(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007478
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/33 20180101AFI20250109BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/265 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/39 20180101ALI20250109BHJP
F21S 41/37 20180101ALI20250109BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250109BHJP
F21W 102/14 20180101ALN20250109BHJP
【FI】
F21S41/33
F21S41/663
F21S41/148
F21S41/151
F21S41/265
F21S41/43
F21S41/39
F21S41/37
F21Y115:10
F21W102:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108907
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 政輝
(57)【要約】
【課題】グレアの発生を抑制することが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、車両搭載状態における左右方向に配置される複数の光源と、光源からの光を車両前方へ反射する第1反射部と、光源からの光を車両前方とは異なる方向へ反射する第2反射部とが左右方向に並んだ状態で配置されるリフレクタと、左右方向に並んだ状態で配置され、第1反射部で反射された光を車両前方に出射して照射パターンを形成する複数のレンズ部を有する投影レンズとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両搭載状態における左右方向に配置される複数の光源と、
前記光源からの光を車両前方へ反射する第1反射部と、前記光源からの光を前記車両前方とは異なる方向へ反射する第2反射部とが左右方向に並んだ状態で配置されるリフレクタと、
左右方向に並んだ状態で配置され、前記第1反射部で反射された光を車両前方に出射して照射パターンを形成する複数のレンズ部を有する投影レンズと
を備える車両用灯具。
【請求項2】
前記リフレクタには、それぞれの前記レンズ部ごとに前記第1反射部及び前記第2反射部が対応して配置され、
前記第1反射部は、対応する前記レンズ部の光軸に対して車両内側となる位置に配置され、
前記第2反射部は、それぞれの前記レンズ部の光軸に対して車両外側となる位置に配置される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2反射部は、左右方向について、当該第2反射部に対応する前記第1反射部と、当該第2反射部に対応する前記レンズ部に対して左右方向に隣り合うレンズ部と、の間に配置される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第2反射部は、前記第1反射部との境界が光軸に沿った明暗境界形成部として形成されている
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第2反射部は、ローレット部を有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記投影レンズの最も車両内側に配置される前記レンズ部は、出射光の内側拡散が最も少ない配光パターンを形成する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記投影レンズの最も車両外側に配置される前記レンズ部は、出射光の外側拡散が最も少ない配光パターンを形成する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記投影レンズは、車両内側から外側にかけて後方に傾いた形状である
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項9】
1つの前記レンズ部に対応する前記第1反射部が、左右方向に複数設けられる
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記光源は、前記第1反射部に対応して設けられ、
前記第2反射部には、対応する前記光源が設けられない
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記リフレクタは、左右方向に隣り合う前記レンズ部同士の間に車両内側に向けた遮光壁を有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記リフレクタは、左右方向に隣り合う前記レンズ部同士の間に前後方向に沿った隔壁を有し、
前記遮光壁は、前記隔壁の前方の端部に設けられる
請求項11に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記隔壁は、前方に向けて上下方向の高さが高くなるように形成される
請求項12に記載の車両用灯具。
【請求項14】
前記隔壁は、上部から下部にかけて車両内側に傾くように形成される
請求項12に記載の車両用灯具。
【請求項15】
前記遮光壁は、下部から上部にかけて車両内側への突出量が少なくなるように形成される
請求項12に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
ADBパターンを車両前方に形成する車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、例えば複数の光源と、光源ごとに設けられ各光源からの光を車両前方へ反射する反射面を有するリフレクタと、各反射面で反射された光を出射する投影レンズとを備えるいわゆるリフレクタ型の車両用灯具により、ADBパターンを車両前方に形成する構成が検討されている。このような車両用灯具では、リフレクタ等におけるグレアの発生を抑制することが求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、グレアの発生を抑制することが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、車両搭載状態における左右方向に配置される複数の光源と、前記光源からの光を車両前方へ反射する第1反射部と、前記光源からの光を前記車両前方とは異なる方向へ反射する第2反射部とが左右方向に並んだ状態で配置されるリフレクタと、左右方向に並んだ状態で配置され、前記第1反射部で反射された光を車両前方に出射して照射パターンを形成する複数のレンズ部を有する投影レンズとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グレアの発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、車両用灯具を正面側(前方)から見た構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、車両用灯具を正面側(前方)から見た構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
【
図5】
図5は、車両用灯具の一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、車両用灯具の動作の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、車両用灯具による照射パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明において、前後(前方、後方)、上下(上方、下方)、左右(左方、右方)の各方向は、車両用灯具が車両に取り付けられた状態における方向であって、運転席に座った状態で正面を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を示す平面図である。
図2及び
図3は、車両用灯具100を正面側(前方)から見た構成の一例を示す図である。なお、
図3は、
図2において投影レンズ30を省略した状態を示している。
図4は、
図2におけるA-A断面に沿った構成を模式的に示す図である。
図5は、車両用灯具100の一例を示す斜視図である。
図5は、車両用灯具100を後方かつ上方から見た状態を示している。
【0011】
図1から
図5に示す車両用灯具100は、車両のヘッドランプとして用いられる。車両用灯具100は、例えば車両の左右の前部に取り付けられる。以下、車両の前部左側に搭載される車両用灯具100を例に挙げて説明する。したがって、車両用灯具100において、左右方向の左側が車両内側であり、左右方向の右側が車両外側である。なお、車両の前部右側に取り付けられる車両用灯具については、車両用灯具100に対して左右が対称の構成とすることができる。
【0012】
図1に示すように、車両用灯具100は、光源10と、リフレクタ20と、投影レンズ30と、放熱部材40とを有する。車両用灯具100は、車両前方に照射パターンを形成する。車両用灯具100は、いわゆる片側配光の構成である。つまり、車両用灯具100は、ADBパターンの右側部分を照射パターンとして形成する。なお、ADBパターンは、車両の前部右側に取り付けられる車両用灯具と、車両の前部左側に取り付けられる車両用灯具とで合成されることで形成される。この場合、車両の前部右側の車両用灯具が車両前方のADBパターンの中央部分から右側部分を形成し、車両の前部左側の車両用灯具が車両前方のADBパターンの中央部分から左側部分を形成する。
【0013】
光源10は、例えばLED等の半導体型光源である。光源10は、左右方向に複数設けられる。光源10は、光を出射する発光面11を有する。車両用灯具100が車両に取り付けられた場合、発光面11は例えば下方に向けられ、水平面に平行に配置される。光源10は、基板12に取り付けられる。基板12は、放熱部材40に保持される。基板12には、光源10に電力及び電気信号等を供給するための回路等が形成される。
【0014】
リフレクタ20は、第1反射部21及び第2反射部22を有する。第1反射部21は、例えば光源10ごとに設けられる。第1反射部21は、それぞれ光源10に対応して左右方向に並んだ状態で配置される。
【0015】
第2反射部22は、光源10からの光を車両前方とは異なる方向へ反射する。第2反射部22は、ADBパターンを形成するための明暗境界形成部として機能すると共に、光をレンズ部31に入射させないように反射することでグレアを抑制する抑制部として機能する。第1反射部21及び第2反射部22の詳細な構成については、後述する。
【0016】
投影レンズ30は、第1反射部21で反射された光を車両前方に出射して照射パターンを形成する。投影レンズ30は、正面(前方)から見て、例えば四角形状に形成される。なお、投影レンズ30の正面視における形状は、四角形状に限定されない。投影レンズ30は、車両内側から車両外側にかけて後方に傾いた形状となっている(
図1参照)。また、投影レンズ30は、正面視において、車両内側から車両外側にかけて上方に傾いた形状となっている(
図2参照)。投影レンズ30は、複数のレンズ部31を有する。複数のレンズ部31は、左右方向に並んだ状態で配置される。複数のレンズ部31は、一体に連結される。各レンズ部31は、第1反射部21で反射された光が入射する入射面31aを有する。また、複数のレンズ部31は、各入射面31aから入射した光を出射する共通の出射面31bを有する。
【0017】
投影レンズ30の最も車両内側に配置されるレンズ部31は、出射光の内側拡散が最も少なくなるように設定される。この構成により、投影レンズ30の前方かつ車両内側のスペースに他の構造物を配置する等、当該スペースを有効活用することができ、レイアウトの自由度が高くなる。投影レンズ30の最も車両外側に配置されるレンズ部31は、出射光の外側拡散が最も少なくなるように設定される。この構成により、投影レンズ30の前方かつ車両外側のスペースに他の構造物を配置する等、当該スペースを有効活用することができ、レイアウトの自由度が高くなる。
【0018】
上記の第1反射部21は、左右方向の両側から中央部にかけて下方に凹んだ反射面21aを有する。第1反射部21は、レンズ部31に対応して設けられる。具体的には、第1反射部21は、反射面21aにより、対応するレンズ部31に向けて光を反射するように配置される。
【0019】
第1反射部21は、対応するレンズ部31の光軸AXに対して車両内側となる位置に配置される。このため、車両前方において車両外側に向けて照射するようにADBパターンを形成することができる。なお、第1反射部21は、対応するレンズ部31の光軸を左右方向に跨ぐように配置されてもよい。本実施形態において、第1反射部21は、1つのレンズ部31について複数、例えば2つ設けられる。2つの第1反射部21は、左右に連なった状態で配置される。
【0020】
上記の第2反射部22は、左右方向の両側から中央部にかけて下方に凹んだ反射面22aを有する。第2反射部22は、1つのレンズ部31について1つ設けられる。つまり、本実施形態では、1つのレンズ部31に対応して、複数(2つ)の第1反射部21と、1つの第2反射部22とが左右方向に並んだ状態で配置される。また、第2反射部22は、第1反射部21に対して左右方向の車両外側に配置される。そして、このようなレンズ部31と第1反射部21及び第2反射部22との対応した構成が、左右方向に3つ並んで配置されている。以下、1つのレンズ部31に対応する第1反射部21と第2反射部22との関係を説明する際、第1反射部21に対応する第2反射部22、又は第2反射部22に対応する第1反射部21、と表記する場合がある。第2反射部22は、反射面22aにより、レンズ部31に入射させないように光を反射する。
【0021】
第2反射部22は、左右方向について、当該第2反射部22に対応する第1反射部21と、当該第2反射部22に対応するレンズ部31に対して左右方向の車両外側に隣り合うレンズ部31と、の間に配置される。この場合、第2反射部22は、例えば左右方向に隣り合うレンズ部31の光軸AX同士の間の位置に配置された構成とすることができる。片側配光のパターンを形成する場合、左右方向の隣り合うレンズ部31同士の間には、明暗境界形成部を形成するための空間等を配置する必要がある。本実施形態の構成では、当該明暗境界形成部の位置に第2反射部22を配置することで、明暗境界形成部の位置からレンズ部31に向けて光が反射されることを抑制でき、グレアの発生を抑制できる。本実施形態において、第2反射部22は、各レンズ部31の光軸AXに対して車両外側となる位置に配置される。この構成により、第2反射部22を効率的に可能となる。
【0022】
第2反射部22は、第1反射部21との境界が光軸AXに沿った明暗境界形成部22Rとして形成されている(
図4に網掛け領域で示す)。明暗境界形成部22Rにおいて、第2反射部22は、前後方向の後端部22bが第1反射部21から後方に向かう形状となっている。この構成により、第2反射部22の反射面22aによる反射光がレンズ部31に入射しにくくなる。後端部22bは、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。第2反射部22は、車両外側の側部にローレット部22cを有する。ローレット部22cは、光を散乱させる。
【0023】
リフレクタ20は、底板23と、隔壁24と、遮光壁25と、外枠部26とを有する。底板23は、例えば水平面に沿って配置され、第1反射部21及び第2反射部22から前方に向けて延びている。
図6及び
図7は、リフレクタ20の一例を示す図である。
図6は左後方かつ上方から見た斜視図、
図7は
図1におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。
【0024】
隔壁24は、底板23から上方に突出するように設けられる。隔壁24は、左右方向に隣り合うレンズ部31同士の間に前後方向に沿って配置される。隔壁24は、前方に向けて前後方向の高さが高くなるように形成される。隔壁24は、スロープ部24sと、水平部24hとを有する。スロープ部24sは、後端から前方にかけて高さが徐々に高くなる部分である。水平部24hは、スロープ部24sの前端から前方に向けて水平面に沿って延びる部分である。この構成により、光源10から出射された光のうち隔壁24に向けて斜め前方に進行する光を隔壁24の前側において確実に遮光できる。また、隔壁24の後側においては材料を少なくできるため、コストを抑えることができる。また、隔壁24は、上部から下部にかけて側面24aが車両内側に傾くように形成される。この構成により、金型を用いてリフレクタ20を成型する際、隔壁24の内部に金型を抜くためのスペースSPを設けることができる。
【0025】
遮光壁25は、左右方向に隣り合うレンズ部31同士の間に配置される。遮光壁25は、第1反射部21で反射された光のうち、当該第1反射部21に対応するレンズ部31の隣のレンズ部31に向けて車両外側に進行する光を遮光する。本実施形態において、遮光壁25は、それぞれのレンズ部31について、車両外側に配置される隔壁24の前方の端部に設けられる。この場合、遮光壁25は、車両内側に向けて突出する。上部から下部にかけて突出量が大きくなるように形成される。この構成により、遮光壁25における遮光量を必要最小限にすることができる。
【0026】
外枠部26は、リフレクタ20のうち左右方向の両端に配置される。外枠部26は、底板23から上方に屈曲するように形成される。
【0027】
次に、上記のように構成された車両用灯具100の動作を説明する。
図8は、車両用灯具100の動作の一例を示す図である。車両用灯具100における光源10を点灯させることにより、発光面11から光が出射される。発光面11から出射される光のうち一部は、第1反射部21の反射面21aに到達する。反射面21aに到達した光のうち一部の光L1は、対応するレンズ部31に向けて前方に反射され、レンズ部31を介して車両前方に照射されてADBパターンを形成する。
【0028】
反射面21aに到達した光のうち一部の光L2は、対応するレンズ部31に対して車両外側に向けて進行する。この光L2は、隔壁24の先端の遮光壁25により遮光される。このため、対応するレンズ部31の隣のレンズ部31に光L2が入射することが抑制される。
【0029】
また、発光面11から出射される一部の光L3は、第2反射部22の反射面22aに到達する。反射面22aに到達した光L3は、前方とは異なる方向に反射され、例えば隔壁24等により反射又は吸収されたり、ローレット部22cにより拡散されたりする。このため、第2反射部22に到達した光L3はレンズ部31への入射が抑制される。このように、光L3が車両前方に出射されることが抑制されるため、グレアの発生が抑制される。
【0030】
図9は、車両用灯具100による照射パターンPの一例を示す図である。
図9において、H-H線は水平線を示し、V-V線は鉛直方向に平行な線(以下、鉛直線と表記する)を示す。投影レンズ30の出射面31bから出射された光L1は、
図9に示すように、車両前方に照射パターンPを形成する。照射パターンPは、個々の光源10に対応するパターンP1~P6が左右方向に一部重複しつつ並んだ状態で配置される。なお、
図8には、パターンP1、P2、P3、P4、P5、P6に対応する光源10の符号をそれぞれS1、S2、S3、S4、S5、S6として示している。本実施形態に係る車両用灯具100はいわゆる片側配光である。したがって、照射パターンPは、ADBパターンのうち右側部分に相当する。ADBパターンは、車両の左側前部に配置される車両用灯具の照射パターンと合成されることで形成される。各パターンP1、P2、P3、P4、P5、P6においては、明暗境界形成部22Rが設けられることにより、図中左側の端部が直線状に立ち上がった形状となる。すなわち、明暗の境界が明確に形成されることになる。第2反射部22に隣接する第1反射部21のパターンP4、P5、P6が、V-V線付近に照射される。V-V線に近いほど強い光が照射されるため、第2反射部22によりグレアを抑制することの意義が大きいといえる。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、車両搭載状態における左右方向に配置される複数の光源10と、光源10からの光を車両前方へ反射する第1反射部21と、光源10からの光を車両前方とは異なる方向へ反射する第2反射部22とが左右方向に並んだ状態で配置されるリフレクタ20と、左右方向に並んだ状態で配置され、第1反射部21で反射された光を車両前方に出射してADBパターンを形成する複数のレンズ部31を有する投影レンズ30とを備える。
【0032】
この構成によれば、第1反射部21と左右方向に並ぶように第2反射部22が設けられるため、光源10からの光が第1反射部21から左右方向に外れて第2反射部22に到達した場合に、当該光を車両前方とは異なる方向に反射することができる。このため、第1反射部21から左右方向に外れた光が意図しない態様でレンズ部31に入射することを抑制できるため、グレアの発生を抑制できる。
【0033】
本実施形態に係る車両用灯具100において、リフレクタ20には、それぞれのレンズ部31ごとに第1反射部21及び第2反射部22が対応して配置され、第1反射部21は、対応するレンズ部31の光軸に対して車両内側となる位置に配置され、第2反射部22は、それぞれのレンズ部31の光軸に対して車両外側となる位置に配置される。
【0034】
この構成によれば、第1反射部21が対応するレンズ部31の光軸に対して車両内側となる位置に配置されるため、第1反射部21からの光を、レンズ部31を介して前方の車両外側に向けて効率的に照射することができる。また、第2反射部22がそれぞれのレンズ部31の光軸に対して車両外側となる位置に配置されるため、反射面22aの形状を凹形状とし、第2反射部22の後端部22bが第1反射部21から後方に向かう形状とすることで、レンズ部31から前方の車両内側に向けたグレアの発生を抑制できる。
【0035】
本実施形態に係る車両用灯具100において、第2反射部22は、左右方向について、当該第2反射部22に対応する第1反射部21と、当該第2反射部22に対応するレンズ部31に対して左右方向に隣り合うレンズ部31と、の間に配置される。
【0036】
ADBパターンを形成する構成においては、左右方向の隣り合うレンズ部31の光軸AX同士の間に、明暗境界形成部を形成するための空間等の配置が必要となる場合がある。本実施形態の構成では、第2反射部22が、左右方向について、当該第2反射部22に対応する第1反射部21と、当該第2反射部22に対応するレンズ部31に対して左右方向の車両外側に隣り合うレンズ部31と、の間に配置されるため、明暗境界形成部の位置に第2反射部22を配置することで、明暗境界形成部の位置からレンズ部31に向けて光が反射されることを抑制でき、グレアの発生を抑制できる。
【0037】
本実施形態に係る車両用灯具100において、第2反射部22は、第1反射部21との境界が光軸AXに沿った明暗境界形成部22Rとして形成されている。
【0038】
この構成によれば、第1反射部21との境界が光軸AXに沿った明暗境界形成部22Rとして形成されているため、明暗境界形成部の位置からレンズ部31に向けて光が反射されることを抑制でき、グレアの発生を抑制できる。
【0039】
本実施形態に係る車両用灯具100において、第2反射部22は、ローレット部22cを有する。
【0040】
この構成によれば、第2反射部22のローレット部22cに到達した光を当該ローレット部22cで拡散させることができるため、グレアの発生を抑制できる。
【0041】
本実施形態に係る車両用灯具100において、投影レンズ30の最も車両内側に配置されるレンズ部31は、出射光の内側拡散が最も少ないパターンP1、P4を形成する。
【0042】
この構成によれば、投影レンズ30の前方かつ車両内側のスペースに他の構造物を配置する等、当該スペースを有効活用することができ、レイアウトの自由度が高くなる。
【0043】
本実施形態に係る車両用灯具100において、投影レンズ30の最も車両外側に配置されるレンズ部31は、出射光の外側拡散が最も少ないパターンP3、P6を形成する。
【0044】
この構成によれば、投影レンズ30の前方かつ車両外側のスペースに他の構造物を配置する等、当該スペースを有効活用することができ、レイアウトの自由度が高くなる。
【0045】
本実施形態に係る車両用灯具100において、投影レンズ30は、車両内側から外側にかけて後方に傾いた形状である。
【0046】
この構成によれば、投影レンズ30の形状を車両内側から外側にかけて後方に傾いた形状とすることで、周囲の形状に追従しやすくなり、レイアウト性が向上する。
【0047】
本実施形態に係る車両用灯具100において、1つのレンズ部31に対応する第1反射部21が、左右方向に複数設けられる。
【0048】
この構成によれば、1つのレンズ部31に対応する第1反射部21が左右方向に複数設けられるため、照射パターンP(ADBパターン)をより細かく設定することができる。
【0049】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光源10は、第1反射部21に対応して設けられ、第2反射部22には、対応する光源10が設けられない。
【0050】
この構成によれば、対応する光源10が設けられない第2反射部22を設けることで、明暗境界をより確実に形成することができ、照射パターンPの品質を向上させることができる。
【0051】
本実施形態に係る車両用灯具100において、リフレクタ20は、左右方向に隣り合うレンズ部31同士の間に車両内側に向けた遮光壁25を有する。
【0052】
この構成によれば、第1反射部21で反射され対応するレンズ部31の隣のレンズ部31に向けて進行する光を遮光することができる。このため、意図しない光がレンズ部31に入射することを抑制でき、グレアの発生を抑制できる。
【0053】
本実施形態に係る車両用灯具100において、リフレクタ20は、左右方向に隣り合うレンズ部31同士の間に前後方向に沿った隔壁24を有し、遮光壁25は、隔壁24の前方の端部に設けられる。
【0054】
この構成によれば、遮光壁25が隔壁24の前方の端部に設けられるため、第1反射部21で反射され対応するレンズ部31の隣のレンズ部31に向けて進行する光をより確実に遮光壁25で遮光することができる。
【0055】
本実施形態に係る車両用灯具100において、隔壁24は、前方に向けて上下方向の高さが高くなるように形成される。
【0056】
この構成によれば、光源10から出射された光のうち隔壁24に向けて斜め前方に進行する光を隔壁24の前側において確実に遮光できる。また、隔壁24の後側においては材料を少なくできるため、コストを抑えることができる。
【0057】
本実施形態に係る車両用灯具100において、隔壁24は、上部から下部にかけて車両内側に傾くように形成される。
【0058】
この構成によれば、金型を用いてリフレクタ20を成型する際、樹脂の厚みが厚くなることを防止することができる。
【0059】
本実施形態に係る車両用灯具100において、遮光壁25は、下部から上部にかけて車両内側への突出量が少なくなるように形成される。
【0060】
この構成によれば、遮光壁25の下部から上部にかけて車両内側への突出量を少なくすることにより、遮光壁25における遮光量を必要最小限にすることができる。
【0061】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0062】
AX…光軸、L1,L2,L3,L4…光線、P…照射パターン、P1~P6…パターン、SP…スペース、10…光源、11…発光面、12…基板、20…リフレクタ、21…第1反射部、21a,22a…反射面、22…第2反射部、22b…後端部、22c…ローレット部、22R…明暗境界形成部、23…底板、24…隔壁、24a…側面、24h…水平部、24s…スロープ部、25…遮光壁、26…外枠部、30…投影レンズ、31…レンズ部、31a…入射面、31b…出射面、40…放熱部材、100…車両用灯具