(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007559
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電源ユニット及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/12 20060101AFI20250109BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20250109BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J1/12
H02J1/00 306B
H02J1/00 306K
H02M3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109043
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤石 勇作
【テーマコード(参考)】
5G165
5H730
【Fターム(参考)】
5G165DA01
5G165DA06
5G165EA07
5G165HA01
5G165JA09
5G165LA02
5H730BB57
5H730CC01
5H730EE59
5H730FD31
5H730FG05
5H730FG12
(57)【要約】
【課題】効率の低下を抑制可能な電源ユニットを提供すること。
【解決手段】第1配線に流れる第1出力電流が零のとき、前記第1配線への第1出力電圧を第1電圧に設定し、前記第1出力電流の増加に応じて前記第1出力電圧を低下させる第1電源と、前記第1配線に接続される第2配線に流れる第2出力電流が零のとき、前記第2配線への第2出力電圧を前記第1電圧よりも低い第2電圧に設定し、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電流を供給する第2電源と、を備える、電源ユニット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線に流れる第1出力電流が零のとき、前記第1配線への第1出力電圧を第1電圧に設定し、前記第1出力電流の増加に応じて前記第1出力電圧を低下させる第1電源と、
前記第1配線に接続される第2配線に流れる第2出力電流が零のとき、前記第2配線への第2出力電圧を前記第1電圧よりも低い第2電圧に設定し、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電流を供給する第2電源と、を備える、電源ユニット。
【請求項2】
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、請求項2に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃い、かつ、前記第2出力電流が前記第1出力電流と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、請求項3に記載の電源ユニット。
【請求項5】
前記第2電源は、前記第2出力電流が閾値電流よりも高いとき、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃い、かつ、前記第2出力電流が前記第1出力電流と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、請求項4に記載の電源ユニット。
【請求項6】
前記第2電源は、前記第2出力電流が前記閾値電流よりも低いとき、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、請求項5に記載の電源ユニット。
【請求項7】
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きと同じ傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、請求項2に記載の電源ユニット。
【請求項8】
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きよりも緩い傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、請求項2に記載の電源ユニット。
【請求項9】
前記第2電源は、
前記第2出力電流が閾値電流よりも低いとき、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きよりも緩い傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させ、
前記第2出力電流が前記閾値電流よりも高いとき、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きと同じ傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、請求項2に記載の電源ユニット。
【請求項10】
第1配線に第1出力電流を供給する第1電源と、前記第1配線に接続される第2配線に第2出力電流を供給する第2電源とを備える電源ユニットの制御方法であって、
前記第1出力電流が零のとき、前記第1電源から前記第1配線への第1出力電圧を第1電圧に設定し、前記第1出力電流の増加に応じて前記第1出力電圧を低下させ、
前記第2出力電流が零のとき、前記第2電源から前記第2配線への第2出力電圧を前記第1電圧よりも低い第2電圧に設定し、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2電源から前記第2配線に前記第2出力電流を供給させる、電源ユニットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源ユニット及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
並列に接続されている複数の電源モジュールを有する電源システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、並列に接続される複数の電源が共通の負荷に出力する電圧が互いに同じ電圧値に設定されている場合、負荷電流を負担する割合が複数の電源間で同じになる。そのため、複数の電源にかかる総負荷が低い状態などでは、複数の電源の各々の効率が低下する場合がある。
【0005】
本開示は、効率の低下を抑制可能な電源ユニット及びその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
第1配線に流れる第1出力電流が零のとき、前記第1配線への第1出力電圧を第1電圧に設定し、前記第1出力電流の増加に応じて前記第1出力電圧を低下させる第1電源と、
前記第1配線に接続される第2配線に流れる第2出力電流が零のとき、前記第2配線への第2出力電圧を前記第1電圧よりも低い第2電圧に設定し、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電流を供給する第2電源と、を備える、電源ユニットを提供する。
【0007】
また、本開示は、
第1配線に第1出力電流を供給する第1電源と、前記第1配線に接続される第2配線に第2出力電流を供給する第2電源とを備える電源ユニットの制御方法であって、
前記第1出力電流が零のとき、前記第1電源から前記第1配線への第1出力電圧を第1電圧に設定し、前記第1出力電流の増加に応じて前記第1出力電圧を低下させ、
前記第2出力電流が零のとき、前記第2電源から前記第2配線への第2出力電圧を前記第1電圧よりも低い第2電圧に設定し、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2電源から前記第2配線に前記第2出力電流を供給させる、電源ユニットの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電源ユニットの効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態の電源ユニットを備える電子装置の構成例を示す図である。
【
図2】電源の効率カーブの一例を示す特性図である。
【
図3】各電源の出力特性を第1設定例で設定する場合に使用する二つのドループ特性を示す図である。
【
図4】各電源の出力特性を第1設定例で設定する場合の、装置負荷率と出力電流と出力電圧との関係を示す図である。
【
図5】各電源の出力特性を第1設定例で設定する場合の損失低減効果を示す図である。
【
図6】各電源の出力特性を第2設定例で設定する場合に使用する二つのドループ特性を示す図である。
【
図7】各電源の出力特性を第2設定例で設定する場合の、装置負荷率と出力電流と出力電圧との関係を示す図である。
【
図8】各電源の出力特性を第2設定例で設定する場合の損失低減効果を示す図である。
【
図9】各電源の出力特性を第3設定例で設定する場合に使用する二つのドループ特性を示す図である。
【
図10】各電源の出力特性を第3設定例で設定する場合の、装置負荷率と出力電流と出力電圧との関係を示す図である。
【
図11】各電源の出力特性を第3設定例で設定する場合の損失低減効果を示す図である。
【
図13】ドループの傾き及びオフセットの調整回路を例示する図である。
【
図14】装置制御部の動作例を示すフローチャートである。
【
図15】電源の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を説明する。
【0011】
図1は、一実施形態の電源ユニットを備える電子装置の構成例を示す図である。
図1に示す電子装置200は、直流の出力電圧Voを生成する電源ユニット100と、電源ユニット100から供給される直流電力により動作する負荷22と、電源ユニット100と信号伝達可能に接続される装置制御部21と、を備える。
【0012】
電子装置200の具体例として、サーバ、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータ、移動体用コンピュータ、スマートフォン、タブレット、携帯電話などが挙げられるが、電子装置200は、これらに限られない。
【0013】
電源ユニット100は、負荷22に向けて出力される直流の出力電圧Voを生成する電源装置である。電源ユニット100は、第1電源11及び第2電源12を備える。
【0014】
第1電源11は、第1配線31への第1出力電圧V1を生成して出力する。第2電源12は、第2配線32への第2出力電圧V2を生成して出力する。第2配線32は、第1配線31に接続点33で接続される。第1電源11から第1配線31に流れる第1出力電流I1と第2電源12から第2配線32に流れる第2出力電流I2は、接続点33で合流する。電源ユニット100は、第1出力電流I1と第2出力電流I2の和である出力電流ILを、接続点33に接続される負荷22に供給する。出力電流ILは、負荷電流ILとも称される。
【0015】
第1電源11は、不図示の外部電源から供給される交流又は直流の入力電力から、第1出力電圧V1の直流電力を生成して出力する電源回路である。第2電源12は、不図示の外部電源から供給される交流又は直流の入力電力から、第2出力電圧V2の直流電力を生成して出力する電源回路である。不図示の外部電源は、第1電源11と第2電源12に共通に設けられた電源でもよいし、第1電源11と第2電源12に別々に設けられた電源でもよい。
【0016】
負荷22は、電源ユニット100により生成される直流の出力電圧Voutを電源電圧として動作する。負荷22は、単一の負荷でもよいし、複数の負荷の組み合わせでもよい。負荷22の具体例として、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、ハードディスク、メモリ、ファンなどが挙げられるが、負荷22は、これらに限られない。
【0017】
装置制御部21は、第1電源11及び第2電源12の各々を主電源として動作させるか待機電源として動作させるかの設定用の信号Sを第1電源11又は第2電源12に送信する。装置制御部21は、信号Sを送信することで、第1電源11及び第2電源12の各々を主電源として動作させるか待機電源として動作させるかを設定する。
【0018】
装置制御部21は、例えば、第1電源11及び第2電源12と通信可能に接続され、PMBus(Power Management Bus)などの通信プロトコルに従って、第1電源11又は第2電源12との間で信号Sを送受してもよい。PMBusの場合、信号Sは、データ信号SDAとクロック信号SCLを含む。
【0019】
なお、第1電源11及び第2電源12の各々を主電源として動作させるか待機電源として動作させるかの設定用の信号Sは、PMBusなどの通信プロトコルに従って送受されるものに限られない。信号Sは、例えば、プルダウン抵抗又はプルアップ抵抗などのハードウェアにより生成される設定用信号でもよい。
【0020】
図2は、電源の効率カーブの一例を示す特性図である。第1電源11及び第2電源12は、いずれも、
図2に示すような、負荷率が低い領域では効率が急減する特性を有する。負荷率とは、定格出力に対する実際の出力電力の割合を表す。効率とは、入力電力に対する出力電力の割合を表す。第1電源11及び第2電源12の各々を効率の高い負荷率R(例えば
図2の場合、20%以上80%以下)で動作させることで、電源ユニット100全体の効率が向上し、電源ユニット100及び電子装置200の省電力化を図ることができる。
【0021】
しかしながら、第1電源11の第1出力電圧V1と第2電源12の第2出力電圧V2が同じ電圧値に設定されている場合、第1電源11と第2電源12は、負荷22により生ずる負荷電流ILを半分ずつ分担する。このため、負荷22により第1電源11及び第2電源12にかかる総負荷が低い状態(負荷電流ILが低い状態)では、第1電源11と第2電源12は、それぞれ、効率の低い負荷率(例えば、
図2の負荷率Rの領域よりも左側の領域)で動作する場合がある。この場合、第1電源11と第2電源12の各々の効率が低下し、電源ユニット100全体の効率が低下する。
【0022】
例えば、電源ユニット100は、負荷22により発生し得る最大負荷に対応できるように設計される。そのため、負荷22が最大負荷又はそれに近い大負荷で動作する時間が全体の動作時間に対して非常に短い場合、第1電源11と第2電源12は、それぞれ、効率の低い負荷率で比較的長い時間動作することになる。
【0023】
本実施形態の第1電源11及び第2電源12の各出力特性は、第1電源11と第2電源12の各々を効率の高い負荷率R(例えば
図2の場合、20%以上80%以下)で動作するように調整されたドループ特性に設定される。これにより、電源ユニット100全体の効率が向上し、電源ユニット100及び電子装置200の省電力化を図ることができる。
【0024】
次に、第1電源11及び第2電源12の各出力特性にドループ特性を設定する際の複数の設定例について説明する。ドループ特性とは、電源からの出力電流が大きくなるにつれて、その電源からの出力電圧の降下量が大きくなる出力特性をいう。
【0025】
図1において、第1電源11の出力特性は、第1配線31に流れる第1出力電流I1を検出し、検出された第1出力電流I1が大きくなるほど、第1配線31への第1出力電圧V1を低下させるドループ特性に設定される。同様に、第2電源12の出力特性は、第2配線32に流れる第2出力電流I2を検出し、検出された第2出力電流I2が大きくなるほど、第2配線32への第2出力電圧V2を低下させるドループ特性に設定される。
【0026】
図3は、各電源の出力特性を第1設定例で設定する場合に使用する二つのドループ特性を示す図である。横軸の出力電流Ioutは、第1電源11から第1配線31への第1出力電流I1又は第2電源12から第2配線32への第2出力電流I2を表す。縦軸の出力電圧Voutは、第1電源11から第1配線31への第1出力電圧V1又は第2電源12から第2配線32への第2出力電圧V2を表す。
【0027】
第1電源11は、信号Sに基づいて主電源として動作するように設定された場合、第1出力電流I1に対する第1出力電圧V1の出力特性を、通常動作時の第1ドループ特性D1に設定する。第1ドループ特性D1は、
Vout=Va-Iout×(ΔV1/Im)
で表される。
【0028】
Vaは、第1出力電流I1が零のときの第1出力電圧V1を表す(例:12.5[V])。Imは、最大負荷時又は最大定格時の第1出力電流I1を表す(例:210[A])。ΔV1は、第1出力電流I1が最大電流Imのときの第1出力電圧V1の電圧降下量を表す(例:0.5[V])。(ΔV1/Im)は、第1ドループ特性D1のドループ傾きを表す。
【0029】
第1電源11は、第1ドループ特性D1に従って、第1配線31に流れる第1出力電流I1が零のときには、第1配線31への第1出力電圧V1を第1電圧Vaに設定する。そして、第1電源11は、第1ドループ特性D1に従って、第1出力電流I1が零から増加するにつれて、第1出力電圧V1を第1電圧Vaから低下させる。
【0030】
一方、第2電源12は、信号Sに基づいて待機電源として動作するように設定された場合、第2出力電流I2に対する第2出力電圧V2の出力特性を、待機動作時の第2ドループ特性D2に設定する。第2ドループ特性D2は、
Vout=Vb-Iout×(ΔV2/Im)
で表される。
【0031】
Vbは、第2出力電流I2が零のときの第2出力電圧V2を表す(例:12.25[V])。Imは、最大負荷時又は最大定格時の第2出力電流I2を表す(例:210[A])。ΔV2は、第2出力電流I2が最大電流Imのときの第2出力電圧V2の電圧降下量を表す(例:0.5[V])。(ΔV2/Im)は、第2ドループ特性D2のドループ傾きを表す。
【0032】
第2ドループ特性D2は、第1ドループ特性D1と同じドループ傾きを有し、第1ドループ特性D1に対して電圧オフセット(Va-Vb)だけオフセットされている。
【0033】
第2電源12は、第2ドループ特性D2に従って、第2配線32に流れる第2出力電流I2が零のときには、第2配線32への第2出力電圧V2を第2電圧Vbに設定する。第2電圧Vbは、第1電圧Vaよりも低い値である。そして、第2電源12は、第2ドループ特性D2に従って、第2出力電流I2が零から増加するにつれて、第2出力電圧V2を第2電圧Vbから低下させる。
【0034】
図1のように、第1電源11の出力部と第2電源12の出力部が接続点33に共通接続された構成では、第1出力電圧V1と第2出力電圧V2が異なる場合、負荷電流(出力電流IL)が増加するとき、出力電圧が高い方の電源が、負荷電流のほとんどを負担する。しかし、
図3に例示する出力特性では、第1出力電流I1が零のときの第1出力電圧V1は第1電圧Vaに設定され、第2出力電流I2が零のときの第2出力電圧V2は第2電圧Vbに設定されている。
【0035】
第2電圧Vbは第1電圧Vaよりも低いため、負荷電流ILが零から増加するとき、出力電圧が高い方の第1電源11が、負荷電流ILのほとんどを負担する。つまり、負荷電流ILが零から増加するにつれて、第1電源11は、第1出力電流I1を出力し始めるが、第2電源12は、第2出力電流I2を出力しない。負荷電流ILが零以上電流値Ib未満の低電流領域では、第1出力電圧V1は、第2電圧Vbよりも高い。そのため、負荷電流ILが零以上電流値Ib未満の低電流領域では、第1電源11は第1出力電流I1を第1ドループ特性D1に従って出力し、第2電源12は第2出力電流I2を出力しない(出力電流IL=第1出力電流I1)。
【0036】
第2電源12は、
図3に示すように、ドループ傾きが第1ドループ特性D1と同じ第2ドループ特性D2を有する。これにより、第2電源12は、第1出力電圧V1が第2電圧Vbまで低下すると、第1出力電流I1の増加に対して第1出力電圧V1が低下する傾きと同じ傾きで、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。
【0037】
図4は、
図3の二つのドループ特性を使用して各電源の出力特性を第1設定例で設定する場合の、装置負荷率と出力電流と出力電圧との関係を示す図である。横軸の装置負荷率は、第1電源11の定格出力と第2電源12の定格出力とを合わせた総定格出力に対して、第1電源11の実際の出力電力と第2電源12の実際の出力電力とを合わせた合計出力電力の割合を表す。
【0038】
負荷電流ILが零のとき、第2出力電圧V2は、第1出力電圧V1に設定された第1電圧Vaよりも低い第2電圧Vbに設定されている。このため、負荷電流ILの零からの増加に伴って、第1出力電流I1は増加するが、第2出力電流I2は零のまま増加しない。負荷電流ILの増加による第1出力電流I1の増加に伴って、第1出力電圧V1は、第1ドループ特性D1に従って第1電圧Vaから漸減する。第1出力電圧V1が第2電圧Vbまで低下すると、第1出力電圧V1は、第2電圧Vbに設定された第2出力電圧V2と等しくなる。
【0039】
負荷電流ILの更なる増加により、第1出力電流I1が電流値Ibを超え始めると、第2電源12は、第2出力電流I2を供給し始める。出力電流ILが電流値Ibから増加するにつれて、第1電源11は、第1出力電流I1を電流値Ibから更に増加させ、第2電源12は、第2出力電流I2を零から増加させる。
【0040】
つまり、第1電源11は、第1ドループ特性D1に従って、第1出力電流I1が電流値Ibから増加するにつれて、第1出力電圧V1を第2電圧Vbから低下させる。一方、第2電源12は、第2ドループ特性D2に従って、第2出力電流I2が零から増加するにつれて、第2出力電圧V2を第2電圧Vbから低下させる。このとき、第2電源12は、第2出力電圧V2が第1出力電圧V1と揃うように、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。
【0041】
ただし、第2出力電流I2が流れ始めてからの低電流領域では、第2電源12は、効率の低い負荷率(
図2参照)で動作することになる。そこで、第2電源12は、検出された第2出力電流I2が所定の閾値電流Ithよりも上昇すると、第1出力電流I1に対する第1出力電圧V1の出力特性を、待機動作時の第2ドループ特性D2から通常動作時の第1ドループ特性D1に切り替える(
図3参照)。これにより、第2電源12は、第1電源11と同じ第1ドループ特性D1に従って動作するので、出力電流ILは、第1電源11と第2電源12とで半分ずつ分担される。そのため、
図4に示すように、第1出力電流I1は、電流値Icから電流値Idに低下し、第2出力電流I2は、閾値電流Ithから電流値Idに上昇し、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2は、第3電圧Vcから第4電圧Vdに上昇する。したがって、第2出力電流I2が所定の閾値電流Ithよりも上昇すると、第2出力電流I2及び第2出力電圧V2が急増することで、第2電源12は、効率の高い負荷率で動作することになる。
【0042】
第2出力電流I2が閾値電流Ith以上の高電流領域では、第1電源11は、第1ドループ特性D1に従って、第1出力電流I1が電流値Idから増加するにつれて、第1出力電圧V1を第4電圧Vdから低下させる。一方、第2電源12も、第1ドループ特性D1に従って、第2出力電流I2が電流値Idから増加するにつれて、第2出力電圧V2を第4電圧Vdから低下させる。
【0043】
したがって、第2電源12は、第2出力電流I2が閾値電流Ithよりも高いとき、第2出力電圧V2が第1出力電圧V1と揃い、かつ、第2出力電流I2が第1出力電流I1と揃うように、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。一方、第2電源12は、第2出力電流I2が零よりも高く閾値電流Ithよりも低いとき、第2出力電圧V2が第1出力電圧V1と揃うように、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。
【0044】
このように、第1電源11は、第1配線31に流れる第1出力電流I1が零のとき、第1配線31への第1出力電圧V1を第1電圧Vaに設定し、第1出力電流I1の増加に応じて第1出力電圧V1を低下させる。第2電源12は、第1配線31に接続される第2配線32に流れる第2出力電流I2が零のとき、第2配線32への第2出力電圧V2を第1電圧Vaよりも低い第2電圧Vbに設定し、第1出力電圧V1が第2電圧Vbまで低下すると、第2出力電流I2を供給する。本実施形態の電源ユニット100は、このような構成を有するので、負荷電流ILの低い低負荷状態では、第2出力電圧V2は、第1出力電圧V1よりも低く維持されている。このため、第1電源11が負荷電流ILのほとんどを負担するので、第1電源11を効率の高い負荷率で使用できる一方、第2電源12の出力は停止するので、効率の低い負荷率での第2電源12の使用を抑止できる。したがって、低負荷の状態で、電源ユニット100全体の効率の低下を抑制できる。
【0045】
図5は、
図3の二つのドループ特性を使用して各電源の出力特性を第1設定例で設定する場合の損失低減効果を示す図である。横軸の装置負荷率は、第1電源11の定格出力と第2電源12の定格出力とを合わせた総定格出力に対して、第1電源11の実際の出力電力と第2電源12の実際の出力電力とを合わせた合計出力電力の割合を表す。縦軸の損失は、電源ユニット100の損失(=電源ユニット100の入力電力-電源ユニット100の出力電力)を表す。
【0046】
「比較例」は、第1電源11と第2電源12の出力特性がいずれも第1ドループ特性D1に固定された場合を表す。「第1設定例」は、第1電源11の出力特性が第1ドループ特性D1に固定され、かつ、第2電源12の出力特性が第2ドループ特性D2から第1ドループ特性D1に
図4のように切り替え設定された場合を表す。
【0047】
「比較例」の場合、第1電源11と第2電源12は、負荷電流ILを等しく分担する。そのため、低負荷の状態では、第1電源11と第2電源12は、効率の低い負荷率で動作する。よって、電源ユニット100全体の損失が増大し、全体の効率が低下する。一方、「第1設定例」の場合、低負荷の状態では、第1電源11が負荷電流ILのほとんどを負担する。そのため、第1電源11は、効率の高い負荷率で動作する一方、第2電源12は、効率の低い負荷率で動作しない。よって、電源ユニット100全体の損失の増大は抑制され、全体の効率の低下は抑制される。
【0048】
「第1設定例」の場合、30%付近の装置負荷率での損失が一時的に上昇する。しかし、第2出力電流I2が閾値電流Ithよりも上昇すると、第2電源12の出力特性が第2ドループ特性D2から第1ドループ特性D1に切り替わるので、第2電源12が、効率の低い負荷率で動作し続けることを防止できる。したがって、電源ユニット100全体の効率低下を抑制できる。
【0049】
図6は、各電源の出力特性を第2設定例で設定する場合に使用する二つのドループ特性を示す図である。第2設定例において、第1設定例と同様の説明については、上述の説明を援用することで、省略する。
【0050】
第1電源11は、信号Sに基づいて主電源として動作するように設定された場合、第1出力電流I1に対する第1出力電圧V1の出力特性を、通常動作時の第1ドループ特性D1に設定する。一方、第2電源12は、信号Sに基づいて待機電源として動作するように設定された場合、第2出力電流I2に対する第2出力電圧V2の出力特性を、待機動作時の第3ドループ特性D3に設定する。第3ドループ特性D3は、
Vout=Vb-Iout×(ΔV2/Im)
で表される。
【0051】
第2出力電流I2が零のときの第2出力電圧V2は、第1出力電流I1が零のときの第1出力電圧V1に対して電圧オフセット(Va-Vb)だけオフセットされている。
【0052】
第2電源12は、
図6に示すように、ドループ傾きが第1ドループ特性D1よりも緩い第3ドループ特性D3を有する。これにより、第2電源12は、第1出力電圧V1が第2電圧Vbまで低下すると、第1出力電流I1の増加に対して第1出力電圧V1が低下する傾きよりも緩い傾きで、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。
【0053】
第2電源12は、検出された第2出力電流I2が所定の閾値電流Ithよりも上昇すると、第1出力電流I1に対する第1出力電圧V1の出力特性を、待機動作時の第3ドループ特性D3から通常動作時の第1ドループ特性D1に切り替える。つまり、第2電源12は、第2出力電流I2が閾値電流Ithよりも低いとき、第1出力電流I1の増加に対して第1出力電圧V1が低下する傾きよりも緩い傾き(第3ドループ特性D3)で、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。一方、第2電源12は、第2出力電流I2が閾値電流Ithよりも高いとき、第1出力電流I1の増加に対して第1出力電圧V1が低下する傾きと同じ傾き(第1ドループ特性D1)で、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。
【0054】
図7は、
図6の二つのドループ特性を使用して各電源の出力特性を第2設定例で設定する場合の、装置負荷率と出力電流と出力電圧との関係を示す図である。第1設定例と同様、第2電源12は、第2出力電流I2が閾値電流Ithよりも高いとき、第2出力電圧V2が第1出力電圧V1と揃い、かつ、第2出力電流I2が第1出力電流I1と揃うように、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。一方、第2電源12は、第2出力電流I2が零よりも高く閾値電流Ithよりも低いとき、第2出力電圧V2が第1出力電圧V1と揃うように、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。第2設定例の場合も、第1設定例と同様、低負荷の状態で、電源ユニット100全体の効率の低下を抑制できる。
【0055】
図8は、
図6の二つのドループ特性を使用して各電源の出力特性を第2設定例で設定する場合の損失低減効果を示す図である。「比較例」は、第1電源11と第2電源12の出力特性がいずれも第1ドループ特性D1に固定された場合を表す。「第2設定例」は、第1電源11の出力特性が第1ドループ特性D1に固定され、かつ、第2電源12の出力特性が第3ドループ特性D3から第1ドループ特性D1に
図7のように切り替え設定された場合を表す。第2設定例の場合も、第1設定例と同様、電源ユニット100全体の損失の増大が抑制され、全体の効率の低下が抑制される。
【0056】
図9は、各電源の出力特性を第3設定例で設定する場合に使用する二つのドループ特性を示す図である。第3設定例について、第1設定例と同様の説明については、上述の説明を援用することで、省略する。
【0057】
第1電源11は、信号Sに基づいて主電源として動作するように設定された場合、第1出力電流I1に対する第1出力電圧V1の出力特性を、通常動作時の第1ドループ特性D1に設定する。一方、第2電源12は、信号Sに基づいて待機電源として動作するように設定された場合、第2出力電流I2に対する第2出力電圧V2の出力特性を、待機動作時の第4ドループ特性D4に設定する。第4ドループ特性D4は、
Vout=Vb (0≦Iout<Ib)
Vout=Va-Iout×(ΔV1/Im) (Ib≦Iout≦Im)
で表される。
【0058】
第4ドループ特性D4は、零以上電流値Ib未満では、第1ドループ特性D1よりも緩いドループ傾きを有し、電流値Ib以上の高電流領域では、第1ドループ特性D1と同じドループ傾き(より詳しくは、第1ドループ特性D1と重なる特性)を有する。
【0059】
第2電源12は、電流値Ib以上の高電流領域では、ドループ傾きが第1ドループ特性D1と同じ第4ドループ特性D4を有する。これにより、第2電源12は、第1出力電圧V1が第2電圧Vbまで低下すると、第1出力電流I1の増加に対して第1出力電圧V1が低下する傾きと同じ傾きで、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。
【0060】
第2電源12は、検出された第2出力電流I2が所定の閾値電流Ithよりも上昇すると、第1出力電流I1に対する第1出力電圧V1の出力特性を、待機動作時の第4ドループ特性D4から通常動作時の第1ドループ特性D1に切り替える。つまり、第2電源12は、第2出力電流I2が閾値電流Ithよりも低いとき、第2出力電流I2に対する第2出力電圧V2の出力特性を、第1出力電流I1の増加に対して第1出力電圧V1が低下する傾きよりも緩い傾きに設定する。この例での緩い傾きとは、傾きが零の部分の第4ドループ特性D4である。一方、第2電源12は、第2出力電流I2が閾値電流Ithよりも高いとき、第1出力電流I1の増加に対して第1出力電圧V1が低下する傾きと同じ傾き(第1ドループ特性D1)で、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。
【0061】
図10は、
図9の二つのドループ特性を使用して各電源の出力特性を第3設定例で設定する場合の、装置負荷率と出力電流と出力電圧との関係を示す図である。第1設定例と同様、第2電源12は、第2出力電流I2が閾値電流Ithよりも高いとき、第2出力電圧V2が第1出力電圧V1と揃い、かつ、第2出力電流I2が第1出力電流I1と揃うように、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させる。第2電源12は、第2出力電流I2が零よりも高く閾値電流Ithよりも低いとき、第2出力電流I2を零に維持した状態で、第2出力電圧V2を第2電圧Vbに固定する。第2設定例の場合も、第1設定例と同様、低負荷の状態で、電源ユニット100全体の効率の低下を抑制できる。
【0062】
図11は、
図9の二つのドループ特性を使用して各電源の出力特性を第3設定例で設定する場合の損失低減効果を示す図である。「比較例」は、第1電源11と第2電源12の出力特性がいずれも第1ドループ特性D1に固定された場合を表す。「第3設定例」は、第1電源11の出力特性が第1ドループ特性D1に固定され、かつ、第2電源12の出力特性が第4ドループ特性D4から第1ドループ特性D1に
図10のように切り替え設定された場合を表す。第3設定例の場合も、第1設定例と同様、電源ユニット100全体の損失の増大が抑制され、全体の効率の低下が抑制される。
【0063】
図12は、電源の構成例を示すブロック図である。第1電源11及び第2電源12は、
図12に示すような構成をそれぞれ有してよい。第1電源11及び第2電源12は、それぞれ、電力変換回路41、電流センサ42、可変抵抗43、調整器45,46、増幅器44、PWM(Pulse Width Modulation)制御部49、レジスタ47及び出力制御部48を有する。
【0064】
電力変換回路41は、PWM制御部49により生成されるPWM信号に従って、外部電源から供給される入力電力を出力電力に変換する。電力変換回路41は、外部電源から供給される交流(AC)を直流(DC)に変換して出力するAC/DC変換回路と、AC/DC変換回路から出力された直流(DC)を直流(DC)に変換して出力するDC/DC変換回路とを有する。
【0065】
第1電源11において、電流センサ42は、第1出力電流I1を検出し、第1出力電流I1の大きさに比例する電流センス信号を出力する。電流センス信号は、可変抵抗43を介して、加算器等の調整器46の第1入力部に入力される。一定の基準電圧VREFは、加算器等の調整器45を介して、調整器46の第2入力部に入力される。電流センス信号と基準電圧VREFとの和は、増幅器44の非反転入力部に入力される。リモートセンスにより検出された第1出力電圧V1の大きさに比例する電圧検出信号は、増幅器44の反転入力部に入力される。PWM制御部49は、増幅器44の出力信号に応じて、電力変換回路41のスイッチングを制御するPWM信号のデューティ比を制御する。これにより、第1出力電流I1の増加に応じて第1出力電圧V1を低下させるドループ特性を実現できる。第2電源12も同様の構成を有することで、第2出力電流I2の増加に応じて第2出力電圧V2を低下させるドループ特性を実現できる。
【0066】
ドループの傾き及び出力電圧をPMBusにて調整可能なPSU(Power Supply Unit)として、第1電源11及び第2電源12が、並列で接続されている。装置制御部21は、各PSUのパワーオン前に、PMBusにてドループの傾き及び出力電圧の設定を実施する。待機電源に設定されたPSUは、自身が供給している出力電流の検出値に基づいて、ドループ特性を切り替える。
【0067】
装置制御部21は、例えば、待機電源として動作させるか否かの設定用の信号Sを、PMBusにて送信する。第1電源11及び第2電源12は、それぞれ、主電源又は待機電源の設定用のレジスタ47を有する。装置制御部21は、第2電源12を待機電源として動作させる場合、待機電源として動作させるフラグを第2電源12内のレジスタ47に設定する。装置制御部21は、第1電源11を主電源として動作させる場合、主電源として動作させるフラグを第1電源11内のレジスタ47に設定する、または、待機電源として動作させるフラグを第1電源11内のレジスタ47に設定しない。
【0068】
出力制御部48は、レジスタ47に設定されたフラグに従って、自身が制御する電源を主電源として動作させるか待機電源として動作させるかを設定する。出力制御部48は、主電源として動作するか待機電源として動作するかのフラグの設定に従って、可変抵抗43の抵抗値及び調整器45によって基準電圧VREFに加算する電圧値を調整する。出力制御部48は、可変抵抗43の抵抗値を調整することで、ドループ傾きを調整でき、基準電圧VREFに加算する電圧値を調整することで、ドループ特性の電圧オフセットを調整できる。これにより、出力制御部48は、自身が制御する電源を主電源として動作させる場合、その出力特性を、上記のドループ特性D1のような所望のドループ特性に調整できる。一方、出力制御部48は、自身が制御する電源を待機電源として動作させる場合、その出力特性を、上記のドループ特性D2,D3,D4のような所望のドループ特性に調整できる。
【0069】
図13は、ドループの傾き及びオフセットの調整回路を例示する図である。上記の調整器45,46は、例えば、増幅器45a,46aを有する。出力制御部48は、増幅器45aに入力されるオフセット電圧の調整により基準電圧VREFを調整することで、ドループ特性の電圧オフセットを調整する。出力制御部48は、可変抵抗43の抵抗値の調整により増幅器46aに入力される電流センス信号の電圧を調整することで、ドループ傾きを調整する。
【0070】
図14は、装置制御部の動作例を示すフローチャートである。ステップS11において、装置制御部21は、第1電源11及び第2電源12の各々の出力特性を設定する。装置制御部21は、例えば、PMBusによって、各電源を主電源として動作させるか待機電源として動作させるかのフラグを設定する。ステップS13において、装置制御部21は、各電源のパワーをオンする。
【0071】
図15は、電源の動作例を示すフローチャートである。第1電源11及び第2電源12は、装置制御部21からのパワーオン信号によって、起動する。ステップS21において、第1電源11及び第2電源12の各々の出力制御部48は、自身のレジスタ47に格納されたフラグを参照し、待機動作として動作させる待機フラグがたっているか否かを判定する。出力制御部48は、待機フラグがたっていない場合、自身の電源を主電源として動作させるため、その出力特性を、通常動作時のドループ特性に設定する(ステップS23)。
【0072】
出力制御部48は、待機フラグがたっている場合、自身の電源を待機電源として動作させる。この場合、出力制御部48は、自身の電源の出力電流が閾値電流Ith未満か否かを判断する(ステップS25)。出力制御部48は、出力電流が閾値電流Ith以下の場合、自身の電源の出力特性を、待機動作時のドループ特性に設定する(ステップS27)。出力制御部48は、出力電流が閾値電流Ithよりも大きい場合、自身の電源の出力特性を、通常動作時のドループ特性に設定する(ステップS29)。ステップS25,S27,S29により、ドループ特性の切り替えが可能となる。
【0073】
図16は、制御部のハードウェア構成図である。上記の装置制御部21又は各電源内の制御部(出力制御部48及びPWM制御部49など)は、制御装置500のような構成により実現されてもよい。制御装置500は、それぞれバス506で相互に接続されているドライブ装置508、補助記憶装置502、メモリ装置503、CPU(Central Processing Unit)504、及びインターフェース装置505等を有する。
【0074】
制御装置500での処理を実現するプログラムは、記録媒体507によって提供される。プログラムを記録した記録媒体507がドライブ装置508にセットされると、プログラムが記録媒体507からドライブ装置508を介して補助記憶装置502にインストールされる。ただし、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体507より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置502は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0075】
メモリ装置503は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置502からプログラムを読み出して格納する。CPU504は、メモリ装置503に格納されたプログラムに従って制御装置500に係る機能を実行するプロセッサである。インターフェース装置505は、外部と接続するためのインターフェースとして用いられる。
【0076】
なお、記録媒体507の一例としては、CD-ROM、DVDディスク、又はUSBメモリ等の可搬型の記録媒体が挙げられる。また、補助記憶装置502の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ等が挙げられる。記録媒体507及び補助記憶装置502のいずれについても、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に相当する。
【0077】
上記に示す各処理を制御装置500に実行させるためのプログラムは、補助記憶装置502に格納されてよい。DB501は、補助記憶装置502又はメモリ装置503に格納されてよい。
【0078】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0079】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1配線に流れる第1出力電流が零のとき、前記第1配線への第1出力電圧を第1電圧に設定し、前記第1出力電流の増加に応じて前記第1出力電圧を低下させる第1電源と、
前記第1配線に接続される第2配線に流れる第2出力電流が零のとき、前記第2配線への第2出力電圧を前記第1電圧よりも低い第2電圧に設定し、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電流を供給する第2電源と、を備える、電源ユニット。
(付記2)
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記1に記載の電源ユニット。
(付記3)
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記1又は2に記載の電源ユニット。
(付記4)
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃い、かつ、前記第2出力電流が前記第1出力電流と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記1から3のいずれか一の付記に記載の電源ユニット。
(付記5)
前記第2電源は、前記第2出力電流が閾値電流よりも高いとき、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃い、かつ、前記第2出力電流が前記第1出力電流と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記1から4のいずれか一の付記に記載の電源ユニット。
(付記6)
前記第2電源は、前記第2出力電流が前記閾値電流よりも低いとき、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記5に記載の電源ユニット。
(付記7)
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きと同じ傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記2に記載の電源ユニット。
(付記8)
前記第2電源は、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きよりも緩い傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記2に記載の電源ユニット。
(付記9)
前記第2電源は、
前記第2出力電流が閾値電流よりも低いとき、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きよりも緩い傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させ、
前記第2出力電流が前記閾値電流よりも高いとき、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きと同じ傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記2に記載の電源ユニット。
(付記10)
第1配線に第1出力電流を供給する第1電源と、前記第1配線に接続される第2配線に第2出力電流を供給する第2電源とを備える電源ユニットの制御方法であって、
前記第1出力電流が零のとき、前記第1電源から前記第1配線への第1出力電圧を第1電圧に設定し、前記第1出力電流の増加に応じて前記第1出力電圧を低下させ、
前記第2出力電流が零のとき、前記第2電源から前記第2配線への第2出力電圧を前記第1電圧よりも低い第2電圧に設定し、前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2電源から前記第2配線に前記第2出力電流を供給させる、電源ユニットの制御方法。
(付記11)
前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記10に記載の電源ユニットの制御方法。
(付記12)
前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記10又は11に記載の電源ユニットの制御方法。
(付記13)
前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃い、かつ、前記第2出力電流が前記第1出力電流と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記10から12のいずれか一の付記に記載の電源ユニットの制御方法。
(付記14)
前記第2出力電流が閾値電流よりも高いとき、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃い、かつ、前記第2出力電流が前記第1出力電流と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記10から13のいずれか一の付記に記載の電源ユニットの制御方法。
(付記15)
前記第2出力電流が前記閾値電流よりも低いとき、前記第2出力電圧が前記第1出力電圧と揃うように、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記14に記載の電源ユニットの制御方法。
(付記16)
前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きと同じ傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記11に記載の電源ユニットの制御方法。
(付記17)
前記第1出力電圧が前記第2電圧まで低下すると、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きよりも緩い傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記11に記載の電源ユニットの制御方法。
(付記18)
前記第2出力電流が閾値電流よりも低いとき、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きよりも緩い傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させ、
前記第2出力電流が前記閾値電流よりも高いとき、前記第1出力電流の増加に対して前記第1出力電圧が低下する傾きと同じ傾きで、前記第2出力電流の増加に応じて前記第2出力電圧を低下させる、付記11に記載の電源ユニットの制御方法。
【符号の説明】
【0080】
11 第1電源
12 第2電源
21 装置制御部
22 負荷
31 第1配線
32 第2配線
33 接続点
41 電力変換回路
100 電源ユニット
200 電子装置
500 制御装置