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  • 特開-葉材を用いた意匠性構造部材 図1
  • 特開-葉材を用いた意匠性構造部材 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007521
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】葉材を用いた意匠性構造部材
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/02 20060101AFI20250109BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B32B9/02
B32B33/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108972
(22)【出願日】2023-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】523251769
【氏名又は名称】山崎 卓馬
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】山崎 卓馬
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AJ02B
4F100AK01B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CB00B
4F100DG11A
4F100EJ17B
4F100EJ42B
4F100HB00B
4F100JB13B
(57)【要約】
【課題】多数の葉材の組合せによって表現され得るデザインや植物の趣向を物品に付与することができる技術を提供する。
【解決手段】本開示の葉材を用いた意匠性構造部材は、所定の葉材11が積層されてなる意匠性部材1である。そして、この意匠性部材1は、葉材11によって構成された装飾層10と、所定の部材によって構成された構造層20と、を有し、装飾層10は、前記部材の少なくとも一つの面を覆うように構造層20に積層される。装飾層10は、葉厚方向に圧縮された葉材11と、接着剤12と、によって構成することができ、装飾層10は、平面状に配置された葉材11を熱硬化性樹脂とともに加熱圧縮して形成された圧縮体110の上に圧縮体110が繰り返し形成された積層構造を有してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の葉材が積層されてなる意匠性構造部材であって、
前記葉材によって構成された装飾層と、所定の部材によって構成された構造層と、を有し、
前記装飾層は、前記部材の少なくとも一つの面を覆うように前記構造層に積層される、
葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項2】
前記装飾層は、葉厚方向に圧縮された前記葉材と、接着剤と、によって構成される、
請求項1に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項3】
前記装飾層は、
平面状に配置された前記葉材を熱硬化性樹脂とともに加熱圧縮して形成された圧縮体の上に前記圧縮体が繰り返し形成された積層構造を有する、
請求項2に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項4】
前記装飾層には、所定の識別部が設けられる、
請求項1に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項5】
前記識別部は、前記装飾層に配置された所定の識別コードであって、
前記識別コードは、前記葉材の属性に関する情報を有する、
請求項4に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項6】
前記識別部は、前記装飾層に当接して配置された情報記録媒体であって、それに記録された情報を所定の情報端末を用いて非接触で取得可能に構成された情報記録媒体を含み、
前記情報記録媒体は、前記装飾層と前記構造層との間に挟み込まれて配置される、
請求項4に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項7】
前記情報記録媒体には、前記葉材の生育場所に関連する複数のデジタル画像が格納されたデジタルフォトアルバムへのリンク情報が記録される、
請求項6に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項8】
前記情報記録媒体には、ブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークンを含んだ取引管理データが記録される、
請求項6に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項9】
前記情報記録媒体は、前記装飾層を構成する前記葉材のうちの所定のシンボル葉材の近傍に配置される、
請求項6から請求項8の何れか1項に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の葉材が積層されてなる意匠性構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者ニーズの多様化から、製品に対する様々な意匠性が要求されることがある。そして、各種製品の表皮材に意匠性シートを用いることで、これら製品に意匠性を付与することが行われている。
【0003】
このような意匠性シートとして、紙、プラスチックフィルム、金属箔、人工皮革、スエード調織物等を利用したものや、天然繊維を利用したものが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、微粒子粉体をビルドアップすることによって抽象柄(模様)を形成した意匠性シートが開示されている。この意匠性シートでは、粉体が繊維に担持された粉体繊維担持体により構成された集合体によって、抽象柄が表現され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-113706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、植物から落葉した葉は、利用されずに地面に堆積したまま放置される傾向にある。しかしながら、植物の葉は、その形状やその表面の模様、色彩、質感などにより、優れた意匠性を表現できる可能性を有している。また、植物の葉は、特別な趣向を有するものである。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の技術は、天然石切削粉のように廃材として処分される材料を用いて意匠性シートを構成するものであるが、この意匠性シートにおいて抽象柄を表現する微粒子粉体は、もはや元の素材の質感を喪失してしまっている。
【0008】
本開示の目的は、多数の葉材の組合せによって表現され得るデザインや植物の趣向を物品に付与することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の葉材を用いた意匠性構造部材は、所定の葉材が積層されてなる意匠性構造部材である。そして、葉材を用いた意匠性構造部材は、前記葉材によって構成された装飾層と、所定の部材によって構成された構造層と、を有し、前記装飾層は、前記部材の少なくとも一つの面を覆うように前記構造層に積層される。
【0010】
ここで、上記の葉材は、例えば、植物から落葉した落ち葉であって、粉砕されずに、葉の形状や葉の模様、色彩、質感などが残されたものである。そして、このような葉材によって装飾層が構成されることで、多数の葉材の組合せによって表現され得るデザインを物品に付与することが可能になる。また、上記の構造層を構成する部材は、例えば、ベニヤ合板であって、これにより、構造部材として用いることが可能になる。
【0011】
ここで、上記の葉材を用いた意匠性構造部材において、前記装飾層は、葉厚方向に圧縮された前記葉材と、接着剤と、によって構成され得る。更に、前記装飾層は、平面状に配置された前記葉材を熱硬化性樹脂とともに加熱圧縮して形成された圧縮体の上に前記圧縮体が繰り返し形成された積層構造を有してもよい。これによれば、地面の上に落ち葉が積み重なっているような、葉材の柔らかな質感を更に強調することができる。
【0012】
また、本開示の葉材を用いた意匠性構造部材では、前記装飾層に、所定の識別部が設けられてもよい。この場合、例えば、前記識別部は、前記装飾層に配置された所定の識別コードであって、前記識別コードが、前記葉材の属性に関する情報を有してもよい。
【0013】
または、前記識別部は、前記装飾層に当接して配置された情報記録媒体であって、それに記録された情報を所定の情報端末を用いて非接触で取得可能に構成された情報記録媒体を含み、前記情報記録媒体は、前記装飾層と前記構造層との間に挟み込まれて配置されてもよい。なお、前記情報記録媒体は、前記装飾層を構成する前記葉材のうちの所定のシンボル葉材の近傍に配置され得る。
【0014】
そして、この場合、前記情報記録媒体には、前記葉材の生育場所に関連する複数のデジタル画像が格納されたデジタルフォトアルバムへのリンク情報が記録されてもよい。
【0015】
また、前記情報記録媒体には、ブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークンを含んだ取引管理データが記録されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、多数の葉材の組合せによって表現され得るデザインや植物の趣向を物品に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における葉材を用いた意匠性構造部材の概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態における多層の葉材による装飾層の積層構造を説明するための図である。
図3】第1実施形態の意匠性部材を天板に用いたテーブルを例示する図である。
図4】第1実施形態の変形例の意匠性部材を本体に用いた鞄を例示する図である。
図5】第2実施形態において、装飾層に配置される識別コードを例示する図である。
図6】第3実施形態における情報記録媒体の配置について説明するための図である。
図7】第3実施形態に係る意匠性部材を用いて、植物の趣向を表すデジタル情報を取得する態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態における葉材を用いた意匠性構造部材の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における葉材を用いた意匠性構造部材の概略構成を示す図である。本実施形態に係る意匠性部材1は、葉材11が積層されてなる意匠性構造部材である。
【0020】
ここで、上記の葉材11は、例えば、植物から落葉した落ち葉であって、粉砕されずに、葉の形状や葉の模様、色彩、質感などが残されたものである。
【0021】
そして、このような葉材11によって、意匠性部材1における装飾層10が構成される。この装飾層10は、多数の葉材11の組合せによって表現され得るデザインを物品に付与するものである。
【0022】
また、意匠性部材1は、所定の部材によって構成された構造層20を有する。ここで、上記の部材は、例えば、ベニヤ合板である。これにより、意匠性部材1を構造部材として用いることが可能になる。
【0023】
そして、本実施形態の意匠性部材1では、図1(a)に示すように、部材の厚み方向に装飾層10と構造層20とが交互に積層される。このとき、意匠性部材1の表の面および裏の面が装飾層10となるように積層されることで、多数の葉材11の組合せによるデザインを有する意匠性部材1が実現され得る。
【0024】
また、部材の厚み方向に装飾層10と構造層20とが交互に積層されることによれば、厚み方向にこれらのグラデーションによるデザインを表現することができる。更に、1層の構造層20を構成する部材が比較的薄い板材にされ、それが柔らかい装飾層10で挟み込まれものの組合せである意匠性部材1は、柔らかな質感を表現することができる。
【0025】
ここで、上記の装飾層10は、図1(b)に示すように、平面状に配置された葉材11を接着剤である熱硬化性樹脂とともに加熱圧縮して形成された圧縮体110の上に圧縮体110が繰り返し形成された積層構造を有してもよい。
【0026】
図2は、本実施形態における多層の葉材11による装飾層10の積層構造を説明するための図である。本実施形態における装飾層10を形成する際、先ず、図2(a)に示すように、葉材11が平面状に配置され、接着剤12とともに加熱圧縮される。そうすると、1層の圧縮体110が形成されることになる。そして、図2(b)に示すように、平面状に配置された葉材11の圧縮体110を1層毎に順に積層していくことで、厚み方向に多層の葉材11を有する装飾層10が実現され得る。そして、このような装飾層10では、地面の上に落ち葉が積み重なっているような、葉材11の柔らかな質感を更に強調することができる。
【0027】
そして、このような意匠性部材1を用いて物品を構成することで、葉材11が有するその形状やその表面の模様、色彩、質感などにより、優れた意匠性を表現することができる。
【0028】
図3は、本実施形態の意匠性部材1を天板に用いたテーブルを例示する図である。図3に示すように、葉材11による優れた意匠性をテーブルに付与することができる。
【0029】
以上に述べた意匠性部材1によれば、多数の葉材11の組合せによって表現され得るデザインや植物の趣向を物品に付与することができる。
【0030】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例について、図4を参照しながら説明する。図4は、本変形例の意匠性部材1を本体に用いた鞄を例示する図である。
【0031】
本変形例に係る意匠性部材1では、構造層20が、例えば、布製の生地によって構成される。そして、この構造層20の表面を覆うように装飾層10が積層される。
【0032】
なお、上記の第1実施形態の説明では、部材の厚み方向に装飾層10と構造層20とが交互に積層され、且つ、多層の葉材11によって装飾層10が構成される例について説明したが、本変形例の意匠性部材1では、装飾層10と構造層20とが夫々1層形成されてもよい。
【0033】
そして、以上に述べた意匠性部材1によっても、多数の葉材11の組合せによって表現され得るデザインや植物の趣向を物品に付与することができる。
【0034】
<第2実施形態>
第2実施形態について、図5に基づいて説明する。本実施形態に係る意匠性部材1では、装飾層10に所定の識別部が設けられる。なお、上記の識別部は、装飾層10に配置された識別コードである。
【0035】
図5は、本実施形態において、装飾層10に配置される識別コードを例示する図である。識別コードは、葉材11の属性に関する情報を有していて、本実施形態では、図5に示すように、葉材11を収集した時期と場所が識別コード31として装飾層10に記される。なお、この識別コードは、QRコード(登録商標)等であってもよい。
【0036】
<第3実施形態>
第3実施形態について、図6および図7に基づいて説明する。本実施形態に係る意匠性部材1では、装飾層10に所定の識別部が設けられる。なお、上記の識別部は、装飾層10に当接して配置された情報記録媒体である。
【0037】
ここで、情報記録媒体32は、それに記録された情報を所定の情報端末を用いて非接触で取得可能に構成されたものであって、無線通信を利用して情報を伝達するRFID(Radio Frequency Identification)タグである。なお、本実施形態における情報記録媒体32は、近距離無線通信を行うNFC(Near Field Communication)タグである。
【0038】
そして、このような情報記録媒体32は、装飾層10と構造層20との間に挟み込まれて配置される。これについて、図6に基づいて説明する。
【0039】
図6は、本実施形態における情報記録媒体32の配置について説明するための図である。図6(a)に示すように、情報記録媒体32は、装飾層10が構造層20を覆うように積層されるときに、該装飾層10に当接してこれらに挟み込まれて配置され得る。
【0040】
なお、上記の情報記録媒体32は、図6(b)に示すように、装飾層10を構成する葉材11のうちの所定のシンボル葉材11aの近傍に配置されてもよい。ここで、上記のシンボル葉材11aは、例えば、装飾層10を構成する葉材11のうち最も大きな形状をもつ葉材である。または、上記のシンボル葉材11aは、例えば、装飾層10を構成する葉材11のうち最も鮮やかな色彩をもつ葉材であってもよい。これにより、葉材11の趣向を特に強く表現するシンボル葉材11aの近傍に、後述する情報を格納することが可能になり、意匠性部材1において、葉材11のもつアナログな趣向と、情報記録媒体32に格納されたデジタルな趣向と、を合わせて、植物の趣向を表現することができる。
【0041】
そして、本実施形態に係る意匠性部材1では、このようにして装飾層10に設けられた情報記録媒体32に、葉材11の生育場所に関連する複数のデジタル画像が格納されたデジタルフォトアルバムへのリンク情報が記録される。
【0042】
図7は、本実施形態に係る意匠性部材1を用いて、植物の趣向を表すデジタル情報を取得する態様を説明するための図である。図7(a)に示すように、ユーザは、ユーザ端末400を装飾層10にかざすことで、NFCタグ(情報記録媒体32)との間で無線通信を行うことができる。なお、ユーザ端末400は、意匠性部材1を用いた物品を利用するユーザが保有する電子機器であって、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、携帯端末、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末等である。
【0043】
そして、ユーザ端末400は、図7(b)に示すように、ネットワーク200を介して、サーバ300と接続される。
【0044】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークであって、サーバ300とユーザ端末400との間を通信可能に接続する。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網や、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。
【0045】
また、サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0046】
そうすると、ユーザは、ユーザ端末400を用いて、NFCタグ(情報記録媒体32)に記録されたリンク情報に基づいて、サーバ300に記憶されたデジタルフォトアルバムにアクセスすることができる。なお、上記のリンク情報とは、サーバ300においてデジタルフォトアルバムが格納されているサイトへのリンク情報(例えば、ウェブアドレス)であって、ユーザ端末400とNFCタグ(情報記録媒体32)との間で無線通信が行われると、ユーザ端末400では、上記のサイトへ自動でアクセスされる。
【0047】
そして、ユーザ端末400において上記のサイトへアクセスされると、該ユーザ端末400には、葉材11の生育場所に関連する複数のデジタル画像が格納されたデジタルフォトアルバムが表示されることになる。例えば、図7(b)に示すように、ユーザ端末400には、葉材11が収集された土地に生育する木や森の画像を表すデジタルデータが表示され得る。これにより、多数の葉材11の組合せによって表現され得るデザインを有する意匠性部材1に対して、更に植物の趣向を好適に付与することが可能になる。
【0048】
更に、このような意匠性部材1では、ユーザ端末400とNFCタグ(情報記録媒体32)との間で無線通信が行われると、このときのユーザ端末400の位置情報(この場合、ユーザ端末400は、GPS衛星信号を受信して位置情報を求めるGPS(Global Positioning System)装置を有している。)がサーバ300に送信されてもよい。そして、サーバ300は、複数のユーザからの位置情報を取得することで、意匠性部材1が用いられた複数の物品の現在位置を取得し、これら現在位置と葉材11の生育地との関係を例えば地図上に表示するなどした情報を、上記のサイトに閲覧可能に表示させてもよい。これにより、葉材11のライフサイクルを植物の趣向として物品に好適に付与することができる。
【0049】
以上に述べた意匠性部材1によっても、多数の葉材11の組合せによって表現され得るデザインや植物の趣向を物品に付与することができる。
【0050】
<第3実施形態の変形例>
第3実施形態の変形例について、説明する。本変形例に係る意匠性部材1では、装飾層10に設けられた情報記録媒体32に、ブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークンを含んだ取引管理データが記録される。
【0051】
ここで、上記のノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)とは、例えば、Ethereum Request for Comments(ERC)721規格に従って発行されたトークンであって、スマートコントラクトを実行可能なブロックチェーンにより発行される。なお、NFTは、イーサリアムネットワークにおいて取引される暗号通貨であるイーサ(Ether)と同様に、イーサリアムネットワークにおいて取引可能である。イーサリアムは、Peer to Peer(P2P)ネットワーク上のブロックチェーンネットワークである。
【0052】
そうすると、意匠性部材1を用いて構成された物品が売買される場合に、その取引管理データを情報記録媒体32に記録することができる。このとき、管理サーバが、売却ユーザのユーザ端末からネットワークアクセスを受け付けると、スマートコントラクトを呼び出す処理を実行し、スマートコントラクトは、NFTが売却ユーザからスマートコントラクトへ送信されるよう操作を行う。これにより、売却ユーザのNFTがスマートコントラクトへ預けられる。そして、上記のNFTをスマートコントラクトが有しているときに、管理サーバが、購入ユーザのユーザ端末からネットワークアクセスを受け付けた場合、スマートコントラクトによるNFTの操作は、スマートコントラクトから購入ユーザへのNFTの送信となる。これにより、物品に付与されたNFTが売買される。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・・意匠性部材
10・・・・装飾層
11・・・・葉材
12・・・・接着剤
110・・・圧縮体
20・・・・構造層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の葉材が積層されてなる意匠性構造部材であって、
前記葉材によって構成された装飾層と、所定の部材によって構成された構造層と、を有し、
前記装飾層は、
前記部材の少なくとも一つの面を覆うように前記構造層に積層され
葉厚方向に圧縮された前記葉材と、接着剤と、によって構成され、
平面状に配置された前記葉材を熱硬化性樹脂とともに加熱圧縮して形成された圧縮体の上に前記圧縮体が繰り返し形成された積層構造を有する、
葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項2】
所定の葉材が積層されてなる意匠性構造部材であって、
前記葉材によって構成された装飾層と、所定の部材によって構成された構造層と、を有し、
前記装飾層は、前記部材の少なくとも一つの面を覆うように前記構造層に積層され、
前記装飾層には、所定の識別部が設けられ、
前記識別部は、前記装飾層に配置された所定の識別コードであって、
前記識別コードは、前記葉材の属性に関する情報を有する、
葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項3】
所定の葉材が積層されてなる意匠性構造部材であって、
前記葉材によって構成された装飾層と、所定の部材によって構成された構造層と、を有し、
前記装飾層は、前記部材の少なくとも一つの面を覆うように前記構造層に積層され、
前記装飾層には、所定の識別部が設けられ、
前記識別部は、前記装飾層に当接して配置された情報記録媒体であって、それに記録された情報を所定の情報端末を用いて非接触で取得可能に構成された情報記録媒体を含み、
前記情報記録媒体は、前記装飾層と前記構造層との間に挟み込まれて配置される、
葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項4】
前記情報記録媒体には、前記葉材の生育場所に関連する複数のデジタル画像が格納されたデジタルフォトアルバムへのリンク情報が記録される、
請求項3に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項5】
前記情報記録媒体には、ブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークンを含んだ取引管理データが記録される、
請求項3に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。
【請求項6】
前記情報記録媒体は、前記装飾層を構成する前記葉材のうちの所定のシンボル葉材の近傍に配置される、
請求項3から請求項5の何れか1項に記載の葉材を用いた意匠性構造部材。