(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025075596
(43)【公開日】2025-05-15
(54)【発明の名称】抗菌性樹脂シート、その成形品、及び抗菌性樹脂シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
A01N 25/34 20060101AFI20250508BHJP
A01N 61/00 20060101ALI20250508BHJP
A01N 37/44 20060101ALI20250508BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20250508BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20250508BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20250508BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
A01N25/34 A
A01N61/00 D
A01N37/44
A01P1/00
A01P3/00
A01N25/00 101
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186885
(22)【出願日】2023-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】505056122
【氏名又は名称】サンディック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100193725
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】山崎 正裕
(72)【発明者】
【氏名】杉元 信博
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕文
【テーマコード(参考)】
3E086
4H011
【Fターム(参考)】
3E086AA01
3E086AA21
3E086BB22
3E086BB90
4H011AA01
4H011BA01
4H011BB06
4H011BB19
4H011BC16
4H011DA07
4H011DC05
4H011DD07
4H011DE17
4H011DH11
(57)【要約】
【課題】容器外側となる離型面が、透明性、離型性、及び抗菌性のすべてを満足する食品包装容器を作製できる抗菌性樹脂シート、及び該抗菌性樹脂シートの製造方法の提供。
【解決手段】シートの一方の面に、ポリジメチルシロキサン、及びε-ポリリジンが付与されている抗菌性樹脂シートであって、前記ポリジメチルシロキサンの含有量(乾燥固形分で換算)1質量部に対して、前記ε-ポリリジン(乾燥固形分で換算)を0.05~1.0質量部の割合で含有する、抗菌性樹脂シートである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの一方の面に、ポリジメチルシロキサン、及びε-ポリリジンが付与されている抗菌性樹脂シートであって、
前記ポリジメチルシロキサンの含有量(乾燥固形分で換算)1質量部に対して、前記ε-ポリリジン(乾燥固形分で換算)を0.05~1.0質量部の割合で含有する、抗菌性樹脂シート。
【請求項2】
請求項1に記載の抗菌性樹脂シートを二次成形してなる、成形品。
【請求項3】
前記成形品が、食品包装容器である請求項2に記載の成形品。
【請求項4】
ポリジメチルシロキサンの水分散液と、ε-ポリリジンを含有する溶液とを混合し、溶解させた混合溶液を、樹脂シートに付与する、抗菌性樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
ポリジメチルシロキサンの水分散液と、ε-ポリリジンを含有する溶液とを混合し、溶解させた混合溶液を、樹脂シートに付与した後、前記混合溶液を付与した面が、食品包装容器の外側にくるよう二次成形される、抗菌性食品包装容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型性と抗菌性を両立させた抗菌性樹脂シート、その成形品、及び該抗菌性樹脂シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の熱可塑性樹脂を用いて押出成膜された樹脂シートは、真空成形機、圧空真空成形機、熱板圧空成形機等を用いて加熱成形により二次成形され、これにより得られた二次成形品は、軽量食品包装容器やその他物品の包装に多く用いられている。これらの樹脂シートの中でも、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等に代表される透明性樹脂シートは、その透明性から弁当容器や惣菜容器等の蓋材やフードパックとして広く用いられている。
昨今、安全性や衛生面に対する意識の向上により、人が直接触れる物に対して抗菌・抗ウイルス性付与が求められている。特に、弁当容器や総菜容器は陳列や購入選定時に不特定の人に触れる機会が多く、安全安心への配慮として、人が直接触れる容器外側への抗菌・抗ウイルス性の向上が求められている。
一方、容器への抗菌・抗ウイルス性付与については、食品に対するカビ・細菌の増殖を抑制するため、食品接触面に対して抗菌剤を塗布したシートが提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-318974号公報
【特許文献2】特開平11-76376号公報
【特許文献3】特開2019-99159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1~3は、食品接触面に対してのみ抗菌効果を発現させるため、人が直接触れる容器外側に対しては効果を想定していない。
透明蓋やフードパックに用いられる樹脂シートには、防曇剤や離型剤が塗布されている。容器内側となる面には内容物の視認性向上を目的に防曇剤が塗布されている。一方、容器外側となる面には容器積み重ね時の離型性付与を目的に食品包装容器用離型剤のジメチルシリコーンオイルが塗布されている。
そこで、容器外側となる離型面にも、従来の機能である透明性や離型性を維持しつつ、さらに抗菌効果を付与させた食品包装容器を作製できる抗菌性樹脂シートの提供が望まれている。
本発明の目的は、容器外側となる離型面が、透明性、離型性、及び抗菌性のすべてを満足する食品包装容器を作製できる抗菌性樹脂シート、及び該抗菌性樹脂シートの製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、該抗菌性樹脂シートを用いて成形された食品包装容器などの成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、シートの一方の面に、ポリジメチルシロキサンとε-ポリリジンとが付与された樹脂シートにおいて、ポリジメチルシロキサンとε-ポリリジンとの混合割合を特定の範囲とすることで、該樹脂シートが、透明性、離型性、及び抗菌性のすべてを満足できる樹脂シートとなることを見出し、本発明を解決するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1] シートの一方の面に、ポリジメチルシロキサン、及びε-ポリリジンが付与されている抗菌性樹脂シートであって、
前記ポリジメチルシロキサンの含有量(乾燥固形分で換算)1質量部に対して、前記ε-ポリリジン(乾燥固形分で換算)を0.05~1.0質量部の割合で含有する、抗菌性樹脂シート。
[2] [1]に記載の抗菌性樹脂シートを二次成形してなる、成形品。
[3] 前記成形品が、食品包装容器である[2]に記載の成形品。
[4] ポリジメチルシロキサンの水分散液と、ε-ポリリジンを含有する溶液とを混合し、溶解させた混合溶液を、樹脂シートに付与する、抗菌性樹脂シートの製造方法。
[5] ポリジメチルシロキサンの水分散液と、ε-ポリリジンを含有する溶液とを混合し、溶解させた混合溶液を、樹脂シートに付与した後、前記混合溶液を付与した面が、食品包装容器の外側にくるよう二次成形される、抗菌性食品包装容器の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、容器外側となる離型面が、透明性、離型性、及び抗菌性のすべてを満足する食品包装容器を作製できる抗菌性樹脂シート、及び該抗菌性樹脂シートの製造方法を提供することができる。また、本発明により、該抗菌性樹脂シートを用いて成形された食品包装容器などの成形品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【0009】
(抗菌性樹脂シート)
本発明の抗菌性樹脂シートは、シートの一方の面に、ポリジメチルシロキサン、及びε-ポリリジンが付与されている抗菌性樹脂シートであって、ポリジメチルシロキサンの含有量(乾燥固形分で換算)1質量部に対して、ε-ポリリジン(乾燥固形分で換算)を0.05~1.0質量部の割合で含有する。
【0010】
<樹脂シート>
樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂からなるシートを用いることができる。
樹脂シートは、延伸処理されていてもよい。延伸処理は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもい。好ましくは、樹脂シートには、縦延伸及び横延伸の二軸延伸が施されているとよい。
樹脂シートの膜厚としては、特に制限はなく適宜目的に応じて選択することができるが、例えば、0.05mm~1mmであることが好ましい。
【0011】
<ポリジメチルシロキサン>
ポリジメチルシロキサン(ジメチルシリコーン)は、例えば、エマルジョンの形態で被覆されるのが好ましい。
例えば、シリコーンオイル(エマルジョン)は、安全性、経済性の観点より、25℃の温度における粘度が100~50万mm2/sの範囲のジメチルポリシロキサンが好ましく、200~10万mm2/sの粘度がより好ましく、300~5万mm2/sの粘度がさらに好ましい。
【0012】
<ε-ポリリジン>
樹脂シートにε-ポリリジンを付与するのに、ε-ポリリジンを含有する溶液を用いることが好ましい。より具体的には、ε-ポリリジン水溶液またはε-ポリリジンをアルコールもしくはアルコールを含む水溶液に溶解させた溶液を用いることが好ましい。
抗菌剤として、食品添加剤であるε-ポリリジンを用いることで、抗菌性と透明性と安全性を担保することができる。
本発明に用いられるε-ポリリジンは、例えば特開昭59-20359号に記載のε-ポリリジン生産菌であるストレプトマイセス属に属するストレプトマイセス・アルブラス・サブスピーシーズ・リジノポリメラスを培地に培養し、得られた培養物からε-ポリリジンを分離・採取することによって得られる。本発明に用いるε-ポリリジンは、遊離の形でも塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸または酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸の塩の形であってもよい。ε-ポリリジンは遊離の形であり、上述の無機酸もしくは有機酸との塩の形であれ、その抗菌効果は本質的に差がない。
【0013】
樹脂シートにε-ポリリジンを含有する溶液を付与(例えば、塗布や噴霧などの付着)する処理工程の際、使用するε-ポリリジンを含有する溶液中のε-ポリリジン濃度は、その処理工程による付着量によって異なるが、一般的には0.001~25質量%、好ましくは0.01~20質量%の範囲であるとよい。
【0014】
また、樹脂シートにε-ポリリジンを含有する溶液を付与(例えば、塗布や噴霧などの付着)する処理工程の際、ε-ポリリジンは、単独で水等に溶解させた水溶液の形でも、また該ε-ポリリジンをエタノールなどのアルコールやアルコールを含む水溶液に溶解させた溶液の形でも用いることができる。
さらにまた、付着させる際、例えば、塗布液や、噴霧液中に、界面活性剤等を展着剤として添加したものを使用してもよい。また、その他の抗菌効果を有するグリセリン脂肪酸エステル等の材料や相乗、相加効果のある無機塩類や有機酸類、pH調整剤、アミノ酸類等を添加、併用してもよい。
【0015】
ポリジメチルシロキサンとε-ポリリジンの混合割合としては、
ポリジメチルシロキサンの含有量(乾燥固形分で換算)1質量部に対して、ε-ポリリジン(乾燥固形分で換算)を0.05~1.0質量部の割合で含有することで、本発明の目的である、透明性と離型性と抗菌性とを担保することができる。
ポリジメチルシロキサンの含有量(乾燥固形分で換算)1質量部に対して、ε-ポリリジン(乾燥固形分で換算)を0.05~0.5質量部の割合で含有することが好ましく、ε-ポリリジン(乾燥固形分で換算)を0.05~0.3質量部の割合で含有することがより好ましく、ε-ポリリジン(乾燥固形分で換算)を0.06~0.2質量部の割合で含有することがさらに好ましい。
【0016】
<抗菌性樹脂シートの製造方法>
ポリジメチルシロキサンの水分散液と、ε-ポリリジンを含有する溶液とを混合し、溶解させた混合溶液(本発明では、「ε-ポリリジンを含有する混合溶液」ともいう)を、樹脂シートに付与することで、本発明の抗菌性樹脂シートを製造することができる。
樹脂シートに溶液を付与するとは、例えば、樹脂シートに、溶液を塗布したり、溶液を噴霧することにより、樹脂シート表面に溶液を付着させ、塗膜を形成させることをいう。
これにより、樹脂シートの表面を、ポリジメチルシロキサン成分とε-ポリリジン成分とで被覆することができる。
樹脂シートにε-ポリリジンを含有する混合溶液を塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、コンマコーター、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、ナイフコーターなどの装置を用いた方法、刷毛塗り方法等を挙げることができる。なかでも均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、コンマコーター、ロールコーター、ナイフコーターによる塗布が好ましい。
ポリジメチルシロキサンとε-ポリリジンを含有するε-ポリリジンを含有する混合溶液は、樹脂シートに対し、例えば、塗布量が、5mg/m2~300mg/m2となるように塗布されることが好ましく、5mg/m2~250mg/m2となるように塗布されることがより好ましく、5mg/m2~200mg/m2となるように塗布されることがさらに好ましく、5mg/m2~150mg/m2となるように塗布されることが特に好ましい。
ε-ポリリジンを含有する混合溶液を樹脂シートに付与した後は、乾燥工程に供するとよい。
例えば、ε-ポリリジンを含有する混合溶液を樹脂シートに噴霧した後、風乾させたり、ε-ポリリジンを含有する混合溶液をスポンジロールやゴムロール等のロールコーターや、エアーナイフ等のナイフコーターを用いたり、刷毛等を用いて、樹脂シート表面に塗工し、その後、風乾させることにより、本願発明の抗菌性樹脂シートを作製することができる。
乾燥手段としては特に制限はないが、例えば、熱風乾燥機を用いることができる。
【0017】
<抗菌性樹脂シート加工>
本発明の抗菌性樹脂シートの一方の表面には、上述したように、ポリジメチルシロキサン、及びε-ポリリジンが付与されているが、他方の表面には、防曇剤や、食品に対するカビ・細菌の増殖を抑制するための抗菌剤等を適宜、付与(例えば、塗布や噴霧などの付着)してもよい。
【0018】
(抗菌性樹脂シートを用いた成形品)
本発明の成形品は、上述した本発明の抗菌性樹脂シートを二次成形してなる。
本発明の抗菌性樹脂シートの用途としては特に限定されるものではないが、成形品の透明性、離型性、及び抗菌性等に優れる観点より、本発明の抗菌性樹脂シートを熱板圧空真空成形法(直接加熱方式)又は圧空成形法、真空圧空成形法(間接加熱方式)によって、目的の容器形状に二次成形して、食品包装容器として好適に用いることができる。特に弁当容器、寿司容器、刺身容器等の食品容器の透明蓋や惣菜容器等の嵌合容器に好適に用いることができる。
本発明の成形品である抗菌性食品包装容器は、ポリジメチルシロキサンの水分散液と、ε-ポリリジンを含有する溶液とを混合し、溶解させた混合溶液を、樹脂シートに付与した後、溶液を付与した面が、食品包装容器の外側にくるよう二次成形されることにより製造することができる。
本発明では、離型面にε-ポリリジンを添加することで、透明性、離型性を維持しつつ、不特定多数の人が接触する容器外側に抗菌性を付与することができる。
【実施例0019】
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。本発明はもとより、これらの実施例の範囲に限定されるべきものではない。以下、「部」「%」は特に断りのない限り、質量基準である。
【0020】
[シート外観評価]
離型剤塗布後のシートを目視にて観察し、シートの白化の有無を評価した。
-評価基準-
◎ 塗布後のシートが白化しておらず、透明性を維持している。
〇 塗布後のシートが僅かに白化しているが、実用上支障のないレベルである。
× 塗布後のシートが白化しており、透明性が著しく低下している。
【0021】
[抗菌性評価]
JIS Z2801(フィルムを被覆する方法)に準拠して、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)、および大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)のそれぞれ菌液を接種した試験片を温度35℃、相対湿度90%以上の雰囲気下で24時間培養した。
生菌数の評価には、抗菌剤を含まない比較例1の菌液接種直後及び24時間後の生菌数を測定した。
次いで、24時間培養後の生菌数を測定した。菌液接種直後および24時間培養後の生菌数の評価には、それぞれ試験片3個を測定した。
抗菌活性値の算出には、24時間培養後の抗菌剤を含まない比較例1の生菌数の常用対数値と、24時間培養後の実施例1~実施例3や他の比較例との生菌数の常用対数値とを用いて、その差を求めた。
抗菌活性値(R)=Ut-At
Ut:24時間培養後の抗菌剤を含まない比較例1(無加工品)の生菌数の常用対数値
At:24時間培養後の実施例1~実施例3(抗菌加工品)の生菌数の常用対数値、あるいは24時間培養後の比較例2~3の生菌数の常用対数値
一般的に抗菌活性値が、2.0以上であると、抗菌性能があるとされている。
【0022】
[離型性評価]
離型剤が塗布されたシートを用いて、離型面が容器の外側になるよう熱板成形機で深さ30mm、縦100mm、横100mmの成形品を作成した。この成形品5個を積み重ね、500gの荷重を10分間かけた後、成形品の引き剥がしやすさを評価した。
-評価基準-
〇 成形品一個ずつが自重で剥がれる。
× 成形品一個ずつが自重で剥がれ難い。
【0023】
(実施例1)
水100質量部に対しε-ポリリジン25%水溶液(JNC株式会社製)0.25質量部、ジメチルポリシロキサン水分散液(ダウ東レ製SM-7025EX(固形分34%))3質量部を混合、溶解させ、離型剤(1)を得た。
次いで、表面にコーティング処理を施していない厚さ0.21mmの二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート(サンディック株式会社製「サンディックシート510」)の片面に、ロールコーター方式を用いて、塗布量が20mg/m2となるように、離型剤(1)を適宜水で希釈して塗布し、ドライヤーで乾燥して抗菌樹脂シート(1)を得た。
なお、塗布量は、フーリエ変換式赤外分光光度計(FTIR)を用いて多重内部反射法(ATR法)によりシート表面の赤外吸収スペクトルを測定し、塗布量が既知の標準サンプルより作成した検量線を基に定量分析を行うことにより求めた。
得られた抗菌樹脂シート(1)について、シート外観、抗菌性、離型性について評価した。
【0024】
(実施例2)
実施例1において、ε-ポリリジン25%水溶液(JNC株式会社製)0.4質量部に変えた以外は実施例1と同様にして抗菌樹脂シートを得、実施例1と同様の評価を行った。
【0025】
(実施例3)
実施例1において、ε-ポリリジン25%水溶液(JNC株式会社製)0.8質量部に変えた以外は実施例1と同様にして抗菌樹脂シートを得、実施例1と同様の評価を行った。
【0026】
(比較例1)
水100質量部に対しジメチルポリシロキサンとしてダウ東レ製SM-7025EX(固形分34%)3質量部を混合、溶解させ、比較離型剤(1)を得た。
実施例1の離型剤(1)を比較離型剤(1)に変更した以外は、実施例1と同様にして該比較離型剤(1)を樹脂シートに塗布した比較樹脂シートを得た。実施例1と同様の評価を行った。
【0027】
(比較例2)
実施例1において、ε-ポリリジン25%水溶液(JNC株式会社製)0.08質量部に変えた以外は実施例1と同様にして比較樹脂シートを得、実施例1と同様の評価を行った。
【0028】
(比較例3)
実施例1において、ε-ポリリジン25%水溶液(JNC株式会社製)5.0質量部に変えた以外は実施例1と同様にして比較樹脂シートを得、実施例1と同様の評価を行った。
【0029】
実施例及び比較例の評価結果を下記表1に示す。
【0030】
本発明の抗菌性樹脂シートは、透明性、離型性、及び抗菌性のすべて要求に満足のいく、樹脂シートとなる。したがって、ポリジメチルシロキサン、及びε-ポリリジンが付与されている面を、容器外側の離型面側となるよう二次成形して、食品包装容器を作製することができる。このようにして、弁当容器、寿司容器、刺身容器、惣菜容器等の食品包装容器として好適に用いることができる。