(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007480
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/242 20180101AFI20250109BHJP
F21S 43/31 20180101ALI20250109BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20250109BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20250109BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20250109BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250109BHJP
【FI】
F21S43/242
F21S43/31
F21S43/27
F21W103:35
F21W103:20
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108909
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 正崇
(72)【発明者】
【氏名】浅川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】檀浦 宗一郎
(57)【要約】
【課題】奥行き感のある立体的な発光状態を実現可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、光源を有し、光源からの光を正面側に出射する光源ユニットと、光源ユニットの正面側に配置され、背面側に凹んだ凹状レンズ部及び正面側に突出した凸状レンズ部のレンズ部を有し、光源ユニットからの光をレンズ部の出射面から正面側に出射するレンズパネルと、レンズパネルの正面側に配置され、レンズパネルから出射される光を正面側に出射するアウターレンズとを備え、レンズパネルの正面側の表面には、レンズ部の形状に対応した形状の開口部を有する光透過パターンが形成される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を有し、前記光源からの光を正面側に出射する光源ユニットと、
前記光源ユニットの正面側に配置され、背面側に凹んだ凹状レンズ部及び正面側に突出した凸状レンズ部のレンズ部を有し、前記光源ユニットからの光を前記レンズ部の出射面から正面側に出射するレンズパネルと、
前記レンズパネルの正面側に配置され、前記レンズパネルから出射される光を正面側に出射するアウターレンズと
を備え、
前記レンズパネルの正面側の表面には、前記レンズ部の形状に対応した形状の開口部を有する光透過パターンが形成される
車両用灯具。
【請求項2】
前記光透過パターンは、前記レンズ部において正面側に位置する部分の方が背面側に位置する部分よりも単位面積当たりの光の透過量が多くなるように形成される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光透過パターンは、前記レンズ部の正面側の表面上に配置される光反射層と、前記光反射層に積層される塗装層とで形成される積層部を有し、
前記開口部は、前記光反射層及び前記塗装層を貫通して形成される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記レンズパネルは、前記レンズ部の入射面に光拡散部を有する
請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記レンズパネルは、前記出射面から出射された光を車両前方に向けて反射する反射面を前記レンズ部の周囲に有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記レンズパネルは、前記凹状レンズ部及び前記凸状レンズ部が車両搭載状態における左右方向及び上下方向の少なくとも一方に交互に配置され、隣り合う前記凹状レンズ部と前記凸状レンズ部とを接続する立壁部を有し、
前記反射面は、前記立壁部の表面に形成される
請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記凹状レンズ部の車両内側に配置される前記立壁部は、他の部分に比べて光反射率が高くなるように表面が形成される
請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記レンズ部の正面側に配置され前記レンズパネルを支持するインナーパネルを更に備え、
前記反射面は、前記インナーパネルの前記レンズ部側の面に形成される
請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記光透過パターンは、光を透過させる開口部が一方向に延びるように形成され、
前記反射面は、前記開口部の延長上の位置に配置される
請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記反射面のうち前記開口部が延びる先に位置する部分は、他の部分に比べて光反射率が高くなるように形成される
請求項8に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源からの光を正面側に出射するレンズパネルを有する車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両用灯具では、奥行き感のある立体的な発光状態を実現することが求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、奥行き感のある立体的な発光状態を実現可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、光源を有し、前記光源からの光を正面側に出射する光源ユニットと、前記光源ユニットの正面側に配置され、背面側に凹んだ凹状レンズ部及び正面側に突出した凸状レンズ部のレンズ部を有し、前記光源ユニットからの光を前記レンズ部の出射面から正面側に出射するレンズパネルと、前記レンズパネルの正面側に配置され、前記レンズパネルから出射される光を正面側に出射するアウターレンズとを備え、前記レンズパネルの正面側の表面には、前記レンズ部の形状に対応した形状の開口部を有する光透過パターンが形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、奥行き感のある立体的な発光状態を実現可能な車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両の後部の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るレンズパネルの一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るレンズパネルに設けられる光反射パターンの形状の例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係るレンズパネルの外形の例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係るレンズパネルの外形の例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、車両用灯具の全体構成の例を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、車両用灯具の全体構成の例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、車両用灯具の全体構成の例を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、車両用灯具の全体構成の例を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、車両用灯具の全体構成の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
本実施形態において、正面側及び背面側の各方向は、例えば車両に搭載された状態(車両搭載状態)における方向であるとする。例えば、車両の前部(フロント)に搭載された状態では、前方が正面方向(正面側)であり、後方が背面方向(背面側)である。また、車両の後部(リア)に搭載された状態では、後方が正面方向(正面側)であり、前方が背面方向(背面側)である。また、車両の側部(サイド)に搭載された状態では、車両外側が正面方向(正面側)であり、車両内側が背面方向(背面側)である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る車両1の後部の一例を示す図である。
図1に示すように、車両1は、車体2と、走行装置3と、車両用灯具100とを備える。車体2は、運転者が搭乗する運転室を有する。車体2は、走行装置3に支持される。走行装置3は、タイヤ4が装着されるホイールと、車両1の進行方向を変えるための操舵装置と、走行装置3を減速又は停止させるためのブレーキ装置とを有する。車両1は、車体2の側部に設けられる乗降用ドアと、車体2の後部に設けられるバックドア7とを備える。乗降用ドア及びバックドア7はそれぞれ、ヒンジ機構を介して車体2に移動可能に支持される。
【0012】
本実施形態において、車両用灯具100は、車体2の後部の左側及び右側のそれぞれに設けられる。本実施形態では、車両用灯具100が車体2の後部に設けられる。そのため、前後方向の後方側を車両用灯具100の正面側とし、前後方向の前方側を車両用灯具100の背面側として説明する。
【0013】
車両用灯具100は、機能ランプを含む。機能ランプとして、車体2の後部に設けられヘッドランプの点灯と連動して点灯するテールランプ、車体2の後部に設けられブレーキ装置の作動と連動して点灯するストップランプ、車体2の後部に設けられ車両1の進行方向を周囲に示すために点灯するリアターンシグナルランプなどが挙げられる。
【0014】
車両用灯具100は、例えばそれぞれ車体2側に配置される。本実施形態において、車体2は、固定部である。また、バックドア7は、可動部である。車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100の構造と車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100の構造とは、左右方向について対称であり、実質的に同一の構造である。以下、車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100について主に説明し、車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100についての説明は簡略又は省略する。
【0015】
図2から
図7は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を示す図である。
図2は、車両用灯具100の一例を示す分解斜視図である。
図3は、車両用灯具100の一部を示す平面図である。
図4は、車両用灯具100の一例を示す正面図である。
図5は、
図4におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図6は、
図4におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。
図7は、
図4におけるC-C断面に沿った構成を示す図である。
【0016】
車両用灯具100は、光源10と、導光体20と、インナーレンズ30と、リフレクタ40と、レンズパネル50と、インナーパネル60と、インナーハウジング70と、アウターレンズ80と、アウターハウジング90とを備える。本実施形態において、光源10、導光体20及びインナーレンズ30は、光源ユニットUを構成する。
【0017】
光源10は、例えばLED等の半導体型光源、レーザ光源等が用いられる。光源10は、光を出射する発光面11を有する。光源10は、不図示の回路基板に支持される。回路基板は、不図示の放熱部材等に支持される。
【0018】
導光体20は、棒状である。導光体20は、車両用灯具100のスラント形状に沿うように、例えば車両内側から車両外側にかけて、背面側に湾曲するように延びている。本実施形態において、導光体20は、光源10に対して正面側に配置される。
【0019】
図2に示すように、導光体20は、入射面21と、導光部22と、出射部23とを有する。入射面21は、導光体20の長手方向の一端に配置され、光源10の発光面11と対向する。入射面21は、光源10からの光が入射する。導光体20において、入射面21は、例えば車両外側かつ背面側の端部に配置される。この形状により、スラント形状を有する車両用灯具100の内部において光源10からの光を適切に導光することができる。
【0020】
導光部22は、入射面21から正面側に延びる部分である。導光部22は、入射面21から入射した光を導光する。
【0021】
出射部23は、導光部22から車両内側に向けて延びる部分である。出射部23は、導光体20の長手方向の他端側まで形成される。出射部23は、光源10からの光を導光して側面23aからインナーレンズ30側に出射する。本実施形態において、後述するように、インナーレンズ30は、導光体20の下側に配置される。従って、出射部23は、側面23aの下部から下方に光を出射する。側面23aには、インナーレンズ30とは反対側、すなわち上部にプリズム部23bが設けられる。プリズム部23bは、入射面21から入射して側面23aで内面反射される光を、出射方向すなわちインナーレンズ30が配置された下方側に反射する。プリズム部23bで反射された光は、導光体20の側面23aからインナーレンズ30に向けて下方に出射される。
【0022】
インナーレンズ30は、導光体20から出射された光を導光して、車両搭載状態における少なくとも正面方向に出射する。インナーレンズ30は、例えば導光体20の下方に配置される。左右方向に沿った帯状の領域から正面方向に光を出射するように形成される。インナーレンズ30の構成として、例えば、上下方向に延びる棒状部31が左右方向に間隔を空けて配置され、隣り合う棒状部31同士の間が板状部32により接続された構成とすることができる。インナーレンズ30は、棒状部31及び板状部32のそれぞれの上端が入射面31a、32aとなっている。入射面31a、32aは、導光体20に対して上下方向に間隔を空けて配置される。導光体20から出射される光は、入射面31a、32aから棒状部31及び板状部32に入射する。棒状部31及び板状部32には、背面側にプリズム部31p、32pが形成される。プリズム部31p、32pは、インナーレンズ30の内部を進行する光を正面方向に内面反射する。出射面31b、32bは、棒状部31及び板状部32の正面側に設けられる。出射面31b、32bは、プリズム部31p、32pで内面反射された光を正面側(車両後方)に出射する。なお、インナーレンズ30の構成は、上記構成に限定されない。
【0023】
リフレクタ40は、導光体20の上方に配置される。リフレクタ40は、インナーレンズ30の前方に突出するように配置された反射面41を有する(
図5、
図6等参照)。反射面41は、水平面に沿って配置され、下方に向けられる。リフレクタ40は、インナーレンズ30から上方に向けた光を反射する。
【0024】
レンズパネル50は、インナーレンズ30の正面側に配置される。
図8は、本実施形態に係るレンズパネル50の一例を示す斜視図である。
図9は、本実施形態に係るレンズパネル50に設けられる光反射パターンの形状の例を示す図である。
図10及び
図11は、本実施形態に係るレンズパネル50の外形の例を示す斜視図である。
図10は正面側、
図11は背面側から見た図である。なお、
図10、
図11は、後述する光透過パターン55が形成されていない状態を示している。
【0025】
レンズパネル50は、凹状レンズ部(レンズ部)51と、凸状レンズ部(レンズ部)52と、立壁部53と、光透過パターン55とを有する。
【0026】
凹状レンズ部51は、背面側に凹んだ形状を有する。凹状レンズ部51は、光を透過可能な材料を用いて板状に形成され、上下方向の上端及び下端から中央部にかけて背面側に凹むように湾曲した形状である。凹状レンズ部51は、入射面51a及び出射面51bを有する。入射面51aは、背面側に配置され、インナーレンズ30から出射された光が入射する。出射面51bは、正面側に配置され、入射面51aから入射した光を出射する。
【0027】
凸状レンズ部52は、正面側に突出した形状を有する。凸状レンズ部52は、光を透過可能な材料を用いて板状に形成され、上下方向の上端及び下端から中央部にかけて正面側に突出するように湾曲した形状である。凸状レンズ部52は、入射面52a及び出射面52bを有する。入射面52aは、背面側に配置され、インナーレンズ30から出射された光が入射する。出射面52bは、正面側に配置され、入射面52aから入射した光を出射する。
【0028】
立壁部53は、隣り合う凹状レンズ部51と凸状レンズ部52とを接続するように形成される。立壁部53は、左右方向に交差し、前後方向に沿った状態で形成される。立壁部53は、
図7に示すように、凹状レンズ部51から凸状レンズ部52側に向けて左右方向に広がるように形成される。立壁部53は、背面側の表面53aにシボ等の光拡散部が形成される。
【0029】
光透過パターン55は、レンズパネル50の正面側の表面に形成される。
図8において、光透過パターン55の断面構成を拡大した図を併せて示す。光透過パターン55は、光反射層55aと、塗装層55bと、開口部55c、55dとを有する。
【0030】
光反射層55aは、レンズパネル50を構成する透明部材50R(
図10参照)の正面側の全面、すなわち、凹状レンズ部51の出射面51b、凸状レンズ部52の出射面52b、立壁部53の正面側の表面53b、インナーパネル60の上側部分61の正面部61a並びに下面部61b、及び下側部分62の正面部62a並びに上面部62bに亘る部分に形成される。光反射層55aは、例えばアルミニウム等の金属材料等、光を反射可能な材料を用いて形成される。なお、光反射層55aは、白色樹脂等の光を反射可能な樹脂材料を用いて形成されてもよい。
【0031】
塗装層55bは、光反射層55a上の全面に亘って形成される。塗装層55bは、例えば黒色樹脂等の所定の色の材料を用いて形成される。塗装層55bは、例えば表面に光沢を有する状態で形成することができる。
【0032】
開口部55cは、光反射層55a及び塗装層55bのうち、凹状レンズ部51の出射面51b上に配置される部分に形成される。開口部55dは、光反射層55a及び塗装層55bのうち、凸状レンズ部52の出射面52b上に配置される部分に形成される。開口部55c、55dは、光反射層55a及び塗装層55bを貫通して形成される。開口部55c、55dは、光反射層55a及び塗装層55bから出射面51b、52bを露出させる部分である。開口部55c、55dは、出射面51b、52bから出射される光が通過する部分である。
【0033】
開口部55c、55dは、例えば光反射層55a及び塗装層55bが積層された部分に塗装層55b側からレーザ光を照射する、いわゆるレーザーエッチング処理を施すことにより形成される。この場合、開口部55c、55dにおいて露出する出射面51b、52bの露出部分は、例えばレーザーエッチングを行う過程で、出射面51b、52bの他の部分に対して粗面又は背面側に凹んだ状態で形成されてもよい。
【0034】
開口部55cは、左右方向に延びるように帯状に形成される。開口部55cは、上下方向の寸法(幅)が左右方向で一定となるように形成される。開口部55cは、上下方向に複数配置される。凹状レンズ部51の出射面51bは、上下方向の上端及び下端から中央部にかけて背面側に凹むように形成される。これに対応して、開口部55cは、上下方向の中央部から上下方向の両端側にかけて単位面積当たりの開口面積が大きくなるように形成される。つまり、上下方向の中央部に形成される開口部55cよりも、上下方向の上側及び下側に形成される開口部55cの方が、開口面積が大きくなるように形成される。これにより、光透過パターン55は、凹状レンズ部51の出射面51bにおいて正面側に位置する上下方向の両端部分の方が背面側に位置する上下方向の中央部よりも単位面積当たりの光の透過量が多くなるように形成される。このため、発光状態を正面側から見た場合、上下方向の両端部から中央部にかけて、手前側から奥側に位置するように立体的に見えることになる。
【0035】
開口部55dは、上下方向に延びるように形成される。開口部55dは、左右方向に複数配置される。このように、凹状レンズ部51に配置される光透過パターン55と、凸状レンズ部52に配置される光透過パターン55とで、開口部55c及び開口部55dの向きが異なっている、すなわち90°ずれた状態で配置される。
【0036】
凸状レンズ部52の出射面52bは、上下方向の上端及び下端から中央部にかけて正面側に突出するように形成される。これに対応して、開口部55dは、上下方向の上端及び下端から上下方向の中央部にかけて単位面積当たりの開口面積が大きくなるように形成される。つまり、上下方向の中央部から上下方向の上端及び下端にかけて左右方向の寸法(幅)が小さく(細く)なるように形成される。このため、開口部55dは、上下方向の上端及び下端から中央部にかけて、開口面積が大きくなるように形成される。これにより、光透過パターン55は、凸状レンズ部52の出射面52bにおいて正面側に位置する上下方向の中央部の方が背面側に位置する上下方向の上端側及び下端側よりも単位面積当たりの光の透過量が多くなるように形成される。このため、発光状態を正面側から見た場合、上下方向の中央部から上下方向の両端部にかけて、手前側から奥側に位置するように立体的に見えることになる。
【0037】
図9(A)に示す形状は、各開口部が一方向に延びた形状であり、長手方向の両端から中央にかけて幅方向の寸法が大きくなる形状である。換言すると、長手方向の中央から両端にかけて幅方向の寸法が先細りとなる形状である。当該形状は、例えば上記した光透過パターン55の開口部55dに適用されている。
【0038】
図9(B)に示す形状は、各開口部が一方向に延びた形状であり、長手方向の両端から中央にかけて幅方向の寸法が均一となる形状である。当該形状は、例えば上記した光透過パターン55の開口部55cに適用されている。
【0039】
図9(C)に示す形状は、円形に形成された開口部が左右方向に半径分ずれるように千鳥状に配置された形状である。上記した光透過パターン55の開口部55c、55dの少なくとも一方において、
図9(C)に示す開口部の形状が適用されてもよい。
【0040】
また、立壁部53において、塗装層55bの表面が、当該立壁部53の表面53cとなる。立壁部53の表面53cは、凹状レンズ部51の出射面51bから出射されて開口部55cを通過した光を車両前方に反射する反射面58となっている。開口部55cを通過した光が立壁部53の表面53c(反射面58)で反射される場合、正面側から見て、当該表面53cに開口部55cの像が写った状態で視認される。なお、光透過パターン55は、立壁部53に配置される部分に開口部が形成されてもよい。
【0041】
立壁部53の表面53cは、開口部55cの延長上の位置に配置される。この構成では、開口部55cを通過した光が立壁部53の表面53cで反射される場合、立壁部53の表面53cに開口部55cの像が写ることで、あたかも開口部55cの像が表面53cにまで繋がっているように視認させることができる。なお、凹状レンズ部51の左右方向の両端部に配置される立壁部53のうち、車両内側に配置される立壁部53の表面53cは、他の部分に比べて光反射率が高くなるように形成することができる。この構成では、車両外側から見た場合に、車両内側の立壁部53の表面53cに写る開口部55cの像をより明確に視認させることができる。
【0042】
また、レンズパネル50には、当該レンズパネル50を構成する透明部材50R(
図11参照)の背面側の全面に、光拡散部59が形成される。光拡散部59としては、例えばシボ等が挙げられる。光拡散部59として、例えば光拡散部材等を配置してもよい。光拡散部59は、例えば、凹状レンズ部51の入射面51a、凸状レンズ部52の入射面52a、立壁部53の背面側の表面53a等に選択的に形成してもよい。
【0043】
インナーパネル60は、
図5及び
図6に示すように、レンズパネル50を支持する。インナーパネル60は、レンズパネル50と一体で形成される。インナーパネル60は、インナーパネル60は、上側部分61及び下側部分62を有する。
【0044】
上側部分61は、凹状レンズ部51及び凸状レンズ部52の上端部を支持する。上側部分61は、正面部61a及び下面部61bを有する。正面部61aは、上側部分61の正面側に配置される。下面部61bは、上側部分61の下端部に配置される。下面部61bは、出射面51b、52bの上端から前方に突出するように配置される。下面部61bは、出射面51b、52bの上端から正面側に向けて上方に傾くように形成される。
【0045】
下側部分62は、凹状レンズ部51及び凸状レンズ部52の下端部を支持する。下側部分62は、正面部62a及び上面部62bを有する。正面部62aは、下側部分62の正面側に配置される。上面部62bは、下側部分62の上端部に配置される。上面部62bは、出射面51b、52bの下端から前方に突出するように配置される。上面部62bは、出射面51b、52bの下端から正面側に向けて下方に傾くように形成される。
【0046】
また、インナーパネル60の上側部分61において、下面部61bは、出射面51b、52bから出射されて開口部55c、55dを通過した光を車両前方に反射する反射面58となっている。同様に、インナーパネル60の下側部分62において、上面部62bは、出射面51b、52bから出射されて開口部55c、55dを通過した光を車両前方に反射する反射面58となっている。
【0047】
開口部55c、55dを通過した光が下面部61b及び上面部62bで反射される場合、正面側から見て、当該下面部61b及び上面部62bに開口部55c、55dの像が写った状態で視認される。
【0048】
下面部61b及び上面部62bのうち、凸状レンズ部52の上端部及び下端部に配置される凸側領域61c、62cは、凸状レンズ部52に形成される光透過パターン55の開口部55dが延びる方向、すなわち開口部55dの延長上に位置する。この場合、正面側から見て、あたかも開口部55dの像が凸側領域61c、62cにまで繋がっているように視認させることができる。なお、当該凸側領域61c、62cは、下面部61b及び上面部62bの他の部分に比べて光反射率が高くなるように形成することができる。この構成では、凸側領域61c、62cに写る開口部55dの像をより明確に視認させることができる。
【0049】
インナーハウジング70は、上記した光源10、導光体20、インナーレンズ30、リフレクタ40、レンズパネル50及びインナーパネル60を支持する。
【0050】
アウターレンズ80は、レンズパネル50の正面側、すなわち後方に配置される。アウターレンズ80は、レンズパネル50から出射された光を車両用灯具100の外部に出射する。アウターレンズ80は、板状である。アウターレンズ80は、車両内側から車両外側にかけて背面側に湾曲した形状を有する。アウターレンズ80は、例えば透明又は点灯色と同系色の樹脂材料を用いて形成される。
【0051】
アウターハウジング90は、アウターレンズ80との間で灯室を形成する。灯室には、上記した光源10、導光体20、インナーレンズ30、リフレクタ40、レンズパネル50、インナーパネル60及びインナーハウジング70が収容又は支持される。
【0052】
上記のように構成された車両用灯具100を点灯させた場合の一例を説明する。運転者によってテールランプを点灯させる所定の操作が行われた場合、車両用灯具100は、操作装置からの操作信号を取得する。光源10の基板等に設けられる制御回路は、取得された信号に応じて、光源10の発光制御を行う。
【0053】
この発光制御により、光源10の発光面11から光が出射される。この光は、導光体20の入射面21から導光部22に入射する。導光部22に入射した光は、導光部22により導光されて出射部23に入射し、プリズム部23bで内面反射されて、側面23aから下方に出射される。
【0054】
出射部23の側面23aから下方に出射された光は、端面31a、32aからインナーレンズ30に入射する。インナーレンズ30に入射した光は、プリズム部31p、32p等で内面反射されて、インナーレンズ30の正面側に出射される。インナーレンズ30の正面側に出射された光は、レンズパネル50に到達し、凹状レンズ部51の入射面51a及び凸状レンズ部52の入射面52aから入射する。
【0055】
図7及び
図8に示すように、入射面51aに入射した光の一部(以下、光L1と表記する)は、出射面51bに到達し、開口部55cを通過して正面側に出射される。開口部55cを通過した光L1は、アウターレンズ80を通過して車両後方に出射される。
【0056】
また、
図7及び
図8に示すように、入射面52b入射した光の一部(以下、光L2と表記する)は、出射面52bに到達し、開口部55dを通過して正面側に出射される。開口部55dを通過した光L2は、アウターレンズ80を通過して車両後方に出射される。
【0057】
また、
図8に示すように、入射面51又は入射面52b入射した光の一部(以下、光L3と表記する)は、出射面51b又は出射面52bに到達し、光反射層55aで背面側に反射される。反射された光L3は、各部で反射されて再度正面側に進行することで、再利用される。
【0058】
また、
図7及び
図8に示すように、入射面51aに入射した光の一部(以下、光L4と表記する)は、出射面51bに到達し、開口部55cを通過して正面側に出射される。開口部55cを通過した光L4は、立壁部53の表面53bで正面側に反射されてアウターレンズ80に到達する。この光L4は、アウターレンズ80を通過して車両後方に出射される。
【0059】
また、
図6及び
図8に示すように、入射面52aに入射した光の一部(以下、光L5と表記する)は、出射面52bに到達し、開口部55dを通過して正面側に出射される。開口部55dを通過した光L5は、インナーパネル60の下面部61b又は上面部62bで正面側に反射されてアウターレンズ80に到達する。この光L5は、アウターレンズ80を通過して車両後方に出射される。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、光源10を有し、光源10からの光を正面側に出射する光源ユニットUと、光源ユニットUの正面側に配置され、背面側に凹んだ凹状レンズ部51及び正面側に突出した凸状レンズ部52のレンズ部を有し、光源ユニットUからの光をレンズ部(51、52)の出射面51b、52bから正面側に出射するレンズパネル50と、レンズパネル50の正面側に配置され、レンズパネル50から出射される光を正面側に出射するアウターレンズ80とを備え、レンズパネル50の正面側の表面には、レンズ部(51、52)の形状に対応した形状の開口部55c、55dを有する光透過パターン55が形成される。
【0061】
この構成によれば、レンズパネル50が凹状レンズ部51及び凸状レンズ部52のレンズ部を有し、正面側の表面にレンズ部(51、52)の形状に対応した形状の開口部55c、55dを有する光透過パターン55が形成されるため、正面側から見た場合に、奥行き感のある立体的な発光状態を実現可能となる。
【0062】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光透過パターン55は、レンズ部(51、52)において正面側に位置する部分の方が背面側に位置する部分よりも単位面積当たりの光の透過量が多くなるように形成される。
【0063】
この構成によれば、正面側から見た場合に、正面側(手前側)から背面側(奥側)にかけて光の透過量が少なくなるような発光状態とすることができるため、奥行き感のある立体的な発光状態を実現可能となる。
【0064】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光透過パターン55は、レンズ部(51、52)の正面側の表面上に配置される光反射層55aと、光反射層55aに積層される塗装層55bとで形成される積層部を有し、開口部55c、55dは、光反射層55a及び塗装層55bを貫通して形成される。
【0065】
この構成によれば、レンズ部(51、52)の正面側の表面上に光反射層55aが形成されるため、開口部55c、55dを通過しない光を背面側に戻して再利用することができる。また、光反射層55aの上に塗装層55bが積層されるため、正面側から見た場合に光反射層55aを隠すことができる。
【0066】
本実施形態に係る車両用灯具100において、レンズパネル50は、レンズ部(51、52)の入射面に光拡散部59を有する。
【0067】
この構成によれば、レンズパネル50においてレンズ部の入射面に光拡散部59が設けられるため、レンズパネル50に入射する光を拡散して出射面51b、52b及び開口部55c、55dから出射することができる。これにより、アウターレンズ80に向けて均質な光を出射することができる。
【0068】
本実施形態に係る車両用灯具100において、レンズパネル50は、出射面51b、52bから出射された光を車両前方に向けて反射する反射面58をレンズ部(51、52)の周囲に有する。
【0069】
この構成によれば、レンズ部(51、52)の周囲に反射面58が設けられるため、発光状態において、正面側から見た場合に反射面58で反射する光を観察者に視認させることができる。
【0070】
本実施形態に係る車両用灯具100において、レンズパネル50は、凹状レンズ部51及び凸状レンズ部52が車両搭載状態における左右方向及び上下方向の少なくとも一方に交互に配置され、隣り合う凹状レンズ部51と凸状レンズ部52とを接続する立壁部53を有し、反射面58は、立壁部53の表面53bに形成される。
【0071】
この構成によれば、発光状態において、立壁部53の表面53bで反射される光を観察者に視認させることができる。
【0072】
本実施形態に係る車両用灯具100において、凹状レンズ部51の車両内側に配置される立壁部53は、他の部分に比べて光反射率が高くなるように表面53bが形成される。
【0073】
この構成によれば、発光状態において、車両外側から見た観察者に対して立壁部53の表面53cに写る開口部55cの像をより明確に視認させることができる。
【0074】
本実施形態に係る車両用灯具100において、レンズ部(51、52)の正面側に配置されレンズパネル50を支持するインナーパネル60を更に備え、反射面58は、インナーパネル60のレンズ部(51、52)側の面(下面部61b、上面部62b)に形成される。
【0075】
この構成によれば、インナーパネル60のレンズ部(51、52)側の面(下面部61b、上面部62b)で反射される光を観察者に視認させることができる。
【0076】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光透過パターン55は、光を透過させる開口部55c、55dが一方向に延びるように形成され、反射面58は、開口部55c、55dの延長上の位置に配置される。
【0077】
この構成によれば、発光状態において、開口部55c、55dを通過した光が反射面58で反射される場合、反射面58に開口部55c、55dの像が写ることで、あたかも開口部55c、55dの像が反射面58にまで繋がっているように視認させることができる。
【0078】
本実施形態に係る車両用灯具100において、反射面58のうち開口部55c、55dが延びる先に位置する部分は、他の部分に比べて光反射率が高くなるように形成される。
【0079】
この構成によれば、この構成では、反射面58のうち開口部55c、55dが延びる先に位置する部分において、反射面58に写る開口部55c、55dの像をより明確に視認させることができる。
【0080】
図12から
図16は、車両用灯具の全体構成の例を示す斜視図である。
図12から
図16は、車両用灯具を正面側から見た状態を示している。
【0081】
図12に示す車両用灯具100は、上記において説明した構成を有する。すなわち、車両用灯具100は、凹状レンズ部51と凸状レンズ部52とが左右方向に交互に並んで配置され、凹状レンズ部51の出射面51bに開口部55cが設けられ、凸状レンズ部52の出射面52bに開口部55dが設けられた光透過パターン55を有する構成である。
【0082】
図13に示す車両用灯具100Aは、凹状レンズ部51と凸状レンズ部52とが左右方向に加えて上下方向にも交互に並んで配置された構成である。このように、凹状レンズ部51及び凸状レンズ部52の配置は、上記説明した構成に限定されない。
【0083】
図14に示す車両用灯具100Bは、レンズパネル50Bにおいて三角形状の出射面54Bの組み合わせにより、レンズパネル50Bの正面側に突出する部分(凸状レンズ部)と、背面側に凹む部分(凹状レンズ部)とを形成する構成である。このように、複数の出射面により1つの凹状レンズ部及び1つの凸状レンズ部を形成する構成であってもよい。出射面の形状は、三角形状に限定されず、四角形等の他の種類の多角形であってもよい。
【0084】
図15に示す車両用灯具100Cは、凸状レンズ部52Cに対して凹状レンズ部51Cを溝状に形成した構成である。車両用灯具100Cにおいて、凸状レンズ部52Cの出射面の全体から光を出射し、凹状レンズ部51Cの出射面の全体を遮光した構成である。また、上下方向の下側に配置される凸状レンズ部52Cにおいて、出射面の下方に配置される下面においても光を出射する構成となっている。
【0085】
図16に示す車両用灯具100Dは、
図15に示す車両用灯具100Cと同様に、凸状レンズ部52Dに対して凹状レンズ部51Dを溝状に形成した構成である。車両用灯具100Dにおいて、1つの凸状レンズ部52Dあたりの出射面の面積が車両用灯具100Cに比べて小さくなっている。この構成において、凸状レンズ部52Dの全体から光を出射し、凹状レンズ部51Cの出射面の全体を遮光した構成である。
【0086】
上記した車両用灯具100、100A、100B、100C、100Dに示すように、凹状レンズ部と凸状レンズ部とを組み合わせ、各レンズ部の形状に対応した形状の開口部を有する光透過パターンを設けることにより、奥行き感のある立体的な発光状態を実現可能となる。
【0087】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、光源ユニットUとして、光源10と、導光体20と、インナーレンズ30とを有する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、導光体20及びインナーレンズ30の少なくとも一方が設けられない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
L1,L2,L3,L4,L5…光、U…光源ユニット、1…車両、2…車体、3…走行装置、4…タイヤ、7…バックドア、10…光源、11…発光面、20…導光体、21,31a,32a,51a,52a…入射面、22…導光部、23…出射部、23a…側面、23b,31p,32p…プリズム部、30…インナーレンズ、31…棒状部、31b,32b,51b,52b,54B…出射面、32…板状部、40…リフレクタ、41,58…反射面、50,50B…レンズパネル、50R…透明部材、51,51C,51D…凹状レンズ部、52,52C,52D…凸状レンズ部、53…立壁部、53a,53b,53c…表面、55…光透過パターン、55a…光反射層、55b…塗装層、55c,55d…開口部、59…光拡散部、60…インナーパネル、61…上側部分、61a,62a…正面部、61b…下面部、61c,62c…凸側領域、62…下側部分、62b…上面部、70…インナーハウジング、80…アウターレンズ、90…アウターハウジング、100,100A,100B,100C,100D…車両用灯具