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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007546
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】足場構築体における伸縮ブラケット
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/06 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
E04G5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109019
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】嶋岡 大介
(57)【要約】
【課題】足場構築体における伸縮ブラケットであり、伸縮管を構成する内管に設けられた端面フランジに対して端部支柱を所定姿勢として立設支持することができる支柱支持装置を設けたものを提供する。
【解決手段】支柱支持装置(30)は、ボルト手段(41)を介して端面フランジ(19)に取付固定された状態で基準面(31)を規定する固定支持手段(32)と、前記固定支持手段に固着された挿着手段(33)により構成され、前記挿着手段は、端部支柱の下端部に挿入される挿入管部(34)と、端部支柱の下端面を当接支持する支持管部(35)と、前記挿入管部と端部支柱を抜け止め係止するロック機構(37)を設けており、前記固定支持手段(32)と挿着手段(33)とロック機構(37)は、前記基準面(31)を基準として、前記挿着手段に挿着された端部支柱(2E)の緊結手段(3)が緊結部(3a)を前記X軸とY軸の上に位置させられる配置関係とした状態で、相互に固着されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上で直交するX方向とY方向に間隔をあけて支柱を列設することにより構築された足場構築体における伸縮ブラケットであり、
前記支柱(2)は、中心からX方向とY方向に延びるX軸とY軸の上に緊結部(3a)を配置した緊結手段(3)を備えており、
前記伸縮ブラケット(10)は、足場構築体に固定される尾端部からX方向に延びる外管(11)と、該外管の先端部から摺動自在かつ固定自在に突出される内管(12)を備え、内管の先端に固着された端面フランジ(19)に対して、外側から挿入したボルト手段を内側のナット(20)に螺着させるように構成され、前記内管の先端に位置して端部支柱(2E)を立設する支柱支持装置(30)を設けており、
前記支柱支持装置(30)は、前記ボルト手段(41)を介して端面フランジ(19)に取付固定された状態で基準面(31)を規定する固定支持手段(32)と、前記固定支持手段に固着された挿着手段(33)により構成され、
前記挿着手段(33)は、端部支柱の下端部に挿入される挿入管部(34)と、端部支柱の下端面を当接支持する支持管部(35)と、前記挿入管部と端部支柱を抜け止め係止するロック機構(37)を設けており、
前記固定支持手段(32)と挿着手段(33)とロック機構(37)は、前記基準面(31)を基準として、前記挿着手段に挿着された端部支柱(2E)の緊結手段(3)が緊結部(3a)を前記X軸とY軸の上に位置させられる配置関係とした状態で、相互に固着されて成ることを特徴とする足場構築体における伸縮ブラケット。
【請求項2】
前記端面フランジ(19)と前記固定支持手段の基準面(31)の相互に、前記ボルト手段を中心とする軸廻り方向の位置決め手段(42)が設けられており、
前記位置決め手段(42)により位置決めされた基準面(31)に対して、挿着手段(33)は、端部支柱(2E)を鉛直線(V)に沿って挿着支持するように配置されて成ることを特徴とする請求項1に記載の足場構築体における伸縮ブラケット。
【請求項3】
前記挿着手段(33)の下向きに延設された固定管部(36)を前記固定支持手段(32)に固着しており、
前記固定支持手段(32)は、前記端面フランジ(19)に重合される基準面(31)を備えた基準金具(38)と、補強金具(39)を備え、前記基準金具と補強金具により前記固定管部をX方向から挟んだ状態で、固着することにより一体化すると共に、前記補強金具と固定管部と基準金具をX方向に貫通する挿通孔(40)を設けており、
前記挿通孔(40)に挿通したボルト手段(41)を端面フランジ(19)のナット(20)に螺着することにより、内管の先端に取付固定されるように構成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の足場構築体における伸縮ブラケット。
【請求項4】
前記ロック機構(37)は、前記支持管部(35)の直径方向に摺動自在に挿通された摺動軸部(37a)と、該摺動軸部から折曲されることにより支持管部及び挿入管部の外側で上向きに延びる中間部(37b)と、該中間部の上端から折曲されることにより挿入管部(34)に設けられた受孔(37e)に挿脱自在に挿入される係止部(37c)を備えたロッドにより形成され、前記挿入管部(34)を端部支柱(2E)に挿入した状態で前記係止部(37c)を端部支柱に設けられたロック孔(8f)に挿入することにより抜け止め係止するように構成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の足場構築体における伸縮ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等で構築される足場構築体における伸縮ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮ブラケットは、はね出し足場用ブラケットや、足場板支持用ブラケット等、種々の用途のために使用される。例えば、はね出し足場用ブラケットとして使用する場合は、支柱から片持ち状に突出する伸縮管を所定長さに伸長した状態で、作業面積を広げるために足場板を搭載する。その際、内管の先端にクランプ金具を介して単管を固着することにより、例えば、安全のための落下物防護ネット等が取付けられる。その一方で、足場支持用ブラケットとして使用する場合は、支柱に伸縮ブラケットを取付けた状態で、内管の先端部に取付けたクランプ金具を介して別の支柱(端部支柱)を立設し、伸縮により所定長さとされている伸縮管に足場板が搭載される。
【0003】
図1ないし図3は、従来の伸縮ブラケットを示している。仮設足場構築体1は、平面上で直交するX方向とY方向に関して、支柱2を列設することにより構築される。支柱2は、上下に所定間隔をあけてフランジ等から成る緊結手段3を設けており、X方向に隣り合う支柱2、2を横架材4により連結される。そして、Y方向に隣り合う横架材4、4には、足場板5が架設される。
【0004】
そこで、伸縮ブラケット10は、足場構築体1の支柱2(又は支柱に代わる鉛直部材)に片持ち支持された状態でX方向に向けて水平に突出する外管11と、前記外管に摺動自在に挿入された内管12により、X方向に伸縮自在とされる伸縮管を構成している。その際、外管11と内管12の相互には、周方向の回動を阻止した状態で内管12の軸方向の摺動を案内するガイド手段13と、内管12を摺動不能に固定するロック手段14が設けられている。ガイド手段13は、例えば、内管12の軸方向に延設された案内溝13aと、外管11から該案内溝に係合するボルト13bにより構成されている。ロック手段14は、例えば、外管11から螺入され、前記案内溝を圧着固定する締結ボルト14aにより構成されている。
【0005】
支柱2に対する片持ち支持を可能にするため、外管11の軸方向中途部から支柱2に向けて斜め下方に延びるブレース15aと、該ブレース15aと外管11を連結するほぼ鉛直方向の補強材15bにより支持構造体15が形成されている。支持構造体15の下端部は、接支部材16を介して支柱2に接支され、支持構造体15の上部及び/又は外管11の尾端は、固定装置17を介して支柱2に取付固定される。図例の場合、固定装置17は、外管11の尾端を支柱2の緊結手段3(フランジ)に係止する係止金具17aと、支持構造体15の上部を支柱2に締結するクランプ金具17bにより構成されている。
【0006】
伸縮ブラケット10の内管12は、先端にスリーブ18を溶接等により固着しており、内管12を収縮させたとき、該スリーブ18と外管11の端面が相互に当接する。スリーブ18には端面フランジ19が固設されており、スリーブ18の内部から端面フランジ19の内側にナット20が溶接等で固着され、該ナット20に連通する導入孔21が端面フランジ19に開設されている。
【0007】
これにより、上述のように、必要に応じて、内管12の先端部にクランプ金具22を取付可能としている。クランプ金具22は、固定金具23の一端部に回動金具24の基端部を枢軸25により枢結し、固定金具23の他端部に回動軸26を介して回動自在な締結ボルト27を設けている。
【0008】
クランプ金具22は、固定金具23の背面に取付ボルト28を植設しており、前記内管12の端面フランジ19に対して、前記取付ボルト28を前記ナット20に螺着することにより取付固定され、単管や柱部材等の所定の管部材29を締結固着させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-225040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図4は、伸縮ブラケット10を上述のような足場支持用ブラケットとして使用し、内管12の先端に端部支柱2Eを固着した例を示している。
【0011】
足場構築体1は、支柱2を連結ジョイント6により上下に連結することにより、下から上に向けて延長させ、X方向に隣り合う支柱2、2を相互に緊結手段3を介して横架材4により連結することにより構築される。図示省略しているが、Y方向に関しても、隣り合う支柱2、2は、相互に緊結手段3を介して連結材により連結される。この際、緊結手段3(フランジ)は、図5(D)に示すように、支柱2の中心からX方向とY方向に延びるX軸とY軸に関して、それぞれの軸上に位置する4個所に緊結部3a(フランジ孔)を設けており、これにより、隣り合う支柱2、2の間におけるX方向とY方向の連結が可能とされている。
【0012】
図5(A)(B)(C)(D)は、連結ジョイント6の1例を示している。連結ジョイント6は、予め下側支柱2aの上端部に取付固定され、上側支柱2bを同軸状に差し込み係止することにより立設するように構成されている。
【0013】
このため、連結ジョイント6は、下側支柱2aに挿着される下部挿入管6aと、上側支柱2bに挿着される上部挿入管6bと、下側支柱1aと上側支柱1bの間に配置された大径の支持管部6cとから成る管体により構成され、下部挿入管6aを下側支柱2aに挿着した状態で抜止め係止する係止ピン機構7と、上部挿入管6bを上側支柱2bに挿着した状態で抜止め係止するロック機構8が設けられている。
【0014】
係止ピン機構7は、下部挿入管4の内部に門形の板バネ7aの両脚部を閉脚方向に弾性変形させた状態で装入され、両脚部に設けた係止ピン7b、7bを下部挿入管6aに開設した案内孔6dから外側に突出させている。これにより、図5(B)に示すように、下部挿入管6aを下側支柱2aに挿入したとき、下側支柱2aの下端が支持管部6cに当接し、前記係止ピン7b、7bが下側支柱2aの係止孔7c、7cに挿入係止される。
【0015】
ロック機構8は、リング体6cの直径方向に摺動自在に挿通された摺動軸部8aから上向きに折曲された中間部8bを介して折り返された係止部8cを備えたロッドにより構成され、前記摺動軸部8aに外挿したコイルスプリング8dにより、前記係止部8cを上部挿入管6bの受孔8eに向けて弾発付勢し、該受孔8eに挿入させている。
【0016】
そこで、下側支柱2aに取付けられた連結ジョイント6に上側支柱2bを挿着するときは、作業者がロッドの中間部8bを指先で摘まむことにより係止部8cを受孔8eから引き出し、この状態で、上側支柱2bを上部挿入管6bに外挿させながら支持管部6cに当接する位置まで移動させ、ロック孔8fが受孔8eに合致した状態を確認した後、図5(C)に示すように、係止部8cをロック孔8fと受孔8eに挿通すると、上側支柱2bが抜止め状態でロックされる。
【0017】
支柱2(下側支柱2a及び上側支柱2b)に設けられた緊結手段3(フランジ)と前記ロック機構8を構成するロッドの配置態様は、図5(D)に示すように、摺動軸部8aの摺動方向MがX方向及びY方向に干渉せず、かつ、X軸とY軸の中間に位置するように設定されている。そして、上側支柱2bのロック孔8fがロック機構8の係止部8cを挿入することにより係止固定されたとき、上側支柱2bの緊結手段3(フランジ)が所定姿勢、つまり、緊結部3aがX軸とY軸の上に位置する姿勢となるように設定されている。
【0018】
ところで、このような構成において、伸縮ブラケット10の内管12の先端にクランプ金具22を介して支柱2を支持させるときは、図5(E)に示すように、以下のような問題がある。
【0019】
即ち、クランプ金具22は、固定金具23と回動金具24により支柱2を外周から締結する構成であるから、締結に際して支柱2の上下方向Hの固定位置を定めることが困難であり、そのための位置決め作業が煩雑である。しかも、締結後、鉛直方向の荷重に対して、強固な支持力を発揮できないという問題がある。
【0020】
同様に、支柱2の軸廻り方向R1に関する位置決め手段が存在しないので、締結に際して、緊結手段3(フランジ)の緊結部3a(楔孔)がX方向及びY方向に整合されるように支柱2を位置決めするための作業が煩雑である。
【0021】
更に、上述のように、クランプ金具22は、伸縮ブラケット10の内管12のナット20に対して、取付ボルト28を螺着するだけで固定されているので、偏荷重を受けると、該ボルトの軸廻り方向R2に回動するおそれがあり、その場合、支柱2が鉛直線に沿わなくなるという問題を生じることになる。
【0022】
本発明は、上記に鑑み、伸縮ブラケットにより端部支柱を好適に取付支持できるように構成した支柱支持装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
そこで、本発明が手段として構成したところは、平面上で直交するX方向とY方向に間隔をあけて支柱を列設することにより構築された足場構築体における伸縮ブラケットであり、前記支柱は、中心からX方向とY方向に延びるX軸とY軸の上に緊結部を配置した緊結手段を備えており、前記伸縮ブラケットは、足場構築体に固定される尾端部からX方向に延びる外管と、該外管の先端部から摺動自在かつ固定自在に突出される内管を備え、内管の先端に固着された端面フランジに対して、外側から挿入したボルト手段を内側のナットに螺着させるように構成され、前記内管の先端に位置して端部支柱を立設する支柱支持装置を設けており、前記支柱支持装置は、前記ボルト手段を介して端面フランジに取付固定され取付固定状態で基準面を規定する固定支持手段と、前記固定支持手段に固着された挿着手段により構成され、前記挿着手段は、端部支柱の下端部に挿入される挿入管部と、端部支柱の下端面を当接支持する支持管部と、前記挿入管部と端部支柱を抜け止め係止するロック機構を設けており、前記固定支持手段と挿着手段とロック機構は、前記基準面を基準として、前記挿着手段に挿着された端部支柱の緊結手段が緊結部を前記X軸とY軸の上に位置させられる配置関係とした状態で、相互に固着されて成る点にある。
【0024】
好ましくは、前記端面フランジと前記固定支持手段の基準面の相互に、前記ボルト手段に対する軸廻り方向の位置決め手段が設けられており、前記位置決め手段により位置決めされた基準面に対して、挿着手段は、端部支柱を鉛直線に沿って挿着支持するように配置されている。
【0025】
本発明の好ましい実施形態は、前記挿着手段の下向きに延設された固定管部を前記固定支持手段に固着しており、前記固定支持手段は、前記端面フランジに重合される基準面を備えた基準金具と、補強金具を備え、前記基準金具と補強金具により前記固定管部をX方向から挟んだ状態で、固着することにより一体化すると共に、前記補強金具と固定管部と基準金具をX方向に貫通する挿通孔を設けており、前記挿通孔に挿通したボルト手段を端面フランジのナットに螺着することにより、内管の先端に取付固定されるように構成されている。
【0026】
前記ロック機構は、前記支持管部の直径方向に摺動自在に挿通された摺動軸部と、該摺動軸部から折曲されることにより支持管部及び挿入管部の外側で上向きに延びる中間部と、該中間部の上端から折曲されることにより挿入管部に設けられた受孔に挿脱自在に挿入される係止部を備えたロッドにより形成され、前記挿入管部を端部支柱に挿入した状態で前記係止部を端部支柱に設けられたロック孔に挿入することにより抜け止め係止するように構成されている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、伸縮ブラケット10における内管12の端面フランジ19に取付固定した支柱支持装置30により、端部支柱2Eを所定姿勢の状態として簡単容易に立設支持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術に係る伸縮ブラケットに関して、使用状態を示す斜視図である。
図2】従来技術に係る伸縮ブラケットの分解斜視図である。
図3】従来技術に係る伸縮ブラケットの断面図である。
図4】従来技術において伸縮ブラケットの先端にクランプ金具により端部支柱を取付固定した状態を示す正面図である。
図5】従来技術を示しており、(A)(B)(C)は連結ジョイントの構成と作用を示す斜視図、(D)は緊結手段の緊結部が配置されるX軸及びY軸と連結ジョイントの配置関係を示す横断面図、(E)はクランプ金具により端部支柱を取付固定した場合の問題点を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に関して、(A)は伸縮ブラケットの使用状態を示す斜視図、(B)は支柱支持装置の挿着手段を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に関して、(A)は伸縮ブラケットと支柱支持装置を分離した状態で示す斜視図、(B)は横断面図である。
図8】伸縮ブラケットに取付固定した支柱支持装置と、端部支柱の関係を示す斜視図である。
図9】支柱支持装置に関して、(A)(B)は挿着手段におけるロック機構の作用を示す横断面図、(C)は端部支柱を立設支持した状態を示す斜視図である。
図10】支柱支持装置に関して、(A)は伸縮ブラケットの端面フランジと固定支持手段の基準面を示す横断面図、(B)は端面フランジと固定支持手段と挿着手段を分解状態で示す斜視図である。
図11】支柱支持装置に関して、(A)(B)(C)はそれぞれ固定支持手段の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0030】
図6及び図7に示すように、足場構築体1を構築する支柱2や横架材4は、上述した従来技術と同様であり、伸縮ブラケット6の構成も、上述した従来技術と同様であるから、同一構成部分は、同一符号で示している。
【0031】
そこで、本発明の伸縮ブラケット6は、内管12の端面フランジ19に支柱支持装置30が取付固定されており、これにより、端部支柱2Eを好適に立設支持することができるように構成されている。即ち、支柱支持装置30は、従来技術に関して説明したクランプ金具22に代えて、端面フランジ19に設けられたナット20を利用することにより取付固定される。
【0032】
支柱支持装置30は、端面フランジ19に面接触状態で重合することにより取付固定されることにより基準面31を規定する固定支持手段32と、該固定支持手段32に固着された挿着手段33により構成されている。
【0033】
前記挿着手段33は、端部支柱2Eの下端部を挿着するためのものであり、端部支柱の下端部2Eに挿入される上向きの挿入管部34と、端部支柱2Eの下端面を当接支持する支持管部35と、下向きに延設された固定管部36を備えており、前記挿入管部34と端部支柱2Eを抜け止め係止するためのロック機構37を設けている。
【0034】
前記固定支持手段32は、前記基準面31を規定する基準金具38と、補強金具39を備えており、前記挿着手段32の固定管部36に対して溶接等で固着することにより一体化される。図7及び図8に示すように、前記基準金具38と補強金具39は、前記固定管部36をX方向から挟んだ状態で、それぞれ固定管部36の外周面に溶接固着される。そして、一体化された補強金具39と固定管部36と基準金具38をX方向に貫通する挿通孔40が形成される。
【0035】
図7(B)及び図10(A)に示すように、端面フランジ19の外面はX方向に直交するY方向に平行な平坦面を備えている。これに対して、基準金具38は、前記端面フランジ19の外面に面接触状態で重合される平坦面を有しており、この平坦面によりY方向に平行な基準面31を規定するように構成されている。
【0036】
そこで、前記基準面31を端面フランジ19に対向させた状態で、頭付きボルトから成るボルト手段41を前記挿通孔に挿通し、ボルト手段41の挿出部を端面フランジ19の導入孔21に挿入してナット20に螺着することにより、固定支持手段32が端面フランジ19に取付固定される。
【0037】
この際、前記端面フランジ19と前記基準金具38の基準面31の相互に、前記ボルト手段41の軸廻り方向に関する位置決め手段42が設けられている。位置決め手段42は、図示実施形態の場合、端面フランジ19から突出する係止部42aと、基準面31に形成した孔や凹部から成る被係止部42bを嵌合係止するように構成しているが、これに限定されるものではない。
【0038】
位置決め手段42は、ボルト手段41の軸廻り方向に関して位置決め状態で固定支持手段32を端面フランジ19に取付固定したとき、挿着手段33を鉛直線Vに沿って起立させるように構成されている。換言すると、端面フランジ固定された状態の基準面31に対して、挿着手段33が鉛直線Vに平行とされる配置関係の下で、固定支持手段32と挿着手段33の固定管部36が固着一体化されている。これにより、挿着手段33に端部支柱2Eを挿着支持したとき、該端部支柱2Eを鉛直線Vに沿わせることが可能になる。
【0039】
前記ロック機構37は、従来技術のロック機構8と同様に、端部支柱2Eの下端部に設けられたロック孔8f(図5(C)参照)を利用することにより、抜け止め係止する構成とされている。
【0040】
ロック機構37は、図例の場合、具体的構成が従来技術のロック機構8と同様に構成されており、前記支持管部35の直径方向に摺動自在に挿通された摺動軸部37aと、該摺動軸部37aから折曲されて支持管部35及び挿入管部34の外側で上向きに延びる中間部37bと、該中間部37bの上端から折曲されて挿入管部34に設けられた受孔37eに挿脱自在に挿入される係止部37cを備えたロッドにより形成されている。
【0041】
前記ロッドは、摺動軸部37aに外挿したコイルスプリング37dにより、前記係止部37cを挿入管部35の受孔37eに向けて挿入する方向に弾発付勢されていることが好ましい。従って、挿着手段33に端部支柱2Eを挿着するときは、作業者がロッドの中間部37bを指先で摘まむことにより係止部37cを受孔37eから引き出し、この状態で、端部支柱2Eの下端部を挿入管部34に外挿させながら支持管部35に当接する位置まで下動させ、ロック孔8fが受孔37eに合致した状態を確認した後、係止部37cをロック孔8fと受孔37eに挿通すると、端部支柱2Eを抜止めロックした状態で、立設支持することができる。
【0042】
更に、このようにして立設支持された端部支柱2Eは、図9に示すように、該支柱の中心からX方向とY方向に延びるX軸とY軸に関して、緊結手段3(フランジ)に設けた4個の緊結部3a(フランジ孔)がそれぞれX軸及びY軸の上に位置させられるように位置決めされている。
【0043】
この位置決めを可能にするため、挿着手段33のロック機構37は、摺動軸部37aの摺動方向MがX方向及びY方向に干渉せず、かつ、X軸とY軸の中間の特定位置に設置されている。換言すると、端面フランジ19に取付固定されたときの基準金具38の基準面31を基準として、前記ロック機構37のロッドの摺動方向Mを図示のようにX軸とY軸の中間の特定位置に設置する配置関係の下で、固定支持手段32と挿着手段33の固定管部36が固着一体化されている。これにより、緊結部3a(フランジ孔)をX軸及びY軸の上に位置させた姿勢として端部支柱2Eを立設支持することが可能とされている。
【0044】
図11(A)(B)(C)は、固定支持手段32の実施例を示している。
【0045】
(第1実施例)
図11(A)は、第1実施例を示しており、基準金具38は、基準面31を形成する基準板部43の両側縁から保持片44、44を折曲形成し、基準板部43の上縁から当接片45を折曲形成すると共に、下縁から底板部46を折曲形成しており、前記当接片45に前記固定管部36の外周面に沿う円弧縁部45aを形成している。
【0046】
これに対して、補強金具39は、前記底板部46に溶接等で固着された対向板部47を備え、該対向板部47の両側縁から保持片48、48を折曲形成している。
【0047】
第1実施例の場合、挿着手段33の固定管部36は、基準金具38と補強金具39の間に挿入され、下端を前記底板部46に載置した状態で、外周から基準金具38の保持片44、44及び当接片45と、補強金具39の保持片48、48により抱持される。
【0048】
そこで、抱持された状態で、固定管部36が基準面31との関係で鉛直姿勢、ロック機構37の摺動方向Mが上述の配置関係とされるように位置調節し、その後、前記抱持された部分を溶接固着することにより、固定支持手段32と固定管部36が一体化される。
【0049】
(第2実施例)
図11(B)は、第2実施例を示しており、基準金具38と補強金具39は、分離された状態で提供される。基準金具38は、基準面31を形成する基準板部49の両側縁から保持片50、50を折曲形成し、基準板部49の上下縁からそれぞれ当接片51、51を折曲形成し、該当接片51に前記固定管部36の外周面に沿う円弧縁部51aを形成している。
【0050】
これに対して、補強金具39は、前記基準板部49に対向する対向板部52を備え、該対向板部52の両側縁から保持片53、53を折曲形成している。
【0051】
第2実施例の場合、挿着手段33の固定管部36の外周面に対して、X方向から基準金具38と補強金具39を添接することにより挟持する。その際、基準面31との関係で、固定管部36が鉛直姿勢とされ、かつ、ロック機構37の摺動方向Mが上述の配置関係とされるように位置を調節し、その後、前記挟持された部分を溶接固着することにより、固定支持手段32と固定管部36が一体化される。
【0052】
(第3実施例)
図11(C)は、第3実施例を示しており、基準金具38と補強金具39は、分離された状態で提供される。基準金具38は、基準面31を形成する基準板部54の両側縁から保持片55、55を折曲形成し、基準板部49の内側に短筒体56を溶接等で固着し、該短筒体56の縁部に前記固定管部36の外周面に沿う円弧縁部56aを形成している。
【0053】
これに対して、補強金具39は、前記基準板部53に対向する対向板部57を備え、該対向板部57の両側縁から保持片58、58を折曲形成している。
【0054】
第3実施例の場合、挿着手段33の固定管部36の外周面に対して、X方向から基準金具38と補強金具39を添接することにより挟持する。その際、基準面31との関係で、固定管部36が鉛直姿勢とされ、かつ、ロック機構37の摺動方向Mが上述の配置関係とされるように位置を調節し、その後、前記挟持された部分を溶接固着することにより、固定支持手段32と固定管部36が一体化される。
【符号の説明】
【0055】
1 足場構築体
2 支柱
2E 端部支柱
2a 下側支柱
2b 上側支柱
3 緊結手段(フランジ)
3a 緊結部(楔孔)
4 横架材
5 足場板
6 連結ジョイント
6a 下部挿入管
6b 上部挿入管
6c 支持管部
6d 案内孔
7 係止ピン機構
7a 板バネ
7b 係止ピン
7c 係止孔
8 ロック機構
8a 摺動軸部
8b 中間部
8c 係止部
8d コイルスプリング
8e 受孔
8f ロック孔
10 伸縮ブラケット
11 外管
12 内管
13 ガイド手段
13a 案内溝
13b ボルト
14 ロック手段
14a 締結ボルト
15 支持構造体
15a ブレース
15b 補強材
16 接支部材
17 固定装置
17a 係止金具
17b クランプ金具
18 スリーブ
19 端面フランジ
20 ナット
21 導入孔
22 クランプ金具
23 固定金具
24 回動金具
25 枢軸
26 回動軸
27 締結ボルト
28 取付ボルト
29 所定の管部材
30 支柱支持装置
31 基準面
32 固定支持手段
33 挿着手段
34 挿入管部
35 支持管部
36 固定管部
37 ロック機構
37a 摺動軸部
37b 中間部
37c 係止部
37d コイルスプリング
37e 受孔
38 基準金具
39 補強金具
40 挿通孔
41 ボルト手段
42 位置決め手段
42a 係止部
42b 被係止部
43 基準板部
44 保持片
45 当接片
45a 円弧縁部
46 底板部
47 対向板部
48 保持片
49 基準板部
50 保持片
51 当接片
51a円弧縁部
52 対向板部
53 保持片
54 基準板部
55 保持片
56 短筒体
56a 円弧縁部
57 対向板部
58 保持片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11