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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007511
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20240101AFI20250109BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20250109BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20250109BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60W50/14
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108947
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本崎 正規
(72)【発明者】
【氏名】大森 慎介
(72)【発明者】
【氏名】高畠 元
【テーマコード(参考)】
3D241
3D344
【Fターム(参考)】
3D241BA57
3D241CE05
3D344AA19
3D344AC25
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】運転席に着座したユーザがメータ映像とカメラ映像とを瞬時に判別することができる車両を得る。
【解決手段】車両10は、車室の前方側に設けられたフードの車両下方側かつ運転席の車両前方側にメータ映像44を表示させるメータ表示装置50と、運転席から見てメータ映像44の周辺位置かつメータ映像44に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に、車両10の周辺視界を撮像したカメラ映像(運転席側電子サイドミラー映像42、電子バックミラー映像46、助手席側電子サイドミラー映像48)を表示させるカメラ表示装置(左サイドミラー表示装置52、バックミラー表示装置56、右サイドミラー表示装置54)と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前方側かつ運転席の車両前方側にメータ映像を表示させるメータ表示装置と、
運転席から見て前記メータ映像の周辺位置かつ前記メータ映像に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に、車両の周辺視界を撮像したカメラ映像を表示させるカメラ表示装置と、
を有する車両。
【請求項2】
前記カメラ映像の上端は、前記メータ映像の車両上下方向の中央以上の高さに位置し、前記カメラ映像の下端は、前記メータ映像の車両上下方向の中央以下の高さに位置している、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記カメラ表示装置は、
車両の運転席側後方を撮像した運転席側電子サイドミラー映像を表示する運転席側サイドミラー表示装置と、
車両の助手席側後方を撮像した助手席側電子サイドミラー映像を表示する助手席側サイドミラー表示装置と、
車両の真後ろ方向を撮像した電子バックミラー映像を表示するバックミラー表示装置と、
を含んで構成されており、
運転席に着座したユーザによって視認される表示は、運転席側から助手席側へ向かって、前記運転席側電子サイドミラー映像、前記メータ映像、前記電子バックミラー映像、前記助手席側電子サイドミラー映像の順に並んでいる、
請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記ユーザによって視認される前記電子バックミラー映像は、前記メータ映像よりも車両後方側かつ前記助手席側電子サイドミラー映像よりも車両前方側に位置している、
請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記メータ表示装置は、前記メータ映像を映す光を発光するメータ映像発光部と、前記メータ映像発光部から発光された前記メータ映像の光を反射させる少なくとも一つのメータ映像反射面と、を含んで構成されており、前記メータ映像の光を最後に反射させるメータ映像反射面よりも車両前方側に、メータ虚像を結像して前記メータ映像を表示させ、
前記カメラ表示装置は、前記カメラ映像を映す光を発光するカメラ映像発光部と、前記カメラ映像発光部から発光された光を反射させる少なくとも一つのカメラ映像反射面と、を含んで構成されており、前記カメラ映像の光を最後に反射させるカメラ映像反射面よりも車両前方側かつ前記メータ虚像に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に、カメラ虚像を結像して前記カメラ映像を表示させる、
請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、フロントガラスより下の領域に車両用コンテンツを表示する車両が開示されている。下記特許文献1に記載の技術では、表示器は、インストルメントパネルの下側に設けられた複数のディスプレイと、当該複数のディスプレイの下方側に配置された反射ミラーとを備えており、各ディスプレイの表示面に表示されたコンテンツは、反射ミラーを介して運転席に着座したユーザに見えるようになっている。
【0003】
下記特許文献1に記載の技術では、複数のディスプレイは、車両幅方向に並んで配置されており、運転席の直前に位置するディスプレイにメータ画像(メータ映像)が表示され、左右端に位置するディスプレイに電子ミラー用のコンテンツ(カメラ映像)が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-034812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の表示では、複数のディスプレイが車両幅方向に略面一に並んで配置されているため、ユーザがメータ映像とカメラ映像とを瞬時に判別することが難しく、改良の余地があった。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、運転席に着座したユーザがメータ映像とカメラ映像とを瞬時に判別することができる車両を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る車両は、車室の前方側かつ運転席の車両前方側にメータ映像を表示させるメータ表示装置と、運転席から見て前記メータ映像の周辺位置かつ前記メータ映像に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に、車両の周辺視界を撮像したカメラ映像を表示させるカメラ表示装置と、を有している。
【0008】
請求項1に記載の本発明によれば、メータ表示装置によって、車室の前方側かつ運転席の車両前方側に、メータ映像が表示される。また、カメラ表示装置によって、運転席から見てメータ映像の周辺位置に、車両の周辺視界を撮像したカメラ映像が表示される。
【0009】
ここで、カメラ映像は、メータ映像に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に表示される。よって、運転席から見てメータ映像とカメラ映像とが並んで表示されていても、奥行きの違いによって各映像を容易に判別することができる。ただし、ここでいう「映像を表示」とは、運転席に着座したユーザに視認される表示面に直接映像を表示することと、映像を虚像として結像することの双方を広く含む概念とする。
【0010】
請求項2に係る車両は、請求項1に記載の発明において、前記カメラ映像の上端は、前記メータ映像の車両上下方向の中央以上の高さに位置し、前記カメラ映像の下端は、前記メータ映像の車両上下方向の中央以下の高さに位置している。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば、カメラ映像は、メータ映像と略水平方向に並ぶ位置に表示される。これにより、運転席に着座したユーザは、水平方向の最小限の視線移動で、メータ映像とカメラ映像とを確認できる。
【0012】
請求項3に係る車両は、請求項1に記載の発明において、前記カメラ表示装置は、車両の運転席側後方を撮像した運転席側電子サイドミラー映像を表示する運転席側サイドミラー表示装置と、車両の助手席側後方を撮像した助手席側電子サイドミラー映像を表示する助手席側サイドミラー表示装置と、車両の真後ろ方向を撮像した電子バックミラー映像を表示するバックミラー表示装置と、を含んで構成されており、運転席に着座したユーザによって視認される表示は、運転席側から助手席側へ向かって、前記運転席側電子サイドミラー映像、前記メータ映像、前記電子バックミラー映像、前記助手席側電子サイドミラー映像の順に並んでいる。
【0013】
請求項3に記載の本発明によれば、運転席側サイドミラー表示装置によって、車両の運転席側後方を撮像した運転席側電子サイドミラー映像が表示される。また、助手席側サイドミラー表示装置によって、車両の助手席側後方を撮像した助手席側電子サイドミラー映像が表示される。さらに、バックミラー表示装置によって、車両の真後ろ方向を撮像した電子バックミラー映像が表示される。これにより、ユーザは、視線を車両前方に向けたまま、車両の後方を広く視認することができる。
【0014】
また、ユーザによって視認される表示は、運転席側から助手席側へ向かって、運転席側電子サイドミラー映像、メータ映像、電子バックミラー映像、助手席側電子サイドミラー映像の順に並んでいる。当該配置は、従来の車両における運転席側のサイドミラー、メータ、バックミラー(ルームミラー)及び助手席側のサイドミラーと同じ順番であるから、ユーザが違和感なく各表示を認知することができる。
【0015】
請求項4に係る車両は、請求項3に記載の発明において、前記ユーザによって視認される前記電子バックミラー映像は、前記メータ映像よりも車両後方側かつ前記助手席側電子サイドミラー映像よりも車両前方側に位置している。
【0016】
請求項4に記載の本発明によれば、ユーザから見て車両前方側から車両後方側へ向かって、かつ運転席側から助手席側へ向かって、メータ映像、電子バックミラー映像、助手席側電子サイドミラー映像の順に段階的に並んで表示される。よって、メータ映像と電子バックミラー映像との判別、及び電子バックミラー映像と助手席側電子サイドミラー映像との判別を容易にすることができる。
【0017】
請求項5に係る車両は、請求項1に記載の発明において、前記メータ表示装置は、前記メータ映像を映す光を発光するメータ映像発光部と、前記メータ映像発光部から発光された前記メータ映像の光を反射させる少なくとも一つのメータ映像反射面と、を含んで構成されており、前記メータ映像の光を最後に反射させるメータ映像反射面よりも車両前方側に、メータ虚像を結像して前記メータ映像を表示させ、前記カメラ表示装置は、前記カメラ映像を映す光を発光するカメラ映像発光部と、前記カメラ映像発光部から発光された光を反射させる少なくとも一つのカメラ映像反射面と、を含んで構成されており、前記カメラ映像の光を最後に反射させるカメラ映像反射面よりも車両前方側かつ前記メータ虚像に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に、カメラ虚像を結像して前記カメラ映像を表示させる。
【0018】
請求項5に記載の本発明によれば、メータ映像発光部から発光されたメータ映像の光は、少なくとも一つのメータ映像反射面に反射される。そして、メータ映像の光を最後に反射させるメータ映像反射面よりも車両前方側に、メータ虚像が結像されることで、メータ映像が表示される。
【0019】
また、カメラ映像発光部から発光されたカメラ映像の光は、少なくとも一つのカメラ映像反射面に反射される。そして、カメラ映像の光を最後に反射させるカメラ映像反射面よりも車両前方側かつ、メータ虚像に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に、カメラ虚像が結像されることで、カメラ映像が表示される。
【0020】
よって、ユーザによって直接視認されるディスプレイがフードやカウルの下方側に配置される場合と比較して、メータ表示装置及びカメラ表示装置を車両後方側に配置することができるため、パワーユニット室内の設計の自由度が向上する。ただし、ここでいう「発光」とは、ディスプレイのように直接映像を表示すること及び投影機のように映像を映す光を発光することを広く含む概念とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両は、運転席に着座したユーザがメータ映像とカメラ映像とを瞬時に判別することができるという優れた効果を有する。
【0022】
請求項2に記載の本発明に係る車両は、ユーザの視線移動の負担を軽減することができるという優れた効果を有する。
【0023】
請求項3に記載の本発明に係る車両は、ユーザが違和感なく各表示を認知することができるという優れた効果を有する。
【0024】
請求項4に記載の本発明に係る車両は、ユーザがメータ映像と電子バックミラー映像との判別、及び電子バックミラー映像と助手席側電子サイドミラー映像との判別を容易にすることができるという優れた効果を有する。
【0025】
請求項5に記載の本発明に係る車両は、パワーユニット室内の設計の自由度を向上することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係る車両における車室内の前部を車両後方側から見た概略図である。
図2図1に示される映像を表示させる各表示装置を車両左後方斜め上側から見た後方斜視図である。
図3図1の3-3線断面を車両左側から見た概略断面図である。
図4図1の4-4線断面を車両左側から見た概略断面図である。
図5】第1変形例に係る車両の断面を車両左側から見た要部拡大断面図である。
図6】第2変形例に係る車両の断面を車両左側から見た概略断面図である。
図7】第3変形例に係る車両の各表示装置を車両左後方斜め上側から見た図2に対応する後方斜視図である。
図8】第3変形例に係る車両における車室内の前部を車両後方側から見た図1に対応する概略図である。
図9】第4変形例に係る車両の各表示装置を車両左後方斜め上側から見た図2に対応する後方斜視図である。
図10】第4変形例に係る車両における車室内の前部を車両後方側から見た図1に対応する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1図4を用いて、本発明の一実施形態に係る車両10について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FR、矢印UP及び矢印LHは、それぞれ車両10の前方側、上方側及び左右方向(幅方向)左側を示している。また、以下の説明で特記なく前後、上下、左右の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両左右方向(幅方向)の左右をそれぞれ示すものとする。
【0028】
(車両の全体構成)
図1には、本実施形態に係る車両10における車室12内の前部を車両後方側から見た概略図が示されている。車両10は、一例として、BEV(Battery Electric Vehicle)とされており、フロア14(図3参照)の下側にバッテリモジュールを備えており、車室12の前方側に設けられたパワーユニット室16に、モータ(図示省略)を備えている。パワーユニット室16は、フード18によって車両上方側から覆われている。なお、車両はBEVに限らず、ガソリン車又はハイブリッド車であってもよい。
【0029】
車両10は、一例として、ステアリングホイール20が左側に設けられた左ハンドルの車両とされている。ステアリングホイール20は、車室12の前部において略車両幅方向に延在するインストルメントパネル22(以後、「インパネ22」と称す。)の車両後側かつ運転席の車両前方側に取り付けられている。なお、運転席は、車両の右側に設けられていてもよい。
【0030】
インパネ22の車両上方側には、ウインドシールドガラス24が配置されている。ウインドシールドガラス24は、車両前方側へ向かって下り勾配に傾斜しており、車室12の内部と外部とを区画している。
【0031】
ウインドシールドガラス24の左側端部は、車両上下方向に延在するフロントピラー26に固定されている。同様に、ウインドシールドガラス24の右側端部は、車両右側のフロントピラー(図示省略)に固定されている。フロントピラー26の車両後方側には、車両左側のフロントドア28が配置されている。
【0032】
図3に示されるように、ウインドシールドガラス24の上端部は、車室12の天井部を構成するルーフ30の前端部に支持されている。フード18の後端部の下方側には、略車両幅方向に延在し側断面視で略ハット状に形成されたカウル32が配置されている。カウル32は、車両左側のフロントピラー26(図1参照)と車両右側のフロントピラー(図示省略)との間に掛け渡されている。ウインドシールドガラス24の下端部は、カウル32の車両後方側のフランジに支持されている。
【0033】
(インストルメントパネル)
インパネ22は、樹脂材料によって形成されたパネル構造体とされている。インパネ22は、車両前方側上部に設けられた上部パネル34と、車両後方側に設けられたメインパネル36と、上部パネル34とメインパネル36との間に設けられ、側断面視で車両下方側へ凹んで形成された凹部38と、を含んで構成されている。
【0034】
上部パネル34は、側断面視で車両後方側に凸となる略V字状に形成されている。上部パネル34において、上部に形成された上板部34Aは、略水平方向に延在している。一方、上部パネル34において、下部に形成された下板部34Bは、ウインドシールドガラス24と略平行になるように車両前方側へ向かって下り勾配に傾斜している。
【0035】
また、メインパネル36は、側断面視で略車両後方側へ膨出された後部上側パネル36Aと、後部上側パネル36Aの下側において略車両上下方向に延在する後部下側パネル36Bと、を含んで構成されている。後部上側パネル36Aは、車室12の前部において意匠面を構成している。ステアリングホイール20(図1参照)は、インパネ22の後部上側パネル36Aに設けられている。
【0036】
凹部38は、上部パネル34の下板部34Bの前端部と、メインパネル36の後部上側パネル36Aの前端部と、を略車両前後方向に連結している。凹部38は、ダッシュパネル40に沿って略上下方向に設けられた前壁部38Aと、前壁部38Aの車両後方側に設けられた後壁部38Bと、前壁部38Aと後壁部38Bとを連結し略車両前後方向に延在する底部38Cと、を備えている。底部38Cは、車両後方側へ向かって僅かに下り勾配に傾斜している。ドライバDの正面位置では、後壁部38Bは、側断面視で車両前方側へ向かって下る階段状に形成されている。一方、図4に示されるように、ドライバDの正面以外の位置では、後壁部38Bは、側断面視で車両前方側へ向かって下り勾配に傾斜した平面状に設けられている。
【0037】
インパネ22の上部パネル34の下板部34B及び凹部38によって囲まれた収容部22Aには、各種表示装置が配置されている。各種表示装置については、後に詳述する。なお、上述したインパネ22の形状は一例であり、これに限定されるものではない。
【0038】
(各種映像)
図1に示されるように、運転席に着座したユーザとしてのドライバD(図3参照)の前方側には、車両左側から順に、カメラ映像としての運転席側電子サイドミラー映像42(以下、「左サイドミラー映像42」と称す。)、メータ映像44、カメラ映像としての電子バックミラー映像46(以下、「バックミラー映像46」と称す。)及びカメラ映像としての助手席側電子サイドミラー映像48(以下、「右サイドミラー映像48」と称す。)が表示されている。これらの左サイドミラー映像42、メータ映像44、バックミラー映像46及び右サイドミラー映像48は、ドライバDから見て、インパネ22の上部パネル34の下板部34B(図3参照)とメインパネル36の後部上側パネル36A(図3参照)との間の奥側(車両前方側)、すなわち車室12の前方側におけるフード18の車両下方側に見えるようになっている。
【0039】
メータ映像44は、車両10に搭載された各種メータ類の計測値に係る車両情報を含んで構成されており、一例として、速度計やシフトポジション、警告灯等の映像コンテンツを含んで構成されている。メータ映像44は、後述するメータ表示装置50(図2及び図3参照)によって表示される。メータ映像44は、ドライバDの正面に表示されるようになっている。
【0040】
左サイドミラー映像42は、車両10の運転席側後方を撮像した映像である。左サイドミラー映像42は、一例として、車両10の左側部に設けられた左サイドカメラ(図示省略)によって撮像され、後述する運転席側サイドミラー表示装置としての左サイドミラー表示装置52(図2参照)によって表示される。
【0041】
右サイドミラー映像48は、車両10の助手席側後方を撮像した映像である。右サイドミラー映像48は、一例として、車両10の右側部に設けられた右サイドカメラ(図示省略)によって撮像され、後述する助手席側サイドミラー表示装置としての右サイドミラー表示装置54(図2参照)によって表示される。
【0042】
バックミラー映像46は、車両10の真後ろを撮像した映像である。バックミラー映像46は、一例として、車両10の後端部に設けられたバックカメラ(図示省略)によって撮像され、後述するバックミラー表示装置56(図2及び図4参照)によって表示される。
【0043】
左サイドミラー映像42、メータ映像44、バックミラー映像46及び右サイドミラー映像48は、ドライバDから見て略水平方向に、すなわち略同一の高さに並んで表示されている。また、ドライバDから見て車両前方側から車両後方側へ向かって、メータ映像44、バックミラー映像46、右サイドミラー映像48の順に、奥行きが段階的に変わるように表示されている。左サイドミラー映像42は、ドライバDから見て右サイドミラー映像48と略同じ奥行きに表示されている。つまり、4つの映像のうち、メータ映像44がドライバDから見て最も遠くに表示され、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48がドライバDから見て最も近くに表示されるようになっている(図2参照)。
【0044】
また、ウインドシールドガラス24には、車両10の走行関連情報を含む走行関連映像58が投影されるようになっている。走行関連映像58は、一例として、走行経路のナビゲーション、道路上の障害物、道路情報等を含んで構成されている。走行関連映像58は、後述するHUD(Head-Up Display)装置60(図3参照)によってウインドシールドガラス24に投影され、ドライバDがウインドシールドガラス24越しに見る車両10の前景に重なって表示されるようになっている。
【0045】
〔各種表示装置〕
図2には、メータ映像44を表示させるメータ表示装置50、左サイドミラー映像42を表示させる左サイドミラー表示装置52、右サイドミラー映像48を表示させる右サイドミラー表示装置54、及びバックミラー映像46を表示させるバックミラー表示装置56が示されている。メータ映像44、左サイドミラー映像42、右サイドミラー映像48及びバックミラー映像46は、ドライバDに視認される視認ミラー62の車両前方側に、虚像として表示されるようになっている。視認ミラー62は、車両幅方向を長手方向とする略矩形板状に形成されており、略車両前方側へ凹んだ凹面鏡となっている。図3に示されるように、視認ミラー62は、インパネ22において、上部パネル34の下板部34Bの車両下方側の面に取り付けられており、反射面が車両下方側かつ車両後方側を向いている。
【0046】
(メータ表示装置)
図2及び図3に示されるように、メータ表示装置50は、メータ映像44を表示するメータ映像発光部としてのメータディスプレイ64と、メータディスプレイ64に表示されたメータ映像44の光を反射させる第1メータ映像反射面66と、第1メータ映像反射面66によって反射されたメータ映像44の光を略車両後方側向かって反射させる第2メータ映像反射面68と、を含んで構成されている。
【0047】
メータディスプレイ64は、一例として、各種メータ類(図示省略)と電気的に接続されたECU(Electronic Control Unit、図示省略)から送られる信号によって、メータ映像44を表示している。図3に示されるように、メータディスプレイ64は、インパネ22において、凹部38の後壁部38Bの下部前面に取り付けられている。メータディスプレイ64は、表示面64Aが車両前方側かつ車両上方側を向くように傾斜して配置されており、ドライバDの正面に配置されている。
【0048】
また、図2に示されるように、第1メータ映像反射面66は、略矩形板状に形成されたメータ用ミラー70の車両後方側の面に位置している。メータ用ミラー70の車両幅方向の寸法は、メータディスプレイ64の車両幅方向の寸法と略同一とされている。図3に示されるように、メータ用ミラー70は、インパネ22において、凹部38の前壁部38Aの車両後方側の面に取り付けられている。メータ用ミラー70は、第1メータ映像反射面66が車両後方側かつ車両上方側を向くように、傾斜して配置されている。
【0049】
さらに、図2に示されるように、第2メータ映像反射面68は、視認ミラー62の車両後方側の面の一部となっている。図3に示されるように、視認ミラー62は、インパネ22において、上部パネル34の下板部34Bの車両下方側の面に取り付けられている。視認ミラー62は、運転席に着座したドライバDから見える位置に配置されている。視認ミラー62は、視認ミラー62よりも車両前方側に、メータ虚像としてのメータ映像44を結像する。これにより、図1に示されるように、フード18の車両下方側にメータ映像44が表示され、ドライバに視認されるようになっている。
【0050】
(バックミラー表示装置)
図2及び図4に示されるように、バックミラー表示装置56は、バックミラー映像46を表示するカメラ映像発光部としてのバックミラーディスプレイ72(以下、「バックディスプレイ72」と称す。)と、バックディスプレイ72に表示されたバックミラー映像46の光を略車両後方側へ反射させるカメラ映像反射面としてのバックミラー映像反射面74と、を含んで構成されている。
【0051】
バックディスプレイ72は、一例として、バックカメラ(図示省略)から送られる信号によって、バックミラー映像46を表示している。バックディスプレイ72は、メータディスプレイ64よりも右側に配置されている。図4に示されるように、バックディスプレイ72は、インパネ22において、凹部38の底部38Cの車両上方側の面に取り付けられている。バックディスプレイ72は、表示面72Aが車両上方側かつ僅かに車両後方側を向くように、後傾して配置されている。
【0052】
また、図2に示されるように、バックミラー映像反射面74は、視認ミラー62の車両後方側の面において、第2メータ映像反射面68の車両右側に位置している。視認ミラー62は、視認ミラー62よりも車両前方側であって、ドライバDから見てメータ映像44の右側かつメータ映像44に対して車両後方側にオフセットされた位置に、カメラ虚像としてのバックミラー映像46を結像する。これにより、図1に示されるように、フード18の車両下方側にバックミラー映像46が表示され、ドライバに視認されるようになっている。
【0053】
(左サイドミラー表示装置)
図2に示されるように、左サイドミラー表示装置52は、左サイドミラー映像42を表示するカメラ映像発光部としての運転席側サイドミラーディスプレイ76(以下、「左サイドディスプレイ76」と称す。)と、左サイドディスプレイ76に表示された左サイドミラー映像42の光を略車両後方側へ反射させるカメラ映像反射面としての左サイドミラー映像反射面78と、を含んで構成されている。
【0054】
左サイドディスプレイ76は、一例として、左サイドカメラ(図示省略)から送られる信号によって、左サイドミラー映像42を表示している。左サイドディスプレイ76は、メータディスプレイ64よりも車両左側に配置されている。左サイドディスプレイ76は、バックディスプレイ72と同様に、インパネ22の凹部38の底部38C(図4参照)の車両上方側の面に取り付けられている。左サイドディスプレイ76は、表示面76Aが略車両上方側かつ僅かに車両後方側を向くように、後傾して配置されている。
【0055】
また、左サイドミラー映像反射面78は、視認ミラー62の車両後方側の面において、第2メータ映像反射面68の車両左側に位置している。視認ミラー62は、視認ミラー62よりも車両前方側であって、ドライバDから見てメータ映像44の左側かつバックミラー映像46よりも車両後方側に、カメラ虚像としての左サイドミラー映像42を結像する。これにより、図1に示されるように、フード18の車両下方側に左サイドミラー映像42が表示され、ドライバに視認されるようになっている。
【0056】
(右サイドミラー表示装置)
図2に示されるように、左サイドミラー表示装置52と同様に、右サイドミラー表示装置54は、右サイドミラー映像48を表示するカメラ映像発光部としての助手席側サイドミラーディスプレイ80(以下、「右サイドディスプレイ80」と称す。)と、右サイドディスプレイ80に表示された右サイドミラー映像48の光を略車両後方側へ反射させるカメラ映像反射面としての右サイドミラー映像反射面82と、を含んで構成されている。
【0057】
右サイドディスプレイ80は、一例として、右サイドカメラ(図示省略)から送られる信号によって、右サイドミラー映像48を表示している。右サイドディスプレイ80は、バックディスプレイ72よりも車両右側に配置されている。右サイドディスプレイ80は、バックディスプレイ72及び左サイドディスプレイ76と同様に、インパネ22において、凹部38の底部38C(図4参照)の車両上方側の面に取り付けられている。右サイドディスプレイ80は、表示面80Aが略車両上方側かつ僅かに車両後方側を向くように、後傾して配置されている。
【0058】
また、右サイドミラー映像反射面82は、視認ミラー62の車両後方側の面において、バックミラー映像反射面74の車両右側に位置している。視認ミラー62は、視認ミラー62よりも車両前方側かつドライバDから見てバックミラー映像46の車両右側であって、側面視で左サイドミラー虚像と略同じ位置、すなわちバックミラー映像46よりも車両後方側に、カメラ虚像としての右サイドミラー映像48を結像する。これにより、図1に示されるように、フード18の車両下方側に右サイドミラー映像48が表示され、ドライバに視認されるようになっている。
【0059】
メータディスプレイ64、バックディスプレイ72、左サイドディスプレイ76及び右サイドディスプレイ80は、何れも視認ミラー62よりも、車両下方側に配置されている。メータディスプレイ64、バックディスプレイ72、左サイドディスプレイ76及び右サイドディスプレイ80は、それぞれ一例として、LED(Light-Emitting Diode)ディスプレイであるものとするが、これに限らず、例えば有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイであってもよい。
【0060】
(HUD装置)
図3に示されるように、HUD装置60は、運転席の正面において、インパネ22の凹部38における後壁部38Bの上部前面に取り付けられている。HUD装置60は、一例として、車両上方側に開口したケース体60Aと、ケース体60Aの内部に設置され、ECU(図示省略)と電気的に接続されて走行関連映像58をウインドシールドガラス24に投影するHUD光源(図示省略)と、を有している。
【0061】
ウインドシールドガラス24の車室12内側の面は、HUD装置60から投影された走行関連映像58の光をドライバDが視認できる位置に反射する反射面24Aとなっている。ドライバDは、反射面24Aで反射された光を、走行関連映像58として視認することができる。走行関連映像58は、ドライバDがウインドシールドガラス14を通して視認する車両前方の実空間の風景に重ねられた態様で表示される。走行関連映像58は、反射面24Aよりも車両前方側の位置で結像されているため、ドライバDは、走行関連映像58を、ウインドシールドガラス24よりも車両前方側の位置で視認する構成となっている。なお、車両は走行関連映像58をウインドシールドガラス24に投影するHUD装置60を備えていなくてもよい。
【0062】
メータディスプレイ64、メータ用ミラー70、バックディスプレイ72(図4参照)、左サイドディスプレイ76(図2参照)、右サイドディスプレイ80(図2参照)及びHUD装置60は、何れも運転席に着座したドライバDからは見えない位置に配置されている。
【0063】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0064】
本実施形態に係る車両10によれば、図3に示されるように、メータ表示装置50によって、車室12の前方側かつ運転席の車両前方側に、メータ映像44が表示される。また、左サイドミラー表示装置52(図2参照)によって、図1に示されるように、運転席から見てメータ映像44の左隣りに、左サイドミラー映像42が表示される。また、バックミラー表示装置56(図2参照)によって、運転席から見てメータ映像44の右隣りに、バックミラー映像46が表示される。さらに、右サイドミラー表示装置54(図2参照)によって、運転席から見てバックミラー映像46の右隣りに、右サイドミラー映像48が表示される。
【0065】
ここで、図2に示されるように、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48は、それぞれメータ映像44に対して車両後方側にオフセットされた位置に表示される。よって、運転席から見て左サイドミラー映像42、メータ映像44、バックミラー映像46及び右サイドミラー映像48が並んで表示されていても、奥行きの違いによって、ドライバDは、メータ映像44と他の映像(バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48)とを容易に判別することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る車両10によれば、左サイドミラー映像42、メータ映像44、バックミラー映像46及び右サイドミラー映像48は、車両後方側から見て略同一の高さに配置されている。これにより、ドライバDは、水平方向の最小限の視線移動で、左サイドミラー映像42、メータ映像44、バックミラー映像46及び右サイドミラー映像48を確認できる。よって、ドライバDの視線移動の負担を軽減することができる
【0067】
さらに、本実施形態に係る車両10によれば、ドライバDは、視線を車両前方に向けたまま、車両10の左後方を映す左サイドミラー映像42、車両10の右後方を映す右サイドミラー映像48及び車両10の真後ろを映すバックミラー映像46を見ることができる。よって、ドライバDは、視線を車両前方に向けたまま、車両10の後方を広く視認することができる。
【0068】
さらにまた、左サイドミラー映像42、メータ映像44、バックミラー映像46及び右サイドミラー映像48は、車両左側から右側へ向かって当該順序で並んで表示される。当該配置は、従来の車両における左側のサイドミラー、メータ、バックミラー(ルームミラー)及び右側のサイドミラーと同じ順番であるから、ドライバDが違和感なく各表示を認知することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る車両10によれば、ドライバDから見て車両前方側から車両後方側へ向かって、メータ映像44、バックミラー映像46、右サイドミラー映像48の順に段階的な奥行きで表示される。よって、メータ映像44とバックミラー映像46との判別、及びバックミラー映像46と右サイドミラー映像48との判別を容易にすることができる。
【0070】
さらに、本実施形態に係る車両10によれば、図3に示されるように、メータディスプレイ64から発光されたメータ映像44の光は、第1メータ映像反射面66及び第2メータ映像反射面68に反射される。そして、メータ映像44の光を最後に反射させる第2メータ映像反射面68よりも車両前方側に虚像が結像されることで、メータ映像44が表示される。
【0071】
また、図4に示されるように、バックディスプレイ72から発光されたバックミラー映像46の光は、バックミラー映像反射面74に反射される。そして、バックミラー映像反射面よりも車両前方側かつ、メータ映像44に対して車両後方側にオフセットされた位置に虚像が結像されることで、バックミラー映像46が表示される。
【0072】
同様に、左サイドディスプレイ76から発光された左サイドミラー映像42の光は、左サイドミラー映像反射面78に反射され、虚像が結像されることで、左サイドミラー映像42が表示される。また、同様に、右サイドディスプレイ80から発光された右サイドミラー映像48の光は、右サイドミラー映像反射面82に反射され、虚像が結像されることで、右サイドミラー映像48が表示される。
【0073】
よって、ドライバDによって直接視認されるディスプレイがフードやカウルの下方側に配置される場合と比較して、メータ表示装置50、バックミラー表示装置56、左サイドミラー表示装置52及び右サイドミラー表示装置54を、車両後方側に配置することができるため、パワーユニット室16内の設計の自由度が向上する。
【0074】
さらにまた、本実施形態に係る車両10によれば、メータ表示装置50、バックミラー表示装置56、左サイドミラー表示装置52及び右サイドミラー表示装置54は、何れもインパネ22の上部パネル34の下方側において、収容部22Aに収容されている。よって、メータ表示装置50、バックミラー表示装置56、左サイドミラー表示装置52及び右サイドミラー表示装置54は、太陽光等の車両10外部からの光の影響を受けにくい。これにより、メータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48の視認性が向上される。
【0075】
特に、ドライバDが直接見る視認ミラー62は、上部パネル34の下板部34Bの車両下方側の面に取り付けられている。よって、視認ミラー62に映されるメータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48の視認性がより一層向上される。
【0076】
また、本実施形態に係る車両10によれば、HUD装置60によって、ドライバDがウインドシールドガラス24越しに見る車両10の前景に重なって、走行関連映像58が表示される。よって、ドライバDは、車両10の前景から視線をほとんど移動させることなく走行関連映像58を視認することができる。ここで、メータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48は、フード18の下方側、すなわち運転席から車両前方側に離れた位置に表示される。よって、従来の車両におけるメータ、バックミラー(ルームミラー)及び左右のサイドミラーと比較して、車両10の前景又は走行関連映像58と各表示との焦点距離の差が小さくなる。これにより、車両10の前景又は走行関連映像58から視線を動かしてメータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48をそれぞれ視認するための焦点移動の距離及び調整時間が短く済む。よって、ドライバDの視線移動の負担がより一層軽減される。
【0077】
さらに、本実施形態に係る車両10によれば、図2に示されるように、第2メータ映像反射面68、バックミラー映像反射面74、左サイドミラー映像反射面78及び右サイドミラー映像反射面82は、何れも一枚の凹面鏡である視認ミラー62の車両後方側の面に位置している。よって、メータ表示装置、バックミラー表示装置、左サイドミラー表示装置及び右サイドミラー表示装置がそれぞれ別の反射鏡を備える場合と比較して、簡素な構成でメータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48を表示することができる。また、視認ミラー62は車室12の内部から見える位置に配置されているため、一枚の凹面鏡として構成されていることで、各種映像が表示されていないときの意匠性を向上させることができる。
【0078】
〔上記実施形態の補足説明〕
上記実施形態では、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48は、それぞれメータ映像44に対して車両後方側にオフセットされた位置に表示されるものとして説明したが、これに限らない。例えば、カメラ映像は、メータ映像に対して車両前方側にオフセットされた位置に表示されていてもよい。また、図3及び図4に示されるメータ映像44及びバックミラー映像46の表示位置は一例であり、当該位置に限定されるものではない。例えば、メータ映像及び各カメラ映像は、カウル32の下方側に表示されてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、メータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48は、車両後方側から見て略同一の高さに配置されているものとして説明したが、これに限らず、各カメラ映像の上端がメータ映像の車両上下方向の中央以上の高さに位置し、かつ各カメラ映像の下端がメータ映像の車両上下方向の中央以下の高さに位置していればよい。
【0080】
さらに、上記実施形態では、バックミラー表示装置56によって、バックミラー映像46が表示され、左サイドミラー表示装置52によって、左サイドミラー映像42が表示され、右サイドミラー表示装置54によって、右サイドミラー映像48が表示されるものとして説明したが、車両の周辺視界を撮像したカメラ映像は、電子ミラー映像に限らない。例えば、カメラ映像は、車両の前方を撮像した映像や、車両の後部を撮像した映像、車両の前側角部や後側角部を撮像した映像、又は車両の側部を撮像した映像であってもよい。
【0081】
さらに、上記実施形態では、運転席側から助手席側へ向かって、左サイドミラー映像42、メータ映像44、バックミラー映像46、右サイドミラー映像48の順に並んでいるものとして説明したが、配列の順序はこれに限らない。また、表示されるカメラ映像は3つに限定されず、少なくとも1つあればよい。
【0082】
さらにまた、上記実施形態では、メータディスプレイ64によってメータ映像44が表示され、バックディスプレイ72によってバックミラー映像46が表示され、左サイドディスプレイ76によって左サイドミラー映像42が表示され、右サイドディスプレイ80によって右サイドミラー映像48が表示されるものとして説明したが、これに限らない。例えば、メータ映像発光部及びカメラ映像発光部は、それぞれ映像を映す光を発光する投影機であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、メータディスプレイ64に表示されたメータ映像44の光は、第1メータ映像反射面66及び第2メータ映像反射面68によって2回反射されるものとして説明したが、反射回数はこれに限定されるものではない。さらに、バックディスプレイ72に表示されたバックミラー映像46の光、左サイドディスプレイ76に表示された左サイドミラー映像42の光、右サイドディスプレイ80に表示された右サイドミラー映像48の光は、それぞれ視認ミラー62によって1回ずつ反射されるものとして説明したが、これに限らず、それぞれ複数反射されてもよい。すなわち、各表示装置における光の反射回数は上記実施形態に限定されるものではない。また、メータ映像及びカメラ映像は、ミラーに限らず他の反射材によって反射されてもよい。例えば、図5に示される第1変形例に係る車両90の構造を採用してもよい。
【0084】
さらに、上記実施形態では、結像された画像をドライバDが視認するものとして説明したが、これに限らない。例えば、図6に示される第2変形例に係る車両100の構造を採用してもよい。
【0085】
さらにまた、上記実施形態では、図2に示されるように、第2メータ映像反射面68、バックミラー映像反射面74、左サイドミラー映像反射面78及び右サイドミラー映像反射面82は、何れも一枚の凹面鏡である視認ミラー62の車両後方側の面に位置しているものとして説明したが、これに限らない。例えば、図7に示される第3変形例に係る車両110の構造を採用してもよく、図9及び図10に示される第4変形例に係る車両140の構造を採用してもよい。
【0086】
なお、以下の各変形例において、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
【0087】
(第1変形例)
図5に示されるように、車両90のウインドシールドガラス24の下端部24Bにおいて、車両後方側の面には、反射材としての反射フィルム92が貼り付けられている。反射フィルム92は、フード18(図3参照)の下方側に配置されており、車両後方側に反射面92Aを備えている。反射面92Aは、本発明におけるメータ映像反射面及びカメラ映像反射面に相当する。
【0088】
車両90には、メータ映像44を表示させるメータディスプレイ94と、バックミラー映像46を表示させるバックミラーディスプレイ96と、左サイドミラー映像42を表示させる運転席側サイドミラーディスプレイ98(以下、「左サイドディスプレイ98」と称す。)と、右サイドミラー映像48(図1参照)を表示させる右サイドミラーディスプレイ(図示省略)と、が搭載されている。メータディスプレイ94と反射面92Aとが本発明におけるメータ表示装置に相当し、バックミラーディスプレイ96と反射面92Aとが本発明におけるバックミラー表示装置に相当し、左サイドディスプレイ98と反射面92Aとが本発明におけるメータ表示装置に相当し、右サイドディスプレイ(図示省略)と反射面92Aとが本発明におけるメータ表示装置に相当する。
【0089】
メータディスプレイ94は、バックミラーディスプレイ96よりも車両下方側かつ車両前方側に配置されている。また、左サイドディスプレイ98及び右サイドミラーディスプレイ(図示省略)は、バックミラーディスプレイ96よりも車両上方側かつ車両後方側に配置されている。すなわち、メータディスプレイ94、バックミラーディスプレイ96、及び左サイドディスプレイ98は、当該順序で反射フィルム92に近づくように配置されている。図示は省略するが、車両90のインストルメントパネルには、メータディスプレイ94、バックミラーディスプレイ96、左サイドディスプレイ98及び右サイドミラーディスプレイ(図示省略)から発光された各光を通すための開口部が形成されている。
【0090】
メータディスプレイ94、バックミラーディスプレイ96、左サイドディスプレイ98及び右サイドミラーディスプレイ(図示省略)から発光された各映像の光は、それぞれ反射フィルム92によって車両後方側へ反射されてドライバDに届く。これにより、ウインドシールドガラス24の車両前方側かつフード18(図3参照)の車両下方側に、メータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48(図1参照)が、それぞれ虚像として表示されるようになっている。メータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像及び右サイドミラー映像48の配置については、上記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
(第2変形例)
図6に示されるように、第2変形例に係る車両100は、メータ映像44(図1参照)を直接表示するメータ表示装置としてのメータディスプレイ102と、バックミラー映像46(図1参照)を直接表示するバックミラー表示装置としてのバックディスプレイ104と、左サイドミラー映像42(図1参照)を直接表示する運転席側電子サイドミラー表示装置としての左サイドディスプレイ106と、右サイドミラー映像48(図1参照)を表示する助手席側電子サイドミラー表示装置としての右サイドディスプレイ(図示省略)と、を備えている。
【0092】
インストルメントパネル108(以下、「インパネ108」と称す。)は、上部パネル34と、メインパネル36と、上部パネル34とメインパネル36とを略車両前後方向に連結する凹部109と、を含んで構成されている。凹部109は、側断面視で上記実施形態の凹部38(図3及び図4参照)よりも浅く(すなわち略車両上下方向の寸法が小さく)形成されている。凹部109は、側断面視で略U字状に形成されており、前壁部110Aと、後壁部110Bと、前壁部110Aと後壁部110Bとを連結する底部110Cと、を含んで構成されている。
【0093】
HUD装置60は、運転席に着座したドライバDから視認されない位置において、底部110Cと後壁部110Bとの間の角部に取り付けられている。左サイドディスプレイ106、メータディスプレイ102、バックディスプレイ104及び右サイドディスプレイ(図示省略)は、運転席側から助手席側へ向かって当該順序で配置されており、それぞれ前壁部110Aに取り付けられている。バックディスプレイ104は、メータディスプレイ102に対して車両後方側にオフセットして配置されている。また、左サイドディスプレイ106及び右サイドディスプレイ(図示省略)は、バックディスプレイ104に対してさらに車両後方側にオフセットして配置されている。
【0094】
本変形例に係る車両100では、メータディスプレイ102、バックディスプレイ104、左サイドディスプレイ106及び右サイドディスプレイ(図示省略)は、運転席に着座したドライバDから直接視認できる位置に配置されている。よって、反射材を使って光を反射させる構成と比較して、より一層簡素な構成で、メータ映像とカメラ映像との判別を容易にさせると共に、ユーザの視線移動の負担を軽減することができる。また、メータディスプレイ102、バックディスプレイ104、左サイドディスプレイ106及び右サイドディスプレイ(図示省略)は、インパネ108の上部パネル34の下板部34Bの下方側に配置されているため、これらのディスプレイにそれぞれ表示されるメータ映像44、バックミラー映像46、左サイドミラー映像42及び右サイドミラー映像48(図1参照)は、太陽光等の車両100の外部からの光の影響を受けにくく、視認性に優れている。
【0095】
(第3変形例)
図7に示されるように、第3変形例に係る車両110は、メータ映像44を表示させるメータ表示装置112と、バックミラー映像46を表示させるバックミラー表示装置114と、左サイドミラー映像42を表示させる左サイドミラー表示装置116と、右サイドミラー映像48を表示させる右サイドミラー表示装置118と、を含んで構成されている。
【0096】
本変形例において、メータ表示装置112は、メータディスプレイ64と、第1メータ映像反射面66を有するメータ用ミラー70(以下、「第1メータ用ミラー70」と称す。)と、第2のメータ映像反射面としての第2メータ映像反射面120を有する第2メータ用ミラー122と、を備えている。
【0097】
また、バックミラー表示装置114は、バックミラーディスプレイ72と、カメラ映像反射面としてのバックミラー映像反射面124を有するバックミラー126と、を備えている。
【0098】
さらに、左サイドミラー表示装置116は、左サイドディスプレイ76と、カメラ映像反射面としての左サイドミラー映像反射面128を有する左サイドミラー130と、を備えている。
【0099】
さらにまた、右サイドミラー表示装置118は、右サイドディスプレイ80と、カメラ映像反射面としての右サイドミラー映像反射面132を有する右サイドミラー134と、を備えている。
【0100】
図8に示されるように、第2メータ用ミラー122、バックミラー126、左サイドミラー130及び右サイドミラー134は、何れも運転席に着座したドライバDから見える位置に配置されている。
【0101】
ここで、バックミラー126は、第2メータ用ミラー122に対して車両後方側にオフセットして配置されている。また、左サイドミラー130及び右サイドミラー134は、バックミラー126よりもさらに車両後方側にオフセットして配置されている。左サイドミラー130及び右サイドミラー134は、車両側面視で略同じ位置に配置されている。
【0102】
本変形例に係る車両110によれば、図7に示されるように、バックミラー126が第2メータ用ミラー122に対してオフセットして配置されていることで、上記実施形態と比較して、メータディスプレイ64から第2メータ映像反射面120までのメータ映像44の光路と、バックミラーディスプレイ72からバックミラー映像反射面124までのバックミラー映像46の光路との差を大きくすることができる。また右サイドミラー134がバックミラー126に対してオフセットして配置されていることで、上記実施形態と比較して、バックミラーディスプレイ72からバックミラー映像反射面124までのバックミラー映像46の光路と、右サイドディスプレイ80と右サイドミラー映像反射面132との右サイドミラー映像48の光路との差を大きくすることができる。よって、上記実施形態と同じディスプレイの配置であっても、ドライバDから見て各映像の奥行きの差がより大きくなる。これにより、ドライバDは、各映像をより一層容易に判別することができる。
【0103】
さらに、本変形例に係る車両110によれば、図8に示されるように各ミラーが独立しているため、左サイドミラー130と第2メータ用ミラー122との境界、第2メータ用ミラー122とバックミラー126との境界、バックミラー126と右サイドミラー134との境界が、それぞれ明確となる。よって、ドライバDは、上記実施形態と比較して、より一層各映像を容易に判別することができる。
【0104】
(第4変形例)
図9に示されるように、第4変形例に係る車両140は、メータ映像44を表示させるメータ表示装置112と、バックミラー映像46を表示させるバックミラー表示装置142と、左サイドミラー映像42を表示させる左サイドミラー表示装置116と、右サイドミラー映像48を表示させる右サイドミラー表示装置144と、を含んで構成されている。なお、本変形例において、第3変形例と同一の構成については、同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
【0105】
図10に示されるように、車両幅方向の中央部には、センタミラー146が設けられている。図9に示されるように、センタミラー146は、第2メータ用ミラー122に対して車両後方側にオフセットして配置されている。センタミラー146は、車両側面視で左サイドミラー130と略同じ位置に配置されている。
【0106】
バックミラー表示装置142は、バックミラーディスプレイ72と、カメラ映像反射面としてのバックミラー映像反射面148を有するセンタミラー146と、を備えている。また、右サイドミラー表示装置118は、右サイドディスプレイ80と、カメラ映像反射面としての右サイドミラー映像反射面150を有するセンタミラー146と、を備えている。つまり、センタミラー146は、バックミラー映像46及び右サイドミラー映像48を虚像として結像する共通のミラーとされている。図10に示されるように、センタミラー146は、運転席に着座したドライバDから見える位置に配置されている。
【0107】
本変形例に係る車両140によれば、左サイドミラー130及びセンタミラー146は、それぞれ第2メータ用ミラー122に対して車両後方側にオフセットして配置されている。これにより、左サイドミラー130と第2メータ用ミラー122との境界、及び第2メータ用ミラー122とセンタミラー146との境界が、それぞれ明確となる。また、左サイドミラー130及びセンタミラー146は、ドライバDから見て略同じ奥行きに設けられている。これにより、ドライバDは、車両周辺の情報である、左サイドミラー映像42、バックミラー映像46及び右サイドミラー映像48と、メータ映像44とを直感的に判別できる。車両の周辺視界を直感的に認識することができる。なお、本変形例では、バックミラー映像46はバックミラーディスプレイ72によってセンタミラー146に映され、右サイドミラー映像48は右サイドミラーディスプレイ80によってセンタミラー146に映されるものとして説明したが、これに限らず、共通のディスプレイからバックミラー映像46と右サイドミラー映像48とを含む光が発光されてもよい。また、センタミラー146は、2つに分割されていてもよい。つまり、バックミラーと右サイドミラーとが別体に構成されつつ、同じ奥行きに配置されていてもよい。
【0108】
なお、上記実施形態、第1変形例及び第4変形例では、各ディスプレイがオフセットして配置されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、ディスプレイが車両側面視で同じ位置に配置されていて、各ミラーが第3変形例又は第4変形例のようにオフセットして配置されていてもよい。
【0109】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0110】
(付記1)
車室の前方側かつ運転席の車両前方側にメータ映像を表示させるメータ表示装置と、
運転席から見て前記メータ映像の周辺位置かつ前記メータ映像に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に、車両の周辺視界を撮像したカメラ映像を表示させるカメラ表示装置と、
を有する車両。
(付記2)
前記カメラ映像の上端は、前記メータ映像の車両上下方向の中央以上の高さに位置し、前記カメラ映像の下端は、前記メータ映像の車両上下方向の中央以下の高さに位置している、
付記1に記載の車両。
(付記3)
前記カメラ表示装置は、
車両の運転席側後方を撮像した運転席側電子サイドミラー映像を表示する運転席側サイドミラー表示装置と、
車両の助手席側後方を撮像した助手席側電子サイドミラー映像を表示する助手席側サイドミラー表示装置と、
車両の真後ろ方向を撮像した電子バックミラー映像を表示するバックミラー表示装置と、
を含んで構成されており、
運転席に着座したユーザによって視認される表示は、運転席側から助手席側へ向かって、前記運転席側電子サイドミラー映像、前記メータ映像、前記電子バックミラー映像、前記助手席側電子サイドミラー映像の順に並んでいる、
付記1又は付記2に記載の車両。
(付記4)
前記ユーザによって視認される前記電子バックミラー映像は、前記メータ映像よりも車両後方側かつ前記助手席側電子サイドミラー映像よりも車両前方側に位置している、
付記3に記載の車両。
(付記5)
前記メータ表示装置は、前記メータ映像を映す光を発光するメータ映像発光部と、前記メータ映像発光部から発光された前記メータ映像の光を反射させる少なくとも一つのメータ映像反射面と、を含んで構成されており、前記メータ映像の光を最後に反射させるメータ映像反射面よりも車両前方側に、メータ虚像を結像して前記メータ映像を表示させ、
前記カメラ表示装置は、前記カメラ映像を映す光を発光するカメラ映像発光部と、前記カメラ映像発光部から発光された光を反射させる少なくとも一つのカメラ映像反射面と、を含んで構成されており、前記カメラ映像の光を最後に反射させるカメラ映像反射面よりも車両前方側かつ前記メータ虚像に対して車両前方側又は車両後方側にオフセットされた位置に、カメラ虚像を結像して前記カメラ映像を表示させる、
付記1~付記4の何れか一に記載の車両。
【符号の説明】
【0111】
10、90、100、110、140 車両
12 車室
42 左サイドミラー映像(運転席側電子サイドミラー映像、カメラ映像)
44 メータ映像
46 バックミラー映像(電子バックミラー映像、カメラ映像)
48 右サイドミラー映像(助手席側電子サイドミラー映像、カメラ映像)
50、112 メータ表示装置
52、116 左サイドミラー表示装置(運転席側サイドミラー表示装置、カメラ表示装置)
54、118、144 右サイドミラー表示装置(助手席側サイドミラー表示装置)(カメラ表示装置)
56、114、142 バックミラー表示装置(カメラ表示装置)
64、94 メータディスプレイ(メータ映像発光部)
66 第1メータ映像反射面(メータ映像反射面)
68、120 第2メータ映像反射面(メータ映像反射面)
72、96 バックミラーディスプレイ(カメラ映像発光部)
74、124、148 バックミラー映像反射面(カメラ映像反射面)
76、98 運転席側サイドミラーディスプレイ(カメラ映像発光部)
78、130 左サイドミラー映像反射面(カメラ映像反射面)
80 助手席側サイドミラーディスプレイ(カメラ映像発光部)
82、134、150 右サイドミラー映像反射面(カメラ映像反射面)
92A 反射面(メータ映像反射面、カメラ映像反射面)
102 メータディスプレイ(メータ表示装置)
104 バックディスプレイ(バックミラー表示装置)
106 左サイドディスプレイ(運転席側電子サイドミラー表示装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10