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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007515
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】リベット塗膜剥離方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 1/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
E01D1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108958
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
(71)【出願人】
【識別番号】503208378
【氏名又は名称】ビルドメンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸広
(72)【発明者】
【氏名】石飛 愼二
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059GG21
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】リベットの頭部表面に形成された塗膜を容易に剥離することが可能なリベット塗膜剥離方法の提供。
【解決手段】本発明に係るリベット塗膜剥離方法は、接合対象物を接合しているリベットの頭部表面に形成されている塗膜を加熱する加熱工程と、円筒部材を含むリベット用スクレーパーを用いて加熱工程で軟化させたリベットの頭部表面の塗膜を剥離する剥離工程とを備える。剥離工程において、リベット用スクレーパーを構成する円筒部材のうち先端側端部の全部又は一部をリベットの頭部表面又はその近傍に接触させた状態で円筒部材を円周方向に手動で回動させ、もってリベットの頭部表面の塗膜を剥離する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リベット塗膜剥離方法であって、
接合対象物を接合しているリベットの頭部表面に形成されている塗膜を加熱する加熱工程と、
円筒部材を含むリベット用スクレーパーを用いて前記加熱工程で軟化させた前記頭部表面の塗膜を剥離する剥離工程と、
を備え、
前記剥離工程において、前記円筒部材のうち先端側端部の全部又は一部を前記頭部表面又は前記頭部表面の近傍に接触させた状態で前記円筒部材を円周方向に手動で回動させ、もって前記頭部表面の塗膜を剥離することを特徴とするリベット塗膜剥離方法。
【請求項2】
前記剥離工程において、前記円筒部材のうち先端側端部の一部を前記頭部表面又は前記頭部表面の近傍に接触させた状態で前記リベットの中心軸に対して前記円筒部材の円筒軸をずらしながら前記円筒部材を回動させることを特徴とする請求項1に記載のリベット塗膜剥離方法。
【請求項3】
前記円筒部材の内径は、前記リベットの頭部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載のリベット塗膜剥離方法。
【請求項4】
リベット塗膜剥離方法であって、
接合対象物を接合しているリベットの頭部表面に形成されている塗膜に剥離剤を塗布する塗布工程と、
円筒部材を含むリベット用スクレーパーを用いて前記加熱工程で軟化させた前記頭部表面の塗膜を剥離する剥離工程と、
を備え、
前記剥離工程において、前記円筒部材のうち先端側端部の全部又は一部を前記頭部表面又は前記頭部表面の近傍に接触させた状態で前記円筒部材を円周方向に手動で回動させ、もって前記頭部表面の塗膜を剥離することを特徴とするリベット塗膜剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リベット塗膜剥離方法に関し、より詳細には、リベットの頭部表面に形成された塗膜を剥離する塗膜剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄橋など建築構造物において部材接続のために用いられたボルト・ナットについて再塗装前の従前塗装面剥離作業に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、鋼材製剥離部本体と凹凸形状を刻設して形成した剥離刃とを有する剥離部と、剥離部軸方向に有する円柱状空間部と、円柱状空間部に嵌合する回転部材とを備えた塗装・錆剥離装置が開示されている。当該塗装・錆剥離装置において、剥離部は回転部材により軸方向を回転軸として回転可能に構成されている。
【0003】
また、別の技術として、外周面に形成された塗膜を加熱することで軟化させ、軟化した塗膜をシート状の塊で剥離する方法が提案されている。例えば、特許文献2では、誘導加熱装置の加熱ヘッドを吊り橋の主ケーブルにおけるラッピングワイヤの外周面の塗膜に宛がい、加熱ヘッドの誘導コイルによる誘導加熱でラッピングワイヤを加熱して、当該ラッピングワイヤの塗膜を軟化させ、軟化させた塗膜をシート状の塊又はその他の塊状で剥離する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3157391号公報
【特許文献2】特開2017-140607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉄橋など建築構造物において部材接続のためにリベットが用いられることもある。リベットとは、頭部及びねじ部が形成されていない胴部からなり、穴をあけた部材に差し込んで専用の工具を用いてかしめることで反対側の端部を塑性変形させて接合させる部材である。リベット頭部は、六角形状のボルト頭部とは異なり、略半球状に形成されている。そのため、上述した特許文献1に記載の塗装・錆剥離装置を用いてリベット頭部の塗膜を剥離することは困難である。
【0006】
また、上述した特許文献2には、加熱によって塗膜を軟化させることが開示されているものの、軟化させた塗膜はスクレーパーなどを用いて外周面から別途剥離させる必要があった。ただ、スクレーパーの刃(へら)は直線状に形成されているため、略半球状のリベット頭部に密着させることが難しく、リベット頭部の塗膜を剥離し難いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、リベットの頭部表面に形成された塗膜を容易に剥離することが可能なリベット塗膜剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、リベット塗膜剥離方法であって、接合対象物を接合しているリベットの頭部表面に形成されている塗膜を加熱する加熱工程と、円筒部材を含むリベット用スクレーパーを用いて前記加熱工程で軟化させた前記頭部表面の塗膜を剥離する剥離工程と、を備え、前記剥離工程において、前記円筒部材のうち先端側端部の全部又は一部を前記頭部表面又は前記頭部表面の近傍に接触させた状態で前記円筒部材を円周方向に手動で回動させ、もって前記頭部表面の塗膜を剥離することを特徴とするリベット塗膜剥離方法を提供している。
【0009】
ここで、前記剥離工程において、前記円筒部材のうち先端側端部の一部を前記頭部表面又は前記頭部表面の近傍に接触させた状態で前記リベットの中心軸に対して前記円筒部材の円筒軸をずらしながら前記円筒部材を回動させるのが好ましい。
【0010】
また、前記円筒部材の内径は、前記リベットの頭部の外径よりも小さいのが好ましい。
また、本発明は、リベット塗膜剥離方法であって、接合対象物を接合しているリベットの頭部表面に形成されている塗膜に剥離剤を塗布する塗布工程と、円筒部材を含むリベット用スクレーパーを用いて前記加熱工程で軟化させた前記頭部表面の塗膜を剥離する剥離工程と、を備え、前記剥離工程において、前記円筒部材のうち先端側端部の全部又は一部を前記頭部表面又は前記頭部表面の近傍に接触させた状態で前記円筒部材を円周方向に手動で回動させ、もって前記頭部表面の塗膜を剥離することを特徴とするリベット塗膜剥離方法を更に提供している。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリベット塗膜剥離方法によれば、リベットの頭部表面に形成されている塗膜を加熱した後、リベット用スクレーパーの円筒部材のうち先端側端部の全部又は一部をリベットの頭部表面又は前記頭部表面の近傍に接触させた状態で当該円筒部材を円周方向に手動で回動させる。これにより、リベットの頭部表面の塗膜が円筒部材の先端側端部によって略円状にえぐられて剥離する。そのため、リベットの頭部表面に形成された塗膜を容易に剥離することが可能ある。
【0012】
なお、リベットの頭部表面に形成された塗膜を容易に剥離することが可能なリベット塗膜剥離方法の具体的工程は、上述した特許文献1,2には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態によるリベット塗膜剥離方法の加熱工程(A)及び剥離工程(B)(C)を示す概略図。
図2】リベット用スクレーパーを示す側面図(A)及び正面図(B)(A矢視図)。
図3】リベット用スクレーパーを構成する円筒部材の内径とリベットの頭部の外径との関係を示す図。
図4】円筒部材回動時におけるリベット用スクレーパーの円筒軸とリベットの中心軸との関係を示す概略図。
図5】リベット頭部表面の塗膜がリベット用スクレーパーで剥離される様子を示す図。
図6】変形例に係るリベット用スクレーパーを示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.実施形態>
本発明の実施形態によるリベット塗膜剥離方法について図1から図5を参照しながら説明する。ここで、リベット塗膜剥離方法とは、リベットの頭部表面に形成された塗膜を剥離する方法をいう。また、リベットは、頭部及びねじ部が形成されていない胴部からなり、穴が形成された部材に差し込んで専用の工具を用いてかしめることで反対側の端部を塑性変形させて接合させる公知の部材である。
【0015】
図5に示される複数のリベットRVは、部材SP1を部材SP2に対して接続するために用いられている。また、部材SP1を部材SP2に接合する各リベットRVの頭部(リベットRVのうち部材SP1の表面側に突出する部分)には、塗装が施されて塗膜が形成されている。なお、部材SP1,SP2は、本発明に係る「接合対象物」の一例である。
【0016】
以下、本実施形態によるリベット塗膜剥離方法について図1を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1(A)に示すように、加熱工程においては、接合対象物を接合しているリベットRVの頭部表面に形成されている塗膜を公知の加熱装置(例えば、IH(Induction Heating)式の加熱装置)を用いて加熱する。これにより、リベットRVの頭部表面に形成されている塗膜が軟化する。
【0018】
図1(B)及び(C)に示すように、剥離工程においては、次述のリベット用スクレーパー1(図2も参照)を用いて加熱工程で軟化させたリベットRVの頭部表面の塗膜を剥離する。
【0019】
図2(A)及び(B)に示すように、リベット用スクレーパー1は、中空状の円筒部材2と、円筒部材2の基端側に設けられる球状の把持部3とを備えて構成される。
【0020】
円筒部材2の先端側端部には、テーパー状の面取り部2Tが形成されている。円筒部材2の先端側端部は、図1(B)及び(C)に示す剥離工程においてリベットRVの頭部表面に接触する。
【0021】
図3に示すように、円筒部材2は、基端側から先端側まで同一の内径D1で構成されている。また、リベットRVの頭部は、外径D2で構成されている。なお、本実施形態において、円筒部材2の内径D1は、リベットRVの外径D2よりも小さいものとする。
【0022】
図1(B)及び(C)に示すように、剥離工程においては、まず、円筒部材2の先端側端部の全部又は一部をリベットRVの頭部表面に接触させる。その際、リベットRVの頭部表面に形成された塗膜は加熱によって軟化しているため、円筒部材2の先端側端部が接触することで塗膜に切れ目が入る。
【0023】
次に、円筒部材2の先端側端部の一部がリベットRVの頭部表面に接触した状態で作業者が把持部3を操作して円筒部材2を円周方向に手動で回動させる。なお、円筒部材2を回動させる向きは、一方向に回動させるようにしてもよく、あるいは、双方向に交互に回動させるようにしてもよい。
【0024】
特に、本実施形態では、図4に示すように、円筒部材2を円周方向に回動させる際、リベットRVの中心軸CAに対して円筒部材2の円筒軸AXを若干ずらしながら円筒部材2を円周方向に回動させる。換言すれば、円筒部材2の円筒軸AXが円を描くように(いわゆる歳差運動を行うように)把持部3を操作して円筒部材2を円周方向に回動させる。これにより、リベットRVの頭部表面に形成された塗膜が効率良くえぐられながら一体的に剥がされる。
【0025】
上述した実施形態によれば、剥離工程において、円筒部材2の先端側端部をリベットRVの頭部表面の一部を接触させた状態で円筒部材2を円周方向に回動させる。その結果、リベットRVの頭部表面の塗膜が円筒部材2の先端側端部によって略円状にえぐられて剥離する。そのため、リベットRVの頭部表面に形成された塗膜を比較的容易に剥離することが可能ある。
【0026】
また、上述した実施形態によれば、円筒部材2を円周方向に回動させる際、リベットRVの中心軸CAに対して円筒部材2の円筒軸AXを若干ずらしながら円筒部材2を円周方向に回動させている。そのため、円筒部材2の円周方向の回動に伴って、リベットRVの頭部表面に対して円筒部材2の先端側端部の接触圧のかかる位置が円周方向に逐次移動する。よって、リベットRVの中心軸CAに対して円筒部材2の円筒軸AXを一致させた状態で円筒部材2を円周方向に回動させる場合に比べて、リベットRVの頭部表面に形成された塗膜を効率よく剥離することが可能である。
【0027】
また、上述した実施形態によれば、円筒部材2の内径D1がリベットRVの外径D2よりも小さく構成されている。よって、円筒部材2の先端側端部をリベットRVの頭部表面の全部又は一部に接触させやすい。
【0028】
また、上述した実施形態によれば、図2に示すように、テーパー状の面取り部2Tが円筒部材2の先端側端部に形成されており、先端側端部が鋭利に構成されている。そのため、円筒部材2の先端側端部が接触した際、塗膜に対して確実に切れ目を入れることが可能である。
【0029】
<2.変形例>
本発明によるリベット塗膜剥離方法は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、図4に示すように、リベット用スクレーパー1の一部を構成する円筒部材2の円筒軸AXをリベットRVの中心軸CAからずらしながら、リベット用スクレーパー1を手動で回動させる場合を例示したが、これに限定されない。円筒部材2の円筒軸AXがリベットRVの中心軸CAと一致した状態でリベット用スクレーパー1を手動で回動させるようにしてよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、図3に示すように、円筒部材2の内径D1がリベットRVの外径D2よりも小さい場合を例示したが、これに限定されない。内径D1と外径D2とが同じ大きさで構成してもよくあるいは、内径D1が外径D2よりも大きくなるように構成してよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、図2に示すように、円筒部材2の先端側端部にテーパー状の面取り部2Tが形成される場合を例示したが、これに限定されず、円筒部材2自体を薄く構成すれば、テーパー状の面取り部2Tは必ずしも必須ではない。
【0033】
また、上述した実施形態では、円筒部材2と把持部3とを含むリベット用スクレーパー1を用いてリベットRVの頭部表面の塗膜を剥離する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、把持部3を備えていない単純な円筒部材を用いてリベットRVの頭部表面の塗膜を剥離するようにしてもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、剥離工程において、リベット用スクレーパー1を構成する円筒部材2のうち先端側端部をリベットRVの頭部表面に接触させる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、円筒部材2の内径D1がリベットRVの外径D2よりも大きい場合には、円筒部材2のうち先端側端部をリベットRVの頭部表面の近傍(例えばリベットRVの頭部外径の外側の平面)に接触させるようにしてもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では、加熱工程によってリベットRVの頭部表面に形成されている塗膜を軟化させる場合を例示したが、これに限定されない。リベットRVの頭部表面に形成されている塗膜に剥離剤を塗布する塗布工程によって当該塗膜を軟化させるようにしてもよい。端的に言えば、加熱工程に代えて塗布工程としてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態では、剥離工程において、リベット用スクレーパー1(図2参照)を用いてリベットRVの頭部表面の塗膜を剥離する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、リベット用スクレーパー1に代えて、図6に示すようなリベット用スクレーパー10を用いてリベットRVの頭部表面の塗膜を剥離するようにしてもよい。
【0037】
図6に示すように、リベット用スクレーパー10は、円筒部材2と、内側円筒部材20と、包被部材21と、バネSRと、円筒部材2の基端側に設けられる球状の把持部3とを備えて構成される。なお、図6において、内側円筒部材20、包被部材21及びバネSRは、本来は破線で表現すべきであるが、説明の都合上、意図的に実線で表現している。また、同様の参照符号を付した円筒部材2及び把持部3は、上述したリベット用スクレーパー1と同じであるから、ここでは説明を省略する。
【0038】
内側円筒部材20は、円筒部材2の内側において円筒軸が円筒部材2の円筒軸と一致するように円筒部材2の内面と間隙を隔てた状態で配置される部材である。バネSRは、内側円筒部材20の基端側に設けられ、内側円筒部材20に対して円筒軸方向に弾性力を付与する弾性部材である。包被部材21は、内側円筒部材20の外形よりも僅かに大きな内径を有する円筒状の部材であり、内側円筒部材20を包囲するように配置される。包被部材21の基端側は、把持部3に固定されている。なお、内側円筒部材20の先端側端部には、円筒部材2と同様、テーパー状の面取り部が形成されている。
【0039】
剥離工程においては、円筒部材2の先端側端部の全部又は一部をリベットRVの頭部表面に接触させると、内側円筒部材20の先端側端部の全部又は一部もリベットRVの頭部表面に接触する。ここで、内側円筒部材20にはバネSRの弾性力がかかっており、当該弾性力によって内側円筒部材20の先端側端部はリベットRVの頭部表面に押圧される。この状態で、作業者が把持部3を操作して円筒部材2及び内側円筒部材20を円周方向に手動で回動させる。これにより、リベットRVの頭部表面に形成された塗膜が剥離する。なお、上述したように、内側円筒部材20の外側には包被部材21が配置されている。そのため、作業者が把持部3を回動させたとしても、包被部材21のガイド効果によって内側円筒部材20が円筒軸AXから逸脱せずに済む。
【0040】
上述した変形例によれば、剥離工程において、円筒部材2の先端側端部のみならず、内側円筒部材20の先端側端部もリベットRVの頭部表面に押圧された状態で接触する。そのため、リベットRVの頭部表面に形成された塗膜がさらに効率良くえぐられる。
【0041】
また、上述した変形例において、円筒部材2の外周側面の一部及び内側円筒部材20の外周側面の一部に、剥離された塗膜を外部へ排出するための排出口(窓)を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 リベット用スクレーパー
10 リベット用スクレーパー
2 円筒部材
20 内側円筒部材
2T テーパー部
3 把持部
AX 円筒軸
CA 中心軸
D1 内径
D2 外径
RV リベット
SP1,SP2 部材
SR バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6