(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007462
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】振動発電デバイス、振動発電デバイスの製造方法及びセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
H02N 2/18 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H02N2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108883
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】517177729
【氏名又は名称】仙台スマートマシーンズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】北山 賢
(72)【発明者】
【氏名】船井 星那
(72)【発明者】
【氏名】桑野 博喜
(72)【発明者】
【氏名】レ バン ミン
(72)【発明者】
【氏名】グエン ホアン フン
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA12
5H681BB08
5H681DD39
5H681FF01
(57)【要約】
【課題】接続線と基板の接続における接着強度を高めることが可能な振動発電デバイス、振動発電デバイスの製造方法及びセンサモジュールが提供される。
【解決手段】振動発電デバイスは、第1平面と第2平面とを有する基板(12)と、第1平面にある第1圧電部及び第1接続部(19A)と、第2平面にある第2圧電部及び第2接続部(19B)と、を備え、第2接続部は、平面視で第1接続部と重ならないように設けられて、第1接続部及び第2接続部のそれぞれは、基板の第1平面又は第2平面に設けられ、第1圧電部又は第2圧電部と電気的に接続される電極層(31)と、導電性樹脂を含み、電極層と電気的に接続される樹脂層(32)と、負荷と接続される接続線の一部を含み、樹脂層と電気的に接続される接続線層(33)と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平面と前記第1平面と反対の面である第2平面とを有する基板と、
前記第1平面に設けられ、圧電体を備える第1圧電部と、
前記第2平面に設けられ、圧電体を備える第2圧電部と、
前記第1平面の領域であって、前記第1圧電部の圧電体で生じた電力を前記基板の外部の負荷に供給するための電気的な接続が行われる第1接続部と、
前記第2平面の領域であって、前記第2圧電部の圧電体で生じた電力を前記負荷に供給するための電気的な接続が行われる第2接続部と、を備え、
前記第2接続部は、平面視で前記第1接続部と重ならないように設けられて、
前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれは、
前記基板の前記第1平面又は前記第2平面に設けられ、前記第1圧電部又は前記第2圧電部と電気的に接続される電極層と、
導電性樹脂を含み、前記電極層と電気的に接続される樹脂層と、
前記負荷と接続される接続線の一部を含み、前記樹脂層と電気的に接続される接続線層と、を含む、振動発電デバイス。
【請求項2】
前記樹脂層は、前記電極層と前記接続線層との間で前記導電性樹脂が圧着されて形成される、請求項1に記載の振動発電デバイス。
【請求項3】
前記基板は、金属基板又は樹脂基板である、請求項1又は2に記載の振動発電デバイス。
【請求項4】
前記導電性樹脂は、導電性粒子を含む樹脂であり、
前記電極層は複数の接続端子を含み、
前記複数の接続端子のうちの1つと隣接する接続端子との距離は、前記導電性粒子の粒径より大きい、請求項1又は2に記載の振動発電デバイス。
【請求項5】
前記複数の接続端子のそれぞれの前記第1平面又は前記第2平面からの高さは、前記導電性粒子の粒径より大きい、請求項4に記載の振動発電デバイス。
【請求項6】
前記第1接続部と前記第2接続部とは前記基板に対して対称である、請求項1又は2に記載の振動発電デバイス。
【請求項7】
第1平面と前記第1平面と反対の面である第2平面とを有する基板と、前記第1平面に設けられ、圧電体を備える第1圧電部と、前記第2平面に設けられ、圧電体を備える第2圧電部と、前記第1平面の領域であって、前記第1圧電部の圧電体で生じた電力を前記基板の外部の負荷に供給するための電気的な接続が行われる第1接続部と、前記第2平面の領域であって、前記第2圧電部の圧電体で生じた電力を前記負荷に供給するための電気的な接続が行われる第2接続部と、を備える、振動発電デバイスの製造方法であって、
前記第2接続部を、平面視で前記第1接続部と重ならないように設定するステップと、
前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれにおいて、前記基板の前記第1平面又は前記第2平面に設けられ、前記第1圧電部又は前記第2圧電部と電気的に接続される電極層と、前記負荷と接続される接続線の一部を含む接続線層と、の間で、導電性樹脂を含む樹脂層を圧着によって形成するステップと、を含む、振動発電デバイスの製造方法。
【請求項8】
第1平面と前記第1平面と反対の面である第2平面とを有する基板と、
前記第1平面に設けられ、圧電体を備える第1圧電部と、
前記第2平面に設けられ、圧電体を備える第2圧電部と、
前記第1平面の領域であって、前記第1圧電部の圧電体で生じた電力を前記基板の外部
の負荷に供給するための電気的な接続が行われる第1接続部と、
前記第2平面の領域であって、前記第2圧電部の圧電体で生じた電力を前記負荷に供給するための電気的な接続が行われる第2接続部と、を備え、
前記第2接続部は、平面視で前記第1接続部と重ならないように設けられて、
前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれは、
前記基板の前記第1平面又は前記第2平面に設けられ、前記第1圧電部又は前記第2圧電部と電気的に接続される電極層と、
導電性樹脂を含み、前記電極層と電気的に接続される樹脂層と、
前記負荷と接続される接続線の一部を含み、前記樹脂層と電気的に接続される接続線層と、を含む、センサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動発電デバイス、振動発電デバイスの製造方法及びセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
周囲環境の振動エネルギーから電気エネルギーを発生させる振動発電デバイスと、振動発電デバイスを利用したセンサモジュールが知られている。例えば特許文献1は、複数の板状可撓体と重錘部体とを組み合わせた構造の発電素子を開示する。また、例えば特許文献2は、複数の圧電素子と複数の圧電素子を連結する連結部材とを備え、振動エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換できる発電デバイスを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-103170号公報
【特許文献2】特開2020-061938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、振動発電デバイスでは、基板が振動するため、電力を外部の負荷に供給するための接続線を金属ペーストによって基板に接着する手法では接着強度が不十分な場合がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、接続線と基板の接続における接着強度を高めることが可能な振動発電デバイス、振動発電デバイスの製造方法及びセンサモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係る振動発電デバイスは、
第1平面と前記第1平面と反対の面である第2平面とを有する基板と、
前記第1平面に設けられ、圧電体を備える第1圧電部と、
前記第2平面に設けられ、圧電体を備える第2圧電部と、
前記第1平面の領域であって、前記第1圧電部の圧電体で生じた電力を前記基板の外部の負荷に供給するための電気的な接続が行われる第1接続部と、
前記第2平面の領域であって、前記第2圧電部の圧電体で生じた電力を前記負荷に供給するための電気的な接続が行われる第2接続部と、を備え、
前記第2接続部は、平面視で前記第1接続部と重ならないように設けられて、
前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれは、
前記基板の前記第1平面又は前記第2平面に設けられ、前記第1圧電部又は前記第2圧電部と電気的に接続される電極層と、
導電性樹脂を含み、前記電極層と電気的に接続される樹脂層と、
前記負荷と接続される接続線の一部を含み、前記樹脂層と電気的に接続される接続線層と、を含む。
【0007】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記樹脂層は、前記電極層と前記接続線層との間で前記導電性樹脂が圧着されて形成される。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(1)又は(2)において、
前記基板は、金属基板又は樹脂基板である。
【0009】
(4)本開示の一実施形態として、(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記導電性樹脂は、導電性粒子を含む樹脂であり、
前記電極層は複数の接続端子を含み、
前記複数の接続端子のうちの1つと隣接する接続端子との距離は、前記導電性粒子の粒径より大きい。
【0010】
(5)本開示の一実施形態として、(4)において、
前記複数の接続端子のそれぞれの前記第1平面又は前記第2平面からの高さは、前記導電性粒子の粒径より大きい。
【0011】
(6)本開示の一実施形態として、(1)から(5)のいずれかにおいて、
前記第1接続部と前記第2接続部とは前記基板に対して対称である。
【0012】
(7)本開示の一実施形態に係る振動発電デバイスの製造方法は、
第1平面と前記第1平面と反対の面である第2平面とを有する基板と、前記第1平面に設けられ、圧電体を備える第1圧電部と、前記第2平面に設けられ、圧電体を備える第2圧電部と、前記第1平面の領域であって、前記第1圧電部の圧電体で生じた電力を前記基板の外部の負荷に供給するための電気的な接続が行われる第1接続部と、前記第2平面の領域であって、前記第2圧電部の圧電体で生じた電力を前記負荷に供給するための電気的な接続が行われる第2接続部と、を備える、振動発電デバイスの製造方法であって、
前記第2接続部を、平面視で前記第1接続部と重ならないように設定するステップと、
前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれにおいて、前記基板の前記第1平面又は前記第2平面に設けられ、前記第1圧電部又は前記第2圧電部と電気的に接続される電極層と、前記負荷と接続される接続線の一部を含む接続線層と、の間で、導電性樹脂を含む樹脂層を圧着によって形成するステップと、を含む。
【0013】
(8)本開示の一実施形態に係るセンサモジュールは、
第1平面と前記第1平面と反対の面である第2平面とを有する基板と、
前記第1平面に設けられ、圧電体を備える第1圧電部と、
前記第2平面に設けられ、圧電体を備える第2圧電部と、
前記第1平面の領域であって、前記第1圧電部の圧電体で生じた電力を前記基板の外部の負荷に供給するための電気的な接続が行われる第1接続部と、
前記第2平面の領域であって、前記第2圧電部の圧電体で生じた電力を前記負荷に供給するための電気的な接続が行われる第2接続部と、を備え、
前記第2接続部は、平面視で前記第1接続部と重ならないように設けられて、
前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれは、
前記基板の前記第1平面又は前記第2平面に設けられ、前記第1圧電部又は前記第2圧電部と電気的に接続される電極層と、
導電性樹脂を含み、前記電極層と電気的に接続される樹脂層と、
前記負荷と接続される接続線の一部を含み、前記樹脂層と電気的に接続される接続線層と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、接続線と基板の接続における接着強度を高めることが可能な振動発電デバイス、振動発電デバイスの製造方法及びセンサモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る振動発電デバイスを含むセンサモジュールの概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係る振動発電デバイスの振動方向に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、接続線と基板の接続を説明するための上面図である。
【
図4】
図4は、接続線と基板の接続を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は、接続部を形成するための圧着について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る振動発電デバイス、振動発電デバイスの製造方法及びセンサモジュールが説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。ただし、図面は模式的なものである。例えば厚さと幅との関係等は現実のものと異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するためのデバイス等を例示するものであって、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに限定するものでない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る振動発電デバイス10を含むセンサモジュール21の概略構成を示す機能ブロック図である。センサモジュール21は、センサ22、通信部23、コントローラ24及び振動発電デバイス10を含んで構成される。センサモジュール21は、外部からの電力の供給を受けずに、多様な状態を検出し、検出結果として外部機器に送信してよい。センサモジュール21は、例えば、橋、電車、車両、発電所、屋外機械装置又は工場装置などにおいて用いられる。
【0018】
センサ22は、例えば、振動センサ、温度センサ及び圧力センサなどであって、任意の対象物の任意の状態を検出する。センサ22は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
【0019】
通信部23は、ネットワークを介して外部機器と通信するインタフェースである。通信部23は、例えば、ネットワークを介して外部機器と通信する通信モジュールを含んでよい。通信部23は、例えば、センサ22が検出した任意の状態を示す検出値を信号として外部機器に送信する。ここで、検出値は、検出結果を数値化したものである。通信部23は、外部機器から指令を受信してコントローラ24に送信してよい。通信部23は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
【0020】
コントローラ24は、センサ22及び通信部23の動作を制御する。例えばコントローラ24は、1以上のプロセッサ及びメモリを含んで構成されてよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ及び特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。コントローラ24は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)及びSiP(System In a Package)のいずれかであってよい。コントローラ24は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る振動発電デバイス10の振動方向に沿った断面図である。振動発電デバイス10は、錘部11、基板12、圧電部17及び固定部13を含んで構成される。さらに、振動発電デバイス10は、筐体14を含んで構成されてよい。
【0022】
錘部11は、慣性力を与えることにより、固定部13に支持される基板12の振動を増大させる。錘部11は、基板12に対して、振動させる方向として定められた振動方向側の面に設けられてよい。
【0023】
ここで、
図2には直交座標が示されている。この直交座標は、後に参照する
図3及び
図4でも用いられる。z軸方向は、通常の使用時に錘部11が振動する方向、すなわち振動方向である。z軸方向は、振動発電デバイス10の厚さ方向(高さ方向)でもある。x軸方向は、振動発電デバイス10の幅方向に対応する。また、y軸方向は、振動発電デバイス10の奥行き方向に対応する。以下において、z軸正方向に位置する場合を上と、z軸負方向に位置する場合を下として、相対的な位置関係を説明することがある。例えば
図2において、固定部13は基板12の上及び下にあって、固定部13を支持している。また、xy平面を正面から見る見方を、以下において平面視と称することがある。例えば、z軸負方向に向かう視線で、錘部11、固定部13及び筐体14を透過させて、基板12の主面における位置関係を説明する場合の見方は平面視である。ここで、主面は最も面積の大きい面である。
【0024】
以下、振動発電デバイス10の構成要素のそれぞれが説明される。錘部11は、本体部15及び首部16を有してよい。本体部15は例えば板状である。首部16は、本体部15に比べて細い、円柱などの柱状であってよい。首部16の軸が本体部15の中心を通り、板状の本体部15に対して垂直であってよい。首部16は、軸が振動方向に平行となるように基板12に固定されてよい。
【0025】
基板12は薄板状であり、板面が振動方向に垂直であってよい。基板12は、振動する振動部として機能するものであれば、金属基板であってよいし、樹脂基板であってよい。金属基板である場合に、基板12は、例えばSUSなどにより形成されてよい。
【0026】
圧電部17は、基板12に設けられる。圧電部17は、基板12の振動により応力が生じる位置に配置されてよい。圧電部17は、基板12における振動方向側の面に設けられてよい。複数の圧電部17が、基板12の延在する方向に沿って並ぶように設けられてよい。複数の圧電部17が、基板12の振動方向の両側の面に設けられてよい。つまり、複数の圧電部17が、基板12のz軸方向の上の面及び下の面(両方の主面)に設けられてよい。
【0027】
圧電部17は圧電体及び電極を含んで構成される。基板12が振動により変形すると、圧電部17は、基板12と共に変形する。これにより、基板12が振動すると、圧電部17内の圧電体に応力が加えられ、圧電体の圧電効果によりこの応力が電力に変換される。圧電体で生成された電力は電極を介して、振動発電デバイス10の外部に出力される。
【0028】
本実施形態において、圧電体で生成された電力は、さらに接続部19(
図3参照)を介して、振動発電デバイス10の外部に出力される。接続部19の詳細については後述する。
【0029】
固定部13は、基板12を任意の方法により固定する。固定部13は、剛性の大きな部材で形成されることが好ましく、例えば、Feなどの金属単体、Fe、Ni、Crなどを含む合金、SUS又は樹脂などの非金属の物質によって形成されてよい。
【0030】
筐体14は、錘部11及び基板12を収容してよい。筐体14は、固定部13を支持してよい。
【0031】
ここで、
図2に示すように、基板12は2つの主面である第1平面12A及び第2平面12Bを有する。第2平面12Bは第1平面12Aの反対の面である。圧電部17は設けられている面で区別することができる。第1平面12Aに設けられる圧電部17を第1圧電部17Aと称することがある。第2平面12Bに設けられる圧電部17を第2圧電部17Bと称することがある。
【0032】
上記のように、基板12が振動により変形すると、圧電部17も変形して圧電体に応力が加えられることによって電力が生じる。ただし、基板12が変形することによって、電気的な接続を行う部分についても力がかかる。従来、電力を外部の負荷に供給するための接続線30(
図3参照)を金属ペースト(一例として銀ペースト)によって基板に接着することが行われていた。しかし、基板12の変形により接続線30が剥がれることがあり、さらに高い接着強度を有する接着手法が求められていた。
【0033】
図3及び
図4は、接続線30と基板12の接続を説明するための上面図及び断面図である。本実施形態に係る振動発電デバイス10は、基板12と、第1平面12Aに設けられ、圧電体を備える第1圧電部17Aと、第2平面12Bに設けられ、圧電体を備える第2圧電部17Bと、接続部19と、を備える。接続部19は、第1平面12Aの領域である第1接続部19Aと、第2平面12Bの領域である第2接続部19Bと、を含む。
図3に示すように、第1接続部19Aでは、第1圧電部17Aの圧電体で生じた電力を負荷に供給するための電気的な接続が行われる。また、第2接続部19Bでは、第2圧電部17Bの圧電体で生じた電力を負荷に供給するための電気的な接続が行われる。ここで、負荷は、基板12の外部の装置などであって、例えばセンサ22、通信部23又はコントローラ24であるが、これらに限定されない。接続線30は、電力を負荷に供給するための配線であって、例えばフレキシブル基板(FPC;Flexible printed circuits)であってよい。
【0034】
図4に示すように、第1接続部19A及び第2接続部19Bのそれぞれは、電極層31と、樹脂層32と、接続線層33と、を含んで構成される。電極層31は、基板12の第1平面12A又は第2平面12Bに設けられ、第1圧電部17A又は第2圧電部17Bと電気的に接続される。樹脂層32は、導電性樹脂を含み、電極層31と電気的に接続される。接続線層33は、負荷と接続される接続線30の一部を含み、樹脂層32と電気的に接続される。
図4に示すように、本実施形態において、第1接続部19Aと第2接続部19Bとは基板12に対して対称である。つまり、第1接続部19Aと第2接続部19Bとは同じ構造であるが、x軸方向についても、z軸方向についても、対称的に配置される。このような対称的な構成によって、振動発電デバイス10の重心が設計値からずれることを抑制できる。
【0035】
ここで、樹脂層32が含む導電性樹脂は、導電性粒子34を含む樹脂であってよい。導電性樹脂は、一例として異方性導電膜(ACF;Anisotropic Conductive Film)を用いることができる。ここで、電極層31は複数の接続端子35を含んで構成されてよい。
図4に示すように、複数の接続端子35は所定の間隔で配置される。この場合に、複数の接続端子35のうちの1つと隣接する接続端子35との距離(所定の間隔)は、導電性粒子34の粒径より大きく設定される。また、複数の接続端子35のそれぞれの第1平面12A又は第2平面12Bからの高さ(z軸方向の長さ)は、導電性粒子34の粒径より大きく設定される。導電性粒子34によって短絡が生じることを防止するためである。ここで、
図4及び
図5において、導電性粒子34は見やすさのために大きく描かれており、実際には接続端子35の高さに比べても十分小さい、微小な粒子である。
【0036】
図5に示すように、樹脂層32は、電極層31と接続線層33との間で導電性樹脂が圧
着されて形成される。導電性樹脂が加圧され、加熱されることによって、接続線30を金属ペーストによって基板に接着する手法に比べて、接着強度を高めることが可能になる。ただし、導電性樹脂の圧着を行う際に、基板12の樹脂層32とは反対側の面が平坦である必要がある。例えば第1接続部19Aの樹脂層32を形成する場合に、基板12の第2平面12Bは平坦である必要がある。また、第2接続部19Bの樹脂層32を形成する場合に、基板12の第1平面12Aは平坦である必要がある。したがって、x軸方向又はy軸方向で、第1接続部19Aと第2接続部19Bとが重なる位置に設定されると、導電性樹脂の圧着ができない。本実施形態に係る振動発電デバイス10では、第2接続部19Bが、平面視で第1接続部19Aと重ならないように設けられる。そのため、導電性樹脂の圧着によって樹脂層32を形成して、接着強度を高めることができる。
【0037】
振動発電デバイス10の製造方法は、第1ステップ及び第2ステップを少なくとも含む。第1ステップは、第2接続部19Bを、平面視で第1接続部19Aと重ならないように設定するステップである。また、第2ステップは、電極層31と、負荷と接続される接続線30の一部を含む接続線層33と、の間で、導電性樹脂を含む樹脂層32を圧着によって形成するステップである。第2ステップは、第1接続部19A及び第2接続部19Bのそれぞれについて実行される。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る振動発電デバイス10、振動発電デバイス10の製造方法及びセンサモジュール21は、上記の構成及び工程によって、接続線30と基板12の接続における接着強度を高めることが可能である。したがって、基板12が振動を続けても、接着強度が高いため、例えば接続線30が基板12から外れるような問題が生じにくく、振動発電デバイス10及びセンサモジュール21の信頼性を高めることができる。
【0039】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0040】
上記の実施形態において、センサモジュール21が
図1に示される構成を有するとして説明したが、構成要素の全てを含む必要はない。例えばセンサモジュール21は、センサ22を備えずに、振動発電デバイス10がセンサ22の機能を兼ねる構成であってよい。例えば振動発電デバイス10は、圧電部17内の圧電体で生成された電力とともに、振動の強さを示す信号などを出力してよい。例えばコントローラ24が振動の強さを示す信号に基づいてセンサモジュール21を搭載する移動体の速度を算出し、速度センサとしての機能が実現されてよい。
【符号の説明】
【0041】
10 発電振動デバイス
11 錘部
12 基板
12A 第1平面
12B 第2平面
13 固定部
14 筐体
15 本体部
16 首部
17 圧電部
17A 第1圧電部
17B 第2圧電部
19 接続部
19A 第1接続部
19B 第2接続部
21 センサモジュール
22 センサ
23 通信部
24 コントローラ
30 接続線
31 電極層
32 樹脂層
33 接続線層
34 導電性粒子
35 接続端子