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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007575
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/40 20060101AFI20250109BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20250109BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20250109BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20250109BHJP
   B23D 25/12 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B26D1/40 502B
B26D1/40 502G
B26D1/40 502D
B26D7/02 B
B26D7/08 D
B26D7/20
B23D25/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109065
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友一
【テーマコード(参考)】
3C021
3C039
【Fターム(参考)】
3C021CA03
3C021GA01
3C021GA07
3C039EA32
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を抑制しつつ好適に処理対象を切断できる切断装置を提供する。
【解決手段】切断装置1において、アンビルローラ10は、帯状の薄板材である処理対象の搬送方向に対して垂直な回転軸に沿って回転可能であって、水平方向に延伸して、処理対象の下面を支持する円筒状の支持面を有する。ローラカッター20は、アンビルローラ10の上方において水平方向に延伸しアンビルローラ10に連動して回転するカッター軸21と、カッター軸21に立設しており回転しながら処理対象を上面側から切断する切刃22と、を有する。ローラカッター20の回転軸は、鉛直方向から見た場合に、アンビルローラ10の回転軸に対して傾斜している。切刃22は、鉛直方向から見た場合に、処理対象に接触する位置においてアンビルローラ10の回転軸と平行になるようにカッター軸に立設している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の薄板材である処理対象の搬送方向に対して垂直な回転軸に沿って回転可能であって、水平方向に延伸して、前記処理対象の下面を支持する円筒状の支持面を有するアンビルローラと、
前記アンビルローラの上方において水平方向に延伸し前記アンビルローラに連動して回転するカッター軸と、前記カッター軸に立設しており回転しながら前記処理対象を上面側から切断する切刃と、を有するローラカッターと、を備え、
前記ローラカッターの回転軸は、鉛直方向から見た場合に、前記アンビルローラの回転軸に対して傾斜しており、
前記切刃は、鉛直方向から見た場合に、前記処理対象に接触する位置において前記アンビルローラの回転軸と平行になるように前記カッター軸に立設している、
切断装置。
【請求項2】
前記ローラカッターは、前記カッター軸の延伸方向の一方側の端部における前記切刃の刃先が、他方側の端部における前記切刃の刃先より先に前記処理対象に接触する、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記アンビルローラは、前記処理対象の切断部の近傍において前記処理対象を吸引するための吸引孔を有している、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項4】
前記アンビルローラは、前記カッター軸の一端側から他端側へ向かって所定の回転角の範囲において前記処理対象を逐次連続して切断した前記切刃を受け入れる可撓性および復元性を有する受け部または前記切刃が入り込む溝部のいずれかを有している、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項5】
前記ローラカッターは、前記切刃の近傍かつ前記カッター軸の延伸方向の少なくとも端部において前記切刃が前記処理対象に接触する際に前記処理対象を前記支持面に押圧可能な弾性体を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料等から構成される帯状ないしロール状の薄板から所定形状の薄帯片を製造する技術が存在する。
【0003】
例えば、ロータリーダイカッターを用いて、切刃と溝を含むダイロールとアンビルロールの間で薄帯材を挟圧しながら、切刃を溝に隙間を有した状態で篏合させて薄帯材を切断し、薄帯片を打ち抜く技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-032897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の技術を用いて幅広の薄板材を搬送方向に対し直角なラインで切断する場合、切断するための荷重(切断荷重)は、薄板材の幅に応じて大きくなる。一方、切断荷重が大きくなると、切刃を薄板材が押し切るための切断力や、切刃を支持する構造体の剛性が不足する可能性がある。しかし、この現象を抑制するために、アンビルローラとローラカッターを大径化すると、設備の大型化およびコストの増大につながり好ましくない。
【0006】
本開示はこのような課題を解決するために成されたものであって、装置の大型化を抑制しつつ好適に処理対象を切断できる切断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる切断装置は、アンビルローラとローラカッターとを有している。アンビルローラは、帯状の薄板材である処理対象の搬送方向に対して垂直な回転軸に沿って回転可能であって、水平方向に延伸して、処理対象の下面を支持する円筒状の支持面を有する。ローラカッターは、アンビルローラの上方において水平方向に延伸しアンビルローラに連動して回転するカッター軸と、カッター軸に立設しており回転しながら処理対象を上面側から切断する切刃と、を有する。ローラカッターの回転軸は、鉛直方向から見た場合に、アンビルローラの回転軸に対して傾斜している。切刃は、鉛直方向から見た場合に、処理対象に接触する位置においてアンビルローラの回転軸と平行になるようにカッター軸に立設している。
【0008】
上記構成により、ローラカッターが有する切刃は、刃先が処理対象に接触するタイミングを刃先の位置に応じてずらすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、装置の大型化を抑制しつつ好適に処理対象を切断できる切断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる切断装置の上面図である。
図2】実施の形態にかかる切断装置の正面図である。
図3】実施の形態にかかる切断装置の側面方向の断面図である。
図4】切断装置の切断動作を説明するための図である。
図5】切断装置の切刃の形態のバリエーションを示す図である。
図6】切断装置の押さえ部の形態のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
<実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態にかかる切断装置1の上面図である。図2は、実施の形態にかかる切断装置1の正面図である。
【0013】
なお、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものとして、本開示におけるそれぞれの図面には、右手系の直交座標系が付されている。図1のX軸、Y軸、およびZ軸方向と、図2以降におけるこれらの直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸方向はそれぞれ一致している。
【0014】
本開示にかかる切断装置1は、帯状の薄板材である処理対象90を短冊状に切断する。処理対象90は例えば薄板状の金属であってもよいし、樹脂であってもよい。また処理対象90は金属と樹脂とが層状に構成されたものであってもよい。処理対象90は、原反またはウェブ(WEB)とも称され得る。切断装置1は、アンビルローラ10とローラカッター20とを有している。
【0015】
アンビルローラ10は、帯状の薄板材である処理対象90の搬送方向に対して垂直な回転軸に沿って回転可能であって、水平方向に延伸して、処理対象90の下面を支持する円筒状の支持面111を有する。
【0016】
アンビルローラ10は、アンビル軸11の両端をアンビル支持部12が回転可能に支持している。アンビル支持部12はアンビル軸11を滑らかに回転させるための軸受け121を含む。またアンビルローラ10はアンビル軸11を駆動するためのアンビル駆動モータ13を有している。アンビル駆動モータ13は両端がアンビル支持部12により支持されているアンビル軸11をアンビル軸中心C10を回転中心として回転させる。なお、アンビル軸中心C10はX軸と平行な軸である。
【0017】
アンビル軸11は、支持面111と受け部112とを有している。支持面111は回転しながら処理対象90の下面に接触して処理対象90を搬送する。切断装置1はY軸プラス側からY軸マイナス側へ向かって処理対象90を搬送する。
【0018】
受け部112は、アンビルローラ10の上方でアンビルローラ10に対応して回転するローラカッター20が有する切刃22を受け止める。すなわち受け部112は処理対象90の切断部分を支持する。
【0019】
ローラカッター20は、アンビルローラ10の上方において水平方向に延伸しアンビルローラ10に連動して回転するカッター軸21と、カッター軸21に立設しており回転しながら処理対象90を処理対象90の上面側から切断する切刃22と、を有する。
【0020】
ローラカッター20は、カッター軸21の両端を回転可能に支持するカッター軸支持部23を有している。カッター軸支持部23は、アンビル支持部12の上面にボルト等の締結部材により固定されている。カッター軸支持部23は、カッター軸21が滑らかに回転させるための軸受け231を有している。またローラカッター20は、カッター軸21を駆動するためのカッター軸駆動モータ24を有している。カッター軸駆動モータ24と上述のアンビル駆動モータ13とは、処理対象90を所望の位置で切断可能に互いに対応した動作をする。すなわち切断装置1は、切刃22と受け部112とが処理対象90を挟み込んで切断するようにカッター軸駆動モータ24とアンビル駆動モータ13を制御する。本実施の形態にかかる切断装置1は、受け部112がアンビル軸11の上死点に位置するときに、カッター軸21の切刃22が下死点に位置するように構成されている。
【0021】
ローラカッター20の回転軸であるカッター軸中心C20は、鉛直方向から見た場合に、アンビルローラ10の回転軸であるアンビル軸中心C10に対して傾斜している。すなわち図1に示すとおり、アンビル軸中心C10とカッター軸中心C20とは、上方から下方に向かって観察したときに、傾斜角N1を有している。
【0022】
切刃22は、鉛直方向から見た場合に、切刃22が処理対象90に接触する位置においてアンビルローラ10の回転軸(つまりアンビル軸中心C10)と平行になるようにカッター軸21に立設している。換言すると、カッター軸21は、カッター軸21の回転中心であるカッター軸中心C20と傾斜角N1を有する状態で切刃22を保持している。
【0023】
上記構成により、ローラカッター20が有する切刃22は、の刃先が処理対象に接触するタイミングを刃先の位置に応じてずらすことができる。
【0024】
次に、図3を参照して切断装置1が処理対象90を切断する部分の構成について詳細を説明する。図3は、実施の形態にかかる切断装置1の側面方向の断面図である。
【0025】
切断装置1において、アンビルローラ10は、処理対象90の切断部の近傍において処理対象90を吸引するための吸引孔114を有している。吸引孔114は、アンビル軸11の内部に設けられた孔を介して、アンビル軸11の外部に設けられたポンプ115に接続している。これにより、ポンプ115が駆動すると、吸引孔114は空気を吸引する。そのため、アンビル軸11が回転し、処理対象90が吸引孔114を塞いだ場合には、吸引孔114は処理対象90を保持するための力を発揮する。
【0026】
これにより、切断装置1は、処理対象90をアンビルローラ10に保持した状態で切断する。そのため、切断装置1は、処理対象90を切断する位置のばらつきを抑えることができる。また上述した構成により、切断装置1は、切断が完了した直後も処理対象90を保持できる。そのため、切断装置1は、切断した処理対象90を後工程に受け渡す場合に位置精度の低下を抑制できる。
【0027】
切断装置1において、アンビルローラ10は、受け部112を有している。受け部112は切断装置1が処理対象90を切断する際に、切断部における処理対象90の下面を支持する。受け部112は、ゴム、ウレタン、エラストマ等の弾性を有する素材により形成される。これにより受け部112は、切刃22が処理対象90の上方から下方へ向かって移動してきた場合に、切刃22が処理対象90に接触して生じる切断力を好適に受け止めつつ、処理対象90にかかる圧力を好適に分散させる。なお、受け部112の表面は、支持面111である。
【0028】
また切断装置1において、アンビルローラ10は、カッター軸21の一端側から他端側へ向かって所定の回転角の範囲において逐次連続して処理対象90を切断した切刃22が入り込む溝部113を有している。溝部113は、受け部112に形成された凹部である。これにより、切断装置1は、ローラカッター20の回転に伴い処理対象の下面よりも下に突出する切刃を許容する。
【0029】
またローラカッター20は、切刃22の近傍かつカッター軸21の延伸方向の少なくとも端部において切刃22が処理対象90に接触する際に処理対象90を支持面111に押圧可能な弾性体である押さえ部25を有する。押さえ部25は、ゴム、ウレタン、エラストマ等の弾性を有する素材により形成される。これにより、切断装置1は、処理対象を安定した状態で切断できる。また上述の構成により、切断装置1は、切刃22が処理対象90を押し切る際に、処理対象90が溝部113へ引き込まれる挙動を抑制できる。
【0030】
次に、図4を参照して処理対象90を切断する際の切断装置1の動きについて説明する。図4は、切断装置1の切断動作を説明するための図である。図4は、図2に示した断面B1、断面B2および断面B3のそれぞれにおけるアンビルローラ10およびローラカッター20の動作の進行に伴う状態変化を示したものである。ここでは動作の進行を、3つの時刻(時刻T1、時刻T2および時刻T3)において、鉛直方向に平行な軸Z1と、切刃22とが成す角度により表している。
【0031】
なお、図4に示す例は、理解を容易にするため、切刃22の形状は水平方向に平行に延伸する短冊状であるものとする。ただし、後述するように、切刃22の形状は、図4に示したものに限定されない。
【0032】
軸Z1は、カッター軸中心C20を通りZ軸に平行な軸である。なお、図4における各構成を示す符号は、右上の欄に集約的に記載されている。他の欄に示されている切断装置1の対応する各構成の符号は、図の右上の欄に示されたものと同様である。
【0033】
図4は、3列×3行の9つの欄に切断装置1の断面が1つずつ配置されている。右側の列は、断面B1におけるアンビルローラ10とローラカッター20の状態を示している。中央の列は、断面B2におけるアンビルローラ10とローラカッター20の状態を示している。左側の列は、断面B3におけるアンビルローラ10とローラカッター20の状態を示している。
【0034】
上の行の断面B1~断面B3は、時刻Tが時刻T1の時におけるアンビルローラ10とローラカッター20のそれぞれの状態を示している。中段の行の断面B1~断面B3は、時刻T1の後の時刻T2におけるアンビルローラ10とローラカッター20のそれぞれの状態を示している。下の行の断面B1~断面B3は時刻T2の後の時刻T3におけるアンビルローラ10とローラカッター20のそれぞれの状態を示している。
【0035】
ここで、時刻T1は、切断装置1が処理対象90の切断を開始する時点の状態を示している。このとき、切刃22は軸Z1と角度A1を成している。断面B1において、アンビル軸中心C10から切刃22の先端までの鉛直方向の距離は距離D11である。同様に、断面B2において、アンビル軸中心C10から切刃22の先端までは距離D11より長い距離D12である。断面B3において、アンビル軸中心C10から切刃22の先端までは距離D12より長い距離D13である。
【0036】
このように切刃22の先端の高さは、断面によって異なる。これは、図1において示したように、ローラカッター20の回転中心であるカッター軸中心C20と切刃22とが鉛直方向から観察したときに傾斜角N1を有してるためである。これにより、切刃22は、断面B1の側の端部から処理対象90に接触して切断を行う。そして切刃22は、アンビルローラ10とローラカッター20とがそれぞれ回転し、角度A1が小さくなる程、断面B1の側から断面B3の側へ向かって逐次、処理対象90を切断する。
【0037】
次に、時刻T2におけるそれぞれの断面の状態を説明する。時刻T2は、切刃22が下死点に到達した位置を示している。この場合、軸Z1と切刃22とが成す角度A2は、0度である。時刻T2におけるアンビル軸中心C10から切刃22の先端までの鉛直方向の距離は、断面B1において距離D21である。同様に、断面B2におけるアンビル軸中心C10から切刃22の先端までの鉛直方向の距離は、距離D22である。断面B3におけるアンビル軸中心C10から切刃22の先端までの鉛直方向の距離は、距離D23である。このとき、距離D21、距離D22および距離D23は互いに等しい。すなわち図4に示す切断装置1は、時刻T2において処理対象90の切断を完了している。
【0038】
次に、時刻T3におけるそれぞれの断面の状態を説明する。時刻T3は、切刃22が下死点を通過し、切断した処理対象90を切り離す側へ傾いている状態である。より具体的には、時刻T3において、切刃22と軸Z1とは角度A3を成している。角度A3において、断面B1におけるアンビル軸中心C10から切刃22の先端までの鉛直方向の距離は距離D31である。断面B2におけるアンビル軸中心C10から切刃22の先端までの鉛直方向の距離は距離D31より短い距離D32である。断面B3におけるアンビル軸中心C10から切刃22の先端までの鉛直方向の距離は距離D32より短い距離D33である。
【0039】
このように、切断装置1は、切刃22が水平方向に平行に延伸する形状を有している場合には、一端側である断面B1の側から先に処理対象90に接触する。そして先に処理対象90に接触した断面B1の側の切刃22は、先に処理対象90から離れる。切断装置1は、他端側である断面B3の側が最も後に処理対象90に接触する。そして最も後に処理対象90に接触した断面B3の側の切刃22は、最も後に処理対象90から離れる。
【0040】
上述の構成により、切断装置1は、例えば上述の角度A1から角度A2の範囲において、処理対象90を逐次切断する。すなわちローラカッター20は、カッター軸21の延伸方向の一方側の端部における切刃22の刃先が、他方側の端部における切刃22の刃先より先に処理対象に接触する。このように、処理対象90を切断する処理を所定期間に分散させることにより、切断装置1は切刃22ないし切断装置1の各構成が受ける切断力に紐付く負荷を時間的に分散する。このような構成により、本実施形態は、装置の大型化を抑制しつつ好適に処理対象を切断できる切断装置を提供できる。
【0041】
次に、図5を参照して、切刃22の形態のバリエーションについて説明する。図5は、切断装置1の切刃22の形態のバリエーションを示す図である。図5は、ローラカッター20の一部を抽出して示している。また図5は、ローラカッター20の下方に切刃22のバリエーションの例として切刃22A~切刃22Eを示している。
【0042】
切刃22Aは、図4に示した切断装置1に採用されていたものであって、刃先が水平方向に延伸する短冊状の形態を有している。すなわちローラカッター20は、カッター軸中心C20から切刃22Aの刃先までの第1距離D21が、カッター軸21の延伸方向の端部におけるカッター軸中心C20から切刃22Aの刃先までの第2距離D22Rおよび第2距離D22Lと等しい。このような形態により、切刃22Aは、処理対象90を逐次切断し、ローラカッター20における下死点に到達する時点で切断を完了する。
【0043】
切刃22Bは、中央部分の刃先が、両端部より比較的に長い。すなわちこの場合、ローラカッター20は、カッター軸中心C20から切刃22Bの刃先までの第1距離D21が、カッター軸21の延伸方向の端部におけるカッター軸中心C20から切刃22Bの刃先までの第2距離D22Rおよび第2距離D22Lより長い。また切刃22Cは、中央部分の刃先が、両端部より比較的に長く、また刃先の形状が、端部から中央部に掛けて段階的に変化している。
【0044】
切刃22Dは、中央部を境に左右で非対称な形状を有している。すなわちこの場合、中央部におけるカッター軸中心C20から切刃22Dの刃先までの第1距離D21は、カッター軸21の延伸方向の一方の端部における第2距離D22Rと等しい。他方、中央部におけるカッター軸中心C20から切刃22Dの刃先までの第1距離D21は、カッター軸21の延伸方向の反対側の端部における第2距離D22Lより長い。
【0045】
切刃22Eは、右端から左端に向かって刃先が短くなる形態を有している。すなわちこの場合、中央部におけるカッター軸中心C20から切刃22Dの刃先までの第1距離D21は、カッター軸21の延伸方向の一方の端部における第2距離D22Rより短い。他方、中央部におけるカッター軸中心C20から切刃22Dの刃先までの第1距離D21は、カッター軸21の延伸方向の反対側の端部における第2距離D22Lより長い。
【0046】
上述の通り、切断装置1の切刃22は、様々な形態が採用され得る。これにより切断装置1は、処理対象90を切削する際の負荷の分散状態を設定できる。あるいは、切断装置1は、処理対象90の切断時間と切断荷重の分散の配分を調整できる。
【0047】
なお、上述の切刃22のバリエーションは例示であって、切断装置1は上述した形態以外の切刃22の形態を採用し得る。切刃22は図5に示したものに変えて、刃先が曲線を成すものであってもよい。
【0048】
次に、図6を参照して、押さえ部25の形態のバリエーションについて説明する。図6は、押さえ部25の形態のバリエーションを示す図である。図6は、ローラカッター20の一部を抽出して示している。また図6は、ローラカッター20の下方に押さえ部25のバリエーションの例として押さえ部25Aおよび押さえ部25Bを示している。
【0049】
押さえ部25Aは、左右方向に亘り、カッター軸中心C20から先端部までの距離が、切刃22の距離よりも長い。このような形態により、切断装置1は、処理対象90を切断する際に、処理対象90を着実に押さえた状態で処理対象90を切断できる。またこれにより、切断装置1は、切断開始時における切刃22の切断力を効率良く処理対象90に伝達する。そのため、上述の構成は、装置の大型化を抑制できる。
【0050】
押さえ部25Bは、左右方向の端部において、カッター軸中心C20から先端部までの距離が、切刃22の距離よりも長い。一方、中央部において、押さえ部25Bは、カッター軸中心C20から先端部までの距離が、端部よりも短い。つまり、押さえ部25Bの中央部の高さは、端部の高さより低い。このような形態により、切断装置1は、処理対象90を切断する際に、切断の開始時と終了時において、処理対象90を着実に押さえた状態で処理対象90を切断する。一方、切断装置1は、中央の押さえ部を端部よりも低くすることにより、処理対象90を切断する際に、切断の中間部分においては、処理対象90に対して過剰な押圧力を付与することを抑制し、好適な切断力により処理対象90を切断する。
【0051】
以上、実施の形態について説明したが、本実施の形態にかかる切断装置1は上述の構成に限られない。例えば受け部112は溝部113に変えて、処理対象90を切断した切刃22を受け入れる程度の可撓性および復元性を有していても良い。このような構成により、切断装置1は、例えばベアラを用いて高精度な刃先の高さ管理を行うことを省略できる。ただしこの構成を採用することは、切断装置1において、アンビルローラ10とローラカッター20との相対距離を管理するためのベアラないしこれに類する手段を用いることを否定することを意味しない。
【0052】
また上述の切断装置1は、アンビルローラ10において、1か所に受け部112を有し、ローラカッター20において、1か所に切刃22を有している。しかし、切断装置1は、アンビルローラ10の回転方向の複数の位置に受け部112を有していてもよい。同様に、切断装置1は、ローラカッター20の回転方向の複数の位置に切刃22を有していてもよい。
【0053】
以上、実施の形態によれば、装置の大型化を抑制しつつ好適に処理対象を切断できる切断装置を提供できる。
【0054】
なお、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 切断装置
10 アンビルローラ
11 アンビル軸
12 アンビル支持部
13 アンビル駆動モータ
20 ローラカッター
21 カッター軸
22 切刃
23 カッター軸支持部
24 カッター軸駆動モータ
25 押さえ部
90 処理対象
111 支持面
112 受け部
113 溝部
114 吸引孔
115 ポンプ
121 軸受け
231 軸受け
C10 アンビル軸中心
C20 カッター軸中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6