる。
【0181】
本開示は、上述の実施の形態1および実施の形態2の機能を実現するプログラムを、車載機内に備えることとして説明したが、これに限らず外部のネットワークやOTA(Over The Air)または記憶媒体を介して装置に供給し、その装置のコンピュータにおけるプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。
【0182】
(本実施の形態のまとめ)
以上の本実施の形態の記載により、下記技術が開示される。
【0183】
<技術1>
本実施の形態に係る無線通信装置は、複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで通信を行う通信回路と、同じ規格の通信で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL(L:1以上の整数)+1未満の場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を受諾しリモートデバイスに対して通信回路の役割をペリフェラルに設定し、同じ規格の通信で通信回路に接続しているリモートデバイスの数がL+1以上の場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否し、リモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定するプロセッサと、を備える。
【0184】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、同じ規格の通信で接続しているリモートデバイスの数に応じて、リモートデバイスに対してセントラルの獲得要求を受諾するか拒否するかを決定することができる。無線通信装置は、接続しているリモートデバイスの数が少なく通信のパフォーマンスが低下しないと考えられる場合は、リモートデバイスに対してペリフェラルとなることができる。これにより、無線通信装置は、自装置の通信のパフォーマンスが低下しない範囲でリモートデバイスからのセントラルの獲得要求を許可し、ユーザの利便性を向上することができる。また、無線通信装置は、接続しているリモートデバイスの数が多く通信のパフォーマンスの低下が懸念される場合は、リモートデバイスに対しセントラルとなることができる。以上により、無線通信装置は、リモートデバイスの通信を安定させ、かつ通信のパフォーマンスが低下化することを防ぐことができる。
【0185】
<技術2>
技術1に記載の無線通信装置において、プロセッサは、リモートデバイスのいずれとも通信回路が接続されていない状態から、リモートデバイスに対して通信回路を接続した後、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を受諾し、その後通信回路がリモートデバイスへセントラルの獲得要求を出力しないように通信回路を制御する。
【0186】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、リモートデバイスとの間でセントラルの獲得要求が繰り返されることを防ぐことができる。無線通信装置は、セントラルの獲得要求の繰り返しによって、リモートデバイスがBT通信で再生している音楽またはBT通信でのハンズフリー通話が途切れることを防止することができる。これにより、無線通信装置は、無線通信装置と接続中のリモートデバイスをユーザが快適に使用することを支援することができる。
【0187】
<技術3>
技術1または技術2に記載の無線通信装置において、プロセッサは、リモートデバイスのいずれとも接続されていない状態から、リモートデバイスから接続された後、リモートデバイスへセントラルの獲得要求を所定の回数出力し、リモートデバイスが獲得要求を受諾する場合、リモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定し、リモートデバイスが獲得要求を受諾しない場合、リモートデバイスに対して通信回路の役割をペリフェラルに設定する。
【0188】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、リモートデバイスから接続された場合でも、リモートデバイスに出力したセントラルの獲得要求をリモートデバイスが承諾した場合は、セントラルとなることができる。これにより、無線通信装置は、リモートデバイスの通信の安定を維持しつつも、リモートデバイスの使用状況に応じてセントラルとなることができる。
【0189】
<技術4>
技術1から技術3のいずれか1つに記載の無線通信装置において、プロセッサは、リモートデバイスがセントラルの獲得要求を受諾しリモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定した後、リモートデバイスからセントラルの獲得要求を受信した場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を受諾する。
【0190】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、リモートデバイスから接続されて1度セントラルとなった場合でも、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求に応じてペリフェラルとなることができる。これにより、無線通信装置は、リモートデバイスの使用状況に応じて、リモートデバイスがセントラルとなることを許可することができるためユーザがリモートデバイスを快適に使用することを支援することができる。
【0191】
<技術5>
技術1から技術4のいずれか1つに記載の無線通信装置において、プロセッサは、既に1台以上のリモートデバイスと通信回路とが接続されている状態から、新たに別のリモートデバイスに対して通信回路を接続した後、別のリモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否する。
【0192】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、2台以上のリモートデバイスと接続した場合、リモートデバイスのセントラルの獲得要求を拒否し、リモートデバイスに対してペリフェラルとなることを回避することができる。これにより、無線通信装置は、接続するリモートデバイスが多い場合、リモートデバイスに対してセントラルとなることで通信のパフォーマンスが低下することを防ぐことができる。
【0193】
<技術6>
技術1から技術5のいずれか1つに記載の無線通信装置において、プロセッサは、既に1台以上のリモートデバイスと通信回路とが接続されている状態から、新たに別のリモートデバイスから通信回路が接続された後、別のリモートデバイスへセントラルの獲得要求を所定の回数出力し、別のリモートデバイスがセントラルの獲得要求を受諾する場合、リモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定し、別のリモートデバイスがセントラルの獲得要求を受諾しない場合、リモートデバイスに対して通信回路の役割をペリフェラルに設定する。
【0194】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、1台以上のリモートデバイスと接続されている場合でも、リモートデバイスから接続された場合は、リモートデバイスに対してペリフェラルとなることができる。また、無線通信装置は、接続したリモートデバイスに対してセントラルの獲得要求を出力することができる。以上により、無線通信装置は、通信のパフォーマンスが低下しないようにリモートデバイスに対するロールを制御しつつ、リモートデバイスの通信を安定させることができる。
【0195】
<技術7>
技術1から技術6のいずれか1つに記載の無線通信装置において、プロセッサは、別のリモートデバイスがセントラルの獲得要求を受諾しリモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定した後、別のリモートデバイスからセントラルの獲得要求を受信した場合、別のリモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否する。
【0196】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、接続しているリモートデバイスの数が多い場合、リモートデバイスからの接続であっても、1度セントラルとなったらリモートデバイスに対しペリフェラルとなることを回避することができる。これにより、無線通信装置は、通信のパフォーマンスが低下することを防ぐことができる。
【0197】
<技術8>
技術1から技術7のいずれか1つに記載の無線通信装置において、通信回路は、Bluetooth(登録商標)規格に則って通信を行う。
【0198】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、リモートデバイスとBluetooth規格の通信を行う際に、通信のパフォーマンスが低下することを防ぐことができる。
【0199】
<技術9>
技術1から技術8のいずれか1つに記載の無線通信装置において、通信回路は、複数のリモートデバイスに対してセントラルまたはペリフェラルのモードで第1の規格および第2の規格に準拠する通信を行う。
【0200】
これにより、本実施の形態の無線通信装置は、デュアルモードの通信においても通信のパフォーマンスが低下しないようにセントラルおよびペリフェラルの切り替え制御をすることができる。
【0201】
<技術10>
技術1から技術9のいずれか1つに記載の無線通信装置において、プロセッサは、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイス1台と通信回路とを接続し、かつ第2の規格に準拠する通信でかつ通信回路の役割をペリフェラルに設定してL+1台未満のリモートデバイスと通信回路とがペリフェラルで接続している場合、第1の規格に準拠する通信で通信回路と接続しているリモートデバイスからのセントラルの獲得要求を受諾し、リモートデバイスに対して通信回路の役割をペリフェラルに設定し、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイス1台と通信回路とを接続し、かつ第2の規格に準拠する通信でかつ通信回路の役割をペリフェラルに設定してL+1台以上の前記リモートデバイスと通信回路とが接続している場合、第1の規格に準拠する通信で通信回路と接続しているリモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否し、リモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定し、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイス2台以上と接続している場合、第1の規格に準拠する通信で接続しているリモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否し、リモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定する。
【0202】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、第1の規格に準拠する通信で1台のリモートデバイスと接続しており、更に第1の規格に準拠する通信でリモートデバイスに対して接続した場合、第2の規格に準拠する通信で接続するリモートデバイスの台数に関係なく、リモートデバイスに対してセントラルとなることができる。つまり、無線通信装置は、デュアルモードでリモートデバイスと通信する場合、第1の規格に準拠する通信で接続するリモートデバイスの数が多い場合、さらに接続するリモートデバイスに対してセントラルとなることで通信のパフォーマンスの低下を防ぐことができる。
【0203】
<技術11>
技術1から技術10のいずれか1つに記載の無線通信装置において、プロセッサは、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイスと通信回路とが1台も接続されておらず、かつ第2の規格に準拠する通信でかつ通信回路の役割をペリフェラルに設定してL+1台未満のリモートデバイスと通信回路とが接続している場合、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイスに対して通信回路を接続した後、第1の規格に準拠する通信で通信回路と接続しているリモートデバイスからのセントラルの獲得要求を受諾し、その後第1の規格に準拠する通信で通信回路と接続しているリモートデバイスへセントラルの獲得要求を出力しないように通信回路を制御し、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイスと通信回路とが1台も接続されておらず、かつ第2の規格に準拠する通信でかつ通信回路の役割をペリフェラルに設定してL+1台未満のリモートデバイスと通信回路とが接続している場合、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイスから通信回路に接続された後、第1の規格に準拠する通信で通信回路に接続しているリモートデバイスへセントラルの獲得要求を所定の回数出力し、第1の規格に準拠する通信で通信回路に接続しているリモートデバイスがセントラルの獲得要求を受諾する場合、リモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定し、通信回路の役割をセントラルに設定とした後、第1の規格に準拠する通信で通信回路と接続しているリモートデバイスからセントラルの獲得要求を受諾し、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイスと1台も接続されておらず、かつ第2の規格に準拠する通信でかつ通信回路の役割をペリフェラルに設定してL+1台未満のリモートデバイスと通信回路とが接続している場合、第1の規格に準拠する通信でリモートデバイスから通信回路に接続された後、第1の規格に準拠する通信で通信回路と接続しているリモートデバイスへセントラルの獲得要求を所定の回数出力し、第1の規格に準拠する通信で通信回路と接続しているリモートデバイスがセントラルの獲得要求を受諾しない場合、リモートデバイスに対して通信回路の役割をペリフェラルに設定する。
【0204】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、第1の規格に準拠する通信で接続しているリモートデバイスがなく、第2の規格に準拠する通信で接続しているリモートデバイスがL+1台未満の場合、新たに第1の規格に準拠する通信でリモートデバイスと接続する際、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求に応じてペリフェラルとなることができる。また、無線通信装置は、リモートデバイスから接続された場合、所定の回数のみセントラルの獲得要求をすることができる。以上により、無線通信装置は、リモートデバイスの通信を安定させ、さらにリモートデバイス間で何度もセントラルの獲得要求が繰り返され、無線通信装置およびリモートデバイス両方の通信のパフォーマンスが低下することを防ぐことができる。
【0205】
<技術12>
技術1から技術11のいずれか1つに記載の無線通信装置において、プロセッサは、第1の規格に準拠する通信で通信回路とリモートデバイス1台とを接続し、かつ第2の規格に準拠する通信でかつ通信回路の役割をペリフェラルに設定しL+1台未満のリモートデバイスと通信回路とが接続している場合、別のリモートデバイスに対して第1の規格に準拠する通信で通信回路と接続した後、リモートデバイスからの前記セントラルの獲得要求を拒否し、第1の規格に準拠する通信で通信回路とリモートデバイス1台とを接続し、かつ第2の規格に準拠する通信でかつ通信回路の役割をペリフェラルに設定してL+1台未満のリモートデバイスと通信回路とが接続している場合、新たに別のリモートデバイスから第1の規格に準拠する通信で接続された後、別のリモートデバイスへセントラルの獲得要求を所定の回数出力し、別のリモートデバイスがセントラルの獲得要求を受諾する場合、リモートデバイスに対して通信回路の役割をセントラルに設定し、通信回路の役割をセントラルに設定した後、別のリモートデバイスからセントラルの獲得要求を受信した場合、リモートデバイスからのセントラルの獲得要求を拒否し、第1の規格に準拠する通信で通信回路とリモートデバイス1台とが接続し、かつ第2の規格に準拠する通信でかつ通信回路の役割をペリフェラルに設定してL+1台未満のリモートデバイスと通信回路とが接続している場合、新たに別のリモートデバイスから第1の規格に準拠する通信で通信回路に接続された後、別のリモートデバイスへセントラルの獲得要求を所定の回数出力し、別のリモートデバイスがセントラルの獲得要求を受諾しない場合、リモートデバイスに対して通信回路の役割をペリフェラルに設定する。
【0206】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、第1の規格に準拠する通信で接続しているリモートデバイスが既に1台ある場合は、第2の規格に準拠する通信で接続しているリモートデバイスがL+1台未満であっても、新たに接続したリモートデバイスに対して1度セントラルとなった後は、ペリフェラルとなることを回避することができる。これにより、無線通信装置は、デュアルモードでの通信において、通信のパフォーマンスが低下することを防ぐことができる。
【0207】
<技術13>
技術1から技術12のいずれか1つに記載の無線通信装置において、第1の規格は、Bluetooth Classic規格であり、第2の規格は、Bluetooth Low Energy規格であり、第1の規格と第2の規格とが同じデバイスでデュアルモードとして同時動作する。
【0208】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置は、Bluetooth Classic規格に準拠する通信とBluetooth Low Energy規格に準拠する通信とのデュアルモードの通信において、リモートデバイス間とのセントラルおよびペリフェラルの切り替えを制御することができる。これにより、無線通信装置は、上述した2つの規格に準拠するデュアルモードの通信において、通信のパフォーマンスが低下することを防ぎ、かつ、自装置の通信のパフォーマンスが低下しない範囲でリモートデバイスの通信も安定させることができる。
【0209】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0210】
本開示の無線通信装置は、車載機、航空機内エンターテインメントシステム機器、テレビ、ブルーレイ/DVDレコーダー、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、照明器具、エアコン、空気清浄機、カメラ、プリンタ、プロジェクタ、スキャナ、フィットネス機器、自動販売機、ゲーム機器として有用である。
【符号の説明】
【0211】
1 無線通信システム
100,100A 無線通信装置
101,102 リモートデバイス
201 プロセッサ
202 通信回路
203 ディスプレイ
204 入力装置
205 メモリ
図1
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