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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007573
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】製氷装置および製氷方法
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/12 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
F25C1/12 Z
F25C1/12 301A
F25C1/12 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109063
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】391043505
【氏名又は名称】アイスマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230120499
【弁護士】
【氏名又は名称】藤江 和典
(74)【代理人】
【識別番号】100201385
【弁理士】
【氏名又は名称】中安 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100207206
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 毅
(72)【発明者】
【氏名】秋山 知昭
(72)【発明者】
【氏名】秋山 怜那
(72)【発明者】
【氏名】胡 博
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製氷用の水に含まれる不純物の濃度を制御して、透明度の高い氷を製造することができる製氷装置を実現する。
【解決手段】製氷装置(1)は、内部流路(21)を液体熱媒体(20)が循環する製氷板(2)と、製氷板(2)の冷却面(22)に水を供給する水供給部(3)と、水供給部(3)が供給する水(30)を貯めると共に、水供給部(3)により供給された水(30)のうち前記冷却面(22)において氷結しなかった前記水(30)を回収する製氷水タンク(4)と、を有し、前記水供給部(3)は、前記製氷水タンク(4)の前記水(30)が所定量に減少するまで、前記冷却面(22)に前記水(30)を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部流路を液体熱媒体が循環する製氷板と、
前記製氷板の冷却面に水を供給する水供給部と、
前記水供給部が供給する前記水を貯めると共に、前記水供給部により供給された前記水のうち前記冷却面において氷結しなかった前記水を回収する製氷水タンクと、を有し、
前記水供給部は、前記製氷水タンクの前記水が所定量に減少するまで、前記冷却面に前記水を供給する、
製氷装置。
【請求項2】
さらに、前記製氷水タンクに水位センサを有し、
前記水供給部は、前記水位センサが前記所定量以下の水位を検出した場合、前記水の供給を停止する、
請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記所定量は、製氷開始時に前記製氷水タンクに貯めている前記水の量の25%又はそれ以上である、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
さらに、前記製氷水タンクに排水弁を有し、
前記水供給部が前記水の供給を停止した場合、前記排水弁から前記製氷水タンクに残った前記水を排出する、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記液体熱媒体は、エタノール水溶液である、
請求項1に記載の製氷装置。
【請求項6】
前記エタノール水溶液の濃度は、30~50重量%である、
請求項5に記載の製氷装置。
【請求項7】
前記液体熱媒体は、塩化物水溶液である、
請求項1に記載の製氷装置。
【請求項8】
前記内部流路は、前記冷却面の全面を均等に冷却するように設けられている、
請求項1に記載の製氷装置。
【請求項9】
前記内部流路は、前記冷却面の鉛直方向から見た場合、前記冷却面の80%以上を占めるように設けられている、
請求項8に記載の製氷装置。
【請求項10】
前記製氷板は、前記冷却面が鉛直方向に設けられており、
前記水供給部は、前記冷却面の上部から前記水を供給する、
請求項1記載の製氷装置。
【請求項11】
前記製氷板は、前記内部流路を挟んで対向する両側の前記冷却面を有し、
前記水供給部は、両側の前記冷却面のそれぞれの上部から前記水を供給する、
請求項10記載の製氷装置。
【請求項12】
当該製氷装置は、前記製氷板を複数有していると共に、複数の前記製氷板のうち第1の製氷板の前記冷却面と第2の製氷板の前記冷却面とが対向するように配置されており、
前記水供給部は、前記冷却面のそれぞれの上部から前記水を供給する、
請求項10記載の製氷装置。
【請求項13】
前記液体熱媒体は、前記冷却面を冷却して氷を生成するための第1の温度と、前記冷却面を温めて前記冷却面で生成した前記氷を脱落させるための第2の温度、に設定可能である、
請求項10記載の製氷装置。
【請求項14】
当該製氷装置は、前記製氷板を複数有しており、
さらに、複数の前記製氷板のうち第1の製氷板と第2の製氷板との間隙に、前記第1の製氷板の前記冷却面及び前記第2の製氷板の前記冷却面で生成した氷を脱落させるための脱氷用水を供給する脱氷用水供給部を有する、
請求項10記載の製氷装置。
【請求項15】
前記内部流路における前記液体熱媒体の温度は、摂氏マイナス15℃から摂氏マイナス5℃の範囲である、
請求項1に記載の製氷装置。
【請求項16】
製氷板、水供給部、及び製氷水タンクを有する製氷装置で氷を生成する製氷方法であって、
前記製氷水タンクに第1の所定量の水を満たし、
前記製氷板の内部流路に液体熱媒体を循環させ、
前記製氷板の冷却面に前記製氷水タンクの前記水を供給して前記冷却面に前記水を氷結させると共に、前記冷却面において氷結しなかった前記水を前記製氷水タンクに回収し、
前記製氷水タンクの前記水の量が第2の所定量以下となった場合、前記水の供給を停止し、
前記製氷水タンクに残っている前記水を排出する、
製氷方法。
【請求項17】
前記液体熱媒体を第1の温度に設定することにより、前記冷却面に前記水を氷結させ、
前記水の供給を停止した後、前記液体熱媒体を前記第1の温度よりも高い第2の温度に設定することにより、前記氷を前記冷却面から脱落させる、
請求項16記載の製氷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を凍らせて氷を製造する製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒や寒剤によって冷却された製氷ユニットの製氷面に散水することにより、製氷面上に一定の厚さまで氷を成長させた後、製氷面から氷を脱落させて氷を製造する製氷機が知られている。
例えば、特許文献1には、冷却された製氷板の製氷面上にて静止状態又は流動状態にある製氷用水を冷却して氷を徐々に成長させる製氷装置において、製氷面を樹脂又はガラスにて構成した製氷装置が記載されている。しかし、同文献に記載の製氷装置は、凝縮(放熱)、蒸発(冷却)、圧縮という冷凍サイクルに基づいて氷点下に冷却されたいわゆる一次冷媒を用いて製氷面を冷却するものである。一次冷媒として、従来、広く使われてきたフロンはオゾン層の破壊の原因として使用が制限されており、フロンに代わる一次冷媒として用いられるアンモニアは、強い毒性と悪臭のため、安全上の問題を生じる危険がある。そこで、一次冷媒によって冷却された毒性の低い二次冷媒を用いて製氷板を間接的に冷却する方式の製氷機が提案されている(例えば、特許文献2~4)。
【0003】
特許文献2には、一方及び他方の面を上下方向に向けて設けられた金属製の結氷板と、前記結氷板の一方及び他方の面に水を散布するノズルとを備え、前記結氷板は、一次冷凍サイクルにおいて冷却された低温の一次冷媒によって少なくとも氷の融点より低い温度に冷却された二次冷媒が流通する二次冷媒流通流路を有していると共に、少なくとも氷の融点より高い温度の熱媒が流通する熱媒流通流路を有している製氷機が記載されている。特許文献3には、一次冷媒によって冷却されたコールドブラインが、第1製氷板における冷却通路内を循環することにより、第1製氷板が冷却される製氷装置が記載されている。特許文献4には、寒剤すなわち二次冷媒として二酸化炭素を用いた製氷機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-264137号公報
【特許文献2】特開2018-71835号公報
【特許文献3】特開平11-325678号公報
【特許文献4】国際公開WO2020-230879号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の製氷機は、ノズルから噴出し各結氷板(製氷板)で凍ることなく下方に流れた水が原料水タンク内に蓄えられ、再び製氷用の水として用いられる。同様に、特許文献3の製氷装置も、製氷板の下方に設けられた受け槽内の水を汲みだして、製氷板の上端における表面に散布して再利用する。また、特許文献4の製氷機も、製氷面に供給された水のうち、凍らずに製氷面を伝わって落ちた過剰の水が受水部に貯められ、給水管を介して給水部から再度、製氷面に供給される。
特許文献2~4の製氷機、製氷装置のように製氷用の水を再利用する場合、不純物として含まれる酸化ケイ素(シリカ)、マグネシウム、カルシウムなどが、再利用される水中に濃縮され、製氷用の水に含まれる不純物の濃度が高くなり、氷の透明度を低下させる一因になる。
そこで、本発明は、製氷用の水に含まれる不純物の濃度を制御して、透明度の高い氷を製造することができる製氷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の製氷装置(1)は、
内部流路を「液体熱媒体」(20)が循環する製氷板(2)と、
前記製氷板の冷却面(22)に「水」(30)を供給する水供給部(3)と、
前記水供給部が供給する前記水を貯めると共に、前記水供給部により供給された前記水のうち前記冷却面において氷結しなかった前記水を回収する製氷水タンク(4)と、を有し、
前記水供給部は、前記製氷水タンクの前記水が「所定量に減少するまで」、前記冷却面に前記水を供給する。
ここで、
「液体熱媒体」とは、冷凍サイクルにおいて液体のみであり気体に変態しない熱媒体をいい、二次冷媒の場合の他、一次冷媒である場合も含む。
「水」とは、原料水を指し、例えば水道水、ミネラルウォーターの他、水に溶質が溶けた水溶液であってもよい。
「所定量に減少するまで」とは、所定量に減少したことを検出する場合の他、他の特徴を検出し、結果として所定量に減少している場合も含まれる。
【0007】
本開示の製氷装置(1)は、さらに前記製氷水タンクに水位センサを有し、
前記水供給部は、前記水位センサが前記所定量「以下」の水位を検出した場合、前記水の供給を停止する。
ここで、「以下」とは、所定量を含む場合(≧)、含まない場合(>)、のいずれの場合も含む。
【0008】
なお、特許請求の範囲、及び本項に記載した発明の構成要件に付した括弧内の番号は、本発明と後述の実施形態との対応関係を示すものであり、本発明を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、製氷水タンクから冷却面への水の供給を水が所定量に減少するまでに制限することで、不純物濃度が高くなった水が製氷用の水として用いられることを防止し、不純物による氷の透明度低下を抑えて、透明度の高い氷を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の製氷装置1の斜視図
図2】実施形態1の製氷装置1の平面図
図3】実施形態1の製氷装置1の正面図
図4】実施形態1の製氷装置1の側面図
図5】液体熱媒体が二次冷媒である場合における冷却機構の模式図
図6】実施形態1の変形例の製氷装置11の平面図
図7】実施形態1の製氷方法のフローチャート
図8】実施形態1の変形例の製氷方法のフローチャート
図9】実施形態2の製氷装置12の製氷部8を示す斜視図
図10】実施形態2の製氷装置12の平面図
図11】実施形態2の変形例の製氷装置13の要部を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図において、適宜、向きを示す参照座標としてXYZ座標を示し、共通する部材には同じ番号を付して説明を省略する。
【0012】
なお、本発明とは、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された発明を意味するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。また、少なくともかぎ括弧内の語句は、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された語句を意味し、同じく以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
特許請求の範囲の従属項に記載の構成及び方法は、特許請求の範囲の独立項に記載の発明において任意の構成及び方法である。従属項に記載の構成及び方法に対応する実施形態の構成及び方法、並びに特許請求の範囲に記載がなく実施形態のみに記載の構成及び方法は、本発明において任意の構成及び方法である。特許請求の範囲の記載が実施形態の記載よりも広い場合における実施形態に記載の構成及び方法も、本発明の構成及び方法の例示であるという意味で、本発明において任意の構成及び方法である。いずれの場合も、特許請求の範囲の独立項に記載することで、本発明の必須の構成及び方法となる。
【0014】
実施形態に記載した効果は、本発明の例示としての実施形態の構成を有する場合の効果であり、必ずしも本発明が有する効果ではない。
【0015】
複数の実施形態がある場合、各実施形態に開示の構成は各実施形態のみで閉じるものではなく、実施形態をまたいで組み合わせることが可能である。例えば一の実施形態に開示の構成を、他の実施形態に組み合わせてもよい。また、複数の実施形態それぞれに開示の構成を集めて組み合わせてもよい。
【0016】
発明が解決しようとする課題に記載した課題は公知の課題ではなく、本発明者が独自に知見したものであり、本発明の構成及び方法と共に発明の進歩性を肯定する事実である。
【0017】
1.第1の実施形態
純水以外の水をゆっくり凍らせると、水に含まれている不純物が液体側に排除されて、濃縮される。このため、例えば、コップに入れた水を凍らせると、コップの周囲の水から氷になり、濃縮された不純物により中心部付近が白濁する。不純物は、主に、シリカ(酸化ケイ素)、マグネシウム、カルシウム系の物質などからなる。
水に含まれる不純物に起因する氷の透明度低下を防いで、透明度の高い氷を製造することができる製氷装置として本発明を実施する態様について以下に説明する。
【0018】
図1、2、3及び4はこの順に、本実施形態の製氷装置1の斜視図、平面図、正面図及び側面図である。これらの図に示すように、製氷装置1は、製氷板2、水供給部3及び製氷水タンク4を有している。製氷装置1は、製氷板2を縦配置し、製氷板2の冷却面22の上部から、水供給部3により水30を流下し、時間経過と共に製氷板2の冷却面22からY方向に氷を成長させて、透明な氷を作るものである。
【0019】
製氷板2は、その内部に、液体熱媒体20が循環する内部流路21を備えており、例えばステンレス等の耐食性に優れた金属、樹脂、ガラスなどにより形成される。製氷板2の内部流路21は2本の管に接続されており、それぞれ液体熱媒体20の内部流路21への導入口23及び内部流路21からの排出口24となる。
【0020】
水30が低温の冷却面22において氷となって成長すると、冷却面22に強固に接着される。理由は水分子が冷却面22に吸着し、冷却面22を覆うように広がることで、冷却面22と水分子との間に水素結合が形成されるためである。この水素結合は、冷却面22と水30の分子との間に強い引力を生み出し、冷却面22と水分子が強固に接着する原因となる。
【0021】
内部流路21における液体熱媒体20の温度は、摂氏マイナス15℃から摂氏マイナス5℃の範囲である。液体熱媒体20の温度が高すぎると製氷時間が長くなり、低すぎると氷結速度が早くなって製氷時にヒビが生じ、白濁が発生して氷の透明度が低下する。エネルギー効率の観点から、液体熱媒体20の温度は摂氏マイナス10℃から摂氏マイナス7℃が好ましい。
【0022】
内部流路21は、製氷板2の冷却面22の全面を均等に冷却するように設けられている。製氷板2内の内部流路21には、3つのレール状のガイド部211~213が設けられている。各ガイド部211~213は、X方向に平行に設けられており、またZ方向に等間隔で配置されている。
【0023】
図3に示すように、Y方向に見たとき、ガイド部211及び213は、内部流路21における、X1方向の端からX2方向の端の手前まで設けられている。ガイド部212は、内部流路21における、X2方向の端からX1方向の端よりも手前まで設けられている。
図4に示すように、X方向に見たとき、ガイド部211~213はそれぞれ、内部流路21のY方向における内部流路21の両側の端まで設けられている。
【0024】
導入口23から導入された液体熱媒体20は、内部流路21において、ガイド部213のZ1側をX2方向の端まで移動する。そこから、ガイド部212とガイド部213との間をX1方向の端まで移動する。さらに、ガイド部211とガイド部212との間をX2方向の端まで移動した後、ガイド部211のZ2側をX1方向の端まで流れてから、排出口24から排出される。
【0025】
上述したように、製氷板2では、内部空間に配置したレール状のガイド部211~213により内部流路21を形成して液体熱媒体20の流れを制御している。この構成により、製氷板2の内部空間に管を配置した場合よりも、冷却面22において内部流路21が占める割合を大きくすることができる。したがって、内部流路21は、冷却面22の鉛直方向(Y方向)から見た場合、冷却面22の80%以上、望ましくは90%以上を占めるように設けることが可能になるため、製氷板2の冷却面22の全面を均等に冷却できる。
【0026】
製氷板2は、冷却面22が鉛直方向(Z方向)に平行に設けられており、水供給部3により冷却面22の上部22Uから水30を供給する。製氷板2の冷却面22を鉛直方向(垂直)に設けて、上部から水を供給することにより、製氷板2の冷却面22の全面に水流を形成して、Y方向に氷を成長させることができる。
製氷装置1は、2つの製氷板2がそれぞれ、1面(片面)のみに冷却面22を備えているが、1つの製氷板2の両面をそれぞれ冷却面22として用いてもよい。
【0027】
水供給部3は、製氷水タンク4の循環ポンプ41により給水管42を介して供給された水30を、製氷板2の冷却面22に供給する。水供給部3は、例えば複数のノズルなどにより構成され、製氷板2の冷却面22に対して、X方向に均一に水30を供給する。水供給部3による水30の供給は、製氷水タンク4の水30が所定量に減少するまで行われる。
【0028】
製氷水タンク4は、水供給部3により冷却面22に供給する水30を貯めると共に、水供給部3により供給された水30のうち冷却面22において氷結しなかった水30を回収する。製氷装置1では、氷結しなかった水30は、冷却面22の下方に設けられた水受け樋43を介して、水回収部44から製氷水タンク4に回収される。回収された水30は、給水管42を介して、再度、水供給部3に供給される。
【0029】
製氷水タンク4は、水位センサ45を有しており、製氷水タンク4中の水30の水位を検知できる。水供給部3は、製氷水タンク4の水位が所定量以下であると水位センサ45によって検出された場合、水30の供給を停止する。
【0030】
所定量は、製氷水タンク4の容量、製氷板2の製氷面に形成される氷の容量に応じて、製氷に用いられる水30に含まれる不純物が氷の透明性を低下させない濃度以下となるように設定すればよい。例えば、製氷開始時において製氷水タンク4に貯めている水30の量を100%としたとき25%又はそれ以上を所定量とする。望ましくは30%又はそれ以上の所定量であるとよい。
なお、液体熱媒体20の温度により所定量を調整するようにしてもよい。液体熱媒体20の温度が低い程冷却速度が遅くなり、不純物が氷から排斥されやすくなるので、より透明な氷を作ることができる。例えば液体熱媒体20の温度が高くなるほど所定量を少なくすればよい。
【0031】
水30は、水道水やミネラルウォーター等の他、より透明度を上げるために、純水を用いてもよい。また、清涼飲料水、ジュース、茶、コーヒー、アルコール飲料等の水溶液であってもよい。
【0032】
製氷水タンク4は、排水弁46を有し、水供給部3が水30の供給を停止した場合、排水弁46から製氷水タンク4に残った水30を排出する。
上述したように、水供給部3により製氷板2の冷却面22に供給した水30のうち、氷結しなかった水30を製氷水タンク4に回収し、循環ポンプ41を用いて再度水供給部3に供給する。水30の循環を、水30に含まれる不純物の濃度が氷の透明度が低下する濃度に達するまでに制限することで、製氷板2の冷却面22には、不純物濃度が低い水によって氷が形成される。このため、不純物に起因して氷の透明度が低下することが抑えられた透明度の高い氷を製造することができる。氷が形成された後に、製氷水タンク4中に残っている不純物が濃縮された水30を廃棄する。
【0033】
所定量になるまで水供給部3と製氷水タンク4との間で水30を循環させることにより、水30を無駄にすることなく自動的に氷を製造できる。また、水30に含まれる不純物が所定濃度になる量を所定量とし、所定量になった時点で循環を停止すれば、不純物の含有量が低い透明度の高い氷を製造することができる。
【0034】
図2に示すように、製氷装置1は、製氷板(第1の製氷板)2Aと製氷板(第2の製氷板)2Bを有している。製氷装置1は、製氷板2Aと製氷板2Bとの間隙に、製氷板2Aの冷却面22及び製氷板2Bの冷却面22で生成した氷を脱落させるための脱氷用水50を供給する脱氷用水供給部5を有する。製氷板2の冷却面22と反対側の表面(以下、適宜「裏面」ともいう)である、製氷板2AのY1側の表面及び/又は製氷板2BのY2側の表面に温水を供給することにより冷却面22で生成した氷を溶かして、製氷板2A、2Bから氷を取り外すことができる。製氷装置1では、2つの冷却板製氷板2A、2Bを1セットとして、両者の裏面の間に脱氷用水を流して剥離落下させる方式を採用している。
【0035】
製氷装置1は、脱氷用水タンク6を備えている。脱氷用水タンク6は、循環ポンプ61を用いて給水管62を介して脱氷用水供給部5に供給する脱氷用水50を貯めると共に、脱氷用水供給部5から製氷板2の冷却面22の裏面に供給された脱氷用水50を回収する。製氷装置1では、脱氷用水50は、冷却面22の裏面の下方に設けられた水受け樋63を介して、脱氷用水回収部64から脱氷用水タンク6に回収される。
【0036】
最初に供給される脱氷用水50及び回収された脱氷用水50は、必要に応じて、脱氷用水タンク6が備えるヒータ65により脱氷用水50を脱氷に適した温度に加熱されてから脱氷用水供給部5に供給される。なお、脱氷時に氷を溶かすために好適な脱氷用水50の温度は、摂氏20℃程度である。このため、ヒータ65による加熱が必要となるのは、例えば、製氷装置1が寒冷地で用いられる場合などである。
【0037】
上述したように、製氷装置1により製造された氷は、製氷が完了した後に自動的に製氷板2の冷却面22から剥離され、冷却面22の下方(Z1方向)に設けられたスライダ部7により受けられる。そして、剥離した氷は、重力により自動的にスライダ部7の傾斜に沿って滑って移動し、図示しない氷保管部に保存される。製氷装置1では、二つの製氷板2A、2Bの二つの冷却面22で製氷するため、効率良く製氷することができる。
【0038】
図5は液体熱媒体が二次冷媒である場合における、製氷装置1の冷却機構、冷凍サイクルの模式図である。
内部流路21は、製氷板2の下側に設けられた導入口23と、上側に設けられた排出口24とを有している。導入口23から寒剤としての液体熱媒体20が注入されると、液体熱媒体20は、内部流路21に沿って移動した後、排出口24から排出される。その間に、液体熱媒体20によって製氷板2の冷却面22が冷却される。内部流路21の導入口23は、ポンプ25を介して液体熱媒体導出部26Bに接続されている。ポンプ25は、寒剤である液体熱媒体20を加圧して配管を通じて内部流路21の導入口23に供給する。内部流路21の排出口24は、配管を介して蒸発器26(熱交換器)の液体熱媒体導入部26Aに接続されている。
【0039】
冷媒膨張弁直後の蒸発器26(積層プレート式熱交換器)内で二次冷媒である液体熱媒体20が設定した温度に冷却され維持される。熱を放出した一次冷媒はガスとなり圧縮機27で高温高圧になりコンデンサー28内で冷却され出口を出る頃には液化し高圧は維持されて図示しない膨張弁に送られる循環運転となる。蒸発器26内で熱交換した液体熱媒体20(例えばアルコール水溶液)は、摂氏マイナス7℃から摂氏マイナス10℃の間の温度に保たれ、製氷板2内を連続して循環する。一次冷媒はその種類を問わない。
【0040】
上述したように、二次冷媒としての液体熱媒体20を内部流路21に供給し、循環させることにより、液体熱媒体20が内部流路21において蒸発しない。内部流路21において温度の急激な変化が生じないため、内部流路21の全長に亘って冷却のムラが生じにくく、冷却中における製氷板2の冷却面22の温度変化を抑えられる。したがって、広い冷却面22の全域に亘って温度分布及び冷却をほぼ均一にすることができ、水供給部3から供給される水30を冷却面22のほぼ全域に亘って均一の厚さで凍らせることができる。
【0041】
液体熱媒体20を二次冷媒として用いる間接冷却方式を採用することにより、製氷面に大きな温度変化を与えない冷却ができる。これにより氷の品質が低下することを抑制できる。また、氷結速度が均一であるため、品質及び厚さが均一な氷を製造できる。
【0042】
製氷板2の内部流路21を流れる二次冷媒としての液体熱媒体20は、氷結又は高粘度化しない液体に限られる。また、製氷効率を上げるために比熱が高いことも重要である。これらの観点から好ましい液体熱媒体20として、エタノール水溶液が挙げられる。エタノール水溶液は、金属などに対する腐食性が低いため、製氷装置1が腐食するリスクが低く、また、毒性が低いという特長がある。
【0043】
エタノール水溶液の濃度は、氷結点と粘度とのバランスをとる観点から、30~50重量%が好ましく、30~40重量%がより好ましい。液体熱媒体20として、上記濃度のエタノール水溶液を用いることにより、製氷板の内部流路における流動性を維持しつつ、製氷板の表面を氷の成長に適した温度に冷却することができる。
【0044】
エタノール水溶液以外の液体熱媒体20として、塩化物水溶液が挙げられる。塩化物水溶液は安価であるため、製氷コストが低くなるという点において好ましい。塩化物水溶液として、例えば塩化ナトリウム水溶液(食塩水)(NaCl)、塩化カリウム水溶液(KCl)、塩化カルシウム水溶液(CaCl)、塩化マグネシウム水溶液(MgCl)が挙げられる。
【0045】
(変形例1)
図6は変形例1の製氷装置11の平面図である。製氷装置11は、製氷板2が内部流路21を挟んで対向する両側すなわちY1側及びY2側にそれぞれ、冷却面22a及び冷却面22bを有している構成において、製氷装置1と異なっている。製氷装置11の水供給部3は、両側の冷却面22A、22Bのそれぞれの上部22Ua、22Ubから水30を供給する。製氷板2の両側の表面を冷却面22a、22bとして用いることにより、製氷板2の片側の表面のみを冷却面として用いる場合よりも効率よく氷を製造できる。
【0046】
また、製氷装置11は、冷却面22で生成した氷を脱落させるための脱氷用水50を供給する脱氷用水供給部5及び脱氷用水タンク6を有していない構成においても、製氷装置1と異なっている。このため、液体熱媒体20は、冷却面22を冷却して氷を生成するための第1の温度T1と、冷却面22を温めて冷却面22で生成した氷を脱落させるための第2の温度T2、に設定可能となっている。液体熱媒体20の温度を変更することにより、脱氷用水50を用いないで冷却面22の氷を溶かし、製氷板2から氷を取り外すことができる。例えば、第1の温度T1は摂氏マイナス15℃から摂氏マイナス5℃、第2の温度T2は摂氏10℃から摂氏20℃、望ましくは摂氏10℃程度に設定される。
【0047】
(変形例2)
本実施形態1の製氷装置1や、変形例1の製氷装置11は、複数個並べて用いるようにしてもよい。すなわち、隣接する製氷装置の製氷板の冷却面を対向するように配置して氷を両サイドから成長させることで、ブロックアイス(角氷ともいう。)等に用いられる厚みのある氷を効率よく製造することができる。このような例は第2の実施形態で詳しく述べる。
【0048】
(製造方法)
図7は本実施形態の製氷板、水供給部、及び製氷水タンクを有する製氷装置で氷を生成する製氷方法のフローチャートである。同図に示すように、本実施形態の製氷方法は、製氷水タンクに第1の所定量の水を満たし(S10)、製氷板の内部流路に液体熱媒体を循環させる(S20)。そして、製氷板の冷却面に製氷水タンクの水を供給して冷却面に前記水を氷結させると共に、冷却面において氷結しなかった水を製氷水タンクに回収する(S30)。製氷水タンクの水の量が第2の所定量以下となった場合、水の供給を停止し(S40)、製氷水タンクに残っている水を排出し(S50)、脱氷用水により、製氷板の冷却面から氷を剥離させる(S60)。
【0049】
図1図4に示す製氷装置1を用いて、上記製造方法を実施する場合について、以下説明する。
S10において、製氷水タンク4及び脱氷用水タンク6に水を投入し、製氷水タンク4の水位センサ45及び脱氷用水タンク6の水位センサ66で満水を検知した後、製氷装置1の運転が開始する。
【0050】
S20において、製氷水タンク4から製氷板2の内部流路21に液体熱媒体20が供給される。同時に、図5に示す、ポンプ25、蒸発器26、圧縮機27及び凝縮器28を備えた冷凍機が運転を開始して、製氷板2の内部流路21を循環している液体熱媒体20を冷却し始める。通常、冷凍機が運転を開始してから、1~2分間程度で、内部流路21の液体熱媒体20は所定の温度に到達する。
【0051】
S30において、製氷水タンク4の循環ポンプ41により製氷用の水30が水供給部3に供給されて、冷却面22の上部22Uから下方(Z1方向)に流れ、冷却面22で氷結しなかった水30は水受け樋43、水回収部44を経て、製氷水タンク4に回収される。そして、水30が再度、水供給部3に供給され、循環する。
【0052】
S20及びS30において、製氷板2の内部流路21に液体熱媒体20が流れ、外側の冷却面22に水30が循環することにより、水30の一部が氷結して氷が少しずつ冷却面22に成長する。
【0053】
S40において、製氷水タンク4の水の量が第2の所定量以下となったこと、すなわち製氷水タンク4における水30の容量の下限に達したことを、水位センサ45が検知したら、製氷水タンク4から水供給部3への水30の供給を停止する。
【0054】
S50において、製氷水タンク4の排水弁46を開いて、循環によって不純物が濃縮され、運転開始時よりも不純物濃度が高くなった水30を排出する。
【0055】
S60において、脱氷用水タンク6の循環ポンプ61を運転開始し、脱氷用水タンク6から脱氷用水供給部5に脱氷用水50を供給する。給水管62を介して脱氷用水供給部5に供給された脱氷用水50は、水受け樋63を介して、脱氷用水回収部64から脱氷用水タンク6に戻り循環する。通常、脱氷用水50の供給が開始してから、2分以内に製氷板2の冷却面22から氷が剥離して落下し、製氷板2の下方に設けられたスライダ部7の上をゆっくりと滑って、回収される。
【0056】
上述したS10~S60が製氷から脱氷までの1サイクルであり、このサイクルを繰り返すことで、自動的に製氷することができる。1サイクルに要する時間は、製氷装置1が設置された環境の温度にもよるが、雰囲気温度が摂氏0℃から摂氏5℃程度の場合、氷厚30mmに達するまでに通常、3~4時間程度である。
雰囲気温度を摂氏0℃から摂氏5℃に保つために、例えば製氷装置1を、製氷装置1が収納可能な大きさの冷蔵庫に収めるようにしてもよい。
【0057】
S10において、製氷水タンク4に貯水される水30は、S60において回収する氷の重100重量部よりも1~2割程度多い110~120重量部とする。そして、S40において、水30の量が第2の所定量以下となったことが検知されると、水供給部3への水30の供給を停止し(S50)、製氷水タンク4に残っている水30を排出する。このため、循環により不純物の含有量が高くなった水30が、S20、S30において、製氷板2の冷却面22上の氷結に用いられることがない。したがって、不純物の影響が抑えられた透明度が高い氷を製造することができる。
【0058】
(製造方法の変形例)
図8は本実施形態の変形例の製氷方法のフローチャートである。
同図には、液体熱媒体が冷却面を冷却して氷を生成するための第1の温度T1と、冷却面を温めて冷却面で生成した氷を脱落させるための第2の温度T2、に設定可能な場合の製氷方法を示している。この製氷方法は、液体熱媒体を第1の温度T1に設定することにより、冷却面に前記水を氷結させ(S21)、水の供給を停止した後、液体熱媒体を第1の温度T1よりも高い第2の温度T2に設定することにより、氷を前記冷却面から脱落させる(S61)。
【0059】
図6に示す製氷装置11を用いて、上記製造方法を実施する場合について、以下説明する。S10、S30、S40及びS50は、図1図4に示す製氷装置1を用いた場合と同じであるため、説明を省略する。
【0060】
S21において、製氷板2の内部流路21に液体熱媒体20が供給される。この際、液体熱媒体20を冷却面22の水30を氷結させる第1の温度T1に設定し、冷凍機の運転を開始する。
【0061】
S61において、製氷板2の内部流路21に液体熱媒体20が供給される。この際、液体熱媒体20を冷却面22の氷を溶かして剥離させることができる第2の温度T2に設定する。これにより、冷却面22の氷は剥離落下し、製氷板2の下方に設けられたスライダ部7の上をゆっくりと滑って、回収される。
液体熱媒体20を第1の温度T1と第2の温度T2と、に設定可能な構成とすることで、脱氷用水50を用いずに、冷却面22の氷を剥離、落下させて、回収することができる。
【0062】
2.第2の実施形態
第1の実施形態では、液体熱媒体により冷却された製氷板の製氷面に散水し、各製氷面上に氷を成長させ、離脱させる製氷装置について説明した。
本実施形態では、製氷板の製氷面により挟まれた領域において、氷を両サイドから成長させることで、ブロックアイス等に用いられる厚みのある氷を効率よく製造することができる製氷装置として、本発明を実施する態様について説明する。
【0063】
ブロックアイスは、通常一貫目(3.5kg)単位で取引され、36貫目(135kg)のサイズの透明な角柱氷から加工される。透明なブロックアイスの需要は増加傾向にあるが、加工前の角柱氷は製氷工場で人的作業を伴って製造されており、販売価格における人件費が占める割合が高い。このため、製造時の人的作業の負担軽減が求められている。製氷板に挟まれた領域にブロック形状の氷を生成する本実施形態の製氷装置によれば、かき氷、BARのボールアイス、食材の保冷などに用いられる透明なブロックアイスに加工される角柱氷を効率よく製造して、人的作業の負担を軽減することができる。
【0064】
図9は、本実施形態の製氷装置12の製氷部8を示す斜視図である。
図10は、本実施形態の製氷装置12の平面図である。
これらの図に示すように、製氷装置12の製氷部(製氷板)8は、2つの製氷板(第1の製氷板)2A及び製氷板(第2の製氷板)2Bを備えており、製氷板2Aの冷却面22Aと、製氷板2Bの冷却面22Bとが対向するように配置されている。水供給部3は、2つの製氷板2A及び2Bに挟まれた領域に配置されており、冷却面22A、22Bそれぞれの上部22UA、22UBから水30を供給する。2つの製氷板2の冷却面22により挟まれた領域において、氷を両サイドから成長させることで、厚みのある氷を効率よく製造できる。
【0065】
製氷部8は、製氷板2Aと製氷板2Bとの間のX方向の両端にそれぞれ壁29を備えている。壁29はステンレスなどの金属板により構成され、壁29の内部には液体熱媒体20を通過させる内部流路21が設けられていない。このため、製氷板2Aの冷却面22Aと製氷板2Bの冷却面22Bとの間に形成される氷はY方向に成長し、壁29はX方向の形状を規定するのみである。したがって、製氷部8内の氷は、Y方向に成長し結晶の成長方向がそろった透明度の高いものとなる。
【0066】
製氷部8内に所定の大きさの氷が形成されると、導入口23から、製氷板2A及び製氷板2Bの内部流路21に第2の温度の液体熱媒体20を導入して、製氷部8内の氷を剥離させる。この際、剥離した氷をスライダ部71で受ける必要があるため、スライダ部71と製氷部8との間に水受け樋43(図1~4参照)に相当する部材を設けることができない。
【0067】
そこで、製氷装置12では、冷却面22A及び冷却面22Bにおいて氷結しなかった水30を再利用するためにスライダ部71を用いる。氷結しなかった水30は、スライダ部71によって受けられ、スライダ部71のX1側の端部近傍のパンチング部72を経て、パンチング部72の下(Z1側)に設けられた製氷水タンク4に回収される。X1側に設けたパンチング部72から水30を回収するため、スライダ部71は、X2側よりもX1側が低くなっている(図11参照)。パンチング部72を設けることにより、Z方向に見たときに、スライダ部71と重なる位置に製氷水タンク4を設置できるため、製氷装置12がコンパクトになる。また、剥離した氷を回収する際に用いる、図示しない氷保管部の設置が容易になる。
【0068】
(変形例)
図11は、本実施形態の変形例としての製氷装置13の要部を示す斜視図である。同図に示すように、製氷装置13の製氷部(製氷板)9は、複数の製氷板2A、2B、2C及び2Dを備えている。製氷板2AはY1側の面が冷却面22A1、製氷板2DはY2側の面が冷却面22D2として用いられる。製氷板2Aと2Dとの間に設けられている、製氷板2BはY1側及びY2側の両面が冷却面22B1、22B2として、製氷板2CはY1側及びY2側の両面が冷却面22C1、22C2として用いられる。図11では記載を省略した水供給部3から水30が供給され(図9参照)、Y方向に隣接する製氷板2の間の領域にそれぞれ氷が形成される。このように複数の領域のそれぞれで氷柱を形成することで、効率よく氷柱を製造することが可能になる。
3.総括
【0069】
以上、本発明の各実施形態における製氷装置等の特徴について説明した。
【0070】
各実施形態で使用した用語は例示であるので、同義の用語、あるいは同義の機能を含む用語に置き換えてもよい。
【0071】
各実施形態に記載した処理、フロー、及び方法として把握できる機能ブロック、については、一のステップでその前段の他のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0072】
各実施形態、及び特許請求の範囲で使用する、第1、第2、乃至、第N(Nは整数)、の用語は、同種の2以上の構成や方法を区別するために使用しており、順序や優劣を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の製氷装置は、透明度の高い氷を効率よく製造することができ、製造時の人的作業の負担軽減するために有効である。
【符号の説明】
【0074】
1、11、12、13:製氷装置 2、2A、2B、2C、2D:製氷板 20:液体熱媒体 21:内部流路 211、212、213:ガイド部 22、22A、22B、22a、22b、22A1、22B1、22B2、22C1、22C2、22D2:冷却面 22U、22UA、22UB、22Ua、22Ub:上部 23:導入口 24:排出口 25:ポンプ 26:蒸発器 26A:液体熱媒体導入部 26B:液体熱媒体導出部 26C:一次冷媒導出部 26D:一次冷媒導入部 27:圧縮機 28:凝縮器 28A:冷媒導入部 28B:導出部 29:壁 3:水供給部 30:水 4:製氷水タンク 41:循環ポンプ 42:給水管 43:水受け樋 44:水回収部 45:水位センサ 46:排水弁 5:脱氷用水供給部 50:脱氷用水 6:脱氷用水タンク 61:循環ポンプ 62:給水管 63:水受け樋 64:脱氷用水回収部 65:ヒータ 66:水位センサ 7、71:スライダ部、72:パンチング部 8、9:製氷部(製氷板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11