(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007495
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】枝肉包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65D75/58
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108929
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】506086269
【氏名又は名称】有限会社玉井マテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】100110434
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】玉井 一裕
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB04
3E067AC01
3E067BA21A
3E067BB07A
3E067BC03A
3E067DA03
3E067EA27
3E067EB40
3E067FA01
3E067FB08
3E067FC02
(57)【要約】
【課題】 長いロールなどに巻き取られた布地の切断を含む、枝肉の被覆工程を大きく改善する枝肉包装材の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明にかかる枝肉包装材は、枝肉を包装するための枝肉包装材であって、地糸を丸編した編地を有し、その編地の長さ方向の所定間隔毎に前記地糸とは識別可能な目印糸が編まれていることを特徴とする。枝肉包装材自体を所定の長さに切断する際に、切断の場所の目安となる目印糸が編み込まれた構成を有するため、作業者が容易に所定の切断箇所での切断作業を進めることができる。また、目印糸を絞って巾着状にできることから切断部を大きく減少させ異物混入の原因である糸くずも大きく減少させる効果がある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝肉を包装するための枝肉包装材であって、地糸を丸編した編地を有し、その編地の長さ方向の所定間隔毎に前記地糸とは識別可能な目印糸が編まれていることを特徴とする枝肉包装材。
【請求項2】
請求項1記載の枝肉包装材であって、前記目印糸は、前記地糸とは色違いの色糸からなることを特徴とする枝肉包装材。
【請求項3】
請求項1記載の枝肉包装材であって、前記目印糸は、前記地糸とは異なる繊維からなることを特徴とする枝肉包装材。
【請求項4】
請求項1記載の枝肉包装材であって、前記目印糸は前記編地から引き抜き可能とされ、前記編地は前記目印糸を引く抜くことで分離されることを特徴とする枝肉包装材。
【請求項5】
請求項1記載の枝肉包装材であって、前記編地はロール状に巻き取られていることを特徴とする枝肉包装材。
【請求項6】
請求項1記載の枝肉包装材であって、前記目印糸は丸編みの一周分の長さ若しくは複数周分の長さを有することを特徴とする枝肉包装材。
【請求項7】
請求項1記載の枝肉包装材であって、前記目印糸は単数本若しくは複数本からなることを特徴とする枝肉包装材。
【請求項8】
請求項1記載の枝肉包装材であって、前記目印糸は前記編地の内外を渡る通し糸としても機能することを特徴とする枝肉包装材。
【請求項9】
枝肉を包装するための枝肉包装材であって、地糸を丸編した編地を有し、その編地の長さ方向の所定間隔毎に水溶性繊維からなる糸が編まれていることを特徴とする枝肉包装材。
【請求項10】
枝肉を包装するための枝肉包装材であって、地糸を丸編した編地を有し、その編地の長さ方向の所定間隔毎に該編地の編み方とは異なる編み組織が編まれていることを特徴とする枝肉包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は牛や豚などを屠畜解体して得られる枝肉を包装して扱うための枝肉包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
食肉用の牛などの家畜は、通常、生体について個別に且つ全頭検査を受け、屠畜作業により内蔵や背骨、頭などの各部が除去され、肉の部分が全体のおよそ半分にされた枝肉に加工される。このような枝肉はフックなどが取り付けられて、冷蔵庫や冷凍庫などに保存される。この枝肉の状態で、流通させることもあり、さらに枝肉からブロックごとに切り分ける場合であっても、衛生上やトレーサビリティ等の関係から、枝肉を包装する包装材を枝肉に被覆することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような枝肉包装材を製造する場合には、ポリエステル繊維などの繊維糸を編機などでベースとなる布地を製作することが行われており、特に量産する観点からは丸編機を使用して筒状の布を作ることが行われている。通常、筒状の布は連続した長いウェブ状であるため、2つ折りの形状でロールに巻き取られて出荷される場合が多い。
【0005】
枝肉に筒状の編物を表面被覆布として使用する場合には、ロールに巻き取られた状態から1つの枝肉に利用する長さに切断する必要があり、枝肉を包む様に使用される胴部の幅は30~150cmの範囲であり、長さは50~500cmの範囲に設定される。このため作業者はロールから枝肉を包む所定の長さに布を鋏などで切断することが行われており、寸法は大まかで良いことから高い精度で切断する必要はないものの、余計が糸くずや埃などを発生させないように注意しながら切断する必要があり、特に糸くずは肉に付着すると異物混入となる。同時に食肉の安全性確保の観点からカビの菌の混入避けながらの切断作業が要求され、枝肉を被覆する工程の改善が必要となっていた。また、生地を所定の長さでの切断において伸縮性に富んだ生地であることや複数の作業員による長さ採寸による切断作業は生地の長さの均一化が難しく、枝肉の長さより短い生地は使用できないためどうしても長めの採寸切断を余儀なくされるためこの生地のロスと採寸作業も課題であった。
【0006】
そこで、本発明は上述の技術的な課題に鑑み、長いロールなどに巻き取られた布地の切断を含む、枝肉の被覆工程を大きく改善する枝肉包装材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的な課題を解決するため、本発明にかかる枝肉包装材は、枝肉を包装するための枝肉包装材であって、地糸を丸編した編地を有し、その編地の長さ方向の所定間隔毎に前記地糸とは識別可能な目印糸が編まれていることを特徴とする。
【0008】
本明細書においては、枝肉包装材は、枝肉を包装する包装材料であり、長い筒状編地で提供され、枝肉の表面を被覆する前に所定の長さに切断される材料を言う。長い筒状編地は、通常はロールなどに巻かれているが、この提供形式には限定されるものではない。枝肉は、本明細書では、牛や豚などの家畜の臓器などを除去し、食用肉を骨も含めて切断した態様を指すが、他の動物、鳥や魚などを対象とすることもできる。更に本明細書においては、枝肉は部分肉も含む。所定間隔は、筒状編地の長さ方向で一定の間隔という意味であり、1つは牛を対象とする場合にはその通常の枝肉サイズの適合する1.5m~6.0mの間の或る間隔でという意味であり、もう1つは利用する寸法の単位ごとにという間隔でも良い。利用する寸法の単位毎とは例えば1m毎、2m毎、1尺毎、2尺毎などの任意の単位の間隔でも良い。本明細書においては、長さ方向は、丸編機で編まれた編地についての丸編機の軸方向であり、ロール状に巻き取られた場合の編地の長手方向である。
【0009】
前記地糸とは識別可能な目印糸は、1つの手段としては、地糸とは異なる色の色糸を使用する手段があり、一般的に白色若しくは無色の地糸に対して赤、青、緑や黒などの着色された糸を使用することができる。もう1つの手段は、異なる繊維材料の糸を使用する手段であり、例えば地糸としてポリエステル繊維の糸を使用する場合に、他のポリオレフィン等の高分子繊維や天然繊維などを目印糸として使用する。この異なる繊維材料の糸を用いる場合にも色を地糸に対して異なるものとすることもでき、或いは糸の径を地糸のものから変えることも可能である。さらには長繊維と短繊維を切り換えることもできる。異なる繊維材料の糸を使用する場合の一例としては、水溶性繊維糸を使用する方法があり、水を供給することで所定箇所での筒状編地の切断も可能となる。
【0010】
前記地糸に対して識別可能な目印糸は、主な利用方法としては、作業者が鋏やカッターなどを用いて筒状編地を目印糸に沿って或いは目印糸の近傍で切断を行うためのマーカーとして使用されるものである。目印糸自体をセンサーで感知して例えばレーザー光などの切断手段と連動させても良い。さらに前記地糸に対して識別可能な目印糸のもう1つの利用方法は、目印糸を編地から引き抜いて、その目印糸が存在していた位置での編地の切断を実現する。この目印糸の編地から引き抜きは、筒状編地の全周に亘るものであっても良く、周方向の一部であっても良い。丸編機で実際に筒状編地を編んだ場合には、糸の延長方向は螺旋を描くことから、糸の一周は同時に編んでいる糸の数のだけ少し長さ方向にずれることになるが、目印糸の編地から引き抜き後では、その長さ方向にずれた部分だけ切断すれば包装材の個々の分離をすることができる。切断部の長さはおおむね10%以下となり糸くずの発生も10%以下となる。このことは異物混入対策に大きな効果をもたらす。
【0011】
また、目印糸は単数とすることもでき、複数とすることもできる。これは筒状編地を丸編機で編む場合において、同時に給糸する数の何本を目印糸用に給糸切替装置(オートストライパー)などで切り換えるかという操作となり、一本だけ色糸に切り換える場合では、目印糸は一本であり、同時に何本も、例えば4本切り替える場合には、目印糸は4本からなる構成とすることができる。丸編機に用いられる給糸切換機は独立して制御可能であることから、例えば、作業員が認識できる目印糸を2本と、引き抜いて編地の切断による分離のための目印糸を1本というような構成も可能である。
【0012】
さらに、本発明の枝肉包装材では、前述の目印糸と平行して、前記編地の内外を渡る通し糸を配することもできる。前記編地の内外を渡る通し糸を設けることで、巾着の絞る部分のように糸で開口部を狭めることができる。通し糸は、目印糸のように丸編機で編むうちに糸が切り換えられて配されるものでも良く、或いは別個の作業で付加されるものであっても良い。通し糸は単数や色糸とすることもでき、複数や異なる繊維の糸からなる構成とすることもできる。
【0013】
また、本発明の枝肉包装材では、地糸を丸編した編地を有し、その編地の長さ方向の所定間隔毎に該編地の編み方とは異なる編み組織が編まれている構成とすることもできる。編地の組織を換えても、その変更した部分の光沢や手触り、見た目などの違いから、目印として機能させることができ、糸の供給を切り換える場合よりも比較的に長さ方向の長さを長くして帯状に構成できる。編み方の例として、平編みで基本の編地を構成しながら、ジャガード編、メッシュ編、或いはパイル編などに編組織を一時的に変更させて、元に戻すようなことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の枝肉包装材の使用状態を説明するための模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の枝肉包装材がロールで提供されているところを示す模式的な斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の枝肉包装材と切断箇所を示す模式図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態の枝肉包装材とその切断箇所を示す模式図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態の枝肉包装材を示す模式図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態の枝肉包装材を示す模式図である。
【
図7】本発明の第5の実施形態の枝肉包装材を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の枝肉包装材の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1乃至
図3に第1の実施形態の枝肉包装材を示す。本実施形態の枝肉包装材10は、
図2に示すようなロール22の形式で提供される枝肉包装材であり、ロール形式で供給された枝肉包装材10を枝肉の加工工場若しくはその準備段階で目印糸14に沿って切断することで、1つの枝肉20を包装することができる。
図2のロールの形式で供給されている枝肉包装材10は筒状編地16からなる。このようなロールの形式で供給される枝肉包装材10は、例えば、糸棚に複数のヤーンコーンを備えた図示しない大型の丸編機を使用して編まれ、任意の部分で筒状編地16を全周に亘って切断した部分は開口部12を有する。枝肉20に対して被覆するように使用する場合には、開口部12から枝肉20を被せるように包んでいき、
図1に示すように最終的には前足と後足の骨及びその近傍以外を包むように枝肉20を被覆する。
【0016】
本実施形態の枝肉包装材10の筒状編地16には、その編地16の長さ方向の所定間隔毎に地糸とは識別可能な目印糸14が編まれている。識別可能な目印糸14を長さ方向の所定間隔毎に編地16に入れる方法の一例、言い換えれば、枝肉包装材の製造方法の一例としては、丸編機で所定間隔分編んだところで糸を切り換える操作を行えば良い。すなわち、予め丸編機に所定の給糸切替装置(オートストライパー)を取り付けて、筒状の編地の長さ方向の所定間隔毎に、単数若しくは複数の給糸を白色から例えば赤色に切り換えて戻す操作をすることで、このような目印糸14を編地16に入れることができる。この時、例えば白色のポリエステル繊維糸を地糸としていれば、目印糸14用に切り換える糸を例えば赤色の同じポリエステル繊維糸とすることができる。基本的には、色糸に1周分切り換えてもとに戻す操作を行うが、2周分や3周分、あるいはそれ以上も色糸に切り換え、そして元に戻すこともできる。
【0017】
色糸を1周分切り換えた場合には、
図3に示すように、約1周分の目印糸14が編みこまれる。丸編みでは緯編で編み込みを進めることで螺旋状に編み目ができ、従って1本の色糸を目印糸14とした場合では、糸の両端部で、同時に編み込まれる糸の数の編み目数に応じた長さ方向の段差が生じる。先に説明したロール22には、このような段差を伴った目印糸14が所定間隔、例えば長さ方向で1.5~6.0mの間隔で並び、巻き取られた形態で取り扱われる。例えば、ロールの巻いている長さが100メートルであって4.0m毎に目印糸14が編み込まれているとすれば、巻いた状態から解いたときに全部で25本の目印糸が所定間隔で順次現れることになる。枝肉の包装前では、作業者がロール22から枝肉包装材10の筒状編地16を引き出し、所定の長さに切断する作業が行われることになるが、その作業の際に、作業者は筒状編地16の目印糸14に沿って鋏やカッターで切ることを進め、1つの枝肉20に相当する長さの筒体を得て、枝肉の表面保護を図ることができる。目印糸14に沿って鋏やカッターで切る場合には、横方向である周方向に切り進んで螺旋状の目印糸14を1回若しくは奇数回交差すれば良い。本実施形態では、例えば4.0m毎に目印糸14を編み込むこととしたが、所定間隔は他の長さや単位長さとすることもできる。例えば、1メートルごとに目印糸が入る構成では、4,0mのカットをする場合には、目印糸14を4本目ごとに切断するようにすれば良い。3.2mの場合にも、3本目プラス20cmであるので、3本目から20cmだけ測れば良く、3メートル以上の目盛りの巻き尺を準備したり、1メールを3回図ってから20cm追加するというような煩雑な長さの測定は不要となる。
【0018】
第1の実施形態に枝肉包装材では、目印糸14が作業者に識別し易い色糸から選ばれるものとして説明したが、目印糸14を識別するのは人間だけに限定せず、センサーなどで検知することもできる。さらに代替例として人間の目で検知できない特殊な波長や粒子に由来するマーカーを目印糸14とすることもできる。
【0019】
第1の実施形態に枝肉包装材では、目印糸14は地糸と同じ種類の糸で、異なる色として説明したが、異なる繊維の糸で、見た目の反射や手触りなどで識別できるようにすることもでき、糸の種類と色の両方が目印糸と地糸の間で異なる設定とすることもできる。
【0020】
次に
図4を参照しながら、第2の実施形態の枝肉包装材について説明する。第2の実施形態の枝肉包装材では、筒状の編地16には、目印糸14が編み込まれており、この目印糸14は編地16から引き抜くことが可能とされ、目印糸14を編地16から引く抜くことで、その目印糸14が編んでいた部分は解れて、長さ方向に筒状の編地16は分離されることになる。従って、目印糸14の引き抜き操作から、目印糸14の編まれていた場所に従って切れ込みが発生し、丸編みの螺旋状に編み目が進行することによる段差部分だけが上下の編地16の間で連続するため、この部分を切断するだけで筒状編地16の全周を分離できる。言い換えれば、目印糸14を引き抜くことは、この部分の切断作業と同等であり、従来の切断作業と比べて大幅に切断作業を容易なものとする。
【0021】
次に
図5を参照しながら、第3の実施形態の枝肉包装材について説明する。第3の実施形態の枝肉包装材では、2本の目印糸14aと目印糸14bが使用される例である。既に説明したように、編地16に編み込まれる目印糸は複数本を1つの組としたものでも良く、2本以上とすることで単数よりも作業者は目印を見つけることが容易であり、2本の間の間隔が鋏などで切断する場合の余白としても機能することから、作業性の向上に寄与する。平行した2本の目印糸14aと目印糸14bは、例えば丸編機の円周部の2か所に給糸切り替え機を設けることでも、そのような編み方を実現できる。複数本とは1つの目印糸による識別される部分に複数本編み込まれていることを言い、全体としては目印を設けた数にそれぞれの糸の数を設けたものの総計となる。必ずしも編地のある場所の目印糸が複数だから全てが同じ複数というものには本開示にかかる包装材は限定されない。ロールの中で、目印糸を構成する糸の本数を変化させることも可能であり、例えば、残り5個の編地が利用できるようなロールの終端近くでは、作業者に終端を知らせる目的で目印糸の本数を変えることもできる。
【0022】
次に
図6を参照しながら、第4の実施形態の枝肉包装材について説明する。第4の実施形態の枝肉包装材では、目印糸14は編地16の内外を渡る通し糸としても機能する。すなわち、着色された目印糸14を目視に利用して、作業者が目印糸14の近くの下部で筒状編地16を鋏などで1周分切断し、最下部に目印糸14が残った編地16とその下部に位置していた編地16とを分離する。下部側の編地16を除いた後で、目印糸14を引っ張ることで、目印糸14は編地16の内外を渡る通し糸となっていることから、編み部16の下部の開口部は巾着袋の開口部のように絞って閉じることができ、枝肉包装材を1つの袋体にすることができる。このような通し糸を引っ張って袋体を作成することは、個々の編地16でそれぞれ行うことができ、所定の長さに切断した後でも絞って閉じることもできる。また、複数の目印糸のそれぞれを編地16の内外を渡る通し糸とすることで、筒状編地16の上下の開口部のそれぞれに巾着のような絞り込み部分を形成することができる。また、目印糸を絞って巾着状にできることから、切断部を大きく減少させ異物混入の原因である糸くずも大きく減少させる効果がある。
【0023】
図7は第5の実施形態であり、目印糸の代わりに異なる編み方の異編部30を編地16に形成した例である。第5の実施形態の枝肉包装材は、地糸を丸編した編地16を有し、その編地16の長さ方向の所定間隔毎に該編地の編み方とは異なる編み方の異編部30が編まれている構成とすることもできる。編地の組織を換えても、その変更した部分の光沢や手触り、見た目などの違いから、目印として機能させることができ、糸の供給を切り換える場合よりも比較的に長さ方向の長さを長くして帯状に構成できる。編み方の例として、平編みで基本の編地16を構成しながら、ジャガード編、メッシュ編、或いはパイル編などに編組織を一時的に変更させて異編部30を形成する。帯状に編み進んだ後で元に戻すことで、
図7のような枝肉包装材が製造される。作業者は、異編部30を目印として枝肉包装材の好適な長さに切断できる。この異編部30でも糸の色や径を変えることもできる。また、目印糸と異編部30を組み合わせた構成でも良く、例えば4回分目印糸での所定間隔の配設した後、1回異編部30が現れるような組み合わせを繰り替えるパターンを有するようなものであっても良い。
【0024】
また、本発明の枝肉包装材においては、糸の径を地糸のものから変えることも可能である。さらには地糸と目印糸の間で、長繊維と短繊維などを切り換えることもできる。また、異なる繊維材料の糸を使用する場合の一例としては、ポリビニルアルコール系繊維糸などの水溶性繊維糸を使用する方法があり、水を供給することで所定箇所での筒状編地の切断も可能となる。
【0025】
上述の実施形態の枝肉包装材においては、丸編機で使用する糸をポリエステル繊維糸として説明したが、他の糸の例として改正された食品衛生法のポジティブリスト制度に挙げられた樹脂からなる糸を用いることができる。すなわち、例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、ブタジエン樹脂(BDR)、エチレン・テトラシクロドデセン・コポリマー(ETD)、エチレン・2-ノルボルネン樹脂(ENB)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、アクリルニトリロブタジエンスチレン樹脂(ABS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ふっ素樹脂(FR)、ポリメタクリルスチレン(MS)、メタクリル樹脂(PMMA)、ナイロン(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリルサルホン(PASF)、ポリアリレート(PAR)、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル(HBP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステルカーボネート(PPC)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)が挙げられる。
【0026】
上述のように、本発明の枝肉包装材は、枝肉包装材自体を所定の長さに切断する際に、切断の場所の目安となる目印糸が編み込まれた構成を有するため、作業者が容易に所定の切断箇所での切断作業を進めることができる。目印糸を編地から引き抜いて、その目印糸が存在していた位置での編地の切断を実現する場合では、編地における切断箇所を最小のものにすることができ、切断作業の効率を向上させることができ、同時に塵や糸くずなどの枝肉表面への付着も大きく抑制することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 枝肉包装材
12 開口部
14 目印糸
16 編地
20 枝肉
22 ロール
30 異編部